シナイ半島の多国籍軍・監視団への自衛隊員派遣に反対する声明

政府は4月2日、エジプト北東部のシナイ半島でエジプト軍とイスラエル軍の活動を監視する「多国籍軍・監視団(MFO)」に陸上自衛隊員2人を派遣することを閣議決定した。

シナイ半島の問題をめぐっては、第3次中東戦争でイスラエルがエジプトのシナイ半島を占領し、その後1979年に「エジプト・イスラエル平和条約」の締結を受けて、1982年からMFOが展開し、エジプトに全面返還されている。MFOの主たる任務は、両国軍の活動状況と停戦の監視活動としている。日本政府は1988年から、このMFOに資金援助を行っており、昨年度も約500万円を拠出している。

「多国籍軍・監視団」に自衛隊を派遣できるようになったのは、2015年9月に安倍政権が多数の反対世論を押し切り、強行採決した戦争法(平和安全法制)に関連する法律によるものだ。改正された国連平和維持活動(PKO)法で可能になった「国際連携平和安全活動」が初めて適用される。

従前のPKO協力法が、国連総会、国連の安全保障理事会の決議に基づいて、海外で自衛隊が活動するという縛りがあったのだが、国連が統括しない活動にも自衛隊が参加できるようにしたものだ。PKO参加5原則を満たすことが条件とはなっているが、この間の安倍政権の自衛隊の日報問題等を顧みるだけでも、約束が守られるかどうかはなはだ危うい。

今回の自衛隊2名の派遣について、岩屋毅防衛大臣は「人材育成の面でも大きな意義がある」と自衛隊員の教育を強調し、部隊の派遣については否定している。しかしながら、国連の関与しない他国籍軍に、自衛隊が参加する突破口となることに間違いはないだろう。それも、戦争法(平和安全法制)と一体のものである日米ガイドラインをアメリカと結び、シームレスに日米の軍事一体化がすすめられている現状では、アメリカ主導の戦争関連活動に自衛隊の部隊がかり出される危険が極めて高くなっている。

安倍政権は自衛隊員の命にどのように向き合うのか。自衛隊の現場からの重要な事実を覆い隠した日報問題を引き起こすような政権では、自衛隊員の命は守ることはできない。自民党の内部には、日報の公開そのものに自衛隊の活動の保全の点から異議を唱える議論も見受けられるが、全く逆だ。PKO5原則が順守されるのかどうか、また活動の経過で紛争当事国の状況が的確に把握され、それが公開されない限り、実質的なPKO5原則とのすり合わせはできない。命の問題でもあり、シビリアンコントロールを確実にするためにも必要なことだ。

平和フォーラムは、今回の多国籍軍・監視団への自衛隊派遣に反対を表明するとともに、戦争法に基づく米軍防護が拡大し、日米軍事一体化が進むことに強く抗議する。

 

2019年4月2日

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 勝島一博

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3.19安倍改憲NO!発議NO!緊急集会

安倍改憲をなんとしても止めるため、憲法改悪を阻止するため、そして改憲発議をさせないために働く仲間、市民が緊急集会に決起し、安倍政権の打倒まで闘うことを金沢市民、観光客に訴えた。

主催 安倍改憲NO!市民アクション・いしかわ  場所 いしかわ四高記念公園

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被災65周年3・1ビキニデー全国集会

被災65周年3・1ビキニデー全国集会

2019年3月 7日

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■被災65周年3・1ビキニデー全国集会
3月1日、静岡市内の静岡労政会館において、「被災65周年3・1ビキニデー全国集会が」行われました。当日は全国各地から250名が参加し、原水禁運動の契機となったビキニ事件の風化に抗し、核廃絶に向けた想いを新たにしました。
集会は、川野浩一原水禁議長の挨拶で始まりました。川野議長は、安倍政権の憲法改悪への動き、直前の米朝首脳会談の不調などに対する危機感を訴えました。
地元静岡県平和・国民運動センターの渡邉敏明会長のあいさつの後、TBS「報道特集」キャスタ―の金平茂紀さんから「日本人と核」をテーマに講演をいただきました。 金平さんは、なぜ米朝首脳会談が共同声明もだせず、不調に終わったのか、長年の海外取材の経験からその舞台裏を解説していただきました。また広島・長崎への原爆投下以降、日本人がどのように核を認識してきたか、「平和利用」の幻想にからめとられていった過程が語られ、それが2011年3月11日の福島第一原発事故につながっていったと話されました。その上で「人類と核が共存できない」と訴えられました。
その後、静岡の第21代高校生平和大使の取り組み報告や「戦争させない1000人委員会・静岡」からの要請、地元焼津市をはじめ、静岡県、静岡市からのメッセージを紹介し、最後に集会アピールを採択し、ビキニ・デー集会は幕を閉じました。

