3.1ロシアのウクライナ侵攻糾弾!戦争止めろ!プーチンは反戦デモへの弾圧やめろ! スタンディングと街宣の緊急行動に起つ

 金沢市のメイン繁華街である香林坊(アトリオ前)で本日(3.1)お昼、県平和センターに結集する仲間14名が集い、
「ロシアのウクライナ侵攻糾弾」「子供が泣いている 戦争止めろ」「露軍はウクライナから撤退せよ」「米・欧のNATO拡大戦略反対」「ウクライナへの軍事支援反対」「戦争反対デモを弾圧するプーチンはやめろ!」「世界の仲間と連帯してNO WAR!」をスタンディングとハンドマイクで訴えました。
最大の環境破壊であり、人権侵害であり、無差別/大量殺人である「戦争」をいますぐやめるべきである。(残念ながら平和センターは写真を取り忘れましたが、参加者の写真をお借りし載せました。 m(_ _)m ) 
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プーチン大統領の核兵器による威嚇 に対する原水禁声明(原水禁日本会議)

ロシア・プーチン大統領の核兵器による威嚇

に対する原水禁声明

 2月24日、ロシア・プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。国家主権と領土を武力で侵すことは国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されない。

軍事侵攻後の同月27日、プーチン大統領は、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令した。ロシアの核部隊にとって「特別警戒」は最高レベルの警戒態勢であり、三度目の「核兵器」が使用される危険な状況である。

プーチン大統領は、「核戦力」をちらつかせることで、制裁を強めた欧米を牽制する狙いがあるのだろうが、核兵器禁止条約が発効し、核兵器の非人道性が指摘された中でのプーチン大統領の命令は「核兵器」を弄ぶものであり、断じて許されず、原水禁は、強く非難する。

1月3日、核兵器を保有する5ヶ国は「中国、フランス、ロシア、英国、米国は、核保有国間の戦争を回避し、戦略的リスクを低減することが、我々にとって最も重要な責務だと考えている。」「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならないことを確認する。」等を含む「核保有国5ヶ国のリーダーによる、核戦争を防ぎ、軍拡競争を避けることについての共同声明」を発表した。当然、核保有国5ヶ国のリーダーの一人であるプーチン大統領には、この共同声明を遵守し、「核戦争」を防ぐ義務がある。

ロシア・ウクライナ両国が、停戦交渉を実施することに同意したとの報道が出ているが、原水禁は、ロシア軍の即時撤退と国際社会への対話の窓口を開くことを強く要求する。

2022年2月28日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 泰成

 

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ロシアのウクライナ侵攻に抗議する(平和フォーラム)

ロシアのプーチン大統領は、2月24日、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。度重なる警告を無視し対話のチャンネルを放棄する形での侵攻は、欧米をはじめとして国際社会と決定的に対立することとなった。すでに民間人も含む多数の死傷者がでている。国家主権と領土を武力で侵すことは国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されない。ロシアは、即刻武力侵攻を中止し、ロシア軍を撤退させ、国際社会との対話の席に着かなくてはならない。

プーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の拡大を恐れ、ドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国の親ロシア政権の独立を承認するとともに、ロシア系住民への迫害があるなどの理由で「自衛」を口実にウクライナに侵攻した。これは、この地域の紛争解決のためのミンスク合意を反故にするものであり、迫害の事実があれば、まずは国際社会へ問うべきである。ウクライナがロシアを攻撃する意図はないと繰り返し表明していた中での軍事侵攻は、国際社会の理解は得られることはない。「自衛」のために攻撃が正当化されることは、日本の岸田政権が主張している「敵基地攻撃論」にも通ずるものであり、危険な論理だ。多くの戦争は「自衛」の名の下に引き起こされてきた。それが無辜の市民に多大な犠牲を強いることは自明であり、許されることではない。

この間プーチン大統領は、公然と核兵器使用をほのめかす発言をし、侵攻前には核兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイルを使った軍事演習を実施するなど、核による威嚇を繰り返してきた。核兵器禁止条約が発効し、核兵器の非人道性が指摘され中でのプーチン大統領の発言は、「核兵器」を弄ぶものであり、断じて許されない。

ロシア軍がチェルノブイリ原発を武力制圧したとの報道もある。1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発の安全が懸念される。ウクライナでは15基の原発が稼働しているが、それら原発が武力衝突の中で安全が確保できるのかも懸念される。核兵器の攻撃がなくても原発の存在は大きな脅威である。福島原発事故を経験した私たち日本社会もそのことを忘れてはならない。

ロシアは、ウクライナ東部の独立を承認した地域に留まらず、ウクライナ全土に軍事展開している。事態は予断を許さない。平和フォーラム・原水禁は、ロシア軍の即時撤退と国際社会への対話の窓口を開くことを強く要求する。

2022年2月25日

フォーラム平和・人権・環境/原水爆禁止日本国民会議

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ロシアのウクライナ侵攻糾弾!戦争やめよ!ウクライナから撤退せよ!(県平和センター)

私たち県平和センターは明日(3/1  12:30~)、金沢市内で、ロシアのウクライナ侵攻糾弾!米・欧のNATO拡大戦略反対!戦争止めよ!ウクライナから撤退せよ!プーチン政権によるロシア労働者・市民への弾圧反対!1800人(3/7現在10000人超)の拘束を解け!などを訴える緊急行動に起ちあがります。共に「反戦・平和」の行動にたちあがりましょう。

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2022知事選立候補予定者「志賀原発(原子力政策)アンケート」結果

2月21日午後1時半、県政記者クラブで四氏(馳浩さん、山田修路さん、山野之義さん、飯森博子さん)に問うたアンケートの結果を公表しました。説明に参加した報道各社は、北野 進「志賀原発を廃炉に!」訴訟原告団長の説明に聞き入りました。

特に、「新」知事の一期目となる四年の間に、志賀原発2号機の「再稼働」問題が現実味を帯びるかもしれないとき、単なる原発一般ではなく、危険と隣り合わせの、避難計画さえまったく「実効性」のない、ヨウ素配布も「実効性」のないまま、しかも安全協定さえ「立地町・立地県」のみの(いまや、全国で最も遅れた県)、使用済み核燃料問題も未解決のままの、原発「再稼働」問題を扱わなければならないことになる「新」知事は、絶対に「アンケート」に答えるべきです。

しかし、公表したとおり「我関せず」という姿勢なのか、「君子、危うきに近寄らず」なのか、無視した候補予定者がいたことは残念です。

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原子力政策に関するアンケートは、知事選後も、県民の命と暮らしにかかわる重要事項として、問い続けていきます。

2022石川県知選挙立候補予定者への原発政策アンケートの回答報告書

28年ぶりの新知事誕生となる石川県知事選挙が迫ってきました。県政の何を変え、何を継続させるのか、有権者は悔いのない選択をしなければなりません。

停止からまもなく11年となる志賀原発は、現在、2号機の新規制基準適合性審査が続いています。今後の審査の展開によっては次期任期中に再稼働の是非が問われる局面もありうると思われます。原発に対するスタンスも有権者が新知事を選ぶ際の重要な判断要素です。

私たちは2月1日に各候補予定者にアンケート用紙を郵送し、17日までに飯森氏と山田氏から回答を得ました。馳氏と山野氏からは回答がなかったことは残念と言わざるを得ません。無回答も含め、以下、回答一覧と回答書を公表します(回答到着順)。有権者の判断材料の1つとなれば幸いです。

