アピール・声明

日本ペンクラブ声明 「共謀罪に反対する」

共謀罪によってあなたの生活は監視され、共謀罪によってあなたがテロリストに仕立てられる。私たちは共謀罪の新設に反対します。

 
  私たち日本ペンクラブは、いま国会で審議が進む「共謀罪(「テロ等組織犯罪準備罪」)」の新設に強く反対する。過去の法案に対しても、全く不要であるばかりか、社会の基盤を壊すものとして私たちは反対してきたが、法案の本質が全く変わらない以上、その姿勢に微塵の違いもない。
 過去に3度国会に上程され、いずれも廃案となった法案同様、いま準備されている共謀罪は、事前に相談すると見なされただけでも処罰するとしている。これは、人の心の中に手を突っ込み、憲法で絶対的に保障されている「内心の自由(思想信条の自由)」を侵害するものに他ならない。結果として、表現の自由、集会・結社の自由など自分の意思を表明する、あるいは表明しない自由が根本から奪われてしまう。
  しかも、現行法で、十分なテロ対策が可能であるにもかかわらず、共謀罪を新設しなければ東京オリンピックを開催できないというのは、オリンピックを人質にとった詭弁であり、オリンピックの政治的利用である。
  このような法案を強引に成立させようとする政府の姿勢を許すわけにはいかない。
 法案の成立を断固阻止すべきである。
 
  2017年2月15日
                  一般社団法人日本ペンクラブ      会長      浅田次郎
                                   言論表現委員長 山田健太

2017.6.7 共謀罪のストライキ計画に対する適用 イギリス  20170607191417

 

 

2017年4月3日

「教育勅語」容認の閣議決定に対する平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 藤本泰成

3月31日、安倍内閣は民進党初鹿明博衆議院議員の質問趣意書に答える形で、教育勅語は「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との閣議決定を行った。教育勅語は、1948年に、日本国憲法や教育基本法に反するとして、軍人勅諭とともに衆議院で排除に関する決議・参議院で失効確認に関する決議が行われている。今回の閣議決定は、衆・参両院の決議との整合性がとれず、憲法違反の決定であることは明らかだ。

「朕惟フニ」で始まり「朕カ忠良ノ臣民タル」と呼びかけ「朕爾臣民ト俱ニ拳々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ」で終わる教育勅語は、主権在君の明治憲法下のものであり、主権在民の日本国憲法の理念とは相容れない。また、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」との文言が、国家への忠誠を強要し、徴兵制の下で戦争遂行の基となった。排除・失効の決議が軍人勅諭と一緒に行われたことの意味を考えるべきだ。

「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ」との部分をさして「教育勅語の内容は現在でも通用する」との主張が聞かれる。根幹に流れる考えは、長幼の序を基本とした儒教的精神であり強固な家父長制度と長子相続制、男尊女卑にあることは間違いない。明治の時代性を現代に当てはめることの愚を犯してはならない。日本国憲法は、明治憲法下における侵略戦争の時代の反省に基づき「平和主義」「民主主義」「基本的人権の尊重」を基本に、主権在民、男女平等、個人主義に立脚している。何処をとっても教育勅語が憲法に反しない教材になり得る要素は存在しない。今回の閣議決定は、「ポスト・トゥルースの政治」そのものであり、日本政治における「知性の崩壊」と言わざるを得ない。

教育勅語を唱和し、軍歌を歌い、「安倍首相ガンバレ」を宣誓する塚本幼稚園の映像は奇異である。安倍首相は、当初国会答弁で「いわば私の考え方に非常に共鳴している方」「妻(ママ)から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と、塚本幼稚園の教育へ賛辞を送った。稲田朋美防衛大臣は、「道義国家をめざすとする教育勅語の精神は、取り戻すべき」と国会で述べた。日本会議とともに戦前回帰の国家主義をめざす安部政権の本質が象徴的に表れている。

