声明「朝鮮半島における戦争に反対し平和定着を求める」
この9月17日は、2002年の日朝平壌宣言から15周年にあたる日である。ところが、当時両国首脳が約束した日朝国交正常化への前進がはかられるどころか、日朝は人的・物的往来さえも断絶した状態にある。その上、北朝鮮と米国の間の緊張は極度に高まり戦争さえ憂慮される状況に至っている。
この緊張は直接的には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が2017年に入って、米国に交渉を求め強い態度を取ってきたことがきっかけになっている。北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発成功を誇示し、9月3日には第6回の核実験を行ない、水爆実験成功を宣言した。これに対して米国は、国連安全保障理事会における度重なる制裁決議によって、北朝鮮に圧力を加え、屈服させようとしている。
とりわけ米朝の緊張を高めているのは、米国のトランプ大統領自身の言動にほかならない。トランプ大統領は、「死ぬのは向こうで死ぬ」「炎と怒りに直面する」など朝鮮半島における戦争を辞さないような無責任な発言を繰り返し、軍事的な選択肢がありうると北朝鮮を威嚇している。
これに対し日本の安倍晋三政権は、外交を通じた事態解決をめざすどころか、米国の政策を支持するばかりで、むしろ危機をあおるような姿勢が目立っている。だが、韓国や中国やロシアも主張するように制裁強化だけで北朝鮮の核・ミサイル開発を放棄させることはできない。米国が万一北朝鮮に軍事攻撃を加えるならば、北朝鮮は日本の米軍基地や原子力発電所をはじめとする各地をミサイルで攻撃し、また韓国も戦火に包まれることをまぬがれない。トランプ政権にとっては「向こう」であっても、東北アジア全体が壊滅的打撃を受けることになるのである。
このような事態がおこることは絶対に阻止しなければならない。日朝国交正常化は北朝鮮の建国以来70年になろうとする今日まで未解決の懸案である。その原則は15年前の日朝平壌宣言で与えられている。日朝国交正常化は、米朝間の緊張の極度の高まりの中で日本にもとめられる、また東北アジアの人びとと日本がともに安寧に生きるための、平和外交のかなめである。私たちは平和を求める世界の人びととともに、朝鮮半島における戦争に反対し平和を求める立場から、以下のように要求し、行動する。
1.米国政府は北朝鮮に対する脅迫的政策を中止し、大規模な米韓合同軍事演習を見直して、核を含む先制攻撃を行なわないことを入口に、北朝鮮との交渉に臨むこと。そして、キューバとの関係改善の前例にのっとり、国交正常化へと進むこと。同時に、朝鮮戦争の平和協定に至る関係国との交渉に応じること。
2.北朝鮮は交渉に向けた入口として、核・ミサイル開発を凍結すること。そして、交渉の過程で関係国との懸案解決のため努力すること。
3.日本政府は制裁一辺倒の政策を改め、米国に平和的対応を促すこと。そして日朝平壌宣言を再確認して直ちに日朝政府間協議を再開し、国交を樹立すること。その上で、植民地支配の清算のための経済協力、拉致、核・ミサイルなどの交渉を開始すること。そして、東北アジアにおける地域的信頼関係を構築しつつ、核兵器禁止条約に加入し、核廃絶に向けたアプローチを開始すること。
4.日本政府は朝鮮高校生への無償化不適用や在日朝鮮人へのヘイトスピーチの放置など、在日朝鮮人社会に対する差別の解消に向け人権尊重の政策を実現すること。
2017年9月17日
東北アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化連絡会