山城博治さんたちの上告棄却に抗議する声明

山城博治さんたちの上告棄却に抗議する声明

2019年4月26日

  最高裁第3小法廷(宮﨑裕子裁判長)は4月22日付で、沖縄での新基地建設に反対するなかで逮捕された沖縄平和運動センター議長の山城博治さんたちの上告を棄却する決定を下しました。平和フォーラムはこの最高裁の不当な決定に対して、強い憤りをもって抗議します。

 この裁判は、沖縄県北部の米軍北部訓練場の一部返還の代わりに、オスプレイも発着できる新たなヘリパッドを建設すること、また辺野古の海を埋立て米軍のための新たな新基地建設を造ることに対して、多くの県民らが抗議行動を展開する渦中で起きた事件がきっかけでした。

有刺鉄線を切断したとして「器物損壊」、沖縄防衛局の職員に対すると押し問答をした際の混乱で「暴行」、「公務執行妨害」、ブロックを積み上げたとして「威力業務妨害」。これらの容疑で山城博治さんたちは、3ヵ月から半年以上に渡る長期勾留を強いられた挙句、執行猶予はついたものの、不当にも懲役刑が科されました。

 上告趣意書では、①行政不服審査法を濫用して工事を継続し、県民の民意を無視した国の建設強行により、自然破壊が進んでいる状況。 ②1、2審判決が沖縄の歴史を理解せず、刑法の形式的解釈と適用に終始していること。③日本の沖縄に対する差別と抑圧の歴史を真摯に受け止めるべきであること。 ④1、2審判決が、事件の本質である事件の動機、背景事実を一顧だにせず、県民の行動を抑止する手段として刑法を運用解釈していること。 ⑤米軍基地に起因する事件事故の危険のなかで沖縄県民の生活が強いられている現状。以上を訴えたうえで、威力業務妨害と公務執行妨害、傷害について、容疑事実となる罪の構成要件に該当することだけに拘泥している不当なものだとしていました。

最高裁においては、これら弁護側の主張に一切答えることなく、不当な決定が下され、1、2審判決が確定してしまいました。

裁判所は事件の本質を見極めようとしたのでしょうか。あるいは見る必要はないと考えているのでしょうか。辺野古新基地建設を強行する安倍政権に忖度した政治弾圧裁判と指弾されてもおかしくはないでしょう。

裁判のなかで、山城さんは「事件の本質は沖縄差別で、裁かれるべきは日本政府である」と語っています。そして沖縄の歴史、米軍施設の過剰負担など、沖縄が置かれている現状を述べ、一方で、新基地建設に伴って政府が行ってきた様々な違法な行為、脱法行為の数々をとりあげています。ここに示された山城さんたちの思いは、かけられた容疑の抗弁ではなく、こうした歴史や社会的背景などをふくめ、日本政府からかけられている様々な行為をしっかりとみて判断して欲しいということだったのです。

平和フォーラムは、今後も辺野古新基地建設に反対するとりくみを力強くすすめていきます。それは、安倍政治のために失われつつある平和と民主主義、地方自治の精神をとりもどすためであり、安倍政治の強権的な振る舞いで、行政機関で隠ぺいや偽造などが横行している現状を打開するためであり、司法が三権分立のまっとうな民主政治に基づく機関となるためにです。そしてあらためて、上告を棄却した最高裁が思料することのなかった沖縄の置かれた歴史や社会的背景を、我々自身との関係のなかで、見つめなおし、沖縄の反基地運動と平和を求める闘いに連帯していく決意です。

2019年4月26日

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)

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福井県知事、県内で乾式貯蔵を検討! 高校生大使が「ノーベル平和賞」対象に

福井県知事、県内乾式貯蔵検討と ―崩れる再処理正当化論

 関西電力の3つの原子力発電所を抱える福井県の西川一誠知事は、2019年3月7日、知事選(4月7日投開票)に向けた政策発表の記者会見で、原子力発電所の使用済み燃料を空冷式の貯蔵容器に入れて敷地内を含む県内で保管する可能性も検討すると明らかにしました。これは、原発の貯蔵プールの空き容量不足のため再処理をするしかないとの議論の根拠を崩すものです。
再処理推進派は、2005年の原子力政策大綱策定時以来、次のような論法で再処理の正当化を図ってきました。「まもなく各地の原発の使用済み燃料プールが満杯になる。原発現地の市町村や県は使用済み燃料の地元外搬出を求めていて、地元での乾式貯蔵を認めてくれない。搬出先は六ヶ所村再処理工場の受け入れプールしかない。これも満杯。早く工場を動かし、燃料を再処理してこのプールに空きを作るしかない。でないと原発のプールが満杯になって原発は運転停止になる。だから工場の早期運転を!」福井県は、1990年代末以来、使用済み燃料は県外に搬出するよう求めてきました。西川知事も再三、県外搬出を主張してきました。

関電の県外搬出約束と知事選
2017年11月27日に知事が大飯原発3、4号機の再稼働に同意した際、県外保管施設について「2018年中に具体的な計画地点を示す」と関電は約束しています。20年に候補地を確保、30年頃操業という計画です。ところが、2018年12月16日に関電は、計画地点提示断念との方針を知事に伝えます。20年に確保の計画には変わりないとのことです。同月28日の定例記者会見で知事は、原発停止などの罰則を与える必要ないとの考えを示しました。
知事の3月7日発表の『元気ビジョン2019』には「使用済燃料の中間貯蔵施設の立地地点の確定を国・事業者に強く要請。中間貯蔵施設搬出までの安全な保管方法について地元市町とともに検討」とあります。知事による2015年3月16日の『福井ふるさと元気宣言』は、「使用済燃料の中間貯蔵施設の県外立地を国・事業者に強く求める」とだけ述べていました。この変化をもたらした背景として、上述の関西電力の提示断念の事態、対立候補の杉本達治前副知事の方針、そして、原発受け入れ自治体の首長らの発言が挙げられます。
記者会見で知事は「(県外に)中間貯蔵施設ができるまでの若干の期間、一時保管するという議論も並行して起こりうる。乾式貯蔵を含め、そういう議論はする」と説明しています。西川知事の下で副知事を務めた杉本氏は「物事を決めつけてやりきることがいいこととは思わない。(乾式など)何が安全か、立地、準立地自治体を含めてよく話をしながら進めていく」との考えを示していました(福井新聞2018年12月7日)。
選挙に重要な影響力を持つ立地自治体首長の昨年の発言は次のようなものです(明記以外は福井新聞から)。
野瀬豊高浜町長
「県内での貯蔵を俎上(そじょう)に載せてもいいのかなと思う」(11月30日)。
中塚寛おおい町長
「町を預かるものとして、地域住民の安全確保が第一」「(乾式貯蔵は)選択肢の一つであることは間違いない」(8月29日)「住民の安心安全を考えたとき、乾式貯蔵も一つの選択肢となり得る」(12月14日。中日新聞)。
山口治太郎美浜町長
「(乾式貯蔵を)前向きにとらえて練る必要がある」「乾式貯蔵の方が発電所の安全性が高まるという話なので」(12月4日)。(美浜町では山口町長が勇退し、2月19日の選挙で戸嶋秀樹前副町長が「後継者」として無投票当選。)
また、日本原子力発電の敦賀原発を抱える敦賀市の渕上隆信市長(全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長)は、今年1月4日の記者会見で「安全性を高める点で乾式貯蔵もあり得る、との議論になってくるのではないか…規制委員長が安全と明確に発言したので、敷地内での乾式貯蔵の導入に対してはあまりナーバスにならなくてもよくなってきた」と述べています。

