アピール

原子力防災訓練への抗 議 声 明

 本日午前7時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後8回目となる防災訓練である。この間、私たちは再稼働前提の訓練に抗議すると同時に、福島第一原発事故の教訓を踏まえるなら最善の原子力防災は原発廃炉であると訴えてきた。地震だけでなく昨今の異常気象による複合災害、あるいは無防備と言えるテロ攻撃を想定するならば、廃炉はなおさら緊急の課題である。しかし、石川県はじめ関係自治体は今回も志賀原発の再稼働を前提とした非現実的で実効性のない訓練を実施した。強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1. 複合災害で破たんする原子力防災
(1)異常気象に向き合わないマンネリ化した訓練
近年、巨大台風襲来による暴風と豪雨、大洪水、高潮、大規模停電、さらに豪雪による交通網の麻痺や災害級の猛暑など「異常気象」が常態化し、相次ぐ巨大地震、大津波の脅威も含め、現代社会は巨大自然災害の危機に直面している。これらの災害に起因する原発の重大事故、あるいはこれらの災害と並行して起こる重大事故に対して原子力防災は機能するのか。原発立地地域の住民はもちろんのこと、多くの県民の不安は一段と高まっているが、複合災害訓練はここ数年の訓練同様、「地震による道路の一部寸断」を想定するのみで、広域・複合・長期化する巨大自然災害に向き合う姿勢は全く感じられない。

(2)複合災害で被ばくは深刻化
政府は2015年に防災基本計画を修正し、複合災害時には自然災害に対応する「緊急災害対策本部」と原子力災害に対応する「原子力災害対策本部」の連携体制を整えることとし、複合災害への対応について検討を重ねている。基本的には差し迫った自然災害からの人命のリスク回避が最優先となる。当然の対応だが、結果として放射能からの避難行動は二の次となる。現行の計画でも住民に被ばくを強要するが、さらなる被ばくは避けられない。巨大自然災害と原発の重大事故による複合災害時、住民避難計画は破たんする。

(3)廃炉こそ複合災害対策
地震や津波は防げない。異常気象は国際的な気候変動対策が急務だが、直面する自然災害には防災・減災対策を講じるしか術がない。一方、原子力災害は人災である。大自然の猛威にさらされ続ける中、人命へリスクを減らすためにも志賀原発の廃炉は急務である。

2. くり返される再稼働前提の訓練
(1) 再稼働路線容認の防災訓練
志賀原発直下の断層について有識者会合は全会一致で「活動層」との評価書をまとめたが、北陸電力は志賀再稼働の方針を変えず、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に臨んでいる。しかし、ここでも北陸電力のデータ不足が厳しく指摘され、「活断層」を否定する見通しは全く立っていない。こうした中、県は停止中のリスクが山積するにもかかわらず再稼働前提の訓練を繰り返している。北電の再稼働路線の容認、あるいは期待しているかのような県の姿勢からは、県民の安全・安心を守る決意が感じられない。

(2) 向き合うべきは停止中の原発の危険性
停止中とはいえ、志賀原発ではむき出しの燃料プールの中に使用済核燃料が保管されている。冷却機能の維持は至上命題であり、そのための電源は欠かせない。ところが志賀原発では直下の活断層に加えて、一昨年は雨水大量流入事故、今年7月には非常用の高圧電源車の火災事故発生と、電源確保をおびやかす「あってはならない事故」が相次いでいる。特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)もいまだ整備されていない。サウジアラビアの石油施設へのドローン兵器による攻撃は全ての原発施設にとって他人事ではない。複雑な国際情勢下、志賀原発への攻撃を単なる空想として切り捨てることはできない。核燃料の撤去こそ必要な防災対策であり、撤去までの間は停止中の原発の重大事故を想定した訓練を実施すべきである。

3. 実効性のない訓練の繰り返し
(1) 新たな安全神話をつくる「スムーズな避難」
今回の避難訓練も住民の参加はごく一部である。避難指示の伝達漏れはなく、避難指示の前に避難所で待機する人もいる。避難バスも事前に配車され、自家用の避難車両も少なく、スクリーニングポイントでの渋滞も起こらない。課題として残るヨウ素剤の配布は今回も実施されなかった。こうした中で毎回確実に実現する「スムーズな避難」は、重大事故でも避難できるという新たな安全神話をつくることになる。

(2) 課題から逃げまくる非現実的訓練
住民へのヨウ素剤の配布、服用指示は重要な課題であるが、いまだ必要な住民への配布が可能かどうか検証はできていない。観光客など一時滞在者、特に近年増加する外国人旅行者への情報の伝達、避難、ヨウ素剤の配布等も懸念される。UPZ圏内の住民避難は、訓練ではあらかじめ風下エリアが決められているが、実際は緊急時モニタリングと連動した迅速、的確な行動が求められる。いまだ実践的な訓練は行われていない。防災業務従事者の被ばく対策や交代要員の確保も重要な課題である。加えて半島先端地域固有の課題もある。この間の訓練同様、今回も取り組みやすい項目をつまみ食いするだけの訓練に終始したと言わざるを得ない。

4. 繰り返して指摘する!「今こそ常識に立ち返れ」
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように防災訓練が繰り返されている。避難させるべきは住民ではなく核燃料である。北陸電力は人災である原子力災害を防止するため、直ちに志賀原発の廃炉を決定せよ。活断層上にある核燃料を速やかに撤去せよ。

2019年11月4日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
社会民主党石川県連合
石川県平和運動センター

11.3安倍改憲阻止!2019護憲集会アピール(案)

    2016年以降、衆参両院で3分の2を超える改憲勢力を確保した安倍首相は、これを千載一遇のチャンスと見て、いわゆる「安倍改憲」4項目を自民党案として公表し、7月の参院選挙を改憲の是非を問う選挙と位置づけました。しかし、私たちは参院選挙を通じ、改憲勢力の議席を3分の2未満に割り込ませ、国会の改憲発議が出来ない状況を再びつくりだしました。

    これは、2017年9月に、総がかり行動から発展して結成された「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけた3000万人を目指す「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」を軸に、全国連帯による市民・労働者の運動、院内野党の結束が連携して勝ち得た大きな成果です。直近の全国世論調査でも、安倍改憲に反対する回答が6割近くを占め、国民は安倍政権の下での憲法「改正」を決して望んではいないことを改めて示しています。

    にもかかわらず、安倍首相在任中の2020年までに改憲を成し遂げようとする改憲勢力の執念は衰えてはいません。参院選後の改造内閣では、日本会議国会議員懇談会事務局長である萩生田 光一氏を文科大臣に起用し、“日本会議系”極右内閣を組閣するとともに、臨時国会冒頭には、国会としての改憲案の策定に与野党の協力を促す所信表明を行いました。参院選後の野党の切り崩し、改憲派の多数派工作など国会内の動向とメディア統制の現状から、さらなる警戒が必要です。

    他方、集団的自衛権の行使を念頭に、日米の軍事一体化はさらに進んでいます。敵地攻撃を可能とする極めて高額な最新兵器をアメリカから次々と購入し、人権である社会保障費を抑制しながら戦争をする国へと突き進んでいます。トランプ米大統領からイラン軍事包囲網への参加を求められた安倍政権は、ジブチ共和国に居座る海自基地を拠点としてアラビア海へ艦船を派遣する方針を決定しました。今回の派遣は、タンカー護衛に名を借り、「自国の船は自国が守る」という「戦争宣言」を行ったものにほかなりません。憲法に反し、日本を戦争の危機に晒すいかなる海外派兵も容認できません。この派兵阻止を訴えます。

    憲法理念にもとづいて戦争法廃止の運動をさらに強化し、小松、沖縄をはじめとする軍事基地の縮小撤去をかちとらなければなりません。また足元の金沢市は、私たちの正当な改憲阻止の訴えを市庁舎前広場で認めず、憲法擁護義務に反して護憲運動に敵対を続けています。憲法を守る会が提起した裁判闘争も後半に差し掛かり、勝訴に向けて裁判所内外での運動を強めなければなりません。

    改憲手続きの一環である憲法審査会を動かさず、改憲発議を決して許さない国会内外でのたたかいを私たちも石川の地から強化していきます。平和憲法公布73周年にあたり、いかなる手法による憲法改悪の策動も許さない揺るぎない決意を改めて確認し、アピールとします。

2019年11月3日

安倍改憲阻止!11.3護憲集会参加者一同(金沢市役所前広場集会)

 

福岡高裁那覇支部による「国の関与取り消し訴訟」判決に抗議する声明

 沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回を取り消した国土交通大臣の裁決が、「違法な国の関与」であるとして、沖縄県が7月に国を相手に提訴した「国の関与取り消し訴訟」について、10月23日、福岡高裁那覇支部は、沖縄県の訴えを却下した。判決では、沖縄県の主張に正面から向き合うことなく、「裁決は国の関与から除外され、訴訟の対象となりえない」として、訴えをことごとく却下した。まったくの不当な判決であり、強く抗議する。

 裁判では、本来、私人の権利を救済するためにつくられた行政不服審査法を、国の機関である沖縄防衛局が利用したことについての適法性について争われた。公有水面埋立法では、国が都道府県知事から埋め立て権限を得る場合は「承認」であり、国以外のものは「免許」として別な制度を設けている。このことからも、行政不服審査制度は本来、「承認」という特別な権限をもつ国の機関が利用できるものではないとの沖縄県の主張は、正当なものと言える。

 しかし、福岡高裁那覇支部は行政不服審査法について「国の機関と一般私人とを区別することなく同様に扱うことが予定されている」として、国土交通大臣の裁決は違法ではないとした。国の機関による行政不服審査法の利用が認められれば、国は地方の意思を無視して、国の政策を強引に推し進めることができるようになりかねない。この判決は、辺野古新基地建設の違法性の問題にとどまらず、まさに地方自治の否定・破壊であり、決して許されるものではない。

 さらに判決は、国が私人と同様に承認撤回処分を受けたことや、普天間飛行場の移設にともなう埋め立て事業を推進した内閣の一員である国土交通大臣による裁決だとしても「中立的判断者たる審査庁の立場を放棄していたということはできない」などとして、沖縄県の主張を全て退けた。本来、中立的な立場で判断を下すべき司法が、完全に国の強引な政策に追随していることは、極めて問題である。

 辺野古新基地建設については、選挙をはじめとしたさまざまな形で建設反対の沖縄県民の意志が示されている。さらには、軟弱地盤の改良工事を可能とした防衛省の報告書が、大規模地震を想定していないずさんな報告書であることが明らかになるなど、ますます工事の不当性がはっきりとしてきている。このようななかでも、司法と一体になって、なにがなんでも工事を強行しようとする国の姿勢には、怒りを禁じえない。

