2019.2 米国のINF廃止条約からの離脱に抗議する

米国のINF廃止条約からの離脱に抗議する

原水爆禁止日本国民会議

議  長  川野浩一

事務局長  藤本泰成

    米国ポンペオ国務長官は、2月1日、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃止条約からの離脱を正式に表明した。2日には条約履行義務を停止し、ロシア側に通告した。米国は、オバマ前政権時代からロシアに対し、「条約に反して中距離ミサイルの開発を続けている」と非難してきた。トランプ大統領は声明で「ロシアは長きにわたり条約に違反してきた」「米国は一方的に条約に縛られる唯一の国ではいられない」と主張している。米ロ両国は、次官級協議を重ね、ロシアは今年1月23日に条約違反とされる新型の地上発射型巡航ミサイル「9M729」を報道陣などに公開したが、両国の主張はかみあわず議論は平行線に終わっていた。米ロ両国は、しかし、首脳会談などを行おうとはせず、米国の今回の判断となった。原水禁は、短慮とも思える米国政府の判断に強く反対し、抗議する。

    INF廃止条約は、1987年に米ロ(旧ソ連)両国で調印され、91年までに両国合わせて2692基のミサイルが廃棄された。地上配備の中距離ミサイルに特化された同条約は、核軍縮の潮流を形成し、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障に貢献してきた。今後、米国は中距離ミサイルの本格的開発に入ると考えられ、昨年発表された「核体制の見直し(NPR)」に示された核弾頭の小型化や海洋発射型巡航ミサイル(SLCM)の開発を加えて、オバマ前政権の掲げた「核なき世界」への構想から大きく後退する。ロシアのプーチン大統領は、条約破棄の通告に対して「自国の安全を強化する追加措置をとる」と述べ、条約の義務履行を停止すると表明した。INF廃棄条約に加盟していない中国の、中距離弾道ミサイル「東風」の配備なども含め、アジア・ヨーロッパ地域の安全保障の後退は必至と言える。また、2021年には米ロで結ばれた新戦略兵器削減条約(新SATRT)の期限を迎え、その協議にも大きな影響を与えることが予想され、軍拡競争の時代に戻ることさえも懸念される。

    トランプ政権は、イランの核兵器開発を大幅に制限する「イラン核合意」や地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」からの離脱など、 自国の利益最優先する「アメリカ・ファースト」の姿勢に終始している。国際協定を順守し、発展させて平和を構築しようとの姿勢は見られない。圧倒的軍事力を誇る米国は、第2次大戦後も1950年の朝鮮戦争に始まりベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン・イラク戦争と繰り返してきた。そのいずれもが、平和をつくり出したとは言えない。米国は、構造的暴力を排除する「積極的平和」を立ち位置として、持続可能な社会の構築のためにこそ、その国力を国際社会へ惜しみなく注ぐべきだ。

    米国とロシア・中国の対立は、「アジアでのミサイル配備競争のドアを開く」(米シンクタンク「軍備管理協会」ダリル・キンボール会長)との指摘もある。その時には日本も蚊帳の外にいられまい。INF廃止条約離脱に際して、日本を含む同盟国の協力と政治的問題の克服を求める声もある。日本への配備要求が高まっていくことが懸念される。米国が国際社会でのリーダーとしての役割を失いつつある今、日本は、毅然とした態度で、米国と中国・ロシアの対話と協調を図り、アジアの平和への視点を持って対処しなくてはならない。河野太郎外務大臣は、「条約が終了せざる得ない状況は、世界的に望ましいものではない」との立場を表明している。被爆国日本としての役割を自覚し、条約の維持と拡大に向けての努力を怠ってはならない。

    原水禁は、米国政府のINF廃止条約離脱を許さず、日本政府に対してその維持に努めるよう要請する。加えて、核兵器禁止条約への署名・批准が進む中にあって、核廃絶への道を決して後戻りさせないようとりくみの強化をめざす。

カテゴリー: トピックス, 人権, 全国・中央・北信越, 原水禁, 友誼団体, 反戦・平和, 反核・脱原発, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染), 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 2019.2 米国のINF廃止条約からの離脱に抗議する はコメントを受け付けていません。

6度目の防衛大綱 中期防衛力整備計画を閣議決定 2013年から5年での策定

薩南諸島(馬毛島、種子島、奄美大島など)の基地強化と沖縄                                        湯浅一郎  2018年12月31日

18年12月18日、政府は6度目となる防衛大綱と、中期防衛力整備計画(中期防)を閣議決定した。2013年に10年を見通すものとして発表してから、まだ5年での策定である。日本を取り巻く安全保障環境が過去にないスピードで「厳しさと不確実性を増している」との分析を前提に、宇宙、サイバー、電磁波などの新たな領域を含め、「全ての領域の能力を融合させる領域横断作戦などを可能とする」防衛力として、「多次元統合防衛力の構築」を目指すとした。

その中で、馬毛島、種子島、奄美大島、沖縄島へと連なる薩南諸島に陸自を中心とした一連の部隊新設計画が盛り込まれている。中期防には「初動を担任する警備部隊、地対空誘導弾部隊及び地対艦誘導弾部隊の新編等を行い、南西地域の島嶼部の部隊の態勢を強化する」とある。この背景には、中国を敵視し、米軍との軍事一体化を前提とした軍拡路線がある。鹿児島県の種子島、奄美には、その重要な要として、南西諸島における島嶼防衛線の後方支援拠点として自衛隊、米軍の基地に組み込む多方面からの動きが襲い掛かっている。その全体像を見据えた取り組みが求められる。