「大きな議論が必要」と原子力規制員会委員長
福井新聞は、原子力規制委員会の更田豊志委員長が2018年11月28日の定例会見で、「サイト内で貯留されているケースにおいては、使用済燃料プールの貯蔵量が多くなるよりは…むしろ乾式キャスクでの貯蔵を望みたい」と改めて述べたことが最近の首長らの発言の背景にあると指摘しています。規制委の2012年9月の発足以来、当時の田中俊一委員長と更田委員長代理は、たびたび、プール貯蔵より乾式貯蔵の方が安全だとし、5年から10年ほどプールで冷やした燃料は乾式貯蔵に移すべきだと発言してきました。これは、2013年の福島第一原発の事故の教訓だと言います。4号機のプールでは火災が心配されたが、同原発の乾式貯蔵施設(日本で導入された二つの乾式貯蔵施設一つ)の方は津波に襲われながら容器自体や燃料は健全だったからとの説明です。規制委は、このような考え方から、乾式貯蔵促進のために、3月13日、申請手続きを簡素化し、建屋なしの貯蔵も認める規則改正案を正式決定しました。
福島事故以前に乾式貯蔵を導入していたもう一つの原発は東海第二原発。事故後原子力規制委に申請をしているのは以下の通りです。中部電力2015年1月26日申請(新基準の下での建屋なし貯蔵検討中)、四国電力伊方原発(2018年5月25日申請)、九州電力玄海原発(2019年1月22日申請)。
更田現委員長は、2月13日の記者会見で、再稼働の現状からすると六ヶ所再処理工場は無用な施設になるのではないかと問われ、「大きな議論が必要」と答えています。田中元委員長は、3月1日都内での講演会で、再処理政策について「個人的にはやらない方がよい」、本格稼働すれば保有量増大と指摘しました。2021年の再処理工場竣工予定を控え大きな議論を巻き起こせるでしょうか。
(「核情報」主宰田窪雅文)

※この核燃政策に対する提案が原因なのか、4月7日の福井県知事選は、対立候補である自民党候補の圧勝となった。西川氏は、元福島県知事の佐藤氏同様、政治的に抹殺されたのか。

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《投稿コーナー》高校生平和大使にノーベル平和賞を!ノルウェーで再アピール

 3月3~7日、高校生平和大使3名が、広島・長崎両市長の親書を携え、ノーベル平和賞のノミネートに向けてのアピールと現地高校生世代との交流を目的として、2018年に引き続きノルウェーを訪問しました。参加した3名の報告文をお伝えします。

「スピード・実行力のあるオスロ市を見習って」 広島・英数学館高等学校3年 船井木奈美
私は2018年に続き、2回目のノルウェー・オスロ市の訪問となった。1年ぶりのオスロ市は、大きな変化を遂げていた。
オスロ市は環境問題に立ち向かうべく、車の交通量の大幅な削減を行い、EUから2019年度の欧州グリーン首都賞を受賞していた。訪問中の3月5日、ノルウェー政府が核兵器禁止条約に署名しないことを表明した。これに対しオスロ市長は、「政府が条約に署名するよう、オスロ市が政府に圧力をかけていく」と、私たちに決意を語った。ノルウェーも日本と同様、「核の傘」国の立場にあるが、オスロ市の核兵器廃絶に向けた意志は強固に見えた。オスロ市は核兵器問題をはじめとする数々の問題に対し、常に意欲的に取り組んでいる。オスロ市のスピード・実行力を是非とも見習いたい。
オスロ商業高校やNGOで現地高校生と交流し、被爆の実相や私たちの活動を紹介した。生徒からの質問で、核兵器の実在数や保有国、「核の傘」の言葉の意味を聞かれ、日本の若者と同じく、核兵器にまつわる知識の乏しさが問題だと感じた。しかし、短時間の交流の中で「どうしたら高校生平和大使になれるの?」「学校で高校生1万人署名を集めて日本に送るね!」という声が上がり、核兵器廃絶への関心の高まりを目の当たりにし、私達の活動の意義を再確認できた。ノルウェー訪問により、高校生平和大使のネットワークがまた一つ構築され、核兵器廃絶のメッセージが世界に広がる予感がした。


左からオスロ市のマリアンネ・ボルゲン市長、
中村さん、 山口さん、船井さん

「再訪」 長崎・活水高等学校3年 中村涼香
今回は日本と同じ核の傘にあるノルウェーが国会で核兵器禁止条約に署名しないことを決定したタイミングで訪問することとなった。そういった意味でもノルウェー外務省を含む各所で軍縮大使などに向けて広島と長崎の被爆の実相や核兵器廃絶の必要性を訴えることができたのは非常に意義のあることであったと思う。また2度目の訪問となった今回、私達の活動が少しずつノルウェーの地でも認知されていることを実感した。今回初めて訪問した在ノルウェー日本国大使館を除き全ての訪問先で英語を用いて自分たちの言葉で直接話すことでより多くのことを伝えることができた。現在、SNSなど世界中が一瞬でつながることのできる媒体が数多く存在する中で直接話すことがいかに重要でその影響力が大きいかを感じた。オスロ商業高校やNGOを通して現地の中学生と交流した時には自分たちができることは何か、どうしたら活動に参加できるのかという質問も多く、私達と同じ核兵器の廃絶を願う仲間を増やすことができた。また私自身訪問を通して学んだことも多く、まだまだ若者が知るべきことは多いことを実感した。そういったことも含め今回の訪問は全てこの活動の次のステップにつながる重要なものであった。私が今回の訪問で見て聞いて学んだことは全て次の高校生にしっかりと引き継いでいきたいと思う。

