アピール・声明

女川原発2号機の再稼働を許さず、

原子力推進政策の撤回を求める原水禁声明

10月29日、東北電力は女川原発2号機の原子炉を起動し再稼働させた。福島第一原発事故後、東日本で初めての再稼働となる。

今回再稼働した女川原発2号機は、事故原因の究明がいまだなされていない福島第一原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)であり、先に西日本で再稼働をしている加圧水型炉(PWR)とは意味合いを異にするものである。東日本大震災では、高さ約13メートルの津波に襲われ、原子炉建屋地下が浸水するなど被災した。先の能登半島地震でも大きな問題となった住民の被災と避難の問題については何ら解決されていない。事故時の避難計画に実行性がないとする住民訴訟の判決もまだ出ておらず、再稼働に対するさまざまなリスクを取り除けていない。

女川原発2号機の再稼働は、夏や冬に電力需給が逼迫しやすい東日本での安定供給を念頭にすすめられた。しかし、いまだ行き先の決まらない高レベル放射性廃棄物(核のごみ)問題をかかえ、高コストで安全とはいえない原子力発電に頼ることは、決して持続可能な解決策ではない。

GX基本方針を策定後、政府は福島原発事故そのものがなかったかのように、原発積極活用へと舵を切っている。原発事故によっていまだ故郷に帰ることもできないまま避難を強いられている人々が2万人以上いるにもかかわらず、なぜ今も原発推進をするのか、だれかの犠牲の上に成り立つような原子力政策を私たちは望んでいない。

私たちは、福島原発事故を経験し、能登半島地震により日本のどこでも地震のリスクがあることを再認識し、自然災害と原発事故による複合災害への危機感を強く持っている。気候危機による自然災害が多発している今、さらに原発再稼働によって複合災害へのリスクを高めることは、住民の安全な暮らしを奪うも同然のことである。そして、それは命に関わる重大な問題だと認識すべきだ。

原水禁は、原子力政策が既に行き詰まっていることをこれまでも繰り返し指摘してきた。原子力政策を延命させるために様々な理屈をつけて原発の再稼働をすすめるのではなく、各地域での持続可能な再生可能エネルギーによる発電の普及や省エネ政策に本腰を入れていくべきだと考える。原子力推進政策の維持継続ありきの議論を脱し、だれもが安全な暮らしができる未来を描いていく必要がある。

私たちはあらめて、女川原発2号機の即時停止と、原子力推進政策の撤回を強く求める。

2024年10月30日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

 

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の

ノーベル平和賞受賞に際して

ノルウェー・ノーベル委員会は10月11日、今年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表しました。被爆者が二度と核兵器を使ってはならない、世界に核兵器はいらないと訴えてきた活動が高く評価されたものであり、これまで活動を積み重ねてこられた日本被団協のみなさんへ、心より敬意を表し、受賞をお慶び申し上げます。

広島と長崎に原爆が投下された1945年から9年後の1954年、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被爆したことをきっかけに、国内で原水爆禁止運動が高まりました。原水爆禁止を求める署名活動は、「核実験反対」「核兵器反対」の全国的な運動として津々浦々で展開され、3200万筆を超えて集められました。日本被団協はその2年後の1956年に被爆者の全国組織として結成され、被爆の実相を伝えるために国内はもとより、海外でも講演や被爆証言などを積極的に積み重ねてこられました。

これまでに被爆者のみなさんが語ってきた凄惨な被爆の実相が、国際社会における核兵器の非人道性を明らかにし、またヒロシマ・ナガサキ以降今日まで、戦争による核兵器使用を阻む最も大きな力となってきました。ノーベル委員会が「核のタブーの確立に大きく貢献してきた」と述べているように、被爆者のみなさんが果たした役割を重く受け止める必要があります。

世界では、核兵器を所有することで互いの緊張状態を作り、戦争を回避しようとする「核抑止論」への傾斜が強まり、核保有国から核兵器使用の威嚇が公然と発せられている現状があります。日本国内においても「核共有」を検討すべきなどと声高に主張する政治家さえ見受けられます。

しかし核兵器が存在する限り、核兵器使用のリスクは永遠になくなりません。被爆者が「二度と自分たちと同じおもいを他の誰にもさせるわけにはいかない」と語ってきた原点は被爆の実相であり、今こそ世界はそこに向き合い、学び、核兵器使用が迫る危機的状況を乗り越えていかなくてはなりません。

2021年には国際条約として核兵器禁止条約(TPNW)が発効しました。核兵器のない世界は具体的に達成できる未来であるということが確立されたのです。世界で核兵器の非人道性の確立に尽力してきた被爆者のおもいを真に受け止めるのであれば、ヒロシマ・ナガサキを経験した日本こそが、今すぐ核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。2023年12月に、ニューヨークの国連本部で開かれた第2回締約国会議には、アメリカの「核の傘」のもとにあるドイツやベルギーなどもオブザーバーとして参加しましたが、残念ながら日本政府の姿はありませんでした。国内においては、被爆者援護の残された課題である長崎の「被爆体験者」問題があります。日本政府は一日も早く「被爆体験者」は被爆者だと認め、すべての被爆者の救済にとりくむべきです。

ノーベル委員会の説明した授賞理由の中には、「いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなることでしょう。しかし、記憶を留めるという強い文化と継続的な取り組みにより、日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています」とあります。今後も原水禁は、被爆二世三世や高校生・大学生等といった次の世代に、確実に被爆の実相が継承されるよう運動にとりくんでいきます。

2025年は被爆80年を迎えます。日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことに私たちも励まされながら、原水禁は今後も「核と人類は共存できない」との立場に立ち、核も戦争もない社会の実現に向け、全力でとりくんでいく決意です。

2024年10月12日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

「被爆体験者」は被爆者だ

―長崎地裁判決を受けて― (原水禁声明)

9月9日、長崎地裁において、これまで「被爆体験者」とされてきた44人が「私たちは被爆者だ」として、被爆者健康手帳の交付を求めた裁判の判決の言い渡しが行われた。判決の内容は原告の一部を「被爆者」と認め、手帳の交付を長崎県・市に命じるものであった。

44人の原告のうち、4人の方がすでに亡くなられている。原告の一人である山内武さんは、「私の周りではすでに200人以上の方が亡くなった」と述べている。この間「被爆体験者」支援にとりくんできた私たち自身、これまで問題解決に至らなかったことに、忸怩たる思いを抱かずにはいられない。本判決についても、「被爆体験者」の一括救済でない点に問題が残る。

そのことを踏まえたうえで、長崎県・市側から控訴するなどして訴訟をこれ以上長引かせるべきではないし、なにより政府が一刻も早い全面的な救済措置を具体的に実施すべきであると考える。

南北に長い旧長崎市の行政区域によって線引きされたため、爆心地から同じ12km圏内であっても、南側の被爆者手帳が交付された住民と、東側の「被爆体験者」とされてきた住民とで長年にわたり大きな違いが生じるという、差別的な扱いが続いてきた。

厚労省は2002年の「被爆体験者」事業の開始にあたり、その説明の中で「被爆体験者」をいずれは被爆者としていく方向性があることを示唆したうえで、まずは事業の開始にご理解いただきたいとする説明を行っていた。

今年8月9日には、岸田首相と「被爆体験者」との面談の機会が設けられ、この問題の「早急な」対応を厚労大臣に指示したことが明言されたが、それから一か月たった現在でも、厚労省に具体的な動きは見られない。

広島では、いわゆる「黒い雨」裁判の2021年7月の広島高裁判決によって、「黒い雨」が降った地域で被爆した住民を被爆者と認めて被爆者手帳を交付し、「同じ状況にあったとされる者」についても救済措置が取られた。同じ被爆地においても、広島と長崎で「黒い雨」が降った地域における対応が異なる、差別的な扱いが生じていたことは、同じ法制度下で生活する住民にとって看過することのできない大きな問題となっていた。

国による、幾重にも重なる差別的な状況の改善が図られることなく、今日を迎えてしまっていることは許しがたい現実である。もう一刻の猶予も許されない。

原水禁はこれまで「被爆体験者は被爆者だ」として、長崎とともに全国連帯でこの問題にとりくんできた。2022年3月には計29万9182筆の署名を国に提出し、その後も継続的に厚労省との協議を行い、救済の観点を明確にするよう訴えてきた。1945年8月9日から79年以上が経過した今日、被爆者の平均年齢は85.58歳となったのと同じように、「被爆体験者」もまた高年齢化が進んでいる。

司法判断を待つまでもなく、早期の解決が図られる必要のあった「被爆体験者」問題を、ここまで放置してきた国の責任は重い。さらにいたずらに時間をかけようとすることなど、決して許されない。一刻も早くすべての「被爆体験者」を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を行うことが必要だ。

原水禁は、これまで国の政策に決定的に救済の観点が欠けていることを訴えてきた。今こそ国はこの救済の観点を明らかにした「早急な」対応をすべきである。そのことを改めて強く国に求める。

2024年9月9日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

 

核燃料サイクル政策の破綻を認め、撤退の道筋を示すことを求める原水禁声明

日本原燃株式会社(原燃)は、8月29日、『再処理施設・廃棄物管理施設・MOX燃料加工施設のしゅん工時期見直しに伴う工事計画の変更届出』を発表した。

変更の概要は、①再処理施設および廃棄物管理施設の工事計画において、完成目標を「2024年度上期のできるだけ早期」から「2026年度中」への変更、②MOX燃料加工施設の工事計画において、完成目標を「2024年度上期」から「2027年度中」へ変更とする2点である。

今回、発表された青森県六ケ所村で建設中の再処理工場の完成目標の延期は27回目となり、あわせてMOX燃料加工工場の完工延期も8回目となった。

原燃側は、完工延期の要因として原子力規制委員会からの耐震評価のほか、追加工事などを挙げているが、1989年に事業許可を申請し、1997年に完成する計画から幾度もトラブルを繰り返し、工事着工から30年を過ぎても実現せず、いまだ確立されない核燃料サイクル全体への信頼は完全に失墜している。

また原燃の増田宏尚社長が記者会見で「過去の設計に固執しすぎた」「見通しの立て方が悪かった」と発言したが、30年以上かけていまだ設計管理が出来ていない計画を受け入れること自体が無理難題であり、決して市民の理解を得られるものでは無い。

核燃料サイクル政策は、兆単位で投入してきた税金と電力料金を無駄にし、技術的にも極めて困難であり、現実性を欠いたものである。そもそも建設計画当初に稼働していた40基の原子力発電所という前提自体が大きく変わっている。

原水禁はこれまで、原子力政策自体が破綻しており、抜本的な政策の見直しが急務であることを訴えてきた。そして、原子力政策を盾に「核」の問題にしがみつく姿勢、核燃料サイクル政策を継続するために確立されていない技術に税金を注ぎ込む政府の迷走は、無責任そのものであると考える。

原燃が示す「楽観的な独自の見解」をもとにした工事計画を鵜呑みにすることなく、政府は、核燃料サイクルの破綻を認め、今すぐ撤退の道筋を示すべきである。そして、いまこそ破綻した原子力政策のもとで稼働する原発を即時停止させることを、原水禁は強く求める。

2024年8月30日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長  川野浩一
金子哲夫
染 裕

 

2024年8月7日

陸上自衛隊第14普通科連隊長兼金沢駐屯地司令

       一等陸佐 野田 哲徳 様

大東亜聖戦大碑の撤去を求め、戦争の美化を許さない会代表角三外弘

石川県平和運動センター(共同)代表  廣田美智代

(共同)代表  半田 宏志

石川県憲法を守る会代表委員  岩淵  正明

代表委員  廣田美智代

代表委員  澤   信俊

代表委員  盛本 芳久

石川県勤労者協議会連合会会長  平田  和伸

社会民主党石川県連合代表  盛本 芳久

(各団体の公印省略)

            自衛隊の靖国参拝に抗議する申し入れ

今年になり陸上自衛隊の複数の幹部が、靖国神社や宮古島神社を参拝する例が続発しています。新聞の報道から何件かを列挙してみます。

 1月8日:陸自高級幹部3人が公用車で、そのうち一人は制服姿で靖国神社に参拝した。

 1月9日:小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)が運転手付きの公用車で靖国神社を往復し、上野和士装備計画部長(陸将補)は、往路を公用車で移動した。

 1月10日:陸自宮古島駐屯地の宮古警備隊長ら約20名が、公用車(陸自のマイクロバス)を使い、制服姿で宮古島神社を参拝した。

    こうした参拝は、今年だけのことではありませんでした。「過去5年間の恒例行事だったと見られる」(『朝日』2024.1.30)だけではなく、それ以前の「平成の頃から続いていた、との証言がある」(『毎日』2024.1.21)と伝えられています。別の記事には、2015年に、

陸自化学学校が、「精神教育の一部」として靖国神社を参拝し、関係者が処分されたケースもありました(『北陸中日』2024.1.13)。

これらの一連の陸自の靖国参拝は、日本国憲法第20条第3項及び第89条の、いわゆる政教分離原則に明らかに反します。同時に、宗教上の礼拝所への部隊参拝を厳に慎むように命じた1974年の事務次官通達とも整合性を欠きます。

防衛省は、次々と続く報道に対して1月26日、計9人を処分し、公用車の使用が不適切であり、小林弘樹・陸上幕僚副長ら3人を訓戒としました。ただし事務次官通達への違反はなく、参拝は私的であったと結論づけています。

しかし、私たちはこれで幕引きにさせるわけにはいきません。制服と運転手付きの公用車で参拝しただけではなく、少なくとも2023年からは陸上幕僚監部航空機課が中心となって、集団での参拝の流れを指示する実施計画が作られていました。参拝は、組織的に計画された公務そのものです。

台湾有事に「最戦線」となり多数の死者が想定される鹿児島から沖縄の最南端までの「琉球弧」での死者を祭ることが最優先事項としてあったのではないかと言わざるを得ません。

   私たちは、靖国神社とは、次のような役割を果たしていると考えます。

第一に、軍国主義の背景となった国家神道の中心施設です。

第二に、ここには東京裁判で、A級戦犯となった14人が「神」として合祀されています。侵略戦争への反省を忘れ、軍国主義時代を正当化することに繋がります。

  第三に、日本のみならず植民地から侵略戦争に駆り出された兵士たちに、死後に靖国神社に祭られることを栄誉と感じさせ、戦死することを幸福であると思わせる施設です。

第四に、国家が「名誉の戦死」として讃えることによって、祖父母、父母、息子、娘が死んだ悲しみを、喜びに変える「錬金術」の働きをしています。

第五に、侵略戦争の兵士を養成する場所です。元防衛大臣・稲田朋美氏が言うように、「靖国神社は不戦の誓いをするところではなくて『祖国に何かあれば後ろに続きます』と誓うところ」です(『Will』2006.1)。すなわち、国家のために戦場で人を殺せる兵士をつくり出すところです。

第六に、靖国神社は、遺族の了解なしに合祀を行っています。肉親の死をいかに追悼するかは個人の問題です。遺族などの合意なしに刻銘している石川県護国神社の「聖戦大碑」と同根です。

そこで、私たちは以下の諸問題を明らかにするよう求めます。

第一に、自衛隊の組織的な「靖国」参拝に抗議するとともに、今後、このようなことがないよう厳に求めます。

第二に、他の部隊での靖国神社等の参拝を調査するよう求めます。

第三に、他の部隊でも行われている場合には、事務次官通達と憲法に基づいて、今後は参拝をしないよう指導をすることを求めます。

第四に、小林弘樹陸上幕僚副長ら3人を訓戒としたにもかかわらず、当の小林弘樹氏は中部方面総監に「昇格」しています(防衛省人事『毎日』2024.3.20 )。市民への説明を求めます。

上記、回答するよう要請します。

 

繰り返される米兵による女性への暴力・暴行事件に強く抗議する

昨年12月、嘉手納基地所属の空軍兵士が沖縄本島中部の公園で声をかけた16歳未満の女性を誘拐して米軍基地外の自宅に連れ込み、性的暴行におよぶ許しがたい事件が発生した。

事件当日の女性の家族からの110番通報をもとに沖縄県警による捜査が行われ、今年3月27日に起訴に至った。起訴を受けて外務省はエマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れたが、他方で沖縄県には何の連絡もしなかった。このため、沖縄県は6月25日に報道があるまで、起訴から3カ月が経ってもこの事件を把握できないままだった。これについて、林官房長官は「関係者のプライバシーへの配慮」「捜査公判への影響の有無を考慮」したと釈明し、外務省の報道官も「常に関係各所への連絡通報が必要だとは考えていない」と述べている。しかし、県民の生命や安全を守る責務を負う沖縄県に通報がないことは重大な問題であり、日本政府や外務省は「被害者のプライバシー」に配慮したのではなく、6月16日に投開票が行われた県議会議員選挙や6月23日の「慰霊の日」の岸田首相の訪沖といった政治日程を踏まえて沖縄県内で事件への抗議の声が高まることを恐れたのではないか。また、これまでの辺野古新基地建設をめぐる国と県の対立が影響を及ぼしたことも否めない。

起訴により日米地位協定にもとづいていったん日本側に引き渡された被告の米兵の身柄は、現在は保釈によりふたたび米軍基地内へと移されている。6月25日の報道によりこの事件が発覚した後、27日に沖縄県庁を訪れた米第18航空団のエバンス司令官は被告について「裁判期間中は基地の外へ出られないよう関係者に指示し、パスポートも差し押さえている」と報告しているが、米軍基地内での米軍による身柄確保は過去に米兵が引き起こした犯罪事件を振り返ると、証拠隠滅や逃亡の懸念がぬぐい切れない。そもそも在日米軍基地内では日本当局による出入国審査が行われておらず、パスポートを取り上げることが被告の逃亡を防ぐ有効な手段であることを意味しない。しかも、エバンス司令官とドル駐沖縄米国総領事は県庁を訪れた際に「遺憾の意」は表明したものの、被害者や県民への謝罪の意志は示さなかった。

沖縄では、今回の事件にとどまらず、米兵による女性に対する暴行、暴力事件が相次いでいる。1972年の復帰後、2023年までの51年間で沖縄県内における米軍構成員(軍人、軍属、家族)の刑法犯による摘発は6235件、摘発者は6124人にものぼり、うち殺人、強盗、放火、不同意性交など「凶悪犯」の摘発は586件、759人をしめている。日本政府に県民、国民の安全や尊厳を守る姿勢が欠如しているなか、日米地位協定の下で犯罪を起こした米兵が適正に処罰されないこと、被害者への補償がなされないことも深刻な問題である。とくに不同意性交については被害者の多くが泣き寝入りを強いられており、表面化している摘発件数は氷山の一角に過ぎない。

今年に入ってからも米軍構成員の刑法犯による摘発は28件、34人にのぼり、うち「凶悪犯」は5件、4人を占めている。5月に20歳代の海兵隊員が女性に性的暴行を加え、抵抗した女性にけがを負わせて逃亡した後、通報を受けた県警に米軍基地外で不同意性交致傷の疑いで逮捕された。6月3日には海兵隊の大尉が飲酒したうえで交際相手の女性に暴行して全治日数不詳の打撲を負わせ、傷害の疑いで現行犯逮捕された。

さらに、4月には海兵隊員が県内のコンビニエンスストアでナイフを店員につきつけて現金約13万円を奪った強盗事件が発生した。6月9日深夜には北谷町のホテルで泥酔した海兵隊の少尉がホテルの備品を破壊して器物損壊で逮捕され、さらに22日早朝には北中城村で基準値の約3倍の酒気を帯びた状態で乗用車を運転した陸軍兵士が逮捕された。一般の兵士ばかりか将校までが事件・事故を繰り返すなど、米軍の規律の崩壊はますます深刻になっていると言わざるを得ない。

「綱紀粛正」「再発防止の徹底」では、米兵の犯罪はなくならないことは明らかである。新基地建設を阻止し、さらに沖縄から米軍基地をなくすこと以外に安心・安全な生活を実現する途はない。12月に発生した米兵による未成年の女性への性的暴行事件と日本政府・外務省の情報隠しに対し、これまでに浦添市議会、那覇市議会、北中城村議会で抗議決議が可決されている。平和フォーラムは相次ぐ米兵による女性に対する暴力事件、暴行事件に最大限の怒りをもって抗議し、沖縄の仲間たちとの連帯を強めつつ、米軍基地の撤去に向けたたたかいのいっそうの強化を決意し、全国に呼びかける。

2024年6月28日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 染 裕之
共同代表 丹野 久

地方自治法の一部改正案の廃案を求める緊急声明

2024年5月30日

憲法改悪NO!市民アクション・いしかわ

私たちは、岸田内閣が今次通常国会に提出した地方自治法の一部改正案(以下、改定案)に反対し廃案を求めます。

 改定案の中心となるのは、国(政府)が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断した場合には、「国は、地方公共団体に対し、その事務処理について国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関し、特例として必要な指示ができる(補充的指示権)」制度の創設です。

そもそも2000年に施行された地方分権一括法では、地方自治体の独立性、国と地方は対等・協力の関係であることを規定しました。それを担保するため、国の指示は、法定受託事務において違法な不履行に対し是正の指示を行える以外は規定せず、自治事務においては個別法の制定を前提に、緊急を要することを条件に国の関与を必要最小限に制約したのです。

ところが、総務委員会で再三指摘されたように、「個別法の規定では想定されていない事態のため個別法の指示が行使できず、国民の生命等の保護のために特に必要な場合」とはいかなる事態なのか、政府は明確にしませんでした。国が、立法事実の根幹をなす事態を曖昧にしたまま、閣議決定で対象となる事態を認定し、補充的指示権を行使できるなら、まさに内閣への白紙委任を地方自治の一般法により強いることになりかねません。日本弁護士連合会が指摘するように、「対等協力」とされた国と地方の関係を大きく変容させるものであり、自治事務に対する国の不当な介入をもたらすおそれが高いと言わざるを得ません。

 とくに本会が問題視するのは、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が「発生し、又は発生するおそれ」として、武力攻撃(戦争)や内乱・テロも除外していない点にあります。しかも安全に影響が出ていなくても「おそれ」があれば指示権の発動は可能とされています。「安全に重大な影響」の定義そのものが抽象的であり、「おそれ」は国の恣意的な判断で際限なく広がる可能性をもっています。これらは閣議決定だけで国会の承認は不要で、自治体の意見聴取は努力義務にとどまっています。有事法制における国の自治体への指示には総合調整と自治体の意見聴取が義務となっており、今改定案は「戦争法」である有事法制の要件よりはるかに緩く、大臣の判断には何の縛りにもなりません。

 有事法制では、自治体の役割は住民避難などの国民保護に限定されており、戦争態勢への全面的な組み込みは想定されていません。それが改定案に示された指示権が遂行されれば、国の恣意的な運用と濫用がまかり通り、有事法制ではできない広範な指示の発動が可能であり、自治体を戦争態勢に組み込む法案といえます。

 自民党は明文改憲による緊急事態条項の制定を目指しています。しかし改定案は自民党の緊急事態条項を先取りするものです。そればかりではなく、すでに指摘したように、国会承認は不要であり、「おそれ」の恣意的な拡大解釈によって、国の権限は自民党の緊急事態条項以上に拡大されたものになりかねません。

 いま「台湾有事」をめぐる事態は危険な兆候を見せています。岸田首相が目指す軍事大国化の流れの中でこのような改定案が成立すれば、有事に際して、国は自治体を全面的に戦争に巻き込む法的根拠を得ることになります。

 日本弁護士連合会をはじめ各地の弁護士会、法律家6団体、首長、地方議会、労働団体や市民団体でも強い懸念や批判、反対の声が上がっており、さらに広がりを見せています。

 昨日(5月27日)の衆議院総務委員会において、改定案は国会への事後報告を義務付ける修正のうえ自民、公明、維新、国民などの賛成多数で可決されました。しかし、私たちはこれで審議を終わらせ、数の力で法案成立を強行することは許しません。断固反対し廃案を求めるものです。

緊急アピール(案)

私たちは、今、1月1日に発生した能登半島地震の被災に苦しんでいる。住む家を失い、人間らしさとは程遠い長期の避難生活を強いられ、くらしの再建が見えない苦しみだ。政府も国会も、被災地・被災者を救済する積りが本当にあるのか?人を救わねばならないときに、人を殺す戦争の訓練を米軍と続けているではないか!巨額な税金を沖縄の基地建設に費やしているではないか!人も資金も能登に回せとの声を無視して大阪・関西万博を強行しているではないか!

さらに怒っていることがある。それはこの災害や緊急事態を理由にして、私たちのいのちと人権を守っている憲法を変えようとしていることだ。これを知っている人は一体どれほどいるだろうか?知らないのも無理はない。国会の憲法審査会という密室で憲法改定を好き勝手に都合よく議論していることは知らされていないからだ。

多数派を握る自民党、公明党、日本維新の会、そして国民民主党までもが、緊急事態に国会の機能を停めないためと称して、衆議院議員の任期を選挙無しで延長できるように憲法を変えようと躍起になっている。国民に改憲を提案する「発議」をするために改憲案を強引に急いでいる。

この理屈は嘘で塗り固めてられている。半数改選の制度で議員がいなくならない参議院で緊急集会を開くことができると憲法は書いている。国会の機能が停まることはない。衆議院議員の任期延長は必要ない。このことを言わない。マスコミも報じない。

緊急事態条項は任期延長だけではない。任期を延長された国会議員により、政府に全権を委任する法律をつくれば、政府は国会を停止し、政府命令ですべてを決めて国民を従わせることも可能になる。ナチスや戦前の日本を思い起こす。改憲派は、自衛隊を第9条に書き込み、平和憲法の制約から自衛隊を解き放ち、戦争する国へと日本を変貌させることを目論んでいる。ウクライナやガザの惨状に、武力は命も平和も守らないことは明らかだ。78年前に独裁と戦争を反省した憲法は、賢く二院制参議院に緊急集会を持たせたのだ。

憲法審査会は、憲法が活かされているかを検証し論じる責務がある。震災、格差・不平等、選択的夫婦別姓などジェンダー平等、辺野古の埋め立て強行。様々な問題を憲法からどう対処すべきかこそ議論しなければならない。さぼるな!「憲法論議無き改憲暴論」は許さない。

歴史に名言がある。「愛国主義とはならず者の最後の隠れ家」。その通りだ。安倍派など国に誇りをと吹聴した改憲派議員の多くが裏金に手を染めていた。

憲法は私たちのものだ。私たち市民・働く者が前に出て、声を上げようではないか。裏金議員に憲法改定を語る資格なし!平和と人権の憲法を守れ!地震被災者に憲法を適用せよ!

以上、市民のアピールとする。

                                 2024年4月13日

改憲策動ストップ!憲法活かせ!緊急アクション一同

憲法改悪NO!市民アクション・いしかわ

 

集 会 ア ピ ー ル (案)

 2024年1月1日、能登半島で震度7の大地震が発生し、珠洲市、輪島市をはじめ北信越地方にまで甚大な被害をもたらしました。能登から佐渡に延びる150㎞の活断層が動き、各地に津波、液状化、隆起、陥没、土砂崩れ等の被害を及ぼし、倒壊した家屋の下敷きで多くの人々が亡くなり、停電と断水のなか過酷な避難生活を強いられています。

 地震発生から2ヶ月半を過ぎようとしていますが、未だ1万人を超える被災者は帰る家もなく“先の見えない”不安な日々を送っており、「災害関連死」も増え続けています。このような悲惨な現実は、岸田政権・県当局の初動の遅れ(1日23時50分に知事が初めて災害対策本部に参加、5日後に石川県非常事態宣言、四半世紀見直していない地震対策、熊本地震比1/3以下の自衛隊派遣など)と2007年能登半島地震以降の対策放置(耐震強化家屋比率3割台の遅れなど)の結果であると言わざるを得ず、まさに「人災」といわなければなりません。

 加えて、今回の大地震によって志賀原発は危機的事態に至っていたことを問わなければなりません。基準地震動「1000ガルに耐える志賀原発」と銘打っていたにもかかわらず、原子炉建屋地下2階では震度5弱、400ガルの地震動で1号機、2号機の変圧器が破損し外部電源3系統のうち1系統が断たれ、予備電源で冷却が維持されるという危機に陥っていたのです。言うまでもなく外部電源の喪失は、福島原発事故につながった最大の原因なのです。

 それにもかかわらず岸田政権は、震度6以上で立ち上げた原発事故対策警戒本部を地震当日の22時前に早々と解除したのです。北陸電力を丸ごと信じた驚くべき事態といわなければなりません。(後日、北陸電力による津波の新事実や修正や訂正が続出した。)

  さらに岸田政権は、「原発再稼働の方針には些か(いささか)の変更もない」(1/14)と開き直り、北陸電力の松田社長は、「志賀原発の安全確保に問題はなし」(1/31)と、事故などなかったかのように居直りました。

 昨年3月に原子力規制委員会は、志賀原発の敷地内断層を「活動性なし」と断定したが、再稼働のためのごまかし(鉱物脈法しかり)でしかありません。

 私たちは改めて、自信を持って本日の集会を出発点に、大断層に囲まれた志賀原発を廃炉にしようではありませんか。そしてこの取り組みを全国の原発廃炉へつなげていこうではありませんか。

 以上、確認します。

3.16集会参加者一同

 

「核のごみ」最終処分場文献調査報告書の原案公表 に対する原水禁声明

原子力発電環境整備機構(NUMO)は2月13日、北海道の寿都町と神恵内村において、原発の運転によって生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定に向けた、文献調査報告書の原案を公表した。2町村でのべ約 1500の論文やデータを分析して調べた 結果、活断層や活動の恐れのある火山など明らかな不適地は少ないと判断した。概要調査に進む候補地域として、神恵内村は村内の積丹岳から「15 キロ以内の範囲を除いた範囲」を、寿都町は「町全域およびその沿岸海底下全域」を示した。NUMOは同日、調査結果を経済産業省の審議会に示し、今後有識者の意見をふまえて正式な報告書をとりまとめるとしている。
2020年8月、北海道寿都町の片岡町長が文献調査に応募することを明らかにした。続けて10月には同じく北海道の神恵内村も文献調査の受入れを決め、11月にはそろって調査が始まった。核のごみの処分手続きを定めた最終処分法は、地下への最終処分(地層処分)ができることを前提として2000年に成立したものの、その場所は決まっていない。この文献調査に応募することで自治体には、最大で年間10億円、総額20億円の交付金が支払われた。寿都町は3000人余り、神恵内村は800人余りと人口減少にあえぐ自治体を、まるで交付金で釣るようなやり方に、地元住民をはじめ、近隣や全国各地の多くの市民から反対の声が上がった。地元では、核のごみの受け入れ賛成か反対かによって住民の分断を招き、家族内でさえ対立を引き起こすきっかけになったという報告がされている。
2023年10月には地球科学の専門家有志が、「日本に地層処分をする適地はない」とする声明を公表した。声明では、地殻変動の激しい日本では廃棄物を10万年にわたって地下に閉じ込められる場所を選ぶのは不可能と指摘したうえで、最終処分の抜本的な見直しを求めた。「日本列島は複数のプレートが収束する火山・地震の活発な変動帯」とし、先行する北欧と同じように、封じ込めの技術で安全性が保証されるとみなすのは「論外」と批判した。専門家は地上での暫定保管も含め、中立的な第三者機関を設けて再検討するよう求めた。
1月1日に発生した能登半島地震において、志賀原発で想定を超える事態が発生し、電源が失われ、水漏れを起こし、モニタリングポストが測定不能となる等、「想定外」の出来事が相次いで起こっている。地層処分は、岩盤が不均質で亀裂も多いうえ、活断層が未確認の場所でも地震が発生する可能性がある日本には適していない。地下水の流れが変化し、亀裂や断層を伝って放射性物質が漏れ出すことも否定できない。
2町村がある北海道では「特定放射性廃棄物に関する条例(核抜き条例)」が2000年に成立している。寿都町、神恵内村に隣接する積丹町や島牧村などでも、町内や村内に核のごみの持ち込みを拒否する「核抜き条例」がそれぞれ成立している。そもそも文献調査は最終 処分場を選定するための調査であり、核抜き条例を持つ北海道で調査すること自体が誤りである。全国的には高知県東洋町や長崎県対馬市のように、核のごみの受入れについて、文献調査に応募したり応募を検討したりした地域もあるが、実際は地元住民の反対等によって実現していない。
次の段階である概要調査は4年程度かけて地層を掘り出すボーリングを実施するなどして、直接地質や地下水などの状況を調べるとされている。地元住民とともに、全国各地から核のごみの最終処分場の「適地」など存在しないことを訴えていくことがより一層必要になる。原水禁は北海道平和運動フォーラムとともに、寿都町、神恵内村ともに概要調査へ進ませないとりくみを強化していく。原水禁は、2023年5月に北海道札幌市で「どうする?原発のごみ全国交流集会」を北海 道平和運動フォーラム・原子力資料情報室とともに開催し、最終処分法ではなく、新たな法体系を整備することを提言としてまとめた。具体的には、直ちに新たな核のごみを生み出す原発を停止し、すでに生み出してしまった核のごみについては地層処分ではなく、監視が可能な地上ないし半地下で長期保管をすること、その場所については「公論形成委員会」等を設置し、民主的な議論を進めること等を提言している。

「トイレなきマンション」と揶揄される原発から出る核のごみについて、そのエネルギーを享受した現世代の責任において、地層処分という誤った方法をもって最終処分とすること を認めるわけにはいかない。目に見えない放射性物質におびえる生活を、将来世代に強いることなど決してできない。

そのために原水禁は、核のごみ最終処分場の「適地」など日本国内には存在しないことを理解し、現実を受け入れた処分の方法について議論を展開していく。そして、人口減少に苦しむ自治体が、交付金に頼ってしまう地方自治制度の見直しを含めて、私たちの望む生活が どのようなものであるか、広く民主的な議論を展開していくことを改めて決意する。

2024年2月13日
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)共同議長 川野浩一
金子哲夫
藤本泰成

ロシアのCTBT批准撤回とイスラエルの閣僚による原爆投下容認発言どちらも許さず、改めて核廃絶を強く訴える(原水禁声明)

11月2日、ロシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回した。ロシアは2000年にCTBTを批准し、これまで核実験禁止という規範を守る姿勢を示してきた。CTBT発効には発効要件国(44ヶ国)すべての批准が必要とされる。ロシアは発効要件国であり、署名・批准国の中で最大の核兵器保有国である。そのロシアがCTBTの批准を撤回したことは、国際社会の核軍縮・核不拡散を進める大きな流れに逆行し、CTBTの発効に向けたこれまでの努力に反することになる。
② 11月6日、イスラエルの閣僚であるアミハイ・エリヤフ エルサレム問題・遺産相が地元ラジオ局「コル・バラマ」のインタビューに答え、パレスチナ自治区ガザに原爆を投下して「皆殺し」にする手法を容認するかとの質問に対し、「それも一つの選択肢だ」と発言した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの発言について、「現実からかけ離れている」とし、「イスラエルは、非戦闘員に被害を出さないという、国際法の高い基準のもとに行動している」と説明したうえで、エリヤフ問題・遺産相の閣議への出席を凍結することを決めた。イスラエルは核を保有しているとされているが、否定も肯定もしない政策をこれまで貫いてきた。長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)によると、イスラエルは2023年3月時点で、90発の核弾頭を保有していると推定されている。アラブ連盟のアハメド・アブルゲイド事務局長は、原爆投下を一つの選択肢だとした発言を受け、「イスラエルが核兵器を保有している」証しだとし、そのことが「公然の秘密」になっていると指摘したうえで、原爆投下を容認する発言は「イスラエル人がパレスチナ人に抱いている人種差別的な見方を裏付けている」と非難した。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化と、パレスチナ自治区ガザでの戦闘状況の悪化が招く、国際社会全体の不安定さと危うさは増大する一方である。その結果として核兵器開発が容認され、核兵器使用・原爆投下の結果を招くことなど、万が一にもあってはならない。核兵器使用・原爆投下の未来には、決して進んではならないのだ。
これまで広島・長崎の被爆の実相を国際社会で訴え続けてきた被爆者が、「核兵器の非人道性」の国際理解を促してきた。この積み重ねがこれまで、広島・長崎を最後に、戦争での核兵器使用を阻み、現在までの歴史を紡いできた。人の命よりも尊いものなどない、そして人の命の尊厳を守ることが最も重要である。それが原水禁運動の原点であり、重要な理念だ。
そのことからも、国際社会における核兵器使用や原爆投下容認に向かうすべての動きに対して、私たちは明確に「NO」をつきつける。もう二度と、被爆の惨状が繰り返されるようなことなど、あってはならない。ロシアやイスラエルのように、核兵器使用を敵対する国への威嚇に用いることを、許すことはできない。
原水禁は改めて、核廃絶を訴える市民社会の声が重要であり、その声の高まりによって、世界全体での核廃絶と平和への大きな流れを作り出していくことを決意する。「核と人類は共存できない」、この理念の国際理解を深めていく原水禁運動の、着実な前進こそが今、最も重要であると考える。

2023年11月14日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成

オスプレイの日本国内での飛行禁止を求める

11月29日午後2時45分、米空軍横田基地所属のCV-22オスプレイ一機が、鹿児島県屋久島沖の海上に墜落した。米軍人らしき遺体も収容されている。国内では、2016年12月に米海兵隊普天間基地所属の MV-22オスプレイが沖縄県名護市の浅瀬に墜落している。その後も、米軍所属のオスプレイは、日本各地の民間空港に緊急着陸を繰り返してきた。

平和フォーラムは、2012年の普天間基地へのオスプレイ配備から一貫して反対し、その危険性を指摘してきた。これまでも米軍機は日本上空で傍若無人に振る舞い、1959年の沖縄県石川市(現・うるま市)の宮森小学校や1964年の大和市上草柳の鉄工所、そして1977年の横浜市青葉区の住宅への墜落事故など多くの市民の命を奪ってきた。今回の事故がもしも市民の生活圏内であったならば重大な被害を及ぼしたに違いない。米国政府および日本政府は、安全確保を最優先し、オスプレイの飛行停止を決断すべきだ。

オスプレイは、その開発段階から安全性が懸念され、重大事故を繰り返してきた。一昨年はノルウェーと米国カルフォルニア州で墜落、合計9人が死亡している。今年も8月にオーストラリアで墜落し乗員3人が死亡した。今回事故を起こしたCV-22 は、昨年8月クラッチの不具合での事故が相次ぎ、一時全機を飛行停止とした。今回、事故当時の天候は晴れ時々曇り風速1.9メートルと飛行に問題はないとされている。事故を目撃した市民の情報を集めると、断定はできないが「機材トラブル」が要因と考えられる。

オスプレイ配備以来、私たちの反対の声をよそに、米軍は、普天間基地に24機、横田基地に6機を配備し、日本全国を飛び回っている。また、2014年には安倍政権の下で、オスプレイ17機の陸上自衛隊への導入が決定、現在陸自木更津駐屯地に14機が暫定配備され、今後駐屯地を建設中の佐賀県佐賀空港へ配備されることとなっている。

オスプレイは10万飛行時間を越えて「クラスA」(死亡または200万ドル以上の損害)の事故率は、17年度 4.05、18年度5.84、20年度は6.58と毎年上昇している。「クラスB」(重い後遺症または 50万ドル以上の損害)の事故率は、2位の B-1爆撃機の 18.30を大きく引き離し35.70となっている。普通、事故率が年々上昇することはあり得ない。このことは、防衛省への交渉時に度々指摘し、根本的に欠陥があるのではないかと指摘してきたが。私たちの声に耳を貸さなかった。

平和フォーラムは、オスプレイの危険性と地域住民の命、そして運用する自衛官の命の重さを、日本政府は十分に認識し、日本国内でのオスプレイの飛行を禁止することを強く要請する。

2023年11月30日
フォーラム平和・人権・環境
代表 藤本泰成

 11月23日、志賀原発の重大事故を想定した石川県の原子力防災訓練が行なわれました。
志賀町で震度6強の地震が発生して2号機が外部電源を喪失、炉心冷却が不能となり放射性物質が南南東に拡散したという想定の下、住民ら約1700人が参加して実施されました。私たち原告団は社民党石川県連合や石川県平和運動センターなど4団体とともに監視活動を行ない、終了後抗議声明(下記)を発表しました。
この活動と併行して、同団体のメンバーたちは志賀町や羽咋市、宝達志水町の避難訓練実施地区で住民アンケートを実施しました。

《  抗 議 声 明  》

本日午前7時から志賀原発の重大事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故で原発の安全神話が崩壊し、大量の放射性物質が放出される重大事故もありうると国も認める中、「原子力災害の対応体制を検証する」ことが訓練の目的とされる。私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきたが、今回も事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.被ばく前提の避難計画
県の避難計画要綱や関係市町の避難計画の「目的」は「住民等の被ばくをできるだけ低減するため」と記しており、「被ばく回避」の文言はない。避難計画の根拠となっている原子力災害対策指針自体「被ばくをゼロにすることを意図しているものではない」と政府は国会審議の中で明言している。原子力規制委員会は「事前対策のめやす」として、福島原発事故の100分の1の規模となるセシウム放出100TBqに相当する事故に備え、「めやす線量」は、実効線量で100mSvの水準としている。本日の訓練で実施された屋内退避や避難、一時移転によって住民の被ばくは100mSvを下回ったとしても、決して被ばくを回避し、避難できたわけではない。
県や関係市町は避難計画が住民の被ばくを前提としていることを周知しているのか。住民はそれを納得しているのか。そもそも放射線審議会は公衆の被ばく線量限度を1mSv/年とし、原子炉等規制法も原発の設置許可の条件として公衆被ばく限度1mSv/年以下を求めていることを忘れてはならない。災害時を例外とするのは安全規制の骨抜きに他ならない。

2.「震度6強の地震想定」は言葉だけ
2007年の能登半島地震に続き、今年5月には珠洲市でも震度6強の地震が発生している。北陸電力は原子力規制委員会の審査会合で、志賀原発の周辺でいくつもの巨大な活断層が存在することを明らかにしており、「震度6強の地震発生」は決して過大な想定ではない。しかし訓練では志賀原発敷地外への影響は1か所の道路の寸断のみであり、明らかに地震被害を過小評価している。実際には多くの家屋が倒壊し、下敷きになった住民もいるかもしれない。死傷者も複数発生し、火災発生もありうる。道路の損壊も広範囲に、複数個所に及ぶ。津波被害も発生しているかもしれない。県や志賀町、あるいは周辺市町は地震の災害対策本部を設置しているはずである。消防や警察はこうした事態への対応で奔走している。こうした中での複合災害発生である。原子力災害への対応がどこまで可能か、真剣に検証すべきである。

3.服用のタイミングを逸するドライブスルー形式の安定ヨウ素剤配布
UPZ圏内の住民へ安定ヨウ素剤配布は容易ではなく、事前配布をするしかないのではないかと私たちは指摘してきた。こうした中、昨年度からドライブスルー形式での配布訓練が実施されているが、3つの問題点を指摘する。1つは服用のタイミングを逸する懸念である。安定ヨウ素剤の服用のタイミングは、放射性ヨウ素を吸入する24時間前から吸入後2時間とされる。ドライブスルー形式は、屋内退避していた住民がOILに基づいた避難指示を受け、避難行動の途上で安定ヨウ素剤を受け取ることとなる。住民は屋内退避の段階ですでに被ばくしており、吸入後2時間内の服用は困難ではないか。2点目は配布場所周辺での渋滞発生の懸念である。特にOIL1の場合は空間線量が500mSv/hを超えており、住民が殺到すると思われる。避難行動は遅れ、無用の被ばくに晒される。3点目は配布作業にあたる防災業務従事者の被ばく問題である。屋内からの手渡しでも被ばくは回避できないが、本日の訓練では、配布作業は屋外で実施されている。防護服を着用していても長時間被ばくのリスクに晒される。(修正しました)

4.形だけの要支援者避難
今回の訓練では、在宅の避難行動要支援者や高齢者施設に加え、障害者就労支援施設や病院でも避難訓練が実施される。きめ細かい災害対応に向けての努力は評価するが、全入所者、全入院患者の避難に向けた課題は多く残されている。原子力災害の特殊性を踏まえた、一人ひとりの個別避難計画を作成し、介護度や障がいの種類、病状に応じた受け入れ先と輸送手段を確保しなければならない。受け入れ先の施設も、原発事故に備えあらかじめベッドを用意し、人員を確保しているわけではない。複数の受け入れ候補施設を確保しておかなければならない。民間団体に輸送の協力を求める場合は、防護基準も明記した協定の締結が必要となる。模擬避難者による避難手順の確認より、個別避難計画の策定状況や見通しこそ明らかにすべきである。

5.軽視される原子力災害の特殊性
私たちは県や周辺各市町と原子力防災について意見交換を重ねている。この中で明らかになった問題点として、行政の防災担当者は概して他の災害との共通点に着目し、原子力災害の特殊性は切り捨てる傾向があることを指摘したい。一例として今回初めて実施されるペット同行避難の受入訓練を取り上げる。避難所でのペットの受入は他の災害でも共通する課題である。しかし原子力災害ではペットの被ばく・汚染、長時間かつ遠距離の避難行動という特殊性がある。避難退域時検査場所での検査こそ実施すべきである。避難バスでの同行も問題が多く、自家用車避難を原則としなければならない。事故発生の通報があった段階で極力屋内に留め、被ばくを回避することも大切である。飼い主に事前に周知すべき事が数多くあるが置き去りにされている。

6.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民が命や暮らしを脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。北陸電力は1年前、2026年1月の再稼働想定を公表したが論外である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

 2023年11月23日
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
さよなら!志賀原発ネットワーク
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議
社会民主党石川県連合

 

 

 

左は北陸中日新聞(11/24)

右は朝日新聞(同)

 

ガザへの総攻撃をやめよ!

