被爆73周年原水爆禁止世界大会スローガン・世界大会基調

被爆73周年原水爆禁止世界大会スローガン

〈メインスローガン〉

核も戦争もない平和な21世紀に!

くり返すな核被害! めざそう核兵器廃絶と脱原発社会!

〈サブスローガン〉

〇子どもたちに核のない未来を!

〇原発事故被害者の切り捨ては許さない!

安心して暮らせる福島を取り戻そう!

〇許すな!再稼働 止めよう!核燃料サイクル めざそう!脱原発社会

〇STOP!原子力推進政策 増やそう!持続可能なエネルギー

〇辺野古に基地をつくらせるな! めざそう基地のない日本

〇非核三原則の法制化を! 東北アジアに平和と非核地帯を!

〇核兵器禁止条約を批准し、早期発効を!

〇再びヒバクシャをつくるな! 全てのヒバクシャの権利拡大を!

〇憲法改悪反対! 安倍政権の暴走を許さない! 平和と人権を守ろう!

 

被爆73周年原水爆禁止世界大会基調

■はじめに

1945年8月6日、広島市に原爆投下、8月9日、長崎市に原爆投下。私たちは、そのことを決して忘れてはなりません。原水禁の運動の原点はその「被爆体験」にあります。原爆を投下したアメリカは、広島・長崎の甚大な被害に関する調査結果をも核兵器開発に利用しながら、1940年代末には水爆開発を準備し、1949年にソ連が原爆実験に成功してアメリカの核独占が崩壊すると、1950年には水爆の開発を公言しました。そして1954年は、広島原爆の約1000倍もの爆発力を持つ水爆実験をビキニ環礁で行い、マーシャル諸島の人々や第五福竜丸をはじめとする日本の漁船乗組員など、新たなヒバクシャを生み出したのです。度重なる大気圏核実験の「死の灰」による地球的規模の放射能汚染が広がる中で、原水爆禁止、核実験反対の国際運動が広がり、日本の原水禁運動も活動を始めました。

一方、「死の灰」に対する人々の不安を押さえ込みながら、原子力開発を進めるために、1953年にアイゼンハワー大統領は、国連で「原子力の平和利用」演説を行い、1955年に開催された「原子力平和利用会議」が母体となって、1957年には、国際原子力委員会(IAEA)を発足させました。その後の冷戦下においても核保有国の核軍拡が進む中、原水爆禁止を求める世界の人々の運動を背景に、1963年には部分的核実験禁止条約(PTBT)締結、1970年には核不拡散条約(NPT)を発効させ、1972年には核大国の米ソ間で戦略核兵器制限交渉を開始させました。しかし、その後も核兵器は増加の一途をたどり、世界の核兵器は、1986年に約64000発を数えました。核の脅威が増していく中にあって、米ソ両核大国は、1988年に中距離核戦力(INF)全廃条約を発効させ、1991年には戦略兵器削減条約(STARTⅠ)に調印しました。1993年にはSTARTⅡが、オバマ米大統領によるプラハ演説の後の2011年には新STARTが発効しています。国連も、1995年にNPTの無期限延長を決定し、1996年には包括的核実験禁止条約(CTBT)を採択しています。

この間、日本の被爆者は国際的な場で原爆の悲惨な実相について訴えてきました。国際反核法律家協会(IALANA)や、国際平和ビューロー(IPB)、国際反核医師の会(IPPNW)の3団体中心に、1992年に始まった国際法廷闘争は、全世界を巻き込む大運動に発展しました。米仏など核保有国が妨害する中、1995年、国際司法裁判所において、平岡敬広島市長と伊藤一長長崎市長が被爆の実相について訴えました。「国家の存続が危ぶまれるような状況では」との留保をつけながらも、国際司法裁判所は、賛成8、反対6の評決をもって「核兵器の威嚇や使用は、一般的に、国際法および人道法の原則に違反する」との勧告的意見を出しました。6人の反対の内、核保有国出身の裁判官が5人、後の1人は日本出身の裁判官であったことは、日本政府の核廃絶への後ろ向きの姿勢を象徴しています。

多くの人々の努力の結果、核兵器は減少の一途をたどりましたが、いまだ15,000発が世界に存在し、当初英米仏中ロの5カ国であった核保有国は、インド・パキスタン・イスラエルに朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を加えて9カ国に拡大しています。被爆から73年、核兵器廃絶へ被爆者に残された時間はありません。

■オバマ前大統領の「核なき世界」の挫折と日本

2009年4月5日、バラク・オバマ米前大統領は、チェコ共和国首都プラハにおいて、「核兵器を使用したことがあるただ一つの核保有国として、米国は行動する道義的な責任を持っている。私は明白に、信念とともに、米国が核兵器のない平和で安全な世界を追求すると約束する」として、ゴールはすぐに到達できないとしながらも、「核なき世界」をめざすことを宣言しました。この発言は、オバマ前大統領のノーベル平和賞受賞の大きな理由となりました。オバマ前大統領は、2016年05月27日に、現職大統領としては初めて広島の地を踏み、「私の国のように核を保有する国々は、勇気を持って恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求しなければなりません」と、再び「核なき世界」への強い意志を表明しました。

オバマ前大統領は、退任を前にして核兵器の「先制不使用」の宣言を検討しましたが、共和党トランプ大統領の勝利によって政策の継続性が不透明となったことや「中ロの情勢からも時期が不適切」「日本や韓国などの同盟国との関係を損ねる可能性がある」といった国内外からの懸念の声によって、残念ながら断念することとなりました。中国政府は、これまでも「どんな状況下でも先制不使用の原則を貫く」としており、米政府が「先制不使用」を宣言するならば、「核なき世界」へ向けた重要なアプローチになったに違いありません。しかし安倍首相は、「米国が『先制不使用』を宣言すれば、北朝鮮などに対する抑止力が損なわれ、紛争のリスクが高まる」との懸念を、ハリス米太平洋軍司令官(当時)に伝えたと報道されるなど、米国の核の傘の下で核抑止力に依存する安全保障体制の継続を願望しています。

■核兵器禁止条約の成立と安倍政権の姿勢

核兵器廃絶の運動は、平和団体を中心に世界に広がっていきます。被爆者や平和を求める人々の声に推されて、非核保有国は、核兵器禁止を求めて様々な議論を重ねてきました。そのようなとりくみの結果として、2017年7月7日、「核兵器禁止条約」が、国連加盟国193カ国中122カ国の賛成をもって成立しました。条約成立に向けた流れに繋がった三回にわたる「核兵器の人道的影響に関する国際会議」では、各国政府や国際赤十字などの国際組織、世界の反核市民運動とともにヒロシマ・ナガサキの被爆者やマーシャルなどの核実験被害者、医師や法律家などの専門家が集まり、医学、環境・気候変動、国際法など、様々な観点からの報告や議論がなされました。その中で特に、被爆者や核実験被害者が、自らの体験を語り、核兵器の「非人道性」、「非人間性」を訴えてきたことが、この条約作成に向けた源泉となりました。

条約は、「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)及び核兵器の実験により影響を受けた者にもたらされる容認しがたい苦しみと被害」の留意と、「先住民に対する核兵器活動の不均衡な影響」との認識にたって、「核兵器のいかなる使用も人道の諸原則及び公共の良心に反する」としました。その上で、第1条の(a)で、核兵器などの開発、実験、生産、製造、その他の手段での取得、占有、貯蔵などを禁止し、(d)で、核兵器などの使用、その使用の威嚇を行うことを禁止しています。また、第6条と第7条では、核兵器使用・実験の被害者の支援を受け取る権利を認め、核兵器を使用、実験した締約国の支援を提供する責任を明記しています。人類史上初の核爆弾投下から72年、核兵器を「国際人道法」に反する「非人道兵器」として、核兵器とそれに関わるすべてを国際法で「禁止」する、被爆者や原水禁運動が、長年にわたって求め続けている「核兵器廃絶」への歴史的一歩としてきわめて重要な条約です。また、「すべての国がいかなる時も」遵守すべき国際法として「国際人道法」だけでなく「国際人権法」を再確認することも最終案に追加されました。このように世界の核被害者を「国際人権法」によって救済していく道が切り開かれたことも、重要な前進です。

しかしながら、安倍政権は、核兵器廃絶には核保有国と非保有国の「建設的な協力」が必要不可欠としてこの条約に反対し、交渉に参加しませんでした。条約に調印した国は、2018年6月末現在で59カ国となり、批准書を国連に提出した国は10カ国となっています。50カ国の批准書が国連に提出されて後、90日で核兵器禁止条約は発効することとなります。安倍政権が、唯一の戦争被爆国として国際社会でたち振る舞うつもりならば、核兵器禁止条約への参加は当然です。被爆の惨禍を繰り返してはならないとの被爆者、市民の思いを、安倍政権はしっかりと受け止めて、非核保有国として、戦争被爆国として、核兵器禁止から核兵器廃絶への先頭に立たなくてはなりません。