「若い力」 長崎・活水高等学校1年 山口雪乃
現地では、核兵器廃絶を訴えると同時に自分たちの活動をアピールしてきましたが、交流をしたオスロ商業高校やNGO団体の皆さんの平和活動に対する関心の高さにとても驚きました。どの学生と話をしても、日本の学生と交流をするときよりも活発な話し合いをすることができ、自分自身の意識も以前よりさらに高められたように思います。特に、NGO団体NoToNuclearWeaponsの若者との交流では高校生1万人署名活動の広がりとこれからの可能性を感じました。私たちのこれまでの活動を説明すると、とても関心を持ったようで、「ノルウェーの若者には非核化に向けて何ができるか、日本とノルウェーがNPT条約に署名していない事をどう思うか、ノルウェーと日本の若者が協力できることは何か」など、多くの質問を受けました。私たちが説明したことに対して自分たちもそれを受けて何か行動を起こそうとする姿勢に強く心を打たれ、日本の同世代の若者にも彼らのように積極的に平和活動に取り組む若者がいるという事を伝えたいと思いました。交流した5人の学生は署名活動の存在を知り、自分たちも署名をしたい、学校でも署名を呼びかけて平和のために何かしたい」と非常に協力的でした。これからもこうした若者との交流を通じて署名活動を世界中に広げることで平和活動に関心をもつ若者を増やせるのではないかと期待しています。平和な未来を担う私たち若者が互いに協力しあって、それを実現することが私の願いです。

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EEZとはどんな場所? 空自F-35A墜落現場に他国がざわめく理由

空自F-35墜落現場に他国がざわめいた理由 そこは日本のEEZ、そもそもどんな場所?    2019.04.24

航空自衛隊のF-35A戦闘機が洋上に墜落、現場は日本のEEZ内と見られます。パイロットの安否が気遣われる一方、機体の機密情報をめぐり周辺国が注視しているとも伝えられます。EEZ内のできごとに、他国が干渉する余地はあるのでしょうか。

墜落現場は青森県沖、日本のEEZ内だけど…?

2019年4月9日(火)、青森県にある航空自衛隊三沢基地に配備されていた最新鋭ステルス戦闘機のF-35Aが、同県沖合の洋上に墜落する事故が発生しました。事故から約2週間になる4月22日(月)現在、懸命の捜索作業にもかかわらず発見されたのは機体の尾翼部分のみで、機体がどこに沈んでいるのかすらも不明な状況のようです。正確な機体の位置の把握もそうですが、何より搭乗していたパイロットの方の安否が気遣われます。

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航空自衛隊のF-35A戦闘機(画像:航空自衛隊)。

ところで、捜索作業によって尾翼が発見されたのは、青森県の東側に広がる太平洋上の沖合、約135kmの海域ですが、ここは日本の「EEZ(排他的経済水域)」内にあたります。そして一部報道などにおいては、今回の事故に関し、日本やアメリカ以外の他国による、F-35の機体引き揚げやそのほかの部品回収の可能性について耳にします。しかし、そもそも日本のEEZ内で他国が勝手にそのような活動を行うことは、果たして可能なのでしょうか。

【次ページ】そもそもEEZとは

EEZは、1982(昭和57)年に採択された「国連海洋法条約」によって作られた、比較的新しい制度で、沿岸国の基線(海岸の低潮線や湾口などに引かれる領海などの範囲の基準となる線)から200海里(約370km)の範囲で設定される海域のことを指します。このEEZにおいて、その沿岸国は漁業資源といった天然資源の探査、開発や保存、風力や潮力などから生まれるエネルギーの生産など経済的な目的で行われる探査、開発に関する主権的権利と、人工島の造成や海洋科学調査などに関する管轄権を有しています。分かりやすく言い換えれば、沿岸国は上記のような活動に関する排他的な権利を有しているということです。そのため、たとえば他国のEEZ内で海洋科学調査などを実施するためには、事前に沿岸国の同意を得る必要があります。

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2009年3月、中国のEEZ内で活動していたアメリカ海軍の海洋調査船「インペッカブル」に対し、中国の漁船や漁業監視船などが妨害活動を実施した(画像:アメリカ海軍)。

もともと、EEZは自国の主権が及ぶ領海の幅をめぐって、領海の幅を狭める一方でどの国の船でも自由な航行や資源開発が可能な「公海」を広くしたい先進国と、領海の幅を広げて自国の権益、特に漁業といった資源に関する権益を独占したい発展途上国や新興国とのあいだの対立と妥協によって生まれた制度でした。先進国は、技術力や国力が高いために広大な公海でも十分に資源開発を行うことが可能ですが、逆に技術力でも国力でも先進国に及ばない発展途上国などは、公海よりもむしろ自国が管理できる領海の範囲を広げて資源を独占したく、ここで両者間に対立が生じました。そこで、両者の主張の妥協点として、海洋資源といった特定の分野についてのみ沿岸国の権利や管轄権を認めるEEZが誕生したわけです。

ちなみに、島国である日本は世界でも有数のEEZ面積を誇る国で、その順位は何と世界6位、面積にして約400万平方キロメートル(日本の国土面積全体の約9倍以上)にもなります。

自国のEEZで他国は何ができる?

