アピール

5.3安倍改憲NO!改憲発議NO!集会アピール(案)

日本国憲法の施行から72年目の今日、私たちは、安倍政権による憲法改悪と改憲発議を絶対に許さない決意でここに結集しました。

「戦争放棄と交戦権の否認、戦力不保持」をうたった平和憲法は、とりわけ第9条は、これまでの自民党政権によって骨抜きにされ、安倍政権の戦争法強行(2015年)により、日・米の軍事一体化が推し進められ、戦争する国へと突き進んでいます。

いまや自衛隊は、東アジアからインド・太平洋、シナイ半島までその活動領域を広げ、「島嶼奪還(とうしょだっかん)」作戦や「敵基地攻撃能力」を持つ軍隊になろうとしています。米軍と共に繰り広げる「航行の自由作戦」や「潜水艦哨戒訓練」は、「対中国」戦を想定した軍事作戦にほかなりません。

安倍政権は、「我が国を取り巻く安全保障環境は激変した」と中国(北朝鮮)の脅威をあおり、ミサイル避難訓練などで国民を煽動しています。沖縄では、「沖縄の心に寄り添う」「負担軽減する」と言いながら辺野古新基地建設を強行し、南西諸島は、ミサイルを配備した軍事要塞と化しています。

憲法9条に「自衛隊を明記」することは、戦争にお墨付きを与え、市民が戦争に加担・協力させられることになります。安倍政権はそのために、全国各地の小選挙区で改憲推進組織づくりを進め、国民投票に持ち込むためにあらゆる手段で「改憲発議」を実現しようと狙っています。

私たちは、この改憲運動を草の根から断ち切るため、強い危機意識を持って、より多くの市民に、一切の戦争反対、憲法改悪阻止、辺野古新基地建設反対の闘いに参加することを呼びかけます。私たちは今日の集会で安倍政権の強権政治により、沖縄県民の意思が踏みにじられている現状を学びました。沖縄での座込みをはじめとした粘り強い闘いはいま、世界の知識人や人々を動かし共感を創り出しています。

この力が改憲発議を止め、戦争を止め、安倍内閣を打倒する「うねり」を創り出します。創意工夫ある闘いを職場から地域から創ることを確認し、集会アピールとします。

2019年5月3日  安倍改憲NO!改憲発議NO!

平和憲法施行72周年記念石川県民集会参加者一同

 

2.4県憲法を守る会総会アピール

 平和憲法が施行されて71年。私たちは、立憲主義の下、平和で人権が尊重される社会の実現に向け取り組んできました。しかし、いまや安倍政権は「改憲は国会議員の責務」とまで言い切り、憲法を改悪しようとしています。

 改憲素案では、憲法9条に「自衛隊を保持する」を加えるとしています。改憲されれば、自衛隊は何ら制約を受けることがなくなり、「戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定」が有名無実化し、アメリカや同盟国と共に世界中で「戦争する国」の軍隊になってしまいます。

 そしていま、北朝鮮の弾道ミサイルや中国の核戦力増強を名指しで批判、「安全保障を巡る環境は激変しており、敵基地攻撃能力を高め、米国などとともに戦う」と、いつでもどこでも戦争できる準備を進めています。さらに「防衛費」は2018年度末で5兆6千億円、後年度負担を加えると10兆6千億円規模にもなり、核保有国を除けば世界一の軍事大国となっています。しかも今後5年間で、27兆5千億円もの軍備増強を計画しています。その上、日米安保条約に則った共同演習は激しさを増し、北東アジアをはじめ、いまや南シナ海、インド洋まで自衛隊を派遣して対中国包囲網づくりと挑発的な軍事訓練を行っています。国内では、訓練の激化によりオスプレイの墜落や航空機、武器による事故が絶えず、いつ大惨事が起こるか分からない状況にあります。

 さらに改憲素案では、緊急事態条項の創設が謳われ「大地震その他の異常かつ大規模な災害」を隠れ蓑にして、内閣総理大臣が「国家緊急権」を持つことを狙っています。これは、戦争や労働者・市民の決起にも適用され基本的人権と三権分立を「瞬時」に停止する独裁条項です。まさに「ナチスの手口」であり断固として反対していかなければなりません。

 しかも、憲法破壊はすでに始まっています。安倍首相は、時に自らを「立法府の長」と言い、裁判所や行政は政府を忖度する体制に変わっています。辺野古埋立阻止や脱原発などを闘う仲間たちには強権的弾圧が、国会では法案の強行採決が繰りかえされています。各自治体による思想、信条への介入、表現の自由制限なども拡大しています。東京五輪ではテロ対策を名目に顔認証システムや監視カメラの拡大、そして、SNSや携帯電話、Tカードなどの個人情報をこっそり収集してもいます。これらは、本人の了解なく個人を「丸はだか」するものであり、まさに、憲法改悪の先取りといわなければなりません。