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「連合通信」のメーデーへ行こう!ポスター

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3.11八周年「真っ先に廃炉にすべき志賀原発!」集会(添田孝史さん講演会)

添田孝史講演会チラシ

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-復興とは何なのか-(311八周年)

『原子力資料情報室通信』第537号(2019/3/1)より

福島はいま9年目に入ろうとして-復興とは何を言うのだろうか-

〈福島復興〉の声がかまびすしい。来年の東京五輪のせいがおおきい。福島はアンダーコントロールと公言して招致した手前もあって、政府は放射能禍が無かったことにしたい。それは、明らかに、被害者を切り捨てることだ。環境に放出された放射能のうち、半減期が約2年のセシウム134は、満8年して4半減期が経過した今日、(1/2)を4回掛けあわせて(1/16)に減った。しかし、セシウム137は半減期が30年なので、あと22年待たないと、(1/2)にならない。
そもそも、フクシマ事故は解明されたのか。事故後、世に4種の事故調報告書が出されたが、いずれも、未完である。しかし、国会事故調に加わった人たちの中に「もっかい事故調」グループができて、その後も事故の因果関係を明らかにする努力が続けられている。議論は新潟県技術委員会の場で公にされつつあって、検証総括委員会(池内了委員長)に有力な知見を提示するだろう。
去る1月末、日本原子力学会「未解明事項フォローWG」の山本章夫幹事は新潟県技術委員会に出席して、73項目に抽出された課題について調査結果の概要を報告した。それによれば-
A:合理的な説明がなされていると判断されるもの、45%
B:既存発電所の安全対策高度化や廃炉作業の進捗の観点から重要でないと考えられるもの、8%
C:重要度は高いが、現時点では、これ以上の調査が困難であるもの、4%
D:重要であり、今後も継続した検討が望まれるもの、43%
だという。本誌今号の石川徳春論文は、Dに属すると思われるが、原子力学会はAだと言うのかもしれない。新潟県技術委員会のメンバーとの今後の真摯な議論を望みたい。原子力学会の言い分を、そのまま受け入れることはできないが、CとDを合わせて、47%もある。あまく見ても、半分しか説明できていないというわけである。
放射能被害に関して幾つか重要な事実が浮かびあがってきた。
①伊達市における住民被ばくに関する分析論文で、住民の同意を得ないデータを用いて、しかも、線量評価が3分の1と低く見積もられていたことが、発覚した。すでにイギリスの専門誌に公表された論文である。また、この論文は放射線審議会における審議で資料として使われていた。
②事故直後、双葉町の11歳の少女が甲状腺等価線量で100ミリシーベルト(全身では4ミリシーベルト)被ばくしていたことが判明した。把握できていないが、ほかにも多数あったはずである。
③三春町では、県の指示に従わずにヨウ素剤を配布し、子どもたちに服用させたことが知られている。実際どうだったか。この1月の京都大学などの研究グループの発表によると、0~2歳児で約半数、3~9歳児で約3分の2だった。
④郡山市の放射能汚染の詳細が私家本『毒砂』(2017年12月刊)で明らかにされた。県職員として事故対応に奔走した故・安西宏之さんが2015年5月から8月にかけて、市内480か所の空間線量率を克明に測定したもの(資料紹介を参照)。
事故被害者たちの受けた底知れなく深い傷は金銭で償えるものではないが、それにしても、東電には責任をとる姿勢がない。浪江町、飯舘村などのADR集団申し立て事件で、東電が賠償金額に同意せず、仲介和解案を拒んだ。損害賠償の解決の見通しが立たない。東電が宣言していた3つの誓いに真っ向から反している。
東電の責任を問う福島原発被害者たちの集団訴訟は全国で約30提訴がされている。また、東京電力の元会長らに対する刑事訴訟は3月中旬の最終弁論で結審する。