2022年2月21日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

さよなら!志賀原発ネットワーク

石川県平和運動センター

回答一覧

質問項目 飯森博子氏 山田修路氏 馳浩氏 山野之義氏
原子力防災計画について
1.計画に実効性はあると思うか 思わない その他 未回答 未回答
2.実効性は再稼働の判断基準か 思う 思う 未回答 未回答
3.被ばく前提の計画をどう思うか 見直すべき その他 未回答 未回答
安全協定について
4.県内全市町が締結すべき 思う その他 未回答 未回答
5.30キロ圏自治体は再稼働同意権を規定すべき 思う その他 未回答 未回答
活断層調査について
6.北電の説明が覆っていることについて 不信感解消も課題 その他 未回答 未回答
7.審査の迅速化を求める声について その他 その他 未回答 未回答
福島第一原発事故について
8.事故は収束したか 思わない その他 未回答 未回答
9.事故の教訓は   ————   ———— 未回答 未回答
エネルギー政策について
10.  志賀再稼働前提のエネルギー基本計画について 妥当ではない 妥当である 未回答 未回答
11.  原発と再エネの将来像、県の役割りについて   ————   ———— 未回答 未回答

 

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重要影響事態・存立危機事態・武力攻撃事態

重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態

武力攻撃・存立危機事態法 

※これらは「事態」の解説として掲載してものであり、肯定するものではない

平成15年法律79号。正式名称武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」。2003年有事関連3法の一つ,「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(武力攻撃事態対処法)として成立し,2015年改正,名称変更した。日本の平和と独立,国民の安全を守ることを目的とし,他国からの武力攻撃への対処に関して,基本理念,政府や地方公共団体などの責務,手続きなどを定める。「武力攻撃事態等」とは,実際に武力攻撃が発生した事態および発生が切迫している事態(武力攻撃事態)と,武力攻撃が予測されるにいたった事態(武力攻撃予測事態)の両者をさす。また 2015年の改正で追加された「存立危機事態」とは,日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃により,日本の存立が脅かされ,国民の生命,自由,幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態とされ,これへの対処を認めることにより集団的自衛権行使を可能にしている。武力攻撃事態等や存立危機事態が生じた場合,政府は対処基本方針を決定し,対策本部を設置する。対処基本方針には,武力の行使が必要な理由も記載される。自衛隊防衛出動を命ずる際は,原則として国会の事前承認を要する。ほかに,地方公共団体に対する指示権や代執行権(→代執行)など内閣総理大臣の権限強化,自衛隊の行動の円滑化,アメリカ軍への支援などについて規定し,国民にも必要な協力をするよう求めている。(→有事法制

重要影響事態と存立危機事態

2021年03月28日14時29分

重要影響事態と存立危機事態 安全保障関連法は、放置すれば、日本の平和と安全に重要な影響を与える状況を重要影響事態と定義。米軍など他国の軍隊を後方支援できる。地理的制限はなく、弾薬提供や戦闘作戦のため発進準備中の航空機への給油も可能。

【図解】安保関連法に基づく新たな任務(2016年9月)

存立危機事態は、密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされるなどの事態。弾道ミサイル防衛中の米軍を攻撃する相手への、自衛隊による反撃などを念頭に置く。集団的自衛権行使が可能になる3要件の一つで、武力行使には併せて「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使」の要件を満たす必要がある。

重要影響事態

重要影響事態安全確保法7は、わが国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(「重要影響事態8」)に際し、後方支援活動等を行うことにより、日米安保条約の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、わが国の平和及び安全の確保に資することを目的としている。同法では、重要影響事態における支援対象や対応措置について以下のとおり定めている。

放っておいたら日本への武力攻撃の恐れがあるなど、日本の平和と安全に重要な影響を与える状況。日本周辺に限っていた「周辺事態」に代わる概念。日本が武力攻撃を受けた「武力攻撃事態」や、他国への攻撃でも日本の存立が脅かされる明白な危険がある「存立危機事態」に比べて定義があいまいで、拡大適用の恐れも指摘されている。

存立危機事態

武力攻撃事態

台湾危機と日米の対応(後編)
― 日本はどう準備・対応すべきか? ―

笹川平和財団 客員研究員
中村 進

前編においては、現在の台湾情勢に対するアメリカの対応についての懸念と事態のエスカレーション・コントロールという観点から考察した。これに続いて、本稿では台湾危機を念頭においた日本の対応とそのための準備について考察する。

2 日本の事態対処法制

諸外国における軍隊の行動は、平時から戦時に至る事態に対して横断的に対応することが一般的である。これに対して日本の自衛隊の行動は、類型と権限を行動別に列挙して対応する法律主義を採用している。いわゆるポジティブ・リスト形式[1]である。そして、日本の平和と安全にかかわる事態に関しては、生起した事態によって対応を区分する「事態対処法制」として整備されている。

日本の「事態対処」としての法整備は、冷戦後の脅威の蓋然性が自国への直接の武力攻撃から日本周辺で生起した事態が自国に波及する恐れのある事態に変化したことにより、1999年に「周辺事態法」[2]が整備されたことを嚆矢とする。その後2003年には、戦後約50年の間放置されていた武力攻撃に対処するための枠組みを定めた「武力攻撃事態等対処法」が整備された[3]。

これらがさらに2015年の平和安全法制の整備において、対応範囲を日本周辺に限定した「周辺事態法」の限定を削除した「重要影響事態法」[4]に改正されるとともに、「武力攻撃事態等対処法」に「存立危機事態」[5]が追加される等により、日本の平和と安全にかかわる事態として「重要影響事態」[6]、「緊急対処事態」[7]、「武力攻撃予測事態」[8]、「武力攻撃事態」[9]及び「存立危機事態」の5類型と、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に日本が主体的かつ積極的に対処する「国際平和共同対処事態」[10]という枠組みで再整理された[11]。

各事態における自衛隊の措置は、それぞれの個別法に規定されるとともに、自衛隊法においても第76条(防衛出動)と第84条の五(後方地域支援等)に規定され[12]、武力行使に当たらない対応である「重要影響事態」、「緊急対処事態」、「武力攻撃予測事態」及び「国際平和共同対処事態」と武力行使として対応する「存立危機事態」及び「武力攻撃事態」に大別され、いずれの事態も国会承認が必要とされている。

事態別シナリオと日本の対応

台湾危機では経済制裁を前提とする「船舶検査活動」[13]及び「国際平和共同対処事態」の認定は想定されず、事態に応じて「重要影響事態」あるいは「存立危機事態」の認定が想定される。さらに、事態が日本に波及すれば「武力攻撃事態等」が認定されることとなる。しかしながら、未だに根強い「平和主義」や「中国への配慮」などの日本の政治環境から見て、現実の事態に対して制度上の事態を直ちに当てはめることは必ずしも容易ではない。そこで、以下に事態ごとのシナリオに沿った日本の対応について検討する(各事態の類型と自衛隊の対応については下表を参照)。

表:台湾危機に関連する事態の類型と自衛隊の対応

* 筆者作成

(1) 武力紛争前の段階

現在、東シナ海においては日米が継続して警戒・監視を行っており情報の共有もなされている。したがって、アメリカが兵力を台湾周辺に展開する事態になれば、東シナ海における警戒・監視は日米ともに強化するか、あるいは、米軍の台湾周辺への兵力集中の状況によっては、自衛隊がそれを補完する形で現状の警戒・監視を強化することになろう。

アメリカが台湾周辺海域への兵力を集中させることになれば、現場部隊に対する補給支援は不可欠となる。緊迫した事態となると、中国との関係を慮るASEAN諸国に補給のための寄港を期待することはできず、台湾への寄港の選択もあるが、展開が長期化すれば洋上での補給支援が必要になる。そうなれば、地理的に現場に近い沖縄などから補給部隊を往復させることができる日本の支援が不可欠となる。自衛隊が米軍部隊を補給支援するためには「重要影響事態」を認定する必要がある。なお、「重要影響事態」を認定することにより自衛隊以外の関係行政機関による「対応措置」に加え、国以外のものへの協力要請も可能となる[17]。

