泊原子力発電所3号機にかかる北海道知事の再稼働同意に対する北海道平和運動フォーラム声明

泊原子力発電所3号機にかかる北海道知事の再稼働同意

に対する北海道平和運動フォーラム声明

鈴木北海道知事は、安全を第一としながらも、原子力規制委員会の審査合格、地域住民の避難対策、再稼働後の電力料金の値下げ、脱炭素電源の確保による道内経済の成長および雇用の確保、温室効果ガスの削減を理由に挙げ、「当面取りうる現実的な選択」として、12月10日の道議会予算特別委員会において、北海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働に同意した。

後志管内の各町村や道内6か所での説明会では、道に対して「原子力発電所を運転することによる放射能汚染の心配」や「地震などの自然災害による発電施設の事故の心配」など、再稼働に対する不安や反対する多くの声が寄せられている。

また、「12.5万年前以降の活動を否定できない活断層であること」「泊原発の重要施設の大部分が埋立地で大地震時には液状化・地割れ・不等沈下の危険がある」など地層学者の指摘もあり、泊発電所本体の安全性が担保されていないなかで、住民の不安は払しょくされておらず、道民の命よりも、現実的な選択が優先される判断は断じて容認することはできない。

さらに、原発を稼働することに伴って生じる放射性廃棄物、いわゆる核のゴミ処理の問題や使用済み核燃料のリサイクルの問題、最終的に必ず訪れる廃炉の問題などを総合的に判断するならば、泊原発3号機を再稼働させるべきではない。

北海道平和運動フォーラムは、道民の安全・安心を最優先に、すべての市民団体や労働組合などと連携するとともに、再稼働に不安を感じている地域住民の声を受け止めながら、泊原発3号機再稼働を許さない取り組みについて、粘り強く進めていくことを表明し、声明とする。

以 上

2025年12月10日 北海道平和運動フォーラム

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防衛大学校いじめ国賠訴訟、東京高裁不当判決に抗議する声明

東京高裁不当判決に対し抗議する声明

2025年12月8日 防衛大学校いじめ国賠訴訟弁護団

1(判決の結論)

2013年4月に防衛大学校に入学した元学生が、 上級生から学生間指導に名を借りた理不尽な仕打ちや嫌がらせを受けるなどのいじめを受けたことで適応障害やうつ病、さらにはPTSDまでも発症し、言葉を発することが困難になったことについて、 国及び上級生1名を被告として損害賠償を求めていた訴訟において、東京高等裁判所第11民事部(三木素子裁判長)は、2025年12月8日、元学生の控訴をいずれも棄却する判決を言い渡した。

2(判決の理由)

判決は、上級生からの元学生に対する不法行為、及び、教官らの安全配慮義務違反のいずれについても、いじめとは認められないとの理由で、違法性を否定している。しかしながら、上級生からの元学生に対する不法行為には、暴行などの有形力を行使したものや当時の教官らも不適切な指導と評価するものがあった。

また、元学生が2年生の時に上級生からの不適切な指導を原因として過呼吸を発症 したことを、教官らは認識していたにもかかわらず、 加害者である上級生に対して不 十分な指導しか行わなかったことで、 元学生が3年生に進級した直後にも同じ上級生 から不適切な指導を受けて、同じように過呼吸を発症することを防止できなかったと いう出来事があった。

元学生に対する理不尽な仕打ちや不適切な指導をいじめと評価しないとしても、こ れらの行為の違法性は当然に認められるべきであったが、判決はこれらの行為につい ても、いじめではないとの理由で違法性を否定したのである。

3 (最後に)

防衛大学校では、上級生が下級生を指導する学生間指導が広く行われているが、 学 生間指導では指導に名を借りた理不尽な仕打ちや嫌がらせが蔓延しており、いじめの 温床となっている。しかも、学生間指導として理不尽な仕打ちや嫌がらせを受けた下 級生が上級生になると、今度は自分が受けた理不尽な仕打ちや嫌がらせを下級生に対 して繰り返すという、負の連鎖が絶えることなく続いている。

防衛大学校は、 幹部自衛官の養成機関である。 幹部自衛官の養成課程において、 人 権意識が欠落した理不尽な仕打ちや嫌がらせがまかり通る現状を許すのでは、 自衛隊 全体において人権意識を涵養し、ハラスメントをはじめとした人権侵害を防止、根絶 することは到底実現できない。

東京高裁の判決は、 防衛大学校における規律の乱れや不祥事の横行に目をつぶり、 被害者の救済を拒否する極めて不当な判決である。 弁護団としては、このような不当 な判決に断固として抗議するものである。

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海峡の向こうの危険な「大間原発」 北海道から青森の原発を止める(2018.10第34回兵庫自治研集会より)

海峡の向こうの危険な大間原発
北海道から青森の原発を止める

 

北海道本部/渡島地方本部・自治研推進委員会
第34回兵庫自治研集会
第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える

から無断転用

 函館市の対岸の青森県大間町に世界初フルMOX燃料を使用する「大間原発」が建設中である。函館市は、遮蔽物の何もない目の前に建設されているにもかかわらずEPZの範囲外との理由で蚊帳の外に置かれていた。そのような状況で、建設中止を求め住民に呼びかけながら行った様々な運動の中から、自治労としての今後の脱原発に向けた運動のあり方について提言する。

 

1. 大間町と函館市の関係──対岸の町で進む原発建設計画

 青森県下北郡大間町には、世界で初めて商業炉としてフルMOX燃料を使用する原子力発電所が建設中である。通常の原子力発電ではウラン燃料を利用するのに対し、MOX燃料とはウランとプルトニウムの混合酸化物からなる核燃料で、MOX燃料のみを使用するフルMOX炉は、世界的に見ても前例がない。
青森県大間町は、下北半島の先端に位置する本州最北端の地である。津軽海峡を隔てて函館市戸井地域との最短距離は18km(原発の炉心からは23km)、函館市中心部からは約40kmの位置にあり、大間-函館間はフェリーで1時間40分で結ばれている。
大間から県庁所在地である青森市までは車で約3時間、隣接するむつ市まではバスで約2時間余りを要することから、大間の生活圏は、大規模病院や商業施設など都市機能が充実している函館市となっている。
大間町の主産業は言うまでもなく漁業であり、築地市場の初セリで例年高値がつく「大間マグロ」はマスコミでも頻繁に取り上げられ、有名である。一見華やかに見えるがその現実は、漁獲・水揚げ(収入)が不安定で後継者もなく、漁業以外の産業もないため過疎化は進む一方で、町はその打開策として原発の誘致に乗り出した。