奄美大島で進む陸海空自衛隊の基地や演習機能の強化

陸自では、警備部隊、地対艦ミサイル、地対空ミサイル基地の新設が進んでいる。奄美市名瀬の大熊と瀬戸内町節子で現在、配備に向けた土地造成と施設整備が2018年度末を目途に急ピッチで進んでいる。大熊に約350人、節子に約210人を配置予定という。いずれも、広域監視や武装ゲリラ侵攻への初動対処を担う警備部隊を配備し、大熊に中距離地対空ミサイル(中SAM)部隊、節子には地対艦ミサイル(SSM)部隊を併設する。しかし、これにより山を削り、水系を破壊することで、奄美の自然がはぐくむ希少なアマミノクロウサギなどが生息する独特の生態系への大きな影響が懸念される。

その他にも、2014年5月10日から27日まで、陸海空3自衛隊による初の着上陸訓練が奄美群島の1つ江仁屋離島(えにやばなれじま)で実施されている。本訓練は、「島嶼防衛に係る自衛隊の統合運用要領を演練し、その能力の維持・向上を図る」との目的が掲げられている。訓練に参加したのは、陸自では西部方面隊等の人員約500名、航空機6機(CH-47JA×2機、AH-64D×2機、UH-60J A×2機)、海自は、人員約820名、艦艇4隻(護衛艦「くらま」(佐世保)、護衛艦「あしがら」(佐世保)、掃海母艦「ぶんご」(呉) 及び輸送艦「しもきた」(呉))及び搭載航空機である。さらに空自は人員約10名、航空機2機(F-2×2機)で、陸海空計で約1330名が参加した。具体的には、5月18-19日、海からの強襲作戦を担う陸自特殊部隊約100人が、大型輸送艦「しもきた」からボートやヘリコプターによる上陸訓練を行なった。「しもきた」搭載のLCACエアクッション型強襲上陸用舟艇は航走訓練を行ったとされる。

他にも、湯湾岳への空自通信施設の設置も計画され、南西諸島における島嶼防衛線の後方支援拠点としての基地強化が一気に進んでいる。

馬毛島の基地強化と種子島の訓練場化

もう1つの大きな動きが、馬毛島での基地強化と種子島での統合、共同訓練の定例化である。種子島の西12キロの沖合にある無人島の馬毛島には、南北に1本(約4千メートル)、東西に1本(約2千㍍)と十字を切るように滑走路が造られている。米軍再編で、米空母艦載機の厚木から岩国への移駐が浮上した際、馬毛島は、空母艦載機のFCLP(陸上空母離着陸訓練)用施設の候補地として名指しされている。陸上滑走路を空母の飛行甲板に見立ててタッチアンドゴーを繰り返す飛行訓練である。地元自治体を初め、強い反対の声で計画は遅れているが、ここに来て、土地の買収にめどが立ったとの報道がある。

これとは別に、同島は、自衛隊の事前集積拠点、「島嶼防衛戦」の上陸訓練施設としての活用がもくろまれている。馬毛島は文字どうり日米の軍事要塞になりかねない。

仮に馬毛島が計画どうりになれば、それは、隣接する種子島にも大きな影響をもたらすことになる。実際、既に種子島では水陸機動団による着上陸訓練が17年から始まっている。

17年11月16日、自衛隊統合演習の一環として、南種子町の前之浜海浜公園で着上陸訓練が行われた。さらに、18年5月8日には、九州西方沖や種子島周辺で、離島奪回作戦を念頭に、海自輸送艦からの水陸両用車の発進や上陸訓練を行っている。この時、海自は、輸送艦「しもきた」(呉)、護衛艦「ひゅうが」(横須賀)を派遣している。

そして、18年10月5日~19日、「水陸機動団」は、種子島の旧種子島空港の跡地、及び長浜海岸において、米海兵隊第3海兵師団(沖縄)と島しょ奪還に向けた共同訓練を実施した。尖閣諸島を巡る緊張の高まりを背景に、中国に対し日米の連携強化をアピールする狙いがあるとみられる。日米共同での訓練は国内では初めてである。14日には、陸自約220人、海兵隊約10人のほか、海自輸送艦「おおすみ」などが参加している。

奄美、種子島における一連の着上陸訓練は、陸自の水陸機動団と呉配備の「おおすみ」型大型輸送艦との連携が基本になっている。「おおすみ」型輸送艦は、英語では、LST、Landing Ship Tankで、軍事的には戦車揚陸艦である。LCAC2隻を有し、大型戦車や装甲車を強襲上陸させることができる能力を持っている。米軍が、沖縄の海兵隊を佐世保配備の強襲揚陸艦に搭載して世界中の戦場に輸送するのと構図は全く同じである。島嶼奪回を理由に、海外進行もできる演習が、薩南しょ島において始まっている。

米軍輸送機オスプレイの低空飛行訓練ルートの新設

奄美は、沖縄の米軍基地との間に、相互に影響しあう問題を抱えている。一つは、普天間基地配備のMV22オスプレイの低空飛行訓練ルートが、近年、奄美大島の上空に設定されたことである。これは、米軍監視を目的とした市民団体リムピースが、16年12月13日、名護市安部の海岸にオスプレイが墜落した事故報告書を分析し、当日のオスプレイの飛行経路をたどった結果、判明した。米軍は、このルートを公表していないが、図のような閉じた南北に細長い長方形のルートが浮かび上がった。事故機は、午後6時過ぎ、普天間基地を離陸したあと、宇検村の西海上から奄美大島上空に飛来し、島の上空を図のルートに沿って反時計回りに2周し、その後、沖合での夜間空中給油訓練に移行し、事故を起こしたのである。報告書によれば事故機は、高度500フィート(約152メートル)、速度240ノット(時速444キロ)で飛行していた。