(2) 武力紛争に発展した段階

事態が武力紛争に発展した場合に、事前に「重要影響事態」を認定していれば当該事態を継続し、認定されていなければこの段階で認定して紛争当事国となった米軍(他に参加国がある場合には、その軍隊も含む)を支援することとなる。しかし、この段階の「重要影響事態」では、自衛隊は現に戦闘行為が行われている現場での「対応措置」ができないだけでなく[18]、「米軍等の防護」もできなくなる。「米軍等の防護」の根拠となる自衛隊法95条の二は「現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く」ことを規定しており、この段階での米軍等に対する攻撃自体が「戦闘行為」となるためである[19]。一方で、中国の対艦ミサイルの脅威が伝えられるなか、自衛隊によるミサイル防護は重要な支援となる。したがって、防護が必要な場合には直ちに「存立危機事態」の認定が必要となる。

(3) 中国の攻撃が日本に波及する段階

台湾周辺に派遣される米軍の兵力は、第一に沖縄、横須賀、佐世保などの在日米軍基地所在の部隊が中心となる。これらの策源地である米軍基地だけでなく、重要な後方拠点となる日本の港湾なども中国の攻撃目標となる可能性がある。この場合、日本は武力攻撃が予測される段階で「武力攻撃予測事態」を認定し、「防衛招集命令」、「防衛出動待機命令」の発令が可能であり、さらに、武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している場合から「武力攻撃事態」を認定して「防衛出動」を発令することができ、武力攻撃が発生した時点で個別的自衛権を発動することになる[20]。

日本はどのように準備すべきか

最後のまとめとして台湾危機に際しての日本の対応において留意すべき事項を検討し、その解決のための問題提起をしたい。

(1) 事態認定を妨げる要素

「重要影響事態」、「存立危機事態」の認定に際しては、米国以外に台湾の支援に立ち上がる国の存否が鍵となる。既述のとおり、太平洋正面における米中の兵力差は中国に優位であり、米軍単独で事態に対処することは困難な状況にある。一方、香港の民主派弾圧をきっかけに、中国の覇権主義への警戒が一気に高まったことから、英・仏・加がアメリカの「航行の自由作戦」に同調する形で南シナ海へ海軍部隊を派遣しており、ドイツも派遣の意向を表明している。しかし、中国との直接の武力紛争となった時に、2003年のイラク戦争時に独・仏が参加しなかったようにアメリカに同調するとは限らない。そうした中でも、とりわけ日・豪へのアメリカの期待は大きいが、仮に、アメリカ以外に台湾支援に動く国がないような場合、日本だけが中国に敵対してアメリカを支援するとなれば、賛否を巡って国内での混乱も避けられない。そもそも「重要影響事態」にしても「存立危機事態」にしても、これまでに認定されたことはないことに加え、国内議論の混乱は、政府の迅速な判断を一層困難なものにすることが予想される。

また、法律上「存立危機事態」は「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生」を要件とされている。そうすると、国内では正規の国交のない台湾が「密接な」、また「国」そのものに該当しないのではないかという議論も出てきかねない。しかし、この件について政府はすでに「「他国」は国交を結んでいる国に限るのか。それとも国交はないが実態として国とみなされている地域(例えば台湾やパレスチナ自治政府)を含むのか」との質問趣意書に対して、「我が国が外交関係を有していない国も含まれ得るが、お尋ねの「国とみなされている地域」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。」と回答している[21]。こうした公式の政府見解についても合わせて、事態に応じた手順等を標準化したマニュアルなどを準備しておくことも必要である。

さらに、「武力攻撃事態」の認定に際しては、中国の攻撃が発生してから自衛隊に防衛出動を発令していたのでは現場の自衛隊は警察権での武器使用でしか反撃できないことから、甚大な被害を受ける恐れがある。このため、より早い段階で防衛出動を発令しておき、攻撃があった場合に自衛隊が直ちに自衛権を発動(武力の行使)して反撃できる体制を整えておかなければならない[22]。

(2) 迅速・的確な意思決定のために喫緊にしておくべき課題

国の非常事態に際して、意思決定の適時性と的確性は結果を左右するものである。現在のCOVID-19対応において、「緊急事態」宣言のタイミングに関しては様々な問題が指摘され、議論も錯綜した。こうした問題は、2010年9月の巡視船に対する中国漁船の衝突事件や東日本大震災においても同様の問題が指摘されていたが「事態認定」においても共通の問題である。とりわけ本稿テーマの「事態認定」については、その性質上、意思決定の迅速性が極めて重要な要素となる。現在のCOVID-19への対応については、意思決定上の問題だけでなく、軽症感染者の待機場所の問題などは事態対処における国民の避難場所の設定等、共通の問題となる。こうした前例で明らかになった問題については、事後の詳細な検証により本質的な問題の解決を図らねばならない。

通常、意思決定の成否は情報にある。往々にして意思決定に際しては、より多くの情報を求める傾向もみられるが、決定に不可欠な情報、参考となる情報の類型を平素から整理しておかねばならない。これを欠けば、情報の氾濫による混乱から意思決定に時間を要することになる。そして当該情報に従った意思決定のための処理手順の整備も必要である。こうした準備を官邸から現場まで共有することで、現場も報告の優先順位を把握することで迅速な意思決定に繋がる。

しかし最も重要なことは、意思決定の手順やマニュアルが準備されており情報を入手したところで、その処理に手慣れていなければ、いきなりその場で処理できるというものではない。そのためには、通常よく行われる現場レベルの図上演習にとどまらず、事態対処に当たる現場から最終的な決定を行う首相官邸のレベルに至るすべての段階を巻き込んだ演習を行うなど、意思決定のメカニズムを平素から確立しておくことが必要である[23]。

前編へ

(2021/5/28)

 

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EUが原発を「持続可能な経済活動」と認める方針を発表したことに対する原水禁声明

2月2日、ヨーロッパ連合(EU)の執行機関・ヨーロッパ委員会は、温室効果ガスの排出削減に役立つとして、原子力発電を条件付きで「持続可能な経済活動」として認め、民間の投資を促していく方針を正式に発表した。ヨーロッパ委員会のマクギネス委員は、まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできないという認識を示したうえで、「今回の方針は完璧ではないかもしれないが、現実的な解決策だ。脱炭素という究極の目標にわれわれを近づけるものだ。」と述べた。

EUは、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を実現するため、「環境面で持続可能な経済活動」を選定して民間の投資を促していく計画で、気候変動対策などとして原発を新設する方針を打ち出すEU加盟国が相次いでいる。今回の方針では、原発を新設する場合、持続可能と認める条件として、①2045年までにEU加盟国の当局から建設の許可を得ること、②高レベル放射性廃棄物については、EU加盟国が2050年までに処分場を稼働するための具体的な計画を作ること、などとした。

EU加盟国のうち、脱原発を進めているドイツやオーストリアは、今回の方針に当然反対している。2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて脱原発を進め、2022年内にすべての原発の運転が止まる予定のドイツ・ハーベック経済・気候保護大臣は、「原子力エネルギーにはリスクがあり、コストも高い」としてEUの方針を批判したうえで、今後の対応を検討する考えを示した。また、国内の原発利用を40年以上禁じてきたオーストリア・ネハンマー首相は、「原子力はグリーンでも持続可能でもない。EUの決定は理解できない」と表明し、オーストリア政府は、ヨーロッパ委員会をEU司法裁判所に提訴する方針を表明した。ルクセンブルク・トゥルメスエネルギー大臣もオーストリアとともに法的措置を検討すると表明した。

しかし、今後、6ヶ月以内にEU加盟27ヶ国のうち少なくとも20ヶ国が反対するなどしなければ、2023年1月から適用され、原発を「環境にやさしい」「持続可能」と、EUがお墨付きを与えることになる。

日本国内の福島原発事故およびその後の廃炉状況、高レベル放射性廃棄物処理の問題等を見れば、原発は、大規模な事故のリスク、核廃棄物処理、さらにはウラン採掘にともなう被曝や環境汚染など、多くの問題があり、とても「持続可能」ではない。今回のEUの方針を原水禁は絶対に認めることはできない。