表1 大間原発建設をめぐる主な動き
1976.4~ 大間町商工会が大間町議会に「原子力発電所新設に係わる環境調査」を要請
1976.6~ 議会が請願を採択
1982.8~ 原子力委員会が「原子力開発利用長期計画」において電源開発を実施主体とする60万6千kWのATR(新型転換炉-重水減速軽水冷却沸騰水型原子炉)の計画を決定
1984.12~ 大間町議会が「原子力発電所誘致」決議
1985.6~ 電源開発が青森県・大間町・風間浦村・佐井村にATR計画への協力要請
1990.7~ 用地取得開始
1994.5~ 大間、奥戸両漁協、臨時総会で発電所計画同意及び漁業補償金受け入れ決定。漁業補償協定締結
1999.4~ 風間浦村、佐井村が臨時議会を開催、発電所計画などに同意。協定締結
1999.6~ 原子力安全委員会が「改良型沸騰水型原子炉における混合酸化物燃料の全心装荷について」を了承。
1999.9~ 一部未買収のまま、電源開発は設置許可(旧版)申請
2003.2~ 電源開発、未買収用地買収断念を公表、原子炉位置を南に200mずらした設置許可再申請を提出することを公表
2003.3~ 電源開発は着工を2005年3月、運転開始を2010年7月に延期
2003.8~ 電源開発は着工を2006年8月、運転開始を2012年3月に延期することを公表したが、耐震指針改定に伴い、着工時期を2007年3月に再延期。新しい耐震指針を適用した国の安全審査が続いて、2008年5月着工予定となった。
2004.3~ 旧版設置許可申請取り下げ、「現行版設置許可」申請
2005.1~ 原子力安全委員会、第2次公開ヒアリング開催(函館市民4人が意見陳述)
2006.9~ 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」改定版を発行
2008.4~ 安全審査終了、23日設置許可処分、24日第1回設計工事計画認可申請
2008.5~ 経済産業省が工事計画を認可、着工
函館から大間を望む

2. あまりに危険なフルMOX炉

 全炉心にMOX燃料を使用する大間原発で事故が起こった場合、その被害は甚大であり、ウランのみを燃料に使用する場合に比べて中性子線が約1万倍、ガンマ線が20倍、被害面積は4倍になると言われている。
また、京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏の報告によると、仮に大間原発で事故が起きた場合、アメリカ原子力規制委員会公表の「原子炉安全研究」のBWR2型(格納容器の破壊、炉心溶融の惹起)を仮定すると、函館市方向に風速2mの風が吹き、約4時間後に放射能の雲が40km離れた五稜郭公園に到達した場合、函館市民の約8,000人が急性死、その後、100%の人間が何らかの癌により死亡するとされている(「原子力資料情報室通信№411」より)。
1998年3月、函館市役所が京都大学原子炉実験所の小林圭二助手を招いて市職員対象の大間原発についての学習会を開いたが、その際にも大事故があれば現在の函館市、北斗市、七飯町、鹿部町、森町の全住民の5年以内の生存率は0%とされた。

3. 蚊帳の外に置かれた函館市(道南)

 このように危険な原発が、遮蔽物も何もない目の前に建設されるにもかかわらず、緊急時計画区域(EPZ=Emergency Planning Zone)の範囲外であることや、同じ都道府県でないとの理由から、函館市をはじめ近隣自治体にはもちろんのこと、北海道にさえ何ら説明もなく、我々を蚊帳の外にしたまま建設工事は進み出した。
国や建設主体である電源開発株式会社の横暴に対し、函館市内や道南地域の住民は1995年に「ストップ大間原発」を発足させ、建設中止に向けた市民運動が始まった。だが、正直にいえば、当時、我々地元自治労をはじめとした労働組合側の対応は、個々の市民運動への参加程度に留まっていた。函館市民や近隣自治体の住民にとっても、他県にできる原発であること、距離的なイメージが湧かないこと、原発の安全神話が存在していたことから、大間原発が建設されることに関心を示す人は少なかった。
このような状況でも市民団体は、函館市議会や北海道への呼びかけを行いながら、地道に大間原発の危険性を訴え続けた。大間原発に反対する市民団体も3団体に増え、地元大間の反対住民とも交流を行い活動を展開した(表2)。その後発足した「大間原発訴訟の会」は、現在、国と電源開発を相手に裁判中である。

表2 大間原発に反対する市民運動の経過
1995~ 大間原発がフルMOX-ABWRに変更になったのを機に「ストップ大間原発道南の会」発足
1997.4~ 「大間原発に反対する地主の会」結成(於:青森市)
2005.2~ 大間町在住の熊谷あさ子さんが、同意を得ずに共有地を造成したのは違法であるとして、電源開発を相手に原発建設工事の差し止めを求める訴訟
2006.5~ 「大間の海は宝の海」が口癖だった熊谷あさ子さんが風土病で死亡
2006.10~ 原発工事の差し止めを求める訴訟は最高裁で敗訴の判決。翌年1月に取り下げ
2006.12~ 74名の賛同者を得て大間原発訴訟準備会が発足
2007.7~ 函館市議会が「大間原子力発電所の建設について慎重な対応を求める意見書」を採択
2008.2~ 前年11月から取り組んできた「大間原子力発電所設置許可を出さないことを求める署名」64,222筆を経済産業省原子力安全・保安院に提出
2008.4~ 甘利経済産業大臣が電源開発に大間原発の原子炉設置許可を出したことに対して抗議文を提出。大間原発に反対している4団体(青森県の大間原発に反対する会、ストップ大間原発道南の会、大間原発訴訟の会、函館・「下北」から核を考える会)が共同で電源開発に対して「建設計画の断念を求める要請書」を提出
2008.6~ 函館市、北海道知事に対して要望書を提出(提出を呼びかけ)
2008.6~ 「電源開発株式会社大間原子力発電所の原子炉設置許可処分に対する異議申立書」(4,541筆)を甘利経済産業大臣に提出
2008.9~ 大間町の「あさこはうす」で「第1回大間原発着工抗議集会」
2008.12~ 高橋はるみ北海道知事に対して「大間原発の説明会を求める団体署名」(99団体)提出
2010.7.28~ 国と電源開発を相手に「大間原発訴訟」第1次原告(168人)提訴
2010.12.24~ 第1回口頭弁論

4. 自治労が住民に呼びかけ反対運動を展開

 昨年の3月11日を境に原発の安全神話は崩れ、原発推進派以外のほとんどの国民は原発に対する恐怖・不安を抱き始めたと思う。恥ずかしながら、当初は平和フォーラムに結集するくらいだった我々自治労の運動も、3月11日以降、大きく変化した。自治体労働者の労働組合として「原発が一度事故を起こしたら、そこに住む住民は生活の全てを失い、街が無くなる。既存の原発も新規の原発も建設するべきでない」と考え、また、原発問題を自治労に課せられた課題であると認識し、単組として主体的に運動をする必要性に気づかされた。

(1) 住民喚起と学習の場づくり
 活動に取り組むにあたり、三つの柱のもとに運動を進めることとした。一つ目の柱は、住民へ積極的に呼びかけ、学習の場をつくることである。我々労働組合だけの取り組みだけに自己満足せず、住民喚起をしてこそ大きな成果があがるとの考えから、まずは大間原発が他の原発よりも危険だということを認識してもらうため、住民に呼びかけ学習会を開催した。原発事故直後の5月の開催ということもあり、住民 200人の参加があった。
また、街に出て訴えることが必要だと考え、組織内議員とも連携しながら街頭宣伝行動で、チラシ配布や署名活動も展開した。函館市以外の人通りの少ない町でも街宣を行ったほか、各自治体議会で原発に関する決議や意見書採択に向けた取り組みを行った。
さらに、実際に現地に足を運び、現地がどのようになっているのかを自分の目で確認した上で運動を進める必要があると考え、現地視察を実施した。函館側から大間町を見たときの普段見慣れた風景と異なり、大間町から函館側を見ると距離がより近く感じられ、参加者からも、今までの価値観が覆されたとの感想が寄せられた。

函館の汐首岬(左)と大間岬(右) 大間から見た函館

 