米軍は、オスプレイの普天間配備に際し公表した「環境レビュー」で6本の低空飛行訓練ルートを初めて明らかにし、普天間配備後、岩国基地などを使いながら、本州や九州での低空飛行訓練を実施するとした。このうち、鹿児島から南西諸島を経由して沖縄島に至る主に海上を使った「パープルルート」は、奄美大島では宇検村がチェックポイントとなっている。ところが、2013年3月にオスプレイが初めて岩国基地に飛来してからこの方、6本の低空飛行訓練ルートでの低空飛行訓練は行われてきた気配が全くない。この間、オスプレイは低空飛行訓練をしていないのか、または、どこか不明なルートがあるのかわからないままであった。皮肉なことに、那古沖での墜落事故の報告書から新たな訓練ルートが見えてきたのである。これにより、一つの謎が解けた。米軍は、普天間に近い奄美大島の上空に一方的に訓練ルートを新設することで、オスプレイの運用を実現していた。奄美大島における住民の目撃情報を整理することで、島内上空で低空飛行訓練が常態化していることがわかるはずである。オスプレイを巡っては、17年6月、計器が機体の異常を示した1機が奄美空港に緊急着陸する事例があるが、今後、このような事態が頻繁に起っていくことが予想される。自治体や住民への説明もないまま、一方的に奄美大島が米軍基地の運用に組み込まれているのである。

辺野古の海をつぶす岩ズリの奄美からの搬出

一方、奄美が沖縄の豊かな海を破壊することに関与してしまう問題が、辺野古埋め立て用岩ズリの奄美からの持ち出しである。12月14日 沖縄防衛局は、辺野古への土砂投入を開始した。10月の沖縄県知事選で玉城デニー候補を圧勝させ、辺野古新基地建設を拒否するという沖縄県民の民意を一方的に踏みにじるものであった。ここで使われる土砂は、沖縄島の本部から運び込まれたものである。周知のように大浦湾側の海底には、厚さ40mとも言うマヨネーズ上の軟弱地盤があることが防衛省の調査からわかっており、計画変更の許可を沖縄県知事から受けない限り、本格工事はできないことが明らかになっていることを承知で、見切り発車した。

辺野古・大浦湾は、ジュゴンやウミガメの生息地として知られ、調査のたびに新種が発見される。国際的に見ても生物多様性の豊かな海である。政府は、それを承知で埋め立ててしまうということは、生物多様性基本法や国家戦略よりも、米軍基地の新設を優先するという選択である。政府が、中長期的な未来を見るのでなく、「抑止力を保持するため」を理由に目先の都合によって政策を押し付けている様子が見えている。

このままだと、早ければ2019年中にも、沖縄島以外からの土砂搬入が始まる。その候補の1つが鹿児島県の奄美と南大隅である。防衛省資料には、奄美大島では、奄美市住用町、大島郡瀬戸内町、龍郷町の3箇所の砕石場が示されている。既に岩ズリが海岸線付近に山積みされている。これを止めるため、2015年5月、搬出予定地の市民グループが奄美に集結し、「どの故郷にも、戦争に使う土砂は一粒もない」をスローガンに辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会を発足させた。土砂全協は、沖縄県の土砂搬入に伴う外来生物の持込みを規制する条例を活かして、土砂の搬出をとめる運動を精力的に行っている。12月の沖縄県議会に鹿児島県を含む7地点から条例の強化を求める陳情書を提出したが、継続審議となっている。19年の早期に条例の強化がされることを期待したい。

以上、見てきたように、尖閣諸島における対立を理由に、九州から与那国島への琉球弧を基地化し、又日米併せ持っての軍事訓練の場とする政策が系統的に進められている。その中で、馬毛島から奄美にかけての薩南諸島は、後方支援物資の集積拠点、輸送中継拠点として基地強化が進められつつ、あわせて、着上陸訓練の演習場として一方的に使用されつつある。基地建設のために奄美の山の頂を削り、ウミガメの産卵場でもある砂浜は、着上陸訓練の場として荒らされている。外国軍威信基地を提供せんがために、生物多様性の豊かな辺野古の海の埋め立てにまい進する政府は、同じ思想で、薩南諸島の自然を破壊しようとしているのである。地域の住民が、将来に向けて活かしていくべき自然をないがしろにする国の防衛政策とは何かを問い、薩南諸島のそれぞれの住民が連携して国の防衛政策を変えていくよう求めていくことが求められている。

カテゴリー: 全国・中央・北信越, 反戦・平和, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 6度目の防衛大綱 中期防衛力整備計画を閣議決定 2013年から5年での策定 はコメントを受け付けていません。

「緊急事態条項の創設」の危険性 安倍政権はステルス作戦実行中!

「緊急事態条項の創設」の危険性・・永井幸寿弁護士

<ステルス作戦実行中!>

安倍首相は、憲法9条を初めとした改悪を成し遂げるため、「緊急事態条項の新設」という「真の狙い」については「だんまり・ステルス作戦」を決め込んでいる。憲法9条に衆目の関心を引き寄せ、事実、多くの労組、民主勢力は「9条改悪阻止」に全力を投入している。しかし、「緊急事態条項 新設」の危険性は焦点化されていない。

<災害とは、自然災害のみならず、戦争=武力攻撃事態も含む!>

第73条の2  (第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。

(第2項)内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。(※内閣の事務を定める第73条の次に追加)

第64条の2  大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。(※国会の章の末尾に特例規定として追加)

この案に、2012年改憲草案どころではない「危険」が潜んでいるのです。

改憲発議が迫っている!(2019年通常国会か秋の臨時国会)

