アピール・声明

 
安倍晋三首相(左)に要望書を手渡す被爆者5団体の代表者=長崎市内のホテルで2017年8月9日午後0時23分、矢頭智剛撮影
 

被爆者団体、安倍首相の「核兵器禁止条約」に批准しないこと

に対し

 長崎への原爆投下から72年の「原爆の日」を迎えた9日、長崎市の平和公園で平和祈念式典が開かれた。平和祈念式典後に長崎市内で安倍晋三首相と面談した被爆者団体代表は、核兵器禁止条約に日本政府が批准しない方針を示していることに強く憤った。

 「あなたはどこの国の総理ですか」。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長を務める川野浩一さん(77)は被爆者団体からの要望書を安倍首相に手渡した際に迫った。「ヒバクシャの願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。私たちをあなたは見捨てるのですか」

 面談は式典後に首相らが被爆者団体から援護策などの要望を聞く場として設けられている。通常は冒頭で静かに要望書を手渡すが、川野さんは「子や孫に悲惨な体験をさせてはならないというナガサキの72年間の訴えが裏切られたという思いがあった」と異例の行動に出た理由を話す。川野さんは安倍首相に「今こそ日本が世界の先頭に立つべきだ」とも訴えたが、明確な返答はなかった。

 式典に参列した被爆者も、あいさつで条約に言及しない首相への失望を口にした。8歳の時に爆心地から約2・8キロで被爆した嶺川洸(たけし)さん(80)は「核兵器禁止条約が採択され、今が一番大事な時だ。わざわざ東京から来てあいさつするのに、なぜ被爆者に寄り添った言葉を語らないのか」と語った。【樋口岳大、加藤小夜】

 

存立危機事態として「集団的自衛権で北ミサイルを迎撃」可能と認識 (小野寺防衛相)

 

  【北京=城内康伸】北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍の金洛兼(キムラクキョム)司令官は九日、米領グアム島周辺に向け、中距離弾道ミサイル「火星12」を同時に四発発射する計画を慎重に検討している、と明らかにした。ミサイルは「日本の島根、広島、高知の各県上空を通過することになる」と述べた。朝鮮中央通信が十日に伝えた。小野寺五典防衛相は十日、北朝鮮が発射した場合には集団的自衛権を行使し、迎撃することは法律上、可能との認識を示した。

 北朝鮮は、具体的な作戦計画を明らかにすることで、圧力を強める米国や日本を強くけん制した形だ。日本列島上空を通過する計画が遂行されれば、日本の安全保障が深刻に脅かされることになる。

金司令官は、ミサイル部隊を指揮する戦略軍が「八月中旬までに、グアム島包囲射撃計画を最終確定させて、核武力の総司令官である金正恩(キムジョンウン)同志(朝鮮労働党委員長)に報告、発射命令を待つ」と表明した。

発射する火星12は「射程三三五六・七キロを千六十五秒間(十七分四十五秒)飛行し、グアム島周辺三十~四十キロの海上水域に着弾する」と説明。グアムにある米軍基地を直接の攻撃対象にしておらず、「米国に厳重な警告信号を送るため」とした。

トランプ米大統領が八日に「見たこともない炎と怒りを受けることになる」と北朝鮮に警告したことについて、「情勢の方向を見極めることができずに、ぼけた考えを並べ立て、わが国の砲兵の神経を鋭く刺激している」と批判した。

北朝鮮の戦略軍報道官は八日付の声明で、今回のグアム周辺への弾道ミサイル発射準備を明らかにしていた。

(東京新聞)

 

2017年8月 8日