 本判決に対しては、沖縄県は今後、上告を予定している。また、同時に8月に那覇地裁に提訴されている「行政事件訴訟法」に基づく裁判も進行中である。平和フォーラムは、これら裁判の動向を注視するとともに、さらに全国で、辺野古新基地建設の撤回をもとめ、たたかいを強化していく。

                                2019年10月24日

フォーラム平和・人権・環境

関電幹部らの原発に関連した金品授受に抗議し、

       全原発での厳密な調査を要求する(声明)

 関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長ら20人が2011年~2018年の7年間で3億2千万円にも上る多額の金品を、関電の原子力発電所が4基立地する高浜町の森山栄治元助役(故人)から受け取っていたことが明らかになった。原発工事の関連会社が資金を提供していたという。関電は、発電量の6割近くを原子力発電に頼っていた。2011年3月の福島第一原発事故以降原発を稼働できない中にあって、電気料金を値上げして市民負担を強いる一方で、このような不当な利益を得ていたことは、市民感覚としても許すことはできない。

 「不適切だが、違法な行為はない」との岩根社長の言葉は、利用者である市民を愚弄するものに他ならない。ここまで多額になれば、特別背任罪とも言える。外部の税務調査がなければ、この問題は闇に葬られていたのではないか。問題が発覚し社内の調査委員会が結果をまとめても、報道されるまで1年にわたって公表しなかった。関電のコンプライアンスの欠如には、あきれてものが言えない。電力産業は公益事業であり、ゆえに様々な税金が投入されている。このような企業が公益事業を担い原発を動かす資格などない。金品を受領した20人全員の遡っての辞任を要求する。

 記者会見で岩根社長は、受け取った金額が20人で3億2千万円と明らかにしたが、様々な疑問には「個人のことなので回答は差し控える」と述べた。原発マネーの還流はないと強弁するが、そもそも原発に関わる地元企業の不正な金が、原発立地に深く関わってきた地元自治体の助役を通じて、関電幹部に流れたものである。原発マネーではないという詭弁は通用しない。「見返りはない。発注も適切だ」というが、誰が信じるのか。社会福祉事業なら理解もするが、見返りがなくて3億を超す金品を電力会社幹部に贈ることは市民の理解を超えている。一度は受け取りながら「返せるものは返したとしているが」全額とは言っていない。個人管理の中で使い込みはなかったのか、返却は発覚してからか、額も時期も明らかにしていない。関電の社会的立場を理解した発言とは思えない。

 岩根社長は、社内の調査委員会の報告書を「個人情報が入っているので公表しない」とした。それでは、関電の責任を果たすことはできない。全てを明確にすることを強く望む。また、高浜原発以外の調査は現時点ではしていないとし、遡っての調査も実施していないとしている。岡田達司常務は「今後の検討」としたが、全ての原発に関わって調査することを強く要請する。

 菅義偉官房長官は「不透明な形で長年にわたり金品を受領していたのは大変な問題だ」と発言しているが、経済産業省を中心とした監督官庁に責任はないのか。原発立地には、多額の資金が動くと言われてきた。これまで原発立地地域や立地予定地域でも度々問題とされ、不透明な金にまつわる話は枚挙にいとまない。全ての原発立地においてこのような事例がなかったか、しっかりと調査をするのが政府の責任ではないのか。原発メーカー、電力会社、大手建設会社や地元企業、そして地方自治体に広げた厳密な調査を要求する。

 原発立地の地元理解は利益誘導によって進められてきた。原発が存在する限り、これからもこのようなことが繰り返されるだろう。脱原発は、安全の問題だけではなく、民主主義の問題でもあることを、今回の事件は象徴している。脱原発の運動は、平和と民主主義を守ること、原水禁はしっかりとそのことを踏まえ、今回の事件への追及の手を強めていく。

原水爆禁止日本国民会議

議 長 川野 浩一

 

あらかじめ作られた結論

関西電力の問題矮小化は許されない

NPO法人原子力資料情報室(HPより無断転載)

関西電力(関電)の幹部20人が、福井県高浜町元助役の森山栄治氏から多額の金品を受け取っていたことが金沢国税局の調査をきっかけに明らかになった。元助役は、関電から仕事を受注していた複数の会社と親密な関係にあり、そうした会社から関電に仲介した見返りとして受け取った資金の一部を関電幹部に渡していたとみられる。また元助役は関電全額出資子会社「関電プラント」の非常勤顧問も30年以上にわたって続けていた。関電は、国税局からの指摘を受け、内部調査を行い、昨年9月には調査報告書を作成して、社内処分もおこなっていたが、報道で明らかになるまで公表してこなかった。

 関電のきわめて限定的な調査でも7年間で3億2千万円に上る巨額資金を同社幹部が受け取っていた。きわめて言語道断な事態だ。関電は批判の広がりをうけて、改めて第三者委員会を組織して内部調査を行うとしている。

 公表された昨年9月の内部調査報告書では、元助役の特異性が強調され、役員は金品の受け取りを強要されたように描かれている。あたかも関電は被害者であるかのようだ。しかし関電は、役員が元助役を介さず、受注業者から金品を直接受領したケースも存在することも把握している。受注業者も受け取りを強要したとでもいうのか。さらに関電も報告書も、元助役の資金の出元であった受注業者への発注は価格も含めて適正だったという。

 冗談ではない。発覚の発端となった税務調査で、森山氏に受注業者1社から3億円が渡り、そのうち1.8億円が関電にながれたことが明らかになっている。一体この3億円はどこからきたのか。会見で、関電はこの資金の出元はわからないなどと述べたが、もし本当にそうなら無能以外の何者でもない。自社の調達価格に上乗せされていた以外、あり得ないではないか。

 問題の本質は、電力会社という公益事業者が自らの優越的地位を利用して、地元の有力者と親密な関係を構築するために、電力消費者の負担を度外視した価格で発注していたことだ。そのような土壌があったからこそ、森山氏の不当な介入を許すことにつながった。当該事業者への発注価格が他社への発注と同水準だとも説明するが、であれば、むしろ、関電全体の調達価格水準の高さを疑うべきだ。

 関電が第三者委員会に委託するのは、1.森山氏関係追加調査、2.社外からの不適切な金品提供事案はほかにないか、3.これまでの調査プロセス・調査結果・会社の対応は妥当か、の3点だ。この委託内容から、役員の金品受領に問題を矮小化しようとする意図が透けて見える。

 関電が第三者委員会に委託すべきは、第一に、自社の発注価格の適正性と、発注が公正なプロセスで行われていたかだ。さらに、いつ、だれが、どのようにして金品を返済したのかについても明らかにしなければならない。森山氏という特異なキャラクターで問題を矮小化しようとする関電を許してはならない。また国も関電という1電力の問題にとどめるのではなく、電力業界全体の問題としてとらえるべきだ。関電に限らず、他の電力においても、地元有力者が経営・関与する事業者に仕事を発注していた事例は枚挙にいとまがないからだ。

 責任逃れに終始し、問題を隠蔽しようとした関電の姿は、15年前、下請け会社に11名の死傷者をだした美浜3号機の2次系配管減肉破断事件をほうふつとさせる。今回も、1億円以上も受領していた役員にたいしてですら極めて軽微な処分しか行なわず、しかも隠ぺいしようとした。内部に甘く、事態を直視できない関電に、核分裂を制御してエネルギーを取り出すという微妙な技術に関わる力量があるのか。関電は、第三者委員会にたいして、ガバナンスのみならず、自社に原子力事業を行う資格があるかについても、問わなければならない。

                                                                                                                                                             以上

                       宮古島住民の生活を犠牲にした弾薬庫建設を許さず、

南西諸島における自衛隊の新基地建設に抗議する声明

2019年10月3日

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)

事務局長 勝島 一博

防衛省は2019年10月、沖縄県宮古島の陸上自衛隊のミサイル部隊等の新設に関わり、弾薬庫の建設工事に着手するとしています。地元住民の反対の声を無視した着工を許すわけにはいきません。

宮古島市城辺保良の採石場(保良鉱山)に新たに造られる弾薬庫は、保良集落や七又集落に近接し、最も近い民家で200メートルほどしか離れていません。日々の生活を営んでいる住民の間近に危険な弾薬庫を造ることは、人びとの命とくらし、財産を全く軽んじているとしか言いようがありません。

宮古島の弾薬庫をめぐっては、「誘導弾を保管する弾薬庫は整備しない。警備等に必要な小銃弾等の保管庫を整備する計画」と防衛省は説明していましたが、2019年3月に新設された宮古島駐屯地に、中距離多目的誘導弾と迫撃砲弾を保管する弾薬庫が設置されていることが判明。「政府はミサイル基地を造るために住民に嘘をついた」と宮古島住民の批判が湧き起こっていました。その後、防衛省は弾薬を島外に搬出したものの、今後は保良鉱山に造られる新たな弾薬庫に保管するとしています。

自衛隊の宮古島配備、新基地建設では、2016年に野原集落会、千代田集落会が反対決議を上げ、ミサイル・弾薬庫等に近接する保良集落会が2017年に、七又集落会は2018年に、反対する決議を上げています。

住民に虚偽の説明まで行い、新基地建設を進めてきた政府・防衛省の責任は極めて重く、これ以上、新基地建設工事をすすめるべきではありません。保良集落会の決議では、「農漁業や観光で発展する可能性に富んだ地域に、弾薬庫等を配備することは、人びとの生命、財産をおびやかし、地域発展を阻害する」と訴えています。これら住民の切実な声を政府は真摯に受け止めなければなりません。

安全保障関連法(戦争法)の成立以降、安倍政権は、いずも級護衛艦の空母化、長距離ミサイル弾の導入、ステルス戦闘機の配備など、攻撃型兵器の充実を図り、日本領域に限定し必要最小限の防衛力としてきた「専守防衛」のあり方は、すでに破たんしています。日本の領域を超えた南シナ海での日米合同軍事訓練の実施や南西諸島へのミサイル部隊の新設などは、日米統合軍として米軍の東アジアでのプレゼンスを補完し、対中国を意識した軍事力増強の一環であることは間違いありません。

平和フォーラムは、東アジアの安全保障環境を不安定化させる、宮古島をはじめ南西諸島の自衛隊強化を許しません。そして、人びとのくらしに悪影響をもたらす弾薬庫および自衛隊の新基地建設に抗議する地元住民の訴えに連帯し、総力を挙げてとりくみを進めていきます。

桐生悠々と言論の覚悟 週のはじめに考える

 戦前、藩閥政治家や官僚、軍部の横暴を痛烈に批判し続けた言論人、桐生悠々。その生きざまは、言論や報道に携わる私たちに、覚悟を問うています。

 桐生悠々は本紙を発行する中日新聞社の前身の一つ、新愛知新聞や、長野県の信濃毎日新聞などで編集、論説の総責任者である主筆を務めた、私たちの大先輩です。

 信毎時代の一九三三(昭和八)年、「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」と題した論説が在郷軍人会の怒りに触れ、信毎を追われます。