教育基本法容認の閣議決定に先立って、小学校及び中学校の指導要領が改定になった。小学校用の道徳の教科書では、「パン屋」が「和菓子屋」に変えられ、「公園の遊具」が「和楽器店」に変更された。2006年の第1次安倍内閣で成立した改正教育基本法に示された「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とする教育目標に沿った修正意見と思われるが、あまりにも偏見に満ちた浅薄な考え方でしかない。そもそも、伝統と文化を支える地域社会を壊してきたのは、戦後保守政権・自民党が進めてきた高度経済成長政策ではなかったか。古から諸外国の文化に学びながら、それを自らのものとして獲得してきた日本文化の本質を、安部政権はもっと真剣に学ばなくてはならない。

一方で、中学校の指導要領では「武道」に「銃剣道」が導入された。銃剣道はフランス軍隊から学んだ西洋銃剣術を基本に、日本の槍術などを組み入れて旧日本軍の戦闘訓練に取り入れられたものである。木銃を手に行う競技であり、その長さは旧陸軍の三八歩兵銃を基本にしている。自衛隊などでは訓練として導入され、競技人口の多くが自衛官でしめられている。地方の道場・クラブの多くが自衛隊駐屯地内に存在する。このような特異な競技を、中学生に教えることの意味が何処にあるのか。戦場における戦闘を想定する銃剣道の導入は、平和憲法の理念に反する違憲の教育と言わざるを得ない。

日本会議と結びついている安部政権の教育改革は、子どもたちを侵略戦争と植民地支配に明け暮れたアジア・太平洋戦争の時代、明治憲法下の天皇制の時代へと誘う。国家主義的な教育は、国家や「公」なるものに対する個人の犠牲を強要し、そのことを美化し、個人主義を否定してゆく。一方的・画一的な価値観を植え付け、多様な個性と多様な価値観を認めない社会は、衰退への歩みを進めるだろう。集団で一斉に教育勅語を唱和するような社会としてはならない。平和フォーラムは、安部政権の教育改革に抗し、平和と民主主義、基本的人権の尊重を基調とする戦後教育の更なる発展にとりくんでいく。

2017年3月27日

2018年度用教科書検定に関わる平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 川野浩一

福山信劫

藤本泰成

3月24日、文部科学省は2018年度から実施される「特別教科・道徳」の使用教科書および主に高校2・3年用教科書の検定結果を公表した。小・中学校で初めて正式の教科となる「道徳」は、小学校全学年で8社から24点(66冊)が合格し、2018年度から使用されることとなった。

検定では、誤記や事実誤認も含めて244の修正意見が付いたが、指導要領の細かな項目を反映しているかなど細部にわたるものが多く、「字面だけで判断している」との批判も聞こえる。パン屋を和菓子屋へ、公園を和楽器店へなどのように、教育基本法を意識した「わが国の郷土と文化」重視の視点が強調されている。また、文科省が使用してきた教材を全社が引用するなど「横並び感」が強まっている。道徳を教科とし評価することに、国家への忠誠を求め内心に踏み込んだ戦前の「修身」の復活と懸念されてきたが、多様性を否定する検定は、懸念をより深めることになっている。

同時に発表された、高校教科書の検定では、集団的自衛権の行使容認と安全保障関連法の記載に対して、行使の前提となる「存立危機事態」「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使」という「新3要件」の記載を求めている。また、2015年末の「慰安婦」問題の日韓合意や領土問題での政府見解の記載、南京事件の犠牲者数については「通説的見解がない」と記載するよう検定意見がついた。2014年1月の検定基準の改定に伴って「政府見解」に基づく記載が強く意識されている。

この教科書検定に先立つ2月14日、2020年度から順次実施される小・中学校分の「学習指導要領」が発表された。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の導入を柱として、知識や技能の獲得を中心とした現在のあり方から一歩進んで、自ら学ぶ姿勢を大切にする方針が打ち出された。個性重視の教育を中心に据えているが、しかし、今回の教科書検定のあり方は、多様な価値観を認めそれぞれの個性を重視し、自由で主体的であろうとする教育からはほど遠い。

世界の各地で紛争が絶えず、貧困と格差が蔓延し難民問題が各国を席巻する「不確実」で「不寛容」な世界にあって、多様な意見を認め合い、多面的に世界を捉え、主体的に物事を判断していく力は重要であり、そのことが現実の問題を解決し未来を切り拓くものであると考える。