原水禁は、2021年3月、2030年までに原発・石炭火力ゼロを訴えた政策提言をまとめ、原水禁エネルギー・シナリオとして発表し、政府、経済産業省や国会議員へ提出してきた。原水禁は、脱原発・脱炭素社会の実現は、気候危機に対する唯一の解決策であり、困難な道のりではあるが、達成可能と考えている。福島原発事故からまもなく11年。新たな状況を踏まえ、硬直化したエネルギー政策を見直し、脱原発・脱炭素社会へむけた行動を強く求める。環境に優しく、持続可能な社会は不可能ではない。

2022年2月3日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成

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1.31F15戦闘機墜落抗議!全ての飛行(スクランブル含む)を止めよ!申入れ

2022年2月8日

航空自衛隊小松基地

司令 石引 大吾 様

                           小松基地爆音訴訟連絡会

                         小松能美平和運動センター

加賀地区平和運動センター

        石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

                           社民党石川県連合

                              (各団体の公印省略)

申 入 書

 航空自衛隊小松基地のF15戦闘機が1月31日午後5時半ごろ、戦闘・戦技訓練のため離陸したが、その1分後、基地から5キロの小松沖に赤い閃光を残して墜落した。このF15戦闘機には「アグレッサー部隊」のパイロット2名(1名は飛行教導司令)が搭乗しており、必死の捜索にもかかわらず未だ行方不明であることは、悼むべきことです。防衛関係者によれば「乗員の練度は十分で、本当に何があったのか分からない」ということですが、一歩間違えば市民が犠牲になること、「台湾有事」に備えた猛訓練が原因であることなどから、私たちはこの墜落事故に対し強く抗議するものです。以下のように厳しく対処することを申し入れ、併せて真摯な回答を求めます。

1  全国の航空自衛隊にある約200機のF15戦闘機による訓練は、今回の墜落事故の原因が分かるまで、全ての飛行訓練及びスクランブルを、即時中止すること。

2  今回の墜落事故の原因を明確にし、その対処に於いて県民及び周辺市町住民の理解を得るまで訓練を中止すること。

3  全ての墜落原因・問題点が解決し、飛行訓練再開する場合でも、暴風雨などの天候時は避け、急降下、急上昇などの激しい訓練は、周辺に爆音をまき散らし、墜落と部品落下の危険性を増やすことから中止すること。

4  小松基地へ、25年に4機、26年に8機、28年までに20機のF35Aステルス戦闘機の配備計画が防衛省から発表されていますが、F35A戦闘機は「台湾有事」に備えた先制攻撃用戦闘機であり「戦争に直結」するものです。ましてや憲法9条に違反することから、配備計画の即時中止を防衛省に求めること。

以上

2.8小松基地申入れ

2.8小松市申入れ

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2021.12.24県知事に提出 原子力防災計画・避難計画に関する質問書

1.「要配慮者対策、避難先や移動手段の確保、国の実動組織の支援、原子力事業者に協力を要請する内容等についての検討及び具体化」することとされている。各課題の協議の進行状況を聞く。
2.緊急時対応の取りまとめ、原子力防災会議での承認はいつ頃を見込んでいるのか。
3.関係市町のオブザーバー参加は求めないのか。

1は内閣府のHPにアップされている以上の情報はなし。作業部会の内容は情報公開請求しても出てこないようで、協議内容についてさらに踏み込んで確認していくことは今後の課題。
2は福島事故後再稼働しているサイトではすべて「緊急時対応の取りまとめ、承認」を終えているので、志賀の再稼働見通しについて防災の面から探りを入れた問い。仮に承認時期の目標を定めていたとしても答えないとは思うが、回答全般を通じて、目途を立てられる段階でないことはわかる。
3は、協議会メンバーは国の関係機関と石川・富山両県や両県警などで、これまで関係市町は参加していないが、他のサイトの協議会では市町村の参加の例も多く、今後の見通しを聞いたもの。今後、会議内容の項目によっては関係市町のオブザーバー参加もありうるとのこと。緊急時対応の取りまとめにあたっては、会議の席上だけでなく、資料や現場の状況の確認などが必要で、市町の協力なしではできないとのことだった。

Ⅱ 長期避難への準備・覚悟はできているか
1. 原子力防災知識の住民への普及、啓発について(防災計画第2章原子力災害予防計画より)
(1) 福島第一原発事故の前と後で、原発の危険性(重大事故が起こった場合の甚大かつ深刻な被害、広域かつ長期にわたる被害)の伝え方はどのように変わったか。
(2) 「災害教訓の伝承」が防災計画に盛り込まれているが、福島第一原発事故の教訓をどのように理解し、資料収集をおこなっているのか。

福島事故、新たに規制委から原子力災害対策指針が示され、原子力防災の仕組み自体は大きく変わったが、訓練の監視行動などを通じての印象では、福島事故前の安全神話に囚われた「事故は起きない」「念のための避難訓練」が継続している印象が拭えない。
1は今回の質問状の総論にあたる問い。規制委の更田委員長は「新規制基準は原発の安全を保証するものではない」と繰り返し明言し、防災担当の内閣府も事故は起こるものとの前提で防災対策の具体化を求めているが、(1)に対する回答は「福島事故前は『重大事故は発生しない』というメッセージだったが、事故後は『重大事故に至らないよう幾重にも対策を講じている』と変わってきている」というもの。これは規制委や内閣府の認識とも異なり、新たな安全神話を生み出すだけの驚くべき問題発言。県庁組織でいうならば、原子力安全対策室は、幾重もの安全対策を徹底させ事故を防ぐたためチェック機能を働かせてもらわなければならないが、危機対策課は「重大事故は起こるもの」との前提で防災対策を立てなければならない。後の質疑の中で「まずは重大事故にならないような対策はしっかり講じるべきということが間に入り、その上で事故は起こる可能性があるということで防災対策を講じていく必要があると考えている」と若干軌道修正されたが、この重大な認識のズレは、他の回答にも随所でつながっていくことになる。
(2)も総論的な問い。今回の質問状は全体を通じて長期避難や大量の放射性物質の放出を現実の問題として捉え、どこまでリアルに向き合う覚悟があるかを問うものだが、その大前提として福島事故をしっかり教訓化しなければならない。規制委が示す見解程度は示すものと予想していたが、「広範囲な住民避難とか情報の伝達、避難先の確保などで様々な問題が生じたということは承知している」という超薄味回答。資料収集も計画には盛り込んでいるが、実際はどこまでやっていることやら。
福島の教訓を避けて通る原子力防災はありえないが、その後の質疑、意見交換の中でその懸念はあたってしまった。

2. 避難時の持ち物について
(1) 避難計画では避難住民に対して持ち物は「最小限」とするよう求めており、今年度の防災訓練では手荷物なしで参加する住民が多かった。一方、県発行の「原子力防災のしおり」P5では持ち出し品一式が記載されている。これらが、県が想定する最小限の持ち物と理解してよいか。
(2) 避難生活が数ヵ月、あるいは数年に及ぶことも想定し、一時帰宅がいつできるかもわからないこ とを念頭に、避難時の持ち物を日頃から準備するよう対象地区住民に周知すべきではないか。

長期避難、しかもいつ帰宅できるかもわからないのが原子力災害。緊急時の持ち物は事故をリアルに考えるきっかけとなる。仮に1年間戻ってこられないとしたら何を持っていくか、考えたくもないが、原発周辺地域住民は考えておかなければならない。
回答は、「非常時の避難で一番大事なのは迅速性。そのため携行品も絞られ、最小限ということで周知している」とのこと。「最小限」が独り歩きし、今年の原子力訓練でも多くの人は手ぶら。地震に備えた総合防災訓練などでは参加者が防災リュックを担いで避難所へ向かう様子は当たり前になっているが、防災リュックすら見かけない。おそらく財布やスマホはポケットに入っているのだろうがまさに「最小限」だ。県が発行する「原子力防災のしおり」では非常食や飲料水、2~3日分の衣類、預金通帳や印鑑、健康保険証やお薬手帳、常用薬なども記載されている。
何を持ちだすかはバス避難か自家用車避難かでも違ってくると思うが、訓練を見る限り、長期避難の覚悟ができている住民は果たしているのだろうかと思わざるを得ない。「そんな覚悟をするくらいなら原発廃炉だ」という声が出ないよう、「最小限」を強調し、長期避難の心構えなどさせないようにしていると思えてならない。質疑では「福島の事例もあるので、どこまで最小限の携行品を広げるか検討していきたい」との回答あり。