 今こそ、人権と民主主義、社会運動(労働、平和、人権、脱原発、環境など)を守り抜くため、あらゆる団体と連携してこれらの策動を止めなければなりません。国境、民族、宗教などを越えて手をとりあい、職場から、地域から、平和と民主主義を実現するために「安倍改憲」を阻止することを訴えて、総会アピールとします。

             2019年2月4日 石川県憲法を守る会総会参加者一同

再び示された沖縄の民意を尊重し

名護市辺野古新基地建設の中止を求める声明

平和フォーラム 2019.2.25

2月24日、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が投開票された。その結果、投票資格者の過半数を超える投票によって、新基地建設反対72%、賛成19%どちらでもない9%の結果となり、新基地建設に対する県民の圧倒的反対という意思が示されることとなった。

国土の0.6%に在日米軍施設の70%が集中することによって、沖縄では自由、平等、人権、民主主義がはく奪され、日本がアメリカの属国であるかのようなしわ寄せが、理不尽に沖縄に集中してきた。

この間、2度にわたる沖縄県知事選挙で「基地はいらない」とする民意が示されてきたが、ことあるごとに安倍政権は、これらの公職選挙では新基地建設以外にも「様々な争点がある」ことを理由に無視し、また、法律を濫用し基地建設を強行してきた。

しかし、今回の県民投票はまさに新基地建設のみを対象にしたものであり、いかなる言い逃れも許されない。政府は新基地建設反対の圧倒的な民意に向き合わなくてはならない。

また、辺野古新基地建設については、埋め立て海域の軟弱地盤や活断層の存在、360件に及ぶといわれる高さ制限を超えた基地周辺建造物の存在など物理的に建設が不可能なことは明らかであり、さらに、埋め立て工費についても当初防衛省が示していた2400億円の10倍にも上る2兆5.500億円に膨らむと、沖縄県が試算していることからも、政府は速やかに建設計画を中止すべきである。

一方、来る2月27~28日に、第2回米朝首脳会談が開催されるなど東アジアは非核・平和の実現に向けて大きく動き出している中で、新基地建設がこうした流れに逆行するものであることも強く指摘しなければならない。

平和フォーラムは、この度の県民投票をしっかり受け止め、引き続き新基地建設反対の取り組みを日本の民主主義、立憲主義、地方自治を取り戻す闘いと位置づけるとともに、普天間基地の「5年の運用停止」という政府と県との約束履行を求め闘いを強化していく。

 

米国のINF廃止条約からの離脱に抗議する

原水爆禁止日本国民会議

議  長  川野浩一

事務局長  藤本泰成

    米国ポンペオ国務長官は、2月1日、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃止条約からの離脱を正式に表明した。2日には条約履行義務を停止し、ロシア側に通告した。米国は、オバマ前政権時代からロシアに対し、「条約に反して中距離ミサイルの開発を続けている」と非難してきた。トランプ大統領は声明で「ロシアは長きにわたり条約に違反してきた」「米国は一方的に条約に縛られる唯一の国ではいられない」と主張している。米ロ両国は、次官級協議を重ね、ロシアは今年1月23日に条約違反とされる新型の地上発射型巡航ミサイル「9M729」を報道陣などに公開したが、両国の主張はかみあわず議論は平行線に終わっていた。米ロ両国は、しかし、首脳会談などを行おうとはせず、米国の今回の判断となった。原水禁は、短慮とも思える米国政府の判断に強く反対し、抗議する。

    INF廃止条約は、1987年に米ロ(旧ソ連)両国で調印され、91年までに両国合わせて2692基のミサイルが廃棄された。地上配備の中距離ミサイルに特化された同条約は、核軍縮の潮流を形成し、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障に貢献してきた。今後、米国は中距離ミサイルの本格的開発に入ると考えられ、昨年発表された「核体制の見直し(NPR)」に示された核弾頭の小型化や海洋発射型巡航ミサイル(SLCM)の開発を加えて、オバマ前政権の掲げた「核なき世界」への構想から大きく後退する。ロシアのプーチン大統領は、条約破棄の通告に対して「自国の安全を強化する追加措置をとる」と述べ、条約の義務履行を停止すると表明した。INF廃棄条約に加盟していない中国の、中距離弾道ミサイル「東風」の配備なども含め、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障の後退は必至と言える。また、2021年には米ロで結ばれた新戦略兵器削減条約(新SATRT)の期限を迎え、その協議にも大きな影響を与えることが予想され、軍拡競争の時代に戻ることさえも懸念される。