2018年10月24日に臨時国会が召集され、安倍総理は所信表明演説において、憲法改定について「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていく」と述べ「国会議員の責任を果たそう」と呼びかけるなど、自民党案をもとにした今国会での改憲論議とその発議に強い執念を見せた。

ほとんどのメディア、知識人、野党も、改憲発議が目前に迫っていること、しかもその中に民主主義を瞬殺してファシズムを一夜にして実現することができる緊急事態条項が含まれていることに対して、呆れるくらいに警戒心が足りない。本来なら最大限の警戒、抗議、反対、自民案の撤回と破棄を求める発言と行動がおこなわれてしかるべきだ。

さかのぼること今から7か月前、2018年3月25日、自民党大会において、9条への自衛隊明記」、「緊急事態条項創設」、「参院選『合区』解消」、「教育の充実」4項目からなる「改憲たたき台素案」が条文の形で発表された。

前年の2017年5月3日の憲法記念日に、改憲派の集会に送ったビデオメッセージの中で、安倍総理が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と発言して以来、党内の改憲への動きは一気に加速。同年2017年12月20日には、自民党憲法改正推進本部が「憲法改正に関する論点取りまとめ」として、この「改憲4項目」を掲げていた。

安倍総理の設定した「2020年施行」に向けて、早ければこの臨時国会中に、いよいよ改憲の国会発議に踏み切るつもりと思われる。

法整備で十分対応可能なはずのダミー項目であることは丸見えの「参院選『合区』解消」と「教育の充実」についてはさておき、改憲に反対する人々の関心は、いつものように「9条への自衛隊明記」に集まった。実際、9条が改悪されれば、集団的自衛権を際限なく認めることにつながりかねない危険な憲法改悪となり、何より安倍総理がそればかりを口にしてきたのであるから、世の注目を集めるのは当然といえる。

国民投票に持ち込んだ場合の自民党の最大の売り!「参院選『合区』解消」「教育の充実」

ところが、大災害や外国武力攻撃などの「緊急事態」を名目に内閣に強大な権力を付与するものとして、激しい非難を巻き起こしていた「緊急事態条項創設」については、今回もまた、なぜか話題にも上らない。今年の憲法記念日ですら、どこの集会でもメインに取り上げなかった。野党もマスメディアも、労組も、知識人も、一般の市民も、反応がきわめて鈍い。

考えられる理由は、一つある。「緊急事態条項」新案は、2012年に発表された自民党憲法改正草案のあの居丈高なトーンとは打って変わって、一見すると大変「おとなしい」文面に変わっており、警戒心が解かれてしまったのではないか。

「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」「法律と同一の効力を有する政令」「(国の指示に)何人も従わなければならない」「(地方自治体に内閣は)指示できる」といった、戦争やナチ独裁を彷彿させるあの強権的な文言は条文案の表面上から消え去り、かわって「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる」といたって簡潔にまとめられている。言葉遣いも平易である。猛々しさは伝わりにくい。

そのうえ、旧案では緊急事態条項専用に「98条・99条」を新設し、憲法の一大要素のように位置づけていたものを、このたびは、内閣の事務を定める73条と国会の章の末尾にあたる64条という離れた二つの条文の、それも各々の追加項目として添えるという、ちょっとした微修正のようにも見えるのである。そして、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」であるから自然災害時と理解している方も大勢いるかもしれません。

この「改憲4項目」を目にした人の中には、「危険性はひとまず取り去られた」と安堵する人も少なくなかったであろう。そうした人々は、こう思ったかもしれない。「安倍自民党が国民の非難の声に珍しく耳を傾け、独裁を可能にするような条文の書き込みを諦めたのかもしれない、ひとまずは放っておいていいだろう」と。

だが、国民を安心させるその柔らかい文面も、永井幸寿弁護士の目は誤魔化せはしなかった。永井弁護士は災害問題のエキスパートで、自らも阪神・淡路大震災の被災者として災害の現場を熟知している。最も早くからこの条項の危険性に警鐘を鳴らしてきた人物である。

 

自民党改憲素案【緊急事態条項の創設】の全文

第73条の2

(第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。

(第2項)内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。

(※内閣の事務を定める第73条の次に追加)

第64条の2

大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。

(※国会の章の末尾に特例規定として追加)

【その問題性】

【1 国家緊急権】

緊急事態条項とは「国家緊急権」を憲法に創設する条項と一応は定義できる。

国家緊急権とは、戦争・内乱・恐慌ないし大規模な自然災害など、平時の統治機構を持ってしては対処できない非常事態において、国家権力が国家の存立を維持するために、立憲的な憲法秩序を(人権の保障と権力分立)を一時停止して非常措置を執る権限を言う。つまり、非常事態において、国家のために、憲法の定める人権保障権力分立を停止する制度である。

人権とは、人が自立的な個人として、自由と生存を確保し、尊厳を持って生きるために不可欠な基本的権利を指す。

権力分立とは、権力に対する懐疑にある。天使ならいざ知らず、人は何どきも権力を獲得したがり濫用する性向をもつ。したがって、権力分立は人間の本性への深い反省と権力に対するリアルな認識から、血みどろの闘いの末、獲得したもの。

これに対し、立憲的な憲法秩序を(人権の保障と権力分立)を一時停止して非常措置を執る権限であることから、その危険性はきわめて高い。

【2 政令の効力】

「政令」とは内閣が制定する命令であるが、「唯一の立法機関」である国会の立法からすれば例外的な権限である。それゆえ、内閣の発する政令は立法権そのものを行使する、簒奪することは許されず、国会の定める法律の細則を定めるか、個別具体の委任基づく政令しか許されていない。