(2) 運動を北海道全域に広げる
 二つ目は、この運動を全道的な運動として位置付けることである。海を隔てていることや他県の原発であるということ、距離的な問題から、反対運動は道南地域だけの課題・運動となりかねない。それでは運動の広がりがつくれないことから、北海道全体の課題として受け止めてもらうために、道南地域平和フォーラム加盟の産別による北海道本部の機関会議などで、大間原発の危険性を訴えることを意思統一した。その結果、建設中止に向けた全道署名を行うに至り、全道で 157,660筆を集め、今年1月、北海道知事に提出したところである。北海道知事宛の署名としたのは、北海道が大間原発問題の当該自治体として、国や青森県に主体的に建設中止を求めていくようにとの主旨からである。
また、全国1000万アクションの取り組みと連動して「やめるべ、大間原発 10・29北海道集会」を初めて函館市で開催した。当日は、全道各地や青森県内から 1,500人が集まり、集会は成功を納めると同時に、大間原発を全道的な課題として位置づけることができた。

(3) 北海道から青森県への働きかけ
 最後の三つ目は、青森県の世論喚起である。北海道が建設中止に向けていくら一枚岩となったとしても、青森県側が原子力に依存した自治体運営を間違いだと受けとめなければ何の意味もない。これらのことから、青森県側との交流を開始し、北海道と青森県の住民の原発に対する意識について意見交換を行った。
大間原発をはじめ下北半島にある原子力施設は、人口が集中している県庁所在地の青森市から山間部に挟まれ90km以上離れている。そのため、青森県の住民は函館側より原発の危険性を実感できないのかもしれない。また、県自体が原子力に頼った自治体運営を行っているため、原発を容認する風土が自然と培われ、脱原発について県内では発信しづらい雰囲気であるのではないかと感じられた。下北半島には、大間原発以外にも原子力施設が集中している。道南地域はそれら施設からも 100km圏内であることを考えると、今後、青森県への要請行動も模索していかなければならない。

5. 脱原発こそが持続可能な社会への道

 福島原発事故から1年以上が経過し、5月5日、泊原発の停止を最後に、国内にある全ての原発が停止した。原発に関する国内議論は既存の原発のみで、建設中の原発をどうするかの議論は全くされていないが、国民の大半は脱原発に向けた社会の実現を望んでいる。様々な意見や思惑があるにせよ、日本が脱原発へと向かうならば、建設中の原発の建設中止を国として判断することは必然であると考える。
その一方で、原発を基軸としたまちづくりを模索してきた建設地のことも考えなければならない。そこには可能な限り国の手当が必要となる。脱原発と同時に、地元自治体の支援も進めなければならない。ただ脱原発を訴えるだけでなく、両方の視点で運動を進めてこそ自治労だと思う。
いまなお厳しい状況下にある福島を思うとき、脱原発こそが北海道の住民も青森の住民も安心して暮らせる持続可能な社会を作りあげることだと確信している。様々

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高市政権の政策を問う平和フォーラム声明 核兵器のない社会の実現をめざす原水禁声明 被爆80年を迎えるにあたって

高市政権発足から1か月、この間の政策を問う平和フォーラム声明

2025年10月21日、自民党の高市早苗総裁が第104代首相に就任した。発足して1か月、各種世論調査によると高い支持率が示されているものの、高市首相がこれまで訴えてきた政策は保守強硬派とも言われる内容であり、その具現化がどれだけ進むのか、多くの市民から不安の声が聞かれていることも事実である。

高市首相は国会論戦の中で、「台湾に対し武力攻撃が発生する。海上封鎖を解くために米軍が来援し、それを防ぐために武力行使が行われる」という想定を述べたうえで、「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても『存立危機事態』になり得る」と述べた。2015年安保関連法の成立によって集団的自衛権行使が容認されるとした安倍政権以降、歴代政権では具体的な「存立危機事態」に言及することはなかっただけに、高市首相の発言は具体的で大きく踏み込んだことになる。日本政府は1972年の日中共同声明において、「1つの中国政策を十分理解し尊重する」という姿勢を示し、紛争は平和的手段で解決することを確認してきた。高市首相の発言がこの姿勢を踏まえたものとは言い難い。この発言以降、外務省金井アジア太平洋局長が中国・北京を訪問し、中国外務省の劉勁松アジア局長と協議したが、事態の収束は困難な状態が続いている。中国との経済的関係の悪化も報道されるなど、政治による日中関係の悪化が今後どこまで影響するかについて、予断を許さない。日本政府には、憲法理念に基づく平和外交への努力を求めながら、日中関係は日中共同声明と日中平和友好条約に立ち返り、正常化することが望まれる。

11月14日には、国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に向け、「非核三原則」の見直しを与党内で開始させる検討に入ったことが明らかになった。80年前の広島・長崎の被爆の実相を原点に、これまで核兵器廃絶と世界平和の実現を願い、国内はもとより、世界各国で凄惨な被爆の実相を語り、「核の非人道性」を国際的に確立させてきた被爆者からは、即座に抗議の声があがった。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)からも「非核三原則」の堅持、法制化を強く求める声明が発表された。国際的にもICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が、「広島と長崎の被爆者の声を聞くべきだ」としたうえで、「非核三原則」の見直しを非難する声明を発表している。被爆80年を迎えた今年、核兵器廃絶に向けた日本社会の機運をより一層高め、2026年に開催予定の核不拡散条約(NPT)と核兵器禁止条約(TPNW)両再検討会議につなげる形で、国際社会全体の核兵器廃絶への歩みを一層強固にすることにこそ、日本政府は注力すべきではないか。戦争による被爆を経験し、国連総会本会議に核兵器廃絶決議案を出しながら、一方では「非核三原則」を見直し、「核抑止」を前提とした安全保障に頼る日本政府の方針に、国際社会から信頼と納得が得られるとは到底考えられない。

他にも、「防衛費のさらなる引き上げ」、「スパイ防止法」、「武器輸出5類型」の撤廃や「選択的夫婦別姓制度」の否定など、懸念される方針は枚挙にいとまがない。グローバル化が進む今日、多文化共生社会を後退させる政策や方針に強い懸念も抱かざるを得ない。今、迅速にとりくむべき政策課題は、賃上げが追いつかず物価高に苦しむ市民の生活改善に向けた内容であり、個々人の人権を尊重した政策の実現であるはずだ。

私たちはこれまで訴えてきた、武力ではなく対話による平和外交をおし進め、生活改善と人権尊重につながる政策実現を求めるとともに、核兵器廃絶の実現に向けた歩みをより強固にするようとりくんでいく。戦後80年・被爆80年、これまで紡いできた平和を希求する市民の声を、一層高めていくことを決意し、高市政権発足1か月にあたっての平和フォーラム声明とする。

2025年11月20日

フォーラム平和・人権・環境

共同代表  染 裕之

丹野 久

 

アメリカ・トランプ大統領の核実験再開指示に抗議し、

核兵器のない社会の実現をめざす原水禁声明

10月30日、アメリカのトランプ大統領が、中国の習近平国家主席との会談直前に、SNSで核実験再開を国防総省に指示した。翌日には、いくつかの実験を行うつもりであること、また地下核実験の実施も否定せず、ロシアや中国を念頭に対抗する姿勢を示した。一方、アメリカ国内の核戦力を担当するコレル海軍中将は、10月30日の上院公聴会において、「大統領の発言が核実験を意味すると決めつけるつもりはない。中国もロシアも爆発を伴う核実験を行っていない」と述べた。11月2日、アメリカ・エネルギー省のライト長官は、「核爆発を伴うものではなく臨界前核実験であり、システムテストだ」と述べた。議会調査局によれば、アメリカでは大統領の決定から36か月以内に地下核実験を実施する能力を維持することが義務づけられている。