■破綻するプルトニウム利用政策

原水禁運動は、意を同じくする運動組織と連携しつつ、「東北アジア非核地帯」の形成に向けて議論を展開してきました。朝鮮の非核化は、その構想の実現のためにきわめて重要です。私たちは、非核地帯構想には周辺各国から非難されている日本の「プルトニウム利用政策」(核燃料サイクル計画)の放棄が、絶対に必要であるとの立場で、ともすれば原子力エネルギー政策と考えられがちな「プルトニウム利用政策」を、核兵器廃絶の立場から批判してきました。使用済み核燃料の再処理と再処理によって生み出されたプルトニウムを高速増殖炉の燃料に使用するとする「プルトニウム利用政策」は、六ヶ所再処理工場の23回にもわたる完工延期(23回目は、2018年上半期完工を2021年上半期に延期)と高速増殖原型炉もんじゅの廃炉決定(2016年12月21日に廃炉正式決定)によって、その破綻が明らかになっています。現在日本は、使用済み核燃料の再処理によって国内外に47トンにも及ぶ分離済み核分裂性プルトニウム(長崎型原爆約6000発分)を所有しています。NPT加盟国の非核兵器保有国にあって、唯一再処理を行っている日本は、NPTに対してその使用目的を明らかにすることを求められています。2011年3月11日の福島原発事故以来、きびしい新規制基準の中で、54基あった国内の「運転中」商業用原発のうち、すでに19基(福島第二を含む)の廃炉が決まり、残る35基中、適合性審査「合格」は14基、うち5基(高浜1・2号、美浜3号、柏崎刈羽6・7号)は対策工事中で、実際の再稼働は9基(運転差止仮処分中の伊方3号を含む)にとどまっています。市民社会の脱原発を望む声や安全対策などによる原発建設のコスト増などによって、原子力発電の将来はきわめて不透明となっています。安倍政権は、高速増殖炉計画が実質的に破綻した中にあって、増え続けるプルトニウムをプルサーマル計画(プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を軽水炉で燃焼させる)によって利用することとしていますが、再稼働したプルサーマル炉は4基(高浜3・4号、伊方3号、玄海3号の4基だが、関電社長は2018年6月27日、大飯3・4号でも申請を検討中と発表)にすぎません。

■批判される日本のプルトニウム保有 

米国においては、サウスカロライナ州サバンナリバーに計画していた米国唯一のMOX燃料加工工場(核兵器解体に伴う余剰プルトニウムをプルサーマル用に加工)の建設を2015年に断念しています。理由は、建設費の高騰とプルサーマルを引き受ける商業用原発がないことによるものです。日本国内においても、仏国からの輸入MOX燃料費は通常のウラン燃料費の10倍近くに達していて、国内調達(六ヶ所再処理工場での再処理や国内MOX燃料加工)ではその数倍にもなり、原発の発電コストに影響するのは必至です。他方、MOX燃料は制御棒の効きを悪くするため、通常の軽水炉では炉心燃料集合体の1/3程度までしか装荷できず、1基で消費できるプルトニウム量は最大でも年0.3~0.4トンにすぎず、経済性、安全性、プルトニウム保有量削減のいずれにおいても正当な理由になりえません。そのため、米国内からは、「再処理は経済性も合理性もない」「日本が再処理を断念することを望む」などとする声が、トーマス・カントリーマン米国務次官補、ジョン・ウルフソル国家安全保障会議(NSC)上級部長、ジョン・ホルドレン米大統領補佐官(科学技術担当)など、多くの人からあがっています。2018年7月の日米原子力協力協定の自動延長をめぐって、米カーネギー国際平和財団のジェームズ・アクトン上級研究員は、日本が保有する使いみちのないままの47トンのプルトニウムに関して「核物質をテロ組織に奪われる安全保障上のリスクがある。核拡散につながりかねず、他国への悪い前例となり、中国や韓国など周辺国との緊張感を高めることにもなる」との懸念を表明しています。

このような中、米国家安全保障会議NSC等は日本政府に対し、プルトニウム保有量に上限を設け、削減策を公表することや日米原子力協力協定の自動延長に合わせて日米共同文書を発表するなどの適切な利用・管理を求めてきたと6月10日に報道されました。安倍政権は、7月3日閣議決定した第5次エネルギー基本計画で「プルトニウム保有量の削減に取り組む」と急遽追記しましたが、プルトニウム保有量の上限規制や六ヶ所再処理工場の竣工延期は避けられない状況です。7月5日に原子力委員会で決定された平成29年度版原子力白書でも「我が国のプルトニウム利用に関する取組(基本的な考え方の見直し)」の項を設け、「プルサーマルの実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう国が再処理量を認可することや海外保有分のプルトニウムの着実な削減の必要性などの議論がされております」と明記しています。六ヶ所再処理工場が稼働すれば年間約8トンの余剰プルトニウム(核分裂性では約5トン)が生み出され、「利用目的のないプルトニウム」が増え続け、今以上に国際的な批判を浴びるのは必至です。これを回避するために、政府や電力会社は経済性のない危険なプルサーマルを強行・拡大することで、保有プルトニウム量を削減しようとしていますが、それでは問題の解決にはつながりません。全量再処理の計画を改め、直ちに再処理・プルトニウム利用の「核燃料サイクル計画」を放棄すべきです。

■矛盾する日本の核政策

オバマ前米大統領は、「核なき世界」へのアプローチとして、また、テロ対策として、核セキュリティーサミットを開催し、プルトニウムの削減を進めてきました。このような情勢の中で、日本のプルトニウム保有には、中国を中心に周辺諸国から批判の声があがっています。2016年6月、米国バイデン副大統領(当時)が、習近平中国国家主席に対して「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したと伝えられました。2011年には雑誌『SAPIO』の対談で、自民党の石破茂政調会長(当時)が、「原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという『核の潜在的抑止力』になっている」「安全保障の面から、日本が核兵器を持てることを否定すべきではない」と発言し、日本が「潜在的核保有国」であることを肯定しています。

世界の核軍縮や環境問題で多くの提言を行ってきた米国のNGO「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラキー上級アナリストは、麻生政権時の2009年、「米国の戦略体制に関する米議会諮問委員会(座長:ペリー元国務長官)」に出席した秋葉剛男駐米公使(現外務事務次官)が、「米国が配備した戦略核の一方的削減は、日本の安全保障に逆効果」「米国は仮想敵国が核能力の拡張や近代化を諦めるのに十分な抑止力を持つべき」として、オバマ大統領の「核なき世界」へ向けたとりくみに反対する姿勢を示したことを明らかにしました。日本政府は、国連の場で核兵器廃絶を主張しながら、自国の安全保障については、米国の傘の下にあって成立しているとする核抑止の幻想に基づいて構築しています。自国の核兵器保有の潜在的能力を保持しながら、米国の核抑止政策の枠内で安全保障を確立しようとする日本政府の姿勢は、絶対に改めなくてはなりません。

■トランプ政権の核戦略と日本 

2018年2月2日、米トランプ政権は、2010年のオバマ政権以来となる「核態勢の見直し」(NPR2018)を発表しました。「力による平和」を主張するトランプ大統領の意向を反映し、ピンポイントで核兵器の使用を可能とする「小型核兵器の開発前倒し」とF35ステルス戦闘機等への核能力組込み(配備)を明記し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の搭載や水上艦搭載の核巡航ミサイルの新たな開発による戦術核兵器の米海軍再配備(1991年にブッシュ(父)政権が撤去していた)などをめざすもので、核軍縮への道と逆行するものとなっています。また、核兵器の使用条件も緩和し、核兵器以外の兵器での攻撃やサイバー攻撃をも核兵器使用の対象としています。オバマ政権が2010年新START条約の米議会批准時に、共和党の要求で認めざるえなかった「30年間に1.25兆ドル(約139兆円)の核兵器近代化計画」を拡大・継承する一方、オバマ政権が2013年大統領令で発効させた「10年間で政府支出を1.2兆ドル削減」(2013年度国防費13%削減)策は撤廃して2019年度国防費を7.3%増額させています。1980年代のレーガン核軍拡に次ぐ、非常に挑発的・好戦的で世界を核戦争の瀬戸際へ追い込みかねない、きわめて危険な大核軍拡だと言えます。包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准の追求や「新たな核兵器開発は行わない」としていた前オバマ政権下でのNPR2010を全否定し、「核なき世界」をめざすとするオバマ前大統領の姿勢をも放棄したもので、決して許してはならないと考えます。

安倍政権は、米国の核抑止力を強化するものとして今回のNPR2018を「高く評価する」とし「核兵器による米国の抑止力維持は必要不可欠」との姿勢を示しました。核搭載可能なF35ステルス機(1機130億円)の空自用F35A・42機調達計画に20機以上を追加し、空母化を検討中の護衛艦「いずも」から短距離離陸・垂直着陸可能な海自用F35Bを10機以上追加発注するなど、トランプ政権による巨額のF35開発費を「分担」するとともに、日本の攻撃能力を高めようとしています。米国の新たな核政策を積極評価し、核兵器禁止条約にも背をむける安倍政権が「唯一の戦争被爆国」を標榜する姿勢は、全く説得力を欠くばかりか、核軍縮・核廃絶を願う世界の人々、とりわけ、ヒバクシャの希望を踏みにじるものとなっています。