今回の検定がつくり出した道徳の教科書は、型にはまった常識的な価値観を強要するものであり、高校の歴史教科書などは日本政府の一方的なものの見方をすり込むものとしか見えない。「いじめは悪い」と教えられ、「年寄りには席を譲る」と教えられて、人間は成長するだろうか。「尖閣諸島(釣魚群島)や竹島(独島)は日本の領土」と一方的に教えられて、中国や韓国などと一緒にアジアの未来を切り開けるのだろうか。一定の価値観や歴史観、規範意識を国が押しつけることの危険性を、私たちは歴史の中で学んできたはずではないか。国定教科書が廃され教科書検定制度に変更されたことの意味を考え、そこにもう一度立ち戻って教科書とは何か、教育とは何かを考えなくてはならない。

平和フォーラムは、教科書検定制度の弾力化・透明化を求め、主権者としての個人の自立を求める民主教育の確立に向けて、今後も粘り強くとりくんでいく。

 

 

2017年3月29日

大阪高裁の高浜原発運転差し止め仮処分取り消しの決定に抗議する

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

議長 川野浩一

2016年3月9日に、大津地裁(山本善彦裁判長)が出した関西電力高浜原発3・4号機の運転差し止めの仮処分決定に対して関西電力が運転再開を求めた保全抗告について、3月28日、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は、関西電力の訴えを全面的に認める決定を行った。

「基準値振動700ガル」「耐震補強工事」、解析によって確認したとする「耐震性」「津波は原発の重要施設に影響しない」など、関西電力の主張のほとんどを「相当の根拠に基づいている」として追認している。大津地裁が「福島第一原発事故の原因究明が不十分な中で作られた規制基準」として「基準を満たしただけでは不十分」とした国の定めた新規制基準についても、大阪高裁は「事故原因は一部未解明だが基本的なことは明らかであり、教訓を踏まえた新規制基準は合理的」との判断を下した。原発再稼働へ一点の曇りもないとする、新たな「安全神話」をつくり出そうとしている。原子力規制委員会は、新規制基準は「最低限の条件」であり、田中俊一委員長自ら、新規制基準を満たしても「安全とは言わない」と表明してきた。新規制基準を絶対視するような司法判断を許すことはできない。

大阪高裁は、様々な問題を抱え一旦過酷事故が起きれば混乱必至の避難計画さえ「いまだ改善の余地がある」としながらも、検討していることを理由に追認している。そして、避難計画を規制対象にしていないことも合理的と言い切っている。市民の「いのち」に対する視点は完全に欠如している。また、大阪高裁は、「新規制基準が不合理だとする立証責任は住民側にある」とした。これまで、国策として実施されてきた原子力政策は、その情報のほとんどを市民に知らせることなく、秘密主義を貫いてきた。未だに福島第一原発事故の原因究明が進まない理由の一つに、その秘密主義が上げられる。秘密裏に原発は運用され、その結果としての事故によって被害を受けるのは市民であり、事故収束や賠償の費用を賄うのも市民である。その市民に、立証責任を求めることこそ不合理ではないのか。

これまで原発の危険性が数多く指摘され、原発の運転や建設を止めようとする多くの訴訟が起こされてきた。そこには、自らの「いのち」を守ろうとする市民社会の思いがある。司法は、原発停止による電力不足など社会的・経済的影響に鑑みて、原発の停止や建設を止める判断を回避してきた。しかし、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故以降、全国全ての原発が停止しても電力不足は起こらず企業活動への影響もほとんど見られなかった。一方で放射性物質の拡散した地域における経済活動や市民生活、文化とコミュニティーに対する影響は計り知れないものがあった。6年を経て、帰還困難区域ではいまだ避難生活を強いられ、帰還が許されたとされる地域においても、いまだに元の生活に戻ることはできない。その中で「脱原発」の声は市民社会を圧倒する意見として定着しつつある。原発には、高レベル放射性廃棄物処分やプルトニウムを利用する核燃料サイクル計画など多くの問題が付随している。司法は、原発政策の全体を俯瞰し、日本社会の将来を展望し、そして真摯にフクシマと向き合って、市民の「いのち」を守るところから判断しなくてはならない。

大阪高裁判決は、司法の責任や立場・役割を省みることなく、国の政策や企業の営利活動を全面的に支持する全くの「不当判決」である。原水禁は、この決定を普遍なものとしないように、そして「脱原発社会」を実現するように、全力でとりくんでいくことを確認する。