アメリカでは1992年を最後に、爆発を伴う核実験を停止し、その後は臨界前核実験を行ってきた。もちろん、臨界前核実験の実施であれば許されるということでは決してないし、臨界前核実験についても原水禁はこれまで抗議声明を発出するなど、あらゆるかたちの核実験に反対してきた。その上で今回、私たちが決して看過できないのは、核実験実施を外交の交渉カード、いわゆる「ディール」の材料として用いようとするトランプ大統領の姿勢である。被爆から80年を迎えてもなお、原爆の被害に苦しむ多くの被爆者がいるという現実を直視することを強く求める。

アメリカをはじめロシア、中国も批准している核不拡散条約(NPT)では、第6条において締約国に、誠実に核軍縮に核軍縮交渉を行う義務を規定している。また、2021年に発効した核兵器禁止条約(TPNW)は核兵器に関するあらゆる活動を禁止している。国連への加盟資格のある197か国のうち過半数の99か国がこのTPNWに参加しており、核兵器廃絶に向けた歩みを進めることこそが、国際社会全体から求められていると言える。

今回のトランプ大統領の発言はこうした国際社会からの要請に背を向けたものと言わざるを得ず、私たちは決して許すことができない。2026年4月にはNPT再検討会議がアメリカ・ニューヨークで開催される予定だ。アメリカを含めた核保有国には、「誠実な核軍縮」に向け具体的な進展をはかることを、私たちは強く求めたい。そして2026年11月に開催予定のTPNW再検討会議に向けて、国際社会全体で核兵器廃絶の道筋を確立させていく必要があることを私たちは確認する。

高市首相が10月28日に行われた日米首脳会談の際、トランプ大統領を「ノーベル平和賞に推薦する」意向を示したとされるが、言語道断である。戦争被爆国の政府として、トランプ大統領の姿勢を厳しく批判し、改めるように求めるべきだ。また、会談のなかでさらなる「軍事費拡大」をはかることを約束したり、米軍横須賀基地の原子力空母の上で高市首相がスピーチするなどして、日米の軍事一体化をいっそうおし進めようとする日本政府の姿勢は、決して私たちの安全な暮らしにはつながらず、むしろアジアにおける軍事的緊張を高めることになる。「核抑止」論をのりこえた平和の構築こそが望まれている。

原水禁は、今回のトランプ大統領の核実験再開指示に抗議するとともに、これまで進めてきた核廃絶を求めてきた原水禁運動を、今後も着実に進めることを改めて決意する。「核と人類は共存できない」という揺るがない理念のもと、市民の力の結集によって、国際社会全体を動かしていくことをめざし、日々の原水禁運動にまい進していくことを確認する。

2025年11月4日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

 

総会アピール(案)

ロシアのプーチン政権はウクライナで、イスラエルのネタニヤフ政権はパレスチナのガザ地区で、国際社会からの反対や国連の非難にもかかわらず、軍事行動を続けています。これらの紛争は、無差別な大量殺戮や飢餓といった深刻な人道危機を引き起こしています。国連がこれらの行為を「ジェノサイド」(集団殺害)と認定・告発したにもかかわらず、その残虐行為は止まっていません。さらに、アメリカのトランプ政権は、イラン国内の3カ所の核施設を空爆し、国際的な緊張を高めています。自国の核兵器保有は認めつつ他国の核保有を拒否する姿勢を見せています。

世界的な覇権をめぐるアメリカと中国の対立が深まる中、東アジアの緊張が高まっています。日本の自公政権は、「台湾有事」を背景にした緊張を煽り、中国を想定した戦争準備を加速させています。

防衛費は、2023年度から2027年度までの5年間で総額43兆円増大させる計画です。しかし、実際には「後年度負担」という分割払い分を合わせると、この5年間で総額70兆円を超え、全体で110兆円以上にもなる巨額の軍事費となる見込みです。

日本の防衛力強化は、具体的な基地配備計画として進められています。小松基地には2030年度までにF35Aステルス戦闘機40機が配備される計画で、これは日本海側で最大の先制攻撃拠点へと基地を変貌させる動きです。長射程ミサイルの全国配備と合わせ、これは「台湾有事」の際、自衛隊が最前線に立ち、日本全土が戦場になる懸念があります。アメリカ軍は自衛隊を後方から支援する戦略であるため、金沢港や七尾港も、有事の際には「軍港」として利用できる体制づくりが進められています。

軍備増強と並行して、若年層への働きかけも強まっています。小学生向けの「防衛白書」(2025年は2,400校に配布)の発行や、県内の中学校での自衛隊の「出前授業」における装甲車の展示など、幼い頃から自衛隊の活動に慣れさせ、未来の「兵士」を育成する狙いがあると言えます。

また、7月には、3団体(県平和センター・石川県憲法を守る会・社民党)の「反対」申し入れにもかかわらず、海上自衛隊の護衛艦「みくま」「さわぎり」が金沢港と七尾港に入港し、中学生から32歳までの若者を対象としたリクルート活動も強行されました。

先の参院選で自民党は国民の信頼を失い、少数与党に転落しました。しかし、自公政権は、他の野党を取り込んで「大政翼賛」のような危険な政権づくりに進もうとしています。

戦後80年のいま、私たちは、戦争の危機が迫りくるなか、世界を戦場にしないためにがんばらなければなりません。そして、子どもたちを放射能禍にあわせないため、能登半島地震で危機一髪だった志賀原発を再稼働させてはなりません。

以上を訴えて総会アピールとします。

2025年9月25日 総会参加者一同

 

被爆80年を迎えるにあたって

ヒロシマ・ナガサキを受け継ぎ、広げる国民的なとりくみをよびかけます

1945年8月6日広島・8月9日長崎。アメリカが人類史上初めて投下した原子爆弾は、一瞬にして多くの尊い命を奪い、生活、文化、環境を含めたすべてを破壊しつくしました。そして、今日まで様々な被害に苦しむ被爆者を生み出しました。このような惨劇を世界のいかなる地にもくりかえさせないために、そして、核兵器廃絶を実現するために、私たちは被爆80年にあたって、ヒロシマ・ナガサ キの実相を受け継ぎ、広げる国民的なとりくみを訴えます。

2024年、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞しました。凄惨な被爆の実相を、世界各地で訴え続け、戦争での核兵器使用を阻む最も大きな力となってきたことが 評価されたものです。一方今日、核兵器使用の危険と「核抑止」への依存が強まるなど、「瀬戸際」とも言われる危機的な状況にあります。

ウクライナ侵攻に際してロシアの核兵器使用の威嚇、パレスチナ・ガザ地区へのイスラエルのジェノサイド、さらに、イスラエルとアメリカによるイランの核関連施設(ウラン濃縮工場)への先制攻撃など、核保有国による国連憲章を踏みにじる、許しがたい蛮行が行われています。核兵器不拡散条約(NPT)体制による核軍縮は遅々として進まず、核兵器5大国の責任はいよいよ重大です。

