米、新たに宇宙軍と宇宙統合戦闘軍 日本は航空宇宙自衛隊・・・ こんなことしかできない安倍政権!

米国宇宙軍の創設  懸念される宇宙の軍事化・宇宙戦争  漫画のような本当の話! 先行する中国・ロシア

2019年12月31日 森山拓也

新たに創設された宇宙軍と宇宙統合戦闘軍

2019年12月20日、トランプ米大統領が2020年度の国防予算を定めた国防権限法に署名し、米国では陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に続く6つ目の軍の部門として、宇宙軍(Space Force)が創設された[1]。米国で新たな軍の部門が設置されるのは1947年の空軍以来、72年ぶりとなる。
現在、米国には陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つの「軍サービス」が存在する。陸、海、空軍は、それぞれ国防総省内の陸軍省、海軍省、空軍省が管轄するが、海兵隊は海軍省に属し、沿岸警備隊は国防総省の外にある国土安全保障省に属している。新たに創設された宇宙軍は、海兵隊が海軍省に属すのと同様に、空軍省の内部に設置される。
宇宙軍の創設に先立ち、米国は2019年8月、宇宙空間での軍事活動を統括する統合戦闘軍として、「宇宙統合戦闘軍」(Space Command)を正式に発足させている[2]。統合戦闘軍とは、米軍戦闘組織の最も大きい単位で、太平洋軍(Pacific Command)などの地域担当軍と、特殊作戦軍(Special Operations Command)や戦略軍(Strategic Command)といった機能別軍がある。宇宙統合戦闘軍は新たな機能別軍として、11番目の統合戦闘軍に加えられた。
トランプ大統領はもともと、2018年6月の国家宇宙評議会における演説[3]で、陸軍省、海軍省、空軍省と同格の宇宙軍省を創設するとしていた。しかし宇宙軍省の創設には議会の承認が必要であり、共和・民主両党から予算増大や組織の複雑化などの観点で反対論が示されていたため、すぐには進展が望めなかった。そこでトランプ大統領は当初の構想を後退させ、2018年12月、まずは宇宙統合戦闘軍の創設を国防総省に指示し[4]、2019年2月に宇宙統合戦闘軍の創設に関する大統領令に署名した[5]。
新たに創設された宇宙軍には、これまで空軍で宇宙関連の任務についていた部隊から、およそ1万6000人の人員が割り当てられる。また、一部の空軍基地が宇宙軍基地に改名される。トランプ政権は宇宙軍の創設により、宇宙空間を新たな「戦闘領域」として活動を強化する。

米国が進める宇宙の軍事化
米国が宇宙軍の設立に動いた背景には、現代の戦争において人工衛星などの宇宙インフラの重要性が増していることと、中露などが米国の宇宙利用を妨害する能力を高めていることへの警戒感がある。
衛星を使った偵察や通信といった宇宙の軍事利用は冷戦期から行われてきた。しかし現在、軍の活動にとって衛星などの宇宙インフラの重要性は格段に増し、それなしには任務遂行が困難なほどになっている。性能をさらに向上させた偵察や通信に加え、GPS衛星による巡航ミサイルの誘導、通信衛星を介したドローンの操縦、敵ミサイルの発射探知や迎撃ミサイルの誘導などは、宇宙インフラなくしては成り立たない。宇宙インフラへの依存が強まるほど、それが攻撃されれば大きな弱点ともなる。
米軍はこれまで、宇宙インフラの脆弱性を残したまま、宇宙インフラへの依存を強めてきた。米軍が軍事活動において宇宙を初めて本格的に活用したとされる1991年の湾岸戦争では、60機以上の衛星が偵察、通信、測位、ミサイル警戒、気象予測などで作戦を支援した[6]。それ以降に米軍が戦った相手はユーゴスラビア、タリバン、アルカイダ、イラクなどであり、米軍の宇宙インフラへの攻撃力をほとんど持たないアクターであった。そのため米軍は宇宙空間を利用して地上での戦闘をいかに効果的に支援するかに力を注ぎ、宇宙インフラの防衛には十分な関心が向けられてこなかった。
中国やロシアは、衛星攻撃兵器(ASAT)やサイバー攻撃能力を開発して、米軍の宇宙利用を妨害する能力を向上させているとされる。ASATには衛星を物理的に破壊する地上からのミサイルのほか、センサーや通信のジャミング(電波妨害)、他の衛星をアームで捕獲したりレーザーで攻撃する「キラー衛星」などがあり、様々な方法で敵の衛星の機能を妨害することを目的として研究・開発が行われている。中国は2007年に地上からのミサイルで衛星を破壊する実験に成功したほか、2015年にサイバー空間や衛星防衛を担う戦略支援部隊を人民解放軍に新設しており、ロシアも2015年に空軍を再編して航空宇宙軍を創設した。中露は米国のGPSに頼らない独自の衛星測位システムも実用化している。
2018年8月9日、ペンス米副大統領は国防総省での演説[7]で宇宙軍を2020年までに創設すると発表するとともに、中国やロシアの脅威に言及した。同日に米国防総省が議会へ提出した報告書「国防総省の国家安全保障宇宙コンポーネントのための組織および管理構造に関する最終報告」[8]も、米国の潜在的敵国が危機に際して米国の宇宙利用を拒絶する方法を活発に開発していることを脅威として挙げている。特にロシアと中国については、「両国は、米軍の有効性を減じるための手段として、様々なASATの開発を追求し続けるだろう」という国家情報長官による評価を紹介し、その他の潜在的敵国によるジャミング、ダズリング(目くらまし)、サイバー攻撃などに対しても警戒を示した。米国が宇宙軍を創設したのは、宇宙インフラを敵の攻撃から守り、場合によっては敵の宇宙インフラを攻撃することで宇宙空間における優位性を確立・維持するためである。
宇宙の軍事利用に向けた開発競争は米中露以外にも広がりつつあり、19年3月にはインドが世界で4か国目となるミサイルによる衛星破壊実験に成功した。19年7月にはフランスでもマクロン大統領が宇宙軍司令部を創設すると発言し、続いてパルリ国防相がASATを開発する計画を発表した[9]。安全保障における宇宙の役割は日本でも注目されており、防衛省は2020度予算の概算要求に、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新設する関連費用を盛り込んだ[10]。

