2013.2.5陸自第14普通科連隊が、反対を押し切って「行軍訓練」

2012年弘前市内を、戦車を先頭に行進する陸上自衛隊

このように「軍靴」の音を轟かせてはいけません。

2013.2.5  犀川河畔を行軍する陸自

2013年1月29日

 陸上自衛隊金沢駐屯地司令

第14普通科連隊長

松永康則   様

 石川県平和運動センタ-代表代行   細野 祐治

社会民主党石川県連合 代  表   盛本 芳久

石川県勤労者協議会連合会会  長   藤田 利男

金沢地区平和運動センタ-議  長   谷  光哉

 金沢市勤労者協議会連合会会  長   細川  武

市街地徒歩行進訓練の中止を求める申し入れ書 

 陸上自衛隊第14普通科連隊は、2月5日午前5時より午後7時までの間、津幡町・森林公園内からかほく市、内灘町、そして金沢市内を通行し金沢駐屯地までの市街地における徒歩行進訓練の実施を各自治体に通知しました。

こうした市街地徒歩行進訓練は、2007年9月19日から20日の2日間にわたって実施した経緯があり、当時も中止の申し入れを行いました。当時は、各自治体からも武器の携行をしないことや、住宅街を行進しないことが求められ、行軍訓練の中止、徒歩行進ル-トの変更がなされました。

今回通知された訓練実施計画によれば目的が「徒歩行進能力の向上を図ること」となっており、車両10台と85人の隊員が武器・無線機等を携行し、迷彩服を着用して実施することとなっています。そして、徒歩行進訓練ル-トには、工場や家屋、商店街が立ち並び、保育園や学校、公園、病院、老人施設などもある人口密集地が含まれています。

このような地域住民にとって平穏な日常生活の場に、自衛隊員が迷彩服を着用して、武器を携行し、徒歩行進の名の軍事訓練を行うことは、住民に恐怖と戸惑い、不安感を与えるものであり、普通の市民感覚では到底考えられない常道を逸した計画です。まさに憲法で保障された平和的生存権を侵害するものと言わざるをえません。

こうした軍事訓練が白昼堂々と住民の眼前で行われることは、平時から地域社会に有事を想定した軍事思想をふりまき、軍事優先体制に住民を巻き込むものに他なりません。

私たちは、今回の市街地徒歩行進訓練が、自衛隊を「国防軍」とするなどの実質的な憲法改悪の動きが強まるもとで進められていることを、強く危惧し、日本国憲法の空洞化をさらに加速させる暴挙として到底看過することができません。よって、今回の徒歩行進訓練の中止と同時に、今後、このような訓練を一切行わないよう求めます。以上

 

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原発ゼロは「選択」ではなく「不可避」 日経オンライン(2012.10)

使用済み核燃料プールは6年で満杯に

原発推進派が唱える「原発ゼロ」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120203/226826/?rt=nocnt

原子力のバックエンド問題の専門家の立場から見るならば、「原発ゼロ社会」というのは、現状では、目指すか目指さないかという「政策的な選択」の問題ではなく、避けがたく到来してしまう「不可避の現実」だ、と主張している、原子力ムラの方が語っています。

「いつまでに原発をゼロにするか」という議論も、「代替エネルギーが急速に普及すれば、原発を早くゼロにできる」や「いや、代替エネルギーは期待ほどには伸びない」といった視点で議論されていますが、実は、代替エネルギーの普及度に関係なく、原発がゼロになる時期は、原子力のバックエンド問題そのものによって決まってしまうのです。
このことは、「脱原発」か「原発推進」かに関わらず動かすことのできない「冷厳な事実」なのです。

私自身は、原子力のバックエンド問題の専門家の立場から「原発推進」に20年間携わってきた人間ですが、その専門家として私が提言すべきことは、どの政権に対しても変わりません。

田坂 広志(たさか・ひろし)多摩大学大学院教授。
1974年東京大学工学部原子力工学科卒業、81年同大学院修了。工学博士。81年から90年にかけ、民間企業において青森県六ヶ所村の核燃料サイクル施設の安全審査プロジェクトに従事し、米国のパシフィックノースウエスト国立研究所で使用済み燃料の最終処分プロジェクトに参画する。2011年3月11日の福島原発事故に伴い、内閣官房参与に任命され、原発事故への対策、原子力行政の改革、原子力政策の転換に取り組む。著書多数。近著に『官邸から見た原発事故の真実』『田坂教授、教えてください。これから原発は、どうなるのですか』

使用済み核燃料プールは6年で満杯に

○それは、何でしょうか?:「原発の安全性向上」の政策でしょうか?