しかし、憲法を改正してまで創設しようとしているこの「政令」は、内閣に法律に代わる命令の制定権を認めようとするものであり、立法権そのものの行使、簒奪と言わなければならず、法律と同じ効力を有するものと解すべきである。

【3 手続きの欠如】

2012年の自民党改憲草案にあった「緊急事態の宣言の事前又は事後に国会の承認」を必要とし、また、「国会の決議や内閣の認定による宣言解除の手続き」があった。しかし、2018年の改憲素案たたき台には、緊急事態宣言発動の手続きがなくなり、これに対する国会の統制も存在しなくなった。

つまり、内閣の閣議決定だけで国民の知らない間に「緊急事態宣言」が発動でき、しかも国民が知らない間、ずっとそれを維持できるのである。 

「いつでも独裁、いつまでも独裁!」

【4 広すぎる要件】

国家緊急権発動の要件は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがない」と内閣が認定したときである。

本来、法律の制定権は主権者たる国民の代表である国会にあるので、国家緊急権発動の要件は国会が機能していない特別な場合に限られるはずである。たとえば、災害対策基本法の「緊急政令」の発動要件は、国会閉会中や衆議院解散中で、臨時国会の召集や参議院の緊急集会の請求ができないときに限定されている。旧憲法の「緊急勅令」でさえ議会閉会中という限定があった。自民党改憲素案たたき台にはこのような限定がなく、国会が会期中であっても国会を無視して「政令」をつくることができるのである。

また、要件の認定権者は国会ではなく、内閣、すなわち政府である。たとえば「災害により」「国会による法律の制定を待ついとまがない」と政府が認定すれば制定できるのである。

【5 災害とは、武力攻撃事態を適用】

さらに、国家緊急権が発動できる場合は、「自然災害」ではなく「災害」とされている。

災害対策基本法は「災害」とは、「暴風、竜巻、・・、地震、津波、・・その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発・・政令で定める原因により生ずる被害」と定められており、同施行令は「政令で定める原因」として「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他・・」と定めており、「災害」には自然現象のみでなく人為的な事故も含んでいる。そして、国民保護法では「武力攻撃災害」、すなわち「武力攻撃により直接又は間接に生じる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出そのたの人的又は物的災害」として、「戦争も災害」として認定している

したがって、「緊急事態条項」は武力攻撃事態があった場合にも「災害」として政令を制定することが可能である。

腐敗した政府を倒そうと決起した市民・民衆や労働条件の改善を求めた労組の決起にも「災害」として対処することができるきわめて危険な条項である。

【6 期間制限がないこと】

国家緊急権には発動期間の限定がない。権力の濫用を防ぐために厳格な期間の制限が必要である。2012年改憲草案でさえ「100日を超えて緊急事態宣言を継続するときは国会の承認」を必要とした。

【7 事項の限定がないこと】

政令を制定することができる事項について限定がほとんどない。

「国民の声明、身体及び財産を保護するため」であればどのような政令も制定できる。たとえば、安保法制を政令で改定して集団的自衛権を強化することや、テロ対策のために共謀罪を改定して厳罰化することも可能となる。もっとも制限される可能性が高いのが政府監視機能を持つ報道機関の報道の自由や通信の秘密である。罰則付きの制限立法(政令)によって報道機関が著しく萎縮し、国民の知る権利が制限され民主主義の根幹が脅かされる。

【8 国会が不承認でも効力が失われない】

内閣は政令を制定後、「速やかに国会の承認を求めなければならない」と定めるが、国会が承認しなかった場合には政令が効力を失うと定めてはいない。旧憲法の「緊急勅令」でさえ、議会の承認がないと将来に向って効力を失うと定めていた。

このことは、内閣による権力濫用の危険性がより高まり、緊急事態条項は「政府独裁条項」とも言うべきものであると言える。

【9 立法事実の不存在】

災害には災害対策の原則がある。「準備していないことはできない」のである。

国家緊急権は災害が発生した後に、泥縄式に権力を集中させる制度と言っていいが、災害発生後にどのような強力な権力を集中しても災害に対応することはできないのである。

災害に関する法律は既に十分に整備されている。(物価や生活必需品などの4項目に限り罰則付きの政令(緊急勅令)の制定権、ただし国会の承認が無ければ効力を失う)

東日本大震災後、2015年アンケートで「国と地方の役割分担」を問えば、「原則として国が主導して市町村が補助する」と回答したのはわずか4%、「原則として市町村が主導して国は後方支援するべき」とした92%を見れば答えは明らかである。つまり「権力集中」とは真逆の結果である。

災害時、最も効果的に対応できるのは国ではなく、被災者に最も近い市町村なのです。

熊本地震では、2016年4月14日の前震で安倍首相は、屋外の避難者を「屋内退避」させるよう指示したが、益城町総合体育館の職員は天井落下を危惧して屋内に入れなかった。そして4月16日の本震で同体育館の天井が総て落下した。館内に住民が避難していれば確実に多数の死傷者が出ていたはずである。

【10 国会や裁判所が統制するという幻想】

国家緊急権を肯定し必要だとする人たちの中には、国会や裁判所が政府を統制するのだから濫用は抑止できるという。しかし、議院内閣制をとる日本は、国会の多数派が内閣を形成するので国会は政府を有効に統制できない。また、裁判所は「統治行為論」をとっており、高度に政治性のある行為には司法審査権は及ばないという説が多数なのです。

したがって、三権分立のなかで二権が政府を統制するということはありえない。

【任期延長】 

  略

【任期無期限の危険性】 

  略

【任期延長の要件】 

  略

【立法事実がない】 

  略

 