双方に即時停戦を求める声明

10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスによるミサイル攻撃に端を発したイスラエル・ネタニヤフ政権による爆撃は、住民やけが人の避難先である学校や病院に、祈りの場である礼拝堂、挙句の果てには救急車にまで容赦のない無差別空爆が連日連夜強行されています。一日に450回を超えることもあり、水や食料、電気、燃料は完全に封鎖され、ガザ地区は「人道上の危機」に追い込まれています。市民は南部へ避難しろとイスラエル側は言っていますが、どこに避難する道や場所があるのでしょうか。ガザ地区は南北に完全に分断され、すでに10,000人を超える人命が奪われ(11/6現在)、半数が子供であるという。イスラエルでも1,400人余の尊い命を奪われている。

私たちはハマスの無差別攻撃や人質作戦を支持しません。しかし、ガザ地区は「天井のない監獄」と呼ばれ、種子島ほどの面積の中で220万人が押し込まれています。過去4回にわたる中東戦争を経て1993年、オスロ合意で「両国家併存」が合意されました。イスラエル国家の中でパレスチナ人と(ガザ地区とヨルダン川西岸)とイスラエル人の居住地が決められたのです。しかし、その後もイスラエル側は暴力的に住居や農地を奪う「入植」という方法で居住地域を広げていきました。それゆえ、合意から30年たってもパレスチナ国家は建国されず、これに反発するパレスチナ人は、イスラエルの圧倒的武力で押さえつけられ殺され続けてきたのです。

グテーレス事務総長は、すべての人質の解放を求めた一方、「ハマスによる攻撃は理由もなく起きたわけではない、パレスチナ人は56年間、占領下に置かれてきた」と発言しましたが、これが世界の常識なのです。イスラエル側はこれをテロ容認だ、辞任すべきだとまで批判しました。

国連安保理事会は、大国の利害衝突で何も決まらない状態に陥っています。それを打開するため国連総会では121か国の賛成で、イスラエルに対してガザ地区への支援物資の搬入を含め「人道的休戦」を決議しました。しかし、ネタニヤフ政権とアメリカ・バイデン政権はこれを無視し、「自衛権」を行使して無差別空爆と地上作戦を拡大し続けています。

私たちは、パレスチナ問題がどのように作られてきたのか、そして繰り返される武力衝突に国際社会はどのように対処してきたのか、今一度顧みなければなりません。

私たちは、イスラエルが直ちに「自衛権の行使」をやめて無差別殺戮をやめることを要求します。双方が直ちに停戦することを要求します。私たちはパレスチナで平和のために闘う労働者・市民と連帯します。イスラエルで「隣人を殺すな」と立ち上がった労働者・市民と連帯します。

全世界の労働者・市民と固く連帯してイスラエルによるガザへの総攻撃を止めるために奮闘することを声明します。

2023年11月14日

石川県平和運動センター

 

総会アピール(案)

 岸田政権は、米バイデン政権の要請を受け、昨年12月に安保三文書の改定を閣議決定し、歴代政権が掲げていた“専守防衛”さえ投げ捨てて「反撃能力」という名の先制攻撃を可能にしました。さらに、今後5年間で総額43兆円、GDP比で2%に膨れ上がる軍事費倍増を決め、この大軍拡方針の下で長距離ミサイル・トマホークの購入や日本各地での弾薬庫の整備建設、基地強化などを急ピッチで進めています。

 極東アジアにおいては、ロシアのウクライナ侵略を契機として「台湾有事」や朝鮮半島をめぐって、米・中対立が激しくなっており、東シナ海、南シナ海へ軍事進出を強める中国を念頭において、日本政府は、対中国軍事包囲網づくりを積極的に担っています。また自衛隊はAUKUS(米・英・豪)やQUAD(米・日・豪・印)で連携を取りながら、米軍以外の軍隊とも合同軍事演習を繰り返しています。これに対抗して中・ロの権力者は、日本海周辺で軍事行動を活発化し、北朝鮮の金正恩政権はミサイル発射を続け、中・ロ・北と日・米・韓の軍事的対立は核戦争の危機を一層高めています。

 本年8月から9月にかけて防衛省が小松基地を拠点に強行したF35A戦闘機によるイタリア空軍、オーストラリア空軍と自衛隊との初めての多国間共同訓練は、まさにこうした「台湾有事」を想定した戦争準備に他なりません。私たちはこうした戦争準備を許さず、小松基地へのF35Aステルス戦闘機の配備に反対していきます。

 また、「GX実現にむけた基本方針」によって、原発政策を大転換し、再稼働推進と新増設、運転期間の制限撤廃を行い、老朽原発の再稼働を強行しています。 本年3月3日、原子力規制委員会は岸田政権の意向を受ける形で、志賀原発直下の敷地内断層について2016年に有識者会合が示した「活断層は否定できない」とする判断を覆しました。これを受け、北陸電力は志賀原発の再稼働に向けて弾みをつけようとしています。私たちは、3.11の福島原発事故を決して忘れることなく、志賀原発の廃炉に向けて、改めて闘いを強化しなければなりません。

 岸田首相は自民党総裁として任期中の「改憲」を公言しています。衆参両院で改憲派が3分の2以上を占めており、いつでも改憲案を発議しうる非常に危険な状態にあることは否めません。憲法第9条に自衛隊を明記し、緊急事態条項を新設するために、「戦争をする国」づくりの総仕上げに乗り出しています。ロシアによるウクライナ侵略は依然として続いています。私たちはロシア軍の即時撤退を強く求め、世界の仲間と共に反戦平和の運動を前進させていこうではありませんか。以上アピールします。

2023年9月27日

石川県平和運動センター第24回定期総会参加者一同

 

2023年9月1日

陸上自衛隊第14普通科連隊

連隊長 田村 秀樹 様

石川県憲法を守る会

代表委員 岩淵 正明

石川県平和運動センター

共同代表 廣田 美智代

金沢地区平和運動センター

議  長   徳野 悦子

社会民主党石川県連合

代  表   盛本 芳久

社会民主党石川県連合第一区支部連合

代  表   山本 由起子

(公  印  省  略)

金沢市街地における(武器を携行した)徒歩行進訓練の中止を求める申入れ

 来る9月7日夜間より翌朝にかけて、貴連隊が徒歩行進訓練を行う旨、金沢市に通知されました。情報に依れば、新隊員特技課程及び一般陸曹候補生課程後期教育として、約80人の隊員が、弾薬を充填しないものの小銃を携行し、内灘海岸権現森海水浴場付近から海岸線を経由し、犀川河川敷を三小牛山演習場、金沢駐屯地へと行進します。これに、車両5両が伴なうとしています。

 遡ること同訓練は、2007年9月に内灘、小松地区とともに、羽咋地内から海岸線を経由し、金沢市内の幹線道路を行進する訓練として計画実施されました。特に、市民生活が営まれている公道を、白昼小銃を携行する武装隊員が行進することは、市民生活の平穏を乱し、なし崩し的に社会に軍事が入り込むことを企図する点で看過できないものでした。

 その後、行進訓練は、市街地の幹線道路を避け、犀川河川敷を通行することに変更されましたが、今回10年ぶりに金沢駐屯地における徒歩行進訓練が計画されていることは、安保関連三文書の改訂、敵基地攻撃能力保有、軍拡増税などの「戦争する国」づくりを背景とする軍事行動の一環として容認できません。

 こうした訓練が、白昼堂々と住民の目の前で行われることは、平時から地域社会に有事を想定した軍事思想をふりまき、軍事優先体制に住民をなし崩し的に巻き込むものに他なりません。私たちは、こうした軍事行動を、日本国憲法の空洞化をさらに加速させる暴挙として到底看過することが出来ません。

 よって、本市市街地での徒歩行進訓練を中止されるよう求めます。

 集会アピール(案)

 2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故では、通常運転時の管理目標値を はるかに上回る大量の放射性物質が放出されました。たった一度の大事故で広い範囲 にわたって町や村が、そして海も農地も山林も放射能で汚染されて、今も帰還困難区 域が残っています。その後、メルトダウンした原子炉からも廃炉作業現場からも放射 能が漏れ続けているのが現状です。 現在、問題になっているのは福島原発サイト内で大量に貯蔵されている放射能汚染 水の処分方法です。政府と東京電力は、取り除くのが困難な放射性物質が残っている 汚染水を「処理水」と称して、海洋放出すなわち海洋投棄しようとしています。

政府は2021年4月、「処理水」を海洋放出して処分することをすでに閣議決定して いました。この決定は、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という文 書による約束をほごにし、福島県の7割の自治体会議の反対・慎重の意見書や多くの 福島県民をはじめとする市民の反対の声を無視するものでした。 原子力市民委員会など多く市民団体が汚染水の海洋放出の危険性を指摘し、代替案 の提案をしてきたにもかかわらず、政府はそれらを真摯に検討することなく「海洋放 出の結論ありき」を変えず、ついに今月末にも放射能汚染水の海洋放出=海洋投棄を 強行しようとしています。いったん海に放出してしまえばもう取り返しはつきません。 しかも、放出される放射性物質の総量は明らかにはされておらず、30年程度と言わ れている放出期間も実際にはどうなるのか分かりません。 国際原子力機関(IAEA)が海洋放出を正当化する報告書を出し、地元マスコミは安 全PRを連日流し、「理解醸成を図るため」として政府閣僚が相次いて東北を訪問。に もかかわらず、福島県漁連をはじめ隣接県の漁連などは反対の姿勢を堅持しています。 漁業関係者だけが「関係者」ではありません。「放出ありき」の政府の強行姿勢に対 する反対の声は、国内各地からも、近隣諸国や太平洋の国々からもあがっています。 全国各地で連日、「放射能汚染水を海に流すな!」と抗議行動が続き、8月17日に は【貯蔵中の汚染水の海洋放出方針を撤回し、地上でも保管と固化方針への切換えを 求める署名】提出および政府交渉が行われ、翌18日には【汚染水を海に流すな!8. 18首相官邸要請行動】が行われています。 私たち【ストップ放射能汚染水放出!!緊急アクション】参加者は、この学習会で 海洋放出の問題点・トリチウム危険性を学び、代替案によって「海洋放出阻止は可能」 であることを確認し、あらためて海洋放出の阻止にむけて決意を新にしたところです。 北陸からも全国の仲間と連帯して「これ以上、海を放射能で汚すな!」の声をあげ ていきましょう。

2023年8月19日

【ストップ放射能汚染水放出!!緊急アクション】参加者一同

 

2023年8月2日

航空自衛隊小松基地

司令 石引 大吾 様

        (小松基地爆音訴訟)ピースセンター小松

小松・能美地区平和運動センター

加賀平和運動センター

石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

社民党石川県連合

(団体の公印省略)

申 入 書

 空自小松基地は、8月2日~10日イタリア空軍と、8月23日~9月15日オーストラリア空軍と共同訓練を実施すると発表した。この共同訓練は、対中国、「台湾有事」を想定した「戦争訓練」に他ならず、断固として反対します。

「戦争放棄と戦力不保持」の憲法を持つ日本の岸田首相は、すでに2回にわたってNATO会議に参加し、対中国の軍事包囲網と「台湾有事」に対する「軍事的連携」という「戦争」あおりの先頭に立っています。今回のイタリア空軍及びオーストラリア空軍との共同訓練は、その一環であることは言うまでもありません。

さらに小松基地には、2025年からF35Aステルス戦闘機の配備計画が発表されており、今回の両空軍のF35Aステルス戦闘機の参加は、敵地へ奥深く侵入するための訓練に他なりません。これらは、小松市民や周辺住民を爆音に晒し、「墜落」の危険性のなかでの生活を強いるものです。

よって以下のように申し入れます。

1 8月2日~10日イタリア軍と、8月23日~9月15日オーストラリア軍と行う共同訓練は「対中国の軍事包囲網」であり「台湾有事」を想定した「参戦訓練」である。よって、ただちに中止すること。

2 小松基地へ25年に4機、26年に8機、28年までに20機のF35Aステルス戦闘機の配備計画は、上記と同様の理由により即時中止すること。

3 日・伊、日・豪 共同軍事訓練は10.4協定の明らかな違反である。「日米共同訓練に関する協定書」を一方的に援用することは許されない。断固反対する。

4 民活を旗振り役にしながら、なんら諸条件をクリアできない「滑走路2本構想」の真の目的は、過去の例から見ても小松基地の軍事機能強化以外にはない。断固反対する。

                                      以上

2023年8月2日

小松市長 宮橋 勝栄 様

        (小松基地爆音訴訟)ピースセンター小松

小松・能美地区平和運動センター

加賀平和運動センター

石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

社民党石川県連合

( 公 印 省 略 )

申 入 書

 空自小松基地は、8月2日~10日イタリア空軍と、8月23日~9月15日オーストラリア空軍と共同訓練を実施すると発表した。この共同訓練は、対中国、「台湾有事」を想定した「戦争訓練」に他ならず、断固として反対します。

「戦争放棄と戦力不保持」の憲法を持つ日本の岸田首相は、すでに2回にわたってNATO会議に参加し、対中国の軍事包囲網と「台湾有事」に対する「軍事的連携」という「戦争」あおりの先頭に立っています。今回のイタリア空軍及びオーストラリア空軍との共同訓練は、その一環であることは言うまでもありません。

さらに小松基地には、2025年からF35Aステルス戦闘機の配備計画が発表されており、今回の両空軍のF35Aステルス戦闘機の参加は、敵地へ奥深く侵入するための訓練に他なりません。これらは、小松市民や周辺住民を爆音に晒し、「墜落」の危険性のなかでの生活を強いるものです。よって以下のように申し入れます。

1 8月2日~10日イタリア軍と、8月23日~9月15日オーストラリア軍と行う共同訓練は「対中国の軍事包囲網」であり「台湾有事」を想定した「参戦訓練」である。よって、ただちに中止すること。

2 小松基地へ25年に4機、26年に8機、28年までに20機のF35Aステルス戦闘機の配備計画は、上記と同様の理由により即時中止すること。

3 日・伊、日・豪 共同軍事訓練は10.4協定の明らかな違反である。「日米共同訓練に関する協定書」を一方的に援用することは許されない。断固反対する。

4 民活を旗振り役にしながら、なんら諸条件をクリアできない「滑走路2本構想」の真の目的は、過去の例から見ても小松基地の軍事機能強化以外にはない。断固反対する。

5 ふるさと納税の返礼品に「航空祭駐車券」を加えたことに断固抗議する。

航空祭とはいえ、その内実は軍備の誇示であり軍事パレードに近いものである。平和主義の見地からは軍事礼賛するような、この様な返礼品の対応は断じて許されない。

                                      以上

放射能汚染水の拙速な海洋放出に反対する原水禁声明

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 泰成

 7月4日首相官邸において、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、過酷事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の冷却によって発生するトリチウムなどの放射性物質を含む放射能汚染水の海洋放出計画について、「計画は国際的な安全基準に合致する」「人体や環境への影響は無視できるほど」とした報告書を、岸田文雄首相に手交した。日本政府は、「報告書の内容を踏まえ、国内外への理解を求めながら、今夏としている放出開始の具体的時期を決定する」としている。

2015年8月、政府・東電は、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と、福島県漁業協同組合連合会へ文書で約束をしている。政府は、風評被害に対して300億円、漁業継続支援として500億円基金を設け、東電も風評被害への賠償基準を公表した。しかし、福島県漁連は、6月30日の大会においても「海洋放出反対はいささかも変わらない」との決議を全会一致であげ、全国漁業協同組合連合会も毎年反対の決議をあげている。また、宮城県や茨城県など福島県近隣や北海道の漁業者からも海外輸出への影響などからきびしい反対の声が聞かれる。海外においても、韓国ユン・ソンヨル政権は報告書を尊重するとしたものの、最大野党の「共に民主党」や漁業者など市民団体がこぞって反対している。韓国内の世論調査では反対が78%という数字も公表され、ユン・ソンヨル政権での政治課題になっている。中国外務省も「IAEAの拙速な判断は遺憾」として「報告は放出の『通行証』とはならない」と主張している。太平洋諸国で構成される「太平洋諸島フォーラム」のプナ事務局長も「更なる対話が必要」との声明を発出した。

東電は、国内外にトリチウム除去技術の公募をおこない、国内42件、海外23件の応募があったと発表している。近畿大学では、ベーマイト処理をおこなった多孔質フィルターでのトリチウム除去技術の開発が行われており、政府・東電が主張するようにトリチウムは決して除去できないものではない。また、海洋放出以外にも地中挿入、水蒸気放出、電気分解による水素放出、固化した後の地下埋設など様々な方法が存在する。それらがどう検討され、どのように海洋放出という安易で安価な方法を選択したのか、それらのプロセスは透明性のあるものとは言えない。

原水禁は、①トリチウムは除去できる、②反対が多い海洋放出以外の手段を検討すべき、③廃炉作業の目処が立たない中では当面タンク増設用地が確保できる、④地下水の減量化に努力すべき、⑤汚染水を希釈しても放射性物質の総量は変わらない、⑥廃炉の目処が立たない中で、汚染水放出の総量や期間が確定できていない、⑦広大な太平洋における環境汚染へのモニタリングが不十分、⑧国内外の反対が強い、⑨安全操業への途を模索してきた漁業者のこれまでの努力に応えていない、⑩トリチウムの人体への安全性は確立していない、など様々な理由から現時点での海洋放出に強く反対する。

2021年のNHKが実施した、福島県民を対象とした世論調査では、説明や対話が不十分と答えた者は、どちらかと言えば不十分を含めて65.6%に上っている。これまで実施された政府の説明会は、一方的な説得としか映らないもので、県民の声を聞く真摯な姿勢にはほど遠い。すでに「安全神話」の崩壊による過酷な原発事故を経験した福島県民にとっては、「安心」とは程遠い状況であることは言うまでもない。

原水禁は、政府や東電が自らの責任を踏まえ、福島県民・漁業者の反対の声に耳を傾け、拙速に安易な海洋放出を選択することなく、全ての人が納得できる最良の途を模索していくことを強く要請する。

憲政史上最悪の

第211回通常国会閉会にあたって【6.21声明】

    本日閉会した第211回通常国会は、最終盤で岸田総理の解散を巡る発言に振り回され、与野党ともに浮足立った。衆院解散について問われた岸田総理は「いろいろな動きがあることが見込まれ、情勢をよく見極めたい」と発言するなど、野党による内閣不信任決議案の提出をけん制し、解散があり得るような思わせぶりな発言をするばかりか、解散権を弄ぶように含み笑いを見せるなど、あってはならない不遜な態度であった。

    今通常国会で成立した「防衛力強化財源確保特措法」は、歴代政権が戦後一貫して否定してきた敵基地攻撃能力の保有や、防衛関連の予算を国内総生産(GDP)比2%へ倍増させることを明記した安全保障関連三文書の裏付けとなる財源を示すものである。決算剰余金や歳出改革で賄うとしているが、税収に左右される決算剰余金は恒常的な財源とはなり得ないばかりか、歳出改革の具体策も示されていない。今回の法案には含まれない増税分は、東日本大震災の被災地復興に充てる復興特別所得税や法人税、たばこ税の増税を打ち出しているが、国民の理解はまったく得られていない。憲法審査会では、緊急事態条項や国民投票法などが議論されたが、平和フォーラムは審査会の傍聴を重ねるとともに野党議員への働きかけを通じて、改憲に向けた議論の進捗に一定の歯止めをかけている。

    今後10年間の温暖化対策の中心に位置づける「GX推進法」では、制度の導入は早くても2028年度からに留まり、2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減という目標に間に合わないことは明白である。「GX脱炭素電源法」では、現行の運転期間の上限である60年を超えた原発の運転容認を定めたもので、国民的な議論も無いまま拙速な原発の積極活用への転換は、断じて容認できない。

    マイナンバーの活用を進めようとする「改正マイナンバー法」では、現在の健康保険証を来秋に原則廃止としているが、強引な政府方針に多くの国民が反対の意思を示している。マイナ保険証を巡っては、他人の情報がひも付けられるなどのトラブルが相次いで発覚していることを踏まえれば、いったん白紙に戻して再考を決断すべきである。さらに異次元の少子化対策では、児童手当の拡充などの施策を示しているが、増税を含めた新たな負担はないと繰り返すばかりで、その財源については曖昧なままである。「入管法」の審議の過程では、全国の多くの仲間が「入管法改悪反対」「難民の人権を守れ」などと書いた横断幕やプラカードを掲げ、スタンディング行動やデモ行進、集会などを取り組んだが、十分な審議が尽くされないまま強行採決された。

    こうした数多くの問題ある法案が成立した第211回通常国会は、憲政史上最悪の国会であったと言えよう。法案を裏付ける財源の議論でも政府・与党の姿勢は、議論そのものを先送りする不誠実さであった。岸田総理は施政方針演説で「国民の前で正々堂々と議論する」と約束したことを忘れてはならない。後半国会は解散の有無が焦点となり、選挙を念頭に増税を含めた議論を避け、先送りが繰り返される国民不在、国会軽視の運営であった。国会での白熱した議論なくして国の未来はない。その責任は与野党ともにあったことを指摘する。

    第211回通常国会の閉会にあたって、平和フォーラムは引き続き生活者の視点で、国民が主役となる政治を取り戻すために、引き続き国会対策や大衆運動の展開を追求する。

2023年6月21日

フォーラム平和・人権・環境

共同代表 藤本泰成

共同代表 勝島一博

 

被爆78周年「反核・平和」白山地区集会アピール(案)

5月19日から21日に被爆地広島で初めてG7サミットが開催され、議長国としてこの広島サミットを開催した岸田首相は「核なき世界」にむけ大きな成果があったと強調しています。しかし「首脳宣言」では、2021年に国連で制定された核兵器の廃絶にむけた「核兵器禁止条約」のことが一言も触れられていません。ロシアの核威嚇や中国の核軍拡を非難していますが、G7各国の核保有は「抑止力」として正当化しています。実際には「核抑止力」をより強めることを確認する場になったと言わなければならず憤りを禁じ得ません。被爆者からは、広島が「利用された」「踏みにじられた」との怒りの声が聞こえています。

世界で唯一の戦争被爆国である日本が、「核兵器禁止条約」を批准していないだけでなく、米国の「核の傘」の下、バイデン政権の要請に基づいて「抑止力、対処力」を一層強化していることは許しがたいことです。

米・中対立が激しさを増す中、「台湾有事」を想定した日米一体の軍事訓練が強化され、南西諸島ではミサイル配備が急ピッチに進められています。ロシア・プーチン政権はベラルーシへの核配備を始めています。欧州や東アジアにおいて「抑止力」の名による「核戦争」の危惧が高まっています。

一方、福島原発事故から12年が経過しましたが、原子力緊急事態宣言は発令中であり、事故収束のメドはたっていません。1号炉では圧力容器を支えている台座が大破しており、いつ「崩壊」してメルトダウンになるか危険な状態が続いています。

「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定した岸田政権は、3.11フクシマ事故以降に「原発の依存度を低減」するとしていた原発政策を180度転換し、再稼働の推進と新増設、運転期間制限の撤廃など「最大限活用」に舵を切りました。原子力規制委員会はこれを受けて「最長60年の規制撤廃」を異例の多数決で決め、老朽原発の稼働延長を決定したのです。さらに、志賀原発の敷地内断層についても2016年に有識者会合が示した「活動性は否定できない」との判断を覆し、原子力規制委員会は原発推進の一機関になったと言わざるをえません。

ロシアによるウクライナ侵略では、ロシア軍が原発を占拠して「核の盾」としました。また、プーチン政権は「核兵器使用」をほのめかし脅しを続けています。これに対して各国の権力者は軍事同盟を強化して「核抑止力」で対抗しようとしており、まさに「核戦争の火種」がくすぶっている状態と言えます。

被曝から78年目をむかえた私たちは、「核のない平和な世界」をめざし、いまこそ「核抑止論」の無意味さをあばきながら、「核戦争反対!」「核恫喝をやめろ!」と声を大にして訴え、「核兵器の廃絶」を実現しなければなりません。そのために世界の仲間と連帯して闘おうではありませんか。

2023年6月20日

被爆78周年「反核・平和行進」参加者一同

 

ウクライナへの武器輸出の拡大を危惧する

日本政府は武器ではなく人道援助の拡充を

    岸田文雄首相は 5 月 21 日、ウクライナのゼレンスキー大統領と広島で会談し、自衛
隊車両を提供するなどウクライナ支援を拡充すると約束しました。同日、防衛省が公表
した「ウクライナへの装備品等の提供について」によれば、1/2t トラック、高機動車、資
材運搬車を合計100台規模で提供するとしています。高機動車は不整地走行性能が高く、被弾しても走行できるタイヤ特性を持つ車両です。後方支援だけではなく、戦場から戦場への兵員輸送、重火器、弾薬輸送などの戦闘支援に日本の「防衛装備品」が利用されることになります。これまでもウクライナに対しては、2022 年 3 月以来、防弾チョッキ、ヘルメット、小型ドローンなどが提供されてきましたが、軍用車両が現に紛争をしている当事国に提供されるのは初めてのことです。

    そもそも日本政府は、アジア・太平洋戦争後半世紀以上に渡り、武器の輸出を原則禁じていました。1967 年 4 月、当時の佐藤栄作首相が国会で、①共産国、②国連決議により武器等の輸出の禁止がされている国、③国際紛争中の当事国またはそのおそれのある国に武器輸出してはならないと答弁して以降、日本政府の運用基準として「武器輸出三原則」が定着していました。しかし、安倍晋三元首相が 2014 年 4 月に、武器の輸出入を原則認める「防衛装備移転三原則」の方針を決定して以降、2015 年には武器等の技術開発の助成を目的とした「安全保障技術研究推進制度」がはじまり、国際武器見本市の開催や出展など、武器輸出入を念頭に置いた政府の動きが加速しました。日本学術会議の会員候補 6 人の任命を菅義偉首相(当時)が拒否したのは、同会議が武器技術の開発に反対し、安全保障技術研究推進制度に抗議の意思を示したことが理由と思われます。

    その後、武器等を他国と共同開発し、武器輸出入をさらに拡大していくこと、また規
模が縮小していた国内の軍需産業を支援するために、岸田首相が 2022 年 12 月、安保三文書でこの防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを検討すると明言しています。見直しにむけた協議が続く政府与党内では、殺傷能力のある装備品を輸出できるようにする意向すら示されています。

    敵基地攻撃能力の保有と軍事費の大幅拡大の上に進められる武器輸出の緩和は、断じて許されません。ウクライナ支援を口実にしての「幅広い防衛装備品の移転」つまるところ攻撃的な兵器の輸出は、平和憲法をないがしろにし、国際紛争を助長させるものでしかありません。
平和フォーラムは、日本が「死の商人」となることを許しません。岸田政権が進める武
器輸出の緩和を阻み、ウクライナへの人道支援の拡充を政府に強く求めるとりくみを力強くすすめていきます。

2023 年 5 月 25 日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 藤本泰成
共同代表 勝島一博

原水禁石川総会アピール(案)

5月5日、珠洲市を襲った震度6強の地震は、死傷者・住宅倒壊・断水等の被害をもたらし、余震は今なお続いています。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて、メルトダウンから12年が経過した福島原発では、未だに原子力緊急事態宣言は発令中であり、一号炉では、圧力容器を支えているコンクリート製の台座が大破しており、いつ「崩落」してメルトダウンになるか分からない危険な状態にあります。さらには、汚染水の海洋放出など、まだ多くの問題が残されています。

こうした中で岸田政権は、2月10日に「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、3.11フクシマ以降に「原発の依存度を低減」するとしていた原発政策を180度転換し、再稼働の推進と新・増設、運転期間の延長など「最大限活用」に舵を切りました。そして2月13日、原子力規制委員会は、「最長60年の規制撤廃」を異例の多数決で決め、老朽原発の稼働延長を決定したのです。

奥能登の群発地震をはじめ、日本全土で地震が多発していますが、原発推進の一機関となった原子力規制委員会は3月3日、志賀原発の原子炉直下の断層を「活動性は認められない」として、2016年に有識者会合が示した「活動性は否定できない」を覆したのです。それを再稼働させようとする規制委員会・北陸電力の「無責任さ」を見逃すことはできません。

一方、昨年2月のロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略は、原発攻撃が「核戦争」を現実のものにする危険性があると世界を震撼させました。しかし各国の権力者は、「ウクライナのようにならないため」として、労働者・市民を監視・弾圧し、軍事同盟の強化と軍事費増大をすすめ、世界戦争の危機に拍車をかけています。

米・中対立が激しくなっている今日、岸田政権による原発政策の大転換は単なるエネルギー問題にとどまらず、日本の潜在的な核保有能力の維持を狙っていることを見ておかなければなりません。世界で唯一の戦争被爆国である日本が、2021年1月に発効した国連の「核兵器禁止条約」を批准していないだけでなく、米国の「核の傘」の下で「抑止力、対処力」なる戦争準備を一層強化しているのが、「平和の使者」を装った岸田政権といわなければなりません。

被曝78年目を迎えた私たちは、「核のない平和な世界」を実現するために、そして「核兵器の廃絶」に向け、ねばりづよく声を上げ世界の仲間と連帯して闘っていくことを確認し、総会アピールとします。

                                                                                                                      2023年5月16日

                                                                    2023年度原水禁石川県民会議総会参加者一同

 

集会アピール(案)

本日、日本国憲法施行76周年を迎えました。しかし、日本の平和主義は岐路に立たされています。

岸田内閣は、政権基盤である右派勢力に突き動かされるように平和憲法の実質的な破壊へと大きく舵を切っています。昨年末の安全保障三文書改訂が「専守防衛の範囲内」であり、「国是は堅持している」との首相の言説は、今や悪質なデマです。敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えて国民を欺き、敵国と見做す相手国のミサイル発射着手をどう判断するかによっては、日本が先制攻撃により戦端を開く可能性すら否定できません。日本の参戦国家化です。

政府は、辺野古をはじめ米軍基地建設に頑強に抵抗を続ける沖縄県民を力づくで押さえつけながら、南西諸島をミサイル要塞へと変貌させています。全国各地の米軍・自衛隊基地では、歯止めなき日米の軍事一体化が常態化しています。沖縄の前線基地化は、再び戦争の惨禍に県民を巻き込むことを意味します。全国への波及は必至です。

中国の習近平指導部は、東・南シナ海で軍事拠点をつくり、中距離ミサイル配備で軍事力の強化を図り、「台湾統合」では武力行使を辞さない姿勢を崩していません。こうしたなかで政府・防衛省は、「中国・北朝鮮脅威論」、「台湾危機」を煽り、ロシアのウクライナ侵略を悪用し、集団的自衛権の名による日本の参戦国家への道を国民に受け入れさせようとしています。そのために、マスコミを総動員して巧妙に執拗に世論誘導を画策しています。

軌を一にして、改憲勢力は、憲法への緊急事態条項の創設、第9条への自衛隊明記を目指し、衆参両院憲法審査会での改憲発議への策動を加速しています。

「武力で平和はつくれない」 今こそ、歴史の教訓に学ぶ時です。

安全保障三文書の改訂は、軍事同盟であるNATO諸国並みにGDP比2パーセントの軍事費を目指すものです。アメリカの攻撃型兵器の爆買いと共に、国産の軍事産業の再興をも打ち出しています。この大軍拡は、経済・社会全体の軍事化を促します。福祉・社会保障を根こそぎ吹き飛ばし、国民の生存権を脅かします。さらには、学問研究・文化・教育を統制のもとに置き、基本的人権、平和のうちに生きる権利を抑圧します。

憲法が「戦争準備」で踏みにじられるなか、「核超大国」の英、米、仏、中、露(北朝鮮)が対立することは、深刻な核戦争の危機にあることを感じないわけにはいきません。

私たちは、これら憲法の平和主義を破壊する諸策動を決して許すことはありません。日本学術会議を統制しようとする法改訂は、学術界の広範な抵抗により頓挫しました。石川の地においても、小松基地爆音訴訟は、第7次訴訟の提起に向けて新たな体制が動き始めています。また、金沢市庁舎前広場での護憲集会不許可違憲訴訟は、最高裁の多数意見により棄却されました。強く抗議します。しかし、集会の自由を尊重せよとの宇賀克也裁判官の核心に触れる反対意見があったことを明確にしておかなければなりません。

本日、76回目の憲法記念日を迎え、私たちは護憲集会に結集しました。全国の労働者・国民・市民による改憲阻止の運動の連鎖で包囲しましょう。

アジアで再び戦火を起こさせない!「核戦争」の危機をつくらない!石川県憲法を守る会は、石川の地から連帯し、立ち上がることを誓い合い、ここに集会アピールとします。

                                                                                      2023年5月3日 護憲集会参加者一同

 

 

2023. 3.20

「金沢市役所前広場使用不許可違憲!」訴訟

最高裁の不当判決糾弾!(抗議声明)

石川県憲法を守る会

代表委員 岩淵 正明(弁護士)

同   宮岸 健一(石川県平和運動センター共同代表)

同   盛本 芳久(社民党石川県連合代表)

同   澤  信俊(金沢星稜大学名誉教授)

「金沢市庁舎前広場護憲集会不許可事件」最高裁判決に対する抗議声明

 2月21日、最高裁判所は第3小法廷において、上告を棄却する判決を言い渡しました。私たち石川県憲法を守る会は、4人の判事による多数意見により上告を退けたことに対し憲法擁護の立場から強く抗議します。

多数意見は、憲法が保障する基本的人権において、最も中核的な権利である表現の自由の制限を、行政裁量権を優越させることにより合法・合憲としていることは看過できません。

しかしながら、今判決言い渡しは、通知文書により棄却する通例とは異なる扱いとなりました。それは、上告受理申し立てを棄却する際、判事の一人宇賀克也裁判官(行政法学者)が反対意見を述べており、本件上告申し立てに際しても、差し戻しを主張する強い反対意見を述べていることによるものと考えられます。

宇賀克也判事の反対意見では、「原判決は破棄を免れない 国家賠償法上の違法性及び損害額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのが相当である。」と言い切りました。

その論拠として、市庁舎前広場は、その形状、位置、利用実態、市庁舎前広場管理要綱が存在したことから、庁舎とは区別された公共用物であると認めたうえで、市の事務又は業務に支障を及ぼさない範囲で、空間的・時間的分割使用を認めるべきであるから、管理規則の適用を前提とすることには賛同できない。

 また、不許可理由は結局のところ、「政治的中立性」への疑念が市の事務・業務に支障を及ぼすおそれに尽きるとし、その抽象性によって不許可の「正当な理由」とはなり得ず違法であり、原判決は破棄を免れないと明示しました。

 さらには、訴訟の場では30年ぶりといわれるパブリック・フォーラム論を展開し、管理規則を適用した不許可処分は憲法第21条1項に違反しており、原審の判断には憲法の解釈適用を誤った違法、法令違反があるため、原判決は破棄を免れない。

その文面から、多数意見への憤りをぶつけるかのような激しく厳しい批判を展開しています。

これらの論点は、2017年の提訴以来、法廷での主張、意見陳述、尋問、学者論文等の提出を通じて、私たちがこの問題を立憲的に判断するように求めてきた諸点があますところなく取り入れられたものです。地裁判決、高裁判決、最高裁多数意見に一貫する権力擁護のための憲法規範の軽視とな一線を画しており、まさに胸のすくような反対意見を引き出したということができます。

私たち石川県憲法を守る会は、この6年間、市庁舎前広場こそ、護憲集会に相応しいとの考えを貫き、金沢市に対して使用許可申請を出し続けてきました。集会の開催を実態化させる努力を弁護団との連携の下、粘り強く行っても来ました。節目での市民集会、良識ある判決を求める市中デモ行進にも幾度となく取り組んできました。そうした足元での憲法破壊を許さない闘いが、最高裁をして反対意見を明記した判決書を手交させる局面を切り拓いたものと確信します。

 私たちは、金沢市に対し、さらには全国の自治体当局に対し、憲法の保障する表現・集会の自由の重さを再認識し、公共的な施設における表現の自由の促進に力を入れるように求めるものです。

 国会の数の力で、改憲の発議を目論む動きが加速しています。また敵基地攻撃能力保有など実態改憲の動きは暴走しています。このような時代状況であるからこそ、私たちは憲法規範の体現を政治・行政に求め、人権保障のための自らの闘いをさらに進める覚悟です。

以上、声明とします。

【関連資料】宇賀克也判事の反対意見の論旨

その1、本件広場は公共用物である

 旧広場の管理には、庁舎管理の例外として「庁舎前広場管理要綱」を定め、本市の事務事業の執行に支障のない範囲で市民の利用に供させるものと定められた。庁舎建物とは区別された公共用物として、一般の利用に供されたと考えられる。

本件広場は、改修工事により従前以上に市民の憩いの場として利用されることを目的として整備されたものと伺われる。旗、のぼり、プラカード、立て看板を持ち込む行為が原則として禁止されることとは適合しない。来庁者及び職員の往来に供されることも予定された施設であるとはいえ、そのことを主たる目的とする施設であるとは考えられない。

したがって、本件広場は、本件規則第2条の「庁舎等」には含まれず、公の施設として地方自治法第244条の規定の適用を受けるか、又は公の施設に準ずる施設として同条の類推適用を受けると解するべきである。

その2、公用物と公共用物の区別は常に截然としてできるわけではない。公用物と公共用物の性格には、グラデーションがあり、単純な二分法を用いることには、疑問がある。公用物や利用者の限定された公共用物であっても、空間的・時間的分割により広く一般が利用可能な公共用物となることがある。

公用物は公用物としてしか利用し得ないという論理は、行政の実態とも適合せず、本件広場の利用実態等を十分に吟味せず、本件広場への本件規則の適用を前提とすることには賛同し難い。

その3、 不許可につき政治的中立性は「正当な理由」とは認められない。

 30分程度で300人の使用、祝日開催で執務に影響を与えることはない。

 集会許可により、被上告人に苦情・抗議が寄せられた実例があるとの主張はなく、苦情・抗議のおそれは、過去の実例のもとづく具体的なものではない。

 結局、不許可の理由は、市民が被上告人の中立性に疑問を持ち、被上告人の事務又は業務に支障が生ずる抽象的なおそれがあるということに尽きる。しかし、それが「正当な理由」には当たり得ないと考えられるから、本件不許可処分は違法であり、原審の判断に違法があり、原判決は破棄を免れない。

一般職の公務員による法の執行に政治的中立性が要請されることは当然であるが、首長や議員は、特定の政策の実現を公約して選挙運動を行い当選しているものであり、市長や市議会議員が立案して実行する政策が政治的に中立であることはあり得ない。

被上告人の政策を批判すること自体は、民主主義国家として健全な現象といえ、否定的にとらえるべきではない。極端な抗議行動や妨害の場合が抽象的にあり得ることを理由として、本件広場の使用を許可せず、集会の自由を制限することは角を矯めて牛を殺すものといわざるを得ない。

その4、 パブリック・フォーラム論から(予備的な見解)

いわゆるパブリック・フォーラム論に基づき、本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用することは、憲法第21条1項に違反しており、したがって本件規定を不許可処分理由として援用できないこととなる。原審の判断には憲法の解釈適用を誤った違法、法令違反があり、原判決は破棄を免れない。

本件広場は、形状、位置及び利用の実態に鑑みれば、パブリック・フォーラムとしての実質を有すといえる。パブリック・フォーラムにおける集会でなされるおそれのある発言内容を理由に不許可にすることは、言論の自由の事前抑制になるので、原則として認められるべきではない。本件規定が念頭に置いていると考えられるような抽象的な支障による不許可を認めれば、その時々の市長の政治信条次第で「見解による差別」を認めることになりかねない。

そもそも集会の自由は。情報を受ける市民の自律的な判断への信頼を基礎として、様々な意見が流通することにより、思想の自由市場が形成されることを期待するものである。被上告人の事務又は業務に支障を生じさせるような市民を一般市民として措定し、高度にパターナリスティックな規制を行うことにつき、憲法第21条が保障する集会の自由に対する制約として正当化することは困難であると思われる。

以上

損害賠償請求事件 2023年2月21日 第3小法廷判決
金沢市庁舎前広場護憲集会不許可 表現の自由集会の自由 最高裁判決

2023年1月22日

核兵器禁止条約発効2周年にあたり、

改めて日本政府へ1日も早い署名・批准を求める

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 泰成

    核兵器禁止条約(TPNW)が2021年1月22日に発効して2年が経過した。世界中で92か国・地域が署名し、68か国・地域が批准しているこの条約に、日本政府はいまだ署名・批准をしようとしない。唯一の戦争被爆国であり、被爆の惨劇を経験した国として、核兵器を禁止する世界の潮流を生み出す立場であるはずが、核兵器使用による惨劇を二度と繰り返させないとする被爆者の強い願いと、世界中の核兵器廃絶を願う市民の声に耳を傾けず、とどまり続けることは決して許されない。日本政府には改めて、1日も早い署名・批准を求める。

    TPNWは1996年に起草され、2007年にはその改訂版をコスタリカおよびマレーシアが国際連合(国連)に共同提案した。その内容は、核の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、威嚇としての使用のすべてについて、取扱いを禁止するものとなっている。2020年10月24日、条約発効に必要な批准国が50か国に達したことから、その90日後の2021年1月22日にTPNWは発効した。

    TPNW第1回締約国会議では、TPNWと核不拡散条約(NPT)は対立するものではなく、現在のNPT体制を補完する役割としてのTPNWであることを明確に打ち出し、相互対立を招くことがないよう配慮した宣言も出された。NPTでは、核兵器保有を5か国(米露英仏中)の「大国」に認める一方で、誠実に核軍縮交渉を行う義務があることを規定している。しかし、米ソ冷戦時代から引き続く「核の抑止」なる考え方を乗り越えることができず、世界では13000発以上の核兵器がいまだに存在している。TPNWは、遅々として進まない核軍縮に憤りと不満を抱える非核兵器保有国である「小国」が中心となって進めてきた。より多くの国が一刻も早くTPNWへ締約し、世界中のどこにいても、平和が担保される暮らしが保障されるべきだ。その実現のために、日本政府が1日も早くTPNWに署名・批准をすることは当然のことだと考える。

    日本政府は1994年以来、毎年国連に、「核兵器のない世界」の実現に向けた「現実的な道筋」を示すとした核兵器廃絶決議案を提出してきた。2022年は賛成139か国で、昨年より13か国も減った。国際状況がより混沌とする中、日本が果たすべき役割について、今のままでは十分ではないという世界各国からの失望が示されたと捉えることもできるだろう。岸田首相は「核兵器廃絶はライフワーク」とまで発言している。被爆の実相を知る被爆者の平均年齢は85歳に迫っている。日本政府は一刻も早い決断をするべきだ。

    TPNWに強い反対を示しているアメリカとの関係を重視するあまり、条約への前向きな姿勢さえ示せないのであれば、日本政府が毎年国連に提出している核兵器廃絶決議案は何の意味を持つのか。本末転倒だと言わざるを得ない。

    私たちは日本政府に核兵器廃絶を実現する国際的役割の先頭に立つこと、そしてただちにTPNWへの署名・批准を行うよう強く求める。

                                                                                                                                                          以上

 

2023年1月18日

2023年1月19日(訂正版)
声明: 国民の意見を聴かない岸田政権による原子力政策転換は許されない
〜改めて国民への説明と熟議の場を設けよ〜
原子力市民委員会
座長: 大島堅一       
委員: 後藤政志  清水奈名子
    茅野恒秀  松久保 肇
    武藤類子  吉田明子 

 2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故で発せられた原子力緊急事態宣言がいまだに解除されていない中、岸田政権は、原子力回帰へと舵を切ろうとしている。岸田政権は、2022年12月22日のGX実行会議で決定した基本方針(「GX実現に向けた基本方針 〜 今後10年を見据えたロードマップ〜」)に関する意見公募(パブリックコメント)を経て、2月に基本方針を閣議決定し、次期通常国会での関連法改定を目論んでいる。

 GX実行会議での決定を受け、例えば『沖縄タイムス』は、12月27日に社説で「原発政策大転換 福島の事故忘れたのか」と題し、「将来に禍根を残す決定だ」「国会での議論や国民への説明を軽視して進められている。到底容認できるものではない」と強く批判している。また、『北海道新聞』も12月23日付社説で「原発頼みを加速させる政府の方針転換は、将来に大きな禍根を残す」としている。岸田政権の原子力回帰策は、福島原発事故被害者を含め、多くの国民から支持されていない。

 GX実行会議で決定した基本方針の内容については、私たちが12月に出した声明※1でも多くの問題があることを具体的に指摘した。これらの内容上の問題に加え、今回批判の対象になっているのは国民に丁寧に説明せず、国民参加の場をつくらない岸田政権のやり方である。問題は次の4点に整理できる。

● 第1に、福島原発事故後の原子力政策を根本から変えるものであるにもかかわらず、岸田首相は、国民に対して原子力政策転換の内容や理由を説明していない。GX実行会議は岸田首相の決裁で開かれたものである。岸田首相は、国会でも記者会見でも、自らが始めたGX実行会議について丁寧に説明をしたことがない。
● 第2に、GX実行会議では、原発事故被害者を含め、原子力発電に対する反対や懸念の声が完全に無視されている。GX実行会議の前段階で開催された国の審議会(総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会、同基本政策分科会)でも、原子力産業の利害関係者や原子力開発推進論者が委員の大多数を占めていた。一方、原発事故被害者は参加の機会を与えられず、政策の問題点を述べた少数の委員の意見は完全に無視され、基本方針にも反映されていない。
● 第3に、基本方針決定までの期間が極めて短く、十分な検討がされていない。岸田首相が、GX実行会議で原子力政策の検討を指示したのは8月24日である。その後、原子力小委員会で政策の検討が開始されたのは9月22日、結論がだされたのは12月8日であった。つまり、原子力政策に関する実質的審議期間は2ヶ月半しかなかった。
● 第4に、意見公募(パブリックコメント)期間が短すぎる。今回、意見公募にかけられたのは4つの政策文書※2である。いずれも、原子力政策に関する専門的内容を含んでいる。そのため、国民がこれらの政策文書の内容を知り、内容を理解し、意見を表明できるまでには時間を要する。にもかかわらず、公募期間は年末年始を含めて30日間に限定され、国民には考える時間がほとんど与えられていない。

 総じて言えば、岸田政権は、国民参加はおろか国民の声を聴くつもりが全くない。もともとGX実行会議の決定には法的根拠すらない。本来、エネルギー需給にかかわる基本方針は、エネルギー政策基本法によりエネルギー基本計画で定められることになっている。2021年に定められた第6次エネルギー基本計画には、今回定めようとしている運転期間の延長や原発新設は含まれていなかった。GX実行会議の決定には、内容にも決定プロセスにも正当性が無い。岸田政権は、GX実行会議で決められた基本方針を撤回すべきである。

 福島原発事故は今も続いており、被害からの回復と事故処理の課題は残されている。福島原発事故後の2012年に、当時の民主党政権は、原子力発電の将来に関する国民的議論※3を実施し、国民の意思を確認した上で、原発ゼロ社会を目指すことを決めた。基本方針を白紙撤回した上で、国民に熟議の機会を設けるよう強く要求する。

 

 

「戦争する国」に踏み出す「安保三文書」に抗議する!