田坂:いや、そうではありません。「原発の安全性向上」の政策は、もとより重要ですが、それだけでは、原子力エネルギーの「最も本質的な問題」は解決できないからです。それは、「核廃棄物の最終処分」の政策です。
「核廃棄物」(Nuclear Waste)とは、「使用済み核燃料」(Spent Nuclear Fuel)と「高レベル放射性廃棄物」(High-Level Radioactive Waste)の総称であり、「使用済み核燃料」を再処理して、ウランとプルトニウムを取り出すと、後に残るのが、極めて危険性の高い「高レベル放射性廃棄物」です。
安倍新政権は、この「核廃棄物の最終処分」の問題と、その前段の「使用済み燃料の長期貯蔵」の問題に、直ちに着手すべきでしょう。それが第一の政策です。
なぜなら、この二つの問題に明確な「解決への道筋」を示さないかぎり、たとえ「原発の安全性向上」を徹底的に行い、「絶対に事故を起こさない原発」を開発したとしても、原発は、早晩、止めなければならなくなるからです。
その理由は、昔から指摘されていることですが、「核廃棄物の最終処分」の方策を見出さないかぎり、原発は「ゴミの捨て場が無い」というだけの理由で、いずれ、止めざるを得なくなるからです。
実際、全国の原発サイトの「使用済み核燃料貯蔵プール」は、もし原発を順調に再稼働できても、平均6年で満杯になる状況にあり、青森県六ヶ所村の再処理工場の核燃料貯蔵プールも、すでに満杯近くなっています。

○ しかし、使用済み核燃料は、従来の我が国の計画では、六ヶ所村の「再処理工場」で再処理し、その結果発生する高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、30年から50年の中間貯蔵を経て、地下300メートル以深の安定な岩盤中に埋設する「地層処分」を行うという計画ではないでしょうか?

田坂:その通りです。しかし、その「再処理工場」の操業は、相次ぐトラブルでまだ目途が立っておらず、「地層処分」についても、過去20年間、処分場の建設候補地を探しても、まだ候補地さえ見つかっていないのが現実です。
それが、いま、全国の原発と六ヶ所村再処理工場の「使用済み核燃料貯蔵プール」が満杯になっている理由ですが、この閉塞状況に、昨年9月、さらに大きな壁が立ちはだかったのです。

○ 何でしょうか?

田坂:昨年9月11日、日本学術会議が内閣府原子力委員会に対して、「地層処分の10万年の安全は、現在の科学では証明できないため、我が国において、地層処分は実施すべきではない」と明確に提言したからです。
我が国の学界の最高権威である日本学術会議が、政府に対して正式にこの提言をしたことの意味は、極めて重い。
なぜなら、安倍新政権が、もし、従来通りの政策に従って「地層処分」を進めるとすれば、この学術会議の提言に対して、「10万年の安全」を説明する責任を負うことになったからです。

実現困難な「地層処分」より「長期貯蔵(暫定保管)」の政策を

○ 田坂教授は、この「核廃棄物の最終処分」の専門家ですね?

田坂:そうです。私は、40年前に、原子力エネルギーを推進するためには、この「核廃棄物の安全な最終処分」を実現しなければならないと考え、その研究に取り組んだ人間です。そして、学位を得た後は、米国の使用済み核燃料地層処分計画である「ユッカマウンテン・プロジェクト」にも参画しました。また、我が国で唯一操業している六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物最終処分施設の設計と安全審査にも携わりました。

すなわち、私は、原発推進の立場から、この「核廃棄物の最終処分」の方策を20年にわたって研究してきた専門家ですが、その専門の立場からみても、残念ながら、日本学術会議の指摘は的を射ていると言わざるを得ないのです。

○ では、現状では我が国で「地層処分」ができないとすれば、どうすればよいのでしょうか?