人類の共有財産としての宇宙利用のため、各国は協力すべき
衛星を介した通信や放送、気象予報、GPSによる地図ナビゲートなど、宇宙インフラは経済・社会活動にとっても欠かせないものとなっている。宇宙が戦場となり、宇宙インフラの利用が妨げられれば、日常生活にも多大な影響が生じる。宇宙空間の利用は、人類共通の利益につながるものであり、共有財産として適切に管理する必要がある。
宇宙利用の拡大により問題となっているのが、宇宙空間の過密化だ。地表から300~1200kmの地球周回軌道上には多数の衛星が集中しており、民間企業が衛星運用に参入したことでさらに過密化が進んだ。同じ軌道上にはロケットの残骸や寿命を終えた衛星に加え、中国やインドの衛星破壊実験、2009年の米露の衛星衝突事故で発生した破片が大量に漂っている。こうした宇宙デブリ(宇宙ゴミ)との衝突は衛星に大きな損害を与える。他の衛星やデブリとの衝突から衛星を守るためには、宇宙状況の監視や多国間の情報共有が重要だ。
米国は中露の宇宙開発を警戒していると書いたが、実は中露は2008年に「宇宙空間における兵器配置防止等条約案」(CD/1839)[11]を提案し、2014年には改訂版(CD/1985)[12]を作成して、国連総会で条約交渉を呼びかけている。米中露が参加し1967年に発効した宇宙条約は、宇宙空間の平和利用を定め、地球周回軌道上への核兵器や大量破壊兵器の配備を禁じているが、通常兵器やASATの配備は禁止していない。中露の提案は宇宙空間への通常兵器の配備も禁止するものだ。しかし、米国は条約交渉に反対し続けている。宇宙の軍事利用の無制限な拡大を防ぐとともに、人類の共有財産としての宇宙利用を安定的で持続可能なものとするために、宇宙条約の改良も含め、宇宙利用に関する新しいルールを作る国際的努力が求められる。

森山拓也

  1. 米国宇宙軍HP:
    https://www.spaceforce.mil/News/Article/2045991/department-of-defense-establishes-us-space-force
  2.  米国防総省(19年8月29日)「米国防総省が宇宙司令部を設立する」
    https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/1948288/department-of-defense-establishes-us-space-command/
  3.  ホワイトハウスHP.
    https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-meeting-national-space-council-signing-space-policy-directive-3/
  4. ホワイトハウスHP
    https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/text-memorandum-president-secretary-defense-regarding-establishment-united-states-space-command/
  5. ホワイトハウスHP
    https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/text-space-policy-directive-4-establishment-united-states-space-force/
  6. 福島康仁 (2015)「宇宙の軍事利用における新たな潮流:米国の戦闘作戦における宇宙利用の活発化とその意義」『KEIO SFC JOURNAL』Vol.15, No.2, pp.58-76.
    https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal_pdf/SFCJ15-2-03.pdf
  7. 米国防総省HP。
    https://dod.defense.gov/News/Article/Article/1598071/space-force-to-become-sixth-branch-of-armed-forces/
  8. 米国防総省HP
    https://media.defense.gov/2018/Aug/09/2001952764/-1/-1/1/ORGANIZATIONAL-MANAGEMENTSTRUCTURE-DOD-NATIONALSECURITY-SPACE-COMPONENTS.PDF
    ピースデポ『核兵器・核実験モニター』554号に抜粋訳
  9. 『AFP通信』(19年7月25日)
    https://www.afpbb.com/articles/-/3236964
  10. 『時事通信』(19年8月31日)
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2019083001048&g=pol
  11. https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G08/604/02/pdf/G0860402.pdf?OpenElement
  12. https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G14/050/66/pdf/G1405066.pdf?OpenElement
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民間船「きいすぷれんだあ」号 ペルシャ湾でミサイル攻撃に晒された