原水爆禁止を求める被爆者を先頭とする市民運動と国際社会の大きなうねりは、核兵器 禁止条約(TPNW)を生み出しました。これは、核兵器の非人道性を訴えてきた被爆者や核実験被 害者をはじめ世界の人びとが地道に積み重ねてきた成果です。同時にそれは今日、激動の時代の「希望の光」となっています。この条約を力に、危機を打開し、「核兵器のない世界」へと前進しなければなりません。アメリカやロシアをはじめ核兵器を持つ9カ国は、TPNWの発効に力を尽くしたすべての市民と国々の声に真摯に向き合い、核兵器廃絶を決断すべきです。唯一の戦争被爆国である日本政府はいまだTPNWに署名・批准しようとはしません。核保有国と非核保有国の「橋渡し」を担うとしていますが、TPNWに参加しない日本への国際社会の信頼は低く、実効性のある責任を果たすこととは程遠い状況にあります。アメリカの「核の傘」から脱却し、日本はすみやかに核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。

原爆被害は戦争をひきおこした日本政府が償わなければなりません。しかし、政府は放射線被害 に限定した対策だけに終始し、何十万人という死者への補償を拒んできました。被爆者が国の償いを求めるのは、戦争と核兵器使用の過ちを繰り返さないという決意に立ったものです。国家補償の実現は、被爆者のみならず、すべての戦争被害者、そして日本国民の課題でもあります。ビキニ水爆被災を契機に原水爆禁止運動が広がってから71年。来年は日本被団協結成70周年です。被爆者が世界の注目をあつめる一方、核使用の危機が高まる今日、日本の運動の役割はますます大きくなっています。その責任をはたすためにも、思想、信条、あらゆる立場の違いをこえて、被爆の実相を受け継ぎ、核兵器の非人道性を、日本と世界で訴えていくことが、なによりも重要となっています。それは被爆者のみならず、今と未来に生きる者の責務です。地域、学園、職場で、様々な市民の運動、分野や階層で、被爆の実相を広げる行動を全国でくりひろげることをよびかけます。世界の「ヒバクシャ」とも連帯して、私たちはその先頭に立ちます。

2025年7月23日

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)

原水爆禁止日本協議会(日本原水協)

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

 

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「原子力防災はあなたの命も、暮らしも守りません」 原子力防災訓練やめよチラシ

2025.11.24  石川県が「原子力防災訓練」を、私たちの反対申入れににもかかわらず強行しました。志賀原発の過酷事故が地震と同時に起こった際、道路も空も海も、そして家屋さえ倒壊して放射能プルームから「逃げられない」のに、何から、そしてどこへ「逃げる訓練」をしているのでしょうか。避難訓練は無意味です。避難しなければならないことにさせた大もとである志賀原発を無くさなければ、廃炉にしなければ、これらの答えは見つかりません。

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石 川 県 原 子 力 防 災 訓 練 へ の 抗 議 声 明

抗 議 声 明

この原子力防災訓練は、震度7が志賀原発を襲い重大事故が起こっても

「奥能登住民は無事に避難できる」という

「新たな安全神話」をねつ造するための訓練だ!

石川県は本日午前7時から志賀原発の重大事故を想定した原子力防災訓練を実施した。

私たちは9月3日、馳浩知事宛て「能登半島地震によって避難計画の破綻は明らかとなった」と指摘し、今年度の訓練の中止を要請した。福島第一原発事故以降の原子力防災訓練は原発震災による被害を過小評価し、「重大事故でも住民は安全に避難できる」と県民を騙し、北陸電力の志賀原発の再稼働路線を後押しする「安全キャンペーン」でしかなかったからである。

これに対して県は「能登半島地震を受けて、より現実に即した訓練を実施する」とし、本日の訓練を迎えた。私たちは監視行動を実施し、各会場での訓練内容をチェックしたが、まさに私たちが危惧した通り、「志賀町震度7で志賀原発に重大事故が起こっても、奥能登住民は無事に避難できる」という「新たな安全神話」を意図した訓練であったと言わざるをえない。

私たちは本日の訓練強行に対して怒りを込めて抗議し、以下、具体的問題点を指摘する。

<全体を通じて>

1.能登半島地震の被害の現実を踏まえない訓練

最大震度7を志賀町はじめ奥能登各地で観測した能登半島地震は、内陸地殻内地震としては国内最大規模であり、被害も過去に例を見ないものであった。多くの建物倒壊や道路の通行止め、津波、土砂崩れ、液状化、大規模火災、広域かつ長期にわたる停電・断水・通信障害など、この30年間、日本が経験した大地震による被害が重複して現れ、さらに海岸の隆起・沈降も加わった。さらに原子力災害が重なったらどうなるのか。志賀原発周辺住民だけではなく全国の原発立地地域の住民が、屋内退避も避難もできず、被ばくを強いられる恐怖を感じたのである。

一方、志賀原発との関係で能登半島地震を見るならば、立地自治体である志賀町北部で震度7を記録しつつも、原発敷地内の揺れは震度5強とされ、志賀町町内の大きな被害は原発の北側(富来地区)に集中し、しかも奥能登地域のような壊滅的な被害には至らなかった。しかし、志賀原発の沖合や半島陸域には次なる大地震を引き起こすことが懸念される大断層が数多く存在しており、また北陸電力は能登半島北部の活断層評価を178kmと見直している。

今回の訓練は、奥能登を襲った複合的、広域的被害が志賀町やその周辺には起こらないだろうという極めて希望的、楽観的な想定下での訓練であり、原発震災の過小評価の繰り返しである。

<以下、時系列的に>

2.楽観的な職員参集訓練

能登半島地震当日の職員参集率は珠洲市20%、穴水町38%、輪島市、七尾市が39%、能登町54%、志賀町62%であった。また、輪島市の坂口市長は市役所へ向かう道路が寸断され登庁できたのは1月3日であった。オフサイトセンターの運営、特に初動対応においては、責任者はじめ多くの職員の参集も遅れことが想定される。速やかな参集は楽観主義でしかない。

3.外部被ばくを防げない原子力防災用エアーテント

放射線防護施設が被災し、陽圧化できないことを想定してのエアーテントだが、コンクリート壁かつ鉛のカーテンが設置され、外部被ばくを防ぐ機能も併せ持つ放射線防護施設の代替え施設とはならない。

4.避難判断における航空機モニタリングの役割は限定的

UPZ内のOILに基づく防護措置は、各地域に設置されたモニタリングポストで測定された空間線量率で判断することが原則とされており、さらに定点サーベイを補間する手段として走行サーベイがある(原子力規制庁作成{緊急時モニタリングについて}より)。航空機モニタリングはこれらが実施不可の場合、あるいは広範囲のモニタリングが必要な場合に活用されるものである。モニタリングポストの速やかな復旧ができないことをカムフラージュする訓練でしかない。

5.原発に向かう避難訓練

志賀町北部や輪島市の住民は、避難計画に定められた能登町や輪島市が被災し避難できないとして白山市や野々市町に向かう訓練が行われた。放射性物質が放出されている中、原発方向へ逃げることとなる。住民に被ばくを強いる訓練は、計画の破綻を認めたようなものである。

6.能登半島地震の検証も反省もない孤立集落対応訓練

能登半島地震では最大24集落、3345人が孤立し、実質的に孤立が解消されたのは1月19日であった。原子力防災訓練では毎回孤立集落対応として船舶やヘリを活用する訓練が盛り込まれてきた。しかし能登半島地震では原子力災害が起こらなかったが、孤立集落の解消に長時間を要したのである。船舶やヘリは一部で活用されはしたが、ほぼ無力に近い状態だった。こうした現実に対する検証も反省もなく、なぜ同じ訓練を繰り返すのか。