あらためて問う。〈復興〉とは何を指すのだろうか。

*3つの誓い:①最後の一人まで賠償貫徹、②迅速かつきめ細やかな賠償の徹底、③和解仲介案の尊重

(山口幸夫)

 

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放射能はゼロでなければ安全とはいえない(レイバーネットより無断投稿)

「放射能はゼロでなければ安全とはいえない」~医学博士・崎山比早子さんが講演

2017年4月2日、医学博士の崎山比早子さん(写真)の講演会が、さいたま市で行われた。主催は「原発問題を考える埼玉の会」。埼玉県に避難している福島の人や、除染・原発作業に携わった経験者など、60名が集まり、熱気あふれる質疑応答が続いた。折しも、3月31日に浪江町、飯館村、川俣町、4月1日には富岡町が避難解除になったばかり。これによって、3万2千人が「自主避難者」となり、住宅提供や精神的慰謝料が打ち切られることになる。「帰れるんだから帰ればいいじゃないか」という人もいるかもしれないが、避難を解除する基準になっているのは“年間20ミリシーベルト以下”。それを正当化する学者や研究者が居座っていることを、崎山さんは「この国の病だ」と断じた。

●年間20ミリシーベルトの意味するもの

一般の人の被ばく線量限度は、年間1ミリシーベルトである。20ミリシーベルトは放射線作業従事者の年間線量限度である。放射線作業者が働く放射線管理区域に18歳未満は立ち入ってはいけないし、飲食、喫煙、就寝などはしてはならない。そもそも事故前には、65%以上の放射線作業者の数年から十数年間の平均累積被ばく線量は0・7ミリシーベルト、20ミリを超えた人は17%だという。放射線作業者が働くのと同じ線量下で普通の生活を帰還する人たち(子どもを含む)に強いるのが今回の避難解除なのだ。もちろん最初は、1ミリシーベルトの基準を目指し除染してきた。しかし、フレコンバックの耐用年数は3~5年。入っているのは土なので、草の根っこが袋を突き破ってしまい封じ込めることができない。3・11後、大気中や水に交じったヨウ素やセシウムで、関東は汚染されているのだが、6年たった今も、福島第一原発の敷地内には事故時に放出された800倍の放射性物質が滞留しているそうだ。これは広島の原爆の13万4千発分の死の灰に相当すると計算されている。

●健康被害の実態

崎山さんは、低線量被ばくのメカニズムを、医学博士の立場から説明した。はっきりわかったのは、遺伝子は傷がついても修復されるものだが、放射線による傷は複雑なのでなおしにくく、なおしても間違いやすいということだ。間違えるとこれががんの原因になることがある。

被ばく者にみられる疾患は、がんだけではない。『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)によると、消化器系疾患(慢性胃腸炎、胃潰瘍、肝炎等)、神経系疾患(頭痛、てんかん、学習障害等)、泌尿生殖器疾患(腎障害等)、循環器系疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)多岐にわたり、同時に4~5種類の疾病にかかったりするのが特徴で、老化が早まったように見える。

検討委員会は「事故当時5歳以下の子どもからの甲状腺がんが見られないからチェルノブイリとは違う」と言い続けていたが、実は事故の時5才と4才の子どもも発症していた。4歳であった子どもは県立医大で手術を受けていたが、県民健康調査検討委員会に報告されていなかった。検討委員会も甲状腺がん患者が増えているとこと自体は認めている


*帰還政策を急ぐ政府のキャンペーン

●放射線教育の問題点

崎山さんは、「放射能の安全性に閾値はなく、ゼロでなければ安全とはいえない。これは科学者なら誰でも認めていること。にもかかわらず、『不安にさせてはいけない』という理由で公にしない。住民をあまりにも馬鹿にしている」と憤る。福島県内では環境省作成の『なすびのギモン』というパンフレットが、コンビニやスーパー、役所などに置かれている。ネットで観ることもできるし動画にもなっているのだが、ここには「100ミリ㏜以下では他の要因に隠れてがんの増加を証明することは難しい」等といったことが書かれている。また、放射線教育フォーラムの報告書には「原子力の安全性とは、つまるところ放射線の安全性に他ならない。」「現状を放置しておくと人々が僅かな放射線を恐れて、原子力の需要が進まず、エネルギー問題の観点から日本の前途が危うくなる」という記述があり、この価値観のもとに学校教育が行われているということだ。ベラルーシでは小学校に入学する前の子どもたちに、放射能の危険性や食べてはいけないものなどを教えているというのに、福島県では子どもたちに、手袋もマスクもなしで国道六号(福島第一原発から最も近い国道)の清掃をさせている。何ということだろう。