日本政府が派遣した輸送船がイラクのミサイル攻撃に晒されていた「葬られた危機~イラク日報問題の原点~」                                                     2019.05.25 18:00

メ~テレ(名古屋テレビ放送)制作『葬られた危機~イラク日報問題の原点~』(平成30年日本民間放送連盟賞テレビ部門準グランプリ受賞作(1時間版))より

昨年4月、それまで「ない」とされていた自衛隊のイラクでの日報が公表され、派遣地域で戦闘が拡大しているなど、それまで明らかにされていなかった実態が浮き彫りになった。「自衛隊が活動するところが非戦闘地域だ」。当時の小泉総理はそう説明したが、行ってみれば、そこは戦場だったのだ。

そんな危機を体験したのは、自衛隊だけではない。29年前、湾岸戦争を前に日本政府が派遣した輸送船が、イラクのミサイル攻撃に晒されていたのだ。しかしその事実は、イラクの日報と同様、国民の目の届かぬ場所に葬られていた。

1990年8月、イラクがクウェートに侵攻。それから10日あまりが過ぎたころ、当時の海部俊樹総理の元に、アメリカのジョージ・ブッシュ大統領から「助けてくれ」との電話が掛かってきたという。外務省を軸に対応の検討に入った政府。しかし、外務省の北米局長だった松浦晃一郎さんによると、当時の日本の法制度では、海上自衛隊を後方支援に出してほしいというアメリカの要求に答えることはできなかった。

そこで政府は、民間の輸送船「きいすぷれんだあ」を”中東貢献船”として派遣することを決定した。船長は橋本進さん、現在85歳。11歳で太平洋戦争の終戦を迎えた橋本さんは、憲法9条には一方ならぬ思いがあった。海外航路の船長として生きてきた橋本さんに中東貢献船の話が舞い込んだのは、ニュージーランドから木材を運搬した直後のことだった。「後方支援で武器弾薬を積まなければ憲法に違反することもないし、この程度なら対応しなければいけないかなと感じた。もちろん生活もあるし、もしここで断ったら後どうなるかというのもあった」と、悩んだ末に引き受けることを決心した。

国会ではこの中東貢献船の派遣を巡って議論が行われていた。造船会社の労組出身だった草川昭三・衆院議員が積み荷の内容などについて質問、松浦さんは「武器、弾薬、兵員は輸送の対象としないこと」「協力相手国の指揮命令下に入らないこと」「乗組員の安全のため、安全航行に関して緊密に協議すること」などについて、日米間での了解があると答弁。橋本さんの妻の恒子さんも、「行くのは心配だった。反対まではいかなかったね。国会でそういうことを決めて武器弾薬は積まない、危険なところに行かないということを頼りにオッケーしたんだね」と振り返った。

そして1990年10月12日、橋本船長以下、21人の日本人船員が乗り込む「きいすぷれんだあ」が東京湾を出港した。船員の一人で、3等航海士だった高山浩志さんは、大きい船に乗りたいという希望が叶い、喜んだと回想した。まず「きいすぷれんだあ」が向かったのはニューヨーク近郊の軍港だった。何を積むかでアメリカ軍と船側で意見が割れ、橋本さんたちは「憲法に従った貨物しか積めない」と主張。軍用トレーラーの荷台を積むことになった。

翌年1月8日、地中海からスエズ運河を抜けてオマーン沖に到着、しばらく待機することになった。そして9日後、湾岸戦争が勃発する。イラク軍はアメリカに協力する周辺国にスカッドミサイルを次々に打ち込んだ。

この時のことについて、恒子さんは「開戦と新聞に出たときは本当にあーどうしようと思った」、高山さんは「自分にもしものことがあったらということで家族に電話した。札幌のお袋はワンワン泣いていた」。日本政府は東経52度線から西を危険海域とし、タンカーなどを含む船の航行を自粛するよう求めた。しかし、アメリカ軍が求めた行先は、危険海域の中にある、サウジアラビア東部のダンマンだった。