 

 

「組織犯罪処罰法等一部改正案」の

閣議決定に関する連合事務局長談話

2017年03月21日
「組織犯罪処罰法等一部改正案」の閣議決定に関する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

    1. 安倍内閣は、本日、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の罪(テロ等準備罪)」を創設する組織犯罪処罰法一部改正案を閣議決定した。政府は、本法案について、過去3回廃案となった同法改正案に盛り込まれた「共謀罪」をテロ対策の必要性を強調した罪名に変更しながら、衆議院予算委員会などにおいて従来の共謀罪とはまったく別のものであるかのような説明を繰り返してきた。こうした政府の対応は、本法案への国民の疑念に真摯にこたえておらず、遺憾である。
    1. 本法案は、(1)テロ等準備罪の新設、(2)証人等買収罪の新設、(3)犯罪収益の前提犯罪の拡大や贈賄罪及び関係罰則の国外犯処罰規定の整備などを主な内容としており、その立法目的を、2000年11月に採択された「国際犯罪防止条約(TOC条約)」を批准するための国内法の整備としている。同条約では、凶悪化する越境組織犯罪を撲滅するため、重大な組織的犯罪への参加や合意、資金洗浄や贈収賄、司法妨害等の行為を犯罪化することを求めている。
    1. 連合は、過去廃案となった組織犯罪処罰法改正案に盛り込まれた「共謀罪」の創設について、(1)行為の団体性の明確化、(2)団体の犯罪的性格の明示、(3)行為の越境性の要件化、(4)顕示行為を必要とすること、(5)密告制度を導入しないこと、(6)対象犯罪を限定すること、の6項目にわたる修正を求めるとともに、TOC条約の趣旨と現行国内法との関係を整理することが国会審議の前提であるとしてきた。テロ対策の重要性が高まる中、国民生活の安全・安心の確保に向けた法整備は必要であり、また、TOC条約が目的とする越境組織犯罪の防止は積極的に推進すべきものであるが、本法案は前記の整理が不十分なまま提出されている。一般の企業や労働組合、団体などが処罰の対象となりうる懸念や、拡大解釈の恐れ、行きすぎた捜査手法による人権侵害が起こりうる可能性など、多くの不安が払拭されていない。
  1. 連合は、これまでの考え方を堅持しつつ、今後の国会審議において、労働組合や市民団体などの正当な活動が不当に監視や処罰の対象となることがないよう、民進党と密に連携し、すべての不安の払拭と十分かつ慎重な国会審議が行われるよう全力で取り組んでいく。

3.17「共謀罪」新設法案の国会提出断念

を求める共同声明

 

安倍内閣は、「共謀罪」を意味する「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正法案を閣議決定し、今通常国会に提出する方針と伝えられています。私たち戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体は、以下に述べるように、この法律改正は国民の基本的人権を著しく侵害する怖れがあり、違憲立法となることから、法案の閣議決定並びに国会提出を断念するよう強く求めるものです。

政府与党は、この間の議論の中で、罪名を「共謀罪」から「テロ等準備罪」に変更し、対象となる犯罪を当初の676から277に絞り込みました。そして、捜査、処罰の対象は、テロ集団や暴力団であって、一般市民を対象とすることはないと説明してきました。しかしながら、組織的犯罪集団とは、定まったものではなく、市民団体もその活動によっては、組織的犯罪集団と定義づけられるとされ、その判断は捜査当局の恣意に委ねられるものです。また、絞り込まれた277の犯罪には、組織的威力妨害罪、背任、所得税法、法人税に関わるものなど一般市民が犯し得る犯罪が含まれていることや、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法を加えていることなどから、沖縄をはじめ全国の米軍基地に反対する市民運動が処罰の対象となることが十分に想定されます。従って、「テロ等準備罪」が一般市民に及ばないとの保証はありません。

そもそも、政府与党が「共謀罪」新設の根拠にしてきた国連越境組織犯罪防止条約は、マフィアによる麻薬取引といった国際的に越境する経済犯罪を準備の段階から処罰できるための国際条約であり、条約加盟は、それぞれの国内法規範の枠内での法整備で可能です。これをもって、「共謀罪」の必要性やテロ対策の拠り所にすることはできません。さらには、日本の刑法には、既に72の例外的な陰謀罪、共謀罪、予備罪、準予備罪が制定されており、越境犯罪やテロ行為に対処できる法体系となっています。