今回のNPR2018には、NPR2010で退役した洋上発射核搭載型巡航ミサイル「トマホーク」の代替として、新たな洋上発射核巡航ミサイルの開発が明記されました。一方で安倍政権は、2017年12月に示した防衛大綱に、米国の拡大抑止は不可欠との姿勢から「その信頼性の維持のため米国と緊密に協力する」との文言が加えられました。2018年6月、米国務省が公開した外交文書から、1969年の佐藤栄作元首相とニクソン元米大統領との「核密約」に至る経過が明らかになりました。米国が、沖縄返還交渉の中で、沖縄の米軍基地への核兵器の「緊急時の貯蔵」と「通過する権利」を求め、交渉の過程で「再持ち込み」に表現が弱められていますが、当時のキッシンジャー国務長官は「アジアにおいて、深刻な核の脅威がある場合に役立つ」との視点を明らかにしています。日米政府双方のこのような考え方に立つならば、日本への核兵器持ち込みの懸念は一層深刻なものとなってきます。戦術核兵器の米海軍再配備方針を打ち出したトランプ政権下では、核搭載艦船が日本に寄港する現実的可能性が一層高まり、国是である「非核三原則」も有名無実化する危機にあると言っても過言ではありません。原水禁でこれまでとりくんできた「非核三原則法制化」の意義がかつてなく高まっていると言えます。被爆者と市民の思いに背を向け、これまでのとりくみを否定する安倍政権の姿勢は、許すことはできません。

■非核化へ動きだした朝鮮半島

2018年4月27日、大韓民国文在寅(ムン・ジェイン)大統領と朝鮮民主主義人民共和国金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、板門店において、11年ぶりの南北首脳会談を開催し「板門店宣言」を採択し署名しました。宣言は、①自主統一への未来を早める、②戦争の危険を実質的に解消する、③朝鮮戦争の終戦を宣言し休戦協定を平和協定に転換する、④完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するなど、相互信頼の下に南北の関係を改善し民族統一への一歩を記しています。私たちは、朝鮮の核兵器開発をきびしく批判し、東北アジアの非核地帯構想を主張してきました。その目標を踏まえ、朝鮮に対する制裁措置の解除、米韓・日米の軍事演習の停止、対話の再開を求めてきました。会談後の共同発表では、文在寅大統領が「民族の念願である統一のための大きな一歩を踏み出した」と述べ、金正恩国務委員長も、「我々は闘うべき異民族ではなく、仲良く生きるべき一つの民族だ」と述べました。植民地支配と侵略戦争の結果、南北分断の要因をつくった日本と朝鮮戦争の責任を負うべき米国両政府は、南北両首脳のこの言葉に真摯に向き合い、朝鮮半島の民族の繁栄に共に協力しなくてはなりません。

板門店宣言では、「南と北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」として、朝鮮政府は、5月24日、米英中韓露の取材団に公開の下で、咸鏡北道(ハムギョンブクト)豊渓里(プンゲリ)の核実験場の坑道を爆破・廃棄しました。専門家の立ち会いがないという不十分な面はあるにしろ、そもそも朝鮮の核開発が、米国からの軍事的脅威を背景にしたものであることを踏まえながら、「完全な非核化」の一歩として評価すべきと考えます。

■米朝首脳会談・共同宣言を生かせ

2度の南北首脳会談と中朝首脳会談を踏まえて、6月12日、シンガポールにおいてトランプ米大統領と金正恩国務委員長は、歴史上初めての米朝首脳会談に臨みました。会談後、両首脳は共同声明に署名し、朝鮮の安全保障の確約と朝鮮半島の完全な非核化への責務を相互に確認し、①両国民の平和と繁栄を希求する意思に基づく新たな米朝関係の構築の約束、②朝鮮半島の永続的かつ安定的な平和体制の構築への共同しての努力、③板門店宣言を再確認し朝鮮による朝鮮半島の完全な非核化にむけた努力、④戦争捕虜や行方不明兵の遺骨回収への努力を確認しました。具体的協議に関しては今後の高官協議に委ねられましたが、軍事的緊張の下にあった朝鮮半島情勢への劇的な変化をもたらすことが期待されます。また、トランプ米大統領が、会談後の記者会見において在韓米軍の削減や米韓軍事演習の中止に触れ、「米韓合同軍事演習は挑発的だ」「朝鮮との交渉中に『戦争ゲーム』をするのは不適切」と発言しました。この発言を受けて、米国防総省は米韓合同演習「フリーダム・ガーディアン」と「韓国海兵隊交換プログラム」(KMEP)の合同訓練などの中止を発表しています。国防総省のホワイト報道官は「生産的協議が続くならば」として今後の追加決定も示唆しています。毎年春に実施される大規模演習「フォール・イーグル」などの中止も期待されます。米朝両国は、朝鮮戦争の休戦状態を引きずり、長年にわたって対立を続けてきました。朝鮮からは、度々「休戦協定を平和協定へ」との主張がありましたが、実現に至りませんでした。今回の会談と共同宣言を生かし、東北アジアの非核化と平和の実現に向けて、両国は不退転の決意で臨まなくてはなりません。

■国交正常化交渉を基本に

安倍政権は、拉致問題の解決に拘泥するあまり、国交正常化への交渉は行き詰まったままに、無為に時を過ごしました。「全ての選択肢が机上にある」として、経済制裁と軍事的圧力強化で核実験やミサイル発射を繰り返す朝鮮に対抗する米トランプ政権と足並みをそろえ、結局、今回の南北、中朝、米朝と続く外交交渉の蚊帳の外に置かれました。このような状況は、政治の不作為と言っても過言ではありません。安倍政権は、直ちに国交正常化へ向けた議論を開始し、朝鮮半島の完全な非核化へのプロセスに、両国の信頼の醸成を基本にしながら、日本のプルトニウム政策の放棄を前提に、関与を深めていくことが重要です。この間、日本のメディアの姿勢は、安倍政権の姿勢を反映してか、朝鮮を「背信の歴史」と非難したり、共同声明は具体性がないとその意義を矮小化したりと、朝鮮敵視政策と軌を一にしているように見えます。米韓軍事演習中止などの動きに対しても、日米同盟の抑止力の低下を懸念する報道が散見されます。このような後ろ向きの姿勢では、東北アジアの平和を実現することはできません。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言に拘泥し、一歩も進まないのであれば朝鮮半島の非核化は実現できないと考えます。今必要なのは、非核化に向けたプロセスを一歩ずつ着実に進めることです。

米国は、トランプ政権の新たなNPRを見れば明らかなように、「米国第一」を掲げ、核大国として世界に君臨してきました。トランプ政権の挑発的な核軍拡を支持し、その核の傘に下に、拡大抑止の強化を主張する日本が、完全な非核化を朝鮮に求めることの矛盾を、私たちはしっかりと見据えなくてはなりません。非核三原則を法制化し核抑止の幻想を断ち切ってこそ、また、潜在的核武装能力の維持とも言える再処理・プルトニウム利用政策を放棄してこそ、日本は東北アジアの非核地帯化の一翼を担い、その平和に貢献することができるのです。

■福島原発事故後に浮かび上がる課題

 ①困難な廃炉作業と巨額な廃炉費用

東日本大震災・福島原発事故から7年半が過ぎようとしています。依然として事故の収束作業は難航し、先の見通しの立たないものとなっています。廃炉に向けて最も難関といわれる溶融燃料(デブリ)の取り出し作業は、格納容器内で毎時80Sv(わずか数分で急性死)もの極端に高い放射線に阻まれ、取り出しの技術確立の目処も立たず、全く先の見えない状況にあります。デブリの一部は確認できていますが、いまだその全容を把握するには至っていません。政府・東京電力は、デブリの取り出し開始を2021年内、廃炉完了の目標を2041年から2051年と時期を示していますが、これまでの経緯をみれば、さらに長期化するものと考えられます。デブリ取出しのために労働者が高線量かつ大量に被曝する事態は避けるべきであり、安全に取り出す可能性がないのであれば、福島原発事故を起こした東電と国の責任を踏まえた上で、超長期間安定的に安全を確保する方途を福島現地とともに模索すべきです。

経産省は、2016年12月に福島第一原発廃炉など事故処理にかかる費用が、それまでの2倍の21.5兆円になるとの試算結果を発表しましたが、あくまで「試算」であり、今後の推移次第では、莫大な費用負担が私たちに求められます。これら費用のうち損害賠償費7.9兆円の大半は「一般負担金」として9電力会社の電気料金から20数年かけて徴収され続けていて、2020年度からはその「過去分」と称して2.4兆円が新電力との契約者を含めた電力消費者の託送料金に転嫁され40年間かけて徴収されようとしています。その結果、東電が実際に負担する損害賠償費は特別負担金の約2兆円に留まります。にもかかわらず、国の原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)和解案を一方的に拒否しているのは許せません。また、廃炉費不足分6兆円については東電管内の託送料金を高止まりにして得た超過利潤を「廃炉等負担金」という費用とみなし(超過利潤隠し)て、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の「廃炉等積立金」に積立てるという消費者だましのテクニックで電力消費者から徴収するなど、一般消費者からの徴収を企図しています。

 ②避難生活と政府支援の打ち切り

被災地福島では、県内に1万5420人、県外に3万4095人、合計4万9515人(2018年3月5日復興庁調査)が、長期の避難生活を余儀なくされています。避難指示が出されている地域の住民でも、避難先で自宅を購入した人や、県などの住宅支援を受けずに東京電力から家賃の賠償を受けて賃貸住宅で暮らす人などは含まれていません。また、住宅の提供が打ち切られた自主避難者も含まれず、福島県・復興庁の調査では十分に避難の実態が反映されていません。