停泊中の「きいすぷれんだあ」にはアメリカ軍の将校が度々乗り込み、指示をした。そして、ダンマンへ行くことを認めた日本の公文書は、外務省北米局長だった松浦晃一郎さん、運輸省海上技術安全局長だった戸田邦司さんの決裁を受けていた。松浦さんは「外務省の担当者課長から運輸省と海員組合と話をして、おそらくアメリカとも話したのでしょう、安全だということで」、戸田さんも「いちいちそれで船を止めたり、行き先を変えたりしたら、また面倒な話になる」と証言する。
21日、「きいすぷれんだあ」は東経52度線を越えダンマンに向かう。この頃、イラク軍のミサイルには化学兵器が使われているという情報が流れており、船員にはガスマスクが配られた。

翌日の午後、ダンマンに入港。そのとき、「きいすぷれんだあ」の上空にイラクのミサイルが飛んできた。「パッと見ているときに、雲の向こうからオレンジ色の光が見えた」(高山さん)、「パトリオットが迎え撃って、命中して、頭上でドーンとバーンと落ちた」(橋本さん)。政府の説明とは異なり、「きいすぷれんだあ」は、戦場の中にいたということになる。橋本さんは報告書を作り、船会社を通じ外務省に提出した。

「23時5分頃、又、大小の爆発音」
「安全地帯かどうかというよりも戦闘地域との感じがあります」
「本船入港当時は、戦場であった」しかし、この報告書の内容が国民に知らされることはなかった。今回、情報開示請求で入手した、「きいすぷれんだあ」に関する文書には、この報告書も含まれていたが、報告書は無期限の極秘とされていた。

「きいすぷれんだあ」は、91年3月に無事帰国する。政府からは感謝状が贈られたが、ミサイル攻撃について話題にする政府関係者はいなかった。恒子さんは「ひっそりと帰ってきた 隠すみたいに」「マスコミなど一切何もなかった」、高山さんも「報道がなく、なぜだろうと思った。一船員が行かないはずだった戦場に入ったからでしょう」と振り返る。

政府は「きいすぷれんだあ」を派遣している間も、自衛隊の派遣について検討を重ねていた。そして湾岸戦争の終結後、海上自衛隊の掃海部隊をペルシャ湾に派遣する。その後、自衛隊の海外活動は防衛出動、災害派遣と並ぶ基本的な任務となった。イラク派遣以降、自衛隊の訓練は、海外での実戦を想定した内容になりつつある。政府によって派遣された中東貢献船「きいすぷれんだあ」が晒された危機。その事実が伏せられていたことを、関わった人々は今、どう評価するのか。

元外務省北米局長の松浦さんは「当時の私の国会答弁を見てくださいよ、予算委員会で連日やり、さらには外務委員会、大蔵委員会を全部やっているから、こういう個々の問題は、ほぼ徹夜の連続だから申し訳ないけど、下に全部授権していたから。文書は公表されるべきでないが攻撃の事実を公表すべきだったかは、自問自答して返事が出てこない」。草川元衆院議員は「戦闘地域だった…今の日報問題と同じ。国会の問題で改めてこういう事実があるじゃないかと議論しないといけない」と話した。また、元運輸省海上技術安全局の戸田さんは「国会で公開していいことなんて何もない。うるさいだけ。こんな中身まで国会で質問されて答えられる話ではない。余計な労力がかかるじゃないですか忙しいときに。国会に呼び出されて、野党が”お前らこんなこと隠している”なんて言われたら能力が3倍あっても4倍あっても足りない。だから知らせないで済むことは知らせない」。

戦闘はないと言われて、行ってみれば、そこは戦場。でも、戦場だったことは言わないまま。派遣当時の外務大臣だった中山太郎氏は「船を派遣したということ自体、戦争に加わったということ。いろんな経験を国民がして脱皮していく。そういう意味では日本は成功した」と振り返る。

「後方支援も問題がある。やっぱりしないで済めば、しないほうがいいですね。戦争にある意味、加担したわけですからね。もう戦争には二度と手を触れたくないというか、染めたくないというか、(少し触れたという思いは)ありますね」と橋本さん。第二次世界大戦では、6万643人の日本の船員が犠牲となった。5月、戦没した船員を弔う式典の会場に橋本さんの姿があった。憲法を大切にしてきたはずの自分が、なぜ湾岸戦争に手を貸すことになったのか。その理由を橋本さんは問い続けている。

( 『葬られた危機~イラク日報問題の原点~』より)

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特攻志願 事実上の強制だった

姫路海軍航空隊の思い出を語る桑原敬一さん=横浜市

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姫路海軍航空隊の思い出を語る桑原敬一さん=横浜市

 その日は、楽しい一日になるはずだった。1945(昭和20)年2月8日。艦上攻撃機のパイロットを養成する姫路海軍航空隊として鶉野飛行場(兵庫県加西市鶉野町)で訓練を受けていた桑原敬一さん(92)=横浜市=らは、休日で外出できるとあって朝からはしゃいでいた。

