第6回口頭弁論後に行なわれた関係者の打合せ。 次回の第7回口頭弁論では「学者の意見書」を提出し、勝利を確実なものにする。
48年ぶりに金沢市内で開催を予定されていた「5.24軍事パレード」に反対する集会を、毎年「憲法集会」で使用している「金沢市役所前広場」で開催しようと使用申請した。ところが「国の行事に反対するような集会には・・」とか「金沢市の姿勢と合致しない」とか「示威行為」であるとして「使用不許可処分」をしたことを発端として裁判です。
以下、経緯、理由、根拠などをまとめましたので、ご一読いただければと思います。
金沢市庁舎前広場使用不許可損害賠償請求事件報告
1 事案の概要 2015.6.23
| H26.4.16 |
金沢市において,5.24に金沢駐屯地の自衛隊員による陸海空自衛隊市中パレードが開催されるとの報道⇒護憲等を求めて活動する団体及び個人(以下,「原告ら」という)は,上記パレードの開催に反対するため,「軍事パレードの中止を求める集会」(以下,「本件集会」という)を5.19に行うことを企画 |
| 4.25 |
原告らの意を受けた金沢市議会議員Y氏が,金沢市長に対し,本件集会を開催する目的で,金沢市庁舎前広場(以下,「本件広場」という)の使用許可を申請 |
| 4.30 |
金沢市の担当職員が,上記Y氏に対し,上記申請は不許可となる旨口頭で告知 |
| 5.1 |
Y氏や原告らの一部等5名が,処分理由の説明を受けるため,担当職員2名らと面談担当職員は,本件広場の使用許可に関しては金沢市庁舎前広場管理要綱(以下,「本件要綱」という)が適用され,本件集会による使用は本件要綱中の「政治的な行為」にあたるので,不許可処分となると説明使用許可の判断に際し,金沢市庁舎管理規則(以下,「管理規則」という)が適用されるとの説明や,資材置場等として専用的に使用するため支障があるとの説明は一切なし |
| 5.2 |
石川県平和運動センター事務局長である原告中村が,本件集会を開催するため,原告石川県平和運動センター名にて本件広場の許可を再度申請 |
| 5.7 |
集会参加予定者,弁護士,原告ら6名が再度の説明を受けるため,担当職員と面談担当職員は,本件広場には本件要綱が適用され,管理規則は適用されないと明言 |
| 5.14 |
金沢市長が,再度の申請に対し,不許可処分不許可の理由は,「庁舎前広場内において,特定の個人,団体等の主義主張や意見等に関し賛否を表明することとなる集会を開催することは,金沢市庁舎等管理規則第5条第12号に定める示威行為に該当すること。加えて,現在施工中の庁舎の耐震改修工事の期間中においては,庁舎前広場を来庁者の仮設駐輪場,工事用の足場や資材置場として専用的に使用することから,同条第14号に定める行為に該当し,庁舎等の管理上支障があるため」⇒5.7の担当職員の説明とは,適用される法令の種別・条項も,不許可理由も全く異なり,一度も議論になったことのない理由づけがなされていた |
| 5.16 |
原告中村が,5.14付不許可決定処分に対し,異議申し立て |
| 5.19 |
不許可処分により,原告らは,急遽会場を変更し,石川県中央公園にて集会を開催同日,原告石川県平和運動センターは,会場手配費用として1,460円を支出 |
| 6.17 |
5.19経過により不許可処分取消を求める実益が失われたとの理由で異議申立却下 |
2 訴訟の提起
⑴平成26年7月18日,原告らは,金沢市を被告として,訴訟を提起
⑵請求の趣旨
①原告石川県平和運動センターに対する,国家賠償法第1条第1項に基づく代替集会開催費用1,460円の支払請求
②各原告らに対する無形損害ないし慰謝料各21万円及び弁護士費用の支払請求
3 原告らの主張
⑴憲法21条1項違反
▽本件集会のような自己統治の価値を有する表現の自由・集会の自由は最大限保障されるべき
→意見表明の集会は示威行為にはあたらない
▽仮に本件集会が示威行為に該当するとしても,重要な権利である表現の自由・集会の自由を制限するにはやむを得ない事情が必要であるところ,本件でそのような事情はない
⑵地方自治法244条2項,3項違反
▽本件広場は,市民の利用を前提として設置された施設であり,「公の施設」に該当する
▽予定されていた本件集会は,その規模・内容からみても示威行為にはあたらず,管理規則第5条第12号を理由とする不許可処分に「正当な理由」なはい
集会実施予定日に本件広場が資材置場等として専用的に使用されていた事実はなく,同条第14号を理由として不許可処分することにも「正当な理由」はない
▽本件広場での集会使用が断られた例はないから,本件は「不当な差別的取扱い」にあたる
⑶ 裁量の逸脱・濫用の違法性
▽不当目的