<参考>

自民党の「改憲素案 四項目」(たたき台)全文

【緊急事態条項】

  略

【参院選「合区」解消】

現行憲法で定める「投票価値の平等」と別に、衆参両院の選挙区と定数は「地域的な一体性」などを「総合的に勘案」して定めると規定。特に参院選について「改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる」と明記した。「合区」解消と都道府県単位の選挙制度の維持を図る。

第47条

両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。

前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第92条

地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

【教育の充実】

経済事情に関係なく質の高い教育を受けられるよう、26条に国の努力義務規定を盛り込んだ。日本維新の会が求める幼児教育から大学までの教育無償化は見送った。89条も改め私学助成の合憲性を明確にした。

第26条

(第1、2項は現行のまま)

(第3項)国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。

第89条

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

9条改正自衛権・自衛隊の明記

第9条の2

(第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

(第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

(※第9条全体を維持した上で、その次に追加)

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 反基地, 反戦・平和, 教育・歴史, 文化・芸術, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 「緊急事態条項の創設」の危険性 安倍政権はステルス作戦実行中! はコメントを受け付けていません。

〔本の紹介〕『不死身の特攻兵―軍神はなぜ上官に反抗したか』 鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年

〔本の紹介〕
『不死身の特攻兵―軍神はなぜ上官に反抗したか』
鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年

平和運動に関わるなら、先の大戦がいかに誤った戦争だったか、当時のエリート・指導層がいかに無能で愚かだったかを学び、現代に伝え、生かすべきだと思っている。この著書は、陸軍の特攻兵として9回も出撃し、すべて生還。戦後95歳まで生きた佐々木友次元伍長の話であるが、特攻を命じた上官・参謀たちの醜悪ぶり、滑稽さも明らかにされる。そして、この特攻作戦に何らかの形で抵抗する軍人らも登場し、特攻作戦がいかに無謀で愚かな作戦だったか明らかにされる。
 特攻を命令した参謀や上官たちの多くは「俺も必ず後に続く」と宣言しながらも、戦後、生き延び、特攻を事実上強制した自らの責任回避のため、特攻兵を国のため自ら進んで志願し命を捨てたものとして美化賛美してきた。この著書はこの論調に痛烈に反撃するものだ。
 佐々木さんの生還に、上官や参謀らは「恥さらし」「臆病者」「腰抜け!」「今度こそ死ね!」と罵倒、暗殺計画さえ立てた。当時上官の命令は絶対。反論・反抗は許されないが、佐々木さんは屈しない。その遺志の頑強さは驚異的だ。ベテラン操縦士だからこそ、この作戦の過ちを見抜いていた。

 航空特攻の場合、初期を除き、その戦果は嘘ばかりで実際は微々たるものだった。特攻機は、敵艦に達するまでに大半が撃墜された。米軍のレーダーに捕捉され、迎撃機の餌食となり、近づいただけで爆発する近接信管という艦船からの機関砲の犠牲となった。まれに体当たりできてもその破壊力は小さかった。急降下による爆弾投下は艦内に潜り込み爆発するが、航空機による衝突は空気抵抗が大きく甲板の表面で爆発するだけの威力しかなかった。戦艦・大型空母等の撃沈例は軽微で、大半は小型船舶が中心、当時の日米の戦局を転換する効果はなかった。むしろ、本土決戦・一億特攻への戦意高揚に利用され、終戦を大幅に遅らせ、戦争犠牲者を増やす要因となった。しかし、特攻兵は必ず犠牲となり飛行機も破壊。航空特攻による犠牲者は約4000人、その多くが20歳前後の若者であった。死を強制された若者の親や妻たちの戦後の苦悩苦難はいかほどであったか。こんな愚かな戦争を二度と繰り返さないためにも、広く読まれることを願いたい。
 関連著書に「特攻隊振武寮」(朝日文庫)、「特攻―なぜ拡大したか」(幻冬舎)、「つらい真実―虚構の特攻隊神話」(同成社)等がある。
(富永誠治)

核のキーワード図鑑


核背負い宇宙をさまよう地球よあわれ、人間の罪は重い
カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 全国・中央・北信越, 反基地, 反戦・平和, 教育・歴史, 文化・芸術, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 〔本の紹介〕『不死身の特攻兵―軍神はなぜ上官に反抗したか』 鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年 はコメントを受け付けていません。

1月7日「2019新春の集い・団結旗開き」 イン金沢スカイ

本田県平和運動センター共同代表の力強い主催者挨拶に始まった「2019新春の集い・団結旗開き」は、各界、各層の来賓120余名の参加のもと、安倍改憲阻止と脱原発、そして来るべき地方統一選挙と参議院選挙の「必勝」を期して、吉岡県勤労協副会長の団結ガンバロウで締め、闘う2019年をスタートしました。(2019年1月7日ANAホリディイン金沢スカイ10階にて)

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 原水禁, 友誼団体, 反戦・平和, 反核・脱原発, 志賀原発, 文化・芸術, 未分類, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染), 脱原発・核燃, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 運営 | 1月7日「2019新春の集い・団結旗開き」 イン金沢スカイ はコメントを受け付けていません。

「『護憲』自体が思考停止」発言に断固抗議する(談話)

『護憲』自体が思考停止に断固抗議す

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.自民党の下村博文憲法改正推進本部長が、札幌市での講演で、「第2次世界大戦後、一度も憲法を改正していないのは日本ぐらいだ。世界から見れば、『護憲』ということ自体が思考停止であり、良い国をつくろうとしていないということではないか」などと指摘したことが報じられている。憲法審査会で自民党改憲案の提示・説明ができなかったことの焦りからか、議論すらしようとしない野党が悪いという空気を作ろうとしているかのようである。しかし、先の「職場放棄」発言によって、与野党で静かに憲法を論議する環境を壊したのは、他ならぬ下村氏自身であり、自らを棚に上げ、挑発するような暴言を繰り返していることは看過できない。断固抗議する。

