気休めにもならない対北朝鮮「迎撃ミサイル」のお粗末さ

すでにイージス艦6隻だが迎撃ミサイルは1発も…(C)共同通信社
すでにイージス艦6隻だが迎撃ミサイルは1発も…(C)共同通信社
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 安倍首相はバカ殿丸出しで米国製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の買い入れを決めたという。

1基が800億円。それを日本海側に2基配備するそうだが、兵舎やレーダー施設の建設費用がプラスされ、経費が膨れ上がるのは間違いない。

これで北朝鮮のミサイルを撃ち落とせるなら結構だが、日本はすでにイージス艦6隻を持ち、うち2隻は日本海側に常時配備している。

北朝鮮からは今年だけでも数発のミサイルが発射され、日本列島の上空を飛翔したが、その間、イージス艦からは1発も迎撃ミサイルが発射されなかった。なぜなら発射しても当たらない可能性が高く、北朝鮮に舐められたくなかったからだろう。

弾道ミサイルは放物線を描いて飛翔する。撃ち出し期はブーストといって上りコース。これはほぼ狙えない。高高度を飛翔するミッドコースを狙撃するには、迎撃ミサイル自体が高高度に達する必要があるから、イージス艦では狙えない。下降するターミナルでは重力加速度を加えて落ちるミサイルを正面から迎撃する。

いずれにせよ発射された銃弾を、こっちが銃弾を発射して撃ち落とす仕掛けだから簡単にはいかない。その中でまだしも可能性があるのは下降線を描くターミナル時であり、北朝鮮ミサイルも北海道の日本海寄りに落ちるなど、1~2回はイージス艦で迎撃するチャンスがあった。

せっかく大金を出したイージス艦である。たまたま恵まれた試打のチャンスを見逃す手はない。だが、自衛隊も米軍も撃たなかった。性能的に撃ち落とせないからである。

要するにイージス艦もイージス・アショアも張り子のトラ。効果としては教室に詰める生徒を這いつくばらせ、頭に座布団をかぶれと命じるのと同じだろう。気は心。ないよりあった方が安心できそう――。

北朝鮮が核とミサイルの開発で米軍と五分を張ると決めた以上、いくら北に圧力を加えても、北に核を放棄させる手はない。日本にできることは日本に撃ち込ませないことだけだが、トランプの尻馬に乗って、北を挑発しているようでは側杖を食う。

北とアメリカは朝鮮戦争を休戦しているだけだから、両者にはそれぞれよろしくやってもらい、日本は局外中立を守る。日米安保も在日米軍基地も今となってはプラスよりマイナスが大きいと分かった。

少なくとも沖縄の米軍ヘリは北のミサイルより日本に実損を与えている。日本はアメリカの傘から出た方がいい。

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