そもそも船舶やヘリによる避難は天候に左右され、これまでも頻繁に中止とされてきた。にもかかわらず今回の訓練では、新たにUPZからの避難で沖合での船舶の乗り換えもするという荒天時はさらに困難な訓練が予定されていた。結果として前日の荒天で中止となった。海路、空路に依存せず住民を避難させることができるのかが問われている。中止となった場合の対応を考えるのは当然であり、荒天時に住民に被ばくを強いるしかないなら、計画は破綻である。

  • 最後に ー「能登半島地震の現実に即した訓練」は不可能-

北陸電力からの正確な情報発信は期待できない。放射能の拡散状況は把握できない。屋内退避はできず放射線防護施設も損傷し、主要幹線の多くも通行止め、多くの自家用車が失われ、避難用のバスや福祉車両もたどり着けない、そもそも自治体は屋内退避や避難の指示を住民に周知できない。これらはすべて能登半島地震の「現実」である。能登半島地震の現実に即した訓練は不可能であり、「避難計画は破綻」と確認し合うことが本日の訓練の唯一の「成果」である。被災地・石川県の役割は、私たちとともにこの「成果」を国や全国に発信することである。

2024年11月24日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

さよなら!志賀原発ネットワーク

石川県平和運動センター

原水爆禁止石川県民会議

社会民主党石川県連合

石川県勤労者協議会連合会

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11.24 石川県原子力防災訓練に対する《抗 議 声 明》

《抗 議 声 明》

本日午前6時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後では11回目の訓練となるが、私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきた。残念ながら今回も志賀原発の再稼働を前提とし、その一方で事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.PAZ圏内住民の即時避難は可能か
全面緊急事態で原則即時避難とされているが、サイト内情報が迅速、正確に通報されることが前提である。私たちが懸念するのは、北陸電力の事故隠しや通報の遅れである。臨界事故隠しなど、数多くの前例がある。福島原発事故のように中央制御室で原子炉内の様子が把握できない事態も想定される。このような場合でも敷地周辺のモニタリングポストで異常は検知可能とされるが、志賀原発は他のサイトと異なり、赤住までは400m、福浦も1km余りと、周辺集落との距離が近い。後述するように避難バスが直ちに来る保証もない。放射性物質放出前に常に避難を開始できるかのような訓練が繰り返されているが、前提条件に危うさがある。

2.UPZ圏内住民は「まずは屋内退避」の方針を受け入れていない
規制委は「UPZ圏内では、内部被ばくのリスクをできる限り低く抑え、避難行動による危険を避けるため、屋内退避を基本とすべき」との方針を示し、本日の訓練もその考え方に基づき実施されている。しかし、私たちが訓練と並行して行った住民アンケート調査では、屋内退避方針自体知らない、あるいは従わず避難するという住民が少なからずいることが確認されている(後日、詳細に報告予定)。規制委は「内部被ばくは、木造家屋においては4分の1程度」に抑えられるとするが、それは1993年以降に建てられた住宅であり、1980年以前に建てらえた住宅では低減効果は半分以下の44%とされている。放射性プルームからのガンマ線の外部被ばく遮蔽効果も木造家屋ではほとんど期待できない。「渋滞による大混乱は危険、その危険を避けるために屋内退避で被ばくする」という避難計画の根本的矛盾を多くの住民は見抜いている。

3.バスによる迅速な避難は幻想
県は今年3月、石川県バス協会との間で「災害等におけるバスによる人員等の輸送に関する協定書」を締結し、さらに原子力災害時の業務内容などを運用細則で定めた。しかしバス業界の実態をみると、緊急時のバスの配車は容易ではない。昨今の深刻な運転手不足に加え、コロナ禍による業績悪化、そして今は人流回復による繁忙段階へと入り、各事業者は常に余裕のない運行体制を敷いている。PAZ圏内の集合場所は22カ所あるが、全面緊急事態に至る数時間内に必要台数を確保することはほぼ不可能。「全面緊急事態で直ちに避難」は幻想である。UPZ圏全体で考えても、住民の1割がバス避難と仮定すると約1万5千人。県バス協会加盟事業者が保有する大型の貸し切りバスの253台(うちUPZ圏内事業者は52台)に加え、UPZ内の路線バスもすべて避難用に回すという非現実的想定をしても大幅に不足する。加えてOIL1(500μSv/h超)の場合は、運転手の被ばく問題(線量限度1mSv)もあり、さらに配車は困難となる。

4.様々な複合災害をなぜ想定しない
今回も複合災害訓練は盛り込まれているが、地震により道路が一か所寸断し、応急復旧で通過可能となるという想定のみである。原子力災害の甚大さを考慮するならば、本来は異常気象による様々な巨大災害との複合災害を想定し、原子力防災が機能するのか真剣に検証すべきだ。最低限志賀町など周辺自治体が作成する土砂災害や洪水のハザードマップ、あるいは交通に重大な影響を及ぼす雪害との複合災害をも想定し、訓練を実施すべきではないか。志賀町の米町川や七尾市の御祓川、二宮川、熊木川などは近年も洪水の実績があり決して絵空事ではない。迅速かつ遠距離の避難が求められる原子力防災にどのような影響を及ぼすのか、課題は何か、なぜ訓練で検証しようとしないのか。最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオだと言わざるを得ない。

5.石川・富山合同の手抜き訓練
石川・富山両県合同の避難退域時検査訓練が氷見運動公園で初めて実施された。今年9月に全面改訂された内閣府および原子力規制庁の「避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」に基づく訓練である。マニュアル自体、改定の都度、「避難の円滑化」との理由から簡略化(手抜き)が進んでいるが、そのマニュアルをさらに簡略化した訓練内容であった。簡易除染でも基準値を下回らなかった車両は想定せず、持ち物の検査なし。検査場所を通過せず避難所へ向かう住民も想定していない。さらに設営の前提となる石川県側からの検査予想台数・人数も明らかにされていない。今回の訓練で、氷見経由の避難がスムーズにできたとの総括は到底許されない。

6.長期避難のリスクを隠す訓練
県や各市町の防災計画では「長期避難への対応」の項目がある。各市町では福島を参考に数年から10年の避難を想定しているとのこと。ところが本日の訓練に参加する避難者の持ち物を見れば、長期避難の可能性も意識している住民は一人もいない。防災リュックすら見かけない。避難退域時検査場所でも持ち物の汚染検査は想定されていない。ペットを飼う家庭は当然同行避難を考えるが、その対応も見られない。事故を過小評価し、長期避難のリスクを隠す訓練である。

7.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは、志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

2025年11月24日
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
さよなら!志賀原発ネットワーク
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議

石川県勤労者協議会連合会
社会民主党石川県連合

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日・米共同演習に対する申入れ

                             2025年11月19日
航空自衛隊小松基地司令
野  村    信  一 様

ピ ー ス・セ ン タ ー 小 松
第7次小松基地爆音訴訟原告団
小松・能美平和運動センター
加賀平和センター
石川県平和運動センター
石川県憲法を守る会
石川県勤労者協議会連合会
社民党石川県連合
(各団体の公印省略)

                      日・米共同演習に対する申入れ

11月10日、高市首相は衆院予算委員会で、「台湾有事」について「(中国が武力行使をした場合、日本が集団的自衛権を行使する)『存立危機事態』にあたる可能性がある」と答弁しました。このようななか防衛省は、11月10日から19日にかけて小松沖空域で日・米共同訓練を実施しました。

日頃から、私たちや小松・加賀市民が申入れている「(日・米共同演習は)10.4協定をないがしろにしている」、「騒音軽減を無視した飛行」、「墜落原因も分からない戦闘機を飛ばすな」、「墜落の危険があり恐怖を感じる」、「損害賠償していること、分かっているの?」、「憲法9条を守れ」など、圧倒的多数の、そして当然の声を無視するかのように、危険でうるさい戦争訓練を強行しているのです。

私たちは、自民党政権によるロシアや中国を「仮想敵国」とした、そして「安全保障のジレンマ」よろしく、「あるかないか分からないことに巨額を投じて戦争準備・軍備増強する」ことに警鐘を鳴らしてきました。

それにもかかわらず高市政権は、「台湾有事」は日本有事であり「存立危機事態」にあたるとして参戦準備を進めているのです。そもそも台湾は「事態対処法でいう『国』に該当しない」のではありませんか!