    岸田政権は12月16日、安全保障三文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の改定を閣議決定しました。

    この文書で岸田政権は、「戦力不保持、交戦権の否認」を謳う憲法9条を踏みにじる「専守防衛」さえ否定した「敵基地や中枢を先制攻撃」する戦略を採用しました。まさに、「平和国家」から「戦争する国」へ大転換する“戦争宣言”と言わなければなりません。

    岸田政権は、ロシアによるウクライナ侵略で「国際秩序の根幹ルールが破られた」と危機感を露わにし、中国に対しては「同様の事態が東アジアで発生する可能性がある」と敵意をむき出しにしています。

    そして、「戦後最も厳しく複雑な安保環境に直面している」として、国民に「わが国の安保政策に主体的に参画」し「国防に参加すること」を求めています。

    現在の国際情勢はそもそも、岸田政権や米・欧権力者が国連や軍事同盟などを通じて創ってきたものであり、ロシアが悪い、中国が悪いと「外敵」のせいにするのは、自らの関与を省みない無責任な論理です。さらに「防衛力の強化」を主張し敵国と対峙するため「国民に国防の主体的決意」を迫ることは、「命」もお金も出せと言うことであり、あまりに無責任な責任転嫁と言わなければなりません。

    しかも、戦後安保政策の大転換である「反撃能力(先制的に敵基地を攻撃する能力)」については、(中国や北朝鮮を念頭に)「わが国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている、反撃能力を持つ必要がある」と、その根拠も理由も明らかにしないまま「保有」を正当化しています。

    また、「先制攻撃」については「わが国に武力攻撃が発生た場合、必要最小限度の自衛の措置として相手の領域で反撃を加える」と、攻撃時点を曖昧にしたまま、弾道ミサイルで「敵基地や司令部を先制攻撃」するとしています。つまり、先制攻撃をすることだけがはっきりしているのです。こんなことが許されていいのでしょうか。日本全土が戦禍に包まれることは火を見るより明らかです。

    岸田政権は、このような「戦禍も厭わない」安保三文書を決定したのです。しかも「憲法の範囲内であり、非核三原則、専守防衛の堅持、平和国家の歩みは止めない」とウソを重ね、私たちを騙そうとしています。

    一方、2027年度までの5年間で43兆~60兆円(9兆~12兆円/年)もの巨費を「防衛費」に投入し、増税を含めて東日本大震災の復興特別所得税までその財源に充てようとしています。

    私たちは、人権を奪い、暮らしを破壊し、命さえも奪う「戦争する国」に踏み出す安保三文書の撤回と、戦争する国反対!憲法改悪阻止!23春闘勝利の闘いを固く結びつけ、そして岸田政権退陣をめざして闘うことを訴え、抗議声明とします。(12/28版を微修正)

                                                                                                                               2023年1月5日

                                                                                                                       石川県平和運動センター

 

緊急声明 「安全保障三文書」の閣議決定に抗議する

~「平和国家」を「戦争国家」に転換する歴史を画する文書~

 

1 岸田政権は、「台湾有事」にアメリカとともに参戦し、中国本土に壊滅的な打撃を与えるため、反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有するとした「安全保障三文書」(以下三文書という)を12月16日にも閣議決定しようとしています。

この三文書は、戦後、歴代政権が、憲法9条の「戦力不保持・交戦権否認」を否定するために編み出した「専守防衛」さえ大転換し、自衛隊を「先制攻撃のできる軍隊」へ位置づけ直したものと言わなければなりません。日本を戦争に導く「三文書」の改定を絶対に認めることはできません。

岸田政権は、「三文書」の中で長距離ミサイルの導入を謳い、事実上の先制攻撃能力の保持、戦争遂行能力をさらに高度化をしようとしています。これらの財源は、法人税5%アップや防衛新税(復興特別所得税1/2を充てる)、タバコ税アップのほか、27年度以降には更なる増税を狙っています。

軍事費のGDP比2%の倍増は、まさに「国民に窮乏と増税を強い、命まで差し出せ」という「戦争宣言」に他ならないと考えます。何としても戦争予算を阻止し、戦争国家に反対しなければなりません。

2 ロシアのウクライナ侵略とウクライナへのNATOの軍事支援、中国・習近平政権による南、東シナ海への軍事進出、米下院議長ペロシ訪台を契機とした中国軍のミサイル攻撃訓練、常態化する米日韓共同訓練など、米・中対立は、「台湾有事」を想定した軍事的エスカレーションの様相を呈しています。まさに世界は“戦争の危機の時代”に入ったと言わざるを得ません。

 こうした中で岸田政権は、「安保三文書」のなかで、中国の動向を「国際社会の深刻な懸念事項」と表現し、危機をあおっています。

3 岸田政権は、「自由で開かれたインド太平洋」戦略にもとづいて、バイデン政権に確約した軍事費の「相当な増額」と「抑止力、対処力の強化」を押し進め、戦争への道をひた走っています。

私たちは、日本国憲法の国際平和主義を旗印に、国内外の労働者・市民と連帯し、岸田政権の暴走、戦争国家化にストップをかけます。

安全保障三文書の閣議決定を認めず、職場・地域からあらゆる力を結集して戦争準備に反対していくことをここに表明し、抗議声明とします。

2022年12月17日

石川県憲法を守る会

 

平和フォーラム(平和・環境・人権)が抗議声明を発出しましたので転載します。

「安保3文書」の閣議決定に抗議し、

憲法理念の実現をめざす平和フォーラムの声明

 日本の安全保障政策を大きく変容させる、いわゆる「安保3文書」の改定が12月16日、閣議で決定された。国会での審議、採決もなく日本の安全保障・防衛政策の根幹を、内閣の裁量で一方的に決めたことに、まず抗議する。

 日本は、自ら引き起こしたアジア・太平洋戦争において、朝鮮や中国をはじめとしたアジア・太平洋の人びとに甚大な被害を与え、自らもまた様々な戦火によって多大な被害を受けた。戦争全体の死者数は2000万人を超える。この戦争の反省を踏まえ、戦後の日本は、憲法9条にある「戦争放棄」と「戦力の不保持」を誓って再出発をした。しかし、朝鮮戦争を契機に警察予備隊・保安隊と再軍備が進められ、1954年に自衛隊が発足した。侵略戦争を経験してきた日本の市民社会は、防衛力増強に反対し、憲法9条の理念に拘泥してきた。この市民社会の基本的姿勢が、集団的自衛権行使を認めず、自衛隊を自衛のために必要最小限の武力を保持する「専守防衛」のための組織として、日本の防衛政策の基本に定着させた。

 日本は経済成長と世界市場への進出の過程を歩み、それに伴って防衛力という名の軍事力を拡大してきたが、この「専守防衛」の基本政策を大きく踏み外すには至らなかった。戦後レジームからの脱却を標榜して成立した安倍晋三首相は、2014年、「集団的自衛権行使」容認の閣議決定を行い、日米同盟の深化と軍事一体化をもくろみ、2015年9月に自衛隊法をはじめとする安全保障法制を大幅に改悪した。自衛のための戦力と言う概念は瓦解し、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国に対する武力攻撃を阻止する戦力を認めるに至り、「専守防衛」という日本の安全保障の基本政策は危機的状況に陥った。

 閣議決定による「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「中期防衛力整備計画」の「安保3文書」改定は、スタンドオフミサイルなどの攻撃型兵器を保有し、防衛費をGDP比2%に倍増し、今後は5年で総額43兆円もの防衛費をつぎ込むとしている。ことに「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有は、「専守防衛」を大きく逸脱し、これまでの政府方針の大転換であり決して許されない。攻撃型兵器の配備は、周辺諸国の脅威として東アジアの軍事的緊張を高めることに繋がる。「専守防衛」は相手国への「安全の供与」だが、「敵基地攻撃能力保有」は「脅威の供与」である。憲法9条の平和主義が何をめざし、何をもたらしてきたかを、今まさに考えなくてはならない。

 米中対立を背景にし「台湾有事は日本の有事」などとして、防衛力増強を行うことは「安全保障のジレンマ」に陥り、更なる軍拡競争を呼ぶ。防衛力増強が日本の安全保障に繋がるとは言えない。作曲家の坂本龍一さんは、「戦争は外交の失敗」として「攻められないようにするのが日々の外交の力。それを怠っておいて軍備増強するのは本末転倒」と自身のブログで述べている。戦争は愚かな行為であり悲惨な結末を生む。であれば戦争をどう回避するかを考えなくてはならないが、岸田首相からはそのような議論はまったく聞こえてこない。そのことこそ日本の安全保障の脅威だと言える。

 また「安保3文書」は、防衛産業の強化と官民一体となった武器輸出、技術および研究開発の軍事活用、公共インフラの軍事利用にも言及している。すでに、特定秘密保護法、共謀罪法、重要土地調査規制法、経済安全保障推進法など、「安保3文書」がめざすものを支える法律が整備されている。今後、私たちのくらしや経済及び産業、学問の場も軍事的に利用されかねない。このような日本社会の根幹を揺るがすような方針が、拙速に決定されることは許しがたい。

 自民党は、今年4月に自ら「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」を内閣に提出し、防衛力増強と防衛費増額を要求していた。しかし、ここに来て財源問題で党内は混乱している。このような無責任な議論と数の力を背景に日本の重要課題が進んでいくことは、安倍政権以来の政治の危機を象徴している。

 日本の市民社会は、相対的貧困率の高さに象徴される貧困と格差の問題、コロナ禍での失業や物価高騰に苦しんでいる。そのような市民生活の困窮に目を向けず、莫大な予算を防衛費に投入し、国の安全保障が国民の責任かのような発言を行い、所得税増、あろうことか東日本大震災の復興特別所得税にまで手をつけようとしている。これによって国民生活が圧迫されるのは火を見るより明らかだ。東アジアに軍事的緊張を高める「安保3文書」の改定を見送り、増税を方針を撤回することを、平和フォーラムは強く要求する。

 「戦争をする国」へと軍拡に走り日本の安全保障政策を変容させるのではなく、粘り強い対話と交流に力を入れ、東アジア諸国との関係改善を図ることが先決だ。そして武力及び軍事同盟に依存しない姿勢を内外に示すことだ。憲法前文と第9条を実現していくことが、なによりも日本の最大の抑止力になることを、あらためて主張する。

 

2022年12月16日

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 勝島一博

藤本泰成

《抗 議 声 明》

本日午前6時30分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後では11回目の訓練となるが、私たちは毎回監視行動に取り組み、抗議声明を通じて訓練の課題や問題点を指摘してきた。残念ながら今回も志賀原発の再稼働を前提とし、その一方で事故の影響を過小評価し、最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオでの訓練が繰り返された。重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練に対して強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

1.PAZ圏内住民の即時避難は可能か
全面緊急事態で原則即時避難とされているが、サイト内情報が迅速、正確に通報されることが前提である。私たちが懸念するのは、北陸電力の事故隠しや通報の遅れである。臨界事故隠しなど、数多くの前例がある。福島原発事故のように中央制御室で原子炉内の様子が把握できない事態も想定される。このような場合でも敷地周辺のモニタリングポストで異常は検知可能とされるが、志賀原発は他のサイトと異なり、赤住までは400m、福浦も1km余りと、周辺集落との距離が近い。後述するように避難バスが直ちに来る保証もない。放射性物質放出前に常に避難を開始できるかのような訓練が繰り返されているが、前提条件に危うさがある。

2.UPZ圏内住民は「まずは屋内退避」の方針を受け入れていない
規制委は「UPZ圏内では、内部被ばくのリスクをできる限り低く抑え、避難行動による危険を避けるため、屋内退避を基本とすべき」との方針を示し、本日の訓練もその考え方に基づき実施されている。しかし、私たちが訓練と並行して行った住民アンケート調査では、屋内退避方針自体知らない、あるいは従わず避難するという住民が少なからずいることが確認されている(後日、詳細に報告予定)。規制委は「内部被ばくは、木造家屋においては4分の1程度」に抑えられるとするが、それは1993年以降に建てられた住宅であり、1980年以前に建てらえた住宅では低減効果は半分以下の44%とされている。放射性プルームからのガンマ線の外部被ばく遮蔽効果も木造家屋ではほとんど期待できない。「渋滞による大混乱は危険、その危険を避けるために屋内退避で被ばくする」という避難計画の根本的矛盾を多くの住民は見抜いている。

3.バスによる迅速な避難は幻想
県は今年3月、石川県バス協会との間で「災害等におけるバスによる人員等の輸送に関する協定書」を締結し、さらに原子力災害時の業務内容などを運用細則で定めた。しかしバス業界の実態をみると、緊急時のバスの配車は容易ではない。昨今の深刻な運転手不足に加え、コロナ禍による業績悪化、そして今は人流回復による繁忙段階へと入り、各事業者は常に余裕のない運行体制を敷いている。PAZ圏内の集合場所は22カ所あるが、全面緊急事態に至る数時間内に必要台数を確保することはほぼ不可能。「全面緊急事態で直ちに避難」は幻想である。UPZ圏全体で考えても、住民の1割がバス避難と仮定すると約1万5千人。県バス協会加盟事業者が保有する大型の貸し切りバスの253台(うちUPZ圏内事業者は52台)に加え、UPZ内の路線バスもすべて避難用に回すという非現実的想定をしても大幅に不足する。加えてOIL1(500μSv/h超)の場合は、運転手の被ばく問題(線量限度1mSv)もあり、さらに配車は困難となる。

4.様々な複合災害をなぜ想定しない
今回も複合災害訓練は盛り込まれているが、地震により道路が一か所寸断し、応急復旧で通過可能となるという想定のみである。原子力災害の甚大さを考慮するならば、本来は異常気象による様々な巨大災害との複合災害を想定し、原子力防災が機能するのか真剣に検証すべきだ。最低限志賀町など周辺自治体が作成する土砂災害や洪水のハザードマップ、あるいは交通に重大な影響を及ぼす雪害との複合災害をも想定し、訓練を実施すべきではないか。志賀町の米町川や七尾市の御祓川、二宮川、熊木川などは近年も洪水の実績があり決して絵空事ではない。迅速かつ遠距離の避難が求められる原子力防災にどのような影響を及ぼすのか、課題は何か、なぜ訓練で検証しようとしないのか。最悪の事態、不都合な事態を避けるシナリオだと言わざるを得ない。

5.石川・富山合同の手抜き訓練
石川・富山両県合同の避難退域時検査訓練が氷見運動公園で初めて実施された。今年9月に全面改訂された内閣府および原子力規制庁の「避難退域時検査及び簡易除染マニュアル」に基づく訓練である。マニュアル自体、改定の都度、「避難の円滑化」との理由から簡略化(手抜き)が進んでいるが、そのマニュアルをさらに簡略化した訓練内容であった。簡易除染でも基準値を下回らなかった車両は想定せず、持ち物の検査なし。検査場所を通過せず避難所へ向かう住民も想定していない。さらに設営の前提となる石川県側からの検査予想台数・人数も明らかにされていない。今回の訓練で、氷見経由の避難がスムーズにできたとの総括は到底許されない。

6.長期避難のリスクを隠す訓練
県や各市町の防災計画では「長期避難への対応」の項目がある。各市町では福島を参考に数年から10年の避難を想定しているとのこと。ところが本日の訓練に参加する避難者の持ち物を見れば、長期避難の可能性も意識している住民は一人もいない。防災リュックすら見かけない。避難退域時検査場所でも持ち物の汚染検査は想定されていない。ペットを飼う家庭は当然同行避難を考えるが、その対応も見られない。事故を過小評価し、長期避難のリスクを隠す訓練である。

7.最後に―――原子力防災は住民も地域も守らない
一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように「重大事故でも無事避難」という防災訓練が繰り返されている。もっとも確実な原子力防災は原発廃炉である。原子力防災は住民を被ばくから守れない。地域を汚染から守ることもできない。私たちは、志賀原発の一日も早い廃炉実現に向けて、引き続き全力で取り組む決意をここに表明する。

2022年11月23日
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
さよなら!志賀原発ネットワーク
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議
社会民主党石川県連合

 

第23回定期総会アピール(案)

岸田政権は9月27日、法的根拠もなく決定した安倍元首相の「国葬」を多くの反対を押し切って強行実施しました。あくまでも「行政権の範囲内だ」として、「改憲」と日本の「参戦」にむけて「国葬」を最大限に活用しようとしていたからです。

さらにロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略を口実にして、日本の軍事費倍増と敵基地攻撃能力の保有に乗り出し、中国、ロシア、北朝鮮と対峙する姿勢を示しています。そのため、バイデン政権の要請に積極的に応えて、南西諸島に自衛隊を配備し、ミサイル基地化を急いでおり、米軍の「中距離(核)弾道ミサイル」さえ配備しようとしています。

環太平洋合同演習(リムパック2022)では、海上自衛隊と米海軍がハワイ周辺で初めて日本の「存立危機事態」を想定した実働訓練を強行しました。このことは、「台湾有事は日本の有事」であり、自衛隊が米軍と一体となって「台湾有事」に介入することを意味します。岸田政権が「改憲」を急ぎ、憲法9条に自衛隊を明記し、緊急事態条項を新設しようとすることは、これら「参戦」体制をスムーズに貫徹するためのものだと言わなければなりません。

小松基地では、F15戦闘機が墜落(1/31)し、事故原因を不問にしたまま訓練を再開(3/11)しました。これは、米・中対立が激しいなか、いつ「戦争」に転化するか分からないなかで激しい訓練が実施され、機体の損耗やパイロットの心身劣化が生じたことが原因と推定されますが、その隠ぺいにほかなりません。一方、防衛省は、小松基地へ28年度F35A戦闘機の20機配備を一年前倒しして27年度にするなど、先制攻撃体制づくりを急いでいます。反対運動の強化で阻止しなければなりません。

8月24日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」において、岸田首相は原発の新増設や建て替えの検討を進める考えを示しました。福島原発事故後、歴代政権が「新増設や建て替えを想定していない」としていた方針を転換させるものです。使用済み核燃料の10万年保管の技術も場所もなく、しかも福島第一原発の廃炉も進まず、汚染水の海中放出や原子炉の「崩壊」さえ危惧される中、原発建設を強行することは、またしても「原発のメルトダウン」を招くものとして絶対に許してはなりません。

志賀原発を廃炉にする闘いは、敷地内(活)断層問題が「原子力規制委員会の判断を待つ」という金沢地裁の姿勢によって長期化を余儀なくされています。しかし、北海道泊原発差し止め判決が示すように、粘り強い取組みが展望を切り拓いています。原子力防災・避難計画の欠陥や不備を追及し、脱原発社会を実現しなければなりません。

私たちは、職場から地域から、仲間と連帯し、「憲法改悪NO」「参戦体制づくり反対」を正面から掲げて闘いを前進させようではありませんか。

以上、アピールする。

2022年9月28日

石川県平和運動センター第23回定期総会

 

米軍機オスプレイの超低空飛行訓練を許さない

 防衛省は9月26日、同日に開催された日米合同委員会で、沖縄・普天間基地に配備されている米海兵隊オスプレイ(MV22)が、沖縄を除く日本国内で低空飛行訓練を行うことで合意したと発表した。合意概要によれば、住宅地を避けた区域において、高度300フィート以上500フィート未満(約90~150メートル)の超低空で訓練を行い、その目的を、人員・物資の輸送、災害発生時における捜索・救難活動を行うためだとしている。

 米軍機オスプレイについては、直近でも2022年3月にノルウェーで、6月には米国内で墜落し、米兵複数名が死亡する事故を起こしている。日本国内においても、2016年12月、沖縄県名護市の海岸に墜落して以降、19件もの予防着陸という名の緊急着陸を全国各地で繰り返しているほか、飛行訓練中の部品落下などの事故が頻発している。

 2022年8月には、米空軍オスプレイ(CV22)が、クラッチに不具合があるとして全機飛行停止になった。その際米軍当局は、海兵隊オスプレイ(MV22)について、「(2012年普天間配備以前の)2010年にクラッチの不具合を認識していたが、操縦者の訓練で問題が発展することを防いでいる」と報道機関の質問に答えている。機体の欠陥をパイロットの操縦に依存することで運用を継続している事実がこれで明らかになった。欠陥機の飛行は断じて許されない。それも今回の日米合意で示されたのは、150メートル未満の超低空飛行だ。

 日米両政府は、住宅や学校、病院の上空では飛行しないなどの安全対策を徹底するとしているが、これまでもそうであったように遵守される保証はない。2012年9月、MV22オスプレイの普天間配備に際して日米で合意した事項には、飛行訓練時間、飛行経路などの取り決めがあるものの、普天間基地周辺におけるこれまでの飛行実態をみれば、いかに米軍が約束を反故にし、我が物顔で飛行運用を繰り返してきたかがよくわかる。ちなみに当時の合意では、「低空飛行訓練を実施する際は、地上から500フィート以上の高度で飛行する」としている。今回の超低空飛行訓練は、2012年の普天間基地に配備した際の取り決めをも覆すものだ。日本政府はどこまで米軍の求めに応じ、追従するのだろうか。飛行ルート下の住民のくらしと命を守ろうという姿勢が全く感じられない。

 10月1日から北海道で大規模な日米共同訓練がある。海兵隊オスプレイ6機の参加が予定されている。オスプレイは沖縄・普天間基地を飛び立ち、日本全国で超低空飛行訓練をしながら北海道に赴くと思われる。

 平和フォーラムは、オスプレイの超低空飛行訓練に断固抗議する。そして米軍機の飛行制限をはじめ日米地位協定の抜本的な改定を求めるためのとりくみを強化していく。

2022年9月29日

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)

 

 

安倍元首相の「国葬」に反対し、撤回をもとめる決議

    7月21日、岸田内閣は、安倍元首相の「国葬」を閣議決定しました。以来、日増しに国民の反対の声が高まり、各社報道機関による世論調査では、いずれも過半数を大きく上回る反対の意思が示されています。また国会前や地方各地でも「国葬」に反対する市民の行動が拡大しています。私たちは、民意に背いて「国葬」を強行することはあってはならないと考えます。

 以下の理由から、安倍元首相の「国葬」に反対し、その撤回を求めます。

1.国葬は、日本においては戦前の国葬令を起源とするが、1947年12月31日に失効して以来、憲法上も法律上も根拠となる規定はない。戦後まもなく、閣議決定で行った吉田茂首相の「国葬」は、社会的なコンセンサスがないまま強行されたが、以後、国葬ははばかられ、実施されていない。

2.今回の閣議決定による「国葬」の実施の根拠を内閣府設置法に求めることは、恣意的拡大解釈である。

3.そもそも、日本における国葬とは、大日本帝国憲法下で国家総動員による戦時体制を遂行するために、戦争指導者の神格化に利用されたものである。特定政治家の国葬は、その業績への議論を封じ、賛美を強要し、国民を無批判に国家統合しようとするものとなる。国民主権の日本国憲法の精神に反し、内心の自由など基本的人権をも侵すことは明らかである。憲法も法律も「国葬」を想定していないのは、道理である。

4.安倍政権は、教育基本法の「改正」、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、共謀罪法など、憲法が規定する平和主義や基本的人権に反する法制度を、多くの反対を押し切って成立させた。これらは、立憲主義の破壊として、広範な国民の批判を招いた。また、教科書採択や放送番組への介入をはじめ、教育、メディアの独立性を侵してきた。そればかりではなく、森友学園や加計学園、桜を見る会などの政治の私物化は、公務員の尊い命を失わせながら、説明責任は放棄された。「国葬」により「民主主義の重要性を改めて国民とともに確認する」とは、著しい論理破綻である。憲法の破壊者が賞賛の対象になってはならない。道義の破綻した「国葬」に国民の血税を注ぎ込むことも許されない。子どもたちへの弔意の強要もあってはならない。

5.岸田首相は参院選後に「早期に改憲発議を」と表明しており、「国葬」が、「改憲は安倍氏の遺志」とする社会的空気を醸し出す政治利用となる恐れにも警鐘を鳴らすものである。

6.安倍元首相の銃撃事件は、旧統一教会との癒着という戦後自民党政治の暗部を次々と浮かび上がらせている。今行うべきは安倍氏の「国葬」ではなく、その実態解明であり、政教分離原則の徹底である。

以上、安倍元首相の「国葬」に反対し、その撤回を求めて決議します。

2022年9月10日

憲法改悪NO!市民アクション・いしかわ

岸田総理の原発政策方針転換表明に対する抗議声明

 岸田総理は8月24日、脱炭素社会の実現に向けた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」において原発の新増設や建て替えの検討を進める考えを示しました。さらに原則40年、例外60年の運転期間のさらなる延長の検討や再稼働の加速に向け国が前面に立っていく決意も表明し、原発回帰の姿勢を鮮明にしました。福島事故後、安倍政権を含めた歴代政権は「新増設や建て替えは想定していない」とし、曲がりなりにも「原発依存を低減する」方針を掲げ続てきましたが、今回の岸田発言はこの間の政府方針を一気に転換させるものです。原発依存を長期化させ、将来世代に残る負の遺産をさらに深刻化させる重大な過ちであり、私たちは以下の理由により抗議し、ただちに撤回を求めます。

  • 福島第一原発事故の教訓を反故にするもの

社会や自然環境に甚大、深刻な被害を及ぼした事故から12年目に入りましたが、いまだ緊急事態宣言は発令中であり、事故原因の究明は道半ば、廃炉作業の見通しも立っていません。多くの住民が故郷を追われ、生業を失い、家族を引き裂かれ、賠償も不十分なまま。多くの子どもたちが小児甲状腺がんを患い、悲痛な声をあげていますが、岸田総理は事故の教訓に真摯に向き合う姿勢が微塵もありません。

  • 求められる政策転換に逆行

 高レベル放射性廃棄物の最終処分は行き詰まり、核燃料サイクルは頓挫し、使用済み核燃料は溜まり続け、保管されるプルトニウムにも国際社会から厳しい視線が向けられています。廃炉が決まった24基の商業用原発の廃炉作業も課題山積です。ロシアのウクライナ侵略は原発への武力攻撃のリスクも顕在化しました。原発依存に未来はありません。脱炭素にも電力需給逼迫の解決にも役立ちません。いま求められるのは再生可能エネルギーのより一層の推進や需給調整のための仕組みづくりです。

  • さらなる安全軽視と懸念される圧力行政

「GX実行会議」が想定する新規建設原発は「次世代型原発」と呼ばれるものです。長年にわたる開発の歴史はありますが、いまだ技術的裏付けはなく、経済性を疑問視する声も根強く存在します。安全軽視でコスト削減という原子力開発の歴史が繰り返されるのではと危惧されます。さらなる長期運転の検討も電力業界のコスト高対策に応えたもので安全確保は二の次、そもそも40年超運転すら危険です。再稼働が進まないのはテロ対策の不備や避難計画の不備、電力会社の説明不足などが主要な要因であり、今後、規制委や関係自治体への圧力、安全審査の手抜きが懸念されます。

  • 非民主的政策決定

 今回の唐突な政策転換表明に多くの国民は驚きました。7月の参議院選挙に臨む自民党の政策集をみても「安全が確認された原子力の最大限の活用」とはありますが、新増設には触れておらず、選挙期間中の岸田総理の発言も同様でした。直近の国政選挙で国民に争点を提示せず、原発推進の産業界や電力会社の幹部も加わった非公開の「DX実行会議」で重要な政策転換を図る非民主的で姑息な手法は到底国民の理解を得られるものではありません。

2022年8月29日

さよなら!志賀原発ネットワーク

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

石川県平和運動センター

原水爆禁止石川県民会議

社民党石川県連合

 

 

 

2022年7月22日

石川県憲法を守る会

代表委員 岩淵 正明(弁護士)

同 宮岸 健一(石川県平和運動センター共同代表)

同 盛本 芳久(社民党石川県連合代表)

同 澤  信俊(金沢星稜大学特任教授)

「安倍元首相の国葬閣議決定に抗議する」

緊 急 声 明

本日、岸田内閣は、安倍元首相の国葬を閣議決定した。私たち石川県憲法を守る会は、一人の政治家の不慮の死を悼みつつ、この閣議決定に抗議するとともに、国葬により、国家の名のもとで弔意を強制することは許されないことを意思表明する。その理由は以下である。

1.国葬は、日本においては戦前の国葬令を起源とするが、1947年12月31日に失効して以来、憲法上も法律上も根拠となる規定はない。戦後まもなく、閣議決定で行った吉田茂首相の国葬は、社会的なコンセンサスがないまま強行されたが、以後、国葬ははばかられ、実施されていない。なぜならば、特定政治家の国葬は、その業績への議論を封じ、賛美を強要し、国民を無批判に国家統合しようとするものとなり、国民主権の日本国憲法の精神に反し、思想信条の自由など基本的人権をも侵すことは明らかであるからだ。

2.安倍政権は、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、共謀罪法など、憲法が規定する平和主義や基本的人権に反する法制度を、多くの反対を押し切って成立させた。これらは、立憲主義の破壊として、広範な国民の批判を招いた。また、教科書採択や放送番組への介入をはじめ、教育、メディアの独立性を侵してきた。そればかりではなく、森友学園や加計学園、桜を見る会などの政治の私物化は、公務員の尊い命を失わせながら、納得のいく説明責任は果たされないままである。

岸田首相は、国葬により、「民主主義の重要性を改めて国民とともに確認する」とするが、数の力に頼み、立憲主義と社会的公正を破壊した安倍氏を民主主義の擁護者として称揚するのは著しい論理破綻である。さらには、岸田首相は参院選後に「早期に改憲発議を」と表明しており、これが「安倍氏の遺志」であるとする「国葬」の政治利用につながる危険性にも警鐘を鳴らすものである。

3.安倍元首相の銃撃事件は、旧統一教会との癒着という戦後の自民党政治の暗部にある数々の疑惑を浮かび上がらせている。今行うべきは安倍氏の国葬ではなく、この疑惑の解明であり、国民への徹底した説明責任の履行である。

以上

泊原発差止め判決を受けての志賀原告団声明

札幌地裁(谷口哲也裁判長)は5月31日、道内の住民ら1201人が北海道電力に対し、泊原発の廃炉、運転の禁止、使用済み核燃料の撤去を求めた訴訟で、「津波に対する安全性の基準を満たしていない」との理由から運転の差し止めを命じる判決を下しました。原発のない北海道への大きな一歩であり、一進一退を続ける全国の原発訴訟にも大きな波及効果をもたらす画期的な判決です。

志賀原発の運転差止めを求める金沢訴訟に与える影響を以下2点に絞って指摘します。

泊原発と志賀原発の差止訴訟には多くの共通点があります。特に注目すべきは、規制委の新規制基準適合性審査の遅れと、並行する差止め訴訟の長期化です。北海道電力は、泊原発の安全性を主張する一方で、規制委の審査をクリアするのを待って詳しい主張を展開するとしてきました。北陸電力も、規制委が敷地内断層の審査中であることを理由に結審の先延ばしを主張し、さらにこの4年間の口頭弁論では審査会合の報告に終始してきました。

札幌地裁は北海道電力のよる主張立証のサボタージュに対して「これを訴訟上正当化することは難しい」とし、ついにレッドカードを突きつけました。司法の独立性、主体性を発揮した札幌地裁に対して、金沢地裁は「原子力規制員会の判断を待つ」「規制委の判断に従う」とし、北陸電力の主張立証のサボタージュを自ら促してきました。金沢地裁はこの間の規制委追随、司法の責任を放棄した訴訟指揮を猛省し、ただちに方針の転換を図るべきです。

札幌地裁判決でもう一点注目すべきは、津波対策のみならず、敷地内地盤の安定性や地震に対する安全性、火山事象に対する安全性、そして防災計画の適否について、いずれか一つでも欠ける場合は人格権侵害のおそれを認めるとしたことです。泊原発は津波対策に欠け、「その余の争点について判断するまでもなく」差止めを認めています。

志賀原発の場合、私たちは敷地内断層の問題だけではなく周辺活断層による揺れや防災計画の不備など志賀原発の危険性をあらゆる角度から指摘し、人格権侵害のおそれを主張しています。敷地内断層が活断層であれば、その余の争点について判断するまでもありません。また、仮に敷地内断層の活動性が否定されようとも、それをもって志賀原発の周辺住民に対する人格権侵害のおそれなしとならないことは自明です。新規制基準に関わる地震動や重大事故等対処施設関係、さらには防災計画の実効性の有無など、一つでも欠ける点がないか北陸電力には規制委の審査を待つことなく、迅速かつ詳細な主張立証が求められます。規制委追随で司法の信頼を失墜させてきた金沢地裁は、今こそ信頼回復に向け、あるべき原発訴訟の姿を国民の前に見せるべきです。

行政の一組織である規制委に追随する金沢地裁の姿に、私たちは日本国憲法に定められた三権分立の危機を感じてきました。今回の札幌地裁の判決は、金沢地裁の姿がいかに司法の道をはずれたものであるかを浮き彫りにするものであり、私たちは高く評価します。今回の札幌地裁判決を機にあらためて「裁判で原発を止める」決意を新たにし、志賀原発の廃炉へ向かって邁進する決意をここに表明します。

                                                                                                  2022年6月6日

                                                                                           志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

総会アピール(案)

 ロシア・プーチン政権が2月24日に開始したウクライナへの軍事侵略は、ウクライナの人々の命がけの闘いによって、ロシア軍は一部撤退をしなければならないほど追い込まれています。しかし、ロシア軍の攻撃は続行しており、罪もない人々への無差別殺戮は繰り返されています。首都キエフの近郊ブチャでは後ろ手をロープで巻かれ、頭を撃ち抜かれたいくつもの死体が路上に放置されていました。厳しく糾弾されなければなりません。

    その上、プーチン政権は、ウクライナの2つの原子力発電所(チェルノブイリとサボロジエ)を攻撃しました。稼働中の原発が戦争で攻撃対象になったことは初めてであり、原発が破壊されれば想像を絶する放射能被害がヨーロッパ全土に拡大することから、世界は震撼しました。

    プーチン政権は、当初の思惑どおりに進まないことに焦りを募らせ、必要に迫られれば「核兵器の使用も辞さない」と威嚇し続けていますが、そのことがかえって非同盟・中立を維持してきたフィンランドとスウェーデンをNATO加盟申請に踏み切らせています。

    私たちは、第3次世界大戦(核戦争)にもつながりかねないこの現状を世界の人々と固く連帯して、絶対に止めなければなりません。

    ロシアのウクライナ侵略は、自国の利益を優先した結果であり、国連の機能不全が露呈したことを意味します。また、「核抑止論」が幻想に過ぎないことを世界の人々に告げ知らせました。

    それにもかかわらず、この機に乗じて日本では「非核3原則」を見直し、米国と核兵器を共同保有すべきという「核共有」(安倍元首相)発言がなされています。また、5月23日に開催した日米首脳会談では、米国の「核の傘」による「拡大抑止」を確認しています。

これらの発言は、世界で唯一の戦争被爆国として長い間「核廃絶」の闘いを積み上げてきた私たちの運動を踏みにじるものです。そしてまた、今もなお放射能被害に苦しむ被爆者、3・11フクシマ原発事故で被害にあった全ての人たちを足蹴にするものであり、日本を核戦争に導くものに他なりません。

    志賀原発廃炉に!訴訟は10年目を迎えましたが、早期の結審を求める私たちに対し、「原子力規制委員会の判断待ち」という形で司法は責任放棄しています。しかし、私たちはあきらめません。私たちは「NO! WAR」「ロシア軍はウクライナから撤退せよ」を掲げ、核戦争の危機を突破するために核廃絶と戦争反対、脱原発を求めて闘いの輪をさらに押し広げようでありませんか。

    以上を訴えて総会アピールとします。

                           2022年5月26日

                       原水禁石川定期総会参加者一同

 

集会アピール(案)

 日本国憲法は、施行75周年を迎えました。私たちは、これまでとは一線を画するような危機の中、本日を迎えていることに深い憂慮を表明します。

新型コロナウイルス感染症を、改憲に利用する悪質な目論見が進行しています。緊急事態条項の創設を突破口にする改憲です。国会を停止し憲法をも停止する「緊急事態条項」は、戦時体制をつくる要であり、すべての人権条項を停止する戒厳令条項と言わなければなりません。首相が「政令」で支配する独裁化の恐ろしさは、ナチス政権の歴史が教えています。昨秋の衆院選で4分の3の改憲勢力を得た自民党・公明党、日本維新の会、国民民主党の各党は、憲法審査会の頻繁な開催を促し、早ければこの7月の参院選後にも、憲法「改正」の発議を目論んでいます。

さらに、改憲の動きを加速させているのは、2月24日に強行されたロシアによるウクライナへの軍事侵略です。攻撃の拡大により、20000人以上の市民の犠牲、1000万人以上が国内外への避難を余儀なくされているとも報じられています。民間人への虐殺や残虐行為は、国際人道法に違反する戦争犯罪であり、決して許されません。他方、ウクライナへの米欧の軍事支援の拡大は、軍事的なエスカレーションを引き起こし、流血の惨事はむしろ拡大するばかりです。プーチン政権は核使用の威嚇を繰り返し、核戦争を含む第3次世界大戦の危機さえ高まっています。

私たちは、戦禍に倒れた人々を哀悼するとともに、国際法違反のロシアの軍事侵略を糾弾し断固抗議します。そして、この侵略に粘り強く抵抗するウクライナの労働者・市民、弾圧に屈せず「反戦デモ」を闘うロシアの労働者・市民と連帯します。即時停戦、ロシアには軍の撤退を求めるとともに、日本政府ならびに国際社会には停戦和平のための平和仲介に、不退転の決意で臨むよう強く求めるものです。

