アピール・声明

相次ぐオスプレイ墜落に抗議し、沖縄、北海道等での飛行訓練中止を求める声明

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 勝島 一博

 またもやオスプレイの墜落事故が発生しました。オーストラリア東海岸で、米豪共同軍事演習「タリスマン・セーバー」に参加していた沖縄の米海兵隊普天間基地所属のMV−22オスプレイが、現地時間の5日午後4時ごろ、強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」への着艦訓練中、海上に墜落しました。米海兵隊の発表によれば、乗員、乗務員を含め26人中3人の海兵隊員が行方不明になった「事故」だとしています。普天間基地所属のオスプレイの墜落事故は、昨年12月13日に沖縄県名護市沖で発生した事故を含め2度目となります。この間日本国内に限っても、名護市沖の事故の同日に起きた普天間基地での胴体着陸事故、2017年6月6日の沖縄・伊江島補助飛行場、続く6月10日の鹿児島・奄美空港への緊急着陸など、オスプレイの事故が相次いでいます。

米軍当局や日本政府がオスプレイの有用性をいくら強調したところで、欠陥機である同機の運用は許されません。すべての飛行訓練の中止と普天間基地の配備及び予定されている東京・横田基地への米空軍CV−22オスプレイの配備計画を撤回すべきです。そして、陸上自衛隊が導入しようと計画しているオスプレイの佐賀空港配備も白紙撤回することを強く求めます。

これまでのオスプレイの事故の多くは、事故に至る経緯や原因が明らかにされてはいません。防衛省のホームページで事故報告書が公表されているのは、普天間基地配備前に起きたフロリダ、モロッコでの事故の2件のみです。昨年の名護市沖での墜落事故に関しても、夜間空中給油訓練途中で事故が発生し、名護市沖の浅瀬に「不時着水、大破」するまでの経緯が全く不明で、事故原因の究明がなされていないにもかかわらず、事故から6日後には飛行訓練を再開しています。オスプレイの安全性に対して多くの人々が懸念を示しており、日本政府は、米当局に「自粛」を要請するだけでなく、経緯や事故原因が明らかにされるまでは飛行訓練等を中止するよう求めるべきです。

沖縄では、北部訓練場をはじめ、キャンプハンセンなどで住民の安全を無視したオスプレイの訓練が連日行われています。そして8月10日から28日かけては、北海道で陸上自衛隊と米海兵隊の約3300人が参加して行われる大規模な共同軍事演習「ノーザンヴァイアー」が行われ、普天間基地所属のオスプレイ6機が参加し、夜間飛行訓練などを行うとしています。沖縄の負担軽減のための訓練移転と説明されていますが、政府は米軍機の飛行訓練について「日米安保の目的達成のため飛行訓練を行うことは当然の前提」として、訓練空域以外での飛行訓練すら容認している始末です。つまり米軍基地の過重負担を負わされている沖縄の現状を省みるまでもなく、すでに縦横無尽に日本の空を、米軍機が飛行訓練することは既定路線になっているのです。

平和フォーラムは、日米軍事一体化、基地の共同使用による米軍機等の運用の拡大、SACO合意違反の基地使用などを許さないとりくみを進めていくとともに、相次ぐオスプレイの事故に抗議し、飛行訓練の即時中止を強く求めていくことを表明します。

 

谷本正憲知事の「餓死」発言に抗議

 

20170726132114「餓死」への抗議文(2017.6.26)

 

憲法審査会での主な論点

自民党が両院の憲法審査会で議論してほしいと提案した論点

主な論点:

1 参政権:終了

2 緊急事態(人権制限の是非):終了?

3 国と地方:参考人質疑のみ

4 基本的人権:環境権や教育無償化 未了

5 司法制度:未了

6 平和主義と国際協力:9条改正の是非、安全保障と憲法 未了

7 総括:改正条項の絞り込み  未了

8 国民投票制度:投票対象に国政課題を含むことの是非     未了

 

「国連専門家、日本の共謀罪法案を糾弾」          2017.5.24

日本の安倍晋三政府は、新共謀罪法案をめぐって国連の法律専門家と激しい論戦に突入した。

これは、国連の専門家が、同法案について、日本の戦前の『思想警察』の抑圧的時代に逆戻りするという批判をしたことに対するものである。日本政府の菅官房長官は、この国連のプライバシー権についての特別報告者である専門家のジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大教授)の、同法案を批判する安倍首相に対する書簡を、「一方的であり、明白に不適切」として切り捨てた。