 その後、新愛知時代に住んでいた今の名古屋市守山区に戻った悠々は、三四(同九)年から個人誌「他山の石」の発行を始めます。

日米開戦は「無謀の極」

 悠々が亡くなったのは四一(同十六)年九月十日でした。その三カ月後、悠々が「無謀の極(きわみ)」とした米国との戦争が始まります。

 戦後、悠々が再び注目されるきっかけは五一(同二十六)年、信毎が紙齢二万五千号を記念し、悠々ら同紙で活躍した言論人を紹介した特別紙面でした。

 これを小説家で文芸評論家の正宗白鳥が読み、東京新聞(現在は中日新聞社が発行)に寄せた「人生如何(いか)に生くべきか」と題する随筆で、信毎の論説や「他山の石」などの悠々の言論活動を振り返りながら、こう評したのです。

 「彼はいかに生くべきか、いかに死すべきかを、身を以(も)つて考慮した世に稀(ま)れな人のやうに、私には感銘された。これに比べると、今日のさまざまな知識人の賢明なる所論も、たゞの遊戯文学のやうに思はれないでもない」

 それは、戦後間もない時期の知識人たちの言論活動が、悠々の覚悟に比べれば、いかに腰の据わっていない浅薄なものか、と正宗は問いたかったのでしょう。

 悠々の言論活動は海外にも視野を広げた豊富な知識に基づいて、過去の習慣や時流に流されない、開明的かつ激越なものでした。

言わねばならないこと

 まずは一二(大正元)年、明治天皇の死去に伴う陸軍大将、乃木希典の殉死に対してです。

 信毎主筆として書いた社説「陋習(ろうしゅう)打破論-乃木将軍の殉死」では「殉死もしくは自殺は、封建の遺習である」「野蛮の遺風である。此(こ)の如(ごと)き陋習は、一刻も早く之(これ)を打破せねばならぬ」と指摘しました。自刃をたたえるものが目立つ中、異色の社説です。

 新愛知時代の一八(同七)年に起きた米騒動では米価暴騰という政府の無策を新聞に責任転嫁し、騒動の報道を禁じた当時の寺内正毅内閣を厳しく批判します。

 悠々は新愛知社説「新聞紙の食糧攻め 起(た)てよ全国の新聞紙!」の筆を執り、内閣打倒、言論擁護運動の先頭に立ちます。批判はやがて全国に広がり、寺内内閣は総辞職に追い込まれました。

 そして信毎論説「関東防空大演習を嗤ふ」です。敵機を東京上空で迎え撃つ想定の無意味さを指摘したことは、日本全国が焦土と化した戦史をひもとけば正鵠(せいこく)を射たものですが、軍部の台頭著しい時代です。新聞社は圧力に抗しきれず、悠々は信州を離れます。

 それでも悠々は名古屋に拠点を移して言論活動を続けました。軍部や政権を厳しく批判する「他山の石」は当局からたびたび発禁や削除処分を受けながらも、亡くなる直前まで発行が続きました。

 悠々は「他山の石」に「言いたいこと」と「言わねばならないこと」は区別すべきだとして「言いたいことを言うのは、権利の行使」だが「言わねばならないことを言うのは、義務の履行」であり、「義務の履行は、多くの場合、犠牲を伴う」と書き残しています。

 悠々にとって一連の言論は、犠牲も覚悟の上で、言うべきことを言う義務の履行だったのです。

 正宗が言う「いかに生くべきか、いかに死すべきかを、身を以つて考慮した」悠々の命懸けの言論は戦争への流れの中では顧みられることはありませんでしたが、戦後再評価され、今では私たち言論、報道活動に携わる者にとって進むべき方向を指し示す、極北に輝く星のような存在です。

嵐に鳴く蟋蟀のように

 <蟋蟀(こおろぎ)は鳴き続けたり嵐の夜>

 悠々のこの句作が世に出た三五(昭和十)年は、昭和六年の満州事変、七年の五・一五事件、八年の国際連盟脱退と続く、きなくさい時代の真っただ中です。翌十一年には二・二六事件が起き、破滅的な戦争への道を突き進みます。

 もし今が再び<嵐の夜>であるならば、私たちの新聞は<蟋蟀>のように鳴き続けなければなりません。それは新聞にとって権利の行使ではなく、義務の履行です。

 来る十日は悠々の没後七十八年の命日です。大先輩を偲(しの)ぶとともに、業績や遺訓を思い起こし、私たち新聞のなすべきことを考え続けたいと思います。

北陸中日新聞9月8日朝刊社説

 

日本が壊れていく ─日韓関係をめぐって

2019年9月 1日

 2019年7月4日、日本は、貿易管理を理由に半導体材料の韓国向け輸出規制の強化に踏み切った。8月2日、政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置をとる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。8月28日には政令が施行され、韓国は「ホワイト国」から除外される。日本政府は、あくまでも貿易管理上の国内運用の見直しであるとしているが、優遇措置を受けるグループA(輸出管理優遇措置対象国)からはずれた旧ホワイト国は、韓国のみである。韓国をターゲットにした見直しとしか思えない。

 唐突な見直しは、2018年10月30日の日本企業に対して韓国人の元徴用工に賠償を命じる大法院判決の意趣返しではないのか。安倍首相は、「判決は日韓請求権協定に反しており国際法違反」と主張するが、サンフランシスコ講和条約の請求権放棄の条文に関して、日本政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの。個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償の義務はない」と主張していた。私は、「個人請求権は消滅しない」という日本政府の従来の主張から言えば、企業に対する賠償命令は当然と考える。大法院判決の「企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の賠償請求権は日韓請求権協定の適用外」とする判断は、人権の国際的潮流からすれば正当と判断されてしかるべきだ。

 河野外相は、韓国のナム・ガンビョ(南官)大使を眼前に、「極めて無礼だ」と罵った。このような振る舞いを、韓国国民はどの様に見たのか。そして世界はどう見たのか。「傲岸不遜」と言う言葉がこれほどしっくりくる行為もないだろう。韓国の除外でアジアからホワイト国が消えた。「我れは心に於て亞細亞東方の惡友を謝絶するものなり」とした脱亜論の言葉が浮かんでくる。ホワイト国からの韓国除外の意見公募は3万件を超え、その9割以上が賛成だったという。私の感覚からは理解不能だ。「暴支膺懲」「鬼畜米英」と憎悪をあおり「挙国一致」「尽忠報国」「堅忍持久」を強いた時代を思い出す。「表現の不自由展」を潰した河村名古屋市長の、韓国の彫刻家キム・ウンソン(金運成)とキム・ソギョン(金炅)の「少女像」(慰安婦像)に対する「日本国民の心を踏みにじる行為」との主張とだぶって、日本は壊れていく。
(藤本泰成)

                                                      7.23声明
マイナンバーカードの取得を強要する普及と利活用の促進方針を許さない!(国家・地方自治体職員に、任意である交付申請を強制するマイナンバー反対!)

共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会より無断転載

政府は2019年6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」を決定し、6月21日「骨太の方針2019」で閣議決定した。

この方針は、2022年中にほとんどの住民にマイナンバーカードを所持させようとしている。2016年1月から交付の始まったマイナンバーカードは、3年たっても13%の交付率(交付数約1656万枚、2019年4月1日現在)にとどまり、最近は日1万枚前後しか交付されていない。それを今後3年余りで1億枚以上交付申請させようとする無茶苦茶な方針である。

2015年10月にスタートしたマイナンバー制度は、2018年11月の内閣府の世論調査でも「マイナンバーカードを今後も取得する予定はない」53.0%、「マイナポータルを利用してみたいとは思わない」62.2%、「マイナンバー制度に特に期待することはない」39.8%だったように、政府の度々のPRやカード交付を無料にするなどの普及策を行っても、市民から見放されつつある。 

それは私たちが指摘してきたように、マイナンバー制度が費用ばかりかかってメリットに乏しく、プライバシーや財産の侵害を拡大して国家による監視を強化する危険性が知られてきたためである。全国8か所で争われているマイナンバー違憲差止訴訟では、政府ですら保護措置がなければこれら危険性が生じ得ると認めてきた。そして裁判の中では、この保護措置が機能していない現実が明らかになりつつある。

ところが政府は反省もせず、マイナンバー制度が危険だという「誤解を払拭」する宣伝を集中的に行い、マイナンバーカードの取得を強要しようとしている。

政府の普及策の第1は、消費税増税対策としてのマイナンバーカードを使った「自治体ポイントによる消費活性化策」である。しかしこの自治体ポイントは、全国の自治体の1割以下しか実施していない。実証実験を行った市町村では制度が複雑で利用が広がらず、費用対効果に疑問が示されている。それにもかかわらず、2019年度中に全自治体を参加させようとしている。

普及策の第2は、「マイナンバーカードの健康保険証としての利用」である。しかし今後も保険証で受診でき、患者はマイナンバーカードを使う必要はない。医療機関はカード利用のための設備投資を強いられ、セキュリティ対策や窓口でのトラブルに悩まされる。保険者はマイナンバーカード普及の責任を押しつけられることに不安を抱いている。誰にもメリットはない。

普及策の第3は、マイナンバーカードの申請の押しつけである。役所に来たすべての住民をカードの申請窓口に誘導するとか、2019年度中に職員や家族にカードを取得させるとか、他の行政機関や企業、病院、店舗、自治会などに職員が出向いて申請を受ける等の「交付円滑化計画」の作成を市区町村に求めている。これらの無茶な普及策を強行すれば、職員をいくら増やしても足りず、申請が集中して交付が大幅に遅延した2016年交付開始時の二の舞いになる。

マイナンバーカードの取得は、あくまで本人の申請により任意である総務省も「取得を義務づけることは、本人の協力を強要することになり適当でない」と述べている。なぜ任意なのに、必要を感じない申請を強要されるのか。誰のため、何のためのマイナンバーカードなのか。

私たちは、政府がマイナンバーカード取得の押しつけを直ちに中止することを求める。自治体や保険者が、住民や職員、被保険者への取得強要に加担しないことを求める。市民のみなさん、マイナンバーカードの取得を拒否しよう。

                                                                                                                               2019年7月23日

 

被爆74周年原水爆禁止世界大会・広島大会基調

2019年8月 4日

 猛暑の中を全国各地から原水禁世界大会広島大会に足を運んでいただきました皆さまに、心から感謝を申し上げます。若干の時間をいただき、原水禁世界大会の基調提案を行わせていただきます。

 原爆投下から、広島は74年目の夏を迎えようとしています。被爆者の願いであった「核兵器禁止条約」が122カ国の賛成によって採択されてから2年がたちました。すでに70カ国が署名し、8月2日現在24カ国が批准を済ませています。遠からず条約は発効します。