改憲勢力は、このロシアの軍事侵略を中国や「北朝鮮」になぞらえ、不安を煽り、軍事力増強の制約である平和憲法の「改正」が必要であると声高に叫んでいます。小野寺元防衛大臣は、「今だから、自国は自国民の力で守ることが大事。現実に起きていることを教訓とすべき」と発言しました。安倍元首相は日米での「核共有」に言及するとともに、敵基地攻撃能力では、敵地の中枢を攻撃対象とすべきと発言し、自民党安全保障調査会の報告に盛り込まれました。国民を戦禍に巻き込まないという政治の最大責務をかなぐり捨てた暴論です。市民の平和的生存権は、武力で守れません。その歴史的な真理にもとづく「平和憲法」の存在意義はさらに高まっています。

私たちは、戦争による人々の苦難に乗じ、それを9条改憲、人権制約の改憲に利用しようとする改憲勢力の企てを許しません。足元では、金沢市庁舎前広場における市民の表現の自由を取り戻し、マイナンバー制度からプライバシー権を守り抜くたたかいに結集します。そして、強行しようとしている小松基地の先制攻撃基地化を阻止します。

 今こそ平和憲法を高らかに掲げ、反戦平和に立ち上がっている世界の労働者・市民すべての人々と連帯しましょう。この石川から、憲法改悪、戦争体制にストップをかけ、平和憲法を守り育てようとの声を一緒に挙げて行こうではありませんか。

以上、アピールします。

        2022年5月3日  憲法施行75周年記念護憲集会 参加者一同

 

4.25記者会見での声明(5.3憲法改悪NO!改憲発議NO!集会での闘いについて)

 

米国の臨界前核実験に抗議し、核兵器廃絶を求める声明

  2021年6月22日と9月16日に米国が臨界前核実験を行っていたと報じられています。核兵器廃絶をめざし運動に取り組んできた原水爆禁止日本国民会議は、このことに対し心の底からの怒りを込めて、強く抗議します。

  米国は包括的核実験禁止条約(CTBT)をこれまで批准せず、未臨界実験を繰り返してきました。この間も、米国は核兵器の近代化のために欠くことのできないものとして、オバマ政権下で4回、トランプ政権下で3回の実験を繰り返してきました。このことがCTBTの意義を矮小化し、核兵器のリスクを高めることにつながっています。バイデン政権は、臨界前核実験を即時停止し、核兵器の近代化競争をやめるべきです。

  ロシアのプーチン政権は、ウクライナへの軍事侵攻にあたって「ロシアは最強の核大国の一つ」と発言し、核兵器の使用をほのめかし各国を威嚇しています。核兵器の使用が、現実味を帯びてきている今日、ロシアと並ぶ核大国である米国は、そのような発言をいさめ、核兵器廃絶へのとりくみの先頭に立たなくてはなりません。それが唯一戦争で核兵器を使用した米国の果たすべき責任です。

  トランプ政権以来核兵器の近代化政策が継続され、新型空中発射長距離巡航ミサイル(LRSO)や核弾頭W80-4の搭載、新型核弾頭W93の開発などに着手しています。これは、核兵器予算の削減や先制不使用宣言を検討しているとされるバイデン政権の方向性に沿うものではありません。バイデン政権が「核なき世界」への大胆なアプローチを示すことを強く要請します。

  米国の核に依存する日本やNATO諸国は、米国の先制不使用や目的限定の宣言に強く反対しているとされています。さらに日本では、米国の核を共有する「核シェアリング」導入を唱える動きもあります。唯一の戦争被爆国であり、まがりなりとも国連での核兵器廃絶決議を自ら提案する国が核保有を求めることは、国際的信頼を失うことにつながります。

  原水禁は、米国の臨界前核実験に強く抗議するとともに、核保有5か国が1月3日発表した「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならないことを確認する」とした共同声明に立ち戻ること、そしてさらに真摯な議論を重ね「核兵器禁止条約」への参加をすすめることを要請します。同時に、日本政府に対しても「核兵器禁止条約」即時批准を求めます。

                                                                                                   2022年4月14日

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

共同議長 川野浩一

金子哲夫

藤本泰成

沖縄県の不承認処分を国交省が取り消しの裁決を下したことは許されない

  沖縄・辺野古の新基地建設をめぐり、大浦湾の軟弱地盤対策のための設計概要変更を沖縄県が不承認としたことに対して、防衛省は 2021 年 12 月 7 日、行政不服審査法に基づき国土交通大臣に審査請求を申し立てていた。

  そもそも行政不服審査は、行政の不当な処分等で不利益を得た「私人」(国民)が、救済措置を時間のかかる裁判によらず簡易迅速に求める制度だ。だが、辺野古新基地建設をごり押ししたい国は、これまでもたびたび「私人」になりすまして、行政不服審査制度を濫用してきた。

  そして本日4月8日、国土交通省は沖縄県の不承認処分を取り消す裁決を下したうえで、地方自治法に基づき、設計概要変更について今月 20 日までに承認するよう是正の勧告もおこなった。

  国土交通省が沖縄県の不承認を取り消しても承認の効力は発生しない。設計概要の変更を申請した段階に戻るだけだ。そこで国は是正の勧告を行い、その上で裁判に持ち込んでいこうという腹積もりと思われる。裁判所はこれまでも行政不服審査の濫用を容認し、訴訟でも国に追随する姿勢を示してきたことから、裁判で県の主張が認められる可能性は少ない。

  国の意図は明確だ。裁判に持ち込むことで辺野古新基地建設の問題性を見えにくくし、県との争いでこれまでも負けたことがない司法における国の強い立場を強調して、沖縄県民や世論のあきらめを醸成し、今年 9 月の沖縄県知事選に勝利することを目論んでいるのだろう。

  たとえ、建設工事が進められたとしても、辺野古新基地が完成するまでに 12 年、総工費は約 9300 億円と見積もられている。普天間基地の返還を日米両国で合意してから四半世紀が過ぎ、国の辺野古新基地建設のごり押しでさらなる長期化は避けられない。国がなすべきことは、長期化している普天間基地の返還について、辺野古新基地建設を「唯一の解決策」と空文句を唱えることをやめ、いったん白紙にしたうえで再検討の道筋を示すべきだ。

  また、2021 年 6 月に全国知事会が、自治体の行政処分に、政府が審査請求等で介入することについて見直しを求める要望を政府に提出した。このことは、辺野古新基地建設にかかわる沖縄県への国の不当な介入に対して、地方公共団体の批判が高まっていることを示している。

  国と地方自治体の対等・平等な関係を保障した地方分権改革の流れを阻害し、地方自治権の侵害ともいえる国の行為についても早急に改めるべきだ。

2022 年 4 月 8 日

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 藤本 泰成

共同代表 勝島 一博

 

「ウクライナ支援に名を借りた、防衛装備品の提供に憂慮する」

 岸田政権は3月8日、ウクライナに対して防弾チョッキ、ヘルメット等防衛装備品を提供する閣議決定を行い、同日早々に、航空自衛隊小松基地からKC-767軍用輸送機を使用し、ウクライナの隣国ポーランドにむけ空輸した。

 閣議決定に先立ち、政府は国家安全保障会議を開き、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針について、防衛装備品が輸出できる案件に、「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」を加える改正を行っている。

 ロシアの軍事侵略を受けているウクライナ支援という名目があったにせよ、国会での審議もなく、一部の閣僚だけによる国家安全保障会議でのルール改正ははなはだ疑問だ。

 2014年4月に、武器の輸出を原則的に制限していた「武器輸出三原則」が撤廃され、武器輸出推進のための「防衛装備移転三原則」があらたに閣議決定された際、国家安全保障会議が、武器輸出にかかわる新しい「運用指針」を定め、この国家安全保障会議が武器輸出の可否について決定できる仕組みをつくり上げた。

軍事にかかわる重要事項を、国家安全保障会議がトップダウンで決定することは、国会を軽視するものとして、その在り方を見直すべきだ

平和主義を基本理念とする日本は、国際紛争を助長することを避けるために武器の輸出を促進することはしない立場を示してきた。

日本政府はこの立場を逸脱することなく、ウクライナ支援では、ウクライナ市民に対する医薬品や衛生用品など非軍事物資にとどめるべきだ。

ひとつの例外が、大きな例外を作り出すことに注意を向けなければならない。すでに一部報道には、ウクライナから要望のあった物資リストに対戦車砲や地対空ミサイルがあったものの政府が見送ったことに対して、法制度の見直しが必要だと、けしかける意見すらでている。

平和フォーラムは、ロシアのウクライナ軍事侵攻に怒りをもって抗議しつつ、日本政府がこの惨禍の機を利用して、武器輸出の拡大へと道を開きつつあることを深く憂慮する。

2022年3月9日

フォーラム平和・人権・環境

共同代表 藤本 泰成

共同代表 勝島 一博

 

F15戦闘機の「訓練再開」に断固抗議する!

 防衛当局は、今回の墜落事故は「乗員はエリート中のエリートであり、練度は十分であり、本当に何があったのか分からない」という「異例の墜落」であり、離陸後わずか1分で墜落した「不思議な墜落」であり、緊急ボタンや脱出装置さえ操作できない「特異な墜落」と言っていました。

事故当初、宮橋勝栄小松市長も、「(いまだ捜索中のため)仮に事故であったとするならば大変遺憾だ。原因究明と再発防止策の説明がなければ訓練再開は考えられない」「原因究明がされたら市民に説明頂きたい、通常訓練は考えることはできない」と語っており、谷本正憲石川県知事もまた、「原因をしっかり究明し、安全が確認されるまでは訓練を控えてほしい」と強調していました。市民、県民の命を預かる首長としては当然の対応です。

ところが、事故から僅か一カ月の3月3日、石引大吾空自小松基地司令は、墜落原因はおろかフライトレコーダーの解析すらできていないにもかかわらず、訓練再開を小松市に要請し、3月10日小松市長は、周辺協105町の理事会(23名)と市議会全員協議会が容認したことをもって「市民が了解した」として「訓練再開」を容認したのです。まったく納得できるものではありません。2月8日に小松基地と小松市に対して「墜落抗議」と「原因究明」を求めた私たち六者(訴訟団には三千数百名の小松市民がいる)に対してもなんらの説明もありません。

小松基地は開設以来、戦闘機の墜落事故が多発しています。1969年2月8日、金沢市街地にF104Jが墜落し、死者4名、重軽傷者18名、家屋の全焼17戸という重大事故が発生したほか、これまでに墜落事故が13件発生しパイロットは12名亡くなっています。また、F15の燃料タンクや模擬弾の落下などの事故も続発している。これらも一歩間違えれば大惨事となる重大事故です。これまでの事故の原因究明はほとんど公表されておらず、その中で起きた今回の墜落事故も、原因究明がなされないまま訓練を再開することは、市民生活・市民の命より訓練を優先する基地側の傲慢さが見えると同時に、墜落事故が再び起こる原因になると言わなければなりません。

防衛当局者の姿勢は、墜落原因の究明より、そして市民の生活や命より、「台湾有事」に備えた「国防」が大切、戦争訓練が大切、米軍から要請されていることを優先した結果であると言わざるを得ません。私たちは今回の墜落事故に対し、原因さえ究明せず、市民の了解も得ず、F15戦闘機の戦争訓練を再開することに強く抗議するものです。

小松基地爆音訴訟連絡会

小松能美平和運動センター

加賀地区平和運動センター

石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

社民党石川県連合

 

ロシアのウクライナ侵略・「核」恫喝を糾弾する声明

 2月24日未明、ロシア・プーチン政権はウクライナへの武力侵攻を開始し、ウクライナを全土支配し傀儡政権さえ打ち立てようとしています。これはまさに「侵略」と言わなければなりません。首都キエフや第2の都市ハリコフでは、高層アパートや放送局にミサイルが撃ち込まれ、多くの死傷者が出ています。私たちはこのようなプ-チンの蛮行に対し、断固として抗議します。

 またプーチン大統領は、「NATOの核に備える」として「核抑止部隊に警戒態勢に入る」命令を行い、ラブロフ外相も「世界でも最も強力な核保有国の一つだ」と核使用をほのめかし、核恫喝を行っていることに強い怒りを感じます。絶対に許すことができません。

 一方、アメリカ・バイデン政権とNATO諸国が、「力による現状変更は認めない」としてウクライナへ兵力の増派・武器供与を行っています。このことは、戦火を恐れてウクライナから着の身着のまま隣国に逃れている150万人以上もの難民や被災者を更に拡大させ、死者を増やすだけであり、この戦争を拡大することにしかなりません。第3次世界大戦にもつながりかねない危険性をはらむこの戦争に私たちは断固反対します。

    いま、世界では「NO WAR!」「戦争反対」「プ-チン辞めろ」の声が巻き起こっています。ロシアでも若者を中心に「戦争やめろ!」のデモが起こっており、日本の東京や広島、長崎では、ロシア人やウクライナ人が共に「ロシア軍はウクライナから撤退せよ」と「反戦」の声をこだまさせています。これら反対の声に恐怖したプーチン政権は、反戦運動を封じるために強権的な弾圧を行ない今や1万人以上の人たちを逮捕・拘束しています。断じて容認できません。

    更に、ウクライナ国内にある15の原子炉のうち6基が集中する南東部のザポロジエ原発にロシア軍の戦車がバリケートを破り侵入しており、火災も発生しています。原発を攻撃するなどもっての外です。

    私たち原水爆禁止石川県民会議は、世界の労働者・市民と固く連帯し、ロシアのウクライナ侵略反対!ロシア軍はウクライナから全面撤退せよ!核恫喝・核戦争準備やめよ!原発にミサイルを打ち込むな!の闘いを大きくつくっていかなければなりません。

    また、ロシアの「核恫喝」を利用して悪のりする人がいます。「日本でもアメリカとの『核共有』の議論をタブー視してはならない」とする安倍元首相の発言は、非核3原則を破ろうとするものであり、断じて認めるわけにいきません。私たちは、改めて「武力では平和をつくれない」「核のない平和な世界」をつくっていくために全力を挙げます。

 2021年1月に国連で「核兵器禁止条約」が発行し、その保持や使用全てが禁止されています。唯一の戦争被爆国たる日本政府は世界の模範となって批准すべきです。私たちは、ヒロシマ、ナガサキそしてフクシマの悲劇を絶対に繰り返さないために奮闘します。

2022年3月8日 

原水爆禁止石川県民会議

代表委員 瀧山田庄治

〃   盛本 芳久

〃   野村 夏陽

〃   田村 光彰

〃   佐野 明弘

〃   糸矢 敏夫

(3/7)民衆を犠牲にする戦争止めろ!子供が泣く戦争止めよ!露軍はウクライナから撤退せよ!プ-チンの「核」恫喝・原発攻撃糾弾!プーチンは労働者・市民の弾圧・拘束を解け!米・欧のNATO軍拡反対!ウクライナへの武器支援止めよ!ロシアの労働者・市民は戦争反対・プ-チン打倒に起とう!世界の労働者・市民は反戦・平和の闘いに起とう!

ロシアのウクライナ武力侵攻に抗議する!

反戦デモへの弾圧やめろ!(県平和センター)

2月24日未明、ロシア・プーチン政権はウクライナへの武力侵攻を開始し、ウクライナは今なお戦争状態にあります。首都キエフや第2の都市ハリコフでの戦闘では、高層アパートにミサイルが撃ち込まれ、民間人も含め多くの死傷者が出ています。私たちはプーチン政権によるこのような蛮行に対して、断固たる抗議を表明します。

同時にプーチン政権がロシアは「今や世界でも最も強力な核保有国の一つだ」と、この戦争において核兵器の使用もあり得ると核恫喝を行っていることに強い怒りを感じ、絶対に許すことができません。

一方、アメリカ・バイデン政権とNATO諸国が、「力による現状変更は認めない」としてウクライナへ兵力の増派・武器供与を行っています。このことは、戦火を恐れてウクライナから着の身、着のまま隣国に逃れている50万人を超える難民や被災者を更に拡大させ、死者を増やすだけであり、この戦争を拡大することにしかならず、しかも、第3次世界大戦にもつながりかねない危険なことです。私たちは断固反対します。

いま、プーチン政権の暴挙に、世界各地から「NO!WAR」「戦争反対」の声が巻き起こっています。また、ロシア国内においても若者を中心に全土で戦争やめろ!のデモが起こっています。これら反対の声を封じ込めるためにプーチン政権は、強権的な弾圧で今や6000人以上の人たちを拘束、逮捕していますが、「戦争やめろ!」の声は止むことはありません。

私たち石川県平和運動センターは、全世界の労働者・市民と固く連帯し、ロシアのウクライナへの武力侵攻反対!ロシア軍はウクライナから即時全面撤退せよ!戦争を直ちにやめよ!を求めて反戦平和の闘いを大きくつくっていきます。

また、ウクライナ問題を活用して「日本でもアメリカとの『核共有』の議論をタブー視してはならない」とする安倍元首相の発言は、この機に乗じて非核3原則を公然と破ろうとするものであり、断じて認めるわけにいきません。私たちは、改めて「武力では平和をつくれない」「核のない平和な世界」をつくっていくために全力を挙げます。

2022年3月1日

石川県平和運動センター

2022年2月8日

航空自衛隊小松基地

司令 石引 大吾 様

                           小松基地爆音訴訟連絡会

小松能美平和運動センター

加賀地区平和運動センター

石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

社民党石川県連合

(各団体の公印省略)

申 入 書

 航空自衛隊小松基地のF15戦闘機が1月31日午後5時半ごろ、戦闘・戦技訓練のため離陸したが、その1分後、基地から5キロの小松沖に赤い閃光を残して墜落した。このF15戦闘機には「アグレッサー部隊」のパイロット2名(1名は飛行教導司令)が搭乗しており、必死の捜索にもかかわらず未だ行方不明であることは、悼むべきことです。防衛関係者によれば「乗員の練度は十分で、本当に何があったのか分からない」ということですが、一歩間違えば市民が犠牲になること、「台湾有事」に備えた猛訓練が原因であることなどから、私たちはこの墜落事故に対し強く抗議するものです。以下のように厳しく対処することを申し入れ、併せて真摯な回答を求めます。

1 全国の航空自衛隊にある約200機のF15戦闘機による訓練は、今回の墜落事故の原因が分かるまで、全ての飛行訓練及びスクランブルを、即時中止すること。

2 今回の墜落事故の原因を明確にし、その対処に於いて県民及び周辺市町住民の理解を得るまで訓練を中止すること。

3 全ての墜落原因・問題点が解決し、飛行訓練再開する場合でも、暴風雨などの天候時は避け、急降下、急上昇などの激しい訓練は、周辺に爆音をまき散らし、墜落と部品落下の危険性を増やすことから中止すること。

4 小松基地へ、25年に4機、26年に8機、28年までに20機のF35Aステルス戦闘機の配備計画が防衛省から発表されていますが、F35A戦闘機は「台湾有事」に備えた先制攻撃用戦闘機であり「戦争に直結」するものです。ましてや憲法9条に違反することから、配備計画の即時中止を防衛省に求めること。

以上

                    市民社会から核不拡散条約(NPT)締約国への共同声明*
2022 年 1 月 10 日

    世界が COVID-19 感染拡大に取り組み続ける中、私たち全員を脅かす他の地球規模の課題、たとえば、悪化する地球規模の気候危機や壊滅的な核戦争の脅威を見失うわけにはいきません。これらはすべて、コフィー・アナン前国連事務総長の言葉を借りれば、「パスポートのない問題」なのです。
このパンデミックによる世界的危機の規模は、複数の政治的失敗によるものです。政府やその他の関係者は、国境を越えた脅威や、その影響を防止・軽減するために必要な措置について、世界中の科学者が発した警告を何度も無視し、退けてきました。私たちは今、動きの速いコロナウイルスや気候危機との闘いにおいて極めて重要な地点にいるだけでなく、核戦争の脅威を減らし核兵器を廃絶するための長期にわたる努力においても転換点に立っています。
世界の核保有国間の緊張は高まり、核使用のリスクは増大し、核兵器の更新や改良に何十億ドルもが費やされ、核軍縮の進展は停滞し、核競争を抑制してきた重要な協定も深刻な危機にさらされています。
これらの世界的危機から学ぶべき多くの教訓の一つは、人間よりも利益を優先し、最も強力な者を優遇する見せかけの「国家安全保障」政策を口実に、科学を無視してはならない、ということです。
米国による広島と長崎への恐ろしい原爆投下から 75 年以上が経過し、核不拡散条約
(NPT)の締約国が条約の無期限延長につながる一連の決定を採択してから 25 年以上が
経過しています。このような背景から、この声明を支持する市民社会団体は、NPT 締約国に対して以下の 3 つの重要なメッセージを提唱します。

1.     NPT に対する世界の支持は強い。しかし、NPT が長期的に存続できる保証はない。
各国が NPT への支持を改めて表明していることは心強いことです。しかし条約は、そ
れが履行されてこそ強固なものとなります。コンセンサスに基づく NPT 再検討会議の決
定が履行されない状態が長く続けば続くほど、条約とその義務の重みは薄れていくことでしょう。NPT の長期的な存続のためには、すべての国がその義務を完全に履行しなければなりません。過去の NPT 再検討会議の公約と行動措置は、依然として有効です。これには、歴史的な 1995 年の再検討・延長会議で合意されたベンチマークや、2000 年と 2010 年の再検討会議でなされたさらなる公約が含まれます。それ以来、核軍縮プロセスは停滞しており、NPT 上の核兵器国 5 カ国は、NPT 第 6 条の義務を果たしていると信頼できる形で主張することができません。

2.     世界情勢の深刻な状況、核紛争と軍拡競争のリスクの高まりは、責任ある国家による新たな大胆なリーダーシップを求めている。
過去の行動計画を履行することは、NPT の規定を前進させるための土台であって、天井であってはなりません。核兵器使用のリスクはあまりにも高く、特に攻撃的なサイバー作戦や人工知能が世界の安全保障環境に前例のない不確実性をもたらしていることから、増* 原文および賛同団体数・団体名は、Reaching Critical Will 参照。
https://www.reachingcriticalwill.org/disarmament-fora/npt/20221
拡大しています。新たな安全保障上の同盟関係は、核不拡散保障措置体制にかつてない脅威をもたらし、地域的な軍拡競争へとエスカレートしています。このような環境だからこそ、すべての国が核兵器廃絶による核リスク削減のために大胆な行動を取ることが求められます。この行動は「あらゆる核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の結末に対する深い懸念」に根差したものです。多くの国が、現在発効している核兵器禁止条約(TPNW)に加わり、核軍縮に取り組む姿勢を示しています。TPNW は、核戦争の脅威をなくし、核兵器を廃絶するという共通の目標に大きく貢献するものです。

3.     変化に抵抗する人々はさらなる前進のために適切な「環境」ではないと言うが、責任ある行動者はいたるところでこの挑戦に起ち上がっている。
世界は、軍縮のための環境が「整う」まで待つことはできません。紛争予防と解決、非核軍事力の管理、人権の保護、気候や環境の保護、その他の重要な取り組みにおいて成功すれば、核軍縮を促進することになるのは事実です。しかし、協定交渉や単独行動によって軍縮のために行動することは、核兵器のない世界を実現するための環境を整えると同時に、世界の他の緊急の課題の解決に積極的に貢献する相互信頼の環境を構築することにつながります。
第 10 回 NPT 再検討会議は、現在の軌道を修正し、加速する軍拡競争を減速・反転させ、核拡散を防止し、核兵器の終焉をもたらすための努力を集中する重要な機会を提供するものです。
以下に署名した 91 団体は、NPT 締約国および国際社会に対し、新たな大胆なリー

ダーシップを発揮するよう求めます。私たちは、すべての NPT 締約国に対し、根深い政治的対立を超えて、NPT 第 6 条の目標を前進させ、軍縮の更なる進展のために必要なモメンタムを創出し、核戦争の惨事から人類を救うための行動計画に対する多数の支持を構築するために協働することを求めます。
NPT 再検討会議において核軍縮と不拡散を前進させるために締約国が検討すべきより詳細な分析と勧告は、この要請書の賛同団体リストの後に記載されています。
賛同団体(一覧)(91 団体、略)

沖縄県知事の判断を支持、国は辺野古新基地建設を断念せよ

辺野古新基地建設にかかわって、沖縄防衛局が沖縄県に申請していた軟弱地盤が存在する大浦湾を埋め立てるための設計概要変更申請について、玉城デニー沖縄県知事は11月25日、この申請を不承認としました。

辺野古新基地建設は即刻中止すべきであり、平和フォーラムは玉城デニー県知事が示した不承認の判断を全面的に支持します。

そもそも大浦湾は、大規模なアオサンゴ群集を含め多種多様なサンゴ類、5000種を超える海洋生物が確認されているなど、生物多様性に富む極めて豊かな自然が残されていることで知られています。この豊かな海を埋め立てる企ては、取り返しのつかない自然破壊であり、国が自ら定めた生物多様性国家戦略にも反する暴挙と言わざるを得ません。

また、防衛省の申請書には軟弱地盤改良工事の具体的内容はなく、また海面から90mにも及ぶマヨネーズ並みの地盤工事を行うことができる作業船もないとされています。仮に埋立工事を行ったとしても、地盤工学の専門家らの分析では「震度1以上でも護岸が崩壊する恐れがある」との指摘があり、滑走路面の地盤沈下によって米軍が定める基地機能の基準にも満たないとも言われています。工事計画は全く破綻していると言わざるを得ません。

2021年7月6日に最高裁判決のあった、サンゴ特別採捕をめぐる関与取り消し訴訟で、五人の裁判官のうち二人が、「大浦湾の軟弱地盤の存在で、変更申請が不承認になった場合、サンゴ移植は無意味であるということ。サンゴの移植を行ったとしても、移植は極めて困難で、大半が死滅することを考えれば、それでもサンゴの移植をするべく大浦湾の埋め立て事業が実施される蓋然性が相当程度になければいけない」とする反対意見を述べました。

沖縄県の敗訴が確定した判決とはいえ、工事強行の無意味さが司法の場においても明らかになったといえるでしょう。

沖縄の戦後は、米軍の施政権下におかれ、1972年の「沖縄復帰」以降も、米軍基地の集中を余儀なくされ、日米安保条約の負担を押しつけられてきました。今日においても、日本政府は米国の東アジア戦略に追従し、九州・沖縄、南西諸島に自衛隊基地の新設など、軍事強化をすすめています。万が一有事ともなれば、軍事基地の集中する沖縄などが戦禍を被ることは火を見るより明らかです。

沖縄にこれ以上の軍事基地の負担は許されません。沖縄県民を安保の犠牲にしてはなりません。軍事基地の新設強化は、東アジアの安全保障環境をより悪化させるだけです。

平和フォーラムは、沖縄県と県民の民意に連帯し、日本政府に辺野古新基地建設の断念を強く求めるとともに、南西諸島での軍事強化に反対することをここに表明します。

2021年11月25日

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)

共同代表 藤本 泰成

共同代表 勝島 一博

抗 議 声 明

11.23原子力防災訓練に異議あり 

放射能プルームと共に風下へ避難? 

行き先は能登半島の先端! 海からどこへ避難するの?

 本日午前7時30分から志賀原発の重大事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後10回目となる訓練であり、2年ぶりとなる住民参加の広域避難訓練も実施された。私たちは毎回監視行動を実施し、今回の訓練でも明らかになった荒天時の脆さ、複合災害被害の矮小化はもちろんのこと、根本的課題から現場の諸課題まで含め、その都度「抗議声明」を通じて指摘してきた。今回は①新型コロナ禍の原子力防災、②半島先端への避難の2点に絞って問題点を指摘し、住民を守らない、守れない原子力防災の実態を明らかにする。

1 コロナ禍において原子力防災は成り立たない

現在、新型コロナの感染は落ち着いた状況にあるとはいえ完全収束には至らず、感染再拡大による第6波が懸念されている。政府は国民に対して引き続きソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、密集・密接・密閉の「三密」回避など新しい生活様式の徹底を求めている。こうした中での原子力防災訓練であるが、原子力災害時には「三密」のリスクが伴う長距離の避難行動や長期間にわたる避難所生活が待ち受ける。なにより放射性物質の体への付着や吸引を防ぐための「密閉」が強く要請される。感染防止対策と相反する取り組みが求められるのである。

内閣府は昨年11月、「新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の実施ガイドライン」を公表した。しかし、その内容を見るならば、両者の「可能な限りの両立」を求めつつも「現場の状況により、柔軟な対応を行うことが重要」としており、行き着くところは現場への丸投げ方針と言わざるをえないものであった。

今回の訓練は新型コロナ禍における石川県として初めての住民参加の原子力防災訓練であり、「コロナ禍において原子力防災は成り立つのか」という命題に対して現場で答えを示すことができるのかが問われていた。結論を述べるなら「成り立たない」の一言であり、あえてどちらを優先させるかとなると被ばくからの防護措置を優先せざるをえないのである。県や関係自治体は一般的な感染防止対策を実施したのみで、「コロナに対応した原子力防災訓練」などと誤ったメッセージを発することはゆるされない。以下3点、指摘する。

(1)30キロ圏内では屋内退避訓練が実施された。放射線防護施設を備えた病院や福祉施設は、防護施設が建物の一部であるため、施設内の患者や入所者、職員ら全員が避難した場合、密集、密接は避けられない。放射線防護施設のない福祉施設などでは窓を開けての換気はできず、全員の速やかな避難も困難なため、長時間にわたって密閉空間となる。木造建屋などに屋内退避した場合も窓を開けての換気は厳禁であり、避難が長時間に及ぶとリスクは高まる。

(2)バスによる避難行動時も同様に換気によって放射性物質を取り込むことは厳禁である。避難先の多くは50~60km先であり、事故時には今回のようなスムーズな避難はありえず、渋滞などで移動に要する時間は県のシミュレーションでも6時間以上、場合によっては十数時間を要する。車内を汚染空間にしないよう細心の注意が必要である。

(3)原子力防災の司令塔、オフサイトセンターは典型的3密施設である。床面積約1400 ㎡弱のオフサイトセンター2階フロアには、志賀原子力規制事務所職員や県職員、北は輪島市から南はかほく市まで各市町の職員、北陸電力社員、陸・海・空各自衛隊、県警、海上保安庁等の担当者、さらに報道関係者も含めて200人以上が参集し、長時間にわたって業務にあたる密集空間である。放射性物質を遮断するために窓はなく、入り口もエアーロック設備が設けられるなど気密性を特に高めている。施設内感染があれば、事故対応は難航する。

2 放射能と共に風下に向かう、ありえない避難訓練

今回の訓練は、南西からの風が吹き、原発の北東方向に放射性物質が流れるとの想定で行われた。避難区域はPAZに加え、UPZ(約30~5km圏)の志賀町富来地区や七尾市中島地区、穴水町である。避難先は本来、風向きの垂直方向を選択しなければならない。しかし北西は日本海、南東は富山湾であることから、住民はプルームと共に、あるいはプルームと前後して、北東方向である半島先端に向かって避難するという、本来あってはならない避難訓練が実施された。訓練を主導した県や関係自治体に強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

(1)UPZの住民はEAL3(全面緊急事態)で屋内退避を要請され、その後の緊急モニタリングで20μSv/hを超える空間放射線量が測定されたとの想定でOIL2(早期防護基準)に基づき避難行動を開始した。避難計画通りであるが、現実に事故が起こったとき、プルームが流れてくるのを座して待ち、放射線量が上昇する中、プルームが流れる方向へ避難する住民が果たしてどれだけいるのか。いまは誰でも手元のスマホで簡単に風向き情報を入手できる時代である。指示に従わない多数の住民が出ること必至であり、混乱は避けられない。

(2)指示に従った住民は、手配されたバスあるいは自家用車で通常ならば1時間前後で到着する避難所へと向かうが、事故時は渋滞等で30km圏外へ出るだけでも6~10時間以上が見込まれている。プルーム下の長時間移動となり、住民の被ばく、車両の汚染リスクは高い。

(3)風向き方向の珠洲道路沿いののと里山空港と国道249号線沿いの藤波運動公園で避難退域時検査場所が設けられた。30キロ圏を越え、放射線量は徐々に低下しているとしても空間線量はゼロとは限らない。住民や車両の除染で渋滞、混雑する中、更なる被ばくのリスクが待ち受ける。渋滞を避けて検査場所を素通りし、避難所へ急ぐ車両も少なくないと思われる。

(4)能登町や珠洲市の避難者受入施設では、まず避難退域時検査の通行証を確認するが、通行証のない人の検査や除染をする設備はない。放射性物質の拡散が懸念される。

(5)国は、30キロ圏を超えてプルームが流れてきても通常の防災体制による広報で屋内退避を呼びかけ、対応は可能とする。しかし、福島県飯館村の例を持ち出すまでもなく30km圏外へも高濃度の放射能は流れ、降雨や降雪で地表や水源が汚染されるという事態も決して杞憂ではない。全住民の海路・空路による避難は困難であり、事故の収束が長引けば、半島先端へ避難してきた人、半島先端の住民、そして観光客など一時滞在者は半島先端で孤立する。

半島先端問題は安全神話を信じ能登半島の首根っこに位置する志賀町に原発を建設したことに起因する。プルームと共に半島先端へ避難し、これで安心・安全の確保とは言語道断である。唯一の解決策、最善の原子力防災対策は安全神話が崩壊した志賀原発の能登半島からの撤去であることを本日の原子力防災訓練に参加したすべての人に訴えたい。

福島第一原発事故から10年8か月、いまだ福島県内外で避難生活を強いられている人は志賀町の人口を大きく上回って約3万5千人にものぼる。ふるさとを追われ、仕事を失い、ときには家族がバラバラになる、そんな長期避難生活を覚悟している人が能登にいるとは思えない。福島の教訓をさらに多くの人と共有し、一日も早い廃炉実現へ全力を尽くす決意をここに表明する。

2021年11月23日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

社会民主党石川県連合

石川県平和運動センター

 

「島根原発2号機の安全審査合格」に抗議する

9月15日、原子力規制委員会は、新規制基準を満たすとして、中国電力島根原発2号機の安全審査合格を正式に決めた。しかし、私たちは、島根原発がさまざまな問題点を抱えていると考え、このまま再稼働を許すことはできない。

 島根原発は、全国にある原発の中で、唯一県庁所在地にあり、避難計画策定が必要となる30km圏内には、全原発の中で3番目に多い約46万人が住んでいる。このことは、かねてから住民を安全に計画通りに避難させることができるのかが問題視されてきた。また、敷地の南側約2kmの所に東西に走る宍道断層があり、危険性が指摘されてきた。基準地震動が当初の600ガルから820ガルに引き上げられたが、果たしてそれで済むとは思えない。過去には、他の原発ではあるが、基準地震動をはるかに上回る地震動を受けた原発がいくつもあった。津波対策についても高さ15mの防波壁を約1.5kmに渡り建設したが、果たして十分と言えるのだろうか。今回の安全審査合格は、このような不安を払拭できたとは言えない。審査を合格したからと言って、安全・安心が担保されたわけではないことは言うまでもない。

 島根原発2号機は、東京電力福島第1原発と同じ「沸騰水型」で、これまでに合格した同型の4基は、地元同意が得られていないなどの理由で、未だ再稼働には至っていない。島根県と松江市をはじめとする周辺自治体の同意や動向が今後の焦点となる。自治体は、住民の安全・安心を最優先すべきであり、再稼働ありきの判断は許されない。中国電力が地元と結んでいる安全協定により、再稼働には立地自治体である島根県と松江市の事前了解が条件となっているが、さらに住民避難計画の策定が必要な原発から30km圏内にある周辺自治体との対応も焦点になっている。現に、島根県の出雲・雲南・安来の各市と、鳥取県、同県米子・境港の両市には、事前了解権(同意権)が与えられておらず、立地自治体並みの「事前了解権」のある安全協定の締結を中国電力に求めている。住民の生命と財産を守るのは自治体の責務であり、当然のことだ。中国電力は、自治体や住民の声を真摯に受け止めるべきである。

 国は、福島原発事故後、原発から30km圏内にある自治体に避難計画の策定を義務付けている。一度事故が起きれば、深刻な影響を被る恐れがあり、実際、福島原発事故では、30km以上離れた飯舘村にも放射性物質が飛散し、全村が避難区域になったことを忘れてはならない。事故の教訓を踏まえ、中国電力は事前了解権を拡大するべきである。

 大規模な事故を想定して策定する広域避難計画にも懸念は残る。島根原発は、30km圏内に約46万人が生活している。自力避難が困難な高齢者や障がい者など「避難行動要支援者」が5万人超で、サポートにあたる人員を確保できるかも課題だ。当然、避難のための交通手段・避難場所の確保、また今は、新型コロナウイルス対策も必要となる。当該自治体の判断と指示に従って住民は避難することになるが、実際に事故が起きた時に、計画通り対応できるかどうか、その実効性に大きな疑問が残る。これらを放置したままの再稼働は絶対にあり得ない。

 島根原発をめぐっては、低レベル放射性廃棄物処理の虚偽記録問題や、廃棄物保管などに使う建物の法定に関する虚偽報告など、不祥事が相次いでいる。テロ対策施設に関する機密文書の廃棄も明らかになった。組織と安全意識の劣化というべき状況が起きていて、地域と住民の信頼は取り戻せないと考える。それ以前に、原発を運転する資格そのものが問われている。

2021年9月17日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 康成

被ばく76周年 原水禁世界大会・ナガサキ大会アピール

被ばく76周年 原水禁世界大会・ヒロシマ大会アピール

被ばく76周年 原水禁世界大会・フクシマ大会アピール

(2021.9アップ)

 

第6次エネルギー基本計画(素案)に対する原水禁声明

7月21日、経済産業省は、第6次エネルギー基本計画の素案を発表した。温暖化ガスの排出量を、2030年度に、2013年度比で46%削減するとの国際公約を踏まえ、再生可能エネルギーの2030年度の発電比率目標を36~38%と引き上げた。計画では「2050年のカーボンニュートラル実現に向け、主力電源として最大限の導入にとりくむ」として、再生可能エネルギーの比率を、2019年度実績の約2倍、現在の目標値を14ポイントほど高くした。しかし、十分とは言えない。欧州委員会は、再エネ比率を2030年までに65%まで引き上げる目標を打ち出している。今後、さらなる比率のかさ上げをめざし、政府はさまざまな施策を打ち出すことが求められる。計画に記された、公共施設の活用、発電コスト低減、環境アセスや自然公園法などの課題克服などはもちろん、エネルギー問題が地域社会・個人生活の重要な課題であることから、地方自治体や地域社会全体で議論できるよう、システムの拡充が求められる。太陽光発電や風力発電の設置をめぐっては、地域住民とのトラブルも起きている。必要なエネルギーをどう確保するかを、地域社会の中で議論することも重要となってきている。

一方で、原子力は依然としてベースロード電源として位置づけられ、20~22%と前回のエネルギー基本計画同様の発電比率が求められている。原発をめぐる情勢や世論を無視し、脱炭素を理由にして原発の活用を再度打ち出してきたことは、福島第一原発事故の被災者を愚弄するもので決して許されない。

 2011年3月11日の福島原発事故以降、エネルギーを巡る環境は、国際的にも国内的にも大きく変わった。今や、新規原発計画などありえない。安全対策によるコストの上昇やフクシマに象徴される原発事故の生活環境への壊滅的打撃などの現状を見据え、冷静に将来を見通す努力が求められている。計画では、原発の新規計画やリプレースを盛り込むことはできなかった。計画に記された原発の発電比率は、稼働中の10基、審査中の11基を含めて27基の原発を、稼働率80%で運転する必要がある。計画では「定期検査の効果的・効率的な実施や運転サイクルの長期化」を検討課題としているが、それはまさに安全対策の削減であり、無理な稼働率の引き上げは原発事故の可能性を高めるもので許されない。

地球温暖化対策が世界規模での喫緊の課題とされる今、多くの国々で、化石燃料を利用した火力や原子力から脱却し、風力や太陽光、太陽熱などの再生エネの利用拡大へと急ピッチで進んでいる。日本の旧態依然たる「原発温存」の政策は、政策の硬直性を示し、再エネ普及の阻害要因となっている。「可能な限り原発の依存度を低減する」との表現は維持したが、一方で「安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく」としている。このような二律背反の姿勢では、将来のエネルギー政策を誤ることは間違いない。

このような中途半端な政策は、目先の安易な利益に誘導され、原発の再稼働へ巨額の費用を投入させてきた。そのことは、再エネ普及に欠かせない送電網の拡充や蓄電池の普及とコスト削減など、さまざまな部分での阻害要因となってきた。

 また、電源別では最も安いと言われてきた原発の発電コストも引き上げてきた。今回、経済産業省が発表した2030年時点での発電コストの新たな試算では、原発は1キロワット時あたり11円台後半以上となり、太陽光(8円台前半~)、風力(9円台後半~)、LNG(10円台後半~)に抜かれた。政府や電力会社が福島原発事故以降も原発のコスト面での優位性を強調してきたが、その前提が崩れ、原発の「安全神話」の崩壊とともに、原発推進の理由が失われた。今後、原発の安全対策やバックエンド対策など、多くの不透明な費用負担を考えれば、さらにこのコストは膨らみ続ける。

 原水禁は、2021年3月、2030年までに原発・石炭火力ゼロを訴えた政策提言をまとめ、原水禁エネルギー・シナリオとして発表し、政府、経済産業省や国会議員へ提出してきた。 原水禁は、脱原発・脱炭素社会の実現は、気候危機に対する唯一の解決策であり、困難な道のりではあるが、達成可能と考えている。福島原発事故から10年。新たな状況を踏まえ、硬直化したエネルギー政策を見直し、脱原発・脱炭素社会へむけた行動を強く求める。環境に優しく、持続可能な社会は不可能ではない。

2021年7月27日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 泰成

 

「黒い雨」体験者を速やかに被爆者と認め、被曝地域の見直しと援護の充実を求める

7月14日、広島への原爆投下直後に降った、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたのに、被爆者として認められず国の援護を受けられないのは違法として、住民84人(うち14人死亡)が広島県と広島市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁(西井和徒裁判長)は、原告全員を被爆者と認定した一審判決を支持し、県や市、訴訟に参加する国側の控訴を棄却し、手帳交付を命じました。

判決では、「放射能による健康被害が否定できないことを証明すれば足りる」と指摘。原告らは、雨に打たれた外部被曝と、雨に含まれる放射性物質が混入した井戸水や野菜を摂取した内部被曝により健康被害を受けた可能性があるとして被爆者に該当すると結論付けました。国はこの間、頑なに被爆者の認定には、健康被害が放射線の影響であるとする科学的合理性が必要だと主張していましたが、今回の判決においてもそれは退けられました。これは、「影響が分からないから予防的に広く救うのではなく、分からないから救わないとする国の論理」を覆すもので、画期的な判断です。判決は、被爆者援護法の根底には、国が特殊な戦争被害を救済するという国家補償的配慮があり、幅広く救う趣旨に沿って定められたと確認した上で、原爆の放射能による健康被害を否定できなければ被爆者にあたるとしました。

また黒い雨は、一審に続いて国が定めた特例区域(爆心地の北西11km、南北19km)より広い範囲に降ったと判断し、特例区域外にいた原告らも「黒い雨に遭った」と認め、一審判決よりもさらに踏み込んだ判断をしました。これは昨年7月の広島地裁判決に続き、被爆者援護法の救済理念に基づき、国の援護行政の見直しをあらためて迫る内容です。

現在長崎地裁で再提訴され、進められている被爆体験者訴訟にも大きな影響を与えるものです。被爆地を旧長崎市域に限るという合理性を欠く理由で被爆者から排除された被爆体験者においても、被爆地を拡大するとともに内部被曝を認め、救済措置の実施を行い手帳の交付を認めるべきです。