被告は本件処分に当たり,考慮すべき事項を考慮せず,かえって考慮すべきでない事項について考慮を加え,原告らの表現行為自体を制約する目的を持って判断を行っている
▽平等原則違反
過去の使用許可事例と比較して,本件集会のみ不許可とすることは不公平・不平等である
憲法第21条 1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
地方自治法第244条 2項 普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3項 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
金沢市庁舎管理規則第5条 何人も、庁舎等において、次に掲げる行為をしてはならない。
12号 示威行為
14号 前各号に掲げるもののほか、庁舎管理者が庁舎等の管理上支障があると認める行為
4 争点
①本件集会は管理規則第5条第12号にいう「示威行為」にあたるか
②本件広場が地方自治法第244条にいう「公の施設」にあたるか
③本件処分に裁量の逸脱・濫用があるか
5 裁判の経緯
⑴争点①(本件集会の「示威行為」該当性)について
ア被告の主張
▽多数人が共通の目的で共通の行動を行う集会は一種の示威行為であり,申請書の記載から形式的に判断して,本件集会は「示威行為」にあたる
イ原告らの反論
▽被告の主張する定義では,全ての集会が「示威行為」に含まれ管理規則第5条第12号により絶対的に禁止されることとなるが,これは憲法上誤った解釈である
⑵争点②(本件広場の「公の施設」該当性)について
ア被告の主張
▽本件広場は市庁舎の一部であり,設置・管理に関する条例も存在しないから「公の施設」にあたらない
イ原告らの反論
▽本件広場が仮に「公の施設」に該当しないとしても,指定的パブリックフォーラムには該当するのであり,表現の時・所・方法による規制は許されるが,表現内容に基づく規制は許されず,本件処分の違憲・違法性は厳格審査基準により判断されなければならない
▽本件不許可処分は,被告主張によれば,「市の事務・事業に準ずるもの」という集会の内容に照らして許可・不許可の判断をしているとのことであり,そうであるとすれば,この判断基準は正に表現内容に踏み込んで許可不許可を判断しているものであり,違憲である
⑶争点③(裁量の逸脱・濫用の有無)について
ア被告の主張
▽被告は,一貫して,本件広場において許可する行為は「市の事務・事業に準ずる」ものか否かという基準で判断しているところ,本件集会は特定の個人,団体の主義主張や意見等に関し賛否を表明する行為であったことから「市の事務・事業に準ずる」ものに該当しないと判断したのであり,裁量権の逸脱・濫用はない
イ原告らの反論
▽最高裁が示した裁量審査基準にあてはめても,本件処分には裁量の逸脱・濫用がある
▽従前の許可の運用を不許可に変更するには合理的理由を要するとする下級審判例もあり,これにあてはめても,本件は平等原則に反し裁量権の逸脱・濫用がある
▽集会予定当日,本件広場を耐震工事用資材置場等として使用した事実はなく,これを理由とすることも裁量権の逸脱・濫用となる
▽本件広場には専ら本件要綱が適用され,管理規則の適用はないと解すべきであるから,被告の不許可処分は違法である
⑷裁判の期日と提出書面
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原告提出書面 |
被告提出書面 |
| H26. 9.19 |
第1回口頭弁論 |
訴状,求釈明申立書① |
答弁書 |
| 11.18 |
第2回 〃 |
求釈明申立書② |
被告準備書面1 |
| H27. 1.13 |
第3回 〃 |
原告準備書面1 |
被告準備書面2 |
| 3.17 |
第4回 〃 |
求釈明申立書③ |
被告準備書面3 |
| 5.15 |
第5回 〃 |
原告準備書面2 |
被告準備書面4 |
6 今後の課題(原告らの今後の予定)
⑴争点②,③に関し,憲法学者に鑑定意見を書いていただき,提出する予定
⑵争点③に関し,次回書面において,管理規則と本件要綱との適用関係につき主張を行う予定
(但し,被告は,すでに廃止された規則・要綱について資料として開示することを拒んでいるため,両規定の関係については不明な点が多く,主張・立証には困難が予想される。また,今年の3月末には本件要綱も廃止しており,その意図も分からない。) 2015.6.23記述述
7.17第6回口頭弁論 9.4 第7回口頭弁論 11.10 (火)13:15第8回口頭弁論 最終弁論 となるか
判決は、2016年2月5日(金)13:10より202号法廷 勝利を確信する!