上記のような経緯を経て誕生したEEZでは、沿岸国が持てる権利の範囲は、海洋資源や経済目的の活動に関するものに限定されています。つまり、それ以外の事柄に関する他国の活動は、基本的に沿岸国から規制されることはなく、言うなれば公海と同様の扱いになるのです。そのため、他国の船や飛行機がEEZやその上空を通過することはもちろん、海底パイプラインの敷設なども自由に行うことができます。

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2018年度にスクランブル対象となった中露機の飛行パターン例。同年度のスクランブルは中露機以外も含め999回を数えるも、領空侵犯はなかった(画像:統合幕僚監部)。

さらに、軍事的な活動も一般的には自由に行うことができます。具体的には、軍艦や軍用機の通過はもちろん、軍事演習の実施や軍事的な情報収集を含む調査活動まで許されていると解されています。ただし、中国などごく一部の国はEEZについて定める国連海洋法条約について、EEZにおける他国軍の活動を規制できると解釈していますが、これは一般的な見解とは見なされていません。

これを踏まえて考えれば、たとえ日本のEEZ内であるとはいえ、今回の事故で墜落したF-35Aの機体や部品を他国が引き上げること自体は、少なくともEEZの制度上は問題ないと言わざるを得ません。

これをEEZの制度上の問題と捉えることもできるかもしれませんが、しかし、これは同時に日本も他国のEEZでさまざまな活動を実施することができることの裏返しともいえます。単純にEEZの制度が問題だ、という話ではないのです。

【了】

【次ページ】【図】日本の領海やEEZなどの概念図

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海上保安庁による日本の領海やEEZなどの概念図で、外国との境界が未画定の海域における地理的中間線を含め便宜上図示したもの(画像:海上保安庁)。

 

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1年1カ月ぶりの「志賀原発を廃炉!」訴訟第27回口頭弁論

2018年3月26日以来の口頭弁論。

加島裁判長による裁判の放棄、「サボタージュ!」「裁判を開始しろ!」「裁判しない裁判長は給料泥棒!」などで抗議する街宣活動をおこなってきた経過後の弁論期日です。

『裁判長による「裁判のサボタージュ」に抗議します!』の傍聴者の声で始まった口頭弁論は、傍聴者の「そうだ!」の呼応と、裁判長の「静かに」という対決ムードのなか、のっけからいつもと違う、闘う雰囲気でスタートしました。

弁論にたった原告の岡崎真一さんは、裁判長のサボタージュ指摘から問題点の説明ほか極めて端的にしかも鋭く、しかも抑揚があり、間のとり方もすばらしく、とてもよかった。弁論が終わると自然と傍聴席から「拍手」が沸き起こったのです。しかし、いつもの「静かに」という裁判長の声は聞こえませんでした。まさに自らの「罪」を自覚したのか、雰囲気に飲まれたのか、発することができなかったのだろう。

そして加島裁判長は、「次回期日を決めたい」との発言に、またまた法廷は「何をするのか」などのどよめきとともに静まり返った。

「一体この一年間は何だったのか」「何のための次回期日か」「行政判断を待つことの無意味さ、逆転性」など抗議に近い指摘を岩淵正明弁護団長は静かに、しかし力強く質問攻めにした。法廷は一言一句聞き逃しまいとまさに静まりかえったのです。緊迫の裁判長 対 弁護団長の論戦であり、完全に我々の勝利でした。

裁判体(3人)としての協議で休廷したり原告弁護団の休憩協議をはさみ、結論としては第28回口頭弁論を行うことになったが、裁判官の「被告寄り」が如実に露わとなった口頭弁論でした。

20190423志賀原発訴訟 第27回弁論 岡崎さん 中日、毎日ほか

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もうすぐ20年 超危険な志賀原発1・2号機は、活断層隠し・臨界事故隠しのお蔭で稼働 即刻!廃炉に!

もうすぐ20年

超危険な志賀原発1・2号機は、活断層隠し・臨界事故隠しのおかげ 即刻!廃炉に!

北陸電力が公表した臨界事故当時(1999年6月18日)の志賀1号炉の運転記録

北陸電力が社民党調査団(団長:福島瑞穂党首)の求めに応じて公表した臨界事故当時(1999年6月18日)の志賀1号炉の運転記録を入手しましたので,下記に掲載します.

事故直後の引継日誌(100kB)
(ただ「原子炉停止中」とだけ書かれ,異常があったことが記録されていない.)

アラームやモニタ類の作動状況を示すシークエンス(340kB)
(各行の1列目の6桁の数字は時分秒をあらわしている.1999年6月18日午前2時11分29秒から2時33分00秒までの記録が記されている.SRMは中性子源領域モニタ[※3月30日訂正],IRMは中間領域モニタ(1%出力まで)のことを示し,どちらも原子炉内の中性子の量を監視するための装置.中性子モニタ類が振り切れ,アラームが鳴り,原子炉の自動停止信号が発信している.挿入状況が確認できない制御棒が「ドリフト」と記されている.)

燃料配置図と落下した制御棒の位置(148kB)
(落下した制御棒のまわりには,新燃料4体,1サイクル使用の燃料3体など,比較的若い燃料集合体があつまっていた.)

炉内中性子束モニタの記録(中間領域モニタ(A)(B)(E)と平均出力モニタ(B))(268kB)

炉内中性子束モニタの記録(中間領域モニタ(C)(D)(F)と平均出力モニタ(C))(240kB)

炉内中性子束モニタの記録(中性子源領域モニタ(A)(B)(152kB)

志賀原発1号炉・制御棒が3本も脱落し臨界,さらに原子炉緊急停止失敗 —-北陸電力は志賀原発を運転してはならない!

志賀原発1号炉・制御棒が3本も脱落し臨界,さらに原子炉緊急停止失敗
—-北陸電力は志賀原発を運転してはならない!

停止しているはずの原子炉が臨界状態になった.1999年6月18日に志賀原発1号炉で起きていたのはそんな事故だ.北陸電力は2007年3月15日になってはじめて,「臨界事故」が起きていた事実をあきらかにした.事故が起きたことを8年間隠し続けてきたのだ.

北陸電力の説明はおよそつぎのとおり:————————

定期検査中に,制御棒の急速挿入試験をするための準備中に弁の操作順序をまちがえたことがきっかけで,3本の制御棒が引き抜かれた.

原子炉が臨界状態になって,出力が上昇しはじめたため,原子炉自動停止信号が発せられたが,制御棒の緊急挿入装置が働かなかった.緊急時の制御棒挿入は,窒素ガスの圧力を水圧で動く制御棒駆動機構のピストンに与えることでおこなわれる.ところが,この試験のためにピストンを押し上げる水が流れる弁が閉じられており,窒素ガスの充てんも行なわれていなかった.

その15分後,試験のために閉じていた弁を開いたところ,制御棒が原子炉に挿入された.

—————————————————–

上の説明では不明な点がいくつもある.なぜ簡単に制御棒が抜けてしまったのか? いつ臨界になったことを知ったのか? そのときの制御棒の位置は? 中央制御室で15分間もいったい何をしていたのか? なぜ緊急挿入装置のガス圧がなくなっていたのか?