2018年6月29日に復興庁が発表した、同年3月末現在の震災関連死と認定された人の数は3676人で、約9割が66才以上の高齢者で占められています。このうち福島県の震災関連死と認定された人は、2227人で、全体の60%を超えるものとなっています。この数字は、福島県では自然災害である東日本大震災に加えて、人災である東電福島第一原発事故の影響が大きいことを明らかにしています。福島第一原発事故の影響によるふるさと喪失、生業を奪われ、長期にわたる避難生活や将来への不安などが原因にあげられます。

一方、帰還困難区域を除いた、居住制限区域・避難指示解除準備区域では、除染作業によって年間被ばく量20mSv/年を基準にそれを下回る地域から避難指示が解除されています。しかし、20mSv/年という数字は、国際放射能防護委員会(ICRP)が緊急時の基準として示しているもので、これまでの通常時の基準(1mSv/年)の20倍もあり許されるものではありません。避難指示解除に合わせて、帰還を強要するかのように住宅支援などの補償が打ち切られています。避難指示解除準備区域では、教育や医療、日常生活に必要な各種インフラの整備は追いついていません。被害者は、20mSv/年というこれまでに経験の無い高放射線量までのヒバク(実際には、日常生活を制限すれば2~5mSv/年程度に留まるが、ホットスポットに入ると高くなる)を覚悟して戻るか、補償が打ち切られても避難し続けるのかのきびしい選択を迫られています。そこには、政府の被害者に寄り添う姿勢が全くありません。

被害者それぞれの選択に対する支援の確立を求め、実現させなくてはなりません。「福島原発子ども被災者支援法」の第2条2項には「被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」と記載されています。安倍政権が進めている原発事故被害者への施策は、これらの考え方を根底から否定するものです。それは東京オリンピックに向けて「復興」をアピールし、福島原発事故の早期幕引きと被害の矮小化を図り、被害者を切り捨てようとする「棄民」政策と言わざるを得ません。

原発事故被害者は、十分な補償と支援を求める訴訟を全国各地で起こしています。多くの場合、原告側が勝訴し、東京電力に賠償を命じる判決が出ています。東電は当初、「裁判外紛争解決手続(ADR)の和解案は尊重する」としていました。にもかかわらず、原発事故後に全村避難となった飯舘村の村民が東電に慰謝料の増額を求めたADRで、2018年2月、東電が和解案の受け入れを拒否したことが判明しました。東電は「20mSv程度の被爆の危険性は証明されていない」「精神的賠償は既存の金額で十分」などと主張しています。浪江町の町民15,000人以上を代理した「浪江町ADR集団申立て」に対しても、2018年3月には東電が6度目の拒否回答を行い、4月にはADR手続きが打ち切られています。現在原告・弁護団は、訴訟を検討しているとしています。訴訟になれば原告1500人以上の大きな訴訟となります。東電は、ADRに関連してこのような拒否を繰り返し、被害者の要求に真摯に対応していません。事故の責任を明確にせず放射能被害を認めない国と東電の姿勢が、全国各地での訴訟につながっていると考えられます。

自主避難者に対する数少ない支援が災害救助法に基づく住宅の無償提供でした。しかし、国と福島県が2017年3月で無償提供を打ち切り、住宅を追い立てられた多くの家庭が生活困難に陥っています。山形県の居住する自主避難者は、住宅の明け渡しを求める「高齢・障害・求職者雇用支援機構」から裁判に訴えられる事態となっています。被害者がいつの間にか加害者に仕立てられる事態を、許すわけにはいきません。

福島原発事故の刑事責任を求めて、被害者らが訴えた「福島原発刑事訴訟」は、検察庁が2度不起訴にするも、検察審査会が強制起訴しました。2017年6月30日に初公判が開かれ、刑事裁判がスタートしました。国を相手にした国賠訴訟も全国で起こされています。原発事故被害者への不誠実な国や東電の態度は、事故の原因は予想を超えた津波による自然災害にあるとして、原発の安全性に対して監督責任のある国や原発を運転する東京電力が事故の責任を免れていることにあります。国や東電は加害者であることを認め事故の責任を全うすべきであり、原発事故をなきもののように振る舞う姿勢は、被害者をさらに追い詰めるもので許すことはできません。このような意味から、国や東電の責任を追及することはきわめて重要であると言えます。

 ③子どもや住民の「いのち」を守れ

福島県では、福島第一原発事故による放射性物質の被害を踏まえて、県民の被曝線量の評価や県民の健康状態の把握、疾病の予防、早期発見、早期治療のために「県民健康調査」を実施しています。本来なら、原発事故による放射能汚染と被曝を強いられた全ての地域の住民について、国策の原発で重大事故を招き人々を被曝させた責任を国が認め、被害者全員の健康を守り被害者に寄り添う立場から、国の責任において直轄で健診と健康管理・治療を行うべきです。しかし「県民健康調査」は、福島県の事業であり、国は「財政的・技術的支援を行うのみ」とされています。また、健康診査については当初から避難区域等の住民約21万人のみを対象としており、その他の人々については既存の健診(特定健診、職場・学校健診など)を活用するとされる(特定健診は自己負担あり)など、被害者の健康を国が責任持って守る施策にはなっていません。

「県民健康調査」では、とくに2011年3月11日現在で概ね18歳以下であった子どもたちに甲状腺(超音波)検査を実施してきました。2018年3月末現在、3巡目の一次調査を終え、二次調査の途中の段階ですが、これまでに199人が甲状腺がん、またはがんの疑い、163人が手術を受け(うち一人は、術後良性腫瘍と診断)、さらに、少なくとも約1400人もの人々が、保険診療による経過観察等が必要と診断されたことが報告されています(2018年6月18日、県民健康調査検討委員会)。今後、長期にわたる公的なケアと医療面、経済面でのサポートが重要であり、県民の健康不安、特に子どもの健康にしっかりと向き合うことが求められています。2015年7月から福島県では、「19歳以上の甲状腺医療費支援」(甲状腺調査サポート事業)が始まりました。これは福島県と全国の運動がつながって実現させた、事故後初めての国による被害者への「医療支援」です。さらに「診療情報提供」を支援の条件としないこと、手続きの簡素化、甲状腺検査に関する「健康手帳」の交付など、施策の改善を国と県に対して求めるとりくみが続けられています。この運動の成果と力を、さらに充実した支援の実現につないでいくことが重要です。

事故後、避難指示区域等の人々に対して行われてきた、医療保険、介護保険の保険料と窓口負担の減免措置は、「避難解除」 が進む中で「自立」「復興」の名の下に、事故10年をメドに打ち切りが危惧されています。浪江町などは、自治体として住民に「健康手帳」を配布しました。そして、浪江・双葉町は、2012 年6月、無料の健診・医療、長期的な健康確保のための諸手当の支給、「放射線健康管理手帳」の交付など、「原爆被爆者手帳と同等の法整備」の要請を国に求めました。被曝による健康被害は、10年後以降も長期にわたって現れる可能性があります。被曝を強いられた人々の健康を守るために、「健康手帳」(無料の健診と医療、生活保障などの権利を伴う「手帳」)の交付など、より包括的な国の医療・生活支援策へと拡大させていくことが求められています。

一方で原子力規制委員会は「線量に大きな変動がなく安定しているため、継続的な測定の必要性は低いと判断した」として、福島県内にあるモニタリングポストの大幅な縮小に動いています。避難指示が出された12市町村以外にある約2400台を2021年3月までに順次撤去することしています。

原発事故はいまだ収束しておらず、溶融した燃料は手つかず、汚染水はたまり続けています。山野においては除染も手つかずの状態で放置され、生活の場の近辺にも除染土や除染ゴミが仮置きされています。事故や天災などにより再び放射性物質が飛散する可能性は否定できません。

原発事故の被災地に住む福島県民には、被曝をできる限り避け、健康に生きる権利があり、放射線の正確な情報を知る権利があります。モリタリングポストは、住民が放射線量の変化を知る大切な装置であり、被害住民の同意なく撤去することは許せません。原発事故が収束し、年間放射線量が1mSvという事故以前の生活を取り戻すまで、しつかりしたデータの提供を求めることが大切です。

■第5次エネルギー基本計画のごまかし

東日本大震災・福島原発事故によって、原発やエネルギー環境をめぐる情勢は大きく変わりました。民主党(当時)政権下では2030年代「原発ゼロ」の方針が打ち出されましたが、安倍自公政権に代わり、エネルギーの「BEST MIX」などの言葉や非現実的な原発輸出策などを掲げて、一部既存原発の再稼働を強行しながら元の原発推進政策に逆戻りしたかのようです。しかし、その政策は矛盾に満ちていて、思惑通りには進んでいません。

事故後、世界各国で原子力の新規建設費が高騰し、老朽炉も追加の安全対策費で発電単価を下げられない中、太陽光・風力など再エネ・コストの急激な低下などで、原発の価格競争力が失われ、原子力政策の見直しが相次いでいます。また、パリ協定成立と発効(2017年)により、脱炭素・再生可能エネルギー促進の方向に世界の流れが大きく切り替わっています。日本でも福島第一原発事故により世論は大きく変化し、7年後の今なお、原発の再稼働に反対し脱原発を求める声は過半数を超えています。