しかし突然、集合が掛かり、上官から告げられる。「特攻隊を編成することになった」

爆弾を抱えた航空機で敵艦に体当たりをする「特攻」は、44年10月のフィリピン・レイテ沖海戦から始まった。日本軍の航空機と搭乗員が減る中、練習航空隊も特攻隊に組み入れられることになった。

紙切れと封筒を渡され、希望するかしないか、誰にも相談せずに書いて出せという。その場は重苦しい雰囲気に包まれた。

当時、18歳だった。岩手県にいる母と姉、4人の妹や弟のことが気になった。一番下の弟とは12歳離れていた。2カ月ほど前に父が亡くなったばかり。体が弱い母と姉が働き、桑原さんは仕送りを続けていた。白紙で出そうかとも迷ったが「命令のままに」と書き、封筒に入れて出した。

午後から、海軍飛行予科練習生(予科練)からの同期生で酒でも飲んで気分を変えようと、北条の町(加西市中心部)に繰り出した。「何て書いた?」。自然とそんな話になる。白紙や「希望しない」という者はいない。「半殺しに遭うもんな」と語り合った。

「建前社会の軍隊では本音が言えず、事実上の強制だった」

2日後、選ばれた者が発表された。桑原さんの名前もあった。頭の中が真っ白になった。家庭の事情に配慮してくれるという淡い期待は裏切られ、大きな足で踏みつぶされたような圧迫感を覚えた。

予科練の同期18人の中で選ばれたのは7人と記憶している。名前を呼ばれたのは操縦技術の優れた順だった。桑原さんは4番目だったという。

燃料が足りないため、航空機には選ばれた者しか乗れず、宿舎も別になった。指名されなかった者はほっとする一方、肩身が狭い。彼らの複雑な心境をその視線から感じた。

離着陸、編隊飛行、降下。これまでしてきた訓練の中に変化もあった。降下爆撃なら、一定の高さまで降りたら操縦桿を引いて上昇するが、特攻の場合はそのまま突っ込む。

「大地がぐっと迫ってくるのに、引いちゃいけないんだ、という緊迫感があった。『死』を完成させるため。これは大変なことだ、と思った」

■    ■

73年前、鶉野飛行場で訓練した姫路海軍航空隊から神風特別攻撃隊「白鷺隊」として出撃した63人が命を落とした。1・2キロの滑走路が伸び、防空壕や機銃座が残る同飛行場跡を平和学習や観光などに活用しようと、市は整備を進める。生き残った元隊員や住民の記憶をたどり、隊員たちの素顔に迫る。(森 信弘)

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1.7「2020新春の集い」 ANAホリディイン金沢スカイ18階

オープニングは白山市を中心に活躍するシルバー4人組の「松任ベンチャーズ」の演奏で始まりまった「2020新春の集い」は、石川県平和運動センターと石川県勤労者協議会連合会の共催で成功裏に開催しました。

橘県平和センター代表は「現状では子どもたちの将来が危ぶまれる、反戦・平和の強化を」と訴えました。知事代理の山沢県参与、西田連合石川会長、近藤衆議院議員からはご祝辞を賜りました。

岩淵社会法律センター理事長は「将来に禍根を残す憲法改悪と、中東アラビア海への自衛隊派遣を許してはならない」と訴えました。盛本社民党県連代表は、憲法改悪反対と戦争反対の中心で県平和センターは頑張ってほしいと叱咤激励をいただきました。残念ながら立憲民主党との「合流」問題には触れませんでした。そのほか、一川政之県議、吉田修県議、本吉浄与県議、岡野定隆志県議をはじめ、森一敏金沢市議、山本由起子金沢市議、田中美絵子金沢市議、喜成清恵金沢市議など多くの市議、町議に駆けつけていただきました。

お屠蘇気分を早急に吹き飛ばし、自衛隊の戦争参加を阻止するため全力を尽くし、安倍政権を終わらせましょう。

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自衛隊を中東に派遣する閣議決定に抗議する声明

2019年12月27日

 自衛隊を中東に派遣する閣議決定に抗議する声明

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)