国による原子炉設置のための安全審査では,「運転時の異常な過渡変化」と「事故解析」において,それぞれ「制御棒の引抜き」と「制御棒落下」について解析し安全性を確認することを求めている.そのなかで想定されているのは,わずかに制御棒1本の引抜きないしは落下であって,今回の事故は発生した事態としてはそれを超えており,安全審査の想定が不十分であることを実証したことになるのではないか[3月16日修正].

また,臨界到達後に原子炉自動停止信号がでているにもかかわらず,自動停止に失敗した.失敗したままの状態で15分も経過している.これは一歩間違えれば,燃料棒の破損,放射能放出という大惨事につながる重大なスクラム失敗事故だ.

経済産業省・原子力安全・保安院は,3月15日に北陸電力に対して,志賀1号炉を停止し,総点検をすることを指示した.あわせて,事実関係と原因の調査,再発防止対策の策定をも指示している.

しかし,北陸電力がとるべき再発防止策は,原発から手を引くことしかありえない.「北陸電力は志賀原発を運転してはならない」

■関連情報へのリンク

◆北陸電力
志賀原子力発電所1号機 第5回定期検査期間中に発生した原子炉緊急停止について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031501.pdf

志賀原子力発電所1号機 第5回定期検査期間中に発生した原子炉緊急停止に係る経済産業省の指示について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031502.pdf

志賀原子力発電所1号機定期検査のための停止について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031601.pdf

志賀原発の定期検査のようす
(原子炉のふたと蒸気タービンの開放の写真あり)
www.rikuden.co.jp/outline2/inspection.html

志賀1号炉第5回定期検査報告書(1999年4月29日?8月20日)
www.rikuden.co.jp/outline1/attach/inspection05.pdf

【志賀1号炉・臨界時の中性子モニタチャート】
※3/17追加

◆原子力安全・保安院
北陸電力(株)志賀原子力発電所1号機における平成11年の定期検査期間中の事故について
www.meti.go.jp/press/20070315003/20070315003.html

北陸電力(株)志賀原子力発電所1号機における平成11年の定期検査期間中の事故について(第2報)
www.meti.go.jp/press/20070315009/20070315009.html

◆読売新聞
原子炉、15分間制御不能に…志賀原発で99年
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000004-yom-soci

◆毎日新聞
北陸電力:志賀原発の99年緊急停止隠ぺいを発表
www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070315k0000e040051000c.html

◆朝日新聞
原発制御棒はずれ一時臨界に 北陸電力、国に報告せず
www.asahi.com/national/update/0315/TKY200703150136.html

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米ロの軍拡をもたらす米ミサイル防衛見直し(MDR)―極超音速兵器の脅威に宇宙の軍拡で対応

                                                                                                                  湯浅一郎 2019年3月31日

1.トランプ・ミサイル防衛見直しの概要

19年1月17日、トランプ米大統領は、国防総省において米国のミサイル防衛強化に向けた新戦略「ミサイル防衛見直し(以下、MDR)」を発表した。同種の文書は、オバマ政権期の2010年に初めて策定され、「弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)」と呼ばれた。今回は、極超音速兵器や高度な巡航ミサイルなど弾道ミサイルに含まれないものを含む、多様なミサイル脅威に対応する必要性を踏まえ、「弾道(B)」が外れ、「MDR」という名称に変更されている。
MDRは、2017年12月の「国家安全保障戦略(NSS)」、2018年1月の「国家防衛戦略(NDS)」、そして同年2月の「核態勢見直し(NPR)」と整合するものとして策定が進められ、2018年春頃に公表されると言われていたが、1年近く発表が遅れた。その要因の一つは、特に宇宙配備センサーやブースト段階での迎撃計画など新時代へ向けた途方もない投資を必要とする構想の妥当性の検証に時間がかかったことが推測される。
まずロシア、中国、北朝鮮、イランの4か国を主な脅威とみなし、現在および将来のミサイル脅威を米本土、及び「海外の米軍、同盟国、協力国」ごとに分析し、現在、及び将来の脅威環境を見直し、ミサイル脅威の多様化とあらたな脅威の出現など環境が大きく変化したとする。北朝鮮への言及が最も多いが、2017年9月の6回目の核実験や、火星15号を含むICBM発射を踏まえて、今や北朝鮮は、米本土を核ミサイル攻撃によって脅かす能力を有すると指摘した。米国政府公式文書において北朝鮮の核ミサイルが米国を攻撃しうると評価したのは初めてである。18年に、米朝首脳会談等により対話と平和への交渉が新たに進んでいることを認めつつも、北朝鮮に対する脅威認識は変化しておらず、米国は警戒を怠ってはならないとしている。
ロシアは、18年3月のプーチン演説(注1)で示されたように、近年、飛翔速度の非常に速い極超音速巡航ミサイルや極超音速滑空体(HGV)(Hypersonic Glide Vehicle)の開発・配備に力を入れている。中国もHGVの実験を行っていることで、近未来の脅威とした。
イランは、中東での米国の影響力を、当該地域の覇者になるという自らの目標の前に立ちはだかる最大の障壁と考えており、中東で最大の弾道ミサイル戦力を有しており、米国を威嚇する能力を持った大陸間ミサイルに応用できる技術の開発を続けているとする。
その上で、これらの脅威に対応するためのミサイル防衛の役割・原則・戦略を位置づけ、現在および近い将来の本土防衛や地域防衛の計画を包括的に検討している。ミサイル防衛の多様な役割として、米本土及び同盟国の保護、攻撃の抑止、同盟国の安全の保証、外交の支えなどを挙げる。ミサイル防衛計画と能力については、本土防衛、地域防衛、さらに巡航ミサイルや極超高速兵器への対応計画を順次、示している。