安倍政権は第5次のエネルギー基本計画の策定を進め、5月16日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改定案をとりまとめ、7月3日に閣議決定をしました。

再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を打ち出す一方で、原発と石炭は相変わらず重要なベースロード電源と位置づけ、原子力は「長期的な」電源とし、石炭は「長期を展望」して活用するエネルギー源と位置付けるなど、経済産業省の意向を強く反映したものとなっています。その結果、2030年度時点の発電電力量に占める原発の比率は20~22%とされ、第4次基本計画と同水準に据え置かれました。しかし目標達成に不可欠とされる原発の新増設や建て替えについては、「脱原発」の世論に押され、一言も言及されませんでした。その後の2050年の電力構成の中でも原子力は選択肢と可能性を残しましたが、具体的比率の目標数値を提示できませんでした。

今回の基本計画で示された原子力政策については、世論の動向や現下の安全規制、安全対策費用、再稼働の状況などから、実現性のきわめて乏しいものとなっています。しかし、安倍政権は、原子力・プルトニウム利用のスタンスを変えようとはしていません。原子力政策を延命させるだけのごまかしの基本計画では、将来的な実効性あるエネルギー政策をつくり出すことはできません。基本政策自体の矛盾が、再生可能エネルギーを中心とした社会の構築を拒んでいます。この矛盾を明らかにしていくことこそが、原水禁運動に求められています。

原発の再稼働を許さない

安倍政権は 原発推進政策を強引に進める中で原発の再稼働を強行してきました。今年に入って、3月14日に関西電力大飯原発3号機、3月23日には玄海原発3号機、5月9日には関西電力大飯原発4号機、5月15日には玄海原発4号機と次々と再稼働を強行させてきました。

福島第一原発の事故が示すように、原発の過酷事故は、地元はもとより非常に広範囲に渡って多大な被害を及ぼします。原発が集中する地域では、一基の原発に限らず、地震や津波などによって同時にまたは連鎖的に事故が起きることも予想されます。「新基準に適合したからといっても、安全とは言えない」と、田中俊一前原子力規制委員長は繰り返し表明していました。原発の安全性を監督する官庁の責任者が、原発事故の可能性を消し去ることができないと表明してきたということです。そのほかにも住民避難の課題、住民合意の課題、使用済核燃料の処分や原発の廃炉、破綻した核燃料サイクル計画など課題は山積しています。

昨年広島高裁で今年9月まで運転差し止めが命じられた四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)の10月再稼働を阻止することが重要です。また、40年を超えて老朽化している日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県)の60年運転延長問題もあります。今年11月末までに審査が通らなければ廃炉となりますが、その場合、原電は発電できる原発を持たないこととなり、会社そのものの存続まで危ぶまれる事態です。原電は、運転資金、廃炉費用などの資金不足のため、最低1740億円の対策工事費を東電や東北電力に頼らざるを得ない状況であり、危険な原発を運転する資格はもはやありません。一方、福島第一原発事故の収束費用もままならず、国や電力消費者からの援助を受けている東電が、原発存続のために他者への費用負担を検討すること自体許されるものではありません。

東電は、6月14日、福島第二原発の廃炉にむけて検討する方針を表明しました。遅きに失したとはいえ「原発のない福島を!」と訴え続けてきた県民の思いにかなう決定として、歓迎したいと思います。しかし、東電は、新潟県内において、柏崎刈羽原発の再稼働にむけて着々と準備を進めています。6月の新潟県知事選挙では、「再稼働の争点隠し」によって、再稼働反対派の候補が敗れはしたものの、新知事が再稼働へ突っ走ることはできない状況が生まれています。しかし自民党・公明党推薦の候補であり、「脱原発」を表明しているわけではなく予断を許さない状況は続きます。東電は、東電再生の名目で、柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働を狙い、東電・東通原発の工事再開に向けた地質調査すら狙っています。このような東電の思惑を許してはなりません。中越沖地震(2007年7月)で大きな被害を出した原発が、再び地震に襲われないとはいえません。福島原発事故の補償や事故処理さえ満足にできない、また事故の責任も回避しようとする東電に、そもそも原発を動かす資格はありません。各地で進められる再稼働に強く反対し、島根原発3号機の運転開始や東電・東通原発と大間原発の工事再開に反対し、私たちの生活と命のために「脱原発」社会を実現しましょう。

破綻した核燃料サイクル計画-巨額な費用と未完の技術

 安倍政権が進める原子力政策の重要な柱の一つに「核燃料サイクル計画」の推進があります。その核燃料サイクル計画の中核を占める高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)は、1995年12月8日のナトリウム漏洩・火災事故以来、機器の点検漏れや杜撰な管理が相次ぎ、2016年12月20日、その責任も総括も曖昧なままに関係閣僚会議で「廃炉」が決定され、今年3月28日に原子力規制委員会が廃炉を認可しました。国家プロジェクトと位置づけ、1兆円を超える国費を投入しながらほとんど稼働しなかったもんじゅの現実は、日本の原子力エネルギーの将来を予感しています。

発電しながら使った量以上の核燃料を生み出せる高速増殖炉は、「夢」の技術と宣伝され、プルトニウムは「純国産燃料」とも言われましたが、多くの研究者が指摘したように、その困難性と危険性を克服することはできまませんでした。もんじゅの冷却材として多量に使われているナトリウムは、水や空気に触れると激しく反応して爆発したり発火したりするため、その取り出しは困難が予想されます。特に1次冷却系のナトリウムは放射化しており、取り出しはより困難です。建設時に解体は予定されておらず、日本には高速炉解体技術はなく,仏との協力で進めようとしています。

文部科学省は、もんじゅが廃炉作業を終えるまでに最低でも3750億円かかると試算していますが、最難関の燃料・ナトリウム取り出しの具体的な作業工程は不透明であり、技術開発など廃炉費用の拡大は必至です。技術の困難性や危険性を説明せずに、国は「夢」だけを振りまいてきました。計画から50年、反対運動は長きにわたりました。1兆円を超える国費をつぎ込みながら何らの成果も上げることのなかったもんじゅに関して、国の責任は重大です。

原水禁および原子力発電に反対する福井県民会議が立ち上げた「もんじゅに関する市民対策委員会」(代表・伴英幸/原子力資料情報室共同代表)は、「もんじゅ」廃炉への過程と問題点、高速炉開発の問題点などについてまとめた提言を7月10日に原子力研究開発機構や福井県などへ提出しました。今後の廃炉作業については、敦賀市民・福井県民に対しての説明責任をしっかりと果たしつつ、安全を第一に進めなくてはなりません。

一方、政府は「もんじゅ」廃炉の決定と同時に、フランスの高速実証炉「ASTRID」の共同開発への参入を表明しました。「ASTRID」については、開発費用の総額や負担の割合、開発する炉の規模、運転の時期など見通しは立っていません。国は、この研究成果を将来の高速実証炉の独自開発につなげるとしています。ところが、肝心の実証炉建設主体が曖昧で、「新たな(オールジャパンの実証炉開発)体制」や「(費用面を含む)官民役割分担」はこれから検討するとしています。政府の期待していたASTRID計画も、仏原子力・代替エネルギー庁CEA担当者が6月に来日し、仏電力会社EDFが「2060年以前には高速炉に投資しない」と決めたため、ASTRID計画をシミュレーション・プログラム中心の計画へ変更し、建設予定の実証炉規模を60万kWから10~20万kWへ縮小するけれども、その建設費数千億~1兆円の半額を日本で負担してもらいたいと提案してきたのです。

「もんじゅ」開発の失敗から何も学ばず、高速炉計画に拘泥する姿勢はきわめて問題です。この高速炉開発については、内閣府の原子力委員会が、「民間主導で進めるべきだ」とする見解をまとめています(4月24日)。将来の原発発電方式は企業メーカーの主導で決めるべきだとして、「企業の負担も求めつつ、政府が支援する仕組みを導入すべきだ」と従来の政府の方針の見直しを迫りました。高速炉開発の不透明な見通しと開発費用などのコストを考えると電力市場での採算は見込めません。企業が採算性や導入展開の見通しの立たない「高速炉」に率先して投資をするとは考えられず、原発輸出で経営破綻した東芝をはじめ、きびしい経営環境の下で原子力メーカーに余裕はなく、事故処理・賠償に負われる東電だけでなく、他の電力会社も電力自由化で生残りに必死であり、人的・資金的余裕などありません。「民間主導」はもはや実現不可能な方針と言わざるを得ません。再生可能エネルギーの進展と「脱原発」の世論から、エネルギー基本計画における原子力の位置づけは低下するばかりです。もんじゅ廃炉や六ヶ所再処理工場の度重なる完工延期、諸外国からの余剰プルトニウムへの懸念などを考えると、高速炉や核燃料サイクルの存在意義はもはや考えられないと断定すべきです。そのような状況を市民に何ら説明することなく、巨額の税金を浪費し続けようとする国の姿勢は、決して許されません。すでに破綻した高速炉開発から即刻撤退し、六ヶ所再処理工場を閉鎖して、再処理・プルトニウム利用路線を放棄すべきです。