したがって、「共謀罪」と同義の「テロ等準備罪」を新たに制定しなければならない立法事実は存在しません。

私たちは、「共謀罪」の新設が、近代刑法の基本的な考え方に則ってきた日本の刑法を根底から覆すものとなる問題を極めて重視しています。それは、国家権力が恣意的な処罰ができないよう、処罰の原則を犯罪の実行に置いてきたものを、社会に侵害を与えない相談・予備の段階から処罰できるようにすることです。これにより、あの治安維持法が猛威を振るった時代のように、市民生活の中に、盗聴や密告、内偵などが常態化し、正当な市民活動や思想信条の自由を破壊する暗黒社会が再現されることを深く憂慮します。いやしくも、日本国憲法において憲法擁護義務を負う政府が、自ら憲法規範を破壊する愚を再び犯してはなりません。

よって、私たちは、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害を許さない立場から、

「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正を断念させるために、県民と共に声を上げていくことを表明します。

2017年3月17日

戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体

石川県憲法を守る会、石川憲法会議、九条の会・石川ネット、石川県平和運動センター、石川県労働組合総連合、戦争をさせない1000人委員会・石川、戦争をさせない石川の会、青年法律家協会北陸支部

 

最高裁は、沖縄の民意に寄り添い口頭弁論を行なえ!(特別決議)

最高裁は地方自治の破壊を許さず、民意に寄り添う判決を!特別決議

沖縄・辺野古新基地建設をめぐって9月16日、福岡高裁那覇支部は県を全面敗訴とする判決を下しました。判決では、新基地建設の妥当性にまで踏み込み、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しを「日米間の信頼関係を破壊するもの」とまで言い切りました。また、先の参院選で、現職の沖縄担当大臣を落選させるなど、あらゆる選挙で基地建設反対の民意を示してきたことに対し、「反対する民意に沿わないとしても、基地負担軽減を求める民意に反するとは言えない」「普天間飛行場の被害を除去するには新施設を建設する以外にない」と述べ、国の主張に同調する内容となっています。司法権の独立に疑問を持たざるを得ません。

そもそもこの判決は、辺野古新基地建設をめぐって国と県の間で行なわれていた3つの訴訟が3月4日、一端和解したものであり、以降、辺野古での工事は中断され、解決に向けて両者は話し合いを行うこととなっていました。ところが国は、十分な協議もない中、翁長知事の「埋め立て承認の取消は違法だ」として、7月22日、「不作為の違法確認訴訟」を福岡高裁那覇支部に提訴したものです。

沖縄県はこの判決を不服として最高裁に上告しましたが、2016年度内に判決が予想されます。民主主義と地方自治を踏みにじる9.16判決は、沖縄だけの問題ではなく全国の地方公共団体などにも大きな禍根を残すものです。

私たちはこの間、辺野古新基地や高江ヘリパッド建設に反対し、普天間基地の返還と基地縮小・撤去の取り組み、日米地位協定の抜本的見直し、沖縄駐留の海兵隊の撤退などを、沖縄と連帯して取り組んできました。各構成組織はそれぞれで種々の取り組みを行ない、5.15平和行進や6.23集会にも参加してきました。辺野古や高江現地闘争には、議員や市民、組合員などが10回以上、20数名にもなる仲間が参加しています。いま、沖縄県民会議や平和フォーラムは、11.20、11.21最高裁前連続行動を取り組み、緊急の「福岡高裁那覇支部判決の破棄を求める統一署名」を取り組んでいます。12月10日には東京で大集会を開き、石川県でも様々な行動がその前後に予定され、来年3月の判決に向けて盛り上がりを作ろうとしています。

働く者の法律センターとして、護憲、人権、平和、環境などの運動を進める私たちは、安倍政治の暴走を止めるため、「最高裁は口頭弁論を行い、高裁判決の破棄を!」「最高裁は地方自治の破壊を許さず、民意に寄り添う判決を!」を求めていきます。その最先頭で闘っている沖縄の運動と連帯していくことを決意し、特別決議とします。