一審判決後に厚生労働省は、援護の「特例区域」拡大を求める県と市の要望を受け、降雨域や健康への影響を検証する有識者検討会を設けて議論していましたが、未だに結果は出ていません。すでに広島県・市は上告に対して否定的であり、国は、県・市の意向を踏まえ上告をせず、速やかに原告を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を行うべきです。

2015年の提訴から7年近くにもなり上告は黒い雨体験者をさらに苦しめるもので許されません。高裁判決を受けいれ一刻も早く手帳を交付することを強く要望します。

2021年7月14日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

     金子 哲夫

     藤本 泰成

2021年6月16日

第204回通常国会の閉会にあたって(平和フォーラム見解)

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

2021年1月18日から、150日間わたって開催された第204回通常国会が、6月16日、閉会された。野党から3か月の会期延長を要求されたにもかかわらず、与党はこれを拒否、内閣不信任案を提出され、それを否決した上での閉会となった。今国会では、コロナ禍の克服が最大の課題となる中で、基本的人権をないがしろにする、問題の多い法案が成立しており、今後に課題を残している。

第一には、「国民投票法改正案」である。本法案については、立憲野党は8国会にわたって、改憲発議が可能な衆議院の3分の2をこえる自公政権のもとで、法案審議を継続させてきた。しかし、5月6日の衆議院憲法審査会において、立憲民主党の修正案をすべて了承し、法案を修正したうえで、可決されることとなった。修正の内容は、CM・ネット規制の問題や、政党への外資規制の問題、また、運動資金の透明化など、この法案のもつ明らかな欠陥について、「施行から3年を目途」に必要な改正を行う、としたものである。

しかし、この「改正案」は、そもそも「投票しやすい環境を整える」ことが目的だったはずだ。にもかかわらず、「期日前投票の弾力的運用」や「繰延投票の告示期間の短縮」はかえって「投票環境」を悪くしかねないものである。また、「最低投票率」あるいは「最低得票率」の問題も未解決のままだ。そのうえ、CM・ネット規制の問題や、新型コロナウイルス等による自宅療養者の投票権の問題も残されている。

参議院の憲法審査会では、これらのことが改めて議論されたが、明らかになったのは、本改正案の欠陥ばかりであった。6月2日に行われた参議院憲法審査会での参考人招致でも、与党推薦の参考人までが、議論が不足していることを指摘しており、本来であれば、廃案とすべきであった。しかし、本法案は6月9日の憲法審査会で可決、6月11日の参議院の本会議で、可決・成立した。審議不十分のまま、立法府としての責任を全く果たすことなく採決が行われたことに対して、強く抗議する。

今後、菅自公政権は、改憲4項目、すなわち、「自衛隊明記」「緊急事態条項の導入」「教育の充実」「合区解消」などの自民党の改憲4項目の議論にはいることを目論んでいる。さらにその先には、改憲発議を視野に入れている。しかし、今後、法案本文である「附則」において、この法案が「欠陥法案」であることが明記されている以上、この法案の成立をもって、自民党などが主張するように「憲法改正の是非を問う国民投票の実施に向けた環境が整った」わけではない。引き続き国民投票のあり方についての議論を継続すべきである。立憲民主党も6月11日の「談話」において、「ルールの公正性に関しての結論が出ない以上、憲法改正の発議をさせないことを改めて確認」すると表明しており、このことを基本に、今後の憲法改正論議を注視していかねばならない。

さらに、最も重要なことは、改憲勢力が3分の2以上を占める衆議院の状況を、来る総選挙で、逆転していくことである。そもそも、今、コロナ禍の克服と、それによる格差・貧困の問題の解決が最優先である今、憲法改正は焦眉の課題ではない。憲法に「緊急事態条項」に対する規定がないから、政府は適切な対応を打てないとする論があるが、これは詭弁であり、すでにある法律を使い切れていない政府の責任転嫁である。このような詭弁を打ち消していくためにも、総選挙における立憲野党の勝利によって、自民党が改憲発議を行うことができない状況をつくり出すことこそが、当面の最大の課題である。

第二には「重要土地調査規制法案」である。本法案は、基地や原発などの周辺1kmについて、国が「注視区域」や「特別注視区域」に指定して、利用を規制できるとしたもので、「特別注視区域」では土地や建物の売買の際に事前に氏名や国籍の届け出などが義務づけられる。また、国は区域を指定した上で土地・建物の所有者を対象に氏名や国籍、利用状況などの個人情報を調査できるとされている。

本法案は、3月26日に閣議決定されているにもかかわらず、ひと月以上も経った5月11日になってやっと衆議院で審議入り、わずか12時間の議論しか行われないまま、5月28日、与党が衆議院内閣委員会での採決を強行し、6月1日には衆議院本会議で可決された。

この法案の最大の問題点は、法律に書かれていることがあまりに抽象的で、具体的内容の多くが、政令や告示で個別指定されることとなっている点にある。同法では、基地や原発などの施設機能を「阻害する行為」を「機能阻害行為」として規制対象とし、命令違反には懲役もしくは罰金刑の対象とされている。しかし、「機能阻害行為」とはなにか、ということについては、まったく明確な定義がなされていない。このため、時の権力の解釈次第で基地に対する反対運動や監視活動などの市民運動までが「機能阻害行為」に含まれる危険性があり、運動の弾圧に利用される恐れもある。

また、内閣総理大臣が、調査のために必要がある場合、対象区域の利用者らの情報提供を求めることができるとされているが、これも、提供の対象となる情報や調査項目が、政令や告示で個別指定されることとなっており、調査内容が歯止めなく拡大する懸念がある。結果として、国家権力による違法な情報収集に法的裏付けを与えてしまう危険性がある。

以上のように、本法案は日本国憲法第29条で保障された財産権を侵害しかねない内容となっているばかりでなく、個人情報の過度な調査によって、プライバシーの権利(憲法第13条)などの基本的人権そのものを侵害しかねないものであり、違憲の疑いが極めて濃い。参議院では「重要土地調査規制法案」の審議について、衆議院では行われなかった参考人招致が実現、あわせて4回の審議が行われた。しかし、「機能阻害行為」など、法案で具体的に何が規制対象とされるのか全く分からないまま、与党は審議を打ち切ろうとしたため、立憲民主党をはじめとした立憲野党はこれに反対、内閣委員長の解任決議を提出したが、否決、6月15日の参議院内閣委員会で、採決が強行された。こののちも、立憲野党は議事運営委員長の解任決議などで抗議したが、翌16日3時近く、参議院本会議で採決がされ、可決、成立となった。

今後、この違憲の疑いの極めて濃い法律による市民監視、私権制限が現実のものとなる恐れがある。当面は、今後この法律に基づいて出される政令や告示のチェックを怠らない必要がある。また、ほぼ法律の体をなしていないこの法律そのものを廃止させるために、引き続き、取り組みを進めていかなければならない。

このほかにも、今国会では、「デジタル改革関連法案」が、個人情報保護の仕組みが担保されないまま成立している。また、「入管法」の改悪案は廃案に追い込むことができたが、入管の収容施設内で死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんのビデオの開示と真相の究明と遺族への謝罪はまだ果たされていない。

今国会最大の課題であったコロナ禍の克服についても、菅自公政権は、「変異株」の流入を防ぐ水際対策の不備や、一向に進まないPCR検査の拡充、後手に回ったワクチンの確保と接種体制の不備、病床数もなかなか拡大しない現状など、いっこうに有効な対策を講じることができていない。一方で、この間の新型コロナウイルス感染症の影響で仕事を失った人は、厚生労働省の調査で、製造業、小売業、飲食業、宿泊業を中心に10万人を超えている。実態はこの数字にとどまらないものと考えられ、この1年で、貧困と格差が急激に拡大している。この現状は、もはや人災であり、菅政権下での政治が機能していないことは明らかである。

このようななか、政治と金をめぐる不祥事や菅総理の長男が関連した総務省に対する違法接待、日本学術会議会員の任命拒否問題など権力の私物化が進められている。さらに、菅総理は7月23日の開会式が予定されている東京オリンピック、そしてパラリンピックの開催を強行しようとしている。医療体制がひっ迫するなかでの医療従事者派遣要請や、選手へのワクチン優先接種に対して、否定的な意見が多くあがっており、市民の命を最優先するために、今夏のオリンピック、そしてパラリンピックの開催は行うべきではない。

しかし、それでも菅総理が東京オリンピックを強行しようとしているのは、自らの政権の浮揚のためでしかない。今回の国会運営を見ても、「国民投票法改正案」や「重要土地調査規制法案」の成立にあくまでもこだわったのは、自民党内右派を意識した選挙対策であるともいわれている。国会審議の中でも、与党はまず成立ありきで、国民のために、立法府としての責任を果たそうとする意識は一切見られなかった。

このような、菅自公政権には、今すぐ退陣してもらわなければならない。

今後、7月の都議選、そして衆議院の解散総選挙が予定されている。今後の秋までが「暮らしといのち」を守る政治の確立、立憲主義の回復などに向けた、大きなチャンスとなる。総選挙における立憲野党の勝利にむけて、平和フォーラムは、この機会を最大限に生かしながら、とりくみを進めていく。

以 上

原水禁石川県民会議2021年総会アピール

 本年1月22日、核兵器禁止条約が世界50ヵ国の批准により発効しました。核兵器の開発、実験、保有、使用を許さず、核による威嚇も禁じた初めての国際条約であり、核廃絶を願い運動を続けてきた多くの人々が歓喜の声をあげています。

しかし、それとは裏腹に、核を保有する米英仏中ロ5か国の政府は条約に反対の立場を取っています。また、唯一の戦争被爆国である日本の菅政権は、米国の核の傘という幻想に依存し「署名する考えはない」と明言しました。菅政権は、米国の同盟国として「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ、「敵基地攻撃能力」の保有を含む臨戦態勢を着々整えています。「脱炭素」の名による原発再稼働政策も、日本の核開発能力を保持する狙いがあります。

3.11福島原発事故から10年を経ても、なお約4万人もの人々が故郷を失い避難生活を強いられています。被曝の健康被害も深刻です。事故原因すら解明できず、メルトダウンした核燃料がどこにどれだけ存在するのかも調査できません。核のツケを支払わされるのは、今を生きる私たちと未来を担う若い世代です。

今日ほど日本の原水禁運動の強化が求められているときはありません。こうした状況下において、私たち原水禁石川は本総会を開催し、核廃絶、脱原発、反戦平和、環境の諸課題への具体的取り組みについて総意で確認し、また役員体制を確立しました。

新型コロナウイルス感染症の収束がなお見通せない中で、昨年はほとんどの平和行進や諸集会、学習会の開催を中止せざるをえませんでした。しかし、運動の歩みは決して止めてはなりません。引き続き感染対策をしっかり行いながら、本年は広島・長崎・福島の原水禁世界大会への結集を最大限めざすとともに、わが石川県の各地域において反核平和行進や志賀原発廃炉などの運動を、創意工夫してつくりだしていくことを確認しました。

私たち原水禁石川は、核と戦争のない社会を実現するために奮闘する全ての人々と力をあわせ、核廃絶、脱原発、反戦平和、環境の闘いの輪をさらに大きく強くつくりだしていきます。ともに行動しましょう。

以上をもって総会アピールとします。

2021年5月14日

原水爆禁止石川県民会議

2021年定期総会参加者一同

【声明】今夏の五輪開催の断念と新型コロナウイルス対策の強化を求める

2021年5月14日

フォーラム平和・人権・環境

共同代表 藤本泰成

勝島一博

 新型コロナウイルス感染症の勢いが止まらない。緊急事態宣言下において、5月11日には全国で6240人、12日には7057人の新規感染者が報告されている。1日の全国の死者も100人を超えることとなった。医療機関は逼迫し、治療を受けられず死亡した者が全国で3月は29人、4月は47人が報告されている。現在、東京都、大阪府など6都府県に緊急事態宣言が、8県に蔓延防止等重点措置が適用され、対象地域の拡大も検討されている(5月13日現在)。

 昨年4月7日、政府は最初の緊急事態宣言を発出し、5月25日には全面解除したが、その間、全国の新規感染者が1000人を超えたことはなかった。7000人を超える現状を見れば、より一層深刻な事態に突入していることは明らかだ。このような事態は、PCR検査の拡充を行わず無症状の感染者を放置してきたこと、水際対策の不備から変異株の国内侵入を許してしまったこと、ワクチン接種の準備が遅れたこと、何よりも世界の感染状況を軽視し、最初の緊急事態宣言直後「Go To トラベル」キャンペーンや「Go To イート」キャンペーンなど経済政策を優先したことに原因がある。

 市民は感染拡大防止のために様々な自粛を強いられてきたが、政府の対策の不備から大きな効果を上げるに至らなかった。休業要請や営業時間短縮措置などこれまでの政府の対策は一貫性がなく、市民の理解を得るには説得力に欠ける。一度きり一律の給付金は、困窮者を真に救済することにはつながらず、営業補償もその給付が滞っている。医療従事者を優先するとしたワクチン接種も、医療従事者の接種が3割にも満たないまま、高齢者の接種が始まっている。英国や米国では、2回目のワクチン接種完了者が3割を超えているが、日本は1回目の接種でさえ対象者の2%となっている。対策の遅れは火を見るより明らかだ。

 このように市民社会が命の危険にさらされている中にあって、政府は7月23日の開会式が予定されている東京オリンピック、そしてパラリンピック(以下総称して五輪)の開催を強行しようとしている。菅首相は、五輪開催中止を求める野党の質問に対して「感染対策を講じて、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」と繰り返し答弁し、その具体策を示すことなく五輪開催を強行しようとしている。しかし、3月20日に発表された公益財団法人「新聞通信調査会」の海外5カ国での世論調査では、「中止すべきだ」「延期すべきだ」との回答の合計が全ての国で70%を超えている。英ガーディアン、米ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズなど主要な海外メディアも、開催に否定的な意見を掲載している。世界の感染状況からいっても、五輪が開催できる状況にはないだろう。国内で始められた五輪開催中止を求めるネット署名への賛同は、わずかな期間で35万人以上に達している。五輪への医療従事者派遣の要請に、当事者から大きな反発が起き、選手へのワクチン優先接種も否定的な意見があがっている。ホストタウンを引き受ける自治体にも不安は広がり、受け入れ中止を表明する自治体も現れている。

 世界中が命の危険にさらされている中にあって、五輪開催にどのような意味があるのか。政府、JOCそして組織委員会は、その意味を示し得ていない。オリンピズムの根本原則には「オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である」と記載されている。それならば、「いのち」を優先することが求められるのではないか。現下の状況でオリンピックを開催すべきではない。世界の、そして日本の市民社会は、決して開催を喜びはしない。

 「いのちに寄り添う政治と社会」を求めて活動してきた平和フォーラムは、今夏の五輪開催を断念し、新型コロナウイルス対策を強化し市民の命を最優先することを、日本政府に対し強く求める。

衆院憲法審査会における国民投票法改正案の採決に抗議する

石川県平和運動センター

5月6日、衆議院憲法審査会において、立憲民主党が提案した修正案を与党が了承し、何らの議論もなく、国民投票法改正案が採決された。多くの欠陥を残しながら、戦争につながる「改憲手続法」が採決されたことに対し、石川県平和運動センターに結集する仲間は強く抗議する。

2018年6月、自・公政権より「改憲手続法改正案」が提案されて以降、私たちは、9条に自衛隊を明記し、日・米の軍事一体化と準戦時体制へ突き進むための第一歩であるとの危機感を持ち、法案の廃案をめざし闘ってきた。しかし、安倍、菅と続く自・公政権は、与党補完勢力をまきこみ、立憲民主党に迫り、このような結果となったことは極めて遺憾と言わざるを得ない。

この法案は、自宅療養者の投票権についても公職選挙法並び7項目の改正では解決せず、また、「最低投票率」や「最低得票率」の問題、政党への外資規制の問題も未解決のままであり、「投票環境の向上」については、「期日前投票の弾力的運用」や「繰延投票の告示期間の短縮」などはかえって「投票環境」を悪くしかねない。

最大の問題点は、憲法改正手続法が公職選挙法並び7項目の改正で良いのかという点である。与党は、9条に自衛隊を明記して「軍隊を合法化」し「自衛戦争」を可能にすること、緊急事態条項(戒厳令に等しいもの)を設置して国民を戦争に協力させること、そして、教育の国家統制の強化や地方自治を含む統治機構を再編することを狙っており、「平和憲法」の根幹を変えて戦争する国にするものだとして、断固、反対し闘い続けてきた。

立憲民主党の修正案は、CM・インターネット規制の問題や、政党への外資規制の問題、また、運動資金の透明化など、この法案のもつ明らかな欠陥について、「施行から3年を目途」に、必要な改正を行うことを要求したものであったが、一部を「附則」に取り入れることで賛成にまわることは批判を免れない。

与党側は、この要求をすべて了承する形で本法案の成立を図った。しかし、与党側も「CM規制などは問題である」としており、「附則」ではなく法案そのものの修正を迫るべきであった。しかもコロナ禍、緊急事態宣言が発令されているなか、なぜ「不要不急」の法案を審議する必要があるのか。優先すべきは、新型コロナウイルス対策であり、生活に困窮している人や、医療現場で苦闘されている方々に国として、どうしていくべきかを優先して議論すべきである。

しかし、菅自公政権は、コロナ禍が一年も経過したにもかかわらずPCR検査は民間任せ、ワクチン確保も後手を踏み、最も必要な病床の確保やマンパワーの確保もできていない状況である。その場しのぎでしかない。憲法第25条に規定されている「生存権」の保障すらできない今の菅自・公政権には、そもそも憲法改正の議論をする資格すらない。

5月11日、衆議院本会議でこの法案は採決の予定だが、参議院においても引き続き、この法案の欠陥問題について議論すべきである。6月16日の会期末までこの欠陥法案を廃案に追い込むために私たちは闘います。ましてや、菅自・公政権の掲げる改憲4項目、「自衛隊明記」「緊急事態条項の導入」「教育の充実」「合区解消」などの自民党の改憲4項目の議論にはいることなど論外である。

この国会で、自民党ほか改憲勢力が3分の2以上を占める衆議院の状況を逆転していかねばなりません。石川県平和運動センターは、引き続き、改憲発議阻止と日・米の軍事一体化に反対する運動をつなぎ、自民党政権の打倒に向けて、取り組みを強化していく。

2021年5月10日

2021/5/6

衆議院憲法審査会における国民投票法改正案の採決

に対する平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

本日、衆議院憲法審査会において、立憲民主党が提案した修正案を与党側が了承し、何ら議論もなく、国民投票法改正案が採決された。多くの欠陥を残しながら、この法案が採決されたことに対し、強く抗議する。

この法案が提出された2018年6月以降、立憲野党は8国会にわたって、改憲発議が可能な衆議院の3分の2をこえる自公政権のもとで、法案審議を継続させてきた。この努力については一定評価できる。しかし、菅自公政権だけではなく、一部野党、そして一部マスコミもあわせた「採決をせよ」の大合唱の中で、このような結果となったことは極めて遺憾である。

菅自公政権が、採決を急いだのは、5月3日の憲法記念日で、菅首相自身が述べたとおり「憲法改正の議論を進める最初の一歩」とするためであり、まさに、この法案は「改憲手続法」とでもいうべき法案である。

しかし、この法案は、CM・インターネット規制など、多くの問題を残している。また、自宅療養者の投票権の問題も、今回の法案、すなわち、公選法並びの7項目の改正では解決しない。これだけ、新型コロナウイルスが拡大し、自宅療養を強いられている方々が多くいる現状で、あまりにも無責任である。

また、「最低投票率」あるいは「最低得票率」の問題、政党への外資規制の問題も未解決のままだ。さらには、この法改正の目的とされている、「投票環境の向上」についても、「期日前投票の弾力的運用」や「繰延投票の告示期間の短縮」はかえって「投票環境」を悪くしかねないものである。

立憲民主党の修正案は、CM・インターネット規制の問題や、政党への外資規制の問題、また、運動資金の透明化など、この法案のもつ明らかな欠陥について、「施行から3年を目途」に、必要な改正を行うことを要求したものであった。与党側は、この要求をすべて了承する形で、本法案の成立を図った。しかし、与党側も「CM規制など、問題であることは理解できる」としており、それであれば、「附則」ではなく、法案そのものを修正すべきである。

緊急事態宣言が発令されている今、このような、「不要不急」の法案を、審議する必要があったのか。優先すべきは、新型コロナウイルス対策であり、新型コロナウイルスによって、生活に困窮している皆さん、努力されている医療現場の皆さんなどに、国として、どのように対応していくのかを、優先して議論すべきだ。

しかし、菅自公政権は、コロナ禍が始まってから、もう一年もたつというのに、PCR検査は民間任せ、ワクチン確保も後手を踏み、最も必要な病床の確保や、マンパワーの確保も、その場しのぎの対応しかできていない。憲法第25条に規定されている「生存権」の保障すらできない、今の菅自公政権には、そもそも憲法改正の議論をする資格すらない。

今後、5月11日の衆議院本会議で、この法案は採決の予定であり、そこから先、参議院での議論が始まる。まずは、6月16日の会期末まで、この欠陥法案を廃案に追い込んでいく努力を継続していく。また、与野党合意の上で「3年後の見直し」を法案本文に記載したのであれば、3年後を待つことなく、参議院においても引き続き、この法案の欠陥について、議論すべきである。ましてや、菅自公政権の掲げる、改憲4項目、すなわち、「自衛隊明記」「緊急事態条項の導入」「教育の充実」「合区解消」などの自民党の改憲4項目の議論にはいることなど論外である。

この自民党の「自衛隊明記」「緊急事態条項の導入」のような、まさに日本国憲法の「平和主義」「民主主義」「基本的人権の尊重」という基本原理を蹂躙する内容の憲法改悪を、我々は決して許すわけにはいかない。この改憲発議を阻止するためにも、改憲勢力が3分の2以上を占める衆議院の状況を、来る総選挙で、逆転していかねばならない。平和フォーラムは、引き続き、改憲発議の阻止と、立憲野党の勝利に向けて、取り組みを強化していく。

以 上

5.3護憲集会アピール(案)

私たちは、4都府県に三度目の緊急事態宣言が出され、県内にも感染蔓延特別警報が発出されるなど新型コロナウイルス感染症が厳しい状況の中、憲法施行74周年の護憲集会に集いました。国内で10,000人を超えた感染症による死者、経済的困難により自殺に追い込まれた人々、コロナ差別にさらされた人々に思いを馳せるとき、憲法が保障する最低限の生存権すら守られない現実に憤りを禁じ得ません。これは、政府の無為、場当たり・後追い対応が引き起こした「政治禍」に外なりません。

菅政権は、9条への自衛隊の書き込み、「緊急事態条項」創設など安倍改憲4項目を引き継いだ自民党改憲案を国会に提出することを目論み、憲法審査会での審議を促しています。投票率やCM規制に歯止め無き国民投票法案をめぐり、連休明けの採決が強行されようとしています。改憲国民投票に道を開く同改正案の採決は行うべきではありません。

この間、野党と市民・労働者による全国連帯の力で、明文改憲は阻止してきました。しかしながら、菅政権は、軍事予算においては、宇宙防衛、敵基地攻撃能力となる長射程のスタンド・オフ・ミサイルの開発、ステルス型F35戦闘機の配備等を盛り込み、過去最大の5兆4千億円を投じる予定です。

日本が追随するアメリカバイデン新大統領は、中国・ロシアとの間で覇権と経済権益をめぐって対立し、軍事的緊張を強めています。日米共同声明には、軍事同盟における日本の積極関与が明記されました。日本が安保法を発動し、台湾周辺や日本海を含むアジアの海に危機が高まる戦争の当事者となることを憂慮します。それは、小松基地へのF35配備をはじめとする基地機能の強化、沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る南部戦跡の土砂を投入してまで急ぐ辺野古の新基地建設、鹿児島県馬毛島の軍事要塞化などに現れています。

菅首相は、日本学術会議の会員候補者6人の任命を拒否し、未だに撤回はおろか説明を拒んだままです。学問研究の自由を保障する憲法規範に真っ向から挑戦する政治介入であり、断じて容認できません。衆議院を通過したデジタル庁設置法案は、内閣府が国家と自治体のすべての情報を一元管理し、マイナンバーカードの多用途化ですべての国民の個人情報をも国家が掌握する超管理国家を目指すものです。「利便性」の陰に隠れる危険性を県民と共有しなければなりません。

これらの平和と基本的人権に係る極めて重要な課題に対し、私たちは、石川の地で果敢に闘いを挑んでいます。控訴審をたたかう小松基地爆音訴訟、マイナンバー離脱請求訴訟の勝利を目指す新たなたたかいが始まっています。金沢市庁舎前広場護憲集会使用不許可違憲訴訟もまた、控訴審の闘いを開始しています。

日本国憲法施行74周年に当たり、菅政権の全体主義的な政治手法を許さず、憲法理念にもとづく社会の再構築を誓い合い、アピールとします。

2021年5月3日

5.3護憲集会 参加者一同

40年超の原発再稼働に断固反対する

4月28日、杉本達治福井県知事は、運転開始から40年を超えた福井県内の関西電力美浜原発3号機、高浜原発1・2号機の再稼働に同意した。周辺住民をはじめとする県民、周辺県の反対や不安の声を無視し、再稼働に同意したことは断じて許されない。

運転開始から40年を超える老朽原発の再稼働は、東京電力福島第一原発事故後に原発の運転期間が「原則40年、最長で延長20年」と定められ、あくまで再延長は、例外的であったはずである。しかし、国が「脱炭素社会」に向けて進めている計画の中で、原発活用論を打ち出している。計画通り、2030年度に原子力発電を電源構成比率の20~22%にするためには、原発は30基程度が必要になる計算である。そのためには、今後、多くの40年超の原発再稼働が必要となり、「40年ルール」という原則を形骸化させるものになる。

老朽原発は、安全性、労働者被曝の増加、避難計画など、さまざまな問題がある。今回の高浜原発では電気ケーブルの火災防災対策やテロ対策等施設の未完や基準地震動の過小評価による耐震性の問題などが指摘されている。労働者被曝についても、機材の劣化による点検交換、故障・事故の増大等により、労働者被曝の増加が懸念される。さらに、避難計画の問題は、大阪や京都といった大都市圏を背後にかかえ、その実効性が問われている。3月18日、東海第二原発の運転差し止め裁判では、避難計画や防災体制が不十分として、運転差し止め判決が出された。福井県では「避難先の確保」もたりず、避難の実効性も問題となっている。

また、かねてから県知事が求めていた使用済み核燃料の福井県外での中間貯蔵の問題も、解決策がなく先送りされたままである。

それらと引き換えに、新たな交付金として原発1ヶ所につき25億円、美浜と高浜で合わせて50億円を手にすることによって、老朽原発の運転延長に同意したことは、福井県民の命や安全を蔑ろにしていると言わざるを得ない。

原水禁は、このような危険性がある40年超の老朽原発再稼働に断固抗議し、福井県知事の同意撤回を強く求める。住民の命を守り、脱原発・脱炭素社会を求めて、さらに運動を強化していく。

2021年5月3日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野 浩一

金子 哲夫

藤本 泰成

 

2021年4月28日

航空自衛隊小松基地

司令 加治屋 秀昭 様

                           小松基地爆音訴訟連絡会

小松能美平和運動センター

加賀地区平和運動センター

石川県平和運動センター

石川県憲法を守る会

社民党石川県連合

(各団体の公印省略)

抗 議 文

 2020年10月5日の新聞報道によれば、最新鋭のステルス戦闘機F35A型4機が2025年にも小松基地などへの配備が検討されていると報じられています。

 小松基地では、2016年にアグレッサー部隊が増強され、騒音被害も増大しているなか、更なる被害拡大につながるF35A型の配備は、絶対に認められません。日米軍事同盟一体化を強力に進めてきた安倍内閣では、特定秘密保護法や集団的自衛権行使、安保関連法などを数の横暴で強行採決し、戦争のできる体制を推し進めてきました。現在の菅内閣もこれらを踏襲しています。

 F35A型は、敵基地攻撃の能力を保持し、ミサイル装備のうえ、自衛隊の能力を飛躍的に向上させるものです。しかも、騒音の増大も予想され、配備されることになれば、日々爆音被害に悩まされている周辺住民にとって、更なる苦痛を強いるものです。また、F35Aの欠陥も指摘されており、2019年4月9日、三沢基地所属のF35Aが墜落し、パイロットが行方不明となる重大事故が発生しているほか、不具合が生じていることも報道されています。このような危険極まりない戦闘機を配備するなど断固として反対します。

 4月16日に訪米した菅首相はバイデン大統領との会談で確認した「日米共同声明」の中で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」という米国の台湾有事対応に、日本が積極的に協力することを明らかにしています。その場合、小松基地は最前線基地になることは云うまでもありません。そしてその中核になるのはF35Aステルス戦闘機に他なりません。

 よって、小松基地へのF35戦闘機配備計画には断固反対いたします。

【声明】「改憲手続法」改正案の採決強行に反対する

2021年4月28日

戦争をさせない1000人委員会

 2021年4月段階において、菅自公政権や一部野党は「改憲手続法」(日本国憲法の改正手続に関する法律)の改正にむけての動きを進めている。しかし今、政治が全力で取りくむべきはコロナ感染症への対策である。多くの市民が求めているのは憲法改正や憲法改正の一里塚となる「改憲手続法」改正ではない。私たち戦争をさせない1000人委員会は「改憲手続法」の改正を目指す菅自公政権に対して強く抗議する。

 そもそも、日本国憲法が社会の現実に適合せず、したがって憲法を改正せよとの声が多数の市民から上がっているわけではない。2020年8月28日、辞職の際の記者会見で「国民的な世論が十分に盛り上がらなかったことは事実であり、それなしには進めることはできないだろうと改めて痛感している」と発言したように、市民が憲法改正を求めていないことは安倍前首相自身も認めている。にもかかわらず、憲法改正にむけて公職選挙法並びの7項目の「改憲手続法」改正を進める動きは「不要不急」と言わざるを得ない。

 さらに「改憲手続法」改正の議論をするのであれば、主権者の意思が公平かつ適切に反映される制度設計のための議論が必要となる。具体的には「最低投票率」あるいは「最低得票率」、テレビCM規制、インターネット規制、政党への外資規制の問題などを真摯に議論し、「カネで買われた憲法改正」とならないための、根本的な議論こそ求められる。ところが第2次安倍政権以降、そして菅政権で開催されてきた衆議院憲法審査会では、与党はこうした問題を後回しにして十分な議論を回避してきた。

 百歩譲って「公選法並び7項目」の改正を内容とする「改憲手続法」の議論が必要だとしても、「期日前投票の弾力的運用」や「繰延投票の告示期間の短縮」は、「投票環境の向上」という法改正の目的に反する事態をもたらす可能性が国会でも指摘されている。これらの問題に対する自民党や公明党の答弁は支離滅裂としか言いようがない。さらには「洋上投票」「在外投票制度」「共通投票所」などの項目でも「投票環境の向上」という視点からはさらなる議論が必要である。しかし菅政権はこれらの問題にも真摯に向き合って議論するのではなく、数を恃んで採決を強行しようとする姿勢が窺われる。こうした菅自公政権の対応こそ、市民の意思を反映させるための公平な国民投票制度を構築しようという気がないことを示している。

 4月22日の衆議院憲法審査会でも、自民党・公明党の議員は公選法並び7項目の「改憲手続法」の採決を直ちに行い、憲法改正原案の議論をも主張した。拙速な議論で公選法並び7項目の「改憲手続法」の改正を目指す理由は、上記主張からも明白なように、憲法改正にむけた政治を進めるためである。また、自民党は「自衛隊明記」「緊急事態条項の導入」「教育の充実」「合区解消」などを主張した。自民党が主張する「自衛隊明記」「緊急事態条項」は、日本国憲法の「平和主義」「民主主義」「基本的人権の尊重」という基本原理を蹂躙する内容となっている。「教育の充実」を実現するためには法改正や予算措置で可能であり、憲法改正は必要ない。「合区解消」は「投票価値の平等」を空洞化させ、自民党に有利な選挙区を憲法改正によって作り上げることになる。いずれの改正も「有害無益」と言わざるを得ない。そして、憲法改正を実現するために公選法並び7項目の「改憲手続法」の採決を十分な議論もせずに強行的に採決しようとする政治こそ、主権者の意思を聞こうとしない姿勢を証明するものであり、「国民主権」原理とは相容れないものである。

 以上の理由から、現在進められている公選法並び7項目の「改憲手続法」改正案の採決の動きに対し、戦争をさせない1000人委員会として強く反対する。

 

放射能汚染水の「海洋放出」に反対する!

 4月13日朝、菅政権は、関係閣僚会議で東京電力福島第一原発内で増え続ける放射能汚染水を福島沖へ「海洋放出」する方針を決定した。

 この決定に先立つ4月7日、菅首相自らが全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と会談し「海洋放出がより確実に実施できるとの専門家の提言に踏まえ、政府の方針を決定したい」と伝えたが、全漁連の岸会長は「絶対反対という考えはいささかも変わらない」と答えていることはマスコミでも広く報道されている。

 しかも、経済産業省が公募したパブリックコメントでは、放射能汚染水の安全性に対する懸念や、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスの懸念などが寄せられ「海洋放出」に対しては多くの問題を抱えたままであり、理解は得られていないし、2015年8月24日には福島県漁連に対し経済産業省は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」と文書回答をしていることにも反している。

 放射能汚染水を「海洋放出」することは地球規模での海洋汚染・環境破壊につながり、すでに海外諸国からも批判の声が上がっている。今、菅政権が関係閣僚会議で決定した放射能汚染水の「海洋放出」は、単に福島県漁業者の問題にとどまらず、放射性物質を海にまき散らす犯罪行為であり、自然や私たちの生命そのものにかかわることからも私たちは絶対に看過できない。

 そもそも、東電福島第一原発事故は、直接の当事者である東京電力をはじめ、原発政策を推進してきた誰も責任を取っていない。原発事故から10年を経たが、故郷に帰れない避難者が未だに数万人に上る。この状態が何ら改善されていない。にもかかわらず今回のような菅政権の暴挙は認められるものではない。

  政権発足以来菅政権は、自らの政権運営に対し異を唱える者を排除し無視し続け、“有無を言わさず押し通す”という強権的姿勢で一貫している。私たちはこのような強権的手法に対して抗議し、放射能汚染水の「海洋放出」に反対し撤回を強く求める。

2021年4月21日

  • 原水爆禁止石川県民会議
  •   代表委員  滝山田 庄治(石川県平和運動センター代表)
  • 代表委員 盛本 芳久 (社会民主党石川県連合代表)
  • 代表委員 野村 夏陽 (石川県社会法律センター理事)
  • 代表委員   田村 光彰 (元北陸大学教授)
  • 代表委員  佐野 明弘 (加賀市光闡坊住職)
  • 代表委員  糸矢 敏夫  (元県平和センター代表)

放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に断固反対する

2021年3月6日、菅義偉首相は、東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている処理水(放射能汚染水)の処分をめぐり「いつまでも決定をせずに先送りはすべきでない。政府が責任を持って適切な時期に方針を決定したい」と表明し、4月7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と会談した。菅首相は「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えたが、岸会長は「絶対反対との考えはいささかも変わらない」と答えた。来週・13日には、関係閣僚会議を開催し「海洋放出」方針決定すると言われている。

2020年2月、有識者による政府の小委員会は「海洋放出」と水蒸気にして空気中に放出する「大気放出」を提示し、海洋放出を「より確実」とする報告書をまとめたが、放射能汚染水の扱いについては「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」とした。しかしながら、その後、まともな議論も行われず、福島県民合意・国民合意もないまま、問答無用で処分について方針決定することは、再び放射能による被害を招くことになる。

何よりも、2015年1月7日に開催された「第6回廃炉・汚染水対策福島協議会」の場において、経済産業省の糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐は「(ALPS処理水について)関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません」と答弁し、経済産業省は、福島県漁連へ「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」(2015年8月24日付)と文書回答したことを忘れてはならない。「海洋放出」することは、政府が福島県民や国民に約束したことに違反することになる。

地元・福島県漁連の野崎哲会長も「『海洋放出』に反対の姿勢は変わらない」としており、県民も生産者の多くも反対の声をあげている。福島県内59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、「海洋放出」に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択している。経済産業省が公募したパブリックコメントでは、放射能汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念などが寄せられ、「海洋放出」に対して否定的なものが占めていた。多くの問題を抱え、解決方法が見いだせないまま、関係閣僚会議において「海洋放出」を方針決定することは許せない。

東日本大震災後、福島沿岸の漁業は一時自粛を余儀なくされた。漁業者は、2012年6月から、漁の回数や漁獲量を大幅に抑える「試験操業」を行ってきた。水揚げのたびに、放射性物質検査を行って安全を確認し、水産物の市場価値を慎重に調査してきた。2021年3月「試験操業」は終了した。数年後の本格操業をめざして、水揚げを震災前の水準へ戻そうと、徐々に漁獲量を増やしていくために歩み始めたばかりだ。「海洋放出」方針決定により、風評被害が起きれば、水産業関係者がこれまで地道に積み重ねてきたさまざまな努力が水泡に帰することになる。再び水産業関係者の生活や希望を奪い去ることになる「海洋放出」方針決定は、絶対に許されるものではない。

また、放射能汚染水を「海洋放出」することは、将来的に地球規模での海洋汚染・環境破壊につながることを懸念し、「海洋放出」方針決定に反対・批判の声が海外からも原水禁に寄せられた。

原水禁は「海洋放出」方針決定することに断固反対する。貯蔵タンクの増設、新たな保管場所の確保など「海洋放出」ではなく、これまで同様陸上保管することを強く求める。

2021年4月9日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

2021/3/26

「重要土地等調査法案」に反対する平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

 3月26日、政府は「重要土地等調査法案(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)」を閣議決定した。法案は、原子力発電所や基地などの「重要施設」の周辺区域の土地が「機能を阻害する行為の用に供される」ことを防止するために制定するとされており、適用区域として「注視区域」と「特別注視区域」が設定される。

 「注視区域」と「特別注視区域」については、政府に利用実態の調査権限が付与され、調査結果をふまえて、対象施設の機能を阻害する行為に利用される恐れがあると判断された時には、政府は中止勧告・命令ができる。またこれに加え、「特別注視区域」では、一定面積以上の土地売買に、利用目的の事前届け出が義務付けられる。従わない際は2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科され、虚偽申請にも罰則が設けられる。

 また、法案では、具体的な規制区域や必要とされる個人情報の提供などについて、政令や告示で個別指定されることとなっており、恣意的に運用される危険性をはらんでいる。特に、「特別注視区域」に指定された区域では、「事前届出」の際に、政令で調査項目が歯止めなく拡大することが懸念される。基地や原発周辺1㎞の規制範囲に居住する市民や平和団体事務所等の所有者について、政府が職歴や戸籍などと照合して、思想・信条に立ち入る恐れがある。

 以上の通り、この法案は、日本国憲法第29条で保障された財産権を侵害しかねない内容となっているばかりでなく、個人情報の過度な調査によって、基本的人権そのものを侵害しかねない内容となっており、問題である。私権制限は最小限であるべきで、安全保障をことさら持ち出し、国民の権利に過度な制約をかけるべきではない。

  今後、国会において、「重要土地等調査法案」の審議が行われることとなる。平和フォーラムは、本法案に反対し、立憲野党と連携しながら、廃案を求めてとりくみを進めていく。

以 上

東海第二原発運転差し止め判決に対する原水禁声明

3月18日、首都東京に一番近い原発である日本原子力発電(原電)の東海第二原子力発電所(茨城県東海村)について、水戸地方裁判所(前田英子裁判長)は再稼働を認めない判決を言い渡しました。

判決では、原発事故が起きた際に、住民を避難させるための避難計画や防災体制が、十分整えられていないことを理由に、運転の差し止めを認める初めての司法判断を示しました。判決は、原発を動かす以上、住民の生命を確実に守る必要があるという重要な課題を突きつけています。それは当然、他の原発においても避難や防災の実効性の再検討を求めるものです。

東海第二原発では、原発から半径30km圏内に94万人が暮らし、原発で重大な事故が起きた際に、確実かつ安全に避難させることができるかが問題となっていました。

判決では「30km圏内の住民が避難できる避難計画と体制が整っていなければ、重大事故に対して安全を確保できる防護レベルが達成されているとはいえない」とし、「避難計画の策定は、14市町村のうち避難が必要な住民が比較的少ない5つの自治体にとどまっていて、人口の多い水戸市などは策定できていない。5つの自治体の避難計画も複合災害の課題をかかえている」と指摘しました。そのうえで、現在策定された避難計画も不十分として「実現可能な避難計画や実行できる体制が整えられていると言うには程遠い状態で、防災体制は極めて不十分だと言わざるをえない」と、東海第二原発の再稼働を認めませんでした。「避難・防災」体制の不備が住民に具体的危険がおよぶとして、差し止めの判断を下したことは画期的であり、他の原発訴訟に大きな影響を与えるものです。

一方で、原告が主張した「地震」や「津波」「火山噴火」などについて、「規制委員会の審査に見過ごせない誤りや欠落があるとまでは認められない」としたことには、絶対に承服できません。同日、広島高等裁判所では、伊方原発訴訟に対する四国電力の異議審において、巨大噴火や活断層の存在の可能性を退けた判決が下されました。自然災害のリスクを矮小化し、住民の安全を顧みない姿勢は、福島原発事故を経験した日本社会に、決して受け入れられるものではありません。

これまで原発は、多重防護を前提に過酷事故など絶対に起こらないとしてきました。それが「安全神話」につながり、2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故を起こしたと考えます。多重防護が自然災害によって打ち壊された際の最後の砦が、第5層の防災体制であり、そこには実行性ある避難計画の策定が求められます。

日本では防災計画の策定は、自治体に求められていますが、狭隘な国土に人口が密集する日本においては、実効性のある避難計画の策定は、現実的に不可能と言わざるを得ません。そのことを無視し、原発の再稼働を強行することは、今回の裁判でも指摘されているように、住民の「人格権」を侵害するものでしかありません。

原水禁は、原電に対して、避難計画が現実的に不可能なことを認め、再稼働を追及せず、すみやかに東海第二原発の廃炉に踏み切ることを求めます。

2021年3月19日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

「福島原発事故から10年」(原水禁アピール)

2011年3月11日の東日本大震災・福島原発事故から10年が経過しました。

東日本大震災・福島原発事故により、お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表します。また、今もなお、かつての生活を取り戻せず、苦難の日々を過ごされている方々にお見舞い申し上げます。

福島原発事故の廃炉・収束作業は、10年が経過しても、約880トンと言われている溶融した核燃料、デブリの全貌は把握できていません。2021年中の予定とされていたデブリ取り出し開始が断念されるなど、廃炉に向けての作業は、高線量の放射線に阻まれ、困難を極めています。事故収束に向けて、最大の問題であるデブリ取り出しの具体的な工法も見えず、山積する課題に、事故後30年から40年とされた廃炉作業の「完了」は、全く見通しが立たない状況にあります。

たまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む汚染水(ALPS処理水)は、現在約124万立方メートルとなり、日本政府は「海洋放出」によって処分しようとの見解を発表しています。「海洋放出」ありきの議論は、福島県民・漁業従事者などを置き去りにしてすすめられています。復興に向けた、これまでの福島県民をはじめとする多くの方々の努力を水泡に帰きすような事態が想定されます。