    トランプ政権は、イランの核兵器開発を大幅に制限する「イラン核合意」や地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」からの離脱など、 自国の利益最優先する「アメリカ・ファースト」の姿勢に終始している。国際協定を順守し、発展させて平和を構築しようとの姿勢は見られない。圧倒的軍事力を誇る米国は、第2次大戦後も1950年の朝鮮戦争に始まりベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン・イラク戦争と繰り返してきた。そのいずれもが、平和をつくり出したとは言えない。米国は、構造的暴力を排除する「積極的平和」を立ち位置として、持続可能な社会の構築のためにこそ、その国力を国際社会へ惜しみなく注ぐべきだ。

    米国とロシア・中国の対立は、「アジアでのミサイル配備競争のドアを開く」(米シンクタンク「軍備管理協会」ダリル・キンボール会長)との指摘もある。その時には日本も蚊帳の外にいられまい。INF廃止条約離脱に際して、日本を含む同盟国の協力と政治的問題の克服を求める声もある。日本への配備要求が高まっていくことが懸念される。米国が国際社会でのリーダーとしての役割を失いつつある今、日本は、毅然とした態度で、米国と中国・ロシアの対話と協調を図り、アジアの平和への視点を持って対処しなくてはならない。河野太郎外務大臣は、「条約が終了せざる得ない状況は、世界的に望ましいものではない」との立場を表明している。被爆国日本としての役割を自覚し、条約の維持と拡大に向けての努力を怠ってはならない。

    原水禁は、米国政府のINF廃止条約離脱を許さず、日本政府に対してその維持に努めるよう要請する。加えて、核兵器禁止条約への署名・批准が進む中にあって、核廃絶への道を決して後戻りさせないようとりくみの強化をめざす。

(2109.2.4)

 

トランプ時代「ファシズムの再来」
~2020年「再選」後も続く可能性~

(【地球コラム】時事通信より)

1930年代の台頭期を彷彿

パリの第1次大戦終結100年記念式典に出席するトランプ米大統領(左から2人目)。右隣はメルケル独首相とマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

パリの第1次大戦終結100年記念式典に出席するトランプ米大統領(左から2人目)。右隣はメルケル独首相とマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

1千万人以上の犠牲者を出した第1次世界大戦(1914~18年)の終結から今年で100年。この間、各分野のグローバル化が進み、国際協調が不可欠な時代を迎えているにもかかわらず、パリで11月11日に行われた記念の平和フォーラムでは、主要国の首脳らが世界を分断する「ファシズムの再来」への危機感を相次いで表明した。懸念の源の一つは、トランプ米大統領が掲げる「自国第一」の排他的な外交姿勢だ。2020年の再選を目指し、国家主義、重商主義、保護主義を強化するとみられているトランプ氏は、ファシズムをよみがえらせるのだろうか。

(時事通信社外信部編集委員・水本達也)

◇ ◇ ◇

第1次大戦の戦没者追悼式典が行われた11日のパリ、気温は約12度。60カ国以上の首脳らがマフラーやコートに身を包み、屋外での行事に臨んだ。この中でもひときわ目立っていたトランプ氏の出席は、6日の米中間選挙の直後でもあり、今後の「トランプ外交」を占う上で注視された。

トランプ氏は9日にパリ入りすると、フランスのマクロン大統領が米国抜きの「欧州軍」創設を提唱したことに「非常に侮辱的だ」とツイート。多国間の連帯を訴えたいマクロン氏との会談冒頭では、憮然とした表情で、安全保障に関わる欧州の負担増を求めた。

トランプ氏の振る舞いに驚きはない。中間選挙で野党の民主党に下院を奪還され、厳しい政権運営を余儀なくされる同氏が「困難に直面すると、引き下がらずに『倍返し』する性格」(米外交問題評議会のジェームズ・リンゼー上級副会長)を外交面でも発揮するのは自明だ。

パリ平和フォーラムで演説するマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

パリ平和フォーラムで演説するマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

一方、式典の後に開かれた平和フォーラムでは、欧米のきしみが改めて浮き彫りになった。マクロン氏は「ナショナリズムと人種差別主義の再来で、われわれは弱体化している」と国際社会で醸成されつつある排外主義を批判。ドイツのメルケル首相も「国際的な協力が疑問視され、相互の関係や約束事を無視してもよいという風潮が再び生まれつつある」と警戒感をあらわにした。