田坂:当面、実現の見込みのない「地層処分」の政策を凍結し、直ちに、「長期貯蔵」の政策に切り替えるべきでしょう。これが第二の政策です。すなわち、(1)地層処分の10万年の安全性が証明できるようになるか、(2)地層処分以外の最終処分方法が開発されるまで、数十年から数百年の長期間、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物を貯蔵するという政策です。この政策については、学術会議も同様の提言をしています。ただし、学術会議の提言では、この「長期貯蔵」を「暫定保管」と呼んでいますが。

○ その数十年から数百年間の「安全な長期貯蔵」は、技術的に可能なのでしょうか?

田坂:使用済み核燃料について言えば、現在の原発サイトでの「水冷プール貯蔵方式」を「乾式キャスク貯蔵方式」に切り替えるならば、十分に可能でしょう。堅牢なキャスクを用いることによって、仮に貯蔵施設に航空機落下事故があっても、安全性は保たれるでしょう。逆に言えば、「水冷プール貯蔵方式」は、こうした事故対策という意味でも、「長期貯蔵」には向いていません。

○ 「地層処分」の政策を、「長期貯蔵」の政策に切り替えることのメリットは何でしょうか?

田坂:日本学術会議が「現状では実施すべきではない」と提言している「地層処分」を中心に据えた原発政策や核燃料

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いまも、毎時1000万ベクレルを放出(2012.12)

東京電力の発表では、

福島第一原子力発電所1~3号機原子炉建屋からの、現時点(平成24年12月25日公表時点)での放出量の最大値は1時間当たり約0.1億Bq(ベクレル)と推定しました。(=1000万ベクレル)

これは、事故時に比べて約8,000万分の1の値です。

●この放出量が1年間続くと仮定した場合の敷地境界の年間被ばく線量を、最大で約0.03mSv(ミリシーベル ト)/年と評価しました。(これまでに既に放出された放射性物質の影響は除きます。)なお、法令で定める一般公衆の線量限度は1mSv(ミリシーベル ト)/年となっています。

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2013.1.7 「新春の集い」に152名

2013「新春の集い」は、1月7日(月)夜、スカイホテル18階で開催されました。

「ロイヤル・パレス・アンサンブル」によるジャズが演奏されるなか、谷本石川県知事や狩山連合石川会長をはじめ、来賓や単産・単組の役員、組合員、そして、地域平和センターや地域勤労協のみなさんが、晴れやかななかにも決意あふれる笑顔で入場されました。

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12.8もんじゅ廃炉に!全国集会に800名(実数)

石川県からは、バス、直接を合わせて約60名が参加。

資料を使った車内学習と感想会、映画「東京原発」鑑賞など実施しました。

活断層の上に立つ「もんじゅ」。動いていなくても、金属ナトリュウムを約500度に温め続けなければ「固まって」しまう。だから、膨大な電気料金=維持費がかかり、人件費など全部を含めると一日約4800万円。年間200億円の金食い虫なのです。

猛毒のプルトニュウムを内包しているなどなど、軽水炉の比ではない超危険な「もんじゅ」を廃炉にしましょう。

 

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もんじゅを廃炉に! 全国集会

暴風雨の中、おまけに最低気温が1度という中、「もんじゅを廃炉に!」の決意のもと石川県の労働者、市民はバスで7時45分、金沢市を出発して一路、敦賀市白木海岸へ向かいました。

総勢、60名ほど(直接組もいたため)の闘争参加となりました。

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原子力規制委員会の本性、またまた、露呈!

