04年の沖縄国際大事故と同型機
毎日新聞2017年10月11日 20時51分(最終更新 10月11日 23時33分)
米海兵隊のCH53型ヘリコプター=米軍サイトdvidsから
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「いつまでこんな思いをしなければならないのか」。沖縄本島北部で11日、大破し炎上した米軍のヘリコプターは、2004年8月に沖縄国際大に墜落した大型輸送ヘリと同型機だった。事故があった場所は建設時に激しい反対運動があったヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)にも近い民間の牧草地。幸い人的被害は確認されていないが、危険と隣り合わせの生活を強いられる住民からは、改めて不安と怒りが噴き出した。
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「『ボン、ボン、ボン』という爆発音が聞こえ、ヘリが炎上していた」。事故が起きた東村高江の牧草地から約500メートルの家に住む農家、西銘美恵子さん(63)は振り返った。
夕方、自宅の庭で草むしりをしている時に大きな爆発音を聞いた。機体は炎上するとともに、黒煙が周囲に広がった。その後、別の米軍ヘリ2機が着陸し、再び飛び立ったという。乗組員を救助したとみられ、現場には消防車両や米軍車両も駆けつけた。
牧草地は西銘さん方の敷地内で、近くには父親が作業をする豚舎も建つ。家族にけがはなく、自宅も豚舎も無事だったが「自宅や豚舎に落ちていたら大きな被害だった」と緊張した様子で話した。
東村高江では、米軍北部訓練場の約半分の返還に伴うヘリパッドの移設工事が進められ、昨年12月までに、集落を囲むように6カ所設置された。今後始まる本格運用に向けて住民らが警戒を強める中、事故は起きた。西銘さんは「基地(ヘリパッド)がある故に起きた事故だと思う。本格運用されたらどうなるのか」と不安を口にした。
ヘリパッド建設に反対し、建設地近くにあった自宅から国頭村に引っ越した主婦、安次嶺雪音さん(46)は事故の情報を受けて現場近くに急行した。「煙と火の勢いに加えて臭いもすごかった」と話し、「『住んでる人が被害に遭う』と反対をずっと訴えてきた。強硬に工事を進めた結果がこれだ」と憤る。
米軍ヘリの事故について、記者団の質問に答える沖縄県の翁長雄志知事=那覇市で2017年10月11日午後7時33分、佐藤敬一撮影
事故があった牧草地近くに住む男性は、車を運転中に自宅の方向から黒い煙がもうもうと上がるのを見て帰宅した。「ヘリはしょっちゅう低いところを飛んでいるのでぞっとしている」と話した。
翁長雄志知事は那覇市内で記者団に囲まれ「とんでもない話だ」と怒りをあらわにした。【山下俊輔、青木絵美】