■再処理工場の破綻

6月30日、日本原子力研究開発機構は、東海再処理施設(2014年に廃止決定)の廃止措置作業に約70年を見込み、必要な費用の総額は約1兆円であるとの試算を明らかにしました。放射線量の高い多量の廃液や約7万1千トンもの放射性廃棄物が存在しますが、その状況さえ把握しておらず、現時点で処分の見通しは全く立っていません。作業期間や費用の試算は、今後膨らんでいくことが予想されます。

六ヶ所再処理工場の完工は、2021年上期へ延期(23回目)され、建設費は当初の7600億円から2017年7月現在2.9兆円と4倍近くに膨れあがり、総事業費も13.9兆円に上ると予想されています。抽出したプルトニウムを利用するMOX加工工場の完工も2019年度上期に延期され、その建設費も当初の2倍、2.3兆円に上っています。

通常の軽水炉を利用したプルサーマル発電に利用するMOX燃料のコストは、通常のウラン燃料より10倍近く(仏国からの輸入MOX燃料の場合、国産ではこの数倍)高くなります。電力自由化によって再生可能エネルギー業者など新たな企業参入が本格化し、電力をめぐる企業間競争はきびしくなっています。そのような中で、高額な燃料を使うプルサーマル発電は、あらゆる面から市場で利用する合理性はありません。「もんじゅ」が廃炉になり、高速増殖炉開発路線が破綻した今、高速増殖炉実用化までの「つなぎ」にすぎなかったプルサーマル発電によって再処理を正当化するのは筋違いです。六ヶ所再処理工場とMOX加工工場の計画を断念し、「核燃料サイクル計画」そのものを廃止すべきです。東海再処理工場よりさらに巨大な六ヶ所再処理工場の廃止は、巨額の費用と長期に渡る作業が必要であることは明らかです。東海再処理工場や六ヶ所再処理工場建設につぎ込まれた巨額の費用は、税金として、電気料金として、全て市民から徴収されたものです。無駄で危険な再処理は早急に止めるべきです。

現在日本が抱える約47トンものプルトニウムは、MOX燃料としてプルサーマル発電には利用せず、すべてを核拡散抵抗性の高い形態で密閉しきびしく管理すべきです。六ヶ所再処理工場で新たにプルトニウムを作り出すことは、危険性とともに核拡散の面からも国際的に大きな問題であり、被爆国日本として核拡散に繋がるプルトニウムをこれ以上つくり出すことも使うことも許されません。

■「核のごみ」の最終処分問題と原発の廃炉

昨年7月28日、政府は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場を選定するための「科学的特性マップ」(適地マップ)を公表しました。発表された適地は日本全土の約65%におよび、そこには全国の8割を超す約1500の自治体が含まれています。この「適地」マップは、放射能の半減期2万4000年の危険なプルトニウムを含む高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設が、日本の65%にもおよぶ地域で可能であり、希望すれば8割の自治体でその誘致が実現することを意味しています。政府は、これまでの原発政策同様に、「文献調査」「概要調査」への協力を名目として、自治体に対して多額の「交付金」を支給することで誘致の実現を図ろうとしています。

原子力発電環境整備機構(NUMO)が広報企業に委託して2017年10~12月に開かれた「科学的特性マップに関する意見交換会」では、学生のアルバイトを雇ってのやらせ参加などの不正な実態が明らかになっています。過去にも九州電力のやらせメール、やらせ参加などで大きな批判を浴びたにもかかわらず、相も変わらぬ不正は原発政策の行き詰まりを象徴しています。今年5月からは、広報企業への委託を取りやめ電力会社社員の動員もやめて、NUMO直営で「科学的特性マップに関する対話型全国説明会」(経済産業省資源エネルギー庁と共催)を全国各地で2~3日間隔で頻繁に開いていますが、様々な不正を行使して「国民合意」を取ったかのような強引な「適地決定」が許されるはずはありません。

いま必要なことは、「脱原発」を国の方針として確立させ、これ以上高レベル放射性廃棄物などの核のごみを増やさないことです。最終処分について決めきれないままに、原発の再稼働や六ヶ所再処理工場など核燃料サイクル計画を進め、あらたに多くの核のごみを生みだすことは、そのツケを将来世代に回すもので許されません。

その他にも、福島原発事故、や東海再処理工場やもんじゅなどの廃止に放射性廃棄物など核のごみ問題は山積しています。2015年4月27日に敦賀原発1号機、美浜原発1・2号機、玄海原発1号機に始まって、島根原発1号機、伊方原発1号機、大飯原発1・2号機、伊方原発2号機、福島第一原発1~6号機、第二原発1~4号機全てが廃炉となります。今や、原発は建設の時代から廃炉の時代に突入しています。火山・地震列島のため安定した地層のない日本で地層処分を強引に進めることなく、高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の処理・管理については「脱原発」を実現した下で国民的議論に付すべきです。また、労働者被曝を避ける立場からも、汚染された原子炉建屋は数十年以上の長期間、密閉管理すべきです。国と電力会社の責任によって、長期にわたる管理体制を確立するとともに、最終処分の技術研究も同時に進めていく必要があります。

■原発輸出とアベノミクスの破綻

安倍政権が進めるアベノミクスの経済政策の中で重要な柱のひとつに位置付けられてきた原発輸出政策は、頓挫しています。

ウェスティングハウス社を買収し、インドや米国での原発建設に打って出た東芝は、経営破綻に陥りました。

日立製作所も、ホライズン・ニュークリア・パワー社を買収し、英国中部ウィルファで原発の新設計画を進めました。しかし、この計画も建設費用の高騰し現在135万kW級UK-ABWR2基で3兆円と見込まれています。資金の融資をめぐっては当初、日本政府が出資する国際協力銀行や日本政策投資銀行、融資の保証をめぐっては日本貿易保険などの名前が挙がり、原水禁は反対の立場を表明し、NGO組織の多くと署名などのとりくみをしました。英国政府は、2兆円超の資金融資への債務保証には積極的な一方、電力買取価格の高値設定や日立子会社(ホライズン社)への5割超出資(日立が子会社を非連結化する条件)には及び腰で、2019年中の着工判断には暗雲が立ちこめています。英国内では、南西部ヒンクリーポイントでの原発新設が進められていますが、費用高騰から電気料金への影響が懸念されています。日立製作所は、巨額の費用を電気料金で回収するとして、英政府に採算のとれる電力の買い取り保証を要求しているとされています。英国では、耐用年数が過ぎた原発の廃炉によって電力不足が懸念されていると言いますが、風力・太陽光など再エネ拡大の余地は多く、市場論理からはコストのかかる原発電力は排除される方向にあり、更なる紆余曲折が予想されます。

また、三菱重工とフラマトム(旧アレバ)の共同出資会社「アトメア」が開発した110万kW級新型原発「アトメア1」を、トルコのシノップに4基建設するとした計画から伊藤忠商事が撤退しました。この建設計画では、建設費が当初見積もりの約220億ドル(約2.2兆円)から2倍以上に膨張し、10%強の出資を計画していた伊藤忠商事は、発電による利益では建設費用の回収は困難と判断したと考えます。トルコ政府も資金調達には後ろ向きで、事業継続はきわめて困難と考えられます。

「アトメア1」は、ベトナムやヨルダンでも建設が構想されましたが頓挫しており、きびしい局面に立たされています。安全対策などによる原発建設コストの増大は、原発を市場経済から閉め出す方向に動いています。東芝、日立製作所、三菱重工の日本を代表する原発メーカーが、政府方針とともに原発建設に拘泥するならば、企業の将来に暗雲をもたらすだけでなく、日英両国民に原子力災害と経済的負担のリスクを高めることは必至です。

■エネルギー政策の転換を

福島第一原発事故を受けて、ドイツやイタリアなどに続きスイスでも脱原発の方針が決定されました。アジアでも蔡英文(ツァイ・インウェン)政権の台湾で2017年1月に2025年までに原発をなくす「脱原発法」が成立しました。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、大統領就任後、古里原発で演説し、福島原発事故に触れて「韓国はもはや地震安全地帯ではない。地震は原発の安全性に致命的だ」として、「脱原発に進む」と宣言しました。韓国では、運転40年目の古里1号機の廃炉や35年目の月城原発1号機の早期廃炉が決定しています。

欧米では、風力発電や太陽光・熱発電・バイオマスなど再生可能エネルギーが急速に普及して発電コストも下がっています。米国では安価なシェールガスによるLPG発電も加わって、電力コストは低下しています。そのような状況において、原発は市場における価格競争に勝つことができず、閉鎖が相次いでいます。原発大国のフランスでさえ、再生可能エネルギーのコストダウンによって大手電力会社の経営状態が悪化し、原子力産業複合企業・旧アレバの経営危機とも相まって、原発比率の75%から50%への低減を政策の中心に据えざるを得なくなっています。

世界のエネルギーは、原発ゼロ・再生可能エネルギー推進へと向かい、地球温暖化防止のパリ協定がこの流れを促進しています。日本でも、福島原発事故以降、原発が稼働しなくても電力は不足しませんでした。脱原発、脱炭素、再生可能エネルギーへの転換は、机上の論理ではなく現実的なものとなっています。