3. ペットの同行について
(1) 防災計画ではペットとの「同行避難を呼びかける」とあるが、避難計画に具体的な記載はない。各市町避難計画も同様である。ペット同行は実際に可能か。
(2) 防災計画に沿った対応を具体化するならば、避難退域時検査場所での検査や除染、避難所での受け入れ態勢等の整備が必要になるのではないか。また飼い主にも相応の責任が求められ、注意事項など事前の周知も必要ではないか。

ペットを飼っている人にとってペットは家族同然。長期避難となると家に残していくという選択肢はありえない。東日本大震災の教訓も踏まえ、いまや他の自然災害時でもペット同行避難はスタンダードな課題となっている。回答では「県もペット同行避難は大事であり、防災関係の講演や研修会などでも関心が高いのでカリキュラムを作って対応し、避難所での飼育スペースの確保にも努めている」とのことだった。
問題は、他の自然災害と原子力災害の違いだ。放射能汚染のリスクがあるので、人間同様、検査と除染の手続きも必要。これについては「避難退域時検査場所で携行品に準じて対応することとしており、国にはマニュアル等への記載も求めている」とのこと。言うは易しだが、大型犬などの対応や汚染が確認された場合のシャワー除染などいざとなると課題は多い。さらに検査・除染以外にも、例えば屋内退避指示が出た段階で人間同様ペットも屋内に入れること、長距離(50~70キロ程度)・長時間(渋滞ありで10時間以上のことも)の避難行動となるが30キロ圏内では屋外での排せつは避けなければならない。ストレス解消のドッグランもできない。餌やトイレシートなども余裕を持った対応が必要となる。ネコアレルギーや犬が吠えるのを怖がる人もいる。基本は自家用車避難となるだろう。自家用車のない高齢者は同乗させてくれる人を事前に確保しておかなければならない。事前の周知も含め、課題は多い。

4. 防災計画における「長期避難」の位置付けについて
(1) 防災計画では「第3章 原子力災害応急対策計画」の中の「第7節 13長期避難への対応」で「県は・・・避難の長期化等に鑑み、必要に応じて、旅館、ホテル等の借り上げを行い、避難者に移動を促す。」とあるのみ。関係市町の防災計画では記載すらない。(※間違い)「長期」はどれだけスパンを想定しているのか。原子力災害の特殊性、そしていまだ原子力緊急事態宣言が解除されていない福島第一原発事故を教訓とするならば、短くとも数年単位の長期避難を想定すべきではないか。
(2) 長期に及ぶ避難生活では避難者の生活保障や精神面も含めた健康のサポート、子どもたちの学習の機会の保障など、復旧計画に至るまでの課題は山積している。防災計画では緊急事態宣言解除後の原子力災害復旧計画の中で記載されている損害賠償請求も長期避難の中で対応しなければならない。長期避難を支える様々な対策をあらかじめ策定しておくことが必要ではないか。

(1)について、「『長期避難』は数ヵ月から数年に及ぶことが十分想定されると」とのこと。ならば、それに備えた準備はできているか。「応急仮設住宅の供与とか被災者の健康管理、雇用・就労支援については、福島県内の対応が今も続いているが、福島県の対応が参考になると考えている」との回答があったが、他の自然災害と異なる原子力災害特有の課題も多い。まさに福島の教訓から学うべきこと山積だ。
これについては議論が尽きないが、今回は時間の関係もあり深めることはできなかった。

Ⅲ 大規模な放射性物質の放出を想定しているか
1. UPZ外への庁舎移転を想定した市町の業務継続計画は策定されているか。

「UPZ内に庁舎があるのは6市町。UPZ外への移転を想定した業務継続計画は、現状は策定されていない」との回答。質疑では「必須要件になっていない」との回答もあったが、内閣府が示す「市町村のための業務継続計画作成ガイド」では 代替庁舎は業務継続計画の「重要な6要素」の一つとされている。このガイドは様々な大規模災害を想定したもので原子力災害を除くような記載はない。福島事故では埼玉県内へ行政機能を移した例もある。住民へ一時移転の指示を出している中で、放射線防護対策すら講じていない行政庁舎に自治体職員を長期にわたってとどめることは許されないはず。各自治体が本気で重大事故に向き合っているかどうかのメルクマークともなるのではないか。

2. 避難退域時検査場所について
(1) 指針では「内部被ばくの抑制及び皮膚被ばくの低減、汚染の拡大防止のためには不可欠」とする一方で、「避難及び一時移転の迅速性を損なわないよう十分留意して行う」という方針が加わった。①車両上部の検査不要の根拠、②車両検査で汚染なしならば乗車している住民の汚染もなしという判断の根拠を聞く。
(2) 今年度の訓練では、車両や住民は、汚染があっても簡易除染ですべて除染が完了するとの想定で、持ち物の検査もなし。検査員や簡易除染を担当する除染員らは、防護服やシューズカバーなども着用なし。内閣府が示すマニュアルよりさらに簡易な検査・除染体制、楽観的な想定となっていたが、このような簡易な手順で対応する県独自のマニュアルが作成されているのか。
(3) 防災計画によれば、避難退域時検査の実施は、UPZ内の住民のみが対象となっている。しかし、県が行った避難時間シミュレーションによれば、PAZ内の住民が30キロ圏外へ避難するまでに要する時間は、悪天候や道路通行止め、観光のピーク時といった条件が加われば6時間以上を要するとの結果が出ている。避難行動中に放射性物質の放出があればPAZ内の住民も汚染の可能性があり、避難退域時検査場所での検査・除染の対象とすべきではないか。