●不安を持つ人が追い詰められないように

会場には、いわき市から埼玉に避難しているお母さんが「甲状腺がんでアイソトープ治療が必要になった場合、将来子どもを産めるのか」といった切実な質問もあった。「福島県内の人は不安を感じていないようなので、県外に避難している自分が発信しないといけない」との思いを強く持っているという。崎山さんは、福島県以外でも甲状腺がんと診断された人のために「甲状腺がん子ども基金」を立ち上げた。「通院に交通費がかかったり、母親が仕事を休まなければならないといった問題を持つ人を支援するための基金だ」という。原発の危険性や放射線の影響については『よくわかる原子力』」というウェブサイトを作っているので、危険性を把握し、対策をたてるのに役立ててほしいと語った。

この報告を書いている矢先に、復興大臣の「原発自主避難は自己責任」発言が飛び込んできた。崎山さんの言葉で締めくくりたい。 「除染作業で数兆円をかけ、作業員を大量に被ばくさせても年間1ミリシーベルト以下にはならない。住民を安全なところに移住させても、数兆円なんてかからないのに。ICRPの放射線防護体系のどこにも、現在の被ばく線量よりも高いところに住民を移動させる政策は見当たらない。日本政府は放射線防護とは逆の政策をし、多くの研究者もそれを批判しない。自分たちの健康を守るためには一人一人が考え、決めていくことが必要。民主的で原発のない社会を築くのは、最終的には個人の力だ」。【有森あかね】

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–新防衛大綱と中期防–  2019.2閣議決定

–新防衛大綱と中期防–

装備や運用で専守防衛政策を突破
―「いずも」型護衛艦の空母化とミサイルの敵地攻撃化-    湯浅一郎    2019年2月28日

 2018年12月18日、政府は、防衛政策の基本指針となる新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)と防衛大綱に則って2019年から5年間に調達する装備などを定めた「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定した。宇宙・サイバー・電磁波などの新たな領域と従来からの陸海空能力を合わせた「多次元統合防衛力」なる新たな基本概念を提示した。また、政策上は専守防衛の継続の姿勢を示してはいるが、護衛艦の空母化やスタンド・オフ・ミサイル導入によって、装備上の観点から見れば専守防衛を突破し、運用態勢にも航行領域の飛躍的な拡大を日常化することで、大きな疑問を残した。

■宇宙・サイバーなど新領域を重視■          
 防衛大綱は、1976年に基盤的防衛力構想として初めて策定され、今回が安倍政権下で2度目、通算で6回目になる。76年の基本概念は、「自らが空白となり、周辺地域における不安定要因にならないよう、必要最小限度の防衛力を保有する」という基盤的防衛力であった。その後、基本概念は、動的防衛力(2010年)、統合機動防衛力(2013年)と変わり、時代状況に応じて拡張の一途をたどっている。今回は、新たに多次元統合防衛力という概念が掲げられた。この内容については後述する。
 大綱は、Ⅱ「わが国を取り巻く安全保障環境」で、「情報通信等の分野における急速な技術革新に伴い」、「現在の戦闘様相は、陸・海・空のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を組み合わせたものとなり」、また、中国や北朝鮮の動向を危機感をもって受け止め、「我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増して」いると情勢を分析する。全体として大綱は、宇宙、サイバーなどの領域(ドメイン)を重視し、中国を強く警戒する姿勢で書かれている。これらは、2015年4月に合意された「日米防衛協力新ガイドライン」に沿った内容である。
 そのことは、Ⅲ「防衛の基本方針」において、防衛体制において強化すべきとして挙げられている3つの分野にも反映している。