日本における太陽光・風力・バイオマス・地熱・潮力その他再生可能エネルギーのポテンシャルは非常に高いものです。その可能性を引き出す鍵は、私たち自身にあるといっていいでしょう。原発と石炭火力をベースロード電源と位置付ける「エネルギー基本計画」、2030年の電源構成(kWh)に占める原子力の割合を20%~22%、石炭火力の割合を26%とする「エネルギーミックス」を抜本的に改めさせ、脱原発、脱炭素、安全・安心の将来にわたる再生可能なエネルギー社会をつくり出すのは、私たちの力に任されています。2016年4月からは一般の家庭でも電気を選べる、電力の「小売り自由化」が始まり、2020年4月には発送電が分離されます。もっとも、「所有分離」ではなく別会社化して情報を遮断する「法的分離」に留まるため、送配電網の公平で中立的な管理運営がなされる保証はありません。

送配電網を独占する大手電力会社は、太陽光発電事業者(新電力)などからの再生可能エネルギーによる電力の接続を5月の連休など電力需要の低い時期には消費電力を上回る可能性があるという理由で拒否し、経済産業省と一体になって「接続可能量」を導入したのです。これは廃炉になっていない原発が、福島原発事故前の平均設備利用率で動くと仮定し、その電力量を「ベース電力」と仮定してあらかじめ枠取りする、それを基本に30日分の出力制御を条件として再生可能エネルギーの「接続可能量」を決め、これを超えた再生可能エネルギーの接続には無制限・無補償の出力制御を行うというものです。これを手始めに、送電線容量でも原発再稼働を前提に枠取りをして「送電網に空き容量がない」として再生可能エネルギーの送電線接続を拒否したり、送電線への接続点を自由に設定させず接続点までの高額の送配電網工事費の負担を求めたりするなど、新電力には様々な制限を課し、原発からの電力を優先する体勢を作っています。再生可能エネルギーの優先接続・優先給電など脱原発へのエネルギー政策の転換を掲げ、「法的分離」ではあっても中立的な送電網管理で再生可能エネルギーを2017年に35%程度へ高めたドイツなどの先進事例に学ぶことが必要です。

「脱原発」を進めるためには、再生可能エネルギー比率を高めていくことが重要です。閣内不一致がありながら7月3日に強行的に閣議決定されたとはいうものの、原発と石炭火力をベースロード電源として優先させる第5次エネルギー基本計画の抜本的な変更を求め、脱原発・反核運動と消費者運動を結びつけて粘り強く闘い、脱原発・再エネ優先のエネルギー基本計画へ転換させていかねばなりません。消費者の再生可能エネルギーによる電力選択を進めていくために、再生可能エネルギーに課された原発優先のさまざまな制約を撤廃し、再生可能エネルギーを一層普及させて、発電コストを大幅に引き下げていく政策が重要です。電力の電源構成の情報開示と新電力業者に課せられる高い託送料金など様々な制約を排除することも重要です。地方自治体では、再生可能エネルギー推進条例の制定などを通じて、新電力業者への優遇措置も行われていますし、地域での省電力発電へのとりくみもすすめられています。公立学校では太陽光パネルの設置なども少しずつ行われ、太陽光によって必要電力の約半分を賄おうとする大手コンビニストアのとりくみも報告されています。

再生可能エネルギー推進によってこそ、地域の経済が新しく豊かになります。地域分散型のエネルギーのあり方は、地方再生を謳う政府の政策とともにあるものであり、政府が地方再生を真剣に考えるなら、再生可能エネルギーの推進はその一端を担うものであること考えていかなくてはなりません。地域からのエネルギー革命が、日本の将来をつくり出すと言えます。

■重要性を増す「さようなら原発1000万人アクション」と原発ゼロ基本法案

福島原発事故以来、「さようなら原発1000万人アクション」は、作家の大江健三郎さんやルポライターの鎌田慧さんらの呼びかけで結成され、全国で「脱原発」の運動に粘り強くとりくんできた人々と市民をつなぐ運動として発展し、運動を進める中で「脱原発」を市民社会に根付かせてきました。引き続き各地の運動を結び付け、大きな脱原発の運動の原動力ともなっており、この運動を盛り上げることが重要です。大会後の9月17日にも東京・代々木公園で「さようなら原発全国集会」が開催されます。全国からの大きな結集つくりだすことによって、大衆的な脱原発の機運を作りあげることが必要です。

2017年10月の総選挙で誕生した立憲民主党が、市民との対話を各地で重ねながら、運転中の原発を速やかに停止し法施行後5年以内の廃炉を決定する、使用済み核燃料については再処理を行わないことなどを盛り込んだ「原発ゼロ基本法案」をとりまとめ、3月9日、社民・共産・自由の3党に呼びかけ、衆議院に共同提出しました。小泉元首相や細川元首相が顧問を勤める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」も「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を1月10日に発表しています。今後、国会での真摯な議論の展開を期待するとともに脱原発にむけた国民運動に結びつけていくことが重要です。

■ヒバクシャ・核被害者への援護と連帯を

 ① 急がれるヒバクシャ課題の解決

ヒ口シマ・ナガサキの被爆者の高齢化(平均年齢 82.06歳/2018年3月31日)は進み、その子どもである被爆二世も高齢の域に入りつつあります。 限られた時間の中で、被爆の実相を次世代につなげる課題、原爆症認定の課題、被爆体験者の課題、在外被爆者の課題、被曝二世・三世の課題などの解決が急がれています。援護対策の充実と国家の責任を求めることは急務です。

核兵器禁止条約は「第6条(被害者支援と環境改善)」の項で「締約各国は、核兵器の使用や実験に伴って悪影響を受けた管轄下の個人に関し、国際人道・人権法に従って、医療ケアやリハビリ、心理的な支援を含め、年齢や性別に適した支援を十分に提供。社会的、経済的な面についても同様。」と定めており、核兵器禁止条約を早期に発効させ、核の使用・開発に伴うすべてのヒバクシャに健康管理・医療保証・生活保障の権利を拡大させ、実施させることが重要です。

 ②原爆症認定の拡大を、後ろ向きは許されない

原爆症認定問題は、政府の被爆者援護への後ろ向きの姿勢から、裁判闘争を中心にとりくまれてきました。粘り強い被爆者のとりくみと裁判での勝利の結果として、被爆者団体と政府は解決にむけて合意し、「基金」の創設や日本被団協などとの「定期協議」が確認され、課題の前進が図られました。しかし、一方で、2013年に改定された「新しい審査の方針」に従って展開されている審査の中においても、多くの審査滞留や認定却下が生み出され、いまだ改善を要する課題が残されています。司法の場で国の認定却下の判断を取り消す判決が相次いで出されています。原爆の被害を過少に評価し、被爆者支援に後ろ向きの政府の姿勢は、裁判のたびに断罪されてきました。被曝70年を超えて、今もなお続く政府の姿勢を正していく必要があります。

 ③差別なき在外被爆者の援護を

戦後、祖国へ帰還した在外被爆者への援護は、日本の戦争責任・戦後責任と重なり、戦後70年を過ぎても重要な課題です。国内の被爆者同様、在外被爆者も高齢化して、その課題解決は急がれます。これまで在外被爆者の援護の水準は、国内に居住する被爆者の水準からは、大きな格差をつけられていました。原水禁は、「被爆者はどこにいても被爆者」であるとして、差別のない援護の実現に向けて被爆者支援にとりくみ、また在外被爆者自身裁判闘争にとりくんできました。在外被爆者を縛っていた厚生労働省公衆衛生局長の402号通達(被爆者手帳を交付されていても、外国に出国や居住した場合は、健康管理手当の受給権が失効する)は、その違法性が最高裁でも認められました。しかし依然として国内と国外の援護の水準には格差が残りましたが、2015年9月8日の最高裁において「在外被爆者にも医療給付がなされるべき」との判決が下され、制度上の不平等は大幅に改善しました。しかし、被爆したにもかかわらず、国外に移住したことにより被爆を証明する証人が見つけられない、国交がないことで在朝被爆者には実質的に適用されていないなど、いまだ課題が残されています。

在朝被爆者は、2007年段階で384人が確認され、被爆者支援の道を探ってきましたが、緊迫する日朝関係の中で困難な状況が続いています。しかし、米朝間、南北間での対話が進む中で、日朝交渉の進展も期待され、戦争責任・戦後責任とともに在朝被爆者問題の前進に向けたとりくみも急がれています。今後とも粘り強くとりくみを進めなくてはなりません。

 ④被爆体験者に被爆者援護法の適用を

被爆者援護法の枠外に置かれている被爆体験者は、自ら課題の解決を司法の場に求め、裁判闘争を続けています。

被爆体験者とは、被爆者と認められる12km圏内において、実際に原爆によって被災し放射線による被害を受けたにも関わらず、場所が「長崎市民」でなかったことを理由に、被爆者援護法に基づく被爆者と認められない人たちのことです。2007年と2011年初被爆体験者訴訟が提訴され、現在福岡高裁と最高裁で審理が続いています。裁判支援の継続と政府・政党への働きかけを強化しなくてはなりません。裁判の論点のひとつに「内部被曝を含む低線量被曝の影響」がありますが、これまでの原爆認定訴訟などでは、内部被曝も低線量外部被曝も、その影響を過小に評価されてきました。これは福島原発事故の被曝被害の過小評価にもつながるもので、決して許してはなりません。被爆地域の拡大と被爆者認定、被害の実態に見合った援護の強化を訴える必要があります。

