シナイ半島の多国籍軍・監視団への自衛隊員派遣に反対する声明

政府は4月2日、エジプト北東部のシナイ半島でエジプト軍とイスラエル軍の活動を監視する「多国籍軍・監視団(MFO)」に陸上自衛隊員2人を派遣することを閣議決定した。

シナイ半島の問題をめぐっては、第3次中東戦争でイスラエルがエジプトのシナイ半島を占領し、その後1979年に「エジプト・イスラエル平和条約」の締結を受けて、1982年からMFOが展開し、エジプトに全面返還されている。MFOの主たる任務は、両国軍の活動状況と停戦の監視活動としている。日本政府は1988年から、このMFOに資金援助を行っており、昨年度も約500万円を拠出している。

「多国籍軍・監視団」に自衛隊を派遣できるようになったのは、2015年9月に安倍政権が多数の反対世論を押し切り、強行採決した戦争法(平和安全法制)に関連する法律によるものだ。改正された国連平和維持活動(PKO)法で可能になった「国際連携平和安全活動」が初めて適用される。

従前のPKO協力法が、国連総会、国連の安全保障理事会の決議に基づいて、海外で自衛隊が活動するという縛りがあったのだが、国連が統括しない活動にも自衛隊が参加できるようにしたものだ。PKO参加5原則を満たすことが条件とはなっているが、この間の安倍政権の自衛隊の日報問題等を顧みるだけでも、約束が守られるかどうかはなはだ危うい。

今回の自衛隊2名の派遣について、岩屋毅防衛大臣は「人材育成の面でも大きな意義がある」と自衛隊員の教育を強調し、部隊の派遣については否定している。しかしながら、国連の関与しない他国籍軍に、自衛隊が参加する突破口となることに間違いはないだろう。それも、戦争法(平和安全法制)と一体のものである日米ガイドラインをアメリカと結び、シームレスに日米の軍事一体化がすすめられている現状では、アメリカ主導の戦争関連活動に自衛隊の部隊がかり出される危険が極めて高くなっている。

安倍政権は自衛隊員の命にどのように向き合うのか。自衛隊の現場からの重要な事実を覆い隠した日報問題を引き起こすような政権では、自衛隊員の命は守ることはできない。自民党の内部には、日報の公開そのものに自衛隊の活動の保全の点から異議を唱える議論も見受けられるが、全く逆だ。PKO5原則が順守されるのかどうか、また活動の経過で紛争当事国の状況が的確に把握され、それが公開されない限り、実質的なPKO5原則とのすり合わせはできない。命の問題でもあり、シビリアンコントロールを確実にするためにも必要なことだ。

平和フォーラムは、今回の多国籍軍・監視団への自衛隊派遣に反対を表明するとともに、戦争法に基づく米軍防護が拡大し、日米軍事一体化が進むことに強く抗議する。

 

2019年4月2日

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 勝島一博

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