以前はスクリーニング検査場所と言われていた避難退域時検査場所の検査や除染は、国のマニュアル(「原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」)の変更や通知等によってかなり簡略化されている。今年度の原子力防災訓練(監視行動の報告参照)ではそれをさらに上回る簡略な検査体制となっている。30キロ圏を超えたあたりでこの検査場所を設ける理由は、質問に記載してあるように「内部被ばくの抑制及び皮膚被ばくの低減、汚染の拡大防止のため」である。そんな重要な役割を担っているはずの検査場所の手続きがなぜ簡略化(手抜き)されているかといえば、車一台ごと、住民を一人ひとりをきちんと検査をしてるととんでもない渋滞発生で大混乱必死だからである。わずかバス数台、参加住民数百人程度の避難訓練でもバスは列をなす。志賀原発30キロ圏には氷見市も含め約16万5千人が暮らす。事故の状況や風向きによって必ずしも全員が避難対象となるかはわからないが、一人当たりの検査時間(平均2分半程度)に通過する人数を掛け、検査するチームの数で割れば、対象地区住民が検査場所を通過する時間を簡単に予想できる。全員参加の訓練を行うまでもなく防災計画の破たんは明らか。これは志賀に限った課題ではなく、全国共通の課題なので、国は「避難の迅速性」確保という名目で手抜き検査体制の実現に向け、方針を大きく変更した。
もちろん迅速な避難は重要な課題なので、合理的な理由、根拠があるのならば検査の簡略化もありだが、その根拠は到底理解しがたいものばかり。個々の検査、除染体制については、県は国のマニュアル、通知に従ったとの回答に終始し、時間の関係上、今回は踏み込んだ議論はできなかった。
基本的な、そして重要な認識の違いを3点だけ指摘をする。
まず、検査要員、除染要員の軽易な装備に関連しての質疑の中で示された「検査場所自体は30キロ圏外にあり、基本的には防護の必要はない」との認識について。福島事故前は10キロの壁とも言うべき「放射能は10キロ圏外には拡がらない」という安全神話があったが、これでは新たに「30キロの壁」という安全神話ができてしまう。福島の現実を見ても、そして原子力災害対策指針を見てもそのような記載はない。プルームが30キロ圏外まで流れる可能性は否定しておらず、「原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」ではバックグラウンド値が高くなると要員の安全はもちろん、検査にも支障が出るので、避難経路上にさらに複数の検査場所を想定しておく必要性が指摘されている。
次に(3)の回答として「PAZ(原発から約5キロ圏)は事故の進展に応じて、放射能の放出前に避難指示が出て避難を行なうから被ばくはしない。したがって避難退域時検査場所での検査や除染の必要もなし」とのこと。5キロ圏住民は被ばくの可能性なしという2つ目の「安全神話」が生まれそうだ。質問にも記載した通り、条件によってかなりの避難時間を要することが明らかになっている。放射能が後ろから追いかけてくる可能性もあるし、何より大前提は原発敷地の中の状況が北陸電力から迅速・正確に伝えられること。北陸電力は臨界事故が起こっても8年間も隠し通し、大量の雨水が原子炉建屋に流入して電源喪失の可能性があっても警報を無視してきた。そういう意味では他の原発以上に5キロ圏住民のリスクは高い。はるかに高い。本当にリスクがないというのならば安定ヨウ素剤の事前配布すら必要がなくなる。
さらにこの質疑に対する回答の中で「UPZ内ではモニタリング調査をした上で、放射性物質が地面に沈着した後で逃げるということになる」との見解も示された。避難退域時検査場所の簡易化と対になる考え方で、国からの通知を根拠にしていると思われるが、これも実はとんでもない大きな方針の転換である。現行の原子力災害対策指針も県の原子力防災計画も避難計画もUPZ(おおよそ5~30キロ圏)については空間線量が500μSv/hを超えた場合OIL1として対象区域住民は数時間以内の避難、20μSv/hを超えた場合はOIL2として1週間以内に一時移転とされている。ところが、放射性物質が地面に付着するまで(それを検査で確認するまで)、放射性物質が浮遊する中、屋内退避を継続するという話である。屋内退避は、屋外にいるより屋内にいた方が被ばくを低減できるという意味にすぎない。5キロ圏内と30キロ圏外の安全神話に対して、5~30キロ圏住民にはさらなる被ばくの受入れが求められている。
屋内退避のリスクについては、後のⅣ3の項目を参照していただきたい。

3. 2次避難場所について
(1) 県内のバックアップ市町は、内灘町、野々市市、川北町、能美市、小松市、加賀市と自治体名だけ記載されている。事前に2次避難場所の施設名を記入した計画は作成しないのか。
(2) 奥能登方面についてはバックアップ市町の記載がないが、どのような対応を考えているのか。
(3) 富山県への避難も、災害状況によっては必要になると思われるが、協議の状況を聞く。

県の避難計画では避難元の地区と避難先の施設がマッチングされ記載されている。しかし、事故の態様や複合災害の状況によっては予定された施設へ避難できない事態もありうる。そのための第二の避難先がバックアップ市町である。県では内灘町や野々市市など6市町をバックアップ市町としている。いずれも金沢、加賀方面である。輪島市や能登町、珠洲市も含む大規模災害で原発事故が起こった場合、予定された奥能登の施設は地元の住民の避難施設となり、志賀町富来地区や輪島市門前地区や七尾市中島地区、穴水町からの避難住民の受入れはできなくなる。さあ、どうする?というのが(2)だが、金沢、加賀方面のバックアップ市町に避難するそうだ。「避難経路は再考する必要もある」とのことだが、志賀原発は半島の首根っこに位置するため、原発から遠く離れたう回路など、空路、海路を除けば、存在しない。おそらくここでも「被ばくの低減」の名の下、被ばくしながら金沢、加賀方面へと突き抜ける移動となるだろう。

4. ヨウ素剤の配布について
(1) PAZ内はいつ事前配布を行うのか。
(2) PAZ外の住民等への配布・服用体制の整備状況を聞く。
(3) 避難指示後のPAZ外の住民等への配布によって、渋滞の発生、避難行動がさらに遅れることも必至と思われるが、見通しを聞く。

石川県は、PAZ内の安定ヨウ素剤の事前配布を国から求められているが、行っていない。事前配布の課題として誤飲などが懸念されるが、「使用期限後の回収も難しく、国のマニュアルでも示されていない」のが主たる理由とのこと。志賀原発は停止中で事故リスクも低いとの認識も、未配布状態の継続をよしとする理由の一つとなっているのではないか。
事前配布の対象とされていないPAZ圏外の住民への配布体制も大きな課題。必要数は備蓄されているが、何万人もの人に遅滞なくどう配布するか。「避難行動時の経路途中でドライブスルー方式を想定している」とのこと。おそらく自治体職員が担当すると思われるが、屋外の業務なので被ばくのリスクは高まる。また、住民に何日間もの屋内退避を強いるなら、避難行動前の配布・服用が必要となるはず。現状は矛盾だらけ。他県では、UPZ圏内も事前配布せざるを得ないのではないかとの声が該当地区住民から上がっている。

Ⅳ 実現可能な避難計画・実行体制となっているか
1.実践的な防災訓練となっているか
(1) ブラインド訓練は訓練参加者のどの範囲で導入されているのか。
(2) 避難方法・ルートの選択は、まずは道路による避難を優先、さらにPAZ圏内住民の避難でも、風下方向は可能な限り避けるのが原則ではないか
(3) PAZ内住民への避難指示が出ている中、PAZ内の道路損壊の補修、あるいは除雪作業などを建設業協会に求めることは可能か。作業員の被ばくリスクは考慮されているか。

ブラインド訓練の導入は、福島事故前から私たちも求めており、2014年の国主催の訓練から導入され、以後も毎回、オフサイトセンターの運営訓練で導入されている。しかし、当初こそ緊張感が感じられたが、毎回ほぼ同じ想定で明らかにマンネリ気味。
今年度の訓練でも、訓練なので大枠は決めてあるとはいえ、風下への避難行動、緊急事態下の5キロ圏内での道路復旧作業など、いざというときにこんな判断ありかと思う展開が随所に。
(2)については、「風向き関係なく迅速に30キロ圏外へ避難する」とのこと。30キロ以遠まではプルームが追いかけてはこないということか。ここでも「30キロの壁」の安全神話がちらつく。ちなみに七尾市は中島地区に関して、「風向き等状況対応ルート」として野々市市への避難も想定している。
(3)については、住民の避難指示は出ているが放射能放出前で作業員の被ばくリスクはないので作業してもらうとのこと。こちらは5キロ圏の安全神話。これについては次の質問項目で議論。

2.民間事業者との応援協定の締結状況について
(1) 応急活動や復旧活動に関して、民間事業者の協力なしには防災計画は成り立たない。平常時から応援協定の締結を進めることとされているが、締結状況を聞く。
(2) 応急活動及び復旧活動に従事するにあたって、バス事業者以外の民間事業者の被ばく限度量を聞く。放射線防護に係わる資機材の提供や事前の講習等は行われているか。