2016年12月8日

石川県社会法律センター第39回定期総会参加者一同

譲れない命の尊厳!人権・戦争・沖縄-憲法

理念の実現をめざす第53回大会アピール

2016年11月14日

   日本国憲法が公布されてから70年が経過します。侵略戦争と植民地支配に明け暮れ、アジア諸国に多大な被害を与えながら、自らも沖縄戦や広島・長崎への原子爆弾投下に象徴される惨禍を経験し、敗戦に至った日本が、その代償として得たものが、日本国憲法です。日本国憲法の平和主義は、アジア・太平洋戦争で失われた尊い命の集積であり、戦後のアジア諸国への日本の破ることのできない約束なのです。私たちは、そのことを決して忘れてはなりません。

日本国憲法は、敗戦の混乱と米軍の駐留下のなかで制定されたが故に、その制定過程についてさまざまな誹謗を投げかけられてきました。しかし、憲法調査委員会(松本烝治委員長)が、市民社会の前提となるべき個人の自由と民主主義に基づいた憲法草案を作成できなかったことの結果として①戦争の放棄、②象徴天皇制、③封建制度の廃止というマッカーサー指令に基づく連合軍極東司令部(GHQ)の案文が採用され、その後日本政府により加筆・修正のうえ、成人男女が参加する初めての完全普通選挙の下での議会で圧倒的多数で可決された事実、自由に物言えず権力に怯えて暮らした戦時から解放された当時の日本社会から圧倒的賛意をもって受け入れられた事実は、決して消すことはできません。

私たちは、この護憲大会を開催しながら、50年以上にわたり、憲法理念の実現をめざして運動を展開してきました。憲法の公布から70年を迎えたいま、その理念を実現できたでしょうか。貧困と格差の拡大、「戦争法」の成立、沖縄の民意を無視した基地建設の強行、福島第一原発事故の現状と世論を無視した原発の再稼働強行、故郷を奪われた福島の被災者など、今の日本社会において、平和と民主主義、基本的人権の尊重という憲法理念は、何一つとして十分に実現できていません。私たちはいまなお、憲法理念の実現をめざすとりくみの途上にあることを、いま一度確認しあいましょう。

安倍政権は、天皇を元首とし、戦争をすることを前提とし、個人の権利が「国益と公の秩序」によって制限され、個人にも憲法尊重義務を課すという、「憲法改正草案」なるものを振りかざし、憲法の改正を提起しようとしています。しかし、憲法の何をどうするか、何が不足していて何が間違っているのか、具体的な議論はありません。自民党によって示された「憲法改正草案」は、およそ近代憲法と呼べるものではありません。何よりもそれは、戦争に明け暮れた時代へと逆戻りさせる内容であり、不戦の誓いを破り、一人ひとりの権利を抑圧し、物言えぬ時代に逆戻りさせようとするものです。このような憲法改悪の策動を、絶対に許してはなりません。

70年間、一度として改正されることのなかった憲法が、古色蒼然としたものであるかのような一部の主張は、あきらかに誤りです。日本国憲法の理念は揺らぐことなく、私たち一人ひとりの「不断の努力」によって、少しずつ輝きを増してきたのです。そして、この憲法理念を実現する営みは、多くの人びとによる、さらなる努力を必要とすることでしょう。現実に止まることなく、怯まず、諦めず、そして弛まず、信念をもって憲法理念の実現に向け、全力でとりくんでいかなくてはなりません。そのことを確認しつつ、私たちのたたかいをよりいっそう強化し、さらに発展させる決意をお互いに確認しつつ、53回目の大会を閉じていきます。