事故から10年が経過しても、福島県では県内に7,185人、県外に2万8,505人、避難先不明者13人の合計3万5,703人(2021年2月8日復興庁調査に基づく、3月5日現在の被害状況即報[福島県災害対策本部発表])が、長期の避難生活を余儀なくされています。また、福島県内の震災関連死と認定された人は2,320人[同発表]で、前年度より13人増えています。一方、政府は、避難者の実情を考慮することなく、「帰還困難区域」の指定を解除し、補償の打ち切りや帰還政策をすすめています。被災者を社会的・精神的・経済的に追い詰め、切り捨てていく政策は決して許せません。

事故の責任の所在もあいまいなまま10年が経過しました。いくつかの裁判において、国・東京電力(東電)の責任を認める判決が出されましたが、国・東電は、その責任を果たしていないのが現状です。

東京オリンピック・パラリンピック開催に向けての「復興」のかけ声の中、事故を「風化」させ、なかったものにしようとの企図が見え隠れします。事故から10年が経過しましたが、原因究明や責任追及が終わった訳ではありません。避難者が全て帰還できたわけではありませんし、失われたコミュニティーが全て再建されたわけでもありません。そして廃炉作業が終了したわけでもありません。事故は終わっていません。今も続いていることを私たちは胸に刻むべきです。

日本政府は、脱原発を決断せず、原発再稼働をすすめ、核燃料サイクル計画を推進し、事故以前と変わらない姿勢に終始しています。そのことが、再生可能エネルギーの進捗を拒んでいます。しかし、原子力をめぐる環境は、この10年で大きく変化しました。事故当時54基あった原発は、事故後21基が廃炉となり、新規原発は立ち上がっていません。原子力政策の要と言われた核燃料サイクル計画も、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉などによって政策の破綻は明らかです。今や原発は「廃炉の時代」を迎えています。

 原水禁は、一貫して「反原発」「脱原発」を掲げて運動をすすめてきました。私たちの力がおよばず福島原発事故を許してしましましたが、今後の第2・第3のフクシマを止めなければなりません。原水禁は、一刻も早い脱原発社会の実現に向けて、さらなる努力を重ねることを「3.11」に改めて誓います。

2021年3月11日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

「審査ガイド」パブコメ無用発言に抗議する

原子力規制委員会委員長 更田豊志 様3月3日の原子力規制委員会において更田委員長は、審査ガイドに関するパブコメは必要ないと発言した。そればかりか、審査ガイドは参考に過ぎず、審査官ばかりでなく、申請者もそれに縛られるべきではない、ガイドの規範化が福島事故を招いたのだと暴論を吐いた。地震動審査ガイド、火山ガイド等、あらゆるガイドの改定においてパブコメを廃止しようとするものだ。これは福島事故の教訓を踏みにじり、司法や国民の監視・チェックを拒否して原子力村独自の壁を築こうとするものである。このような姿勢に強く抗議する。

この発言は、議題4「規制基準等の記載の具体化・表現の改善について」の中で
出されている。そこでは、今回は見送りになったものの、昨年12月4日大阪地
裁判決が依拠した地震動審査ガイドの「ばらつき条項」の表現を「誤解を招くた
め」変える事項も含まれている。司法の批判にまともに応えるのではなく、ガイ
ドの表現を変えることによって批判から逃れようとする意図が見えている。

この判決に関連して更田委員長は昨年12月9日記者会見で、審査ガイドは「サー
ビス」的なものとの趣旨を述べた。しかし、地震動審査ガイドの目的は、審査官
等が基準に関する規則並びに規則の解釈の「趣旨を十分踏まえ、基準地震動の妥
当性を厳格に確認するために活用すること」と明確に規定されている。基準規則
(地震による損傷防止は4条)の記載は抽象的なので、審査ガイドによって具体
的内容が示されないと審査は成り立たない。
この地震動審査ガイドは、福島事故を受けて13回にわたる検討小委員会での審議
を経て策定され、パブコメを経て確定されたものである。このガイドに審査官が
縛られるべきでないというだけでなく、規制される側の申請者も縛られるべきで
ないとは、これでは規制が成り立たないのは明らかである。

3月3日の委員会では、更田発言に田中委員と山中委員が追随し、他の委員は沈
黙したままであった。福島事故から10年目を迎えたこの時点で、事故の教訓が踏
みにじられようとしていることにわれわれは強く抗議する。

要 請 事 項
1.審査ガイドのパブコメ無用論は撤回し、これまで通りにパブコメを実施する
こと。
2.地震動審査ガイドの「ばらつき条項」の改定方針を撤回すること。

よびかけ おおい原発止めよう裁判の会/原子力規制を監視する市民の会/原
力資料情報室

※「志賀原発を廃炉に!」訴訟原告団が団体署名しましたので掲載しました。

総がかり行動実行委がミャンマー軍事クーデターに抗議し声明

民主主義を護れ!ミャンマー軍事クーデターに抗議する(声明)

    ミャンマーの国会にあたる連邦議会が開催される予定だった2月1日、国軍部隊によって、ミャンマーの最高指導者アウンサンスーチー国家顧問、ウィミン大統領など国民民主連盟(NLD)の幹部ら多数の関係者が拘束されました。直後、国軍は非常事態宣言を発令し、最高司令官のミン・アウン・フライン将軍が権力を掌握しました。
アウンサンスーチー国家顧問は、約15年にもおよぶ軍事政権による自宅軟禁生活から2010年に解放されると、2015年の総選挙で率いるNLDが圧倒的勝利を得て、政権を獲得しました。2020年11月の総選挙においても、NLDは圧勝しました。このような国民の選択と民主的手続きによって成立した政権を、軍事クーデターという暴力によって倒す暴挙を、私たちは決して許すことができません。
クーデター直後から、ミャンマー国民は「我々は決して軍靴の下にひざまづかない」として、大規模デモや公務員を含む幅広い職種における軍事政権の統治機能を無力化しようとの「不服従運動」を展開しています。これに対して、軍事政権は暴力による弾圧を加え、2月末現在で発砲による犠牲者は少なくとも9人、負傷者も多数に上り多くの国民が拘束される事態となっています。しかし、国民の抵抗が止む兆しはありません。
NLD政権下で任命されたチョー・モー・トゥン国連大使は、2月26日国連総会で演説し、抵抗を続ける考えを明らかにし「ミャンマー軍に対して行動を起こすために、あらゆる手段を使うべきだ」と国際社会に訴えました。国連のグテレス事務総長は「クーデターが失敗に終わるよう全力を尽くす」と述べています。米国のバイデン大統領は「市民の抗議拡大に伴い、平和的権利を行使している人たちへの暴力は容認できない」として軍政関係者への制裁措置を科すとしました。欧州連合(EU)も同様の措置を表明しています。
日本国内においても、在日ミャンマー人らが軍事政権に反対し国際社会の助力を求めて集会を開催しています。私たち「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、日本政府に対して、暴力を手段として民主主義による国民の選択を踏みにじるミャンマー軍事政権を許さず、米国やEU諸国などの国際社会と足並みをそろえて行動するよう求めます。
近年、中国やロシアなどの大国において、ベラルーシやアラブの春から10年を経たエジプトなどにおいて、政権による民主主義勢力への弾圧が顕在化しています。日本国内においても、反対する沖縄県民の声を無視し新基地建設を強行するような権力の横暴が目立っています。民主主義は、多くの人々が自らの血を流しながら獲得してきた人類の財産といえるものであり、その脆弱な立場をふまえた私たちの不断の努力を求めています。私たちは、日本国憲法13条「個人の尊重」を基本に、民主主義を護るために闘っている世界の多くの人々と連帯して、全力でとりくんでいくことを改めて決意するものです。

2021年3月1日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

「改正」コロナ対策関連法成立に抗議する!

菅政権は、新型コロナウイルス対策関連法の「改正案」を2月1日当初の刑事罰をはずすなどの修正の上、衆院を通過させ、2月3日には参院本会議で可決・成立させました。わずか4日間の国会審議で与党と立憲民主党などで押し通したのです。

“感染拡大防止の取り組みを効果的に進める”として、改正感染症法にある入院拒否や保健所の疫学調査を拒んだ人に「協力しない場合は、応じるよう命令でき、それでも正当な理由なく応じない場合は」行政罰の罰金刑を課すとしています。しかし、罰則の判断基準が曖昧であり、どのようにでも活用できる恐ろしい内容となっています。新たに創設した「まん延防止重点措置」では政府対策本部長に菅首相が就くことになっています。

そもそも、感染症の専門家や医療現場からの声を聞かずに医療崩壊を招き、生活保障を十分に行なうことなく中小零細事業者に営業時間の短縮を求めて廃業に追い込み、GOTOキャンペーンに固執してコロナ感染を拡大した”張本人“は菅首相ではありませんか。

それにもかかわらず、自らの責任を棚上げにし、感染者に罰則を用いて取り締まることなど到底納得がいくものではありません。

このコロナ関連法の「改正案」に対して、次々と怒りの声が上げられています。1月30日には、70人以上の憲法学者が「政府の失態を個人責任に転嫁するものだ」と反対の声を上げました。2月1日には、医療問題弁護団が「入院を拒んだ人らへの罰則による人権制約を正当化する根拠がなく、感染者への差別、偏見の助長や検査回避の誘発につながる」と声を上げ、ハンセン病違憲国家賠償訴訟原告団協議会は「罰則は、感染者を人権制約の対象とするもの」と批判しています。また、薬害オンブズマン会議は「罰則で入院などを強制すること自体、問題がある」と反対の声を上げているのです。

菅政権は、「5人以下の静かなマスク会食」を呼びかけながら、首相自らが8人で「ステーキ会食」を行っていました。与党の国会議員は“夜の街”に出かけていることが暴き出されています。

コロナ感染が拡大の一途をたどる本年1月7日首都圏一都三県に、1月13日には大阪、愛知、福岡など七府県にさらに拡大して緊急事態宣言を再発令しました。 いま、内閣支持率も急降下し、このことに危機感を嵩じさせた菅政権が自己保身と責任逃れのために閣議決定し、推し進めているのがコロナ関連法「改正案」にほかなりません。

私たちは、菅政権が「感染拡大防止」の名のもと、私権を制限し罰則を導入して強権的に「入院・隔離」することを、野党を巻き込みながら行なっていることに最大限の注意を払わなければなりません。このことは、憲法を改悪し「戦争のできる国」へと突き進む素地づくりであり反対していかなければなりません。

2021年2月5日

石川県平和運動センター

国連「核兵器禁止条約」発効についての声明(原水禁石川)

1月22日、核兵器の保有、使用などを全面禁止する核兵器禁止条約が、世界50カ国の批准によって発効しました。各種メディアは一斉に「世界は歴史的な一歩を踏み出した」と報じ、核兵器廃絶を願ってきた多くの人たちは“今日は核兵器の終わりの始まり”と喜びの声をあげ、さらに条約の批准が世界の国々に広まるよう呼びかけています。

しかし、世界で唯一の戦争被爆国である日本政府はこの核兵器禁止条約を批准していません。その理由は“米国の核の傘”に依存しているからです。菅総理は1月22日参議院本会議で、「現実的な核軍縮を進める道筋の追求が適切との我が国の立場に照らし、署名する考えはない」と平然とのべています。日本政府は、あくまでも米露中仏英の五大国の核兵器保有を認めたNPT(核拡散防止条約)による核軍縮を呼びかける立場に固執しているのです。

さらに日本政府が福島原発事故の悲劇とその責任には目をつぶり、「原子力は確立した脱炭素技術」とうそぶき原発再稼働を進め、核兵器の材料となるプルトニウムを大量に保有していることは、ロケット技術(月及び惑星探査含む)の開発と併せた「核ミサイル開発」を目論んでいることを見抜かなければなりません。

一方、核兵器を保有する各国の権力者は「条約には縛られない」としてこの条約の発効を無視しています。

しかし、私たちは騙されません。あきらめません。

核兵器は違法だとする国際条約の誕生は歴史上の重要な転換点です。これを一つの機会として、批准した国々の仲間やこれからの世界を背負う若者たちと共に考え、論議し、核廃絶に向けた新たな行動を起こす出発点にしようではありませんか。

1945年、広島、長崎で原爆の直接被害にあい、それ以降、被害者団体をつくり、一貫して核兵器廃絶の声をあげ続けている被爆者の田中煕巳さん(88歳)は、「核兵器は違法化された。人類史上、歴史に明記された日になる」と語り、同じく坪井 直さん(95歳)は、「条約発効を心底喜ぶ。被爆者は核兵器をこの世からなくすことを切望する。」と語りました。

私たちは、被爆によって長い間、差別や病魔、死の不安と闘ってきた被爆者やすでに亡くなられた幾十万の犠牲者の思い、そして広島、長崎の被爆地の訴えを実現するために、核兵器廃絶に向けて力を尽くさなければなりません。

故森滝原水禁議長の「核と人類は共存できない」を合い言葉に、あの76年前に原爆によって、町が焼け、人が黒焦げになった光景を一人一人が思いおこし、世界から核を無くすため、闘いに立ち上がろうではありませんか。

2021年2月2日

原水爆禁止石川県民会議

代表委員 瀧山田庄治

〃   盛本 芳久

〃   野村 夏陽

〃   田村 光彰

〃   佐野 明弘

〃   糸矢 敏夫

国の責任を不問とした東京高裁判決を許さない(原水禁声明)

 1月21日、東京高裁(足立哲裁判長)は、東京電力福島第一原発事故で、群馬県などに避難した住民37世帯91人が、国と東京電力に約4億5,000万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、国の責任を認めた一審の前橋地裁判決を覆し、国の責任を不問とした。一方で東京電力には、原告90人に約1億1,972万円の賠償を認めた。国と東京電力に合わせて62人、3,855万円の賠償を命じた一審の前橋地裁判決より救済範囲を広げたものの、原告の要求からは程遠い。

    国と東京電力を被告とした高裁判決は、2020年9月の仙台高裁に続くものだが、国と東京電力の責任を問えるかどうかの判断は分かれた。仙台高裁の判決は、双方の責任を認めたが、今回の判決では、国の責任を不問とした。

    両訴訟では、2002年7月に国の地震調査研究推進本部が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」をめぐって、津波の襲来予測と事故回避の可能性が争われた。仙台高裁の判決では、国の専門機関が明らかにした「福島沖で巨大地震が起きる可能性がある」との長期評価の信頼性を認め、東京電力と国が適切に対応していれば被害を避けられたとした。しかし、今回の東京高裁判決では、長期評価の前提となる「約400年間に3回の津波地震の発生」について異論があったほか、2002年1月に土木学会原子力土木委員会が公表した「原子力発電所の津波評価技術」の知見とも整合しないことを理由に、巨大津波の襲来を予見できなかったとし、「長期評価」の知見を前提に津波対策を講じても原発内への津波の浸水を防止はできなかったとして、「津波対策に関する国の対応に問題があったと認めることは困難だ」とした。

    しかし、国や東京電力が、津波の可能性を警告する「長期評価」を無視し、経営を優先して原発事故のリスクを軽視し対応を怠ったことは事実であり、原子力災害を招いた責任から逃れることはできない。

    現在20件余りにもおよぶ同様の裁判が進行し、今後も国と東京電力の責任が追及される。そこでは、当事者が真摯に責任を省みることが求められている。

    原発事故被害者への賠償は、政府の原子力損害賠償紛争審査会が定めた指針に基づいて進められてきたが、今回の判決においても不十分であることが指摘された。同様の判断は、他の訴訟でも繰り返されている。事故から10年を経た現在においても、被害者の納得する賠償が進んでいなことは、きわめて問題である。東京電力は、審査会の指針以上の賠償を拒否し、原子力損害賠償紛争審査会の調停案にも異議を唱え、福島地裁の和解勧告さえもはねのける姿勢に終始し、被災者からの訴訟が相次いでいる。政府も、避難指示解除にともなって避難者へのさまざまな賠償や支援を次々と打ち切っている。避難者の置かれている実態を考慮せず、一方的に切り捨てようとする姿勢は、許せない。

    私たちは、避難者、被災者への誠実な賠償と支援を強く求めると同時に、国の責任を不問とした東京地裁判決に強く抗議する。

                                                                                                                                 2021年1月24日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

敵の射程圏外から攻撃できる巡航ミサイルの開発

閣議決定  米軍や同盟軍とともに先制攻撃することに力点2020年12月18日

    政府は、ミサイル阻止に関する新たな方針をめぐり、相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有には直接触れない一方、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を開発することを閣議決定しました。閣議決定には、配備を断念した「イージス・アショア」の代替策として、新型のイージス艦2隻を建造することも盛り込んでいます。

政府は、ミサイル阻止に関する新たな方針を18日の閣議で決定しました。
閣議決定では「敵基地攻撃能力」と呼んでいた相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有には、直接、触れず「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」という表現にとどめました。
「スタンド・オフ・ミサイル」の開発は、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の射程を大幅にのばし、敵の射程圏外から攻撃できる長射程の巡航ミサイルを開発するとし、護衛艦や戦闘機などからも発射できるようにするとしています。
また、配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として「イージス・システム搭載艦」という名称で、新型のイージス艦2隻を建造することも盛り込んでいます。新型イージス艦に搭載する機能などの詳細は、引き続き検討するとしています。

「敵基地攻撃 目的でない」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「12式地対艦誘導弾の能力向上は、現行の防衛計画の大綱、および中期防衛力整備計画に基づき、自衛隊の安全を確保しつつ、相手の脅威圏の外から対処を行う、わが国のスタンド・オフの防衛能力を強化するものであり、いわゆる『敵基地攻撃』を目的としたものではない」と述べました。

「ミサイル阻止 引き続き検討」

岸防衛大臣は閣議のあとの記者会見で「北朝鮮のミサイルによる、わが国に対する脅威が高まっている中で、しっかりとしたミサイル防衛体制を取っていかなければいけない。今後、状況を見ながら『イージス・システム搭載艦』にどういった装備を載せていくかや運用をどうするかなどについて、しっかり検討していく」と述べました。
また岸大臣は「隊員の安全をはかりながら相手を攻撃することのできる『スタンド・オフ・ミサイル』を持つことは、南西地域の島しょ防衛に必要な装備だ。『スタンド・オフ・ミサイル』とミサイル阻止の方策は区別して考える必要があり、ミサイル阻止は引き続き、政府内でしっかり検討を続けていく」と述べました。

立民 安住国対委員長「使い方によっては専守防衛から逸脱」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「使い方によっては、専守防衛の考え方からは逸脱する。きちんと国会で議論せず『イージスアショア』をやめた尻拭いのためにやったものであり、安全保障政策の基本的な在り方がなっていない」と述べました。

2020年12月18日

金沢市長 山野 之義 様

「憲法改悪阻止!」「戦争法廃止!」を呼びかける八団体

石川県憲法を守る会、石川憲法会議、九条の会・石川ネット、

石川県平和運動センター、石川県労働組合総連合、

青年法律家協会北陸支部、

戦争をさせない1000人委員会・石川、

戦争をさせない石川の会

自衛官募集に係る対象者名簿の提供に抗議し

その取りやめを求める申し入れ書

本年2月13日、金沢市は自衛隊石川地方協力本部の求めに応じ、対象者4,216人の個人4情報を電子媒体と紙媒体で提供したことが明らかになりました。

この方針について、昨年9月定例月議会で法的根拠を問う質問に対し、自衛隊法並びに住民基本台帳法に基づく閲覧許可と同様であり、違法ではないとの認識を示されました。

しかし、この対象者の名簿提供は、関係法令を拡大解釈して違法の恐れがあるとともに、市民の基本的人権である個人情報保護の責務に鑑みても大きな問題であると言わざるを得ません。対象となる適齢者自身や保護者等家族には、情報提供の可否について自らの意思を示すための情報も機会も設けられてはいません。ある日突然にダイレクトメールが届き、自衛隊への勧誘を受けることに対し、違和感や不安を感じるのは当然のことです。今回の名簿提供に強く抗議します。

2015年に違憲立法である安保関連法制が強行成立し、自衛隊は、もはや専守防衛の軍事組織ではなく、海外の戦地に赴く可能性のある事実上の軍隊へと変貌しています。入隊希望者の減少や防衛大学校卒業時に任官を拒否する青年が増加する状況にあって、地方自治体が自衛官募集に個人情報を提供することは、将来の徴兵をもイメージさせるものであります。

法の範囲内とされてきた住民基本台帳の閲覧について、個人情報の保護を優先し、許可しない自治体が存在してきましたが、政治的圧力の下にあります。本市においても、自治体としての独立性を確保し、市民の平和的生存権と個人情報を護る責務に立って以下の措置を行うよう申し入れます。

1.自衛官募集に係る対象者名簿の提供は取りやめること。

2.原則非公開情報である住民基本台帳の閲覧は、個人情報保護の観点から見直すこと。

以上

六ヶ所村MOX工場の破綻は明らか ―核燃料サイクルの根本的転換を急げ―(原水禁声明)

12月9日、原子力規制委員会は、日本原燃(原燃)が青森県六ケ所村に建設しているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場の安全対策が、新規制基準に適合するとして正式に審査合格とした。

MOX燃料加工工場は、六ヶ所再処理工場とともに核燃料サイクル政策の要の施設だが、しかし、高速増殖原型炉もんじゅ(もんじゅ)の廃炉や六ヶ所再処理工場の完工延期など、核燃料サイクル政策は行き詰り、先行きは不透明な中にある。国や電力会社は、MOX燃料を利用して「プルサーマル発電」を行うとしているが、福島原発事故以降これまで再稼働した原発9基のうち4基しか導入できていない。さらに実際に稼働しているのは現在2基にすぎない。

プルトニウム利用の中心であったもんじゅが廃炉となり、その後、連携を模索したフランスの高速炉開発も頓挫した。結局現在のところ、プルトニウム利用はプルサーマル発電だけが残ることとなった。当初、16基~18基とした原発でのプルサーマル導入計画は、しかし、福島原発事故以降、原発の再稼働もきびしい中で進んでいない。日本は、使用済み核燃料の再処理にあたっては、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを持たないことを国際公約としており、核燃料サイクル計画を続ける限りその公約の実現は不可能である。

原子力規制委員会の更田豊志委員長は、「安全性や核拡散の観点から再処理工場で抽出したプルトニウムは、速やかにMOX燃料に加工することが必要だ」と述べ、再処理とMOX燃料加工を一体的進めることを求めているが、出口にあたるプルサーマル発電が進まない現状では、MOX燃料は消費されず工場が計画通り操業できる見込みは立たない。

さらにMOX燃料加工工場の建設費も当初の約1,200億円から約3,900億円と3倍以上に跳ね上がっている。六ヶ所再処理工場も当初約7,600億円だった建設費が約2兆9,000億円と4倍近くに膨れ上がっている。今後も核燃料サイクル計画にかかる費用は、歯止めなく膨らんでいくに違いない。

六ケ所村の再処理工場は、1993年の着工以来、24回も完工延期が繰り返され四半世紀を経てもいまだ完成していない。原燃は2021年度上期の完工をめざしているが、今後も地元の合意、細かな審査や試験があり、本格稼働の時期は見通せていない。MOX工場は、2012年完成を目指していたが、これも延期が繰り返され、現在2022年上半期の完成となっているが、再処理工場との一体的稼働を考えれば、操業時期は不透明といえる。

MOX燃料の需要が不透明で、工場の計画的稼働も見込まれない中で、莫大な建設費はMOX燃料の価格を高騰させ、経済的合理性を失うこととなっている。巨額な投資は、電力料金に跳ね返ることは必死であり、高速炉開発に多額の税金が投入されたと同様、市民の負担増は避けられない。

特に福島原発事故以降、原子力発電や再処理事業を巡る環境は大きく変化した。米国や英国、ドイツなどは既に核燃料サイクルから撤退し、世界の流れは脱原発へと大きく舵を切っている。国・電力会社は、核燃料サイクル政策の破綻を認め、原子力政策全体の根本的転換を図ることが必要だ。これ以上問題の先送りは許されない。

2020年12月14日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

「核弾道ミサイル配備?」

=日・米「密約」は破棄されていない!

 バイデン新大統領は、かっての密約に応じて在日米軍基地に「核弾道ミサイル」配備要請したトランプ政権の「安全保障政策」を引き継ぐし、また変えようとはしないことを私たちは「憤りを持って認識しなければなりません。保守二党制所以です。

 自衛隊が「対中」「対ロ」(対北朝鮮)との「戦争」に備え、先制攻撃のためのミサイルを宮古島や石垣島に配備しようとしているなか、私たちは沖縄の労働者・市民と連帯して「断固反対!」の声を上げていますが、米軍基地(嘉手納やキャンプシュワブ)に「核弾道ミサイル」を隠然と、又は公然と配備する可能性を「あるもの」として捉え、断固反対して闘わなければなりません。

 2020年12月8日付けの毎日新聞「火論(かろん)」(大治 朋子専門記者)にそのことが明確に記述されていますのでここに転載します。

米軍基地へ配備か?核弾道ミサイル!核密約は破棄されていない※下線をクリックすると文書が見られます。

 

大飯原発設置許可取り消しの判決を真摯に受け止め、

直ちに廃炉を選択せよ(原水禁声明)

 12月4日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震性を巡り、安全審査基準に適合するとした原子力規制委員会(規制委)の判断は誤りだとして、福井県など11府県の住民127人が設置許可の取り消しを求めた裁判で、大阪地裁(森鍵一裁判長)は、原告の主張を認め設置許可を取り消す判断を下しました。

東京電力福島第1原発事故を踏まえて策定された新規制基準の下で、設置許可を取り消す司法判断は初めてです。判決は、新規制基準に基づく原子力規制委員会の判断には「看過しがたい、過誤・欠落がある」と、その誤りを強く糾弾しています。地震による原発事故の可能性に目を向けた画期的な判断であり、国の安全審査の根幹に大きな疑問を突きつけるものです。

裁判では、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の評価を基に設置を許可した規制委の判断の妥当性が大きな争点となり、その中で原告側は「基準地震動の算出で、過去の地震データの数値に平均値から外れたものなどがあるが考慮されておらず、地震の規模や基準地震動が過小評価されている」と主張しましたが、国側は「数値のばらつきを考慮する必要はない」としました。判決では、規制委が定めた審査ガイドもばらつきを考慮する必要性を示しているとして、規制委は、基準地震動を算出する地震規模の想定で必要な検討をせず、「審査すべき点を審査していないので違法だ」ときびしく指摘しています。原発の安全性をチェックする規制委の耐震設計の手法が根本から否定されました。

2014年福井地裁が、大飯3、4号機については、「地震対策に構造的な欠陥がある」として運転差し止めの判決を出しました。その際、官房長官(当時)だった現在の菅義偉首相は「規制委が世界で最もきびしい安全基準で審査し、その結果を待って(再稼働させる)ということだ」と述べています。政府は、判決を受け止めることなく再稼働を積極的にすすめ、2017年に規制委は、新規制基準に基づき審査し安全であるとして再稼働させました。首相や規制委の姿勢が改めて問われています。

政府・規制委は、今回の司法の判断を重く受け止め、新規制基準下で許可を受け稼働している原発は直ちに停止し、すべての原発の耐震性の見直しを行うとともに、地震や活断層の問題が指摘される危険な原発は直ちに廃炉とすべきです。

現在定期検査で停止している大飯3,4号機の再稼働はむろん許されず、関西電力は、廃炉の選択をとるべきです。それが、原発マネー問題などで市民社会の信頼を失った関西電力がとるべき唯一の道と考えます。

                                                                                                                                         2020年12月8日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野浩一

11.22志賀原発「原子力防災訓練」

に対する抗議声明

 本日午前8時30分から志賀原発の重大事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後9回目となる訓練である。この間の8回の訓練では、不十分ながらも住民参加の広域避難訓練が実施されてきたが、今回は「新型コロナウイルス感染防止のため」として住民参加はなく、防災業務関係者による応急対策の手順確認を主とした訓練であった。

    いま、国内では第三波とも言われる新型コロナの感染急拡大期を迎えており、政府はあらためて国民に対してソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、密集・密接・密閉のいわゆる「三密」の回避など新しい生活様式の徹底を求めている。しかし、災害時の避難行動や避難所生活においては密になりがちであり、人との接触機会も増えるため、感染リスクは高まらざるを得ない。内閣府は災害時の避難所の開設や運営に関して、感染拡大防止のための多岐の項目を盛り込んだガイドラインを示しているが、自治体職員はもちろんのこと、多くの住民は避難と感染対策の両立は決して容易なことではないと感じている。

    こうした中、自然災害とはまた異なる特徴を有する原子力災害時において、あるいは自然災害と原子力災害の複合災害時において、果たして新型コロナ感染対策と被ばくリスクを低減した住民避難の両立は可能なのか、多くの原発周辺住民は今まで以上に大きな不安を抱いている。内閣府は本年6月、新型コロナ流行下における防護措置についての「基本的な考え方」を示し、さらに11月2日には「実施ガイドライン」を公表している。今回の訓練は、国が示した「基本的な考え方」や「実施ガイドライン」の実効性を検証し、課題を住民の前に明らかにしていくことこそが最重要の課題であったはずである。

    しかしながら本日の訓練は、コロナ禍に向き合うどこか、コロナ禍を言い訳とした完全な手抜き訓練に終始したと言わざるをえない。志賀原発は停止中とはいえ、いま現在も活断層上の原子炉建屋内に核燃料が保管され、住民は原子力災害のリスクに晒され続けている。にもかかわらず県や北陸電力をはじめとした防災関係機関がこのような訓練しか「しない」、「できない」のであれば、それは住民の安全・安心の確保に対する責務放棄と言わざるを得ない。

    今秋に入り、福井県(大飯・高浜原発)、愛媛県(伊方原発)、島根県(島根原発)、新潟県(柏崎刈羽原発)、北海道(泊原発)、佐賀県(玄海原発)がコロナ対応を盛り込んだ住民参加の避難訓練を実施している。原発立地道県の中で石川県の消極姿勢は際立っていると言える。

    以下、新型コロナ感染対策と相反する原子力防災の根本的矛盾と本日の訓練の問題点を4点に絞り指摘して行く。

  • PAZ(原発から半径5km)圏内の住民避難をスルーした訓練

    今回の訓練想定は、前回訓練同様「志賀町で震度6強の地震が発生し、志賀2号機が自動停止、全電源喪失し、全面緊急事態となる」というものである。PAZ圏内の住民3,831人(2019年資料)は、基本的にはUPZ圏外の指定避難所へ自家用車あるいは用意されたバスなどで避難することとなる。

    ところが今回は、志賀町総合武道館を屋内退避施設として開設し稼働させる訓練のみ。本来は被ばく低減策と感染対策を踏まえた一時集合場所の開設や避難車両の手配、換気も含めた車内での感染対策、防護措置と感染対策を講じたスクリーニング施設の運用などを実施すべきところ、今回はこれらの課題をスルーしたことが第一の問題点である。いずれも感染防止と防護措置の両立が問われ、スクリーニング施設周辺では渋滞も懸念される。

    武道館の定員は130人。今回は感染対策のガイドラインに基づき、模擬住民の受付対応がおこなわれたが、全面緊急事態に至ると、防護措置の実施ガイドラインに基づき、扉や窓の開放による換気は行わず密閉空間となり、感染対策とのジレンマに直面することとなる。

  • UPZ(原発から半径5~30km)圏内の住民を「自宅に封じ込める」訓練

    全面緊急事態に至るにもかかわらず、密閉が不十分な自宅での屋内退避訓練で終了する。手抜き訓練の象徴である。本来ならば避難指示を受け下記4で指摘する課題に直面することとなる。

  • 典型的「三密」のオフサイトセンター

    今回の訓練の中心となるオフサイトセンターは、実質約1400㎡弱の2階フロアに、原子力規制庁職員や県の原子力防災担当職員、北陸電力社員だけでなく、北は輪島市から南はかほく市まで各市町の職員、陸・海・空の各自衛隊、県警、海上保安庁、保健所等の担当者、さらには報道関係者も含めて200人以上が参集する典型的な「三密」空間である。事態収拾が難航し対応が長引けば、施設内で感染が拡大し、事故対応自体が十分できなくなる可能性すらあるが、マスクの着用や検温、手指消毒の実施など通常の感染拡大防止策以上の対策は何ら示されていない。

4.両立困難な「被ばくリスク低減策」と「新型コロナ感染対策」

    原子力防災における避難行動は時間とのたたかいでもある。しかし感染対策のガイドラインを踏まえるならば、一時集合場所やスクリーニングポイントなどで要する時間は確実に長くなり、渋滞も懸念され、避難の遅れは必至である。感染対策を優先するならば可能な限り少人数の自家用車避難を推奨すべきであるが、ヨウ素剤の受け渡しやスクリーニング施設での渋滞は深刻化する。換気をしないバス移動では感染リスクは高まるが、基本的にはバス避難を優先しなければならない。ここにもジレンマがある。

    避難バスは「濃厚接触者」や「感染疑い者」、「その他の避難者」が乗車するバスに分け、座席も間隔をあけなければならない。従来の想定を大きく上回る台数が必要となるが、バス事業者はどこまで対応できるのか。今年8月に実施された大飯・高浜原発の避難訓練では、避難住民27人に対して避難車両4台を手配している。30km圏内の避難住民は約15万1千人(2019年度資料より)。被ばく低減策と感染対策とのジレンマは山積するが、これらの課題を検証するどころか覆い隠す訓練であった。

     私たちはこの間、近年常態化する巨大自然災害に起因する原発の重大事故、あるいはこれらの災害と並行して起こる重大事故に対する原子力防災の検証が必要と指摘し、都合のいい想定の下、取り組みやすい項目だけをつまみ食いする訓練に終始する県の姿勢を批判してきた。残念ながら私たちの声は届かず、手抜き体質はさらに深刻化し、直面するコロナ禍にも背を向けることとなった。

    再稼働を前提とした非現実的で実効性のない訓練の繰り返しに今こそ終止符を打たなければならない。福島第一原発事故の教訓を踏まえるなら最善の原子力防災は原発廃炉であると断言する。本日の防災訓練の監視行動を通じて、あらためて活断層上にある危険な志賀原発の一日も早い廃炉を北陸電力に要求するとともに、廃炉実現に向け全力で取り組む決意をここに表明する。

2020年11月22日

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

石川県平和運動センター

社会民主党石川県連合

 

女川原発2号機再稼働に対する地元同意に強く抗議する

    11月11日、東北電力女川原子力発電所2号機の再稼働について、宮城県、石巻市、女川町の地元三自治体の首長が「再稼働の同意」を表明した。村井嘉浩宮城県知事は、11月16日以降梶山弘志経済産業相に同意する考えを直接伝えるとされているが、「再稼働の同意」は県民の総意とは考えられない。

 東北電力女川原発は、2011年3月11日の東日本大震災に際して、5系統ある外部電源のうち4系統が失われ、残った1系統により大惨事を免れたが、場合によっては全電源喪失の事態も考えられた。重油タンクの倒壊や原子炉建屋への浸水被害、タービン周辺の損傷を受けるなど、被災した原発である。住民を放射能から守る拠点施設となるはずの原子力防災対策センターや宮城県原子力センター、モニタリングステーションも地震と津波により破壊された。女川原発2号機は、東日本大震災に際して過酷事故を起こし、福島県および周辺地域に大量の放射性物質を放出し、今なお、事故の収束もままならない福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉(BWR)の「マークⅠ改良型炉」である。安全性に関しては、福島第一原発事故の調査結果を踏まえる必要があり、福島原発事故の全容が明らかになっていない中での同型の原発の再稼働は、多くの不安材料を残している。そもそも新規制基準は、現時点での知見に基づく基準に他ならず、将来的な「安全」を保障したものでないことは、原子力規制委員会が度々繰り返し発言している。女川原発はひずみが集中するプレート境界線に立地し、地震や津波のリスクの高さが指摘され、過去三度想定を超える地震動により揺さぶられた被災原発であり、原発建屋や原子炉などの剛性劣化が指摘される。国の地震調査研究本部の「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」によれば、宮城県沖のプレート間巨大地震の発生確率は、今後30年で20%とされているが、M7.0~7.5程度のひとまわり小さいプレート間地震は、今後30年間で90%の確率を示している。研究者の中には、明治三陸沖地震と37年後の昭和三陸沖地震との関連から、東日本大震災の余震としてのアウターライズ型地震が今後予想されるとの指摘もあり、予断を許さない状況にある。そのような中で再稼働を認めることは、地域住民の安全の軽視と言わざるを得ない。

    菅首相は、再稼働に際し、「しっかりした避難計画がない中で、再稼働が実態として進むことはない」と国会答弁をしているが、女川原発周辺30km圏の緊急防護措置区域(UPZ)の住民や自治体は、避難計画の実効性を不安視している。地震や津波などにより孤立や通行不能などの事態に陥ることは東日本大震災で経験しており、避難路の整備の必要性については国や東北電力も認めているが、その見通しは立っていない。原発に近い寄磯地区は、陸路では避難時に原発を通らざるを得ない。安全性の高い道路整備は計画されず、住民の安全を軽視したまま再稼働を決定している。30km圏内も含め一斉避難の場合、5km圏内の約3,500人が避難するのに5日間はかかるとの宮城県の試算もある。

    宮城県の広域避難計画は、原発30km圏の約20万人が県内31市町村に避難する内容だが、受け入れ先の首長も含めその実効性に疑問を呈している。広域避難計画は、複合災害を想定したものであり、受け入れ自治体は「複合災害時は自らの住民の避難に専念する」としており、県内避難のみで実効性ある避難計画を作り上げることは物理的に困難である。しかしながら村井知事は「訓練を積み重ねることで実効性を担保する」とし、東電福島第一原発事故の反省の上に義務付けられた「広域避難計画」を、一貫して再稼働の同意要件から切り離す姿勢にあることは、住民の命を軽視するなにものでもない。

    宮城県議会は、世論調査で県民の8割が賛成していた再稼働の是非を巡る「県民投票条例案」を2019年の議会で否決しながら、2020年9月議会でも徹底した審議をすることなく「再稼働推進」の請願を採択し「再稼働の地元同意」を後押ししてきたことは、民主主義とは言えない行為と言わざるを得ない。

    村井知事は、11月9日、市町村長会議を開催し、再稼働に「賛成」「反対」も含めさまざまな意見が首長から示されたが、「近く開催する女川町長、石巻市長との三者会談での結論を、全ての市町村長の総意とする」と提案し、11月11日の地元同意に至ったものであり、県民はもちろん、原発立地周辺自治体や住民の声を反映したものではない。

    また、村井知事と立地2市町長は東北電との安全協定に基づき、原発施設の新増設に対する「事前協議」も了解する方針である。これにより、東北電力は2号機で格納容器の破損を防ぐフィルター付きベント(排気)装置を運用するための追加工事など行う事が可能となるが、宮城県においても東電福島第一原発の放射能漏れ事故による農林系廃棄物や指定廃棄物の処分を巡り、現在も住民と自治体が対立するなど不幸な事態も招いており、放射能を生活圏に放出することを義務付けた新規制基準を人道的に許すことはできない。

    村井知事は、記者会見で「原発は安定した電力供給に優れており、地域経済の発展にも寄与する」と述べているが、福島原発事故の反省に何ら立っていない。福井地裁の樋口英明裁判長は、大飯原発差し止め訴訟の判決で「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」と述べた。そのことの意味をしっかりと受け止めなくてはならない。

    再稼働に向けた女川原発の安全対策工事は2022年度まで続く。私たちは、県民の命と安全を守る立場で被災原発の再稼働に反対し、廃炉を求めていく。

2020年11月12日

原子爆禁止日本国民会議

議長 川野浩一

放射性汚染水を海に放出するな!

2020年11月6日

内閣総理大臣 菅 義偉 様

                    原水爆禁止石川県民会議

代表委員  瀧山田庄治(県平和センター代表)

〃   盛本  芳久(社民党県連代表・県会議員)

〃    野村  夏陽(県社会法律センター理事)

〃    田村  光彰(元北陸大学教授)

〃    佐野  明弘(加賀市光闡坊住職)

〃    糸矢  敏夫(元県平和センター代表)

( 公 印 省 略 )

放射性汚染水を海に放出するな!