 日本政府は、条約が米国の核抑止力を否定するとして、署名・批准には後ろ向きです。外務省は、「核に頼らない安全保障を考えていかなくてはならない。その状況を作っていきたい」と答えています。その姿勢は、まさに核兵器禁止条約の署名・批准への姿勢なのです。被爆国日本の政府が核兵器禁止条約の署名・批准を行う。そして非核保有国すべてが批准する。そのことで核抑止のあり方を変えていく。唯一の戦争被爆国日本の政府の役割はそこにあります。

 原水禁は、連合、KAKKINとともに、日本政府に対して核兵器禁止条約の署名・批准を求める「核兵器廃絶1000万署名」をスタートさせました。日本から、非核保有国全てへ、そして核保有国へ、核兵器禁止条約の輪を広げていきましょう。原水禁は、核兵器廃絶1000万署名に全力を尽くします。

 「ストックホルム国際平和研究所」が発表した推計によれば、2019年1月時点の米露英仏中の5カ国とインド、パキスタン、イスラエル、朝鮮を加えた計9カ国が持つ世界の核弾頭数は1万3865発で、米露による削減の結果前年度比で600発の減となっています。
新START、新戦略兵器削減条約は、確実に核弾頭数を減らしています。しかし、一方で同研究所は、核弾頭や発射システム、製造施設など核兵器に関わる総体の近代化が進められているとも指摘しています。

 トランプ政権は、この間、「アメリカ・ファースト」「力による平和」を標榜して、一方的、挑戦的な強硬姿勢を貫き、これまで国際社会が作りあげてきた、核軍縮の枠組みを破壊しています。2018年には、イランとの核合意から一方的に離脱し、イランへの経済制裁を再開しました。混迷をますイラン情勢は、ペルシャ湾・ホルムズ海峡での緊張を生み出し、自ら有志国連合を呼びかけることとなっています。

 今年2月には、ロシアとの中距離核戦力全廃条約からも、ロシアの中距離核開発と条約の制約を受けない中国の中距離核開発を理由に離脱を表明し、8月2日に条約は失効しました。米露間では、今後中距離核開発をめぐって軍拡競争へ突入していく危険性も懸念されます。ヨーロッパ地域や東アジア地域の安全保障にとって、重大な事態を招いています。米国からは、同盟国日本への中距離核の配備要請の声も聞こえ、国是である非核三原則に抵触し、その空洞化すら懸念されます。米露両国は、重要な新STRATの継続の協議も含めて、核保有国の責任として、新たな核兵器削減・廃絶の枠組みの構築に努力しなくてはなりません。

 米トランプ大統領との親密な関係を強調し、日米同盟の深化を提唱する安倍政権は、核搭載可能なF35ステルス戦闘機105機、総額で1兆4000億円もの購入を決定し、ヘリ搭載の護衛艦「いずも」をF35B戦闘機を搭載しての空母への改修、敵基地攻撃を目途にした巡航ミサイルなどの導入を決定しています。

 昨年9月には、海上自衛隊は最大級のヘリ空母「かが」を含む護衛艦3隻と潜水艦「くろしお」を南シナ海に派遣し、対潜水艦訓練を目的とした演習を実施しました。ヘリ空母「いずも」と護衛艦「むらさめ」は、今年5月に、米海軍、インド海軍、フィリピン海軍との4カ国共同訓練を南シナ海で実施し、6月には、同じ南シナ海海域で、原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする空母部隊との共同訓練を実施しています。米国や英国も駆逐艦などを派遣し「航行の自由作戦」を展開し中国と対立するきわめて緊迫した海域での訓練は、極めて異例です。

 安倍政権は、一帯一路政策を推進する中国を仮想敵として、インド太平洋構想を提唱し、米軍と一体となった軍事行動を展開しています。米国は、第2次大戦後も「世界の警察」を自任しながら、自らの覇権かけて、世界各地で地域紛争に介入しつつ、自ら戦争をひき起こしてきました。安倍政権の「日米同盟基軸」の姿勢と「積極的平和主義」の考えは、日米一体となった「日米統合軍」をつくり出し、自ら積極的に米国の覇権に協力することを確実にしています。

 このような情勢を受けて、沖縄県名護市辺野古では、在日米軍海兵隊の新基地の建設が強行されています。県知事選挙、各国政選挙、そして今年2月の辺野古埋立の賛否を問う県民投票、様々な形で示された沖縄県民の辺野古新基地建設反対の意志は、安部政権の建設強行に踏みにじられ、もはや沖縄には民主主義、憲法がないと言うほどの事態を引き起こしています。私たちは、沖縄県民とともに、核のない、基地のない沖縄をめざしてとりくまねばなりません。

 G20大阪サミット後の6月30日に、韓国を訪問したトランプ米大統領は、軍事境界線上の板門店において、出迎えた金正恩朝鮮国務委員長と約50分間にわたって会談しました。会談の中で、今年2月のハノイでの会議以降途絶えていた朝鮮半島の非核化への実務者協議を、再開することで合意をしています。

 朝鮮半島の非核化に向けての議論は、一朝一夕に進むものではありません。米朝間もしくは中国を加えて、朝鮮戦争の終結、平和協定の締結、さらには東北アジア非核地帯構想の実現に向けて進み出すこと、段階的な非核化へのプロセスとそれに伴う制裁措置の解除、話し合いの進展のために連絡事務所の開設など、信頼感を高めながらひとつ一つの課題を克服していく粘り強い努力が必要です。早期の実務者協議の再開が待たれます。

 朝鮮半島情勢が進展する中にあって、制裁の強化に固執してきた安倍首相は、この間、存在感を示すことができないできました。重要課題としてきた拉致問題さえも、米朝首脳会談に託すこととなっています。情勢を打破すべく、安倍首相は突然、朝鮮に対して「無条件の対話」を提起しました。朝鮮政府は、「朝鮮への敵視政策は少したりとも変わっていない」と突き放しています。

 安倍政権は、2002年の「日朝平壌宣言」に立ち返って交渉を開始すべきです。日本国内における、高校無償化からの排除に象徴される在日コリアンへの差別の解消や在朝被爆者への援護開始、国交回復後の拉致問題の解決などを前提としつつ、朝鮮敵視の政策を転換し、まずは連絡事務所の相互開設などによって相互信頼の醸成にとりくみ、対話の中で国交の正常化をめざすべきです。朝鮮敵視政策を継続する安倍政権は、21世紀の東アジア社会での自らの立場を誤っています。

 次に、原子力エネルギーをめぐる現状と福島の今について提起したいと思います。

 雑誌「世界」の2019年7月号、「原子力産業の終焉」と題した特集において、原子力アナリストのマイケル・シュナイダーさんは、原子力発電所の現状について、世界の商業用電力ミックスにおける原子力の割合は、1996年以来17.5%から10%に低下し、様々な要因から原発はもう市場での競争力を失っていると指摘しています。

 安倍政権がアベノミクスの重要な柱に位置づけてきた、日本の原発輸出政策は、インド、ベトナム、トルコ、イギリス、ヨルダンで、全てが頓挫・失敗・撤退しています。安全対策などによる原発建設コストの増大は、原発を市場経済から閉め出す方向に動いています。
東芝、日立製作所、三菱重工の日本を代表する原発メーカーが、政府方針とともに原発建設に拘泥するならば、企業の将来にも、日本経済にも暗雲をもたらすでしょう。原発輸出を基本政策としてきた安部政権の責任は重大です。

 原水禁は、原子力の商業利用にも、一貫して反対してきました。福島第一原発事故に際しては、大江健三郎さん、瀬戸内寂聴さんなどの9人の呼びかけ人と、様々な市民の皆さんの協力を得て、「さようなら原発1000万人アクション」の運動を展開し、「脱原発・持続可能で平和な社会をめざして」の声を上げ続けてきました。私たちの知る限り、脱原発の世論は圧倒的多数を示しています。これほど世論と政治の乖離が大きい政策はありません。

 事故を起こした福島第一原発の現状は、極めてきびしいものがあります。事故収束までの費用を経産省は21兆5千億円と見積もっていますが、70兆円などとの試算も出ており、今後の見通しは全く立たずにいます。

 高線量の放射能に阻まれて、溶融した核燃料は手つかずのまま、冷却を続けるしかない状態で、汚染水はたまり続けています。作業の長期化は避けられません。福島県内には、汚染水のみならず、瓦礫、伐採木、防護服などの焼却灰、そして除染によって出された汚染土など、様々な放射性物質に汚染されたものが、未だに住環境のすぐ側に積み上げられています。事故収束作業や様々な場面で労働者がヒバクする事態は避けるべきであり、何よりも暮らし続ける市民の環境をこれ以上汚染することは許されません。

 福島県は「県民健康調査」において、福島原発事故当時、概ね18歳以下であった子どもたちに甲状腺(超音波)検査を実施してきました。2019年 3月末現在、2018年末より 6人増えて218人が甲状腺がんまたはがんの疑いとされ、174人が手術を受けています。甲状腺評価部会は「現時点で、放射線被ばくとの関連は認められない」としていますが、甲状腺がんを始めとする健康リスクは、原発事故がなければなかったのです。

 国は事故の責任を認め、被爆した人々の医療支援や精神的ケアに全力を尽くすべきです。浪江町や飯舘村では「健康手帳」のとりくみがすすめられています。広島・長崎の被爆者、そして原水禁運動が、長い闘いの中で勝ち取った、原爆被爆者健康手帳と同様の法整備を、国の責任として進めなくてはならないと考えます。

 被災地福島では、8年余経った今も県内に1万1,084人、県外に3万 1,608人、避難先不明者も含めて合計4万2,705人が、長期の避難生活を余儀なくされています。
政府は、法律で定められている年間被ばく限度1mSvに従わず、国際放射線防護委員会が定めた、重大事故時の被ばく基準を勝手に適用し、法の定めの20倍もの被ばく量を、避難指示を解除した地域の住民に押しつけています。

 避難指示解除に合わせて、住宅支援、精神的賠償などの支援を次々に打ち切り、被災者が帰らざる得ない状況を作り出しています。避難指示解除区域では、医療や介護、日常生活に必要な各種インフラやサービスは全く不十分なままで、居住率は25%程度、高齢化率は、事故前の27.3%から44.3%に上昇しています。

 国は、「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を策定し、福島事故では放射線の被ばくによる健康影響は今後もなく、福島は復興しつつあるとし、事故被害者を切り捨て、原発再稼働を推し進めようとしています。

 復興庁作成の「放射線のホント」や文科省が全国の小中高校に配布した「放射線副読本」などは、放射線のリスクを矮小化し、誤った知識を持って原発の稼働を許そうとするものです。将来のエネルギー政策を選択する権利を持つ者に対して一方的な意見を押しつけることが許されるわけがありません。風評払拭と言う言葉を利用して、フクシマを亡きこととし、原発推進をすすめる環境づくりを許してはなりません