まさに、法律さえ勝手に解釈して戦争準備・訓練を強行している今日の事態に対し、私たちは断固として反対の意思を表明するものです。

以下の要請事項を誠実に実行することを求めます。

  • 即刻、戦争準備・訓練である日・米共同演習を中止すること。
  • F15戦闘機の長距離ミサイル積載型への改修を止めること。
  • 先制攻撃機であるF35Aステルス戦闘機の「40機体制」を直ちに止めること。
  • いつ、いかなるときも10.4協定を遵守すること。
  • 日本国憲法及びその核心である第9条を遵守すること。

2025年11月19日

小松市長 宮橋 勝栄 様

                                             ピ ー ス・セ ン タ ー 小 松

                                                                                                                          第7次小松基地爆音訴訟原告団

                                             小松・能美平和運動センター

                                                加賀平和運動センター

                                                                                                            石川県平和運動センター

                                                       石川県憲法を守る会

                                                                                                                                石川県勤労者協議会連合会

                                                           社民党石川県連合

                                            (各団体の公印省略)

                                  日・米共同演習に対する申入れ

11月10日、高市首相は衆院予算委員会で、「台湾有事」について「(中国が武力行使をした場合、日本が集団的自衛権を行使する)『存立危機事態』にあたる可能性がある」と答弁しました。このようななか防衛省は、11月10日から19日にかけて小松沖空域で日・米共同訓練を実施しました。

日頃から、私たちや小松・加賀市民が申入れている「(日・米共同演習は)10.4協定をないがしろにしている」、「騒音軽減を無視した飛行」、「墜落原因も分からない戦闘機を飛ばすな」、「墜落の危険があり恐怖を感じる」、「損害賠償していること、分かっているの?」、「憲法9条を守れ」など、圧倒的多数の、そして当然の声を無視するかのように、危険でうるさい戦争訓練を強行しているのです。

私たちは、自民党政権によるロシアや中国を「仮想敵国」とした、そして「安全保障のジレンマ」よろしく、「あるかないか分からないことに巨額を投じて戦争準備・軍備増強する」ことに警鐘を鳴らしてきました。

それにもかかわらず高市政権は、「台湾有事」は日本有事であり「存立危機事態」にあたるとして参戦準備を進めているのです。そもそも台湾は「事態対処法でいう『国』に該当しない」のではありませんか!

まさに、法律さえ勝手に解釈して戦争準備・訓練を強行している高市政権の所業に対して、私たちは断固として反対の意思を表明するものです。

以下の要請事項を誠実に実行することを求めます。

  • 即刻、戦争準備・訓練である日・米共同演習を中止するよう基地司令に要請すること。
  • F15戦闘機の長距離ミサイル積載型への改修を止めるよう基地司令に要請すること。
  • 先制攻撃機であるF35Aステルス戦闘機の「40機体制」を直ちに止めるよう基地司令に要請すること。
  • いつ、いかなるときも、10.4協定を遵守するよう基地司令に要請すること。
  • 日本国憲法及びその核心である第9条を遵守するよう基地司令に要請すること。

 

<補足>

「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(略称:事態対処法)

以下、抜粋

2 「武力攻撃事態」とは、わが国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は当該武力攻撃が発生    する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態。また、「武力攻撃予測事態」とは、武力攻    撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態。両者を合わせて「武    力攻撃事態等」と呼称。

3 「存立危機事態」とは、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが    国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事      態。

 

 

 

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2026年度第26回定期総会(2025.9.25)

「初めての議長で緊張します」と言われたが、実に落ち着いた、声も通る素晴らしい議長でした。ありがとうございます。

第7次小松基地爆音訴訟原告団の林秀樹事務局長は、受容限度を超える騒音・爆音、墜落の危険性、軍拡を止めましょうと訴えた。

 志賀原発訴訟原告団を代表して訴訟の現状と課題を述べ、第3次原告の募集など引き続きの支援を訴えた柚木光事務局長

石川県憲法を守る会代表委員(兼社会法律センター理事長)の岩淵正明さんは、小松基地(爆音訴訟)における「戦争法」成立以降の驚くべき変遷を語り、「これからが正念場だ」と皆さんの団結と決起を呼びかけた。いつもながらの叱咤激励でした。

立憲民主党石川県総支部連合会の副代表である荒井淳志さんのあいさつ。立民への集中と反自・公政権への団結で、来たる衆議院選は勝利することを呼びかけた。

瀬戸際の社民党ですが、反自・公政権の立場から、反戦・平和、憲法改悪反対、志賀原発を廃炉にの取り組みは一所懸命であり常に的確です。朝立ちをはじめ常に最先頭を走る社民党県連代表の盛本芳久県議会議員のあいさつでした。

2025年度の総括を提起する本田良成事務局長

2025年度決算監査の報告をする鷲尾正樹監査委員

連帯の挨拶や質疑応答をかみしめる執行部

ユーモアも交えた鋭い質問をする福嶋貴広代議員    

私たちを支え、応援していただいているPEACEネット石川の皆さん。奥能登平和センター設立の経緯や小松基地の現状・戦争準備の早さなどを語り、危機感を訴えてもらいました。

9年間の「産みの苦しみ」を経てようやく「一人代表」となった県平和センター、「新」代表橘 広行さんの「反戦」を志向する力強い、そして「平和」を志向する優しいあいさつで締めました。新執行部一丸となって、反戦・平和、護憲、脱原発などの取り組みに邁進します。

あらたな「戦前」としないために、老若男女の団結「がんばろう」で締めくくりました。

総会アピール(案)

ロシアのプーチン政権はウクライナで、イスラエルのネタニヤフ政権はパレスチナのガザ地区で、国際社会からの反対や国連の非難にもかかわらず、軍事行動を続けています。これらの紛争は、無差別な大量殺戮や飢餓といった深刻な人道危機を引き起こしています。国連がこれらの行為を「ジェノサイド」(集団殺害)と認定・告発したにもかかわらず、その残虐行為は止まっていません。さらに、アメリカのトランプ政権は、イラン国内の3カ所の核施設を空爆し、国際的な緊張を高めています。自国の核兵器保有は認めつつ他国の核保有を拒否する姿勢を見せています。

世界的な覇権をめぐるアメリカと中国の対立が深まる中、東アジアの緊張が高まっています。日本の自公政権は、「台湾有事」を背景にした緊張を煽り、中国を想定した戦争準備を加速させています。