(1)については、「県は医療救護や生活必需品、燃料の補給、人員や救援物資の輸送応急復旧工事など様々な分野で154団体と災害時の応援協定を締結している」とのこと。しかし(2)や前問の応急復旧工事の関係などで質疑を重ねると、原子力災害に特化した被ばくのリスクのあるところでの作業がともなう民間団体との応援協定は一件も締結されていないということが明らかになった。訓練では毎回バス会社の運転手さんが参加するが、バス協会との間でもいまだ協定は締結されていない。
バスの運転手さんの被ばく限度に関しては、8年前に原子力防災会議連絡会議コアメンバー会議が「共通課題についての対応方針」をまとめ、この中で「一般公衆の被ばく線量限度である1mSvを基本とする」という見解が示されている。しかし石川県も含め各地で協定の締結は進んでおらず、内閣府は2017年「原子力災害時の民間事業者との協力協定等の締結について」を示している。1mSvという数値を決めても、それを守るためには諸々事前に決めておかなければ運転手の安全は確保できない。バス協会としても曖昧な規定で協定締結とはいかないということだろう。災害復旧や除雪などでは建設業協会との協定が求められるが、ここでもPAZ内は放射能放出前だから大丈夫と言われも簡単に「それでは了解!」となるものではない。
(2)に対する回答の中では、「現実的にはこうした方々に被ばくリスクのある所で協力をお願いするというのはなかなか難しいのかなと思っている」と率直な思いも吐露された。現実にはその通りだろうが、この状態で事故を迎えたときにどういう事態を迎えるか。「緊急時だ。頼む。住民を迎えに行ってくれ」「道路の復旧だ。現場に向かってくれ」「除雪しないと住民は孤立状態だ。頼む」と言われ、拒否できるか。防護対策も不十分な中、なし崩しの対応が懸念される。
民間団体との協定締結ができないのなら原子力防災は成り立たず、残された道は速やかな廃炉しかない。このように書くと、次は協定締結に向け民間団体に圧力をかける動きがでないか心配になる。県や市町、北陸電力と様々な委託契約を結び、事業を行う団体の弱みに付け込むことはないか警戒し、私たちも監視しなければならない。
関連して消防団の被ばく線量についても聞いた。この間の訓練では被ばくのリスクのある場での行動も見られた。制度上は非常勤公務員なので被ばく線量も自治体職員と同様となるのか。これについては今後、地域原子力防災協議会を通じて、どのような活動に携わってもらうか検討するとのことだった。

3.UPZ内の住民の屋内退避について
(1) PAZ内の住民のスムーズな避難行動のためのUPZ内住民の屋内退避は、低線量被ばくのリスクを求めるものと言えるが、住民に理解されているか。
(2) 自主避難住民が相当の比率にのぼり、混乱必死となるのではないかと危惧する。2段階避難は機能するのか。

「周知を徹底する」との回答。この問題は先の避難退域時検査場所に関連しての質疑の中ですでに議論されているが、避難ではなく屋内退避をさせる方向へと国は徐々に舵を切っている。この問題は周知を徹底すればいいという問題ではなく、①屋内退避の安全が確保されていること、②屋内退避をする場所(自宅や避難施設)周辺が高濃度の汚染地域とならないこと、③避難指示に移行したとき、スムーズな避難が可能なこと、が最低限の前提条件となる。家にとどまり被ばくのリスクが高まるのならば、屋内退避の指示に従わず避難を開始する行動心理を批判することはできない。
原子力規制委員会の「原子力災害発生時の防護措置の考え方」では「屋内退避により、吸入による内部被ばくを、木造家屋においては四分の一程度」に抑えることができるとする。しかし、4分の1に低減されるのは1993年以降の家屋。原発立地県における木造住宅のうち37%は1980年以前の住宅で、この住宅の場合は56%に低減されるだけ。半分の低減効果もない。住民みんなが高気密住宅に住むわけではないという現実を直視した対策が求められる。

4.避難バスの確保
(1) コロナ対策も踏まえた避難用バスの必要数は何台を見込み、手配可能なバスは何台か。
(2) 観光シーズン等バス会社の繁忙期の対応は可能か。

「バスの必要台数は放射性物質の放出にもよるので一概には言えない」とし、「他県の例では避難住民の1割程度のバス避難を想定していて本県でも自家用車主体の避難と考えている」との回答。要するに必要台数、手配可能台数の検討はできていないということ。「コロナ対策を踏まえれば想定より多くのバスが必要になると承知している」とするが、具体的な数字は一切聞くことはできなかった。今後、地域原子力防災協議会で具体的な数字について詰めていくことになると思われるが、応援協定の締結なしに数字だけ積み重ねても実効性はない。

5. 要配慮者の避難について
(1) 放射線防護施設は最長何日間の屋内退避を想定しているか。
(2) 避難対象地区内の病院や福祉施設等の入院患者や入所者らの人数、避難先施設の受け入れ可能人数を聞く。受け入れは県内施設だけで対応可能か。
(3) 避難に必要な車椅子対応車両、ストレッチャー車両、救急車はそれぞれ何台を想定しているか。現在手配できる車両はそれぞれ何台か。

(1)について、「国のマニュアルでは3日以上の備蓄を求められているが、最長何日との想定はない」とのこと。避難先が確定し、移動手段を確保できなければ期限なく何日も施設内にとどまることになる。そうした事態を避けるための具体的な計画が(2)(3)となるが、「区域内の病院、福祉施設等の総定員が6871人であることしか把握していない」とのこと。要配慮者の避難は、総定数を把握しているだけではほとんど意味を為さない。地域原子力防災会議作業部会では3年前から課題として取り上げらているが、PAZ内の要支援者の調査が完了したのみとなっている。「緊急時対応の取りまとめの中できちんと対応していかなければならない」と今後の課題であることを認めた。

6. 複合災害について
(1) 地震による建物倒壊・損壊で屋内退避できないときの屋内退避指示、雪害や台風などで外出ができないときのOILによる避難指示など、自然災害と原子力災害の複合災害時には相反する行動が求められるケースが多々ある。防災計画第5章複合災害対策編では、優先すべき行動原則を明記すべきではないか。
(2) 近年、巨大台風襲来による暴風と豪雨、大洪水、高潮、大規模停電、さらに豪雪による交通網の麻痺や災害級の猛暑など日本列島でも「異常気象」が常態化している。相次ぐ巨大地震、大津波の脅威も含め、現代社会は巨大自然災害の危機に直面している。これらの災害に起因する原発の重大事故、あるいはこれらの災害と並行して起こる重大事故に対しては、住民の避難行動のみならずモニタリング体制や原子力災害医療体制も機能不全に陥ること必至である。原子力防災の限界を住民の前に明らかにしておくことも必要ではないか。

複合災害への対応は、今後、地域原子力防災協議会での緊急時対応の取りまとめの中で検討していくとのこと。「今後とも訓練、検証を重ね、継続的に改善を図り実効性を高めていかなければならない」というあまり意味を為さない一般論しか聞けず、踏み込んだ議論をする時間はなかった。
複合災害時は、たとえ被ばくの危険性があっても、まずは我が身に振りかかった命を脅かす災害から身を守ることを最優先にすることが大原則で、原子力防災は停止せざるを得ない。自然災害は防ぐことはできないが、原子力災害は一日も早い廃炉の実現で防ぐことは可能。訓練や検証で解決できる問題ではない。

Ⅴ コロナ感染防止と放射線防護について
1. オフサイトセンターは典型的な三密空間であり、新型コロナ感染リスクの高い空間だと思われる。現状の感染防止対策とさらなる対策の余地について聞く。
2. 避難車両内や放射線防護施設などでは、新型コロナ感染防止対策として三密回避が求められる一方で、放射性物質からの防護措置としては密閉が求められる。相反する対応が求められ中、内閣府が示す実施ガイドラインは最終的な対応を現場丸投げにしている。県の対応を聞く。
3. 避難所で求められる1人当たりの面積は2倍以上となる。避難先施設の見直しが必要ではないか。