 政府は、電力会社は、目先の利益のみを追求し、膨大な投資を行い、原発の再稼働をすすめようとしています。経団連は、原発を基本とした将来のエネルギー政策を提言し、国の第5次エネルギー基本計画には入れることができなかった原発の新設も、要求しています。中国電力は、地元広島に近い上関原発の埋め立て申請許可の延長を求めるなど、原発新設に前のめりの姿勢を見せています。フクシマの現状を見たとき、第一原発の前に立ったとき、なぜ、原発を将来のエネルギーとして選択できるのか、理解できません。全ての状況が、全ての数字が、「脱原発」を選択していることは明らかです。

 死を目前にする兵士の心情を描いた「桜島」で著名な小説家、梅崎春生は、「どのみち死なねばならぬなら、 私は、なっとくして死にたいのだ」と述べています。1945年8月6日、瞬時に奪われた命は、何を思うのでしょうか。「納得」と言うならば、納得すべき何ものもなく死に見舞われた者は、何を思うのでしょうか。

 広島大会に先立つ福島大会で、多くの原発事故被災者に「ふるさとの喪失感」が伴うとの話を聞きました。故郷を奪われたことを、どう自らに納得させるのか、その困難が、喪失感を生んでいくのでしょうか。

 命と命に付随する人間の全てを、私たちは決して「納得」せずには奪われない。その権利を持っていることを、改めて確認したいと思います。そして、そのことを原水禁の基本に据えて、更なる運動の展開をめざそうではありませんか。

 その決意を申し添えて、被ばく74周年原水禁世界大会の基調提案といたします。

2019年8月2日

 

中距離核戦力(INF)全廃条約失効に関する事務局長談話

原水爆禁止日本国民会議

事務局長 藤本泰成

 米露の二国間で交わされていた「中距離核戦力(INF)全廃条約」が、8月2日失効した。今年2月に米国は、ロシアが条約に反して中距離核の開発を進めているとして、条約からの離脱を表明して以来、ロシアと対立したまま条約が定める失効日を迎えた。核兵器禁止条約が採択され、徐々に署名・批准する国が増加し、核兵器廃絶への声が高まった中で、中距離核戦力(INF)全廃条約の失効の影響は大きい。「核なき世界」を希求してきた国際的機運の後退が懸念される。

 INF全廃条約は、東西冷戦の中1987年12月8日に、米国とロシア(旧ソ連)の間で調印され、条約が定める期限(1991年)までに、米露双方の中距離核戦力は全廃された。ヨーロッパ社会の安全保障にとってきわめて重要な条約であったことは間違いない。米トランプ政権は、条約に参加しない中国も含めて新たな核軍縮の枠組みをと提言したが、この間そのような状況が動き出したとは聞かない。一方的な離脱と提言からは、何も生まれてはいない。

 「核なき世界」を提唱した米オバマ前政権の政策から一変して、米国トランプ政権は、自国第一主義と力による平和を標榜して、他国に対して様々な圧力をかけ続けてきた。昨年のイランの核合意からの離脱は、ペルシャ湾ホルムズ海峡の不安定化をもたらし、自ら世界各国へ有志国連合への参加を呼びかけるものとなった。INF条約やイラン核合意からの離脱は、その象徴的なものである。これまで世界が長い間地道に積み上げてきた、平和と核兵器廃絶への枠組みを、米トランプ政権が一方的に破壊していくことは絶対に許されない。2021年には、新戦略兵器削減条約(新START)が期限を迎える。更なる削減に向けて米露両国は、条約の延長に向けた交渉をすみやかに開始すべきだ。

 米トランプ政権は、核政策の見直し(NPR)において、地域を限定して使用可能とする核弾頭の小型化や通常兵器の攻撃に対して核の使用を可能とするなど、核攻撃能力の強化を狙っている。自らが核に依存する一方で、朝鮮民主主義人民共和国に対して核政策の放棄を要求している。自らの強力な軍事力を背景にして、思うがままに主張していく米国の姿勢が世界平和をつくりあげるとは決して言えない。一方的で独善的な圧力は、予期せぬ事態を誘発していく可能性がある。

 日本政府も、日米同盟の深化を標榜し、米国の核抑止に依存し核兵器禁止条約の署名・批准に否定的な姿勢を崩さない。唯一の戦争被爆国を標榜する日本の姿勢とは、到底言えるものではない。                                2020年に控えたNPT再検討会議に向けて、米国を中心とした核兵器保有国は、核兵器廃絶へ向けた確固たるアプローチの再構築をめざさなくてはならない。日本は、そのためのイニシアチブを確立しなくてはならない。原水禁は、原水禁世界大会を前に、「核絶対否定」の原則の下、核兵器廃絶の声を後退させることなく、全力でとりくんでいく。

被爆74周年原水爆禁止世界大会「フクシマ アピール」

2019年7月27日

 原発事故から8年余りが経過しましたが、原発事故で失われた人々の生活は取り戻せません。今でもたくさんの県民が、原発さえなければという思いを抱きながら暮らしています。旧避難区域では「復興」に向けた努力が続けられていますが、まだまだ住民の帰還には多くの課題があります。故郷への帰還を待ち続けながらも、その思いが叶わず「無念」のうちに亡くなられた方も多く、原発事故関連死は2000人を超え増え続けています。

 「廃炉なくして復興なし」とする被災県民の、8年以上の苦渋の重さは計り知れません。福島では、昨年6月の東電による福島第二原発の廃炉検討表明以降も、全基廃炉の即時決定を求める運動を続けてきました。同時に、課題が山積している事実を通して、廃炉以降の次なる運動へのステップについての議論も行ってきました。東電の廃炉決断は当然のことです。しかし、被災者の生活再建や健康への懸念を払拭できるものではありません。重大事故を起こし甚大な被害をもたらした東電と国の責任は明らかで、被害者支援・賠償の切り捨てを許さず、被害者の人権の確立と補償を求めるとりくみを進めなければなりません。
 福島県に隣接する、女川・東海第二・柏崎刈羽原発をはじめ全国で、原発の再稼働反対の運動が進められています。世界では、フクシマ原発事故の甚大な被害を教訓に、脱原発の方向にエネルギー政策を転換する国が増えています。8年以上が経過しても元に戻せないフクシマの現実を直視し、そして共有し、フクシマから発信し続け、原発のない社会の実現を展望した運動を強めなければなりません。国の原発推進政策を中止させ、エネルギー政策の転換を強く求めていきましょう。
 
 原発事故直後の高線量の中で、多くの人々が、被ばくを強いられた事実を消すことはできません。そして健康への不安は消えることはありません。私たちは、国策で推進した原発で重大事故を起こし、放射能汚染をもたらし、多くの人々に被ばくのリスクを負わせ、人権を侵害した国と東電の責任を改めて厳しく問い、責任を持って被害者の健康管理と医療、生活の補償を行うよう、とりくみを進めなければなりません。
 国や東電は、原発事故による放射能の被害を消し去ろうとする動きをより強めています。県内では、「復興」と東電福島第一原発の事故収束・廃炉作業の「安全性」をPRする施設が次々と作られています。また、モニタリングポストの撤去や米の全袋検査から抽出検査への切り替えの動き、トリチウム汚染水の海洋放出問題、除染土壌を公共事業に再利用する実証実験など、事故による放射能汚染を隠し、さらに拡散しようとしています。このような動きに反対するとりくみを引き続き強めましょう。
 フクシマの悲劇を二度と繰り返してはなりません。私たちは全国、全世界の反核・脱原発運動と連帯します。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリをはじめ、世界の核被害者と連帯します。「核と人類は共存できない」ことを原点に、原発も核も戦争もない平和な社会の実現に向けともに前進しましょう。
 
                                                                                                                          2019年7月27日
被爆74周年原水爆禁止世界大会・福島大会

2019年7月17日

石川県知事 谷本正憲 様

                       さよなら!志賀原発ネットワーク

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

命のネットワーク

石川県平和運動センター

(公 印 省 略)

 

              申  入  書

 

 7月5日、志賀原発地内の1号機原子炉建屋そばの防災資機材倉庫付近で作業・点検中の高圧電源車が火災を起こしました。

 この高圧電源車は、福島第一原発事故の教訓の一つであり「要」であり、電源の確保は、「故郷の存続」に関わる重大な問題です。その電源車で火災を起こしたことの重大性は言を俟ちません。

 臨界事故、その事故隠し、安全文化の構築とは裏腹の雨水流入事件、モニタリングポストの水没、作業小屋火災‥、緩みっぱなしと言わざるを得ません。そして、最大の問題点は、「典型的な活断層」を否定し続け、安全性を放置したまま「再稼働」を目指していることです。「また事故か、どうなっとるんや」「やっぱり、原発を運転する資格なしやな」という声が巷に鳴り響いています。

 このような状態の中で、またぞろいつものように「安全性に万全を期すこと」と指導しても何らの解決にもなりません。石川県は今回の事態を深刻に受けとめ、県民、住民の「安全・安心」を担保するため、従来の延長線上ではない「安全・廃炉」指導を行なうことを申し入れます。

                   記

1 北陸電力は、福島第一事故以降も絶え間なく志賀原発で事故を起こしており、原発を運転する「技術的」「倫理的」「能力的」資格がない。志賀原発を廃炉にする指導を行なうこと。

2 志賀原発は「典型的な活断層」の上にあり、県民、住民の「安全・安心」を担保するには、志賀原発を廃炉にするしかありません。廃炉のための指導を行なうこと。

3 2号機の新規制基準への適合性申請では、高圧電源車からの給電も含めた重大事故対策が有効に機能するかを評価し『確認』したとありますが、今回の火災は申請内容に重大な誤りがあったことを北陸電力自ら立証したこととなり、申請は取り下げるべきと考えます。申請取り下げを指導すること。

4 廃炉には相当期間が必要であり、その間の安全を確保する観点から、いわゆる「原子力ムラ」に属さない科学者、地形、断層、放射能、医療などの専門家、脱原発団体から選出した者による「廃炉準備点検委員会(仮称)」を安全対策室の下に設置し、その団体を実施主体とした「総合安全点検」を、原子力規制委員会の点検に加えて行なうこと。

 

2019年7月12日

申 入 書

                                         北陸電力株式会社 社長  金井 豊 様

                         さよなら!志賀原発ネットワーク

      志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団

命のネットワーク

                           石川県平和運動センター

富山県平和運動センター

7月5日、志賀原発で高圧電源車から出火するという火災事故が発生しました。志賀原発構内での火災はこれが3件目ですが、今回は、安全強化策のために配備された高圧電源車からの出火でした。