  1. 宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を獲得・強化する。その上で、これらの新たな領域と、従来からの陸海空の防衛力を多次元に統合し融合させる領域横断作戦等を可能とする「多次元統合防衛力」を構築する。
  2. 新ガイドラインの役割分担の下、引き続き日米同盟を強化していく。
  3. 「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを踏まえて、防衛力を活用しながら、多角的・多層的に安全保障協力を推進する。

■核兵器中心の拡大抑止・日米協議の深化■
 核兵器政策については、Ⅲの前文で次のように述べている。
 「核兵器の脅威に対しては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠であり、我が国は、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に協力していくとともに、総合ミサイル防空や国民保護を含む我が国自身による対処のための取組を強化する。同時に、長期的課題である核兵器のない世界の実現へ向けて、核軍縮・不拡散のための取組に積極的・能動的な役割を果たしていく。」
 13年の前大綱では「弾道ミサイル防衛」としていたが、今回は弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機などの経空脅威を総称して「総合ミサイル防空」に変わっているが、13年の前大綱とほぼ同じ文言である。
 しかし、重要な変化が見られる。日米同盟強化の文脈において「日米同盟の抑止力及び対処力の強化」の項目があり、その中で「拡大抑止協議の深化」が明記された。日米拡大抑止協議は2010年から定期化されているが、以前には、日本が米国の核巡航ミサイル廃棄に反対した秋葉文書が暴露された経過がある●1。拡大核抑止協議の深化は、日本が米国の核兵器やその使用政策に関与を深めることを意味するであろう。外交分野において日本の核兵器廃絶への努力どころか、核軍縮政策さえあいまいになっていることと合わせると、大綱の変更は注視する必要がある。

■中期防における主な装備品■
 同時に決定された中期防は、新防衛大綱に則して米軍との軍事一体化、さらにはトランプ大統領のディールに迎合した装備がいくつも盛り込まれた。報道され関心の高い装備が中期防でどのように書かれているかを以下に示す。

  1. 太平洋側をはじめ、「防空態勢を強化するため、有事における航空攻撃への対処、警戒監視、訓練、災害対処等、必要な場合にはSTOVL機●2の運用が可能となるよう検討の上、海上自衛隊の多機能のヘリコプター搭載護衛艦(「いずも」型)の改修を行う」。
  2. 上記に対応して、F35を45機、新規に購入し、そのうち18機は、短距離離陸・垂直離着陸機能を有する戦闘機とする(別表)●3。これが、改修された「いずも」型護衛艦に搭載される。
  3. 陸上配備型弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基を整備する。
  4. 相手方の脅威圏の外から対処可能なスタンド・オフ・ミサイル(JSM、JASSM及びLRASM●4)の整備を進める。
  5. 中期防の水準は、おおむね過去最高の27兆4700億円となった。