これに対してケナタッチ教授は、菅氏の『怒りだけの言葉』を退け、法案による侵害的な監視からプライバシー権を擁護するように改訂がなされるべきであると要求した。

「日本政府には、このように行動して非常に欠陥がある法案をこのように、また拙速に押し通すいかなる正統性もない」と同教授は書いた。また「いまや日本政府は暫時落ちついて反省し、よりよいやり方があるのではないかと考えなおし、そして、世界クラスの民主主義国にふさわしく振る舞う方向に進むべきでないか」とも書いた。

法案は昨日(5/23)、日本の衆議院を通過して参院に送られ、政府によってテロとの戦いのために必要な方法として提案されその承認まちの状態である。

 

法案は、「組織的犯罪集団」による277もの犯罪の「計画」および「準備行為」を処罰しようとしている。反対派は、これらの法文の立法上の定義が曖昧であり、政府に反対する正当な諸団体にも適用されるおそれがあると批判している。

また、反対派は、処罰されることになっている犯罪には、テロと関係がないもの、例えば、住民の建築反対の抗議運動、音楽の「海賊版製作」、森林からの木材窃盗が含まれている。また、警察が、「企み」の有無を監視しそれを暴露するためにプライバシー権を危険にさらすと批判している。

ケナタッチ教授は、「法文の曖昧かつ主権的概念が非常に広範かつ法的な不確実性をまねく」と、安倍首相に宛てた書簡に書いている。

日本政府は、法案は日本が、国連の越境的な組織犯罪防止のための条約に加わるため、および2020年の東京オリンピックを安全に開催するために必要だとしている。

秘密警察の権限を増強するための提案は、1945年前の日本を支配した独裁的統治を思い起こさせ、また、それがいかに平和的な反対運動に対する諜報活動を助長し、これらの運動の抑圧につながったかを危惧させているのである。

 

102歳になる太田まささんは、朝日新聞の取材に応じて、彼女が18歳の時に共産党の機関誌を読んでいただけで逮捕された自分の経験を語り、「もし、私が自分の足で動くことができるのなら、街頭にでて反対の声をあげたい」と言った。

アムネスティ・インターナショナルの山口かおる氏は、「もしこの法案が成立してしまったら、私たちの団体とその支援者たちは、「組織的犯罪集団」としてたちまち弾圧される危険にさらされることになるだろう」と述べた。

 

日本ペンクラブ声明「北朝鮮をめぐる軍事的破局を回避せよ」

 東アジアの情勢が緊迫している。
北朝鮮がくり返す核兵器とミサイルの実験、これを抑え込もうとする米韓の合同軍事演習と米中、日米、さらにロシアを加えた周辺諸国の駆け引き。各国の政治権力が最新の軍事力を誇示しながら争っている。
互いに強がって見せているだけで、たいしたことは起こるまい、という見方もある。私たちもそう願っている。
しかし、北朝鮮は特異な独裁制を敷いている。他方、関係諸国のなかには、最高権力者が不在の国もあれば、最高権力者だけ決まっていて、閣僚以下要職の多くが空席のままの国があり、また両方が揃っていても、国内議論がきわめて乏しい国や、次々発覚する政権スキャンダルの火消しにやっきで、硬直した思考に陥っている国もある。これらの国々の政権下に私たちは暮らしている。
この現実を、私たちは見過すわけにはいかない。緊迫した情勢下では、しばしば強圧的な言動が勢いを増し、冷静な判断を狂わせることがある。歴史は、戦争の惨禍が権力を持つ者らの短慮によって、民主主義の機能不全の隙間を縫うように引き起こされてきたことを教えている。そして、生命財産を奪われ、傷つくのはいつも名もなき人々であった。
日本ペンクラブはこうした歴史に翻弄されながらも、悲惨を直視することから出発した作家・表現者の集まりである。私たちは一方で、過去の経験を振り返り、もう一方で、昨今の世界各地で頻発する暴力の応酬を憂いつつ、いま目の前に展開する緊迫した情勢を甘く見るべきではないと考える。
北朝鮮指導部は、核実験その他の軍事的挑発をただちにやめなければならない。
そして、周辺諸国政府は軍事力をもてあそぶことなく、あくまで平和的に解決する努力をつづけるべきである。
私たちは日本と東アジアに暮らす多くの人たち、そして世界の友人たちに、北朝鮮をめぐる情勢に目を凝らし、自国政府の動きを点検し、この地域に平和と安定と自由をもたらす努力を重ねてくださるよう訴える。

2017年4月24日
日本ペンクラブ会長 浅田次郎