ところが、当日発表された北陸電力のプレスリリースは、すでに鎮火していることや外部への放射性物質の影響はなかったこと等をごく簡単に報告し、さらに「本事象は、法令の報告対象ではありません」と述べ、あたかも大したことではなかったというような印象を与えるものでした。その文面からは、高圧電源車の火災が「あってはならない重大な事故」であるという認識はまったく感じられず、今後の対応についての言及も謝罪の言葉もない内容でした。

しかし、高圧電源車は福島第一原発事故の教訓を踏まえて、緊急時の電源確保の重要性に鑑み、大事故の際の「事故収束活動の強化・充実」のために配備されたものです。その電源車が点検の二日後にバッテリーケーブルがはずれていて火災を起したのですから、配備された電源車が肝心の緊急時に実際に機能するのかどうか、危惧せざるを得ないような重大な事故のはずです。

2号機の新規制基準への適合性審査の申請では、「高圧電源車からの給電も含めた重大事故対策が有効に機能するかを評価し、対策により事故の進展を防ぎ、原子炉を安定的な状態に保つことができることを『確認』した」とあります。ところが今回の火災事故により、「代替電源からの給電」は絵にかいて「確認」していただけで、実際には機能しないことがあり得ることを北陸電力は自ら実証してしまったのです。これでは申請内容に偽りありと言う他なく、当然、申請は取り下げるべきです。

たとえ停止中であっても電源喪失が起これば使用済み核燃料プールの冷却ができなくなる等、電源の確保は原子力発電所が稼働中か否かにかかわらず安全性に直結する重大な問題です。電源車の火災事故が発生し、しかもその重大性についての認識を欠く対応には、あらためて「北陸電力には原発運転の資格なし!」と言わざるを得ません。北陸電力は、直下に活断層の存在が指摘されている志賀原発の早期再稼働にいまだに固執し続けていますが、停止中の原発の安全管理さえできない電力会社が原発を再稼働させることなど、断じて許されません。

志賀原発は1号機、2号機ともに2011年3月以降停止してすでに8年4ヵ月が経過していますが、この間、この火災事故だけでなく、雨水が原子炉建屋内に流入にすることによる漏電事故、

大雨によるモニタリング・ポスト浸水事故、あるいは運転開始以来一度も点検していなかった換気装置のフィルター損傷等々、事故トラブルの類は枚挙にいとまがありません。一般向け配布しているパンフレットには「志賀原子力発電所では、“福島第一のような事故を起こさない”決意のもと、全力で取り組んでいます」と書かれていますが、「安全最優先」というのは掛け声だけで、現実にはいつどのような事故が起きるか分からない、止まっていても危険なのが志賀原発の実態です。

これらの事故トラブル多発の背景には、長期間停止による運転員のモチベーションの低下やたるみ、チェック体制の不備など「安全文化の構築」にはほど遠い現場の状況があるに違いありません。さらに、事故が起きた際の北陸電力の対応からは、原子力発電所が抱える本質的な危険性への認識が、そもそも欠如しているのではないかと懸念せざるを得ません。

電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、これ以上危険にさらされることのないよう、高圧電源車の火災事故を踏まえて、あらためて「北陸電力に原発運転の資格なし!」と訴えるとともに志賀原発の速やかな廃炉を求め、以下、申し入れます。

【 申入れ事項 】

1.志賀原子力発電所は1号機、2号機ともに 直ちに廃炉にすること。

2.志賀原子力発電所2号機については、新規制基準への適合性審査の申請を速やかに取り下げること。

6.20原水禁富山→石川引継ぎ式・かほく地区集会(内灘町役場前)基調(案)

 ヒロシマ・ナガサキから74年、ビキニ、フクシマと被ばくを強いられた私たちは、総力をあげて「核廃絶」「脱原発」を訴えてきました。その一端は、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル賞や国連の「核兵器禁止条約」の成立として結実しました。

 ところがアメリカは、MDシステムを配備し、相手国の核兵器を無力化させ、実戦で使える「小型核」さえ開発しています。ロシアは、そのMDをかいくぐる新型核を、中国は、米軍の中枢を壊滅させる核を配備しました。この夏、米・ロの中距離「核」全廃条約は期限切れとなり、世界は新たな「核軍拡」の時代に突入しようとしています。

 このような中で、唯一の被爆国である日本は、核廃絶でリードするどころかアメリカを「全面的に支持」して米軍との軍事一体化を進めており、「核兵器禁止条約」の批准には後ろ向きです。

 一方、志賀原発の断層は、「活動性を否定できない」と有識者会合が認定したにもかかわらず、北陸電力は「安全第一」を無視して「再稼働」を目指しています。そもそも、活断層上に原発建設(着工1988年)を誰が認めたのでしょうか。それは、班目(マダラメ)元原子力安全委員長が国会で答弁したように、「そんなことを気にしていたら原発なんか建たない」という考えのもと、北電・行政が強行したものと言わざるをえません。

 その北電は、志賀1号炉で「臨界事故」(1999年6月)を起こし8年間も隠蔽しました。その反省は「蛍光灯が切れても報告する安全風土づくり」でしたが、2016年9月28日、雨水6.6トンが原子力建屋に浸水して配電盤がショートする重大事故を起こしました。しかし、10月3日の「原子力環境安全管理協議会」に報告せず、またまた隠蔽したのです。いまだに「安全性」より「利益第一」の北陸電力には、「原発運転の資格なし」と言わなければなりません。

 私たちは、世界の労働者・市民とともに、「ノー・モア・ヒバクシャ」「ノー・モア・ニュークリア」「ノー・モア・ウオー」の声を上げなければなりません。憲法9条に「自衛隊を明記」して戦争と軍隊を肯定し、災害対策を隠れ蓑に、独裁条項である「緊急事態条項の新設」を狙い、「教育無償化」を口実に国家主義教育を強化しようとする安倍政権を倒さなければなりません。そうしなければ、世界に、子どもたちに未来はありません。

 原水禁石川県民会議はこのことを訴えて基調といたします。

2019年6月20日

富山原水禁引継ぎ式・かほく地区「反核・平和」集会参加者一同

 

 

6.8「志賀原発を廃炉に!」訴訟原告団総会アピール(案)

 ヒロシマ、ナガサキを二度と繰り返さないと誓った私たちは、悔しいことに一部で、「原子力の平和利用」の名のもと受け入れ、原発は「安全」で「クリーンなエネルギー」という政府・電力会社のふりまくキャンペーンに巻き込まれ、2011年3月11日、取り返しのつかないフクシマ原発事故を招き、そこに住んでいた多くの人たちを被ばくさせ、故郷を永遠に奪ってしまいました。

 あれから8年、福島原発1~3号機の圧力容器の底を突き破った核燃料デブリは、近づけば即死するほどの放射能を今も発し続けています。

3・11以降、政府により国内の全原発が停止されましたが、電力会社は、節電キャンペーンを洪水のように繰りひろげた。しかし、日本のどこにおいても電力が足りなくなって止まるというような事態は生まれませんでした。

 2012年6月、「志賀原発を廃炉に!」するため裁判に訴えた私たちの闘いは、間もなく7年を迎えようとしています。すでに有識者会合が、全会一致で敷地内断層を「活断層の可能性を否定できず」と明らかにしているにもかかわらず、金沢地裁は裁判をせず結審を引き延ばし、判決は放置されてきたと言わざるを得ません。

 2014年5月21日、大飯原発3・4号機の差し止め訴訟で樋口英明裁判長は、「生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害の恐れがあるときは・・・侵害行為の差し止めを請求できる・・・その差し止めの要請が強く働くのは理の当然である」「豊かな国土とそこに国民が根を下し生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」という明快な判決を下しました。

樋口裁判長はこの判決にあたって、「現在、原発が完全に安全と思っている人は少数でしょう。ただ、大多数の人はそれなりに安全性があると思っている」と分析し、むしろ「現実的な危険性の有無に裁判官が積極的に目を向けていない」ことを問題提起している。そして、日本列島は4つのプレートの真上に位置し、地震の空白地帯はないので「強い地震は来ない」と誰も予言できない。「常識的な発想、通常の経験則で答えは出るはず」として、「この危険性に着目して裁判すれば結論は明らか」と言い切っています。これほど明快な答えはありません。

危険極まりない原発をこれ以上放置することを許してはなりません。まして、新たに原発の再稼働を認めることは狂気の沙汰と言わなければなりません。

私たちは声を大にして、改めて言わなければなりません。志賀原発をはじめ、一切の原発の即時停止と廃炉を強く求めます。そのために、富山新訴訟をはじめ、脱原発の闘いを強化します。そのことを確認して総会アピールとする。

2019年6月8日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団総会参加者一同

 

北信越キャラバン5.29沖縄連帯集会アピール(案)

   あらたな「捨て石」、九州、南西諸島 日本全土の軍事基地化を許すな!

 いま、安倍政権は、九州を含めた南西諸島にミサイル部隊や水陸機動団を配備し、辺野古では、米軍の最新鋭基地を、「建設反対」の県民意志を何度も無視して強行し、軍事基地が連なる要塞列島となりつつあります。

 また、「対中国戦」を想定し、揚陸艦と連携したオスプレイの「軍事訓練」が昼夜問わず、日本中を「戦場」と見立てて開始されようとしています。まさに「戦争訓練」が住民の頭上で強行されようとしているのです。絶対に許せません。

 一方、安倍政権は、萩市と秋田市に陸上型弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を配備し、「国民の命を守る」と言っています。しかしこの地区は、「北朝鮮ミサイル基地とグアム・ワシントンを結ぶ延長線上」にあり、アメリカ防衛のための基地と言わなければなりません。

 日本のどこにも軍事基地はいりません。一端戦争になれば、間違いなく「標的」にされ「戦場」となるのです。犠牲になるのはいつも労働者・住民です。私たちは沖縄で、佐世保で、そして北信越で、軍備増強反対の闘いを続けています。武力で平和は創れないし、軍隊で平和は来ないのです。

 この「反戦・平和」の声と運動をかき消すために安倍政権は、「(北朝鮮は)我が国に届く弾道ミサイルを保有」し、「奇襲的に攻撃できる能力」を持っていると脅かし、「(中国は)グアム・空母キラーの中距離弾道ミサイルを配備した」と危機を煽りたてます。日本海上空では、米軍の「核」戦略爆撃機B52と小松空自基地のF15戦闘機を飛ばして「核」恫喝を行ない、東シナ海や南シナ海では、米軍と海上自衛隊が「航行の自由作戦」という「軍事作戦」を、空母型護衛艦「かが」や最新潜水艦を派遣して行なったのです。そして昨日、トランプ大統領と安倍首相は「かが」に乗艦し、日・米の軍事一体化を海外にアピールしたのです。

 私たちは、安倍政権による「戦争の危機煽り」を見抜き、「軍事作戦」に断固として反対しなければなりません。そして北朝鮮や中国による「核恫喝」にも反対しなければなりません。