■専守防衛を破る「いずも」型護衛艦の空母化とスタンド・オフ・ミサイル■
 新大綱と中期防は言葉の上では専守防衛を守るとしている。しかし、実際には専守防衛を破る装備の導入や運用方法が示された。
 第一の問題は、「いずも」型護衛艦をSTOVL機を搭載できるよう改修し、事実上、空母化することである。改修後の「いずも」型護衛艦は、世界中のどこの海からも戦闘機を離発着させることのできる空母となる。
 18年12月18日、岩屋防衛大臣は記者会見で(資料1に抜粋)、専守防衛の保持は、専守防衛を越える装備・能力を持たないことによって担保するのか、もしくは政策として攻撃的な用途に使わないと担保するのかとの記者の質問に、岩屋大臣は、「専守防衛というのは憲法から導き出され、その考え方が今後変わることはない」と答えるとともに、「いずも」にSTOVL機は常時搭載せず、必要な場合にのみ運用するので専守防衛を逸脱しないと答えた。さらに攻撃型空母と見なされない担保はあるのかとの問いに、防衛大臣は、与党協議による修正により、常時搭載しないとすることによって攻撃型空母ではない担保になると説明した。一方、米軍機が離着陸する可能性について、緊急着陸や共同訓練ではありうるとしている。
 専守防衛の担保は3つの分野において必要である。①防衛政策・教義(ドクトリン)、②態勢(ポスチャー)と訓練、③装備の能力である。
 政府の政策として専守防衛を継続することは重要であり、大綱はそれを守ったことになっている。しかし、専守防衛を貫くためには、まずは「先制攻撃が可能な能力を持たないことで専守防衛を担保する」という原則をとるべきである。にもかかわらず大綱は、その点を大きく踏み外している。さらに、大綱は態勢において専守防衛を危うくした。常時搭載しないことは重要な態勢ではあるが、F-35という高度の攻撃能力を持つ装備を、必要時に搭載できるという態勢だけで専守防衛は揺らぐ。しかも、大綱は、インド太平洋派遣訓練に示されるように、自衛艦の平時からの海外プレゼンスを重視する方針を初めて打ち出している。航行範囲に制限をかけないまま、戦闘機が離着陸できる艦船を保有する態勢をとることは専守防衛の観点からしてはならないことであろう。
 第二の問題として、大綱はスタンド・オフ・ミサイルの整備を盛り込んだ。これは「島嶼しょ部を含む我が国への侵攻を試みる艦艇や上陸部隊等に対して、脅威圏の外からの対処を行うため」のスタンド・オフ防衛能力の強化として、敵の射程外からの長距離攻撃ができる巡航ミサイルである。今回ミサイルの射程距離について明らかにしてないが、小野寺・前防衛大臣は、記者会見(資料2に抜粋)で、ジェーン年鑑によれば、それぞれF-35に搭載するJSMが射程500km、F-15に搭載するJASSM及びLRASMはともに射程900kmであるとした。これらのミサイルを搭載した戦闘機は、防衛大臣はその目的を否定するが敵基地攻撃能力を持つことになる。上記の議論で言えば、③装備能力が専守防衛を超えることは否定できない。この間の自民党国防部会で敵基地攻撃能力の保有が主張されてきたことを重ねると、態勢や訓練の透明性が担保されない限り専守防衛の担保にはならないであろう。
 「いずも」空母化、スタンド・オフ・ミサイルのいずれにおいても、装備能力が専守防衛を明確に超えようとしている以上、運用態勢や訓練の情報公開による透明性を高める(例えば航泊日誌、訓練シナリオなどの情報公開など)ことなしに、専守防衛を担保することは困難になる。

注:
●1 本誌546-7号に関連記事。
●2 Short Take-off and Vertical Landing aircraft。短距離・垂直離着陸機。
●3 12月18日、政府は、F35は、将来的に147機体制とし、そのうち42機はSTOVL機能を持つ戦闘機とすることを閣議了解している。これらの文書には明記されてないが、STOVL機能を持つ戦闘機とはF35Bと見られる。
●4  JSM=対艦/対地/巡航ミサイルJoint Strike Missileの略称。JASSM=長距離空対地ミサイルJoint Air-to-Surface Standoff Missleの略称。LRASM=長距離対艦ミサイルLong Range Anti-Ship Missileの略称。

[資料1] 岩屋防衛大臣記者会見Q&A(抜粋)18年12月18日         
Q:日本の専守防衛というのは、専守防衛を越え得る装備・能力を一切持たないことによって、物理的に専守防衛を担保するという考え方なのか、もしくは用途を変えれば、他国の攻撃等、専守防衛を越えるものに使い得るけれども、日本の意思として、政府の政策として、そういう用途には使わないのだということで専守防衛を担保するのか?、つまり能力を持たないことで専守防衛を担保するのか、意思として専守防衛を担保するのかに関しての大臣のお考えは?。

A:専守防衛というのは憲法から導き出される、言ってみれば受動的な防衛の方針。その考え方が今後変わるということはない、変えてはいけないと思っている。軍事技術が想定以上のスピードで進んできている時に、どのような装備であれば専守防衛の枠内に入るか、あるいはどのような運用の仕方であれば専守防衛という枠内に入るか、ということは、常時検討して専守防衛という考え方・方針を逸脱することがないようにしていかなければいけない。「いずも」で言うと、先ほど申し上げたような運用の仕方であれば、それは憲法の精神や専守防衛の方針を逸脱するものではないと考えている。

Q:(前略)攻撃型空母と見なされないような運用をしっかりする歯止めの担保というのは、何か制度とか文書で作るお考えはおありでしょうか。

A:中期防の記述については、与党協議を通じて、一部修正があった。そこには、STOVL機の運用について (中略)具体的に記述をさせていただいたところでございます。当然、この方針に基づいて、運用をしていくということになりますので、これがしっかり歯止めになっていく。

