「幻」となった決議案 新型肺炎に便乗した「緊急事態条項の新設」と「病院船の建造」に反対する特別決議

新型肺炎に便乗した「緊急事態条項の新設」と 「病院船の建造」に反対する特別決議(案)

新型コロナウイルスによる肺炎の蔓延を理由に、自民党有力国会議員らから『非常時に国民の権利を一部制限できる「緊急事態条項」が必要』との発言が出されています。感染症などの対策は、現行の法律で対処できるものであり、今回の発言は、自分たちのゴテゴテを反省することなく、これを奇貨として改憲を急ぐ自民党内改憲派の「勇み足」と言わざるを得ません。

全国肢体障害者団体連絡協議会(全国肢障協)は2月10日、これに反対する緊急声明を発表しました。「戦争や災害などでは『役立たず』『足手まとい』と切り捨てられるのは障害者だ」として「緊急事態条項の不要」を訴えました。

緊急事態条項とは改憲四項目の一つであり、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」時に、内閣総理大臣が「国家緊急権」を発令できるようにするものですが、自然災害のみならず、戦争災害や労働者・市民の決起にも適用される、基本的人権と三権分立を「瞬時」に停止する極めて危険なものであり、「ナチスの手口」とも言われているものです。まったく言語道断であり、その撤回を求めます。

また一方、現在の新型肺炎や地震災害などで陸路が遮断された場合の対応として、病院機能を持つ「病院船」の活用を検討せよと2月12日、自民党が提案しました。これに安倍政権は、「関係省庁とも協議し病院船の配備の在り方を加速的に検討していく」と述べ、14日には河野防衛相が導入に向けた検討を始めたと報道されました。

「病院船」とは、戦争や飢餓、大災害時に現場で傷病者に医療ケアをする船舶であり、通常、世界ではアメリカやロシアなど“戦争する国”が運用しているものです。しかし、医療システムの維持費やコストが莫大であることから、それらの国々も輸送艦や強襲揚陸艦など戦時艦船を利用しているものが殆どです。

私たちは、「病院船」の建造が災害対策の見地からみても「陸路の代替」とはならないと考えます。地震が港湾のみならず関連施設をも破壊したことを知っているからです。

従って、改憲推進派による「災害対策」に名を借りた「緊急事態条項の創設」と「病院船の建造」は、きわめて意図的、恣意的な「コロナウイルス騒動に便乗した世論操作」と考えます。これらは、憲法改悪へと道を開き、民主主義を破壊し戦時体制を強化するなにものでもなく、断乎として反対していくことを宣言します。

 以上、決議します。

2020年2月28日

 石川県憲法を守る会総会参加者一同

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