2.憲法99条で憲法尊重擁護義務が課せられている国会議員が、護憲を批判することは天につばするものにほかならない。一度も改正されていないのは、それだけ良い憲法であるからであり、国民の支持と、憲法を守り活かそうという先人の運動があったからである。下村氏は、「より良いものに改正しようと思ってもらえる流れを来年はつくっていけるようにしたい」とも発言し、「良い国」にするためには改憲しかないとでも言いたいようである。しかし、世界中で戦争できる自衛隊を憲法に位置づけ、緊急事態に政府に全権を白紙委任し、教育への国家統制を強めるなど、立憲主義・民主主義・平和主義を踏みにじり、現状を悪くしようとする改憲に反対するのは当然である

3.自民党憲法改正推進本部が5日に行った「憲法改正国民投票の最大の壁とは」とのテーマでのヒアリングでは、(改憲)反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要であるという話も出ていたとされている。下村氏の「職場放棄」発言や今回の「思考停止」発言は、まさに自民党が進めるネガティブキャンペーンそのものであり、平和と民主主義、人権を守るため、憲法を守り活かそうと願う多くの国民への挑戦であり、攻撃にほかならない

4.安倍首相は、臨時国会の閉幕を受けての記者会見で、「2020年は新しい憲法が施行される年にしたいと申し上げましたが、今もその気持ちには変わりはありません」として、引き続き2020年施行を目指す考えを強調した。しかし、自民党総裁選の際に行われた自民党員・党友の調査では、憲法改正の優先順位は極めて低くなっており、総裁選の結果からも安倍首相の目指す改憲案への異論が根強いことは明らかである。各種世論調査でも、自衛隊を憲法に明記するなどの憲法改正重点4項目の改憲案の臨時国会提出には反対が上回っている。改憲発議をさせないことが安倍政権の失速・退場に直結し、改憲そのものの推進力を失わせることにつながる。多くの人々と力を合わせ、「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」(「3000万署名」)活動をさらに進めるとともに、憲法審査会における自民党案の提示・説明や改正原案提出を許さないよう、立憲野党の連携を一層強化する

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 友誼団体, 反戦・平和, 反核・脱原発, 教育・歴史, 脱原発・核燃, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 「『護憲』自体が思考停止」発言に断固抗議する(談話) はコメントを受け付けていません。

防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画の閣議決定に抗議

2018年12月19日

防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画の閣議決定に抗議する

フォーラム平和・人権・環境

共同代表 藤本泰成

 12月18日、国家安全保障会議及び閣議において、2019年度以降の「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」が決定された。従来の陸海空自衛隊の一体的運用をめざし、サイバー防衛部隊や宇宙領域専門部隊の新たな領域を加え「多次元統合防衛力」の構築をめざすとした。その上で、「いずも」型護衛艦の改修と「短距離離陸垂直離着陸機(STOVL機:F35Bが予定される)」の導入により事実上の空母化と敵基地攻撃を可能にする長距離巡行ミサイルの導入などを決定した。これは、防衛白書に記載する基本理念「わが国は、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」「わが国は自衛のための必要最小限を超えて、他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持しない」を大きく逸脱するもので許されない。政府がことあるごとに表明してきた「憲法9条は攻撃型空母などを保持することを許さない」とする見解と立場を異にしている。

今回閣議決定された「防衛計画の大綱」は、専守防衛の枠を大きく超え「日米統合軍」を現実化させるものだ。安全保障関連法が想定する、同盟国が攻撃された場合に自国への攻撃とみなして反撃する権利、いわゆる「集団的自衛権」が、日米両軍の一体的運用で行使される状況がつくられようとしている。

決定された中期防では、現行(2014年度~2018年度)より2兆8000億円増の27兆4700億円と過去最大となった。ステルス戦闘機F35の105機の追加取得やイージスアショアなどのミサイル防衛システムなど新規購入装備品の多くが米国製となっている。トランプ政権の要求を丸呑みした感のある防衛大綱・中期防は、借金が1000兆円を超えるきびしい日本の財政状況を反映しているのか。社会保障費などの義務的経費の増大の中で、防衛費だけを聖域としてはならない。

防衛省は、平和フォーラムとの交渉の中で「いずも型護衛艦の改修とSTOVL機の導入は、航空能力の柔軟性を増し、太平洋上において活発化する他国の空母の展開などへの対応に資する」とし、中国軍を意識した発言を行っている。防衛大綱は、中国は、世界一流の軍隊を建設するとして透明性を欠いたまま国防費を増加させているとして、その脅威を強調している。中国政府は、直ちに「日本のやり方は日中関係の改善と発展のためにならない」として、きびしく批判している。朝鮮民主主義人民共和国やロシアの脅威にも言及する日本の防衛のあり方は、憲法の平和主義と平和外交の方針から大きく逸脱し、周辺諸国かとの関係悪化に繋がりかねない。

今回の防衛力整備のあり方は、どれだけの議論に付されたのだろうか。日本の将来のあり方に、決定的影響を与える防衛大綱に議論が尽くされた状況はない。国民的な議論が必要と考える。平和フォーラムは、憲法の平和主義に基づき、東アジア諸国との対話と協調を基本に、共通の安全保障を求めて今後も多面的にとりくんでいくことを表明し、閣議決定された防衛大綱と中期防のあり方に反対し行動する。

以上

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 反戦・平和, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画の閣議決定に抗議 はコメントを受け付けていません。