Q:その中に「等」という言葉がある。今後、改修されたいずも型護衛艦に米軍機がそこから発艦したり、あるいは着艦することも可能性としてはあり得るのか。

A:例えば、米軍機が事故で緊急着陸する基地が周辺にない、そこに「いずも」型の護衛艦があるといった場合には、当然、救助のために緊急着艦を認めるということはあると思っておりますし、それから(中略)共同訓練の際には米軍の航空機が「いずも」から離発着するということはあり得ると思います。(後略)。

[資料2] 小野寺防衛大臣記者会見       2017年12月8日
 今般、一層厳しさを増すわが国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、自衛隊員の安全を確保しつつ、わが国を有効に防衛するため、相手の脅威圏外から対処できるスタンドオフミサイルとしてF-35Aに搭載するJSM等を導入することとし、本日、防衛省として追加的に予算要求を行う予定です。(前略)スタンドオフミサイルは、あくまでわが国防衛のために導入するものであり、いわゆる「敵基地攻撃」を目的としたものではありません。(後略)。
(中略)
Q:JSM等の導入についてお伺いいたします。まず、JSM等ということは、他にも同様のミサイルを導入するのか、JASSM-ER等も指摘されておりますが、他にも検討をされているのでしょうか。
A:今回、追加要求で検討しておりますのは、F-35に搭載するJSM、F-15等に搭載するLRASM及びJASSMを導入することとし、そのために必要な経費を計上すべく、追加的な要求を行うと考えております。細かいことですが、よくJASSM-ERという言い方がありますが、今JASSMはこのJASSM-ERしか作っておりませんので、このERのことをJASSMと私どもは呼んでおります。
Q:関連ですけれども、それぞれのミサイルの最大射程距離についてはどのように分析をしておりますでしょうか。
A:ミサイルの射程距離は、これを明らかにすることになれば、わが国の具体的な防衛能力を露呈することになりますので、これは従来からお答えは差し控えさせていただいておりますが、その上であえて申し上げれば、例えばジェーンズ年鑑のような公刊資料によれば、JSMは約500km、JASSMは約900km、LRASMは約900kmと承知をしております。これはあくまでも、公刊情報ベースのものであり、自衛隊が導入した場合における実際の射程距離を示すものではありません。
Q:スタンドオフミサイルという言い方をされましたけれども、これはどのような定義で、どの程度の脅威圏外、距離という意味で使っているのでしょうか。
A:これは、私どもが想定しています相手の脅威圏外という考え方で装備するミサイルですので、スタンドオフミサイルと私どもは呼んでおります。
Q:JSMとLRASM、JASSMはそれぞれどのような運用の仕方を想定されているのでしょうか。
A:JSMについては、導入予定のF-35A、ステルスタイプの戦闘機ですが、これに装着する予定になります。JASSM、LRASMにつきましては、F-15に、これは機体の改修等が必要ですが、回収した上で装着する予定と私どもは考えております。

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再び示された沖縄の民意を尊重し名護市辺野古新基地建設の中止を求める声明

再び示された沖縄の民意を尊重し

名護市辺野古新基地建設の中止を求める声明

平和フォーラム

2月24日、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が投開票された。その結果、投票資格者の過半数を超える投票によって、新基地建設反対72%、賛成19%どちらでもない9%の結果となり、新基地建設に対する県民の圧倒的反対という意思が示されることとなった。

国土の0.6%に在日米軍施設の70%が集中することによって、沖縄では自由、平等、人権、民主主義がはく奪され、日本がアメリカの属国であるかのようなしわ寄せが、理不尽に沖縄に集中してきた。

この間、2度にわたる沖縄県知事選挙で「基地はいらない」とする民意が示されてきたが、ことあるごとに安倍政権は、これらの公職選挙では新基地建設以外にも「様々な争点がある」ことを理由に無視し、また、法律を濫用し基地建設を強行してきた。