2011.3.11という前代未聞の大事故を起こしておきながら、原子力ムラの一員である田中俊一委員長は、「世界一厳しい安全基準を作る」と言った舌の根も乾かぬ内に、2013.7には原発を「どしどし」再稼働することを宣言した。「規制委員会」ならぬ「原発推進委員会」である。

以下の新聞を参照してください。

 

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2013年「新春の集い」ご案内

日時:2013年1月7日(月)18:00 場所:スカイホテル18階

参加費:5,000円主催:県平和運動センター・県勤労者協議会連合会

こぞってご参加ください。

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11.18 B判定で1人、新たにC判定で1人。18歳以下約36万人の甲状腺検査で。

甲状腺がんの疑い 福島県直ちに2次検査、初めて1人判定

東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べるため、福島県が18歳以下の約36万人を対象に行っている甲状腺検査の1次検査で、がんの疑いがあり「直ちに2次検査が必要」と初めて判定された子どもが1人いることが17日、関係者への取材で分かった。
18日に開かれる「県民健康管理調査」検討委員会で報告される。
調査を進めている福島県立医大は「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんの発見に最短で4年かかった」として、放射線との因果関係は低いとみているが、血液や細胞を調べ、がんかどうか判断する。
1次検査による判定は、しこりの大きさなどを基に、軽い方から「A」「B」「C」があり、今回の1人は「C判定」。
9月の検討委では、緊急性は低いが念のため2次検査が必要という「B判定」だった1人が、甲状腺がんと判明したと報告された。だが、がんの状態から「震災以前に発症していた疑いがある」として、原発事故の放射線との因果関係を否定している。
県立医大は「県内全ての子どもの検査という前例のない調査なので、早期発見の子は少なからず出る。放射線との関係を丁寧に調べていく」としている。

2012年11月18日日曜日 河北新報

甲状腺検査は18歳以下の約36万人が対象で、1次検査の結果が判明したのは約9万6千人。しこりの大きさなどを基準に、軽い方から「A」「B」「C」に分かれる判定のうち、今回の「直ちに2次検査」は「C」。緊急性は低いが念のため2次検査が必要という「B」が500人。残りの9万5千人以上は、しこりがないか、小さい「A」だった。  共同通信

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被曝のリスクは、低線量でもしきい値なしの直線形を示す

国の原子力防災のベースにあるICRP(国際放射線防護委員)の基準は、住民を被ばくから守ること を追求するものではなく、社会の混乱をふせぐことと許容可能な被ばくのバランスをとったものである。このことから、被曝問題はICRPの説を採用することはできない。

放射線被曝のリスクは、低線量でもしきい値なしの線形を示し、どんなに小さい線量でもリスクを少しは増やす。具体的には、例えば、100 ミリシーベルト(職業上の被曝の5年間での線量限度とされている値)の被曝でも約1 パーセントの人が放射線によるがん(固形がんや白血病)になる、つまり、他の原因でがんになる人(100人中42人と推定)に加えて、さらに100人に1 人が放射線被曝が原因でがんになる、という。

放射線は低線量なら安全なのか?

昨年(2005 年)6 月末に米国科学アカデミーが低線量放射線被曝による発がんなどのリスクについて、「放射線被曝には、これ以下なら安全」と言える量はないと発表し1、日本のいくつかの新聞紙上などでも報道された。それは、後述するように、BEIR 委員会の報告書(BEIR VII)2 がまとめられたことによる発表であり、国際がん研究機関のE・カーディス(BEIR 委員でもある)らによる15 カ国の原子力施設労働者を対象とした調査の研究結果も同時期にBMJ(イギリス医学雑誌)に発表されたこと3とあわせて注目を浴びることになった。

市民科学研究室・低線量被曝プロジェクトは、2004 年にECRR(欧州放射線リスク委員会)の報告書(2003 年勧告)を読み解くことから始めて、2005年1月には第167回土曜講座「低線量放射線被曝のリスクを見直す」を行った4。その後、上記のような報道に接して、BEIR VII 報告の要旨の部分を翻訳しながらその検討を進めてきた。