2 既存のミサイル防衛態勢の強化
現在、米本土防衛として、北朝鮮や潜在的にはイランの核・ミサイル脅威への対処を念頭に地上ベースのミッドコース防衛(GMD)システムが構築されている。具体的には地上配備迎撃ミサイル(GBI)がフォートグリーリイ(アラスカ)に40基,バンデンバーグ空軍基地(カリフォルニア)に4基の計44基配備されている。これを踏まえ、本土防衛のGMDとして2023年までにGBIをフォートグリーリイに20基追加配備し、64基までに増強する。またアラスカ、ハワイ、太平洋地域に、新たなミサイルの追跡及び識別センサーを配備する。
地域防衛では、現在、BMD能力を有するイージス艦は38隻であるが、2023年までにその数を60隻に増やす計画であるとし、その計画はMDR発表後6か月以内に国防長官らに送付される。
さらに本土防衛と地域防衛を統合することで、早期の警戒やミサイル追跡の態勢を強化し、コストを削減する。例えば、米国が日本に配備しているXバンドレーダーは、早期警戒や北朝鮮から米国や日本に向けて発射されたミサイルの追跡に有効であるとする。
さらに「同盟国およびパートナー国との協力」を明記し、インド太平洋地域では、日本のミサイル防衛態勢との協力、相互運用性の強化がうたわれている。日本では、「多数の複合的な経空脅威にも同時対処できる能力を強化する」(注2)との観点から、現在、イージス艦6隻を8隻体制に増強し、中期防では2023年までにイージスアショア2基の配備を決めている。これら自衛隊のミサイル防衛態勢と在日米軍のイージス艦やXバンドレーダーとの相互運用の強化を図ることになれば、平時においても集団的自衛権の行使を前提とした態勢が日常化することになる。また米国からのミサイル防衛への予算増や米装備の購入の要求がさらに増えることが想定される。

3 近未来型のミサイル脅威に対する誇大な構想が目白押し
トランプMDRのもう一つの特徴は、極超音速巡航ミサイルや極超音速滑空体(HGV)などによる新たな攻撃的ミサイルの脅威と不確実性への対応策が多数、構想されていることである。
ここでは、「宇宙の重要性」が強調されている。「宇宙開発によって、既知・不測双方の脅威に対しより有効で弾力性や順応性のあるミサイル防衛態勢が可能になる。例えば、宇宙センサーは、地球上のどの地点から発射されたミサイルであっても観察・発見・追跡することができる。宇宙センサーは陸上センサーに課せられるような地理的制限に服することなく、ある程度自由に動き回ることができ、きわめて有利なことにミサイルの「誕生から死まで」を追跡することが可能なのだとする。」
ならず者国家の保有ミサイルが増加するにつれ、迎撃を宇宙から行うことで、攻撃用ミサイルが様々な報復措置を実施する前の、最も脆弱な初期の上昇段階で交戦する機会が生まれるかもしれない。宇宙からの迎撃により、攻撃用ミサイルの迎撃に成功する可能性が全体として高まり、米国の迎撃機(defensive interceptors)の数を求められている通り減らすことができ、攻撃用ミサイルを標的国ではなく攻撃国の領空で破壊できる可能性が生まれる。国防総省は、宇宙ベース防衛の構想や技術に関する短期間の調査を新たに実施し、変化する安全保障環境における宇宙ベース防衛の技術的・戦略的な将来性を査定するとしている。
極超音速滑空体(HGV)は、弾道ミサイルないしロケットによって打ち上げられたのち、ブースターの燃焼終了直後に切り離され、飛翔体自体の揚力によって大気圏上層で跳躍・滑空を繰り返し、高速で目標に突入する。そのため、高速の巡航ミサイルやHGVは、マッハ5以上の高速で、低空を変則的に飛行するため、地上配備型レーダーをかいくぐることができる。これらに対抗するために、まず複雑なミサイルの脅威を検知、追跡し、効果的に対処できるよう宇宙空間でのセンサー網による監視網の充実をあげる。既に米国は、宇宙配備の赤外線センサー(「宇宙ベース・キルアセスメント(SKA)」と呼ばれる)網を18年末までに軌道上に配置するとしているが、それをも含めた包括的な監視網が想定されている。
またロケットエンジン分離前のブースト段階での攻撃により破壊させる宇宙配備型の迎撃システムの可能性調査などの必要性を訴えている。ここでは、ステルス戦闘機F35や、レーザー兵器を搭載した無人航空機などが検討対象とされる。宇宙に関わるこれらの計画についても、MDR発表後6か月以内に報告書を出すとしている。

4 中ロの反応と核軍拡競争を激化させる懸念
米MDRに対し、中ロはすぐに反応した。まずロシア外務省は、「これらの考えを満たすことは、必然的に宇宙での軍拡競争を招くことになり、それは国際的な安全保障と安定性にとって最大の悪影響となるだろう」と述べた。さらに「米国政府に対し、悪名高いレーガンのスターウォーズ計画をより高い技術レベルで再開するこのような無責任な試みを放棄するよう呼びかけた」(注3)。
また中国外務省の華春栄副報道局長は、2月17日の定例記者会見で「米国は他の国に兵器開発を控えるよう求める一方で、殺傷力の極めて大きな兵器を絶えず強化している。これは米国のダブルスタンダードを示すものだ」と反発した(注4)。
ところで、米国が新たな脅威とする極超音速の攻撃的ミサイルは、米国も開発を推進している(注5)。それを棚に上げて中ロが開発するものは新たな脅威であるとして、それを超えるミサイル防衛態勢を生み出そうとすることは余りにも一方的である。
しかも、MDR発表後6か月以内に国防長官らに報告を出すとされた計画は10件に上ることから見ても、構想の多くは、いまだ夢物語の次元で内容に著しい不確実性があると推測できる。膨大な巨額を投資して、残る成果が見えないことになりかねない代物ばかりである。

米MDRは、トランプ政権のINF離脱などに輪をかける形で、宇宙を始めとした米国とロシア・中国間の際限のない軍備競争をもたらす危険性がある。この問題を考えるにあたり、2002年に米国がABM条約から脱退し、ミサイル防衛(BMD)体制の強化を打ち出したことで、ロシアが、これに対抗して米国のMDを打ち破る兵器の開発に約20年という年月をかけて極超音速兵器の開発などを進めてきた経緯を想起する必要がある。本MDRで米国は、ロシアの動きを理由に宇宙の軍事化などを含むミサイル防衛体制の新たな開発へと向かい、とめどのない核軍拡を引き起こそうとしている。INF条約からの離脱も、上記と同様の新たな軍拡の引き金になりかねない。しかし、今、求められているのは、MD態勢の強化ではなく、軍縮基調を生み出すことである。

注:
1 ピースデポ刊「核兵器・核実験モニター」541号(2018年4月1日)に関連記事。
2 「防衛計画の大綱」、2018年12月18日。
3 「インターファクス通信」、2019年1月18日。
4 「毎日新聞」2019年1月19日。
5 米軍による極超音速兵器開発の現状を示す一。

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【考える広場】我が内なるファシズム  東京新聞より

我が内なるファシズム  2019年3月30日

 イタリアでファシズムが芽を出すのが一九一九年。ヒトラーもその年にナチスに入党した。第二次世界大戦で一掃されたはずのその思想は…。百年後の今、自分の中に潜むファシズムを考える。