しかし、今回の県民投票はまさに新基地建設のみを対象にしたものであり、いかなる言い逃れも許されない。政府は新基地建設反対の圧倒的な民意に向き合わなくてはならない。

また、辺野古新基地建設については、埋め立て海域の軟弱地盤や活断層の存在、360件に及ぶといわれる高さ制限を超えた基地周辺建造物の存在など物理的に建設が不可能なことは明らかであり、さらに、埋め立て工費についても当初防衛省が示していた2400億円の10倍にも上る2兆5.500億円に膨らむと、沖縄県が試算していることからも、政府は速やかに建設計画を中止すべきである。

一方、来る2月27~28日に、第2回米朝首脳会談が開催されるなど東アジアは非核・平和の実現に向けて大きく動き出している中で、新基地建設がこうした流れに逆行するものであることも強く指摘しなければならない。

平和フォーラムは、この度の県民投票をしっかり受け止め、引き続き新基地建設反対の取り組みを日本の民主主義、立憲主義、地方自治を取り戻す闘いと位置づけるとともに、普天間基地の「5年の運用停止」という政府と県との約束履行を求め闘いを強化していく。

 

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首相官邸の質問制限に抗議する 2019年2月5日新聞労連HPより無断転載

首相官邸の質問制限に抗議する
2019年2月5日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 南 彰
首相官邸が昨年12月28日、東京新聞の特定記者の質問行為について、「事実誤認」「度重なる問題行為」と断定し、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」、「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と官邸報道室長名で内閣記者会に申し入れたことが明らかになりました。 記者会見において様々な角度から質問をぶつけ、為政者の見解を問いただすことは、記者としての責務であり、こうした営みを通じて、国民の「知る権利」は保障されています。政府との間に圧倒的な情報量の差があるなか、国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです。官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の「知る権利」を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します。官房長官の記者会見を巡っては、質問中に司会役の報道室長が「簡潔にお願いします」などと数秒おきに質疑を妨げている問題もあります。このことについて、報道機関側が再三、改善を求めているにもかかわらず、一向に改まりません。

なにより、「正確な事実を踏まえた質問」を要求する官邸側の答弁の正確性や説明姿勢こそが問われています。2017年5月17日の記者会見で、「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の文書が報じられた際に、菅義偉官房長官は「怪文書のようなものだ」と真っ向から否定。文書の存在を認めるまで1カ月かかりました。こうした官邸側の対応こそが、「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為であり、日本政府の国際的信用を失墜させるものです。官邸が申し入れを行った18年12月26日の記者会見でも、菅官房長官は「そんなことありません」「いま答えた通りです」とまともに答えていません。

日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸にはただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます。

《追記》

そもそも官邸が申し入れのなかで、東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断じた根拠も揺らいでいます。
記者が、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐり、「埋め立て現場ではいま、赤土が広がっております」「埋め立てが適法に進んでいるか確認ができておりません」

と質問したことに対して、官邸側は申し入れ書のなかで、

「沖縄防衛局は、埋立工事前に埋立材が仕様書どおりの材料であることを確認しており、また沖縄県に対し、要請に基づき確認文書を提出しており、明らかに事実に反する」「現場では埋立区域外の水域への汚濁防止措置を講じた上で工事を行っており、あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているかのような表現は適切ではない」

――と主張しました。

しかし、土砂に含まれる赤土など細粒分の含有率は、政府は昨年12月6日の参議院外交防衛委員会でも「おおむね10%程度と確認している」と説明していましたが、実際には「40%以下」に変更されていたことが判明。沖縄県が「環境に極めて重大な悪影響を及ぼすおそれを増大させる」として立ち入り検査を求めていますが、沖縄防衛局は応じていません。「赤土が広がっている」ことは現場の状況を見れば明白です。偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。

新聞労連は今年1月の臨時大会で、「メディアの側は、政治権力の『一強』化に対応し、市民の「知る権利」を保障する方策を磨かなければなりません。(中略)いまこそ、ジャーナリストの横の連帯を強化し、為政者のメディア選別にさらされることがない『公の取材機会』である記者会見などの充実・強化に努め、公文書公開の充実に向けた取り組みを強化しましょう」とする春闘方針を決定しています。今回の東京新聞記者(中日新聞社員)が所属する中日新聞労働組合は新聞労連に加盟していませんが、国民の「知る権利」の向上に向けて、共に取り組みを進めていきたいと考えています。

以上
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