残念ながら裁判では、2017年12月に最高裁で1人の入市被爆の審理が不十分として長崎地裁に差し戻され、残り387人は敗訴が確定しました。しかし被爆体験者はあきらめることなく再度長崎地裁に提訴し争っています。福岡地裁の控訴審の闘いとともに被爆体験者の権利確立に向けて支援を強化していかなければなりません。

 ⑤被爆二世・三世の人権確立を求める新たな運動への支援を

被爆者援護法の枠外に置かれている被爆二世・三世は、父母や祖父母の原爆被爆による放射線の遺伝的影響を否定できないなか、「健康不安」や「健康被害」、社会的偏見や差別などの人権侵害の状態に置かれています。被爆二世の全国組織である「全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)」は、このような被爆二世問題の解決のために、国家補償と被爆二世への適用を明記した「被爆者援護法」の改正、すなわち被爆二世・三世を「5号被爆者」として被爆者援護法に位置づけ援護法を適用することを国(厚生労働省)や国会に対して要求してきました。被爆二世の援護対策が進まない状況の中で、全国被爆二世協では、国連人権理事会の場で被爆二世の人権保障を日本政府に求める国際的運動をスタートするとともに、被爆二世に対する国家賠償を求め、2017年2月17日に広島地裁、2月20日には長崎地裁に「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟」を起こしました。この訴訟を通して、問題の所在を社会的に明らかにし、被爆二世を援護の対象とする国による立法的措置の契機とすることをめざしています。また、2018年4月末~5月初めにジュネーヴで開催されたNPT再検討会議準備委員会に全国被爆二世協として代表を派遣し、核廃絶と二世の人権保障を訴えるサイドイベントを開催するなど、自らも核被害者として、国際的な反核運動の中での役割を果たすための活動を開始しました。原水禁として、被爆二世の人権の確立に向けて、国連人権理事会へ向けたとりくみや集団訴訟への支援などを行っていくことが重要であり、被爆二世・三世の課題解決を、原水禁運動の重要な課題として押し上げていくことが求められています。

 ⑥次世代へ被爆体験の継承を

長崎から始まり全国に拡がってきた「高校生平和大使」の活動は、20年を超え、外務省からも「ユース非核特使」に認定されるようになりました。これまで集めた100万筆を超える署名はジュネーブの国連欧州本部に永久保存されるなど国連からも高く評価されています。高校生平和大使派遣委員会が全国各地で組織され、支援する会も積極的に動きだしています。これまで高校生平和大使の運動に参加したOG・OBで組織する高校生平和大使の会も発足し、平和大使の運動が「ノーベル賞」にノミネートされています。若い世代の主体的で積極的な、核兵器禁止・平和をめざすとりくみをさらに広げて、被爆体験を学び、継承し、広範な運動へと育てなければなりません。

継承には親世代と体験を共有してきた被爆二世・三世の役割も重要です。また、これまで学校でとりくまれてきた様々な平和教育を継続し、発展させなければなりません。地域や職場でも同様に、被爆の実相を学び、被爆体験を継承していくとりくみが求められます。憲法9条の「改正」も政治課題として浮上する中、被爆体験の継承は、平和の尊さを実感する大きな力となるに違いありません。このような課題も認識し、原水禁運動として積極的にとりくむことが重要です。

 ⑦被曝労働者との連帯を

福島原発事故によって、 住民の被ばくとともに、収束作業や除染作業にあたる労働者の被曝問題は大きな課題です。 高線量の中での作業や劣悪な労働環境がもたらす被曝は、労働者の健康に多くの有害な影響を与えるものです。原発労働者も事故の被害者です。「安心・安全」に働くための労働者の権利の確立は、事故の収束作業などの基本に据えなければなりません。福島原発に限らず、多くの原発・原子力施設に共通するものです。電離則・省令の改定で2016年4月から労働者の緊急時被曝限度は100mSvから250mSvへ引き上げられ、「通常被ばく限度を超えた者の線量管理(大臣指針事項)」の中で生涯被曝線量1000mSvが導入されてしまいました。労働者の大量の被曝を容認する電離則・省令・指針の改定撤回を求め、緊急時被曝状況や現存被曝状況を前提に労働者や公衆に一層の被曝を強要するICRP2007年勧告のさらなる導入の動きに反対し、線量引き下げを求めて努力しなければなりません。

収束作業や除染作業に働く労働者の大部分は、高次の下請け企業による雇用です。被曝だけでなく、危険手当てのピン撥ね、パワハラ、等々、労働者の基本的な権利が侵害される事例が日常的に起きています。また、外国人労働者や外国人技能実習生による被曝労働の問題が出ています。安全や権利が確保されずに、使い捨ての労働力としてしか見なされていないことは、大きな問題です。不当な労働を許さないことが必要です。

原発労働者をはじめ全ての被ばく労働者に健康管理手帳を交付し、個人被ばく線量を記録し、定期的に健康診断を実施し労働者の健康を管理することが重要です。法の遵守を含め、とりくみが必要となっています。

被曝労働者の権利の拡大や被ばく住民の健康管理や補償の課題については、当事者の協力が重要であり、支援する団体とともに、とりくみの強化をはからなくてはなりません。

 ⑧世界の核被害者との連帯を

私たちは、世界に広がる核被害者との連携も原水禁運動の重要な課題として位置づけ、長年とりくんできました。核の「軍事利用」や「商業利用」で生まれるあらゆる国のあらゆる核被害者の援護・連帯を追求してきました。アメリカやフランスの核実験による被害者やウラン採掘現場での被害者、チェルノブイリの原発事故での被害者など、これまで多くの核被害者との連携を深めてきました。今大会では、チェルノブイリの原発事故の被害者を招き、その実態を知り、現状を考え、交流を図ります。

放射能汚染とヒバクを押し付けられた核被害者の多くが、核のレイシズムともいわれる差別と人権抑圧の下で、政治から切り捨てられている実態を訴えてきました。私たちが進める原水禁運動では、今後とも、核被害者の人権と補償の確立のためにきびしい現実の中で闘っている住民や労働者と連帯し、共にとりくみをすすめることが求められています。

核社会のもたらす甚大な被害は、あらためて原水禁運動が訴える「核と人類は共存できない」ことを強く再認識させるものです。これ以上の核被害の拡大を、決して許してはなりません。原水禁運動は、差別と抑圧の中におかれている核被害者との援護・連帯をさらに強めていきます。

■日本政府に核兵器禁止条約の参加を求めよう

原水禁「運動はいかなる国の核兵器の製造、貯蔵、実験、使用、拡散にも反対し、その完全禁止と全廃をめざすものであり、どんな小さなことでも原水爆の禁止に役立つ政策および行動を支持し、どんな小さな原水爆の脅威をおよぼす政策および行動に反対」(1965年2月1日原水禁結成大会で確認された「原水爆禁止運動の基本原則」)してきました。核兵器禁止条約の採択によって、核兵器禁止から核兵器廃絶への道が開かれようとしています。日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求め、この道を推し進めることは原水禁運動の責務です。

日本被団協が提起し、私たちも協力してきた「ヒロシマ・ナガサキの被害者が訴える核兵器廃絶国際署名」のとりくみを続けていきます。「核兵器禁止条約」が国連で採択された中で、日本政府に条約を批准するよう求めるとともに、核兵器保有国の条約への参加を促し、ヒバクシャと国民の悲願である「核兵器禁止条約」の実効化を図らなくてはなりません。

■おわりに-安倍政権の命をないがしろにする核政策の暴走を止めよう

朝鮮の度重なる核実験やミサイル発射、米トランプ政権の「力による平和」「核戦力の強化」などによって、世界終末時計は2018年1月25日に残り2分を指しました。水爆実験が繰り返されていた1953年と並び最短となっています。米国とソ連(当時)が部分的核実験禁止条約を結んだ1963年は、12分前に戻っています。核兵器禁止条約が発効しようとしている今、私たちは、対話と協調を基本に、核兵器廃絶へ確実な一歩を踏み出さなくてはなりません。「核先制不使用宣言」「即時警戒体勢の解除」「核兵器の更新の禁止」など、核廃絶、平和へのとりくみに、やるべき事は多くあります。

「核と人類は共存できない」原水禁運動が発してきたこの言葉は、私たちの命の尊厳から生まれてくるものです。暴走する安倍政権は、特定秘密保護法・戦争法(安全保障関連法)・共謀罪法・働き方改革・IR法の制定、そして原因究明もおざなりに相次ぐ原発再稼動と、私たちの命をないがしろにする政策をすすめてきました。安倍政権が当初から主張していた「戦後レジュームからの脱却」は、平和と民主主義、基本的人権を叩き潰すものなのです。平和と民主主義、基本的人権の日本国憲法の理念の下、これまでの原水禁運動の正鵠に胸を張り、私たちの道をゆるぎない信念を持って進もうではありませんか。あらためて「核と人類は共存できない」ことを確認しましょう。原水禁運動は、安倍政権の核抑止による安全保障政策と原発推進政策に、最後まで闘い続けます。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ

 

 

 

 

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