共同代表 藤本 泰成

共同代表 福山 真劫

 安倍内閣は本日(2019年12月27日)、自衛隊を中東に派遣する閣議決定を行った。派遣は防衛省設置法の「調査・研究」を根拠として、護衛艦1隻とソマリア沖アデン湾で海賊対処活動をしているP3C哨戒機1機を派遣し、自衛隊員260人の規模だという。活動の範囲は、ペルシャ湾やホルムズ海峡は除外して、オマーン湾やアラビア海北部、アデン湾とし、派遣期間は1年間とした。本来防衛省設置法の「調査・研究」であれば、防衛大臣の命令だけで可能であるが、国会の関与を印象付けたい安倍内閣は、閣議決定を行い、活動が終了した際には国会に報告することも義務付けた形だ。自衛隊の活動については、公には情報収集活動をすることが目的とされているが、不測の事態が起きれば、自衛隊法に基づく海上警備行動も閣議決定の上、発令するという。これで武器を使用しての船舶の護衛が可能というわけだ。

 米国がイラン核合意から一方的に離脱をし、中東情勢が悪化したことが事の発端だが、米国が求めていた有志連合「センチネル(番人)作戦」に日本は参加を見送り、歴史的に友好関係にあるイランと米国双方に配慮し、苦肉の策を弄しての今回の派遣であるという演出がなされている。

しかし、実態的には船舶の護衛と海域の監視活動であることは明らかで、この目的のために今後自衛隊の海外派遣がなし崩し的に拡げられるおそれがある。そもそも自衛隊と米軍は、平時から緊急事態までのいかなる状況においても、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域において防衛協力することが取り決められている。これは2015年4月に日本とアメリカで結ばれた「日米防衛協力のための指針」(日米ガイドライン)に明記されているものだ。安倍政権は日米ガイドライン締結直後に、多数の反対世論を無視して安保法制(戦争法)を強行成立させた。国会承認が不要な行政協定に過ぎない日米ガイドラインを日本国内に適用させるために、必要な法整備を行ったものと考えられている。ただこの安保法制も、国会審議の際に安倍首相が「湾岸戦争やイラク戦争のようなものには参加しない」と答弁していたように、制約もあった。

今回の自衛隊派遣を通して、「自衛隊の活動に制約があり充分な対処ができない」、「法整備の必要性を痛感」などという世論が組織され、安保法制の「改正」が目論まれることもあるかもしれない。安倍政権は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をするなど脱法行為を繰り返し、すでに日本国憲法を空洞化させている。そして憲法を越えた日米ガイドラインの内容にそった日米の軍事協力がますます進められていくおそれもあるだろう。

私たちはこのような憲法がないがしろにし、日本が「戦争ができる国」へと進むことを許してはならない。そして自衛隊員が「普通の国の軍隊」のように他国に派遣され、殺し殺される関係の中に入っていくことは何としても阻止しなければいけない。

日本はすでに危険な道を歩み始めているが、まだ引き返すことは可能だ。

平和フォーラムは憲法改悪を阻止し、安倍首相の退陣を求めた闘いに全力をあげていく。そのことが、戦争への道を阻み、わたしたちのいのちと生活を守り、自衛隊員のいのちをも守ることにつながると確信する。

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12.23安倍政権による「自衛隊、中東派遣の閣議決定止めよ」記者会見・共同声明

20191224115744「中東への自衛隊派遣の閣議決定は止めよ」共同声明 (1223)

「憲法改悪阻止!戦争法廃止!」を呼びかける八団体(戦争をさせない石川の会 九条の会・石川ネット 県労働組合総連合 県平和センター 戦争をさせない1000人委・石川 県憲法を守る会 憲法会議 青年法律家協会)

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膨張し続ける「軍事ローン」20年度当初予算5.3兆円後年度負担5.4兆円

20年度後年度負担5.4兆円(予算5.4兆円) 

22年度後年度負担5.8兆円(予算5.7兆円)

23年度後年度負担10.8兆円(予算6.8兆円)

24年度後年度負担14.2兆円(当初予算8.9兆円)

25年度後年度負担15.8兆円

膨張し続ける「軍事ローン」

 

 

 

 

 

 

2020年度軍事費予算案で、高額兵器の購入などによる「軍事ローン」の返済額(歳出化経費)は2兆326億円、19年度比3・3%増となりました。軍事費全体の38%を占めています。また、新たなツケ払いとなる「新規後年度負担」は2兆5633億円で、“借金”の残高となる「後年度負担額」は、5兆4310億円にまで膨れ上がりました。第2次安倍政権後、8年連続で増えています。憲法86条で規定された「予算単年度主義」を踏みにじり、将来にわたって軍事費の増大をもたらすことになります。

また、防衛省が4287億円を計上した19年度補正予算案では、「歳出化経費」が3807億円と、約9割を占めました。そのうち、F35Aステルス戦闘機やKC46A空中給油機など、米国からの有償軍事援助(FMS)による兵器調達の返済額が1773億円にのぼっています。当初予算でまかなうべき兵器取得の支払いを補正予算に前倒しする形で、財政法上、当初予算編成後に生じた事由に基づく緊要な場合に限り認められる補正予算の趣旨を逸脱しています。(赤旗より無断転載)