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国連総会第1委員会での「核兵器禁止条

約」の交渉開始決議案への反対に強く抗議

します

2016年10月28日

国連総会第1委員会での「核兵器禁止条約」の交渉開始決議案への反対に強く抗議します

国連総会第1委員会において、非核兵器保有国30ヵ国以上が提案した「核兵器を禁止しそれらの全面的廃棄に導くため『核兵器禁止条約』の早期締結をめざして2017 年から交渉を開始するという決議案」が採択されました。「決議案」は、「核兵器廃絶に向けた法規定を協議する国連総会の作業部会」の報告書を踏まえたもので、投票結果は賛成123、反対38、棄権16でした。原水爆禁止日本国民会議は、核軍縮に向けた確実な一歩であると決議採択を評価し、歓迎します。しかし、あろうことか日本は、「安全保障での核の役割」を主張し、米国など核保有国と同調して採択に反対しました。
この「決議案」の議論の当初から日本は、「核軍縮は、核保有国と非核保有国が協力し、段階的に進めるべき」として、核兵器保有国の立場に立って主張してきました。「決議案」に反対する日本は、世界で唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶を主張しその非人道性を訴えながら、日米安全保障条約の下で米国の「核の傘」に依存する立場に立っています。非核兵器保有国の中で、人道的見地から早期の核兵器廃絶を求める声が高まる中、今回の反対により日本は被爆国としての存在意義を大きく損ねてしまいました。また「日本が提出した核廃絶を呼びかける決議こそが、核兵器のない世界の道筋を示していることを表している」と決議同士を対置させる日本政府の主張は、核兵器保有国と非核兵器保有国を分断するものです。
ウクライナ紛争や度重なる朝鮮民主主義人民共和国の核実験とミサイル発射実験など、核戦力を全面に据えての対立と緊張が強まっています。核に依存した安全保障からの脱却が、世界平和のために求められています。決議への反対は核の惨禍を経験し、そこから被爆者とともに核廃絶を呼びかけてきた日本に対する、世界各国の期待を大きく裏切るものです。核兵器国と立場を同じにしていては、核兵器国と非核兵器国との架け橋になることが出来ないことは明白です。
日本は、核兵器保有国に対して核兵器禁止条約早期締結に向けた交渉に参加するよう呼びかける立場に立つべきです。誤った侵略戦争と植民地支配の結果として核兵器の惨禍を経験し、多くの被爆者を生んだ事実から、日本は平和を考えていかなくてはなりません。
日本国憲法前文にあるように「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」ならば、日本が立つべき立場は明らかです。
原水爆禁止日本国民会議は、被爆者の皆さんと共に核兵器廃絶にとりくんできた立場として、日本政府が、この決議案に反対したことに強く抗議します。核に依存した安全保障からの脱却を目指す立場を確立し、「核兵器禁止条約」の早期締結をめざす交渉に参加し、核廃絶へ進むイニシアチブを取り、積極的な役割を果たすことを、強く求めます。

2016年10月28日

総会アピール(案)

 7月参院選で「改憲勢力」3分の2を制した安倍政権は、「戦力不保持・交戦権否認」を明記した現行憲法9条の破棄にむけて、ますます動きを活発化しています。

沖縄では選挙で示された民意を完全に無視し、東村・高江地区においては米軍のヘリパット建設に反対する地元の住民・労働者の抗議行動を本土から動員した機動隊を使って暴力と弾圧の限りを尽くして工事を強行しています。

ここ石川でも防衛省は、石川県沖に広がる「G空域」で新型ミサイル(SM3ブロック2A)の実射訓練を発表し、米韓合同演習と連動して、朝鮮半島をにらんでの日米合同訓練が活発化しています。安倍政権が安保法制=戦争法を施行した直後には、宮崎県の新田原基地から小松基地へのアグレッサー(仮想敵機)部隊が配備されました。日本全土で、このようにいつでも先制攻撃ができる戦争の準備が着々と進められているのです。

福島第一原発事故から6年を迎え、いまだ故郷に帰れぬ人が数万を数えます。事故原因も究明されず、誰も責任を取らないなか、昨年8月の川内原発、今年1月の高浜原発(但し、高浜3・4号機は裁判で運転差し止め)、8月には伊方原発(MOX燃料を使ったプルサーマル発電)が再稼動を強行しました。もんじゅは「廃炉」を隠れ蓑に新型高速炉で生き延びようとしています。北陸電力は、原子炉直下の断層を「活断層ではない」として志賀原発の再稼働を目論んでいます。私たちは全ての原発の再稼動を許すことはできません。