12.12社会法律センター定期総会 

総会挨拶で岩淵正明理事長は、すでに安倍政権は「独裁体制を構築している」として三つの理由を明らかにし、憲法改悪の要である「9条」問題も、すでに「戦争法」などで骨抜き状態となっていると危機感を表明した。

三つの理由は、①立法府の長を自認しており、実際もNSC(国家安全保障会議)専制体制といってもよく、会議を4大臣会合で「国政の重要案件」を取り仕切っている。②行政 においては、同様にNSC(国家安全保障会議)において「人事権」を掌握しており、各省庁のトップは「安倍様を忖度」して「政策を立案」している。③裁判所はどうか。「政権忖度」で動いており、各種判決も国政の重要案件は「統治行為論」を盾に「判断しない」態度を貫いている、と独裁体制が引かれていること認識せよと力説した。

総会では、2018年度総括と決算、2019年度方針と予算、そして役員が承認された。

 

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 原水禁, 友誼団体, 反戦・平和, 反核・脱原発, 志賀原発, 護憲・憲法改悪反対 | 12.12社会法律センター定期総会  はコメントを受け付けていません。

12.14緊急街宣 辺野古土砂投入に抗議!沖縄県民の民意無視糾弾!安倍内閣打倒!

「安倍改憲NO!市民アクション・いしかわ」の中心組織である「憲法改悪阻止!戦争法廃止!」を呼びかける八団体(戦争をさせない石川の会 九条の会・石川ネット 県労働組合総連合 県平和センター 戦争をさせない1000人委・石川 県憲法を守る会 憲法会議 青年法律家協会)は、政府の強行が予想されるなか、準備を進めてきた取組みです。

みぞれの中、20数名が「抗議の街宣」に決起しました。数々の選挙で民意を示し、直近では沖縄県知事選で圧倒的差をつけて「辺野古新基地建設NO」を示したにもかかわらず、聞く耳を持たない安倍政権は、そして「国防は政府の専権事項」などとでたらめを言い、土砂投入をしたことは許せません。新基地建設を止めるまで、沖縄県民とともに闘う決意です。

 た

20181214144811(抗議チラシ、抗議文、沖縄からの連帯メッセージ)

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 友誼団体, 反戦・平和, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 12.14緊急街宣 辺野古土砂投入に抗議!沖縄県民の民意無視糾弾!安倍内閣打倒! はコメントを受け付けていません。

11.29響庭野「砲弾炸裂」事件を受け、陸自金沢駐屯地司令に「実弾訓練やめよ」の申入れ

2018年11月29日

陸自金沢駐屯地司令 梨木 信吾 様

石川県平和運動センター

      共同代表  本田 良成

原水禁石川県民会議

代表委員  新明  宏

石川県憲法を守る会

代表委員  岩淵 正明

石川県勤労者協議会連合会

会  長  藤田 利男

小松基地爆音訴訟連絡会

代  表  長田 孝志

                           金沢平和運動センター

                            議  長  赤玉 善匡

社民党石川県連合

代  表  盛本 芳久

                              (各団体の公印省略)

迫撃砲、場外「炸裂」も演習続行

これらに強く抗議する!

    11月14日午後1時20分ころ、滋賀県高島市響庭野演習場で、陸自第37普通科連隊が81ミリ迫撃砲を試射したところ、1発が想定した2.5㎞を超えてさらに1.0㎞を飛び、国道303号線沿いに着弾・炸裂し、砲弾片やアスファルト片が飛び散りました。近辺には人が乗った車が駐車しており、幸い、怪我などは無かったものの窓ガラスが破損しドアがへこむなどの被害がでました。角度や方向がもうすこし変わっていれば、まちがいなく命が危険にさらされる事件と言わなければなりません。

この事件は、これに先立つ2発の着弾地点も確認できない中で起きたものです。さらに、目標地点を大きく離れた地点で着弾の煙が上がっているにもかかわらず、その状況を確認しないまま実弾訓練は続行されました。砲弾発射訓練が、着弾地点、爆発の有無などを確認もせずおこなわれていることは、事件の通告がすぐに現場に伝わらなかったこととあわせ、安全に対する意識が希薄であることを明確に示しています。しかも2015年7月には民家に銃弾が飛び込む事件も起きています。

事件後、担当大臣である岩屋防衛相は、実弾であるかどうかさえも確認せず会見するほど組織は緩んでおり、「陳謝」した後、「われわれが守るべき国民の命を危険にさらし、隊員の生命の安全にも関わりかねない重大な事件である」と言わざるを得なかったのです。

いうまでもなく自衛隊とは実力部隊であり、いかにして効果的に素早く、敵を殲滅させるかの訓練を日々行っている組織です。今回の事件は、住民に対する「安全確認」や「命を守る」ことより「戦争訓練」「日・米の軍事一体化」を優先させる訓練ゆえの事件と言わなければならず、安倍政権が「国家間の緊張」を煽り「(敵国への)経済制裁」を強化し、いつでも「戦争」に転化できる政策を推進していることを根拠としているのです。

したがって、事件と実弾訓練に抗議するとともに、以下について要請するものです。

1 実弾(ミサイル含む)を装着したすべての「発射訓練」は今後一切、実施しないこと。

2 「武力で平和は創れない」ので、「軍事訓練」「徒行訓練」は今後一切、実施しないこと。

3 北東アジアに緊張と戦争を煽る、日・米共同演習は今後一切、実施しないこと。

4 安倍「改憲4項目」はいずれも戦争を合憲とするものであり、取りやめること。

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 反基地, 反基地, 反戦・平和, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 | 11.29響庭野「砲弾炸裂」事件を受け、陸自金沢駐屯地司令に「実弾訓練やめよ」の申入れ はコメントを受け付けていません。