 

2015年度軍事費予算案では、「後年度負担額」は4.4兆に。

2020年度軍事費予算案では、「後年度負担額」は5.4兆に。

2022年度軍事費予算案では、「後年度負担額」は6兆近くに。

2023年度軍事費では、「後年度負担額」は11兆近くに。

2024年度軍事費では、「後年度負担額」は14兆超に。

2025年度軍事費では、「後年度負担額」は16兆近くに。

 

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緊迫する北朝鮮「非核化」問題

20191218 北朝鮮、非核化応じず、交渉停滞、深まる不信 中国発の空母 新たな燃焼実験

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12月16日志賀原発を廃炉に訴訟(富山) 17日北信越ブロック関生オルグ 18日自衛隊への18才以上名簿提供止めよ!申入れ

16日「志賀原発を廃炉に!」富山「株主」訴訟 富山地裁

富山株主訴訟 第二回口頭弁論

17日平和フォーラム北信越ブロック(福井県、富山県、石川県)関生オルグ(県平和センター事務局・会議室3)

県憲法を守る 会常任委・戦争させない1000人委石川合同会議(社民党)

18日金沢市長申入れ(自衛隊への18才以上名簿提供やめよ!) 市民局長

2019.12.18 自衛官募集に係る対象者名簿提供の取りやめを求める申し入れ書

 

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【注意情報】陸海空自 サイバーで縦割り(行政)壊す!

陸海空自、サイバーで縦割り壊す。

サイバー攻撃は戦争だ!   (2019/7/9 2:00更新)

第5の戦場――。サイバー空間は宇宙と並び、安全保障における新たな重要領域だ。サイバー空間で優位を奪われれば陸海空の戦力は無力になる。新たな空間への対応は日本の防衛にとって必須の課題だが、自衛隊にとっては1954年の発足以来続いてきた強固な「縦割り組織」をどう崩すかという別の難題でもある。

「陸自は人が多くていいよな」「海自が言うことを聞いてくれない」「空自が突然こんなこと言ってきた」――。陸海空の隊員が互いに不満を漏らし合う光景は、防衛省本省がある東京・市谷では日常茶飯事だ。

■「縦割り」表す四字熟語

誰が言い出したか、自衛隊の組織の特徴を捉えた四字熟語がある。陸自は「用意周到、動脈硬化」。海自は「伝統墨守、唯我独尊」。空自は「勇猛果敢、支離滅裂」だ。

簡単に解説すると、こんな意味だ。陸自は全体の6割を占める巨大組織。書類などの準備は入念だが、動きは鈍い。海自は旧海軍の人員を引き継いで発足した。伝統を重んじる気風が強い。それだけに他の組織とのあつれきを生むこともある。空自は戦闘機のパイロットが組織の中核を担う。パイロットは臨機応変な対応がモノを言う。スピード感はあるが、他の組織からみれば筋道が立っていない部分もある。

強固な縦割り組織は各国の軍隊でもよくみられる。これまでは「縦割り」がそれほど問題視されることはあまりなかった。在外日本大使館に駐在する陸海空の武官などをのぞくと、通常は互いが混じり合って働くことはほとんどないためだ。安全保障環境は激変し、従来の組織の枠組みでは対応しきれない事態も出てきた。代表例が陸海空の混成部隊として2014年3月に発足した「サイバー防衛隊」だ。

13年5月にサイバー防衛隊準備室が発足した(防衛省提供)

13年5月にサイバー防衛隊準備室が発足した(防衛省提供)

サイバー空間への対応と統合部隊の立ち上げ――。自衛隊にとって二つの新たな領域だ。チーム運営の難しさは誰もが予想できた。その初代隊長を命じられたのが空自出身の佐藤雅俊(58)だ。佐藤は1984年に防衛大学校を卒業し航空自衛隊に入隊した。職種は航空基地やレーダーサイトの通信機器を取り扱う「通信電子」だった。幹部学校の研究員として各国のサイバー領域に関する政策を研究していたこともある。隊長への就任はなんとなく予感していたという。

陸海空、それぞれの組織から集められたのは約90人。まず佐藤が訴えたのは「陸海空の力の結集」だった。佐藤は繰り返し隊員に「心を一つにしよう」と説いた。これは逆説的に、これまで陸海空が一つになりきれていなかったことを意味している。

■言葉が通じない

陸海空の自衛隊は普段、現場の隊員同士でコミュニケーションを取ることはほとんどなく、同じ自衛隊でも組織文化や言語表現は異なる。たとえば発足当初、こんなこともあった。「きちんと『たてつけ』しないと」。海自出身の隊員が言うと、ある陸自出身者は周囲を見回した。「どこか扉が壊れていたかな」と思ったが、どうも話がかみ合わない。海自では普段から「たてつけ」を「準備」という意味で使っているという。