低線量の放射線被曝のリスクをどう捉えるかが、なぜ注目すべき問題なのか? 放射線を被曝することによる人体への影響としては、19世紀末から20世紀初めにかけての放射線利用の初期における過剰照射の例や、言うまでもなく原爆の被爆や1999 年の東海村臨界事故のような原子力施設の重大事故を想起すれば、高線量被曝による急性障害の甚大さは推し量れるだろう。では、低線量被曝による晩発性の障害はどうなのか? とくに近年、低線量被曝のリスクが懸念される場面がきわめて多くある。いくつか例を挙げてみると、CTスキャンの使用の増加などの医療被曝、原子力発電所などの施設で作業に従事する労働者などの職業被曝、廃炉の時代を迎え一層深刻になっている放射性廃棄物 の処分(昨年、いわゆるスソ切りが法的に認められた)、さらには今年20 年を迎えたチェルノブイリ原発事故による影響や最近運転(アクティブ試験)を開始した六ヶ所再処理工場から放出される放射能の影響など、多くの関連することがらが低線量放射線被曝と関連し、その健康影響はどうなのかが懸念されている。(もっとも、核/ 原子力の開発・利用の問題点は、放射線被曝による直接的な健康影響だけではないことは言うまでもないだろう。かりにがんなどの影響が出ないとしても、はっきりしにくい身体的・精神的影響も考慮する必要があるだろうし、生活環境や広く社会のあり方などにも関わることであるのだが、上記のような場面においては、低線量放射線被曝の影響がどうなのかが重要な争点となっているということである。)

これまで低線量の放射線の影響については、大きく分けると、1 ある量以下なら安全である、つまり「しきい値」があるという説、2 低線量域においても高線量域の場合に比例して影響があるとするLNT(直線しきい値なし)説、3低線量であれば、被曝すると生命活動が活性化されるというホルミシス効果があり、かえって健康によいという説、4 逆に、ECRR などのように、これまで低線量被曝の影響は過小評価されてきたとして、外部被曝だけでなく体内に取り込まれた放射性物質による内部被曝をも考慮に入れると、低線量においてはより影響が大きくなることがある、という見方があった。そうしたなか、新たに提出されたBEIR VII 報告では、低線量被曝をどう捉えているのだろうか。

● BEIR VII 報告の概要とその特徴

報告書の構成は、冒頭に「一般向け概要」と「行政向け概要」が置かれている。続いて、本論は全13章からなり、補論、参考文献、用語解説、索引なども付されている。本論の章立
ては、以下のとおり。

1. 背景となる基本的情報
2. 電離放射線に対する分子・細胞応答
3. 放射線誘発がん──メカニズム、定量的な実験研究、遺伝的要因の役割
4. 人間集団に対する放射線の遺伝的影響
5. 疫学的方法の背景    6. 原爆被爆者の研究
7. 医療放射線被曝の研究  8. 職業放射線被曝の研究
9. 環境放射線被曝の研究  10. 生物学と疫学の統合
11. リスク評価のモデルと方法
12. がんリスクの推定
13. まとめと今後の研究の必要性

BEIR VII では、低線量(100 ミリシーベルト以下)の低LET 放射線(X 線やガンマ線)の被曝による健康影響に着目し、がんや遺伝性の疾患、さらには心疾患のような他の影響までを対象としている。主なデータとして、長年続けられている広島・長崎の被爆者調査、すでに触れた15カ国の原子力施設の労働者調査、医療被曝や環境放射線被曝の調査などの疫学研究を包括的にレビューし、さらに適応応答、放射線感受性、バイスタンダー効果、ホルミシス効果、ゲノム不安定性などについての生物学的研究をふまえている。1990年のBEIR V以降の新しい疫学的知見と細胞レベルの生物学的研究とを総合して、低線量放射線のリスクをモデル化した。

その結論として、放射線被曝のリスクは、低線量でもしきい値なしの線形を示し、どんなに小さい線量でもリスクを少しは増やす、とLNTリスクモデルを支持した。具体的には、例えば、100 ミリシーベルト(職業上の被曝の5年間での線量限度とされている値)の被曝でも約1 パーセントの人が放射線によるがん(固形がんや白血病)になる、つまり、他の原因でがんになる人(100人中42人と推定)に加えて、さらに100人に1 人が放射線被曝が原因でがんになる、という。

このBEIR VII 委員会のメンバーは、委員長はじめ疫学者を多く含んでいて、アメリカの研究者を中心としつつも、ヨーロッパ諸国の研究者も複数含まれている、という特徴がある。そのことが多くの疫学的知見の重視につながっているのではないかと思われる。

● BEIR 委員会とは?