●2016.2.5「超」反動判決
金沢市庁舎前広場訴訟判決(概要)
平成28年2月5日、軍事パレード反対集会「市庁舎前広場使用不許可違憲!」訴訟(被告金沢市に対する国家賠償請求訴訟)について判決言い渡された。
結論は、「原告らの請求をいずれも棄却する」との敗訴判決であった。
判旨は、まず、本件庁舎前広場は、金沢市庁舎建物と一体のものとして、金沢庁舎を構成するものであり、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設けた施設、すなわち、「公の施設」ではないと認定した。つまり、公園などとは違って、金沢市庁舎と同様に、そもそも市民に利用させる場所ではないとの判断である。
次に、本件庁舎前広場には、パブリックフォーラムの法理(公衆の表現活動に結び付き、また、利用されてきた場所での表現活動の規制は、厳格な基準で審査されなければならないというルール)は、適用されないと判断した。
その理由は、本件庁舎前広場が、公衆の表現活動の場所としてその利用に供してきたものとは評価できないからとした。
さらに、かつて、原告らが主催した集会は問題なく使用許可が与えられ、実施されてきた「事実」については、苦し紛れに、使用許可の判断には申請書を見るしかないが、「憲法記念日にあたっての護憲集会、街頭演説」と書かれていたので、憲法擁護義務を負う公務員としては、市の事務・事業に準ずると判断して許可するが、「結果的に」集会参加者らが安倍政権批判などを行っていたのだと判断した。
次に、金沢市の裁量権の逸脱・濫用については、最高裁判決を引用しながら、縷々考慮要素を検討するが、特に大きなポイントとしては、本件集会を許可することにより、被告が自衛隊市中パレードに反対する立場をとったのではないかと捉えられ、被告の中立性に疑念を抱かれることによって、それ以後の被告の事務又は事業の執行が妨げられる「おそれ」があると判断した上で、本件集会が威力や気勢を他に示す「示威行為」に該当すると判断し、裁量権の逸脱濫用はなく、違法ではないと判断した点が挙げられる。
なお、上記考慮の中で、原告らが強く指摘していた点であるが、事前の面談の際の被告総務課長からの説明と最終的な処分内容が全く異なっており、適用条文までもが変遷している点については、「総務課長の準備不足ないし検討不足に起因する可能性が高い」等と判断され、手続違反もないと結論付けられた。
さて、上記判決の評価であるが、このような程度の低い判決は見たことがない。
まず、本件訴訟は、憲法訴訟であるにもかかわらず、本件判決文中には、憲法21条の価値について全く触れられず、これを考慮した形跡が皆無である。それゆえ、本来、表現の自由に対する制限が許容されるとすれば、極めて制限的な場合に限られるところ、本件集会の使用許可が被告の中立性に疑念を抱かれることによって、それ以後の被告の事務又は事業の執行が妨げられる「おそれ」があるなどと言う、全く具体性もない、抽象的な漠然とした危険性によって制限されているのである。
極めて不当である。人権擁護の砦である司法権の役割を放棄していると言ってよい。
次に、事実認定上の問題が判決文には、散見される。前述の通り、本件集会の使用許可が被告の中立性に疑念を抱かれることによって、それ以後の被告の事務又は事業の執行が妨げられる「おそれ」があるなどと言う認定も、被告が特段具体的事実を主張していないにもかかわらず、裁判所が一歩踏み込んで認定している。
ちなみに、被告は本件軍事パレードの先頭に市旗を掲げて行進しているが、これは被告が軍事パレードに賛成していると捉えられ、被告の中立性に疑問を抱かれる「おそれ」はないのだろうか。この点の原告の指摘は、判決では無視されている。
更には、単なる集会を「示威行為」に該当する等との事実認定も不自然不可思議である。本来、「示威行為」と判断されるべきは、極めて限定的な場合に限られる。
極め付けは、処分理由や適用法条の変遷については、「総務課長の準備不足ないし検討不足に起因する可能性が高い」等と、被告が主張もしていない理由を考え出してしまっている。
原告らは、変遷した理由を問うべく、総務課長の証人申請をしたが、裁判所は、採用しなかった。原告らから、総務課長への尋問の機会を奪っておきながら、被告が主張すらしていない理由を勝手に推測する等、前代未聞である。原告らに対する不意打ち以外の何物でもない。
また、理由が変遷しても構わないというのは、適正手続きの観点をも無視したものである。
以上の通り、本件判決は、憲法を全く無視した(あるいは知らないのかもしれない。)稀に見る悪文である。
このような判決を残すわけにはいかず、平成28年2月16日、名古屋高等裁判所金沢支部宛に控訴状を提出した。絶対に憲法21条の価値が守られる司法でなければならない。引き続き、ご支援を宜しくお願い致します。
●2.16名古屋高裁金沢支部に控訴 ●5.30控訴審第一回口頭弁論(中断)、裁判官忌避、却下 ●6.10最高裁に特別抗告!許可抗告! 許可抗告却下
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