トランプ政権は17年1月の発足以来、「米国第一」を大義名分に、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」や環太平洋連携協定(TPP)などの国際的な合意から一方的に離脱。さらに移民や難民、イスラム教徒に対するトランプ氏の排他的な姿勢は、世界中の極右勢力を勢いづけている。

第1次大戦で連合国の勝敗を決定づけたのは、米国の参戦だった。グテレス国連事務総長は、その米大統領がもたらすファシズム的な思考様式を念頭に「今日の政治と社会の偏向は、基本的人権と自由、民主主義の原則に危機をもたらす。(ファシズムが台頭した)1930年代と同様のことが今起きている」と警鐘を鳴らした。

ヒトラーの「言論統制」との類似性

ナチス・ドイツ総統ヒトラー(左)とエバ・ブラウン=撮影日不明、ベルリン【AFP時事】

ナチス・ドイツ総統ヒトラー(左)とエバ・ブラウン=撮影日不明、ベルリン【AFP時事】

もちろん20世紀初頭のファシズムが、21世紀のポピュリズムと全く同じ現象だとは言えないだろう。

だが、左派的政治姿勢で知られる映画監督マイケル・ムーア氏は、トランプ政権誕生の背景を描くドキュメンタリー映画「華氏119」で、ナチス独裁者アドルフ・ヒトラーの演説映像にトランプ氏の声をかぶせる場面を挿入し、二つの「イズム」の類似性に危機感を示した。例えば、ファシズムの特徴の一つとして「言論統制」があるとすれば、トランプ政権が中間選挙直後、CNNのジム・アコスタ記者のホワイトハウスの入館証(プレスパス)を取り上げたことはその怖さを想起させる。

経緯はこうだ。トランプ氏は中間選挙の翌日の11月7日、記者会見で、ロシア疑惑について質問しようとしたアコスタ氏に「もうたくさんだ。マイクを置け」と要求。その際にアコスタ氏が、マイクを取り上げようとした女性スタッフを手で制したことを問題視し、入館証を没収処分にした。

アコスタ氏はこれに先立ち、トランプ氏が中間選挙の終盤戦で中米からの移民キャラバンを「侵入者」と呼んで「悪者扱いしている」と異議を申し立てている。トランプ氏は質問には直接答えず、「私に国を運営させてくれ。あなたはCNNでうまくやれば、視聴率が上がるだろう」と一蹴した。

サンダース大統領報道官は、ツイッターで「(アコスタ氏は)女性に手を上げた。許さない」と非難。これに対し、一部の米メディアは、ホワイトハウスが公開した映像について、アコスタ氏が暴力的に振る舞ったように改変された可能性があると伝えている。

ホワイトハウスの記者会見で質問する米CNNテレビのジム・アコスタ記者(手前左)とトランプ大統領(右)=2018年11月7日、ワシントン【EPA時事】

ホワイトハウスの記者会見で質問する米CNNテレビのジム・アコスタ記者(手前左)とトランプ大統領(右)=2018年11月7日、ワシントン【EPA時事】

奇妙だったのは、トランプ氏が記者会見でいつもは無視しているアコスタ氏を指したことだ。想像をたくましくすると、同氏を「無礼なやつ」と罵倒し、相手を怒らせて「国民の敵」をつくり出したかのようにも見える。

その後、首都ワシントンの連邦地裁は処分の効力を停止する暫定命令を出し、アコスタ氏は仕事に戻ることができた。

一方的ツイート4万回、記者の質問は排除

記者会見で、オバマ米大統領(左)の左手を持ち上げるキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=2016年3月21日、ハバナ【AFP時事】

記者会見で、オバマ米大統領(左)の左手を持ち上げるキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=2016年3月21日、ハバナ【AFP時事】

筆者は、アコスタ氏がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長(当時)に対して「なぜ、政治犯を釈放しないのか」と質問する場面を、息を呑んで見守っていたことがある。キューバ人の父を持つアコスタ氏は、「国のために民主主義を目指すのか」ともただした。16年3月、オバマ大統領(同)の歴史的なキューバ訪問を同行取材した時のことだ。

オバマ、カストロ両氏は59年ぶりとなる首脳会談を実現し、共同記者会見を行った。この時、「キューバ独裁政権の議長」が米メディアの質問に応じるのかが焦点の一つだった。アコスタ氏に続いて別の米メディアのベテラン女性記者が、人権問題について質問すると、カストロ氏が段々といら立ってくるのが分かった。ここで助け舟を出したのは、傍らのオバマ氏だった。