「反戦・平和」の闘いを職場から、より広く、より大きく創り出すことが、沖縄や全国の仲間と連帯することであり、やがては世界に反戦闘争が拡がります。この闘いこそが、戦争的危機を吹っ飛ばす「力」になると確信します。

                          以上、集会アピールとします。

                            2019年5月29日

沖縄連帯集会石川参加者一同

 

5.22原水爆禁止石川定期総会アピール(案)

世界初の原爆投下から74年。私たちは総力をあげて「核廃絶」に取り組んできました。

しかしアメリカは、新たにMDシステムを配備し、相手国の核兵器を無力化させ、実戦で使える「核兵器」さえ開発を進めています。ロシアは、MDシステムをかいくぐる新型核を、中国は、米軍の中枢を壊滅させる核を配備しました。今夏、米・ロの中距離「核」全廃条約は破棄されることが確実視されています。

このような情勢の中、唯一の被爆国である日本・安倍政権は、核廃絶でイニシアティブをとるどころか、「アメリカを全面的に支持」し、米軍との軍事一体化を進めています。

私たちは、「核抑止」論のまやかしをあばき、「武力で平和はつくれない」「軍事力は悪無限的な浪費である」という根本的な批判をしていかなければなりません。

核兵器にはプルトニウムが必須です。日本は、非核保有国で唯一、アメリカと原子力協定を結びプルトニウム利用が認められています。その使途は、核燃料サイクルに限定されていますが、技術は「核開発」と表裏一体です。原発の再稼働は、なんとしても阻止しなければなりません。

現在も、日本を含む世界中で多くの被ばく者が生み出され、苦難を強いられています。フクシマから8年を経た今も大地は汚染され、故郷は喪失したままです。被ばくの全容は解明されておらず、ガン死はこれから百年単位で続きます。ここ石川では、志賀原発を廃炉にすることがなにより重要です。活断層上に原発を建設強行した北電の無責任さと、雨水さえ防げない能力を問い、「活断層の是非は規制委の判断を待つ」という司法の責任放棄も許さず、廃炉を目指さなければなりません。

原水禁石川に結集する諸団体は、新たな核軍拡反対!核開発やめろ!核燃料サイクルの確立反対!原発再稼働阻止!志賀原発廃炉!の闘いをさらに推し進め、「核と戦争のない社会」を創っていこうではありませんか。

以上を確認し、総会アピールとします。

                           2019年5月22日

                     原水禁石川2019定期総会参加者一同

 

 5.3安倍改憲NO!改憲発議NO!集会アピール(案)

日本国憲法の施行から72年目の今日、私たちは、安倍政権による憲法改悪と改憲発議を絶対に許さない決意でここに結集しました。

「戦争放棄と交戦権の否認、戦力不保持」をうたった平和憲法は、とりわけ第9条は、これまでの自民党政権によって骨抜きにされ、安倍政権の戦争法強行(2015年)により、日・米の軍事一体化が推し進められ、戦争する国へと突き進んでいます。

いまや自衛隊は、東アジアからインド・太平洋、シナイ半島までその活動領域を広げ、「島嶼奪還(とうしょだっかん)」作戦や「敵基地攻撃能力」を持つ軍隊になろうとしています。米軍と共に繰り広げる「航行の自由作戦」や「潜水艦哨戒訓練」は、「対中国」戦を想定した軍事作戦にほかなりません。

安倍政権は、「我が国を取り巻く安全保障環境は激変した」と中国(北朝鮮)の脅威をあおり、ミサイル避難訓練などで国民を煽動しています。沖縄では、「沖縄の心に寄り添う」「負担軽減する」と言いながら辺野古新基地建設を強行し、南西諸島は、ミサイルを配備した軍事要塞と化しています。

憲法9条に「自衛隊を明記」することは、戦争にお墨付きを与え、市民が戦争に加担・協力させられることになります。安倍政権はそのために、全国各地の小選挙区で改憲推進組織づくりを進め、国民投票に持ち込むためにあらゆる手段で「改憲発議」を実現しようと狙っています。

私たちは、この改憲運動を草の根から断ち切るため、強い危機意識を持って、より多くの市民に、一切の戦争反対、憲法改悪阻止、辺野古新基地建設反対の闘いに参加することを呼びかけます。私たちは今日の集会で安倍政権の強権政治により、沖縄県民の意思が踏みにじられている現状を学びました。沖縄での座込みをはじめとした粘り強い闘いはいま、世界の知識人や人々を動かし共感を創り出しています。

この力が改憲発議を止め、戦争を止め、安倍内閣を打倒する「うねり」を創り出します。創意工夫ある闘いを職場から地域から創ることを確認し、集会アピールとします。

2019年5月3日  安倍改憲NO!改憲発議NO!

平和憲法施行72周年記念石川県民集会参加者一同

 

2.4県憲法を守る会総会アピール

 平和憲法が施行されて71年。私たちは、立憲主義の下、平和で人権が尊重される社会の実現に向け取り組んできました。しかし、いまや安倍政権は「改憲は国会議員の責務」とまで言い切り、憲法を改悪しようとしています。

 改憲素案では、憲法9条に「自衛隊を保持する」を加えるとしています。改憲されれば、自衛隊は何ら制約を受けることがなくなり、「戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定」が有名無実化し、アメリカや同盟国と共に世界中で「戦争する国」の軍隊になってしまいます。

 そしていま、北朝鮮の弾道ミサイルや中国の核戦力増強を名指しで批判、「安全保障を巡る環境は激変しており、敵基地攻撃能力を高め、米国などとともに戦う」と、いつでもどこでも戦争できる準備を進めています。さらに「防衛費」は2018年度末で5兆6千億円、後年度負担を加えると10兆6千億円規模にもなり、核保有国を除けば世界一の軍事大国となっています。しかも今後5年間で、27兆5千億円もの軍備増強を計画しています。その上、日米安保条約に則った共同演習は激しさを増し、北東アジアをはじめ、いまや南シナ海、インド洋まで自衛隊を派遣して対中国包囲網づくりと挑発的な軍事訓練を行っています。国内では、訓練の激化によりオスプレイの墜落や航空機、武器による事故が絶えず、いつ大惨事が起こるか分からない状況にあります。

 さらに改憲素案では、緊急事態条項の創設が謳われ「大地震その他の異常かつ大規模な災害」を隠れ蓑にして、内閣総理大臣が「国家緊急権」を持つことを狙っています。これは、戦争や労働者・市民の決起にも適用され基本的人権と三権分立を「瞬時」に停止する独裁条項です。まさに「ナチスの手口」であり断固として反対していかなければなりません。

 しかも、憲法破壊はすでに始まっています。安倍首相は、時に自らを「立法府の長」と言い、裁判所や行政は政府を忖度する体制に変わっています。辺野古埋立阻止や脱原発などを闘う仲間たちには強権的弾圧が、国会では法案の強行採決が繰りかえされています。各自治体による思想、信条への介入、表現の自由制限なども拡大しています。東京五輪ではテロ対策を名目に顔認証システムや監視カメラの拡大、そして、SNSや携帯電話、Tカードなどの個人情報をこっそり収集してもいます。これらは、本人の了解なく個人を「丸はだか」するものであり、まさに、憲法改悪の先取りといわなければなりません。

 今こそ、人権と民主主義、社会運動(労働、平和、人権、脱原発、環境など)を守り抜くため、あらゆる団体と連携してこれらの策動を止めなければなりません。国境、民族、宗教などを越えて手をとりあい、職場から、地域から、平和と民主主義を実現するために「安倍改憲」を阻止することを訴えて、総会アピールとします。

             2019年2月4日 石川県憲法を守る会総会参加者一同

 

再び示された沖縄の民意を尊重し

名護市辺野古新基地建設の中止を求める声明

平和フォーラム 2019.2.25

2月24日、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が投開票された。その結果、投票資格者の過半数を超える投票によって、新基地建設反対72%、賛成19%どちらでもない9%の結果となり、新基地建設に対する県民の圧倒的反対という意思が示されることとなった。

国土の0.6%に在日米軍施設の70%が集中することによって、沖縄では自由、平等、人権、民主主義がはく奪され、日本がアメリカの属国であるかのようなしわ寄せが、理不尽に沖縄に集中してきた。

この間、2度にわたる沖縄県知事選挙で「基地はいらない」とする民意が示されてきたが、ことあるごとに安倍政権は、これらの公職選挙では新基地建設以外にも「様々な争点がある」ことを理由に無視し、また、法律を濫用し基地建設を強行してきた。

しかし、今回の県民投票はまさに新基地建設のみを対象にしたものであり、いかなる言い逃れも許されない。政府は新基地建設反対の圧倒的な民意に向き合わなくてはならない。

また、辺野古新基地建設については、埋め立て海域の軟弱地盤や活断層の存在、360件に及ぶといわれる高さ制限を超えた基地周辺建造物の存在など物理的に建設が不可能なことは明らかであり、さらに、埋め立て工費についても当初防衛省が示していた2400億円の10倍にも上る2兆5.500億円に膨らむと、沖縄県が試算していることからも、政府は速やかに建設計画を中止すべきである。

一方、来る2月27~28日に、第2回米朝首脳会談が開催されるなど東アジアは非核・平和の実現に向けて大きく動き出している中で、新基地建設がこうした流れに逆行するものであることも強く指摘しなければならない。

平和フォーラムは、この度の県民投票をしっかり受け止め、引き続き新基地建設反対の取り組みを日本の民主主義、立憲主義、地方自治を取り戻す闘いと位置づけるとともに、普天間基地の「5年の運用停止」という政府と県との約束履行を求め闘いを強化していく。

 

米国のINF廃止条約からの離脱に抗議する

原水爆禁止日本国民会議

議  長  川野浩一

事務局長  藤本泰成

    米国ポンペオ国務長官は、2月1日、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃止条約からの離脱を正式に表明した。2日には条約履行義務を停止し、ロシア側に通告した。米国は、オバマ前政権時代からロシアに対し、「条約に反して中距離ミサイルの開発を続けている」と非難してきた。トランプ大統領は声明で「ロシアは長きにわたり条約に違反してきた」「米国は一方的に条約に縛られる唯一の国ではいられない」と主張している。米ロ両国は、次官級協議を重ね、ロシアは今年1月23日に条約違反とされる新型の地上発射型巡航ミサイル「9M729」を報道陣などに公開したが、両国の主張はかみあわず議論は平行線に終わっていた。米ロ両国は、しかし、首脳会談などを行おうとはせず、米国の今回の判断となった。原水禁は、短慮とも思える米国政府の判断に強く反対し、抗議する。

