軍事パレード反対集会場の「使用不許可違憲!」訴訟 結審

「広場使用不許可違憲!」訴訟は本日、最終陳述を終え結審しました。判決は来年2月5日、202号法廷で13:10からです。

結審を終え、総括する原告・弁護団、支援者たち。

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(最終)意 見 書

平成27年11月10日

 私は、石川県平和運動センターで事務局長をしております中村照夫と申します。

2011年4月から現職にあり、その前月までは石川県職員労働組合で休職専従副委員長をしており定年退職しました。県庁では主に、企画、県民文化、農林行政を担当してきました。その年の3月11日には福島原発事故があり、驚きと同時に、「これまで何をしてきたのだ」と反省し運動の再構築を目下の課題としておりました。

2014年5月3日憲法記念日。これまで10年以上の間、年2回は開催していましたので、私はいつものように金沢市役所前広場で「憲法改悪反対!」「憲法9条守れ!」の集会を行い、デモで、道行く若者に「憲法9条守れ!」「集団的自衛権の行使は戦争への道」を訴えました。これらは私にとって日課みたいなものであり、いつもの光景です。仲間と共に参加できたことの充実感、そして市民に訴えることができた満足感で一杯でした。

当時、ときの政権である安倍内閣は、歴代内閣が「どのように解釈しても憲法上許されない」としてきた「集団的自衛権の行使」を、「砂川判決」を根拠に「合憲」だとする超反動的解釈改憲をめざしており、私たちはこれを「憲法の危機」「平和の危機」ととらえ、街頭宣伝や集会、デモ、チラシ配布などで訴え、必死に反対してきました。

 

そんな4月16日、金沢市内の中心街を47年ぶりに陸上自衛隊金沢駐屯地の部隊が「軍事パレード」するということを知りました。「なんて時代錯誤なことを」と疑問を持つと同時に「安倍政権の戦争政策の先取りだ」と感じ、仲間たちと何回か会議を重ね、5月19日に金沢市役所前広場で「軍事力で平和は訪れない」ことを訴える「軍事パレード反対」集会とデモを持つことを決めました。金沢市長や陸上自衛隊駐屯地司令に「中止申入れ」をすることや警察へのデモ申請、金沢市への広場使用申請なども決めました。この時、「貸してくれない」なんて夢にも思いませんでした。ところが、金沢市総務課の担当者が「不許可」を匂わしていることを申請した山本由起子金沢市議から聞き、金沢市に説明を求めたのです。

そのやり取りは証拠として提出済みですが、「国のやることに地方自治体がどうのこうの言えません」とか、「憲法を守るというのは市の姿勢と合致するが、軍事パレード反対は合致しない」とか、「政治的なものや賛否両論あるものは貸さない」など、およそ自治体の主張とは思えない、国の下部機関のような「恣意的」かつ「内容に立ち入る」検閲的な考えを披瀝したのです。この訴訟における「原告の集会は示威行為に該当する」という被告の主張と合わせ、驚きの連続でした。

これまでも「市庁舎前広場」で憲法集会を開催し、自衛隊の強化反対や辺野古新基地建設、武器輸出などにも反対してきました。原水禁集会も「市庁舎前広場」で開催し、核兵器の廃絶と原発の再稼働にも反対してきました。それなのになぜ、観光都市のど真ん中で、武装した「自衛隊=軍隊」が迷彩色で固めた戦闘服を着たまま軍事パレードをすることには金沢市は「後押し」し、軍事パレードに反対する集会には使わせないのでしょうか。反対する集会を行うことは民主主義の基本的な権利ではないでしょうか。私たちは、軍事パレードに賛成する集会が市庁舎前広場で開催されることがあったとしても、会場は貸すべきと考えます。これが民主主義であると強く、強く思います。

最後に、金沢市から集会場を貸してもらえなかったため、石川県公園管理事務所へ申請に行きました。そこで担当者は右翼の抗議があることも念頭に置きながら、所長を交えた検討をされました。私は、「右であれ左であれ、集会の内容で許可・不許可を検討するのではなく、規則や条例に照らし、淡々と、基本的には貸し出すべき」ことを訴えました。その結果、「お貸しします」と熟議の末の結論を出してきたのです。市役所前広場と中央公園であることの差はありますが、軍事パレードには石川県のお歴々も出席しているのです。それにもかかわらずこのような冷静な決定を下したのです。見事な熟議ぶりであり、すばらしい判断だと思います。

近くには、姫路駅前広場において、政権批判をする団体の集会を中止させたことが問題となった事件があります。姫路市は、表現の自由、集会の自由の重要性に鑑み、非を認め、全面的に謝罪するという英断をしました。姫路市、石川県の判断こそ民主主義に則ったあるべき判断だと考えます。

司法の場に置いても、表現の自由・集会の自由が最大限保護されなければならないという判断が当然にもなされるであろうことを確信し、私の意見陳述を終えます。

 

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