 <ファシズム> 国家主義的、排外主義的な運動理念、政治形態。第1次世界大戦後のイタリアで、資本主義の危機、社会の混乱に不安を感じた中間層がファシスト党のムソリーニに率いられて起こした大衆運動。議会政治や言論・出版・結社の自由を否定し、カリスマ的指導者による独裁体制を志向する。対外的には反共産主義を掲げ、侵略政策を取った。

1929年の大恐慌を背景に、ファシズムは欧州や南米諸国に広がり、ドイツではヒトラーが、スペインではフランコが政権を握った。

◆非選挙組織で歯止め 甲南大教授・田野大輔さん

田野大輔さん

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 学生に同じ制服を着せ、野外で行進や他者への糾弾を行わせる「ファシズムの体験学習」という授業をしています。

 糾弾では仕込みのカップルに全員で怒号を浴びせますが、そうしているうちにだんだんと参加者の声が熱を帯びてきます。そこには「許されていることだから構わないだろう」という「責任感のまひ」が見られます。

 それと同時に、参加者はちゃんと声を出さない人を見ていら立ちを覚えるようになります。「集団の力」を実感し、一緒に行動することを義務と感じる「規範の変化」が起きるのです。

 権力の後ろ盾があればいとも簡単に、社会的に許されないことができてしまう。これは一九三八年にナチスが扇動・主導した「水晶の夜」と呼ばれる反ユダヤ主義暴動とも符合します。

 そうした危険は今の日本も無縁ではありません。ファシズムとポピュリズム(大衆迎合主義)には類似性があります。分かりやすい敵を攻撃し、これによって人々の欲求を発散させるという、ある種の「感情の動員」をめざす点です。

 もちろん、敵を攻撃するだけではありません。重要なのは、自分たち多数派の力を実感できるようにすること。ヒトラーは混乱を極めたワイマールの議会政治に代えて、強力なリーダーのもと一致団結したドイツ、「民族共同体」という理想社会を実現しようとしました。これを説得的に提示するため、党大会で壮大な式典を演出しました。

 ナチスによる演出は従来、うそにまみれたプロパガンダ(宣伝)と考えられてきましたが、そうした見方は「民族共同体」の実現に向けたナチスの努力、人々がそこに見いだした真正さを軽視しています。

 ドイツの国民はだまされて動員されたのではありません。自ら積極的に隊列に加わったのです。ナチスは労働者に休暇旅行を提供し、消費水準を向上させるなど、国民の願望を満たそうと努力していました。その結果、「民族共同体」は単なる幻想にとどまらない現実性を帯びることになったのです。

 国民の現実的な支持を得たファシズムをどう防ぐか。私たち一人一人の意識の持ち方も重要ですが、最後の歯止めは司法やジャーナリズムなどの選挙で選ばれない組織です。民主主義を存続させるには、非民主主義的な安全装置が必要なのです。

 (聞き手・大森雅弥)

 <たの・だいすけ> 1970年、東京都生まれ。専門は歴史社会学。博士(文学)。著書に『愛と欲望のナチズム』(講談社)、『魅惑する帝国-政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会)など。

◆制御し続ける努力を 作家・深緑野分さん

深緑野分さん

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 ホロコーストを知ったのは幼稚園のときです。家の近くにあった教会の日曜学校で、牧師さんから聞きました。ユダヤ民族への迫害。強い恐怖を覚えました。なぜ、そんな恐ろしいことをする人たちがいたのか。でも、自分も同じ人間だから無関係ではないとも感じました。

 第二次大戦中のベルリンを舞台にした小説を出版することになり、昨年一月に現地へ取材に行きました。どこか緊張感が漂う街でした。銃弾の痕、壊れた建物も残っている。ユダヤ料理店の店先には常に警官が立ち、ユダヤ教会の目の前には交番がある。ネオナチを警戒しているのでしょう。冷戦と壁の崩壊。いろいろな時代に翻弄(ほんろう)された街という印象でした。

 ムソリーニがファシスト党をつくり、ファシズムという名前が付きました。しかし、それ以前からファシズム的な志向は存在しました。では、今はどうなのか。ファシズムは第二次大戦を象徴する言葉なので、終戦とともに消えたように思われがちですが、そうではありません。多分、私を含めて誰もがファシズム的志向の要素を持っていると思います。

 差別をしたい、極端な保守主義に走りたいという願望を人は誰でも持っています。差別をするという心の種を持っていること自体が悪いと批判する人がいます。しかし、それを消すことはできません。どうコントロールできるかにかかっています。

 人間は自信を失うと、ファシズム的なものが心地よくなります。誰かが叫ぶ。「私たちが苦しんでいるのは、あいつらのせいだ」。多くの人が同調し、熱狂の中で「あの人たちは敵ではない」という声はかき消されてしまう。より怖いのは、排斥を扇動した者が悪の化身というわけではなく、自分が正しいと心から信じている場合です。ヒトラーもそうだったかもしれません。

 アウシュビッツから生還したユダヤ系イタリア人作家プリーモ・レーヴィが書いています。平和と呼ばれているものは実は休戦状態でしかない。休戦を一日でも延ばすしかわれわれにできることはない-。

 ファシズムは今も私たちの隣にあります。ファシズムの誘惑に転ばないよう努力する。そこに陥っていないか繰り返し確認する。それが休戦を延ばすことにつながると思います。

 (聞き手・越智俊至)

 <ふかみどり・のわき> 1983年、神奈川県生まれ。書店に勤めながら執筆し2013年に『オーブランの少女』でデビュー。『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』が直木賞候補に。

◆国難で一気に加速も 慶応大教授・片山杜秀さん

片山杜秀さん

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 「ファッショ」はイタリア語で「束(たば)」です。天皇を「現人神(あらひとがみ)」として国民を束ねたという意味で、明治の国家体制はファシズムと適合的でした。

 しかし、いわゆる「日本ファシズム」が「未完のファシズム」に終わったのも、明治憲法に権力が分散する仕組みがあったためです。国会は貴族院と衆議院に分かれ、一方が法案を否決すれば即廃案。総理大臣の力は今より弱く、行政には枢密院という内閣のチェック機関もあった。陸海軍は天皇の直属です。近衛文麿は大政翼賛会をつくり、東条英機は総理大臣と陸軍の参謀総長などを兼職して、権力を束ねようとしたが、右翼から「天皇に畏れ多い。ファッショだ」と批判されました。