安倍政権の閣僚は、ほとんどが極右団体「日本会議」のメンバーで占められています。その影響は各地での教科書採択に現れています。侵略戦争を美化する国家観に基づく愛国心の強要は、子どもたちの未来に暗闇しかもたらしません。そして、自衛隊が白昼堂々と市内で武器を携えて行進することによって、生活の中に軍隊が入り込んでいます。11月には南スーダンに「駆け付け警護」を新たな任務とする部隊が「出兵」します。私たちは“いつか来た道”を絶対に繰り返すわけにいきません。

安倍政権は、9月26日から開催された臨時国会で憲法審査会を再開させ、「改憲」の国会発議に野党を巻き込みながら、「戦争をする国」づくりの総仕上げを狙っています。

社会全体が戦争に向けて、政治経済・教育が大きく変貌する中、私たちは危機感を持って、職場・地域から声をあげ、闘う戦線の拡大に全力を尽くします。以上を決意して総会アピールとします。

2016年9月28日

石川県平和運動センター第17回定期総会

高浜原発運転差し止め仮処分命令取り消し決定に関する事務局長見解

平和フォーラム

12月24日、福井地方裁判所(林潤裁判長)は、本年4月14日に関西電力高島原子力発電所3・4号機の運転差し止めを命じた同地裁の仮処分(樋口英明裁判長)を取り消す決定を行いました。本決定では、「新規性基準の内容や規制委員会の判断には不合理な点はない」とし、基準値振動についても「規制委員会の議論は専門的・技術的知見に基づき、中立公正な審査が担保され合理的である」としています。なぜ同地裁において、わずか8か月にも満たない中で、全く異なる判断が下されたのか、司法はしっかりとした説明責任を果たすべきです。

原子力規制委員会は、再三「安全審査ではない」「あくまでも新規制基準への適合審査である」と述べてきました。田中俊一規制委員会委員長は、「私は安全とは言わない」と表明しています。本決定では、原発再稼働に不合理な点はないとしながら、「想定を超える地震の可能性を否定できない」とし、「炉心溶融などの過酷事故への備えなくてはならない」としています。しかし、その備えがきわめて困難なのは福島原発事故の実態を見れば明らかです。放射性物質の飛散の方向と範囲の確定は、被ばくを防ぐ避難計画は、溶融した核燃料の処理はどうするのか、どれをとっても不確かであり安全が確保されているとは言えません。

本決定は、エネルギー問題を経済的側面のみを以て判断する中で、過酷事故の可能性を社会通念上無視しうる範囲としています。しかし、その可能性が現実となった場合に、周辺地域の広範囲にわたって放射性物質の汚染で人間生活が拒絶されることは、福島原発事故が証明しています。高浜原発の過酷事故では、関西地方住民の水源である琵琶湖の汚染の可能性が高く、きわめて深刻な事態の招来が予想されます。2014年5月21日に福井地裁(樋口英明裁判長)で出された大飯原発運転差止請求事件判決では、「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と断じています。

原発の再稼働の結果として、万が一の事故が将来したなら市民生活にどのような影響があるのか、そのことを合理的と考え得る範囲で回避できないのか、本決定は、そのことを真剣に考えたとは到底言えません。現在、九州電力管内を除いて原発は稼働していませんが、電力不足の話はありません。また、電力の高騰によって輸出産業が危機に陥っているという話も聞いていません。日本においても、太陽光発電や風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーの割合は拡大しています。火力発電や水力発電、また小水力発電やバイオマス発電などを組み合わせることで、合理的な範囲において脱原発社会を実現することは可能であり、結果として原発の過酷事故を回避できるこのようなとりくみが、日本の社会にとってきわめて有益な判断であることは論を俟ちません。

本決定が論拠とする社会通念は、福島原発事故以前の「原発の安全神話」に基づいたものです。事故以降の市民社会は圧倒的に脱原発を志向しており、その意味で本決定の内容は、現在をも見つめることのないきわめて無分別で無責任なものであるといえます。原発のリスクを社会的合理性の中に組み入れることはできません。福島原発事故とその後を見つめながら、日本の社会通念は、原発事故の可能性をみじんも許さないものとなっています。原水禁は、脱原発社会こそが、そのことへの不断の努力こそが、日本の将来を明るいものに変えていくと考え、圧倒的多数の市民とともに、脱原発社会実現へのとりくみを一層強化していきます。