(1)については「機械換気の能力を十分に生かしつつ、感染症対策(手指消毒や機材の消毒等)を徹底する。中に持ち込まないことが第一」とのこと。(2)については、「30キロ圏は窓を開けて走ることはない。乗車定員を減らし、体調の悪い人は別車両とするといった対応になる」との回答。放射線対策と感染症対策は相反するところがあることは認めたうえで、「放射線防護を優先しつつ、出来る限りの感染症対策をする」とする。このように言わざるをえないということ。
コロナ対策と原子力防災は矛盾し、両立しないことは昨年の防災訓練に対する抗議声明、そして今年の抗議声明でも指摘している。
(3)については、「感染症対策を踏まえると、これまでの考え方での避難所の収容人数が足りなくなるのではないかという心配は確かにある」とし、避難先、避難元の市町と今後検討をすすめていくとのこと。
コロナ前に策定した避難先リストは、施設によってもちろん異なるが、施設収用人数(一人あたり2㎡)の8~9割の住民が割り振られている施設も多くある。コロナ対応では一人あたり4㎡ほどになるので見直しは必至だ。地域全体でみると予備の施設が多くあり、総数としては地域の中で受け入れは可能だが(複合災害時を除く)、避難先施設は事前に周知する必要がある。「今後」という回答に「えっ!まだやってなかった?」と驚く。新型コロナはいずれ収束するとしても、感染症はいつ流行するともしれず、この機会に速やかに見なおし作業を進めるべきだ。
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以上、質問項目ごとに回答のポイントを紹介し、コメントを付け加えた。
今回の質問状は、石川県原子力防災計画や避難計画の問題点、疑問点を網羅したものではないし、各項目についてもさらに踏み込んで議論しなけれないけないこと、多々残っていることは承知しているが、それでも現状の原子力防災の問題点をかなり浮き彫りにすることができたのではないかと思う。
1.福島第一原発事故の教訓化がほとんどできていない(国以上に後退)
2.PAZ内とUPZ圏外で新たな安全神話 → 対策は簡略化され住民はより危険になる
3.UPZ内の住民は「被ばくの低減」の名の下、被ばくの受容が求められる → 屋内退避や避難行動、避難先など随所で
4.民間事業者の協力体制や要配慮者の避難計画など、具体性に欠ける箇所が数多くあり、事故が起これば計画の破たんは明らか
5.今後の検討課題が多く残されており、現行の防災体制は不完全、未整備

今後、志賀地域原子力防災協議会の場で4、5の課題は議論されていくことになるが、具体化すればするほど、原子力防災の矛盾(ex.避難の迅速性を重視すれば、防護対策を簡略化せざるを得ない)は一段と鮮明になっていくだろう。
さらに、日頃からの重大事故への備えは、常に原発を意識した生活を求め、原発の外部コストも高め、そこまでして原発が必要かという議論へとつながっていく。原発推進の矛盾をさらに深めていくことにもなるだろう。

継続した取り組みを参加者一同確認し合い、クリスマスイヴの申し入れ行動を解散した。

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 原水禁, 友誼団体, 反核・脱原発, 志賀原発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染) | 2021.12.24県知事に提出 原子力防災計画・避難計画に関する質問書 はコメントを受け付けていません

NPT延期に係る「市民社会から核不拡散条約(NPT)締約国への共同声明」

市民社会から核不拡散条約(NPT)締約国への共同声明*
2022 年 1 月 10 日
世界が COVID-19 感染拡大に取り組み続ける中、私たち全員を脅かす他の地球規模の課
題、たとえば、悪化する地球規模の気候危機や壊滅的な核戦争の脅威を見失うわけにはい
きません。これらはすべて、コフィー・アナン前国連事務総長の言葉を借りれば、「パス
ポートのない問題」なのです。
このパンデミックによる世界的危機の規模は、複数の政治的失敗によるものです。政府
やその他の関係者は、国境を越えた脅威や、その影響を防止・軽減するために必要な措置
について、世界中の科学者が発した警告を何度も無視し、退けてきました。私たちは今、
動きの速いコロナウイルスや気候危機との闘いにおいて極めて重要な地点にいるだけでな
く、核戦争の脅威を減らし核兵器を廃絶するための長期にわたる努力においても転換点に
立っています。
世界の核保有国間の緊張は高まり、核使用のリスクは増大し、核兵器の更新や改良に何
十億ドルもが費やされ、核軍縮の進展は停滞し、核競争を抑制してきた重要な協定も深刻
な危機にさらされています。
これらの世界的危機から学ぶべき多くの教訓の一つは、人間よりも利益を優先し、最も
強力な者を優遇する見せかけの「国家安全保障」政策を口実に、科学を無視してはならな
い、ということです。
米国による広島と長崎への恐ろしい原爆投下から 75 年以上が経過し、核不拡散条約
(NPT)の締約国が条約の無期限延長につながる一連の決定を採択してから 25 年以上が
経過しています。このような背景から、この声明を支持する市民社会団体は、NPT 締約国に対して以下の 3 つの重要なメッセージを提唱します。

1. NPT に対する世界の支持は強い。しかし、NPT が長期的に存続できる保証はない。
各国が NPT への支持を改めて表明していることは心強いことです。しかし条約は、そ
れが履行されてこそ強固なものとなります。コンセンサスに基づく NPT 再検討会議の決
定が履行されない状態が長く続けば続くほど、条約とその義務の重みは薄れていくことで
しょう。NPT の長期的な存続のためには、すべての国がその義務を完全に履行しなければなりません。過去の NPT 再検討会議の公約と行動措置は、依然として有効です。これには、歴史的な 1995 年の再検討・延長会議で合意されたベンチマークや、2000 年と 2010 年の再検討会議でなされたさらなる公約が含まれます。それ以来、核軍縮プロセスは停滞しており、NPT 上の核兵器国 5 カ国は、NPT 第 6 条の義務を果たしていると信頼できる形で主張することができません。

2. 世界情勢の深刻な状況、核紛争と軍拡競争のリスクの高まりは、責任ある国家による新たな大胆なリーダーシップを求めている。
過去の行動計画を履行することは、NPT の規定を前進させるための土台であって、天井であってはなりません。核兵器使用のリスクはあまりにも高く、特に攻撃的なサイバー作戦や人工知能が世界の安全保障環境に前例のない不確実性をもたらしていることから、増* 原文および賛同団体数・団体名は、Reaching Critical Will 参照。
https://www.reachingcriticalwill.org/disarmament-fora/npt/20221
大しています。新たな安全保障上の同盟関係は、核不拡散保障措置体制にかつてない脅威
をもたらし、地域的な軍拡競争へとエスカレートしています。このような環境だからこそ、すべての国が核兵器廃絶による核リスク削減のために大胆な行動を取ることが求められます。この行動は「あらゆる核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の結末に対する深い懸念」に根差したものです。多くの国が、現在発効している核兵器禁止条約(TPNW)に加わり、核軍縮に取り組む姿勢を示しています。TPNW は、核戦争の脅威をなくし、核兵器を廃絶するという共通の目標に大きく貢献するものです。

3. 変化に抵抗する人々はさらなる前進のために適切な「環境」ではないと言うが、責任ある行動者はいたるところでこの挑戦に起ち上がっている。
世界は、軍縮のための環境が「整う」まで待つことはできません。紛争予防と解決、非
核軍事力の管理、人権の保護、気候や環境の保護、その他の重要な取り組みにおいて成功
すれば、核軍縮を促進することになるのは事実です。しかし、協定交渉や単独行動によっ
て軍縮のために行動することは、核兵器のない世界を実現するための環境を整えると同時
に、世界の他の緊急の課題の解決に積極的に貢献する相互信頼の環境を構築することにつ
ながります。
第 10 回 NPT 再検討会議は、現在の軌道を修正し、加速する軍拡競争を減速・反転させ、核拡散を防止し、核兵器の終焉をもたらすための努力を集中する重要な機会を提供するものです。
以下に署名した 91 団体は、NPT 締約国および国際社会に対し、新たな大胆なリーダー
シップを発揮するよう求めます。私たちは、すべての NPT 締約国に対し、根深い政治的
対立を超えて、NPT 第 6 条の目標を前進させ、軍縮の更なる進展のために必要なモメンタムを創出し、核戦争の惨事から人類を救うための行動計画に対する多数の支持を構築するために協働することを求めます。
NPT 再検討会議において核軍縮と不拡散を前進させるために締約国が検討すべきより詳
細な分析と勧告は、この要請書の賛同団体リストの後に記載されています。
賛同団体(一覧)
(91 団体、略)

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