防衛費は、2023年度から2027年度までの5年間で総額43兆円増大させる計画です。しかし、実際には「後年度負担」という分割払い分を合わせると、この5年間で総額70兆円を超え、全体で110兆円以上にもなる巨額の軍事費となる見込みです。

日本の防衛力強化は、具体的な基地配備計画として進められています。小松基地には2030年度までにF35Aステルス戦闘機40機が配備される計画で、これは日本海側で最大の先制攻撃拠点へと基地を変貌させる動きです。長射程ミサイルの全国配備と合わせ、これは「台湾有事」の際、自衛隊が最前線に立ち、日本全土が戦場になる懸念があります。アメリカ軍は自衛隊を後方から支援する戦略であるため、金沢港や七尾港も、有事の際には「軍港」として利用できる体制づくりが進められています。

軍備増強と並行して、若年層への働きかけも強まっています。小学生向けの「防衛白書」(2025年は2,400校に配布)の発行や、県内の中学校での自衛隊の「出前授業」における装甲車の展示など、幼い頃から自衛隊の活動に慣れさせ、未来の「兵士」を育成する狙いがあると言えます。

また、7月には、3団体(県平和センター・石川県憲法を守る会・社民党)の「反対」申し入れにもかかわらず、海上自衛隊の護衛艦「みくま」「さわぎり」が金沢港と七尾港に入港し、中学生から32歳までの若者を対象としたリクルート活動も強行されました。

先の参院選で自民党は国民の信頼を失い、少数与党に転落しました。しかし、自公政権は、他の野党を取り込んで「大政翼賛」のような危険な政権づくりに進もうとしています。

戦後80年のいま、私たちは、戦争の危機が迫りくるなか、世界を戦場にしないためにがんばらなければなりません。そして、子どもたちを放射能禍にあわせないため、能登半島地震で危機一髪だった志賀原発を再稼働させてはなりません。

以上を訴えて総会アピールとします。

2025年9月25日 総会参加者一同

 

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第27回参議院議員選挙の結果を受けて

第27回参議院議員選挙の結果を受けて

7月20日に投開票を迎えた第27回参議院議員選挙は、自民党が13議席の減、公明党は6議席を減らし、与党の獲得議席数は47議席にとどまり、参議院の過半数を下回る結果となりました。

一方の野党は、立憲民主党が改選前の22議席と同議席数を獲得し、非改選議席数と合わせて38議席として野党第一党を維持しました。日本維新の会は2議席増、国民民主党は13議席増の17議席を獲得して非改選議席数と合わせて22議席として野党第二党となりました。

今選挙戦で「日本人ファースト」を重点政策に掲げた参政党は、14議席を獲得して非改選議席数と合わせて15議席と躍進しました。今選挙戦の「台風の目」とまで言われた参政党は、反グローバリズムや積極財政、選択的夫婦別姓やLGBTQの権利拡大反対など保守色の強い政策を前面に打ち出し、急進的な保守政党として徐々に存在感を示しながら、短い動画のインプレッション増加により、急速に知名度を高めていきました。

私たちが日常的に利用するSNSプラットフォームでのネット工作の規模と巧妙さは、これまでの常識をはるかに超え、より大きな影響を持つようになっていることを直視せざるを得ません。そこには一方的で誤った情報も多く存在します。デジタル技術やAI機能の進歩といった新しいネット環境を介した情報流通において、私たちはかつてないほどの利便性を手に入れた一方で、偽誤情報による弊害も加速度的に悪化しています。今やSNSなどが「怒り」や「憤り」など他者への攻撃性を増幅させる機能を有することに十分な警戒を要します。

自分と同じような意見を持つ人ばかりをフォローすることで、同じ意見が反響と増幅・強化を繰り返すエコーチェンバー現象がつくられます。「日本人ファースト」を掲げ、外国人が優遇されているという参政党の主張は、閉塞感に覆われた日本社会における市民の不安や不満の受け皿として、有力な選択肢となりました。こうした参政党の主張が、情報操作の海の中で何らかの意図により誘導されたものであるとすれば、私たちは一層の警戒を要するでしょう。また、こうした世論に対する介入・工作の手法が、改憲発議に向けて転用される可能性は高まっているとみるべきです。

参政党の排外主義の主張が一定受け入れられている情勢を受けた既成政党までが、外国人による不動産所有制限や社会保障制度の受給制限を公約に掲げ、支持を拡大しようとしました。社会保障制度や奨学金制度などで外国人が優遇されているという主張は事実無根です。外国人による日本の不動産取得が進むのは、円が弱くなったからに他ならず、「失われた30年」の経済政策の失敗の帰結です。「日本人ファースト」などのヘイトスピーチは、自公政権による失政を覆い隠すばかりか、外国人や外国ルーツの人々を苦しめ、誤った差別や憎悪の連鎖は、異なる国籍・民族間の対立から戦争への地ならしにつながる極めて危険なものです。

参政党の躍進は、極右の台頭という世界的な流れが日本にも漂着した感があります。既成政党離れで自民党などに投票していた保守層に加え、一定の無党派層まで、「政治はロックだ」などのスローガンの耳あたりの良さに加え、この間煽動されてきた外国人への差別・排撃する社会的風潮を巧みに取り込むことでつくりだされたものと思われます。

参政党の主張は歴史的事実や科学的知見に基づかないものばかりです。自民党の西田昌司参院議員が5月3日に那覇市内で開かれた憲法シンポジウムで、ひめゆりの塔の説明書きを「歴史の書き換え」などと発言した問題を巡り、参政党の神谷代表は、「本質的に彼が言っていることは間違っていない」、「何で本土の人間とか、日本の人たちが全国から行って沖縄を守ろうとしたのに、それを悪く言うような表記があるんですか」と述べ、戦後の歴史観がGHQの政策によって形成されたとの持論を展開して西田議員に同調しました。

基本的人権への無理解・敵対は5月に発表された「新日本憲法(構想案)」をみれば明らかです。また、選挙のさなかに飛び出した「核武装が最も安上がり」という発言は、戦争被爆国の政治家として到底許されない見識を内在化していることを示しています。

参議院においても過半数を失った自公政権は、当面、トランプ関税をめぐる交渉などを理由に、延命を図ろうとするでしょうが、私たち市民から選挙によって事実上の不信任を突き付けられたことを真摯に受け止めるべきです。自民党内において石破総裁下ろしの動きや、国会運営を乗り切るために野党の協力を得ようと、合従連衡の駆け引きも活発になるでしょう。

私たち平和フォーラムは、排外主義の扇動が参議院選挙戦で展開されていることに危機感をもち、7つの市民団体とともに「参議院選挙にあたり排外主義の扇動に反対するNGO緊急共同声明」を発出し、7月8日には記者会見を開きました。平和フォーラムを含む8団体の呼びかけにより7月13日時点で1035団体が声明への賛同を示していただいたことに大きな勇気を得ます。

平和フォーラムは、2025年第27回参議院議員選挙の結果を受け、「誰ひとり取り残さない」、「軍拡よりも安心で平和な市民生活」、「国籍や性別、信仰などで差別されない」そうした社会の実現に向けて、引き続き加盟団体のいっそうの結集と思いを共にする市民との連携を礎に、運動の先頭で精一杯奮闘することを表明します。

2025年7月22日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 染 裕之
共同代表 丹野 久

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