「(質問した記者は)米国で高く評価されているジャーナリストの1人で、ほんの少しの答えで感謝すると思う」と声を掛け、カストロ氏の言葉を引き出したのだ。

オバマ氏は在任中、必ずしもメディアと友好関係を保っていたとは言えないが、少なくとも自らの行動や言動への説明責任の重要性は十分すぎるほど認識していた。

米ニューヨーク市マンハッタン中心部に登場したトランプ米大統領の「大統領ツイッター図書館」=2017年6月16日、ニューヨーク【時事通信社】

米ニューヨーク市マンハッタン中心部に登場したトランプ米大統領の「大統領ツイッター図書館」=2017年6月16日、ニューヨーク【時事通信社】

一方、トランプ氏はツイッターを駆使して、歴代大統領とは比べものにならいメッセージを発信してきた。トランプ氏のフォロワーは約5570万人。09年3月のスタートから11月16日現在まで、3万9690回のツイートを発信した。単純計算すると、月約340回となる。

しかしこれらのツイートの内容について記者が細かく質問できる機会は事実上なく、トランプ氏の時にあいまいで一方的な主張がチェックもなく拡散している。

アジアへも「保護主義」、同盟国に過大な圧力

共同記者発表を終え、言葉を交わす安倍晋三首相(右)と米国のペンス副大統領=2018年11月13日、首相官邸【時事通信社】

共同記者発表を終え、言葉を交わす安倍晋三首相(右)と米国のペンス副大統領=2018年11月13日、首相官邸【時事通信社】

東アジアと欧州では様相が異なるものの、日本や中国などは高関税を振りかざすトランプ氏の「保護主義」への対応を迫られている。安倍政権は来年早々から、トランプ政権との物品貿易協定(TAG)交渉に直面することになる。

貿易不均衡を是正するためのTAGは、9月の日米首脳会談で合意されたものだが、日本がこれまで拒否してきた自由貿易協定(FTA)交渉の色彩を帯びている。11月12日に来日して安倍晋三首相と会談したペンス副大統領は共同記者発表で、「(米国は対日貿易で)障壁に直面している」と不満を表明。「協定(TAG)は物品だけでなくサービスも含む重要分野の条件を整備する」と明言し、物品だけを交渉対象にするとしている日本との溝を浮き彫りにした。

日本側交渉者の1人は「米側の狙いは農産品ではなく、自動車。何とか19年内に交渉のめどをつけたい」との考えを明かした。20年に入れば11月の大統領選を控えてトランプ氏の要求が高まり、双方が受け入れ可能な着地点を見いだすのは不可能とみるからだ。

APEC首脳会議に出席した各国・地域の首脳ら=2018年11月18日、ポートモレスビー【AFP時事】

APEC首脳会議に出席した各国・地域の首脳ら=2018年11月18日、ポートモレスビー【AFP時事】

欧米各国は世界恐慌が起こった1929~30年、自国産業を守るため高関税などの保護主義政策を取り、国際協調体制を崩壊させていった。今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、米中の貿易をめぐる対立で初めて首脳宣言を発表することができなかった。

トランプ氏は経済と安全保障を結び付けて相手側に圧力を掛けるのも辞さないため、一歩間違えれば日米同盟の土台が揺らぐ可能性もある。

全米40%の「無自覚な同調」が再来醸成

中間選挙に向けて支持者に演説するトランプ米大統領=2018年11月7日、インディアナ州フォートウェイン【AFP時事】

中間選挙に向けて支持者に演説するトランプ米大統領=2018年11月7日、インディアナ州フォートウェイン【AFP時事】

ヒトラーは第1次大戦後のドイツでベルサイユ体制の打破やユダヤ人排斥を掲げて独裁政権を樹立した。国際連盟を脱退し、「生存権」の拡張を理由に近隣への侵略を開始した。京都大学の佐藤卓己教授の『ファシスト的公共性』(岩波書店)によると、第2次大戦前のドイツ人は独裁政権下の息苦しさは感じず、「自由だと思っていた」という。そして「恐慌期の失業者を軽減させたヒトラーの経済的成功や、それに続いた外交的勝利」を正常な日常として受け止め、歓迎した。

トランプ氏もイスラム教徒や移民の排斥を主張し、「米国第一」を旗印に高関税や制裁を用いて同盟国を含む関係国を屈服させようとしている。全米の約40%の岩盤支持層がトランプ氏の仕事ぶりに満足している。ファシズムが一般市民の無自覚な同調の中で醸成されるとしたら、その「再来」は現実味を帯びているかもしれない。

2019年1月3日掲載