BEIR委員会とは、「電離放射線の生物学的影響」に関する委員会のことで、米国科学アカデミー(NAS)/米国研究評議会(NRC)の下に置かれている放射線影響研究評議会(BRER)内の1つの委員会である。もともとは、1954年のビキニ事件をきっかけに、アメリカ国内の放射線防護基準の策定に資するために設けられたBEAR(原子放射線 の生物学的影響)委員会が前身で、1970 年に名称変更されBEIR 委員会となっている。BEIR 報告は、アメリカ国内にとどまらず、国際的な放射線防護基準の基礎とされるICRP(国際放射線防護委員会)の勧告やUNSCEAR(国連・原子放射線の 影響に関する科学委員会)の報告にも大きな影響をこれまで与えてきた。近く提出されることになっているICRP の新勧告や、さらには日本国内の放射線防護指針に、どのように反映されるのか、注目される。

また、BEIR 委員会というのは、そもそも原爆を開発・使用し、その後も核開発の先頭をきってきたアメリカという国が創ったものであるということをどう考えればよいの か、BEIR 報告の科学的内容だけでなく、その歴史的・社会的意味を含めて検討する必要があるだろう5。

● BEIR VII 報告はどう捉えられるか?

これまで、ICRP1990 年勧告などは、はっきりと影響がわからない低線量域でも放射線防護の観点から、より安全を考慮してLNT 仮説を採用する、としていた。それに対して、BEIR VII 報告は、細胞レベルの実験や動物実験による生物学的基礎研究と人間集団の疫学データをあわせて考慮したうえで、LNT仮説は低線量域でも科学的に正しいと結論づけた。その反響を把握するには、まだ時間が必要であろうが、ここではいくつか紹介しておこう。

BEIR VII 報告の公表とほぼ同時期に、フランスの医学アカデミーと科学アカデミーが合同でまとめた報告書「低線量電離放射線による発がん効果の評価と線量効果関係」 が発表された(ウェブサイト上では英語版が2005 年3月、フランス語版は4月、出版は7 月)6 が、そこでは、低線量域(100 ミリシーベルト以下)でLNT 仮説を適用することは過大評価になる、とその妥当性に疑問を呈し、しきい値の存在を示唆した。

その他にも、科学者の立場から、丹羽太貫・京都大学放射線生物研究センター教授などは、現状ではLNT 仮説を明確に否定する材料も出ていないが、科学的に証明されたとも言えない段階にある、とする。

たしかに、これで決着がついたわけではない。BEIR VII報告でも、今後の研究の必要性として12 の項目を挙げている。科学的観点から、放射線による発がんのメカニズムが十分に解明されたわけではないし、データの制約など疫学的手法の限界も指摘されて いる。ただし、疫学については、メカニズムの解明こそが科学的であるとされ、これまでの公害事件などにおいて疫学の意義がよく理解されてこなかったがゆえ に被害が拡大した歴史がある、という指摘に注意を払っておきたい8。また、前述したECRR の勧告も科学的には十分な手続きを経て結論づけられたものと認められているわけではないが、世界中に起こった被害という現実から考えようとし、BEIR VII 報告では考慮に入れられなかった内部被曝の問題を重視したその議論も参照されるべきだろう。

低線量被曝プロジェクトでは、今後、広島・長崎で被爆者調査を続けている放影研(放射線影響研究所)の疫学調査について、その歴史も含めて検討していく 予定である。また、先日、ICRP が新勧告の草稿の新しいヴァージョンを公表し、パブリック・コメントにかけているところで、そうした動向も引き続きフォローしていきたい。今回訳出した BEIR VII 報告の要旨を市民科学研究室のウェブサイト上(http://www.csij.org/)に掲載しているので、放射線被曝の問題についての今後の議論の 参考にしていただければ幸いである。

 

 

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