 貴職は、「廃炉・汚染水対策関係閣僚会議」において、ALPS(多核種除去装置)では取り除けないトリチウムや完全にゼロにはできない多くの核種を含む汚染水を海洋に放出することを決定しようとしています。しかも、海洋放出の影響は風評被害しかないとして賠償金で済まそうとしています。

 言うまでもなく、トリチウムは三重水素と言われる水素の同位体であり、細胞核に取り込まれることがわかっています。半減期は12.3年であり、リスクが無視できるレベルに低減するまでに120年以上かかるやっかいな放射性物質なのです。

 政府は、原発を推進しながら、事故を防ぐために求められる規制権限を行使しなかったのであり、東電福島第一原発事故の加害者です。加害者が被害者に対して追い打ちをかけるような汚染水放出をすることは言語道断であり、私たちは絶対反対を表明します。政府においては決定しないことを強く要求します。

 この地域の主要産業である農林水産業者も絶対反対の意志を示しており、全国漁業協同組合は断固反対の決議を挙げています。また、海洋放出を金銭問題に矮小化することは許されず、市町村議会で意見書採択や反対の声が挙がっています。

 「原発のない福島を!県民大集会」で決議した反対署名は42万筆以上を集約し、国へも提出していますが、反対理由には多岐にわたる不安や質問、意見があり、風評に限定したものではありません。貴職は、これらの声に真摯に耳を傾け、ひとつ一つの疑問や意見に答える義務があります。意見聴取の趣旨からしても、海洋放出を決定することは重大な禍根を将来に残します。

 郷土を取り戻す懸命な県民の努力に水をかけ、「故意による二次的加害」ともなるトリチウム汚染水、多核種汚染水を海洋放出することは許されません。陸上保管や分離処分、汚染水の放射性物質の減衰を待つなどの選択肢を求め、以下の緊急要請とします。

                  記

1 放射能汚染水の「海洋放出」をやめ、陸上保管や分離処分、汚染水の減退対策など、他の選択肢を取ること。

2 ①環境、健康への影響 ②風評被害対策の具体化 ③関係者との約束違反 ④法令・国際条約違反、安全委員会決定違反など、質問、意見として出されているものに真摯に応え、重大原発事故を起こした国の責任として丁寧に説明すること。

3 処分方針決定に至る経緯、議会の意向や公募意見がどのように反映されるのか、方針決定のプロセスや透明性・公開性を保証するために、県内外の多くの会場で公聴会、住民説明会、出前説明会を行うこと。                      以上

核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明

原水爆禁止日本国民会議

(原水禁)

議長 川野浩一

 10月24日、核兵器禁止条約(TPNW)を中米のホンジュラス共和国(Republic of Honduras)が批准しました。これにより批准した国・地域が50を超えて、2021年1月22日に発効することが確定しました。これにより核兵器を非人道的兵器・絶対悪と定める国際規範が成立し、世界は核兵器廃絶という希望へ大きく前進することとなりました。原爆投下の惨劇の中から生きることを選択した被爆者の強い思いと、日本の原水禁運動やICANなどの核兵器廃絶にとりくむNGOの様々な努力、そして核兵器に頼ることなく自国の安全と世界の平和を願う各国政府のとりくみの大きな成果です。原水禁は、条約発効の意味をしっかりと受け止め、様々な組織・人々とともに核兵器廃絶へのとりくみを進めることを改めて確認します。

しかし、核兵器保有国、日本やドイツなど他国の核の傘の下にある国は、核抑止力を自国の安全保障の基本に据えて、条約に反対しています。本年10月2日に開かれた国連の「核兵器廃絶国際デー」で演説に立った、オーストリア代表の「核抑止力は安全をもたらすものではない。いいかげんにこの神話を葬ろう」との呼びかけに、核兵器保有国や保有国の核の傘の下にある国は真摯に応えるべきです。

今年8月9日、長崎平和祈念式典後の記者会見で安倍首相は、核兵器禁止条約に触れ「わが国の考え方とアプローチを異にしている」として、改めて条約に参加しないことを表明しています。また、安倍政権を継承するとした菅首相は、9月26日の国連総会でビデオ演説し「積極的平和主義」に基づき世界平和に貢献するとしましたが、「現実の安全保障の観点を踏まえていない」として、これまでの政府の姿勢を基本に核兵器禁止条約には触れませんでした。安倍政権は、この間朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核実験・ミサイル発射実験を脅威とし、また中国の南シナ海進出も含めて日本をめぐる安全保障の脅威を主張してきました。その上で、核抑止力をことさらに評価し条約批准が日米安保条約体制に矛盾するとの立場をとり、旧来の安全保障観を抜けることができません。朝鮮は、2002年のアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領の「悪の枢軸国」とされて以来、米国の圧力の下で核兵器保有を強行してきました。中国は、核の先制不使用宣言しており、両国の核兵器や戦力が日本へ向けられているとは考えられません。米国とともに、中国や朝鮮を仮想敵国として、ミサイル防衛の強化や敵基地攻撃に言及する日本政府の姿勢こそが、日本の安全を脅かすものと考えられます。

原水禁は、連合、核兵器廃絶・平和建設国民会議とともに、「核兵器廃絶1000万署名」にとりくみ、日本政府に核兵器禁止条約の批准を求めるとともに、核兵器廃絶を訴えてきました。8月9日には、長崎において中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表に、823万を超える署名を手交しました。中満泉事務次長は、核兵器廃絶という目標は「日本も共有しているはず」として条約に反対する各国に対して「ドアを完全に閉めずオープンマインドで」と苦言を呈しています。

米国は、イラン核合意を破棄し、そしてINF条約も破棄しました。来年2月には期限を迎える新戦略兵器削減交渉も、米露両大国の思惑が交錯し、先行きが不透明となっています。これまでの米露を中心とした核兵器削減の流れが止まろうとしています。中距離核戦力をめぐる米国とロシア・中国の対立は、日本への米軍中距離ミサイル配備や核弾頭配備の可能性も引き出しています。唯一の戦争被爆国としての国是である、核兵器をもたず、つくらず、持ち込ませずとする非核三原則に抵触する事態もおきかねない状況です。核兵器廃絶を、日本政府が主張するのであれば、核兵器保有国と非保有国の間に立って、核兵器廃絶への対話をつくりだす役割を果たさなくてはなりません。核兵器をめぐる状況がきびしい中にあって、日本に与えられた役割は大きいと考えます。今年の長崎平和祈念式典の平和宣言において、田上富久長崎市長は「核兵器の恐ろしさを経験した国として、1日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核地帯の構築を検討してください。『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください」と訴えました。戦後日本が、日本国憲法前文で誓った「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」のであれば、日本と世界の将来を見据えた議論を開始し、そのための努力を開始すべきです。

原水禁は、核兵器禁止条約が発効したこの記念すべき出発点にあたって、平和を愛するすべての人々と、核兵器廃絶・平和構築にむけて、全力でとりくんでいくことを改めて確認します。

2020年10月19日

菅政権による日本学術会議への政治介入に抗議する声明

 石川県平和運動センター

(共同)代表 瀧山田庄治

(共同)代表 南    弘樹

 10月1日、 学者の立場から様々な政策を提言する国の特別機関である日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち、6人の任命を菅政権が拒否したことが、日本学術会議総会で明らかにされました。これに対して学者や知識人から「学問の自由を保障する憲法に違反する行為だ」「内閣のやることにイエスという提言や法解釈しか言えなくなり、今後の日本に大きな禍根を残す」など、不安と抗議の声が上がっています。学術会議は2日の総会で、菅首相に対して理由の説明と、改めて6人を任命する要望書を出しています。

 今回、任命を拒否された6人は、2015年の安保関連法(戦争法)や共謀罪法、辺野古への米軍新基地建設、そして憲法改悪に反対してきた学者たちです。いずれにせよ、政権の意に沿わない6人を選別的に排除したことは明らかです。また、推薦名簿は検察官僚による6人をはずした意図的なものが提出されたと報道されています。

    日本学術会議は、科学者が戦争に協力した反省から、戦後2度にわたって「戦争目的の軍事研究はしない」とする声明を決議しています。また、2015年に防衛省が新設した「安全保障技術研究推進制度(軍事に応用可能な大学や独立行政法人の基礎研究に助成する制度)」によって、助成額が急増(2015年の3億円から2017年は110億円に)したことに対し、2017年に改めて「これまでの2つの声明を継承する」とし、防衛省の制度は「政府による介入が著しく、問題が多い」と声明を発しています。まさに、学術研究に対する防衛省資金の助成を強く警戒し、軍学共同に警鐘を鳴らしてきたのです。

    こうした中で自民党は、菅政権と連携し10月14日には日本学術会議の在り方を検証するプロジェクトチームを設置、初会合では「政府に提言が生かされていない」「政府から独立した組織にすべきではないか」「学術会議の考え方は時代遅れで、非常識だ(中谷元防衛相)」「(軍事研究協力に)ブレーキをかけている」などとし、学術会議の組織や予算にまで揺さぶりをかけ始めました。

    菅政権による日本学術会議の会員任命拒否は、軍事研究を否定する日本学術会議への不法な介入であり、2014年の武器輸出の解禁や2015年の武器の研究開発から、設計・量産・調達を担う防衛装備庁の新設と合わせて、軍需産業の育成に学者・科学者を動員させようとする極めて危険な行為につながるものです。そしてまた、憲法で保障された「学問の自由」や民主主義をふみにじるものであり、見過ごすことは絶対にできません。

    石川県平和運動センターは、菅政権による日本学術会議への不当な政治介入に強く抗議し、学問の自由、中立性を確保するとともに、軍需産業への加担を許さず「戦争のできる国づくり」に反対する闘いに全力をあげることを声明します。

共同声明「日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する緊急声明」発表記者会見

公開日:2020年10月9日

この度、日本学術会議の第25期の開始にあたり、日本学術会議から新規会員候補として推薦された105名のうち6名について、事前の説明もなく内閣総理大臣により任命されないという異例の事態が起きました。これに伴う混乱を我々は大変憂慮しております。
これまで日本学術会議会員候補者は、私ども科学者の代表として学術上の業績を中心に、性別や地域、専門分野など種々の観点から多様性を重視して選出されてきました。このことにより日本学術会議は、政府からの審議依頼案件も含め、社会の様々な要請課題について、学術の見地から様々な意見を戦わせ、その結果を提言等にまとめています。
今回の任命拒否は、多様な科学者の真摯な意見に耳をふさごうとしているのではないかという危惧を持ちます。従来の運営をベースとして対話による早期の解決が図られることを希望し、自然史学会連合、日本数学会、生物科学学会連合、日本地球惑星科学連合、日本物理学会、他90学協会は共同声明「日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する緊急声明」を2020年10月9日(金)18時にオンライン記者会見にて発表いたしました。

 

共同声明「日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する緊急声明

北海道・寿都町および神恵内村の高レベル放射性廃棄物の

最終処分場選定に向けた「文献調査」応募決定に対する声明

10月8日、北海道寿都町と神恵内村は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた「文献調査」に応募することを決定し、正式表明しました。

寿都町も神恵内村も、北海道における他の市町村と同様に、急激な人口減と過疎化、生活インフラの衰退や財政不足に、地域の存亡さえ問われかねない状況があります。地域経済を支えるための農業や漁業、観光業などに従事する方々のさまざまな努力がありますが、しかし、そのことを持っても明るい将来を必ずしも展望できない現状があります。「地方創生」を掲げる国の施策が、スローガンに終始していることに、憤りを感じずにはいられません。

寿都町の片岡春男町長、神恵内村の高橋昌幸村長は、地方行財政の危機感から、「文献調査」への応募による雇用の創出やインフラ整備など地方財政の再建につなげることを表明しています。しかし、これまで原発誘致などが、地方再建につながった例はありません。原発立地市町村とそうでない市町村との比較においても、財政状況に大きな差異はないと言われています。また、一旦過酷な事故につながれば、生活基盤そのものを失う事態も想定されます。一方で、「文献調査」(交付金最大20億円)から「概要調査」(交付金最大70億円)、さらに「精密調査」(交付金額未定)へと進んでいくことによる多額の交付金は、財政基盤が弱い自治体ゆえに、それに対する依存度を増していくことになり、簡単にそのスパイラルから「抜ける」ことができない状況に陥ることも考えられます。原発立地自治体の多くが、原発1号機誘致から2号機・3号機…と、誘致を繰り返すことが、そのことを象徴するものです。

「文献調査」とは、「地質図や学術論文などの文献・データをもとにした机上調査」であり、現地に行くことなく、実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)内で全て行

いながら、一方でNUMOは現地事務所を開設し、約2年間にわたり立地に向けての広報活動、いわゆる地元工作を行います。「文献調査」のねらいは地元工作とも言えます。

 片岡町長、高橋村長は、住民投票を望む声に対して「大半が賛成で必要ない」「住民説明会が理解されている」などとして、その必要はないという立場をとっていますが、地元住民の声を置き去りにした拙速な判断は、地域社会を分断し混乱させるだけと考えます。北海道には、すでに核のごみの持ち込みは受け入れ難いとする条例があり、鈴木直道知事も慎重な姿勢を示しています。また、地元漁業関係者は、早くも反対を表明しています。

 半減期2万4,000年といわれるプルトニウムを含む高レベル放射性廃棄物は、10万年以上も閉じ込めておく必要があり、地元は長期間にわたって「核のごみ」との共存を強いられます。何よりも、処分の対象となるのは使用済み核燃料からプルトニウムを抽出した再処理後の廃棄物であり、六ケ所再処理工場建設の見通しが立たない中で、核燃料サイクルのあり方、原発政策のあり方、ひいてはエネルギー政策の根本的あり方を議論することなく、処分を先行させることは問題です。

 処分問題を、寿都町や神恵内村だけの問題にすることはできません。近隣の自治体や住民、関係団体の意見もふまえながら、国民的議論として結論を求めていかなくてはなりません。そのためには、処分場選定の前に、使用済み核燃料をこれ以上出さないため、国策として「脱原発」のエネルギー政策に転換すべきです。

原水禁は、福島第一原発事故の教訓に立って、まず「脱原発」を決定し、新たな使用済み核燃料を出さないことを基本に、使用済み核燃料・高レベル放射性廃棄物の処分については、国民的議論とすることを求めます。同時に、交付金によって誘致を促すような従来の方法を改め、脱原発社会における地方経済の問題も重要な課題として、国民的議論とすることを求めます。そのような基本姿勢に立って、「文献調査」の応募撤回にむけて、地元住民の理解を求めとりくみます。

2020年10月8日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野浩一

                                                                                                                          2020年10月9日

菅政権による日本学術会議への政治介入に抗議する

石川県平和運動センター

(共同)代表 瀧山田庄治

(共同)代表 南    弘樹

 私たちは、9月29日に開催した第21回定期総会アピールで、悪政の限りを尽くした安倍政治を「継承」すると宣言した菅政権の退陣を確認した。そして今、菅政権は前政権以上に自らの意に沿わない者を選別的に排除する強権的な態度を鮮明にしている。

10月1日、 学者の立場から様々な政策を提言する国の特別機関である日本学術会議が推薦した6人の会員候補を、菅首相が任命拒否したことが日本学術会議総会で明らかにされた。これに対して学者や知識人から「学問の自由を保障する憲法に違反する行為だ」「内閣のやることにイエスという提言や法解釈しか言えなくなる。今後の日本に大きな禍根を残す」と不安と抗議の声が上がっている。

学術会議は2日の総会で、菅首相に対して理由の説明と、改めて6人を任命する要望書を出すことを決めた。今回、任命を拒否された6人は、2015年の安保関連法(戦争法)や共謀罪法や辺野古への米軍新基地建設、そして憲法改悪に反対してきた学者たちである。政権の意に沿わない6人を選別的に排除したことは明らかである。

そもそも日本学術会議は、国への政策提言に加え、科学者が戦争に協力した反省から、戦後2度にわたって「戦争目的の軍事研究はしない」とする声明を決議してきた。また、2015年に防衛省が新設した「安全保障技術研究推進制度(軍事に応用可能な大学や独立行政法人の基礎研究に助成する制度)」によって、助成額が急増(2015年の3億円から2017年110億円)したことに対し、2017年に改めて「これまでの2つの声明を継承する」とし、防衛省の制度は「政府による介入が著しく、問題が多い」と声明を発している。まさに、防衛省資金に対する学術研究への助成を強く警戒し、軍学共同に警鐘を鳴らしてきた。

菅政権による任命拒否は、軍事研究を否定する日本学術会議への不法な介入であり、2014年の武器輸出の解禁や2015年の武器の研究開発から、設計、量産、調達を担う防衛装備庁の新設と合わせて、軍需産業の育成に学者・科学者を動員させようとする極めて危険な行為である。そしてまた、憲法で保障された「学問の自由」や民主主義を踏みにじるものであり、見過ごすことはできない。

石川県平和運動センターは、菅政権による日本学術会議への不当な政治介入に強く抗議し、学問の自由、中立性を確保するとともに、軍需産業への加担を許さず「戦争する国」づくりに引き続き反対する闘いに全力をあげることを声明する。

                                                                           以 上

2020/10/2

日本学術会議への菅政権の介入に反対する平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

 学者の立場から様々な政策を提言する国の特別機関である日本学術会議が新たに推薦した会員のうち、6人の会員候補の任命を菅政権が拒否したことが、10月1日、日本学術会議総会で判明した。学術会議の委員は、日本学術会議法で「会員は同会議の推薦に基づき、総理大臣が任命する」と定められているため、首相に選任する権利はない。また、1983年の参議院文教委員会において、政府は「学会から推薦したものは拒否しない、形だけの任命をしていく、政府が干渉したり、中傷したり、そうゆうものではない」と答弁してきた。

 今回、任命を拒否された6名の推薦候補は、2015年の安保関連法案(戦争法)に関する国会の中央公聴会で、安保関連法が「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と、その違憲性を指摘した小沢隆一東京慈恵医科大教授をはじめ、特定秘密保護法、改正組織犯罪処罰法など政府方針に批判的であった学者であり、政権の意に沿わない学者を強権的に排除したものと指摘せざるを得ない。

菅首相は、政権の決めた政策に反対する官僚は「異動してもらう」と発言したが、この過去に例のない露骨な人事介入は、憲法で保障された学問の自由と、日本学術会議の独立性を侵害する暴挙である。一方、日本学術会議は、国への政策提言に加え、科学者が戦争に協力した反省から、戦後2度にわたって「戦争目的の軍事研究はしない」とする声明を決議してきた。また、2015年に防衛省の制度として新設された「安全保障技術研究推進制度(軍事に応用可能な大学や独立行政法人の基礎研究に助成する制度)」によって、安倍政権のもとで、助成総額が急増(2015年の3億円から2017年110億円)した。このため、日本学術会議は、2017年に改めて「これまでの2つの声明を継承する」「安全保障技術研究推進制度については、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とする声明を発している。まさに、防衛省資金に対する学術研究への助成を強く警戒し、軍学共同に警鐘を鳴らす声明であり、科学者の研究の自主性・自律性を求めたものと言える。

10月1日に開催された日本学術会議の総会では、山極寿一前会長から、任命が拒否されたことが明らかにされるとともに、拒否の理由を示すよう菅首相あてに文書を提出したが、現時点までその説明はないとの報告があった。また、任命が拒否された3名からは「任命拒否の撤回に向け総力であたることを求める要請書」が日本学術会議会長あてに提出された。

菅政権による突然の任命拒否は、軍事研究を否定する日本学術会議への不法な介入であるとともに、2014年の武器輸出の解禁や2015年の武器の研究開発から、設計、量産、調達を担う防衛装備庁の新設と合わせて、憲法の平和主義に逆行し軍需産業の育成に乗り出す行為であり、認めることはできない。

平和フォーラムは、今後、日本学術会議の対応を注視するとともに、日本学術会議の声明を支持し、学問の自由、中立性を確保するために全力で取り組みを進める。

                                                                                                                                                        以 上

総会アピール(案)

在職日数が歴代1位となった4日後の8月28日、安倍首相は突如辞任を表明しました。私たちの一貫した憲法改悪反対!安倍内閣打倒!の闘いが安倍首相を退任に追い込んだものと言えます。

しかし9月16日、「安倍政治の継承」を掲げた菅官房長官が新首相に就任しました。7年8か月にわたって悪政の限りを尽くしてきた安倍政権の中枢にあった菅新政権の誕生です。

初閣議後の記者会見で菅総理は、森友・加計学園、“桜を見る会”疑惑については「結論が出ている」と切り捨て、社会福祉については「自助」を最大限強調するとしています。「改憲」については改憲4項目(9条に自衛隊を明記、緊急事態条項の創設、教育の充実、参院合区の解消)を持ち出し、とりわけ、コロナ感染の危機に乗じて緊急事態条項の導入を突破口として押し通すことを狙っています。

また、安倍政権の末期、イージス・アショア配備の頓挫を受けて突然言いだした「敵基地攻撃能力の保有」も主張しており、「ミサイル防衛」の名のもとに中国・北朝鮮を敵国と想定して、米軍と一体となった自衛隊の先制攻撃の準備を進めていると言わざるを得ず、世界中で「戦争できる国」づくりは決して認めるわけにいきません。

 新型コロナウイルスによる感染症の拡大は世界規模で続いており、収束のメドは何らたっていません。それにもかかわらず国内においては、政府自らが音頭を取って「景気回復」を優先するGoToキャンペーンを行なっています。

「不要・不急」の外出が規制されマスク着用も強制され、文化やエンターテイメントが見えづらくなり、労働組合さえ大衆的な集まりを規制せざるを得ないような「新たな日常」がつくられています。まさに、「コロナパンデミック」による経済危機のすべてが、労働者・市民に転嫁されようとしています。はね返す闘いを創らなければなりません。

私たちは、「平和で静かな空」を求めわずか12名の原告でスタートした小松基地爆音訴訟や活断層の上にある志賀原発を廃炉に追い込む闘いを進める訴訟団と連帯し、また、平和運動センターの名にふさわしく、戦争を阻止し生命と平和を守るために奮闘する多くの労組や団体、市民と連帯して闘うことを誓い、総会アピールとします。

                                                                                                                           2020年9月29日

石川県平和運動センター第21回定期総会

声 明 文

    私たち、石川県憲法を守る会は、2017年5月3日憲法記念日の護憲集会を金沢市庁舎前広場で行いたいと申請しました。しかし、金沢市は、護憲集会は、特定の主義主張にもとづく示威行為であり、庁舎の管理に支障を及ぼすおそれがあるとして不許可としました。これに対し、損害賠償請求訴訟を提起しました。

    憲法第21条の表現・集会の自由は、基本的人権の根幹です。人々が集会を通じて意思を表明することは、民主的な自治を成り立たせる上で極めて重要な権利であり、最大限尊重されなければなりません。

    本日、金沢地方裁判所は、金沢市の裁量を広く認め、原告らの請求を棄却するとの判断をしました。市民の表現の自由をないがしろにし、被告行政に及ぼす影響を空想するなどまれにみる不当な判断です。

    しかし、政治や社会の情勢に鑑みて、今ほど公権力の側にある者の憲法順守義務の履行が問われる時はありません。私たちは、公権力に対して、表現の自由の重要性を訴える決意をさらに強くし、今後も闘い続けます。

以上。

2020年9月18日

石川県憲法を守る会・同弁護団一同

表現の自由を守る適正な判決を求める集会アピール(案)

私たちは、5日後の9月18日に、新広場訴訟の判決を迎えます。

石川県憲法を守る会は、2017年5月3日憲法記念日の護憲集会を金沢市庁舎前広場で行いたいと申請しました。しかし、金沢市は、これを不許可としました。護憲集会は、特定の主義主張にもとづく示威行為であり、庁舎の管理に支障を及ぼすおそれがあるとの判断でした。根拠とされたのは、この年の3月に金沢市庁舎等管理規則第5条禁止行為中の「示威行為」に付け加えられた「特定の政策・主義又は意見に賛成し、又は反対する目的で個人又は団体で威力又は気勢を他に示す等の」という規定でした。

 一体いつの間に、憲法を守ろうという主張が、条例上の根拠を持たない単なる庁内内規に過ぎない管理規則によって、事前検閲・規制の対象とされる時代になったのでしょうか。この深い危機意識から本訴訟を提起し、3年間にわたり法廷の内外で闘ってきました。

憲法第21条の表現・集会の自由は、基本的人権の根幹です。人々が集会を通じて意思を表明することは、民主的な自治を成り立たせる上で極めて重要な権利であり、最大限尊重されなければなりません。権力者の圧政に抗議し、個人の尊厳と自由を求めて止むに止まれぬ声を上げ、身の危険を顧みず闘った幾多の人々の結集の舞台は広場でした。広場はあくまでも市民のものです。

こうした広場の歴史を現代に継承する最も大きな責務を負っているのは、市庁舎前広場を管理する金沢市当局に他なりません。

政治や社会の情勢に鑑みて、今ほど公権力の側にある者の憲法遵守義務の履行が問われる時はありません。金沢市は、世界の恒久平和への貢献を高らかに謳う平和都市宣言の自治体です。その根底には平和憲法があり、憲法理念に基づく自治体運営に謙虚に立ち返らねばなりません。

私たちは、金沢地方裁判所に対し、この不許可問題を行政庁舎の管理の問題に矮小化することなく、大局観に立ち、市民の表現の自由を守る適正な判断を示されるよう求めるものです。以上、アピールとします。

9月13日

市役所前広場に表現の自由を!

新広場訴訟の勝利判決をかちとる市民集会参加者一同

「敵基地攻撃能力の保有」に反対する特別決議(案)

 安倍政権は、自らの失政(インバウンドや習近平来日を優先)でコロナ禍を生み出したにもかかわらず、これを利用して『非常時に国民の権利を制限できる「緊急事態条項の創設」が必要』と改憲を主張し、次期首相候補もこれを「引き継ぐ」としています。「ウイズコロナ」は、「生命、福祉、教育」を軽視する「新しい日常」と言わなければなりません。

このようななかで「生命」を守るためと称して、頓挫した「陸上型イージス・アショア」配備の代替案の検討を開始し、あろうことか「敵基地攻撃能力の保有」を声高に主張し始めました。まさしく「先制攻撃力の保有」にほかなりません。

 これは、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は・・、永久にこれを放棄する。」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と宣言する憲法9条に明確に違反するものであり、決して容認できません。

 国境を越えて他国を攻撃する能力は、NSC(国家安全保障会議)並びに自民党(国防族)主導でつくられた現行の「防衛計画の大綱」において既に、攻撃型兵器である「空母」を保有し、航続距離5000㎞を超える攻撃型F35戦闘機を艦載して、射程500㎞のミサイルで「中国の奥地深く侵入しミサイル基地を撃破する」ところまで拡大しています。この上さらに「弾道ミサイル」や「超高速滑空弾」「巡航ミサイル」「宇宙・サイバー・ロボット兵器」まで際限なく拡大しようとするものです。アメリカの覇権の先兵の役割を果たすとともに、アジア諸国に敵対し、世界大のあらたな戦争を招く可能性を秘めた危険な暴走と言わざるを得ません。

 護憲の旗を掲げる私たちは、憲法の趣旨、そして9条の理念を守り抜くとともに、反戦・平和の闘いとして「敵基地攻撃能力の保有」に反対し、これを阻止しなければなりません。そのために、運動と学習を積み重ね、戦争体験、被爆体験を語り継ぎ、自由で平等な社会をめざし、憲法を守る会に結集して闘います。

   以上、特別決議とします。

2020年9月13日

石川県憲法を守る会定期総会

 

表現の自由を守る適正な判決を求める集会アピール(案)

私たちは、5日後の9月18日に、新広場訴訟の判決を迎えます。

石川県憲法を守る会は、2017年5月3日憲法記念日の護憲集会を金沢市庁舎前広場で行いたいと申請しました。しかし、金沢市は、これを不許可としました。護憲集会は、特定の主義主張にもとづく示威行為であり、庁舎の管理に支障を及ぼすおそれがあるとの判断でした。根拠とされたのは、この年の3月に金沢市庁舎等管理規則第5条禁止行為中の「示威行為」に付け加えられた「特定の政策・主義又は意見に賛成し、又は反対する目的で個人又は団体で威力又は気勢を他に示す等の」という規定でした。

 一体いつの間に、憲法を守ろうという主張が、条例上の根拠を持たない単なる庁内内規に過ぎない管理規則によって、事前検閲・規制の対象とされる時代になったのでしょうか。この深い危機意識から本訴訟を提起し、3年間にわたり法廷の内外で闘ってきました。

憲法第21条の表現・集会の自由は、基本的人権の根幹です。人々が集会を通じて意思を表明することは、民主的な自治を成り立たせる上で極めて重要な権利であり、最大限尊重されなければなりません。権力者の圧政に抗議し、個人の尊厳と自由を求めて止むに止まれぬ声を上げ、身の危険を顧みず闘った幾多の人々の結集の舞台は広場でした。広場はあくまでも市民のものです。

こうした広場の歴史を現代に継承する最も大きな責務を負っているのは、市庁舎前広場を管理する金沢市当局に他なりません。

政治や社会の情勢に鑑みて、今ほど公権力の側にある者の憲法遵守義務の履行が問われる時はありません。金沢市は、世界の恒久平和への貢献を高らかに謳う平和都市宣言の自治体です。その根底には平和憲法があり、憲法理念に基づく自治体運営に謙虚に立ち返らねばなりません。

私たちは、金沢地方裁判所に対し、この不許可問題を行政庁舎の管理の問題に矮小化することなく、大局観に立ち、市民の表現の自由を守る適正な判断を示されるよう求めるものです。以上、アピールとします。

9月13日

市役所前広場に表現の自由を!

新広場訴訟の勝利判決をかちとる市民集会参加者一同

 

「新しい生活様式」漠とした観念に基づく道徳の押しつけ!「非常時」には「平時」の感覚がなくなる

辻田 真佐憲さん(近現代史研究者 作家 慶大卒)

戦争と大衆文化、メディアなどで執筆。著書に「日本の軍歌」「たのしいプロバガンダ」「大本営発表」「空気の検閲」「古関裕而の昭和史」などがある。(毎日新聞6/3朝刊より無断転載)

「新しい生活様式」という名前は、衝撃的だ。独裁国家のように、イデオロギーで市民生活を変えるイメージも感じられよう。ただし、現代日本では、ほどほどに付き合えるものだと思う。

ぱっと思いつくだけでも、1930年代の中国には「新生活運動」、70年代の韓国には「セマウル(新しい村)」運動など、「新」と銘打った国民統制的な運動があった。戦前戦中の日本も、「ぜいたくは敵だ!」で知られる「国民精神総動員」運動などで、国民の生活や意識を上から変えようとした。

あるいは、戦時中の傍聴(スパイ防止)標語に、スパイをバイ菌に例えたものがあった。「スパイはどこにいるか分からない」「政策に不満な人、不平を言う人につけいる」というわけだ。どこか、スパイを新型コロナウイルスに置き換えても話が通じそうだ。

今の日本では、国家が警察や憲兵を使って国民に道徳を強いることはできない。むしろ、「自粛警察」のように「下」から押しつけが起きている。それに、行政もいわば便乗する構図だろうか。パチンコ店だって、3密を避けた営業は不可能ではないと思うが、是が非でも休業させようとする。飲食店の営業時間を縛るのも、夜飲み歩くのが不健全という感覚が影響していないか。こうした、漠とした観念に基づく道徳の押しつけには、注意しなければならない。(※下線は筆者)

関連して、最近報じられる、医療や福祉の現場などでの「美談」が、私には、戦時中に戦死者を「軍神」とまつりあげた「軍国美談」に重なって見える。現場が全力でウイルス禍に立ち向かっているのは事実だろうし、現場に感謝すべきだとも思う。ただし、軍国美談の場合、「この戦争の目的は何だったっけ?」「この作戦は無謀だったのでは?」といった疑問を封じ、「銃後の私たちは生活が苦しくとも我慢しなければ」といった道徳を説く効果を持った。同様に、医療美談も、医療制度や予算などに問題がなかったのかを隠したり、「自粛警察」を後押ししたりするものになっていないか。

いずれにせよ、「非常時」には「平時」の感覚がなくなり、人々は不満や違和感を「仕方がない」と抑え込む。「新しい生活様式」は、「非常時」的に定着するか、「平時」のものとして受け入れられるかが焦点ではないか。

行政のホームページを見れば、市民に対する生活指導は、以前から多数あったと分かる。交通安全で、「自転車は車道を走れ」とか「横並びで走るな」とか。新型インフルエンザでも、「流行したら繁華街への外出を避けるように」と呼びかけていた。私たちは、普段、そうした生活指導を自然にできる範囲でだけ、受け入れている。今回だって、「誰とどこで会ったかメモにする」「帰宅したらできるだけすぐシャワーを浴びる」と事細かに指示されても、完璧にはできるわけもないだろう。

「『新しい生活様式』は8割減で実行」とまでは言わない。せめて、「非常時」ではなく「平時」の気持ちで生活様式を見なおすならば、誰にとっても適度な感染予防ができるのではないかと思っている。

2020年6月22日

 

自衛隊を「日・米統合軍」として「敵基地攻撃能力保有」へ「国家安全保障戦略」を改定することに対する見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

 「地上配備型イージスシステム(イージス・アショア)」計画停止の方針を受け、安倍政権は、年内にも、「国家安全保障戦略」(NSS)を初めて改定する方針を固めた。国家安全保障会議(NSC)を開催し、「イージス・アショア」配備計画の撤回を正式決定したのち、①「イージス・アショア」にかわる新たなミサイル防衛体制、②新型コロナウイルス収束後の国際協調のあり方、③知的財産の管理をはじめとした経済の安全保障、④「敵基地攻撃能力」の保有の是非、などが議論される見込みである。あわせて、今年末を目途に防衛計画の大綱(防衛大綱)、中期防衛力整備計画(中期防)を見直して正式決定するとしており、特に、ミサイル防衛体制については、2021年度予算編成の概算要求(9月末締め切り)までに取りまとめる方針と伝えられている。

安倍政権は2015年の集団的自衛権行使を認める安保関連法の成立強行以降、2018年には「防衛大綱」と「中期防衛力整備計画」を策定し、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)の「いずも」「かが」の事実上の空母化や、MV-22オスプレイ、F-35A搭載の長距離巡航ミサイル導入などを進めてきた。青森県車力と京都府経ヶ岬に設置された米軍のXバンドレーダー基地は、韓国慶尚北道星州(ソンジュ)に配備されたTHAAD(高高度ミサイル防衛ミサイル)とともに、米軍による一体的運用が行われつつある。すでに運用次第で「敵基地攻撃能力」を獲得できる状態にあるのが現状だ。

「敵基地攻撃能力」は、迎撃困難な敵国のミサイルが発射される前に発射台などを破壊し、封じ込める考え方であり、2018年の「防衛大綱」でも明記は見送られている。しかし、今回の「国家安全保障戦略」(NSS)の改定によって、公式に「敵基地攻撃能力」の保有が認められる可能性があり、極めて問題である。

米国は、防衛政策の基本に「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」構想を据えている。この構想は、迎撃ミサイルのみではなく、早期警戒機や戦闘機など全ての兵器を連携させ、敵基地攻撃も含んだ構想となっている。このことは、平和憲法の下での「専守防衛」というこれまでの日本の防衛構想の基本を覆すものであり、極めて危険な政策である。「敵基地攻撃能力」の保有によって、米軍と一体になった世界展開が可能となり、日本の自衛隊は、米軍の指揮下で軍事展開する「日米統合軍」として組み込まれかねない。

朝鮮半島や中国・ロシアとの対立をあおる外交・軍事政策は、日本の平和と安定、および繁栄を危うくするものである。米軍との軍事一体化は、アジアの繁栄を阻害する要因になりかねない。平和フォーラムは、「敵基地攻撃能力」の保有を絶対に許さず、引き続き、国家安全保障会議(NSC)の議論を注視し、取り組みを強化していく。

以 上

 

「新しい生活様式」漠とした観念に基づく

道徳の押しつけ!「非常時」には「平時」の感覚がなくなる

辻田 真佐憲さん(近現代史研究者 作家 慶大卒)戦争と大衆文化、メディアなどで執筆。著書に「日本の軍歌」「たのしいプロバガンダ」「大本営発表」「空気の検閲」「古関裕而の昭和史」などがある

毎日新聞6/3朝刊より無断転載!

「新しい生活様式」という名前は、衝撃的だ。独裁国家のように、イデオロギーで市民生活を変えるイメージも感じられよう。ただし、現代日本では、ほどほどに付き合えるものだと思う。

ぱっと思いつくだけでも、1930年代の中国には「新生活運動」、70年代の韓国には「セマウル(新しい村)」運動など、「新」と銘打った国民統制的な運動があった。戦前戦中の日本も、「ぜいたくは敵だ!」で知られる「国民精神総動員」運動などで、国民の生活や意識を上から変えようとした。

あるいは、戦時中の傍聴(スパイ防止)標語に、スパイをバイ菌に例えたものがあった。「スパイはどこにいるか分からない」「政策に不満な人、不平を言う人につけいる」というわけだ。どこか、スパイを新型コロナウイルスに置き換えても話が通じそうだ。

今の日本では、国家が警察や憲兵を使って国民に道徳を強いることはできない。むしろ、「自粛警察」のように「下」から押しつけが起きている。それに、行政もいわば便乗する構図だろうか。パチンコ店だって、3密を避けた営業は不可能ではないと思うが、是が非でも休業させようとする。飲食店の営業時間を縛るのも、夜飲み歩くのが不健全という感覚が影響していないか。こうした、漠とした観念に基づく道徳の押しつけには、注意しなければならない。(※下線は筆者)

関連して、最近報じられる、医療や福祉の現場などでの「美談」が、私には、戦時中に戦死者を「軍神」とまつりあげた「軍国美談」に重なって見える。現場が全力でウイルス禍に立ち向かっているのは事実だろうし、現場に感謝すべきだとも思う。ただし、軍国美談の場合、「この戦争の目的は何だったっけ?」「この作戦は無謀だったのでは?」といった疑問を封じ、「銃後の私たちは生活が苦しくとも我慢しなければ」といった道徳を説く効果を持った。同様に、医療美談も、医療制度や予算などに問題がなかったのかを隠したり、「自粛警察」を後押ししたりするものになっていないか。

いずれにせよ、「非常時」には「平時」の感覚がなくなり、人々は不満や違和感を「仕方がない」と抑え込む。「新しい生活様式」は、「非常時」的に定着するか、「平時」のものとして受け入れられるかが焦点ではないか。

行政のホームページを見れば、市民に対する生活指導は、以前から多数あったと分かる。交通安全で、「自転車は車道を走れ」とか「横並びで走るな」とか。新型インフルエンザでも、「流行したら繁華街への外出を避けるように」と呼びかけていた。私たちは、普段、そうした生活指導を自然にできる範囲でだけ、受け入れている。今回だって、「誰とどこで会ったかメモにする」「帰宅したらできるだけすぐシャワーを浴びる」と事細かに指示されても、完璧にはできるわけもないだろう。

「『新しい生活様式』は8割減で実行」とまでは言わない。せめて、「非常時」ではなく「平時」の気持ちで生活様式を見なおすならば、誰にとっても適度な感染予防ができるのではないかと思っている。

2020年5月15日

原水爆禁止日本国民会議発第4号

核燃料サイクル政策の破綻を認め、六ヶ所再処理工場の建設中止を求める原水禁声明

 5月13日、原子力規制委員会は、青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)が、新規制基準に適合していると認める「審査書案」を了承した。結果、国内初の商業用再処理工場として本格稼働の前提となる審査に「合格」したこととなった。

 今回の「合格」との判断に対して、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は強く抗議し、六ヶ所再処理工場の建設中止と核燃料サイクル政策の破綻を認め、政策の根本的転換を求める。

 六ヶ所再処理工場は、当初1997年であった完工予定は、相次ぐトラブルや設計見直しなどにより、24回も延期された。その間、原子力をめぐる情勢は、大きく変化し、福島原発事故以降、原発は廃炉の時代へと移った。MOX燃料によるプルトニウムの利用も、16~18基で実施する計画が福島原発事故以降4基に留まり、高額な生産コストも含めて非現実的となっている。プルトニウム利用の前提であった高速増殖炉開発も、2018年3月の原型炉・もんじゅの廃止措置計画の決定によって、その未来は断ち切られた。

 日本原燃は、完工を2021年度上期とする目標を変えてはいないが、今後、設備の工事計画の審査、安全協定などが続くため、完工・稼働の時期の見通しは不透明であり、25回目の再延期は免れないと考えられる。その間、原発をめぐる情勢がさらに厳しくなることは確実であり、六ヶ所再処理工場の存在意義はまったく失われている。

 日本は、余剰プルトニウムを持たないことを国際公約とし、六ヶ所再処理工場では「必要以上の再処理はしない」としている。また、原子爆弾の原料ともなるプルトニウム所有は、核兵器廃絶の視点からも国際的非難を浴びている。現在所有する約46トンのプルトニウムの利用計画も立たない中では、再処理工場の稼働は見込めない。電力自由化が進む中、生産コストの高いMOX燃料では「商業」的に成り立たない。現時点での再処理工場の総事業費は13兆9,400億円と見積もられている。完工時期が延び、今後も続くトラブル、事業環境の変化を考慮すると、さらに費用が膨れ上がることは確実だ。そのツケは、高額な電力料金として、私たちに押し付けられることは明らかで、許すことはできない。

 再処理によって生み出される回収ウランの使途や使用済みMOX燃料の再処理に関しても、その方針は確定していない。未解決な課題が様々残ったままにされている。青森県や六ヶ所村との将来にむけた話し合いを基本に、いまこそ、核燃料サイクル計画からの勇気ある撤退を現実のものとしなくてはならない。原水禁は、強くそのことを求める。

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野 浩一

復帰48年 5・15平和アピール

 新型コロナウイルス感染症と向き合い、その拡大防止のため生活を犠牲にしながらたたかっている県民の皆さん、全国の皆さん、そして平和を愛するすべての世界の人々に敬意を表します。

 今日は43回目の平和行進のスタートを予定していましたが、私たちも新型コロナウイルス感染拡大防止のため、県民や参加者のいのちを優先し、先達が築いてきた平和行進を中止いたしました。同時に5・15平和とくらしを守る県民大会も中止をいたしました。県民大会の平和アピールにかえて、復帰48年目の5・15平和アピールを発信いたします。

 復帰48年目の沖縄は、安倍政権による暴政のひとつ、民意無視の辺野古新基地建設が強行されています。戦後75年を経た今日なお、巨大な米軍基地が横たわり、復帰前の米軍支配下と変わらず、陸も海も空も米軍優先がまかり通っています。昼夜問わず耐えがたい爆音が轟き、事件や事故は後を絶ちません。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故が如実に示したとおり、沖縄にはいまだ憲法など存在しない、行政も立法も司法も、その全権は米軍にあるとでも言わんばかりの米軍の横暴がまかり通り、米軍支配が現在も続いていること、そして日本政府が無力なことをあらためて表しました。

 安倍首相は、「日本を取り戻す」とのキャッチコピーとは裏腹に、武器の爆買いにも象徴されるとおり、歴代首相では随一の米国一辺倒です。一方で、日米安保について歴代政権は、民主主義や人権など米国と共通の理念や価値観にたっているとしてきましたが、「米国ファースト」を掲げるトランプ政権の登場で今どうなっているのでしょうか。日米安保は本当に必要なのでしょうか。「核の傘」は必要なのでしょうか。

 1972年5月15日、沖縄は日本に復帰をしました。県民の願いであった基地の「即時・無条件・全面返還」は受け入れられず、ときの総理佐藤栄作が約束した「核抜き・本土並み」さえも反故にされたまま5年を迎えた1978年に平和行進はスタートしました。私たちは平和行進で「復帰の内実」を問うてきましたが、その内実は、辺野古への新基地建設や最新兵器を使用した軍事演習、宮古島、石垣島、与那国島にいたる米軍と一体となった自衛隊及び自衛隊基地の増強と、ますます「軍事の島」の要塞化が推し進められています。一方で沖縄の内実を問うことと同時に、本土参加者と共に本土の現実も問うてきました。沖縄から安保がよく見えると表現してきましたが、今では全国で安保がよく見えます。それほど憲法は危機的な状況になっています。

 私たちが復帰にめざしたものは、平和憲法下への復帰でした。そこには、基本的人権、国民主権、地方自治、なによりも軍備と戦争放棄が謳われています。今その憲法は、集団的自衛権の行使容認、安保法制、共謀罪など切り裂かれてきました。それでもまだ憲法は生きています。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」に、沖縄から為政者に守らせなければなりません。

 平和センターが参加をしている広島、長崎を原点とした原水爆禁止国民会議は、かねてより北東アジアの非核化地帯構想及び非核法の制定を提唱しています。かつて核の島とも言われたこの沖縄からその運動を大きくつくっていくことを誓います。5・15平和行進は、九州全県を歩き、そして8月9日に長崎へタスキを渡す「非核平和行進」の出発でもあります。

 今日的な人類共通の敵が、新型コロナウイルスなど感染症とするならば、今人類がしなければならないことは、絶対に核軍拡ではありません。それこそグローバリゼーションで立ち向かわなければなりません。核も戦争もない21世紀でなければなりません。

平和行進も昨年まで42回を数え、復帰後世代がその運営を担うようになっています。歩くことで知る沖縄があります。新たな県民運動の展開も期待されます。

 復帰48年目に誓います。沖縄をアジアの軍事の要石から平和の要石へかえていくことを。それが県民の長年の希望であります。平和のための万国津梁の架け橋となることを。

2020年5月15日 5・15平和行進実行委員会/沖縄平和運動センター

<資料>515平和行進地元紙clipping

                                 2020年5月13日

「検察庁法改正案」に対する平和フォーラム事務局長見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

    政府・与党は5月8日、野党の反対を押し切り、衆議院内閣委員会での「検察庁法改正案」審議を強行しました。新型コロナウイルス感染症問題によって、市民のいのちと生活が大きく脅かされるなかにあって、まさに「不要・不急」と言うべき法案を、こうまでしておしすすめなくてはならないのでしょうか。

    そもそも、この「検察庁法改正案」の主な内容は、検察官の定年を63歳から65歳に延長するだけではなく、内閣や法務大臣の裁量で「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」とされた場合、さらに3年その職に据え置くことができるようにするものです。このことによって内閣による検察人事への介入が大きく強化され、準司法官としての検察の独立性が揺らぐおそれがあります。憲法の基本原則である三権分立を毀損することにつながるこの法改「正」は、けっして許されるものではありません。

    この法改「正」強行の背景には、今年1月31日、検察庁法違反を指摘する声を無視して、定年退官予定だった黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことがあると考えます。安倍政権に極めて近いとされる人物を恣意的かつ違法に重要ポストに据え続けることを、事後的に正当化するような法改「正」には一片の正義性もないばかりか、法治国家としての原則を破壊する行為と言わざるを得ません。