    INF廃止条約は、1987年に米ロ(旧ソ連)両国で調印され、91年までに両国合わせて2692基のミサイルが廃棄された。地上配備の中距離ミサイルに特化された同条約は、核軍縮の潮流を形成し、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障に貢献してきた。今後、米国は中距離ミサイルの本格的開発に入ると考えられ、昨年発表された「核体制の見直し(NPR)」に示された核弾頭の小型化や海洋発射型巡航ミサイル(SLCM)の開発を加えて、オバマ前政権の掲げた「核なき世界」への構想から大きく後退する。ロシアのプーチン大統領は、条約破棄の通告に対して「自国の安全を強化する追加措置をとる」と述べ、条約の義務履行を停止すると表明した。INF廃棄条約に加盟していない中国の、中距離弾道ミサイル「東風」の配備なども含め、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障の後退は必至と言える。また、2021年には米ロで結ばれた新戦略兵器削減条約(新SATRT)の期限を迎え、その協議にも大きな影響を与えることが予想され、軍拡競争の時代に戻ることさえも懸念される。

    トランプ政権は、イランの核兵器開発を大幅に制限する「イラン核合意」や地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」からの離脱など、 自国の利益最優先する「アメリカ・ファースト」の姿勢に終始している。国際協定を順守し、発展させて平和を構築しようとの姿勢は見られない。圧倒的軍事力を誇る米国は、第2次大戦後も1950年の朝鮮戦争に始まりベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン・イラク戦争と繰り返してきた。そのいずれもが、平和をつくり出したとは言えない。米国は、構造的暴力を排除する「積極的平和」を立ち位置として、持続可能な社会の構築のためにこそ、その国力を国際社会へ惜しみなく注ぐべきだ。

    米国とロシア・中国の対立は、「アジアでのミサイル配備競争のドアを開く」(米シンクタンク「軍備管理協会」ダリル・キンボール会長)との指摘もある。その時には日本も蚊帳の外にいられまい。INF廃止条約離脱に際して、日本を含む同盟国の協力と政治的問題の克服を求める声もある。日本への配備要求が高まっていくことが懸念される。米国が国際社会でのリーダーとしての役割を失いつつある今、日本は、毅然とした態度で、米国と中国・ロシアの対話と協調を図り、アジアの平和への視点を持って対処しなくてはならない。河野太郎外務大臣は、「条約が終了せざる得ない状況は、世界的に望ましいものではない」との立場を表明している。被爆国日本としての役割を自覚し、条約の維持と拡大に向けての努力を怠ってはならない。

    原水禁は、米国政府のINF廃止条約離脱を許さず、日本政府に対してその維持に努めるよう要請する。加えて、核兵器禁止条約への署名・批准が進む中にあって、核廃絶への道を決して後戻りさせないようとりくみの強化をめざす。

(2109.2.4)

 

トランプ時代「ファシズムの再来」
~2020年「再選」後も続く可能性~

(【地球コラム】時事通信より)

1930年代の台頭期を彷彿

パリの第1次大戦終結100年記念式典に出席するトランプ米大統領(左から2人目)。右隣はメルケル独首相とマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

パリの第1次大戦終結100年記念式典に出席するトランプ米大統領(左から2人目)。右隣はメルケル独首相とマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

1千万人以上の犠牲者を出した第1次世界大戦(1914~18年)の終結から今年で100年。この間、各分野のグローバル化が進み、国際協調が不可欠な時代を迎えているにもかかわらず、パリで11月11日に行われた記念の平和フォーラムでは、主要国の首脳らが世界を分断する「ファシズムの再来」への危機感を相次いで表明した。懸念の源の一つは、トランプ米大統領が掲げる「自国第一」の排他的な外交姿勢だ。2020年の再選を目指し、国家主義、重商主義、保護主義を強化するとみられているトランプ氏は、ファシズムをよみがえらせるのだろうか。

(時事通信社外信部編集委員・水本達也)

◇ ◇ ◇

第1次大戦の戦没者追悼式典が行われた11日のパリ、気温は約12度。60カ国以上の首脳らがマフラーやコートに身を包み、屋外での行事に臨んだ。この中でもひときわ目立っていたトランプ氏の出席は、6日の米中間選挙の直後でもあり、今後の「トランプ外交」を占う上で注視された。

トランプ氏は9日にパリ入りすると、フランスのマクロン大統領が米国抜きの「欧州軍」創設を提唱したことに「非常に侮辱的だ」とツイート。多国間の連帯を訴えたいマクロン氏との会談冒頭では、憮然とした表情で、安全保障に関わる欧州の負担増を求めた。

トランプ氏の振る舞いに驚きはない。中間選挙で野党の民主党に下院を奪還され、厳しい政権運営を余儀なくされる同氏が「困難に直面すると、引き下がらずに『倍返し』する性格」(米外交問題評議会のジェームズ・リンゼー上級副会長)を外交面でも発揮するのは自明だ。

パリ平和フォーラムで演説するマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

パリ平和フォーラムで演説するマクロン仏大統領=2018年11月11日、パリ【AFP時事】

一方、式典の後に開かれた平和フォーラムでは、欧米のきしみが改めて浮き彫りになった。マクロン氏は「ナショナリズムと人種差別主義の再来で、われわれは弱体化している」と国際社会で醸成されつつある排外主義を批判。ドイツのメルケル首相も「国際的な協力が疑問視され、相互の関係や約束事を無視してもよいという風潮が再び生まれつつある」と警戒感をあらわにした。

トランプ政権は17年1月の発足以来、「米国第一」を大義名分に、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」や環太平洋連携協定(TPP)などの国際的な合意から一方的に離脱。さらに移民や難民、イスラム教徒に対するトランプ氏の排他的な姿勢は、世界中の極右勢力を勢いづけている。

第1次大戦で連合国の勝敗を決定づけたのは、米国の参戦だった。グテレス国連事務総長は、その米大統領がもたらすファシズム的な思考様式を念頭に「今日の政治と社会の偏向は、基本的人権と自由、民主主義の原則に危機をもたらす。(ファシズムが台頭した)1930年代と同様のことが今起きている」と警鐘を鳴らした。

ヒトラーの「言論統制」との類似性

ナチス・ドイツ総統ヒトラー(左)とエバ・ブラウン=撮影日不明、ベルリン【AFP時事】

ナチス・ドイツ総統ヒトラー(左)とエバ・ブラウン=撮影日不明、ベルリン【AFP時事】

もちろん20世紀初頭のファシズムが、21世紀のポピュリズムと全く同じ現象だとは言えないだろう。

だが、左派的政治姿勢で知られる映画監督マイケル・ムーア氏は、トランプ政権誕生の背景を描くドキュメンタリー映画「華氏119」で、ナチス独裁者アドルフ・ヒトラーの演説映像にトランプ氏の声をかぶせる場面を挿入し、二つの「イズム」の類似性に危機感を示した。例えば、ファシズムの特徴の一つとして「言論統制」があるとすれば、トランプ政権が中間選挙直後、CNNのジム・アコスタ記者のホワイトハウスの入館証(プレスパス)を取り上げたことはその怖さを想起させる。

経緯はこうだ。トランプ氏は中間選挙の翌日の11月7日、記者会見で、ロシア疑惑について質問しようとしたアコスタ氏に「もうたくさんだ。マイクを置け」と要求。その際にアコスタ氏が、マイクを取り上げようとした女性スタッフを手で制したことを問題視し、入館証を没収処分にした。

アコスタ氏はこれに先立ち、トランプ氏が中間選挙の終盤戦で中米からの移民キャラバンを「侵入者」と呼んで「悪者扱いしている」と異議を申し立てている。トランプ氏は質問には直接答えず、「私に国を運営させてくれ。あなたはCNNでうまくやれば、視聴率が上がるだろう」と一蹴した。

サンダース大統領報道官は、ツイッターで「(アコスタ氏は)女性に手を上げた。許さない」と非難。これに対し、一部の米メディアは、ホワイトハウスが公開した映像について、アコスタ氏が暴力的に振る舞ったように改変された可能性があると伝えている。

ホワイトハウスの記者会見で質問する米CNNテレビのジム・アコスタ記者(手前左)とトランプ大統領(右)=2018年11月7日、ワシントン【EPA時事】

ホワイトハウスの記者会見で質問する米CNNテレビのジム・アコスタ記者(手前左)とトランプ大統領(右)=2018年11月7日、ワシントン【EPA時事】

奇妙だったのは、トランプ氏が記者会見でいつもは無視しているアコスタ氏を指したことだ。想像をたくましくすると、同氏を「無礼なやつ」と罵倒し、相手を怒らせて「国民の敵」をつくり出したかのようにも見える。

その後、首都ワシントンの連邦地裁は処分の効力を停止する暫定命令を出し、アコスタ氏は仕事に戻ることができた。

一方的ツイート4万回、記者の質問は排除

記者会見で、オバマ米大統領(左)の左手を持ち上げるキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=2016年3月21日、ハバナ【AFP時事】

記者会見で、オバマ米大統領(左)の左手を持ち上げるキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=2016年3月21日、ハバナ【AFP時事】

筆者は、アコスタ氏がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長(当時)に対して「なぜ、政治犯を釈放しないのか」と質問する場面を、息を呑んで見守っていたことがある。キューバ人の父を持つアコスタ氏は、「国のために民主主義を目指すのか」ともただした。16年3月、オバマ大統領(同)の歴史的なキューバ訪問を同行取材した時のことだ。

オバマ、カストロ両氏は59年ぶりとなる首脳会談を実現し、共同記者会見を行った。この時、「キューバ独裁政権の議長」が米メディアの質問に応じるのかが焦点の一つだった。アコスタ氏に続いて別の米メディアのベテラン女性記者が、人権問題について質問すると、カストロ氏が段々といら立ってくるのが分かった。ここで助け舟を出したのは、傍らのオバマ氏だった。

「(質問した記者は)米国で高く評価されているジャーナリストの1人で、ほんの少しの答えで感謝すると思う」と声を掛け、カストロ氏の言葉を引き出したのだ。

オバマ氏は在任中、必ずしもメディアと友好関係を保っていたとは言えないが、少なくとも自らの行動や言動への説明責任の重要性は十分すぎるほど認識していた。

米ニューヨーク市マンハッタン中心部に登場したトランプ米大統領の「大統領ツイッター図書館」=2017年6月16日、ニューヨーク【時事通信社】

米ニューヨーク市マンハッタン中心部に登場したトランプ米大統領の「大統領ツイッター図書館」=2017年6月16日、ニューヨーク【時事通信社】

一方、トランプ氏はツイッターを駆使して、歴代大統領とは比べものにならいメッセージを発信してきた。トランプ氏のフォロワーは約5570万人。09年3月のスタートから11月16日現在まで、3万9690回のツイートを発信した。単純計算すると、月約340回となる。

しかしこれらのツイートの内容について記者が細かく質問できる機会は事実上なく、トランプ氏の時にあいまいで一方的な主張がチェックもなく拡散している。