初代サイバー防衛隊長を務めた佐藤

初代サイバー防衛隊長を務めた佐藤

佐藤は異なる組織文化を逆手に取った。陸海空では、あいさつの様式が少しずつ違う。たとえば陸自と空自は「敬礼」の合図と同時に敬礼する。海自では、それぞれのタイミングで敬礼してあいさつする。

「きょうは海自式だ」。送別会の際も、海自出身者が対象の場合は、制帽を振って見送る「帽振れ」の合図とともに別れを惜しんだ。頭ごなしに命令しても組織は動かない。それぞれの伝統を尊重する雰囲気をつくるよう心がけた。

急ごしらえで部隊が発足したこともチームの融合の足がかりとした。

18年末に策定した防衛大綱ではサイバーなどの新領域を「死活的に重要」と位置づけた

18年末に策定した防衛大綱ではサイバーなどの新領域を「死活的に重要」と位置づけた

通常、新たな部隊を編成する場合、隊員が訓練を積んで、一定の水準に能力が達してから正式に発足する。だが、サイバーテロの危機は迫っており、サイバー防衛隊にその余裕はなかった。13年5月に準備室が発足してから、わずか1年程度の準備期間で部隊は発足した。「サイバーセキュリティって何?というところからスタートする人もいた」と佐藤。あらゆることが手探りのなかで、出身部隊を超えて経験者が未経験者を指導した。未経験者向けの訓練プログラムも作り、個々の能力を底上げした。その間に融和が進んだ。

■「異文化」吸収の芽も

「空自はスピード感がある。陸自の上意下達のやり方じゃ遅い」。陸自出身者は、自分たちの組織の欠点に気づかされた。一方、海自出身者は陸自の隊員をみて「指揮命令系統がしっかりしている」と感心した。

「縦割り」の殻に閉じこもっているときは、互いの悪い点に目が行きがちだった。だが、今は互いに「異文化」を吸収する芽が生まれつつある。

多くの人が「組織の常識や前例にとらわれない佐藤らしい」と言う一枚の写真がある。サイバー防衛隊の発足当初、防衛相(当時)の小野寺五典(59)がオペレーションルームを視察した際の様子だ。佐藤が椅子に座り大画面に指をさし、小野寺が腕組みをして画面を眺めている。一見、何の変哲もない写真だが、自衛隊の関係者が見ると異様に映る。

防衛相は最高指揮官の首相の下で自衛隊組織を統括する。通常は防衛相が現場を視察する際、隊員らは直立して出迎える。防衛相を立たせたまま、現場の隊長が着座することはまずない。佐藤は「サイバー防衛隊は機密性が高く現場の隊員の顔をさらすことができなかった。パソコンの操作をしながら説明したからだ」と話す。「でも、幻の1枚だ」と語る。

佐藤は定年退官を控え、16年12月にサイバー防衛隊長を退いた。防衛省内の会議室で開いたささやかな退官パーティーで、佐藤は部下たちに訴えた。「世界に通用する負けない部隊になってほしい」。会合が終わると隊員らが佐藤を見送るため道路の前に整列した。

指揮通信システム部長の市田

指揮通信システム部長の市田

「敬礼!」。全員そろっての別れのあいさつは、合図とともに同時に敬礼する空自式だった。空自出身の佐藤に配慮した部下たちの計らいだった。「海自バージョンでいいよ、って言ったのに」と佐藤は笑う。

サイバー防衛隊の隊員は現在、発足当初より6割増え約150人の体制になった。23年度までには500人規模のサイバー防衛部隊を新編する。米国の人員は6000人規模、中国は数万人単位いるとされ、自衛隊の体制構築は途上だ。サイバー防衛隊を統括する統幕の指揮通信システム部長の市田章(53、海将補)は「持続可能な組織にしていくのが今後の課題だ」と強調する。

■稲妻にこめた意味

エンブレムの稲妻には陸海空の力を結集する意味を込めた

エンブレムの稲妻には陸海空の力を結集する意味を込めた

サイバー防衛隊には、発足後に若手隊員の発案をもとに作った部隊のエンブレムがある。くちばしに刀をくわえたフクロウの両側に稲妻をあしらったデザインは陸と海と空の力を結集する意味を込めた。

急速な技術の進展への対応、組織の融和、人材育成……。サイバー防衛隊は最初の一歩を踏み出したが、自衛隊全体ではまだ陸海空の縦割りは続き、予算の奪い合いも激しい。だが、日本を取り巻く安保環境が激変するなか、サイバー防衛隊が向き合う課題は自衛隊という組織全体の課題でもある。=敬称略、つづく

(加藤晶也)

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