 それと比べると、現在の憲法の方がはるかに強力に権力を束ねやすい。議院内閣制で、国民が選んだ国会が、三権分立のうち立法と行政の二つを握ります。衆参両院で意見が分かれても、衆院優越の原則があります。

 冷戦後、権力の「束」はさらに強くなりました。まず現実主義の自民党と理想主義の社会党が対立した五五年体制が崩壊し、現実主義の政党ばかりになった。似たような価値観の政党ばかり。その中では、経験豊富な自民党が選ばれやすい。

 さらに「決められない政治」として派閥や官僚が批判され、「政治主導」の名の下に内閣人事局が設置され、内閣に官僚は抵抗できなくなった。今の内閣は各官庁の情報を吸い上げて力が肥大化し、戦前・戦中にはなかった強力なファシズム体制を実現させたと思います。

 政治主導を主張したのはリベラルな政治学者やマスコミも同じです。現在の「安倍政治」は勝手に出てきたわけではない。冷戦後の流れの中でおのずと出てきた一つの答えなのです。ヒトラーもムソリーニも、経済危機を立て直そうと出てきました。北朝鮮の動向や米中枢同時テロで「テロとの戦い」「常に危機だ」との論法が成立するようになり、米国や中国も個人情報の把握を正当化しています。

 治安や国防に加え、日本には津波や地震もある。国民に「危機」を訴える生々しい要素です。もし災害や経済危機など本当の「国難」が起きれば、安倍政治で準備されたファシズム的な方向に一気に進む可能性があります。「未完」ではない日本ファシズムが生まれるかもしれません。

 (聞き手・谷岡聖史)

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シナイ半島の多国籍軍・監視団への自衛隊員派遣に反対する声明

政府は4月2日、エジプト北東部のシナイ半島でエジプト軍とイスラエル軍の活動を監視する「多国籍軍・監視団(MFO)」に陸上自衛隊員2人を派遣することを閣議決定した。

シナイ半島の問題をめぐっては、第3次中東戦争でイスラエルがエジプトのシナイ半島を占領し、その後1979年に「エジプト・イスラエル平和条約」の締結を受けて、1982年からMFOが展開し、エジプトに全面返還されている。MFOの主たる任務は、両国軍の活動状況と停戦の監視活動としている。日本政府は1988年から、このMFOに資金援助を行っており、昨年度も約500万円を拠出している。

「多国籍軍・監視団」に自衛隊を派遣できるようになったのは、2015年9月に安倍政権が多数の反対世論を押し切り、強行採決した戦争法(平和安全法制)に関連する法律によるものだ。改正された国連平和維持活動(PKO)法で可能になった「国際連携平和安全活動」が初めて適用される。

従前のPKO協力法が、国連総会、国連の安全保障理事会の決議に基づいて、海外で自衛隊が活動するという縛りがあったのだが、国連が統括しない活動にも自衛隊が参加できるようにしたものだ。PKO参加5原則を満たすことが条件とはなっているが、この間の安倍政権の自衛隊の日報問題等を顧みるだけでも、約束が守られるかどうかはなはだ危うい。

今回の自衛隊2名の派遣について、岩屋毅防衛大臣は「人材育成の面でも大きな意義がある」と自衛隊員の教育を強調し、部隊の派遣については否定している。しかしながら、国連の関与しない他国籍軍に、自衛隊が参加する突破口となることに間違いはないだろう。それも、戦争法(平和安全法制)と一体のものである日米ガイドラインをアメリカと結び、シームレスに日米の軍事一体化がすすめられている現状では、アメリカ主導の戦争関連活動に自衛隊の部隊がかり出される危険が極めて高くなっている。

安倍政権は自衛隊員の命にどのように向き合うのか。自衛隊の現場からの重要な事実を覆い隠した日報問題を引き起こすような政権では、自衛隊員の命は守ることはできない。自民党の内部には、日報の公開そのものに自衛隊の活動の保全の点から異議を唱える議論も見受けられるが、全く逆だ。PKO5原則が順守されるのかどうか、また活動の経過で紛争当事国の状況が的確に把握され、それが公開されない限り、実質的なPKO5原則とのすり合わせはできない。命の問題でもあり、シビリアンコントロールを確実にするためにも必要なことだ。

平和フォーラムは、今回の多国籍軍・監視団への自衛隊派遣に反対を表明するとともに、戦争法に基づく米軍防護が拡大し、日米軍事一体化が進むことに強く抗議する。

 

2019年4月2日

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 勝島一博

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3.19安倍改憲NO!発議NO!緊急集会

安倍改憲をなんとしても止めるため、憲法改悪を阻止するため、そして改憲発議をさせないために働く仲間、市民が緊急集会に決起し、安倍政権の打倒まで闘うことを金沢市民、観光客に訴えた。

主催 安倍改憲NO!市民アクション・いしかわ  場所 いしかわ四高記念公園

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被災65周年3・1ビキニデー全国集会

被災65周年3・1ビキニデー全国集会

2019年3月 7日

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■被災65周年3・1ビキニデー全国集会
3月1日、静岡市内の静岡労政会館において、「被災65周年3・1ビキニデー全国集会が」行われました。当日は全国各地から250名が参加し、原水禁運動の契機となったビキニ事件の風化に抗し、核廃絶に向けた想いを新たにしました。
集会は、川野浩一原水禁議長の挨拶で始まりました。川野議長は、安倍政権の憲法改悪への動き、直前の米朝首脳会談の不調などに対する危機感を訴えました。
地元静岡県平和・国民運動センターの渡邉敏明会長のあいさつの後、TBS「報道特集」キャスタ―の金平茂紀さんから「日本人と核」をテーマに講演をいただきました。 金平さんは、なぜ米朝首脳会談が共同声明もだせず、不調に終わったのか、長年の海外取材の経験からその舞台裏を解説していただきました。また広島・長崎への原爆投下以降、日本人がどのように核を認識してきたか、「平和利用」の幻想にからめとられていった過程が語られ、それが2011年3月11日の福島第一原発事故につながっていったと話されました。その上で「人類と核が共存できない」と訴えられました。
その後、静岡の第21代高校生平和大使の取り組み報告や「戦争させない1000人委員会・静岡」からの要請、地元焼津市をはじめ、静岡県、静岡市からのメッセージを紹介し、最後に集会アピールを採択し、ビキニ・デー集会は幕を閉じました。

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