    こうした動きに対し、多くの市民が反対の声を上げています。外出し集会を行うことが困難ななか、インターネット上、とりわけtwitterのハッシュタグ「 #検察庁法改正案に抗議します 」を活用した抗議の意思表示が、これまでにのべ数百万にも膨れ上がるなど、これまで日本社会ではみられなかった市民の活動が行われています。この大きなうねりのなかで「戦争をさせない1000人委員会」も参画する「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」は「東京高検黒川検事長の定年延長に関する閣議決定撤回と黒川氏の辞職を求める賛同署名」のオンライン署名を呼びかけ、32万以上(5月12日現在)の賛同を得るなど、抗議の声が大きく拡がっています。

    しかし、政府・与党はこうした反対の世論をいっさい顧みることなく、この法案強行の姿勢を取り続けています。今週中にも衆院を通過させることを目論んでいるとも報道されています。このような不誠実を許すことはできません。

    私たち平和フォーラムは、何らの緊急性もないだけではなく、上記のような問題性が指摘される「検察庁法改正案」について反対します。また、問題の発端である黒川弘務・東京高検検事長の定年延長の閣議決定の撤回を、あらためて求めます。そしてこの問題を、この間一貫して世論を踏みにじってきた安倍政権の体質に根差したものとして捉え、安倍政権の退陣を実現するため、今後も全力を尽くして取り組みを進めていきます。

                                                                                                                                                    以 上

新型コロナウイルス特措法にもとづく「緊急事態宣言」下における

日本国憲法施行73周年 憲法擁護声明

 新型コロナウイルス対策特別措置法にもとづく緊急事態宣言が発令中というかつてない情勢の下で、73回目の憲法記念日を迎えます。いま、新型コロナウイルス感染が世界的に止まらず、日本においてもその終息が見えない中、“不安と委縮”が社会全体を覆っています。

まずもって、懸命の努力を続けている医療・保健機関をはじめ社会機能を支える広範な現場従事者の奮闘に敬意を表します。私たちもまた、一日も早いウイルス感染症の終息と安心して暮らせる社会を取り戻すために最大限の努力を惜しまないことを表明します。

 さて、安倍内閣は、4月7日に発令した新型コロナウイルス特措法にもとづく「緊急事態宣言」の対象地域を16日に全都道府県に拡大し、石川県は「特定警戒県」に位置付けられました。それに先立ち谷本知事は県独自の「非常事態宣言」を発令し、県民に不要不急の外出自粛を求め、19日からは100業種に休業要請を行いました。県内においても、イヴェント、外出や営業の自粛などにより小規模事業者や中小零細企業が経営危機に直面し、労働者の解雇や失職により生活困難者が続出しています。その補償や不当解雇の歯止めが急がれます。

 他方、各地で医療崩壊の危機が叫ばれています。検査体制の脆弱さや医療・衛生資機材、スタッフの不足などは、未知なる感染症対策の難しさがあるとはいえ、この間進められた医療・福祉の抑制政策のつけが表面化したものと指摘されています。安倍政権によるウイルス感染対策も、財界・大企業に配慮するあまり、最も大切な人々の命とくらし、即ち人権を守ることが後回しにされ、感染拡大を止めるべき政策が後手後手になっていると言わざるを得ません。感染と生活の先行き不安から、感染者やその家族に対する中傷など人権侵害も後を絶ちません。増大の一途をたどる莫大な軍事費と、アベノミクスにより大企業を中心に440兆円以上に膨れ上がった内部留保金を生活補償の原資に回す国民救済措置をこそ求めます。

私たちは、憲法が保障する基本的人権を根底に据えた対策の徹底を呼びかけます。

 看過できないのは、安倍政権が新型コロナ禍を利用し、安倍改憲4項目の一つである「緊急事態条項」を「改憲」の突破口にしようとしていることです。自民党内では新型コロナ禍と改憲を結びつける発言が続きました。1月30日、自民党二階派の総会で伊吹文明元衆議院議長は「緊急事態の一つの例、憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と発言しました。また、党選挙対策委員長の下村博文氏は2月1日の講演で「人権も大事だが、公共の福祉も大事だ。直接関係ないかも知れないが(国会での改憲)論議のきっかけにすべきではないか」と述べている事実がこのことを示しています。

緊急事態宣言発出に先立ち、安倍首相は国会議院運営委員会に出席し、「国難に対処するために緊急事態条項の創設は極めて重く大切な課題である」と憲法審査会での議論を促しました。自らの失策を棚に上げ「緊急事態措置に強制力がなかったから感染が蔓延した」かのような論調を作り出し、「改憲」論議を誘導することは許されません。憲法に緊急事態条項を書き込めば、恣意的に行使できる独裁権限を首相が掌握できることになります。そうなれば、市民の移動や表現の自由をはじめ基本的人権が歯止めなく強制力をもって統制される全体主義国家に道を開くことになりかねません。

日本国憲法は、大日本帝国憲法(明治憲法)が戒厳令によって国家が発出する緊急権が濫用され軍国主義を止められなかった反省から、あえて国家緊急権(緊急事態条項)を設けていません。大規模災害や新型感染症などによる非常事態への対策には、平時から個別の法律によって準備することで、国家が緊急権を濫用する危険を避けてきたのです。

「緊急事態条項」の創設は、憲法に制約された特措法緊急事態宣言とは一線を画するものであり、民主主義国家を崩壊させる危険性をもつものであることをひろく国民・市民と共有したいと思います。緊急事態宣言に慣らされることなく、憲法改悪に対する警戒心を研ぎ澄ませようではありませんか。

 いま新型コロナ禍の世界的な拡大を前にして政府・国会がするべきことは、国内感染の拡大を防止し自粛要請に伴う経済補償に万全を期す体制の確立であり、改憲議論になど時間を充てる場合ではない事態であることを認識すべきです。

憲法施行73周年にあたり、石川県憲法を守る会は改めて、ウイルス感染拡大に乗じた安倍政権による憲法改悪を絶対に許さない決意を表明します。

                                      以上

2020年5月1日

安倍改憲NO!市民アクション・いしかわ

辺野古設計概要変更申請に抗議する声明

2020年4月24日

フォーラム平和・人権・環境
共同代表 藤本 泰成
勝島 一博

 防衛省は4月21日、辺野古新基地建設にかかわり大浦湾に広く存在する軟弱地盤の改良を押し進めるために、建設計画の設計概要の変更申請を沖縄県に提出した。申請の時期、経過、そしてその内容をふまえると、政府の行為は暴走以外の何物でもない。
新型コロナウイルス感染症対策で安倍政権は16日、緊急事態宣言の対象を全都道府県に広げた。沖縄県の玉城デニー知事も20日に県の宣言を発表して対応に当たり、政府からの不要不急の外出自粛要請を受け県庁職員の出勤も二分の一に減じていた矢先に申請は出された。コロナ禍で社会、経済が混乱を極める中、国と自治体が一丸となってコロナ感染症対策に当たるべきであるにもかかわらず、この機を推し量るように申請した政府の姿勢は火事場泥棒と非難されても仕方がない。
1800頁にも及ぶ設計概要変更申請書の内容についても、これまでに防衛省が明らかにしてきたところをみると極めて問題が多い。大浦湾の埋め立て区域約120ヘクタールのうち、実に半分の約66ヘクタールに軟弱地盤が広がっている。特に「B27」地点では、海面から90メートルに達する「マヨネーズ並み」の軟弱地盤があると指摘されている。ここには護岸が設置される予定であり、地質の専門家によれば、国土交通省の港湾施設基準を満たさず、護岸崩壊の恐れもあるとされる。こうした声があるにもかかわらず、「B27」地点のボーリング調査の必要性はないと切り捨てている。そして、その他の軟弱地盤対策では、外周護岸を完成させる前に土砂を投入する「先行盛り土」を行うとしている。土砂による汚濁が外洋に広がり、貴重なサンゴや生態系に壊滅的なダメージを与えることは明らかだ。
本来なら、申請を出す前に徹底的な調査が行われてしかるべきだ。そして、第三者機関が調査結果を基に、技術的な課題、自然環境に与える影響などを綿密に議論すべきである。しかしながら、政府が設置した土木の専門家で構成される「技術検討委員会」(清宮理委員長・早稲田大学名誉教授ら8人)は、「B27」地点の調査の必要性を認めず、さらには防衛省の調査資料データの不備について不問に付した。辺野古新基地建設強行の「お墨付き」をあたえる機関としか考えられず、専門家による検討委員会の役割を果たしているとはいえない。
埋め立て用の土砂についても、多くを県外から搬入することとなっていたが、「県内で調達可能」と方針を変更した。これも特定外来生物を規制するための沖縄県の土砂条例からのがれるための方策でしかない。政府は県内の調達先を明らかにはしていない。しかし莫大な量の土砂を県内から採取すれば、当然にして沖縄県の自然環境に甚大なる影響を与える。設計変更による辺野古新基地建設工事、およびあらたな土砂採取にかかわり、環境影響評価が必要なことはいうまでもないだろう。しかし、政府は「同一事業として事業に着手した後であれば、やり直す必要はない」として、自然保護団体などからの再調査を訴える意見に耳を貸さない。
たとえ実定法上の不備で環境影響評価のやり直し規定がないとしても、アセスを実現し、安倍首相自身が常に述べている「ていねいに説明し、理解を求める」ことを実行すべきではないか。そのことが民主主義的手続きとして、県民理解への基本にあるべきだ。その姿勢すら示さない安倍政権は、沖縄県、県民を愚弄しているとしか言いようがない。
政府は設計概要の変更申請を取り下げよ。そして辺野古新基地建設を中止せよ。航空機の墜落、部品落下の他、PFOS(ピーホス)等の毒物をまき散らす普天間飛行場の即時運用停止を実現せよ。
平和フォーラムは、沖縄県民に連帯し、いのち、くらしを守るため、引き続き辺野古新基地建設阻止に向け総力を挙げていく。

声 明

新型コロナウィルス感染症対策には緊急事態宣言ではなく地方自治体・現場支援を

2020年3月30日

石川県憲法を守る会

 新型コロナウィルス感染が世界的に拡大する中、日本においても大都市圏を中心に発症者、感染者の急速な増加が続いています。全国の自治体や医療機関などの諸機関、施設の現場では、国とも連携し、情報提供と相談体制を強化し、感染ルートの把握や感染の爆発的な拡大を抑える懸命な努力が続けられています。国民もまた、諸行事の取りやめ、不要不急の外出の見合わせやマスク着用、手洗い、うがいなどの取り組みを理解し、自他を守るための感染拡大防止の取り組みを励行しています。それらによって、専門家会議でも、厳しい状況ではあるが、「オーバーシュート」の状態は依然として回避できていると感染状況を分析しています。

 こうした中、去る26日に政府は、新型コロナウィルス感染症対策本部を設置しました。これにより、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令が取りざたされるようになりました。この間、フォーラム平和・人権・環境、法曹界、さらには新型コロナウィルス対策に関する憲法研究者有志の声明などが相次いで警鐘を鳴らしているように、緊急事態宣言は、政府の恣意的判断によって、権力の集中を招き、市民の自由や権利を広範に制限し、市民生活の破綻につながりかねないものです。国会承認の必要がなく、詳細は政令に委ねられるため、都道府県知事に付与される行政権限はどこまで強められるのか、解除される基準もまた不明確です。指定公共機関に指定される報道機関の報道の自由、市民の集会表現の自由など優越的な人権が、新型コロナウィルス感染防止の名目さえあれば、容易に侵害されかねません。

 加えて私たちが危惧するのは、この緊急事態宣言を発令するのが、改憲を狙う安倍首相であることです。「安倍改憲」4項目の一つに掲げられているのが、緊急事態条項の創設です。自民党内で、この新型コロナウィルス感染症対策は、憲法への緊急事態条項創設に向けた社会実験とまで語られていることは、看過できません。

 医学の専門家からは、重症患者への必要十分な医療提供には、社会機能が失われないことが重要であるとの見解が出されています。今政府が行うべきは、民主的な社会機能を損なわないように配慮しつつ、地方自治体や医療・福祉、教育機関などの対策の現場が求める様々な条件の拡充に取り組むことです。現在、春闘時期にあって、労働組合の賃上げ交渉を経営者側が制限するような便乗した動きが一部にあるとの報があります。労働基本権を尊重することはもちろん、経済的な打撃を受けるとりわけ中小企業や働く者を救済するための手厚い支援策を早急に講じることを求めます。

 こうしたことから、私たち石川県憲法を守る会は、基本的人権(私権)の制限を伴い、社会機能を著しく萎縮・停滞させる緊急事態宣言の発令は行わないよう求めるものです。

 以上、声明とします。

抗  議  声  明

2020年3月12日

第5次6次小松基地爆音訴訟原告団

団  長 出 渕 敏 夫

第5次6次小松基地爆音訴訟弁護団

事務局長 川 本 藏 石

 

本日、金沢地方裁判所において、第5次6次小松基地爆音訴訟第一審判決が言い渡された。

第5次6次小松基地爆音訴訟は、2008年12月24日に2121名、2009年4月27日に106名、合計2,227名の小松基地周辺の住民が原告となり、国に対し、自衛隊機及び米軍機の飛行差止めと賠償金の支払いを求めて起こした裁判である。

小松基地爆音訴訟は1975年に12名の原告で始まった。これまでに4度の判決が出され、いずれの判決でも自衛隊機の騒音は受忍限度を超える違法なものであると断罪し国に対して賠償金の支払いを命じた。しかし、基地周辺住民の一番の願いである差し止めは認められなかった。

小松基地爆音訴訟を含む全国の基地訴訟では、慰謝料は増額傾向にあり、防音工事などの慰謝料減額要素の評価は低くなっている。また、新横田基地公害訴訟控訴審判決及び第4次厚木基地爆音訴訟控訴審判決において将来請求が一部認められた。第4次厚木基地爆音訴訟の第一審及び控訴審判決においては、一部ではあるものの自衛隊機の飛行差止めが認められ、少しずつではあるが被害救済に向けて前進してきた。

本日の判決は、これまでの判決と同様に戦闘機騒音が受忍限度を超え違法であると認め、国に対して賠償を命じた。認められた慰謝料の金額は不十分ながら前回訴訟よりも若干増えている。

しかし、判決では原告らが実施した健康被害調査を重視せず、戦闘機騒音による健康被害を認めなかった。また、賠償金は過去分に限られ将来分は認められず、防音工事による減額率も前回訴訟と同じであった。さらに、自衛隊機の飛行差止めは民事不適法であるとして却下され、米軍機の飛行差止めは第三者行為論を根拠に棄却された。

今回の判決では基地周辺住民の被害救済に全く前進が見られず、明らかな不当判決である。本判決は、国民の権利救済を使命とする裁判所がその任務を放棄したと評価せざるを得ず、到底容認することはできない。

私たち原告団・弁護団は、第1次訴訟から一貫して求めている「静かで平和な空」を取り戻すため、戦闘機騒音被害の抜本的解決が図られるまで今後も闘い続けることを誓う。

以上

新型インフルエンザ対策特別措置法改正案についての見解

平和フォーラム

 新型コロナウィルスの感染拡大が進む中で、政府の対策はすべてが後手に回っており、場当たり的なものとなっている。検査体制の不備などから、感染者拡大の実態はいまだ不明であり、医療体制の確立が急務であるにもかかわらず、一向に政府の施策は見えてこない。

 安倍総理は、何の法的根拠もなく、小学校・中学校・高校の休校を決定した。国民の教育を受ける権利などの私権制限につながりかねない施策である。休校は、社会的に弱い立場の子どもや特定の家庭によりダメージを与えやすく、また、小さい子を家に残して仕事に出かけることができないために、出勤できなくなる看護師が存在するなど、医療、福祉など社会的な機能への悪影響も指摘されている。

 一方、国会では、新型インフル特措法の対象に、新型コロナを加える方向で法改正が進められている。同法改正案では、総理大臣が「緊急事態宣言」を行うことができるとされているが、安倍政権に国民の私権制限につながる強大な権限を与えることに対して、大きな懸念を抱かざるを得ない。

 この「緊急事態宣言」は「国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」場合に、期間(2年上限)、区域等を定めて総理大臣が発令する。都道府県知事は外出自粛などを要請でき、一定の条件を満たせば、医療品や食品などの物資の収用や土地・建物の強制使用などが可能となる。

 このような私権を制限する法律の適用に当たっては、最低限、国会による事前承認など、政府の独断専行を許さない仕組みが必要である。衆議院では、原則として政府が国会に事前報告することや、事前に学識経験者の意見を聴取することなどを盛り込んだ付帯決議を可決したが、強制力をともなわないものであり、不十分である。

 安倍政権の、黒川東京高検検事長の定年延長問題などに象徴される政治の私物化などをみれば、安倍政権が安易に「緊急事態宣言」を行い、私権を制限することの危険性は明らかである。このような重要な法案を、十分な審議もせずに成立させるべきではない。

 本来、政府が行うべきは、検査体制や医療体制の充実、また、経済が縮小する中での社会的弱者に対する対策である。これらの対策は、緊急事態措置を必要とするものではない。安倍総理は、独断専行で政策を遂行するのではなく、専門家の意見を聞きながら、既存の法律にのっとり迅速に対応すべきであり、拙速な緊急事態措置は許されない。

 条文にある「新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならないものとすること。」とする法の趣旨をふまえ、「緊急事態宣言」の安易な発令に、反対するものである。

2020年3月12日

フォーラム平和・人権・環境

「新型コロナウイルス感染拡大」に乗じた

人権制限=「緊急事態宣言」に反対する声明(3.12)

安倍内閣は10日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下、特措法)に「2年を限度に新型コロナウイルスを加える」改正案(以下、改正案)を提案しました。このことは、この間の安倍政権による「新型コロナウイルス対策」の失敗の批判をかわし、特措法にある「緊急事態宣言」を活用して首相の指導力を誇示し乗り切ろうとする政治的意図を感じざるを得ません。13日には成立が予想されていますが、その内容から極めて危険な法律であると言わざるを得ず、私たちは断固反対します。

特措法では、緊急事態下での行政権の強化と市民の人権制限は、内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を発することによって可能となっています。

要件は、「新型ウイルス感染が全国的、急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」場合、首相が緊急事態を宣言できるという抽象的であいまいなものとなっており、具体的なことは政令に委ねています。発動や解除については、内閣総理大臣はそれを国会に報告するだけでよく、国会の事前はおろか事後の承認も必要とされていません。これでは、国会による行政へのチェックは骨抜きになり、政府や内閣総理大臣の専断、独裁に道を開くことになってしまいます。

緊急事態が宣言されると都道府県知事に規制権限を与えられ、みだりに外出しないことや感染の防止に必要な協力を住民に要請することができ、学校、社会福祉施設、興行場など多数の者が利用する施設についてその使用を制限し、停止するよう施設の管理者に要請し、指示することができることや、開催者に催物の開催を制限し、停止するよう要請し、指示することができます。

外出については、自粛の要請にとどまるとはいえ、憲法によって保障された移動の自由を制限するものであり、要請にとどまらず指示という形での規制も加え、強制の度合いがさらに強められ、憲法上、とりわけ重要な人権として保障される集会の自由や表現の自由が侵害されることになります。
また、NHKは、他の公共的機関や公益的事業法人とならんで指定公共機関とされ(民放等の他の報道機関も政令で追加される危険がある)、新型インフルエンザ等対策に関し、内閣総理大臣の総合調整に服すだけでなく、緊急事態宣言下では、総合調整に基づく措置が実施されない場合でも、内閣総理大臣の必要な指示を受けることとされている。これでは、報道機関に権力からの独立と報道の自由が確保されず、知る権利も保障されないことになります。
さらに、知事は、臨時の医療施設開設のため、所有者等の同意を得て、必要な土地、建物等を使用することができるが、一定の場合には同意を得ないで強制的に使用することができる。これも私権の重大な侵害であり、憲法が保障する財産権にも深く関わるものです。

 これらは、安倍政権が、憲法「改正」論議が進まないなか、「緊急事態宣言」を活用して「先制的に適用」する、まさに「明文改憲」の先取りと言わなければなりません。今回の特措法「改正」は、「コロナ禍」を活用した人権・私権制限に道を開く「独裁条項」であり、組織の総力をあげて反対していくことを表明します。

2020年3月12日

石川県平和運動センター

新型コロナウイルス対策のための特措法改正に反対する

緊急声明(2020.3.9 弁護士ほか)

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増すなか、安倍政権は現行の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」と略記)の対象に新型コロナウイルス感染症を追加する法改正(ただし、2年間の時限措置とする)を9日からの週内にも成立させようと急いでいる。
しかしながら、特措法には緊急事態に関わる特別な仕組みが用意されており、そこでは、内閣総理大臣の緊急事態宣言のもとで行政権への権力の集中、市民の自由と人権の幅広い制限など、日本国憲法を支える立憲主義の根幹が脅かされかねない危惧がある
そのような観点から、法律家、法律研究者たる私たちは今回の法改正案にはもちろん、現行特措法の枠内での新型コロナウイルス感染症を理由とする緊急事態宣言の発動にも、反対する。あわせて、喫緊に求められる必要な対策についても提起したい。

1 緊急事態下で脅かされる民主主義と人権
特措法では、緊急事態下での行政権の強化と市民の人権制限は、政府対策本部長である内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を発する(特措法32条1項。以下、法律名は省略)ことによって可能となり、実施の期間は2年までとされるものの、1年の延長も認められている(同条2項、3項、4項)。
問題なのは、絶大な法的効果をもたらすにもかかわらず、要件が明確でないことである。条文では新型インフルエンザ等の「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるもの」という抽象的であいまいな要件が示されるだけで、具体的なことは政令に委ねてしまっている。また、緊急事態宣言の発動や解除について、内閣総理大臣はそれを国会に報告するだけでよく(同条1項、5項)、国会の事前はおろか事後の承認も必要とされていない。これでは、国会による行政への民主的チェックは骨抜きになり、政府や内閣総理大臣の専断、独裁に道を開きかねず、民主主義と立憲主義は危うくなってしまう。
緊急事態宣言のもとで、行政権はどこまで強められ、市民の自由と人権はどこまで制限されることになるのか。特措法では、内閣総理大臣が緊急事態を宣言すると、都道府県知事に規制権限が与えられるが、その対象となる事項が広範に列挙されている。例えば、知事は、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないことや感染の防止に必要な協力を住民に要請することができる(45条1項)。また、知事は、必要があると認めるときは、学校、社会福祉施設、興行場など多数の者が利用する施設について、その使用を制限し、停止するよう、施設の管理者に要請し、指示することができる。また施設を使用した催物の開催を制限し、停止するよう催物の開催者に要請し、指示することができる(同条2項、3項)。
外出については、自粛の要請にとどまるとはいえ、憲法によって保障された移動の自由(憲法22条1項)を制限するものである。また、多数の者が利用する学校等の施設の使用の制限・停止や施設を使用する催物の開催の制限・停止という規制は、施設や催物が幅広く対象となり、しかも要請にとどまらず指示という形での規制も加え、強制の度合いがさらに強められており、憲法上とりわけ重要な人権として保障される集会の自由や表現の自由(憲法21条1項)が侵害されかねない。
また、特措法の下で、NHKは、他の公共的機関や公益的事業法人とならんで指定公共機関とされ(2条6号など。民放等の他の報道機関も政令で追加される危険がある)、新型インフルエンザ等対策に関し内閣総理大臣の総合調整に服すだけでなく(20条1項)、緊急事態宣言下では、総合調整に基づく措置が実施されない場合でも、内閣総理大臣の必要な指示を受けることとされている(33条1項)。これでは、報道機関に権力からの独立と報道の自由が確保されず、市民も必要で十分な情報を得られず、その知る権利も満たせないことになる。
さらに、知事は、臨時の医療施設開設のため、所有者等の同意を得て、必要な土地、建物等を使用することができるが、一定の場合には同意を得ないで強制的に使用することができる(49条1項、2項)。これも私権の重大な侵害であり、憲法が保障する財産権にも深く関わる措置である(憲法29条)。

2 政府による対策の失敗と緊急事態法制頼りへの疑問
政府は、特措法改正の趣旨を、新型コロナウイルス感染症の「流行を早期に終息させるために、徹底した対策を講じていく必要がある」(改正法案の概要)と説明している。
しかし、求められる有効な対策という点から振りかえれば、中国の感染地域からの人の流れをより早く止め、ダイヤモンドプリンセス号での感染を最小限にとどめ、より広範なウイルス検査の早期実施と実施体制の早期確立が必要であった。にもかかわらず、国内外のメディアからも厳しく批判されてきたように、初期対応の遅れとともに、必要な実施がなされない一方で、専門家会議の議論を踏まえて決定されたはずの「基本方針」にもなかった大規模イベントの開催自粛要請、それにつづく全国の小中高校、特別支援学校に対する一律の休校要請、さらに中国と韓国からの入国制限などが、いずれも専門家の意見を聞かず、十分な準備も十分な根拠の説明もないまま唐突に発動されることによって、混乱に拍車をかけてきた。
本来必要な対策を取らないまま過ごしてきて、この段階に至って緊急事態法制の導入を言い出し、それに頼ることは感染の抑止、拡大防止と具体的にどうつながるのか、大いに疑問である。根拠も薄弱なまま、政府の強権化が進み、市民の自由や人権が制限され、民主主義や立憲主義の体制が脅かされることにならないか、との危惧がぬぐえない。現に、特措法改正を超えて、この際、今回の問題を奇貨として憲法に緊急事態条項を新設しようとする改憲の動きさえ自民党や一部野党のなかにみられることも看過しがたい。

3 特措法改正ではなく真に有効な対策をこそ
今回の特措法改正はあまりにも重大な問題が多く、一週間の内に審議して成立させるなどということは、拙速のそしりをまぬかれない。私たちは、政府に対し今回の法改正の撤回とともに、特措法そのものについても根本的な再検討を求めたい。加えて、次のことを急ぐべきである。すなわち症状が重症化するまでウイルス検査をさせないという誤った政策を転換し、現行感染症法によって十分対応できる検査の拡大、感染状況の正確な把握とその情報公開、感染者に対する迅速確実な治療体制の構築、マスクなどの必要物資の管理と普及である。感染リスクの高い満員通勤電車の解消、テレワークを可能にする国による休業補償、とりわけ中小企業への支援、経済的な打撃を受けている事業者に対するつなぎ融資や不安定雇用の下にある人々や高齢者、障がい者など生活への支援を必要とする人々への手厚いサポートが必要である。そのため緊急にして大胆な財政措置が喫緊である。
強権的な緊急事態宣言の実施は、真実を隠蔽し、政府への建設的な批判の障壁となること必至である。一層の闇を招き寄せてはならない。

2020年3月9日

梓澤和幸 (弁護士)/右崎正博 (獨協大学名誉教授)/宇都宮健児 (弁護士、元日弁連会長)
海渡雄一 (弁護士)/北村 栄 (弁護士)/阪口徳雄 (弁護士)/澤藤統一郎 (弁護士)
田島泰彦 (早稲田大学非常勤講師、元上智大学教授)/水島朝穂 (早稲田大学教授)
森 英樹 (名古屋大学名誉教授)  (*あいうえお順)

今日の午前中に公表された新型インフルエンザ特別措置法の改正に反対する法律家の共同声明です。
2020年3月9日記者会見におけるコメント
海渡雄一

〇各地で医療機関に何度も行きながら、検査も受けられず、重篤化してからコロナウィルス感染者とわかる悲しい事例が次々に報告されていることに心を痛めています。これは、人災であり、人権侵害です。
〇安倍政権は科学と事実を無視し、法解釈を曲げて平気な政権です。コロナウィルスについても、故意に検査をさせない体制をつくり、感染者数を抑えることを自己目的化しています。その政策を改めさせることの方が先決です。

〇そのような政権に強権を与えることはあまりにも危険です。安倍政権は、北海道などで実際に緊急事態を宣言しようとしているのではないでしょうか。
〇この法律には、数多くの私権制限の規定だけでなく、集会開催の制限やNHKや民放も指定公共機関に指定されるなど、表現の自由そのものを侵害する危険性のある条項があります。
〇元民主党の議員の方々は、もとの法案をつくったという過去のメンツは捨てて、欠陥のある法律を抜本的に修正すべきという立場に立っていただきたい。

〇いま、緊急に必要なことは、こんな法律をつくることではなくて、検査の体制を改め、感染者に早期に治療を開始できるようにすること、経済的な困難に直面している企業や個人に支援の手を差し伸べることだと思います。

辺野古新基地建設反対3.6首都圏集会に寄せて

本日この教育会館大ホールに大結集をいただきました首都圏を中心とした全国の仲間のみなさん。今晩は。沖縄平和運動センターの山城です。

本来なら私自身も本集会に参加して、緊迫する辺野古情勢また強行される先島諸島への自衛隊基地建設問題について報告し、引き続き全国支援のお願いを申し上げるべきでありますが、諸般の事情で集会参加がかなわなくなりました。まずそのことをお詫びを申し上げますと共に主催者のご配慮で挨拶に代えてメッセージさせていただく機会を得ましたこと深く感謝申し上げます。

さて安倍内閣は遮二無二に辺野古新基地建設を進めるために、沖縄県に対し今月中にも埋め立て変更申請を行うという緊迫した局面で、首都圏の皆さんが時を違うことなく本集会を開催され辺野古新基地建設計画に反対する決意を新たにする場を設けた意義はまことに大きく、今後この熱が全国に波及し反対運動に大きな盛り上がりをつくってくれるものと期待しています。

すでに数多く指摘されているところではありますが、この辺野古新基地建設は大浦湾に広がる軟弱地盤問題をはじめ幾つもの重大な問題に突き当たっていと言われます。本集会案内書にも詳細報告されている通りであります。現地沖縄では辺野古新基地建設がいかに無謀で杜撰な計画であるかが連日のように報道されています。整理すると

①埋め立て予定地に広がるマヨネーズ状と言われる軟弱地盤の存在。

②世界でもかつて経験したことがないという海面下90mでの深海工事。

③大浦湾に群生するサンゴ移植問題

④先日政府が唐突に発表した全ての埋め立て土砂を県内調達で行うことに関する問題

などとなります。どれを取り上げても政府がこれまで十分な説明を行えないでいる難問であり、さらに埋め立て予定地のど真ん中に流れ出る美謝川(びじゃがわ)の水路変更問題について水利権を所轄する名護市との協議が今だに行われないまま棚上げにされていること。この件は野党多数の名護市議会の構成を変えない限り打開の糸口はないことなどです。

 先の4項目については全て知事権限が行使される『埋め立て承認に関する変更申請』の対象となっており、玉城知事が圧倒的な県民世論を受けて政府の変更申請を受け付けないことが明白である以上、常識的に言えばもはやこの計画をこのまま続行することは不可能であり、政府は建設をすみやかに断念すべきなのです。辺野古の闘いは丸5年が経過しやがて6年になろうとしています。表向きは、辺野古でも安和や塩川港でも抗議行動が機動隊に排除されて政府主導で事が運んでいるように見えますが、如何ともし難い壁にぶち当たり、追い詰められているのは政府の方です。お集まりの皆さん。まずはそのことを確認しましょう。

その上で今後の私たちの運動について考えてみましょう。

悪辣極まりない安倍内閣のことです。間違いなく県知事に対し変更申請を行うでしょう。そして知事が応じないと見るや翁長知事が行った承認撤回の際に取った防衛省と国交省間での猿芝居で県知事権限を封じるか、あるいは政府の御用機関と化した福岡高裁那覇支部に訴え出て計画変更を正当化していくでしょう。

しかし変更申請に関する沖縄県とのやりとりの難しさは強権発動で押さえ込んだとしても、先に挙げた工事遂行に伴う技術的困難さは依然として解決されず残ることになります。

 ①②について。70mより深い海域での工事はできない。政府は70mまでの工事で可能と開き直っていますが、新潟大学の立石名誉教授はそれでは護岸は崩壊すると警告しています。

 ③世界遺産にも登録されようとする大浦湾のサンゴ群は、それが息づく条件が大浦湾に揃っているからそこに生息する訳でそこ以外に持って行きようがないし、そもそもあの巨大なサンゴ群を移植する技術などないのです。

 ④本来2000万立方メートルに及ぶ埋め立て土砂の大半は全国各地から搬入予定であったが、県条例に阻まれて全てを県内調達に変更するという。そうするとこれまで県内調達を全体の四分の一程度と見込んでいたことからすれば全ての搬入調達に関する条件を4倍にしなければならない。トラックや運送船舶の数、積出港、あるいは各地に際限なく広がる採石場で警備に当たる警備員や警察機動隊など単純に言えば全て4倍揃えなければならないことになる。今日、概算でチャーターされている運搬船や台船の数およそ20隻それが80隻に、トラックは1日当たりおよそ500台それを2000台に。動員される機動隊の数150人は600人に、という計算になる。すでに土建業界からすべてのトラックや資機材または人員を総動員しなければならないがそれは不可能だと漏れ伝わっている。

結論から言えばこの工事は技術的にも不可能なのです。それを強引に行おうとすればいたずらに工期が延びるだけです。全ての工事条件を変えないとすれば、単純に政府の予想する工期13年が52年に延びることになりそもそもそんな公共工事はあり得ないし、米軍も納得しないでしょう。

遅かれ早かれ政府はこの工事を断念しなくてはならないでしょう。

 ただここで注意されなければならないのは、政府は自らは引かない。時の経過とともに自動的にそうなるものではない。政府はますます強引に迫ってくるはずです。

沖縄県政に対する圧力は翁長知事の最期を思えば想像絶するものがあると肝に銘じなければならず、またゲート前で立ちはだかる人々に対する警備弾圧も一層厳しさを増してくるでしょう。

この辺野古新基地建設を巡る政府との攻防いよいよ正念場に差し掛かる、そう認識し決意を固めあいましょう。

  私ども沖縄平和運動センターを含め心ある多くの県民が政府の不当な介入・弾圧をはねのけて闘いに総立ち上がりするでしょう。

お集まりの首都圏の仲間の皆さん。手を携え連携してまいりましょう。

コロナウィルス対策にみる政府の危機感の欠如した後手後手の対応は、政治行政権力を一手に収め、その果実の全てを政権の延命と私利私欲にあてがう安倍政治の究極の姿を映し出したものと言わねばならず、このままこの政権が延命すれば、ますます悲惨な事態が待ち受けているだろうことは明らかであり、全国の団結でこの内閣を打ち倒して自らの運命を切り開く回路を取り返して行かなくてはなりません。

見境もなく大国中国との緊張を煽り地域の軍事化、軍事基地建設に余念のない日本政府安倍内閣を打倒して、不信と緊張が支配する沖縄先島諸島海域の平和を取り返す闘いが、脈々と全国の闘いと繋がっていることを感じながら、常駐する先島諸島宮古島からのメッセージとさせていただきます。首都圏の皆さん。全国の仲間の皆さん。共に手を取り合い闘って参りましょう!

2020年3月6日

沖縄平和運動センター議長 山城博治

「幻」の総会アピール(案)

安倍政権は、中東・アラビア海は「日本の生命線」であるとして「タンカー」防護のため海上自衛艦「たかなみ」と哨戒機を2月2日強行派兵しました。「満州が生命線」を想起させます。

この派兵は、米・第5艦隊と空母打撃群を中心としたイラン制圧のための「有志連合」とは別の「派遣」としていますが、ほぼ同じ海域でイランや中国、ロシア艦艇と対峙し、幹部級自衛官を米軍司令部に派遣して情報を共有するなど、まさに「有志連合」への派兵といわなければなりません。

しかも「不測の事態」となれば「海上警備行動」をとり「米艦防護」する紛れもない戦争参加となり、憲法を越えた自衛隊法をも越えた違法な「集団的自衛権の行使」となるのです。

安倍政権は、自衛隊と米軍との軍事一体化をあらゆる戦線と領域(宇宙、サイバー、電磁波)で押し進めるため、2019年度は防衛費5兆6456億円投入し、第二次安倍内閣(2013年)に比して1兆円近くも増額させています。後年度負担(最長10年払)5.4兆円を加えると11兆円台にもなります。

私たちには消費税増税を押しつけ、医療、年金、社会保障を切り捨て、2019年度から5年間で27兆5千億円もの大軍拡を実施中であり、更なる負担を私たちに転嫁してくることは確実です。

日米安保条約に則った共同演習は激しさを増し、平和な空は爆音でかき消され、墜落の危険が日本中を脅かせています。小松基地ではF15戦闘機が米軍のB52「核」戦略爆撃機を護衛し、核戦争演習の一翼を担っています。

これらは、北朝鮮の弾道ミサイルや中国の尖閣列島への「領海侵犯」、核戦力増強をその理由にしており、安倍政権は「安全保障を巡る環境は激変し、敵基地攻撃能力を高め危機に対処する」と憲法無視の姿勢を露わにしています。

私たちは、これらの日・米軍事一体化に反対するとともに、改憲素案四項目(自衛隊明記、緊急事態条項の創設、教育の無償化、参院の合区解消)の的確な批判をさらに進めていきます。

本日、本総会記念講演において、清末愛砂さんから、戦争は最大の人権破壊でありジェンダー抑圧にほかならないことを改めて学びました。本年度を「改憲阻止の正念場」と位置づけ、反戦・平和、脱原発、人権擁護、社会保障切り捨て反対、監視社会反対などすべての運動を結合させて安倍政権を打倒し、憲法を生かした、平和・人権・民主主義、生活の向上を実現する社会を築くために奮闘します。

以上、総会アピールとします。

2020年2月28日

石川県憲法を守る会総会参加者一同

 

「幻」の特別決議案(2.28石川県憲法を守る会総会) 

新型肺炎に便乗した「緊急事態条項の新設」と 「病院船の建造」に反対する特別決議(案)

新型コロナウイルスによる肺炎の蔓延を理由に、自民党有力国会議員らから『非常時に国民の権利を一部制限できる「緊急事態条項」が必要』との発言が出されています。感染症などの対策は、現行の法律で対処できるものであり、今回の発言は、自分たちのゴテゴテを反省することなく、これを奇貨として改憲を急ぐ自民党内改憲派の「勇み足」と言わざるを得ません。

全国肢体障害者団体連絡協議会(全国肢障協)は2月10日、これに反対する緊急声明を発表しました。「戦争や災害などでは『役立たず』『足手まとい』と切り捨てられるのは障害者だ」として「緊急事態条項の不要」を訴えました。

緊急事態条項とは改憲四項目の一つであり、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」時に、内閣総理大臣が「国家緊急権」を発令できるようにするものですが、自然災害のみならず、戦争災害や労働者・市民の決起にも適用される、基本的人権と三権分立を「瞬時」に停止する極めて危険なものであり、「ナチスの手口」とも言われているものです。まったく言語道断であり、その撤回を求めます。

また一方、現在の新型肺炎や地震災害などで陸路が遮断された場合の対応として、病院機能を持つ「病院船」の活用を検討せよと2月12日、自民党が提案しました。これに安倍政権は、「関係省庁とも協議し病院船の配備の在り方を加速的に検討していく」と述べ、14日には河野防衛相が導入に向けた検討を始めたと報道されました。

「病院船」とは、戦争や飢餓、大災害時に現場で傷病者に医療ケアをする船舶であり、通常、世界ではアメリカやロシアなど“戦争する国”が運用しているものです。しかし、医療システムの維持費やコストが莫大であることから、それらの国々も輸送艦や強襲揚陸艦など戦時艦船を利用しているものが殆どです。

私たちは、「病院船」の建造が災害対策の見地からみても「陸路の代替」とはならないと考えます。地震が港湾のみならず関連施設をも破壊したことを知っているからです。

従って、改憲推進派による「災害対策」に名を借りた「緊急事態条項の創設」と「病院船の建造」は、きわめて意図的、恣意的な「コロナウイルス騒動に便乗した世論操作」と考えます。これらは、憲法改悪へと道を開き、民主主義を破壊し戦時体制を強化するなにものでもなく、断乎として反対していくことを宣言します。

 以上、決議します。

2020年2月28日

 石川県憲法を守る会総会参加者一同

東京地検による法律事務所への捜索に抗議する会長談話 (無断転載)※ヒロナカ法律事務所

arrowEnglish(英語版) 2020年1月31日

2020年(令和2年)1月29日、東京地方検察庁の検察官らが、刑事被疑事件について、関連事件を担当した弁護士らの法律事務所の捜索を行った。同弁護士らが、刑事訴訟法105条に則り、押収拒絶権を行使したにもかかわらず、検察官らは、無断で裏口から同法律事務所に立ち入った。検察官らは、再三の退去要請を無視して長時間にわたり滞留した上、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影するなどした。なお、検察官らが押収に至った物は、弁護士らが捜索が始まる前に任意に呈示していた書面等1袋のみであった。

弁護士には、秘密を委託される業務及びこの業務を利用する市民等を保護するため、押収拒絶権が保障されている。秘密該当性の判断は、委託を受けた弁護士の専権に属するものとされている。そして、捜索は、押収物の発見を目的とするものであり、押収を拒絶された場合は、押収対象物の捜索もできない。

したがって、今回、押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれているにもかかわらず、検察官らが、裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影するなどしたことは、正当化の余地のない違法行為である。

憲法は、被疑者及び被告人の防御権及び弁護人依頼権を保障しており、弁護人は、被疑者及び被告人の権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努めなければならない。対立当事者である検察官が、弁護人に対し、その権利を侵害する違法行為に及ぶことは、我が国の刑事司法の公正さを著しく害するものである。

当連合会は、違法な令状執行に抗議するとともに、同様の行為を二度と繰り返すことのないよう求めるものである。

 2020年(令和2年)1月31日

日本弁護士連合会
会長 菊地 裕太郎

 

「自衛隊の中東派遣反対!戦争参加反対!」緊急集会

ア ピ ー ル (案)

「憲法改悪阻止!戦争法廃止!」を呼びかける八団体

(石川県憲法を守る会、石川憲法会議、九条の会・石川ネット、石川県平和運動センター、石川県労働組合総連合、青年法律家協会北陸支部、戦争をさせない1000人委員会・石川、戦争をさせない石川の会)

集会に参加されたみなさん。

本日、多くの反対の声をおしきって安倍政権は、海上自衛艦「たかなみ」を緊迫の中東・アラビア海へ派遣させようとしています。昨年末の閣議決定にもとづいて1月11日にはP3C哨戒機を、それに続く本体派遣の強行となります。私たちは、国会議論もなく閣議決定のみで、戦場と化した中東・アラビア海に自衛隊を派遣することに強く反対します。

そもそも今回の中東危機は、米・トランプ政権による「イラン核合意」離脱(2018.5)に端を発したものであり、米国の「経済制裁」と「軍事威嚇」、そして「有志連合」の結成により危機は高められました。1月3日、トランプ政権はついに「海外の米国人を守るため」と称してイラン革命防衛隊司令官をイラクにおいて殺害しました。これに対しイラン・ハメネイ師は、「同等の報いを受けてもらう」と宣言し、世界は緊張しました。1月8日、イランはイラク駐留米軍基地へ「弾道ミサイル」を発射し緊張は頂点に達しました。しかし、意図的に建物をねらうなど現時点では双方が自制的な対応をしています。最悪の事態は去ったとはいえ、依然、一触即発の軍事的緊張は続いていると見なければなりません。

一方、安倍政権は、「有志連合」とは一線を画すとしながらも、「日本船舶の安全を確保するため情報収集する」と「調査・研究」派遣を決めました。しかしその内実は、情報はバーレーンの米軍司令部と共有し、緊急時には「海上警備行動をとる」として米軍(有志連合)との一体的行動を前提としており、まさに「イラン戦争」への参加を企図していると言わざるを得ません。しかも安倍政権が「外交努力」として中東三カ国でやっていたことは、「日本の生命線を守る」として将来の資源や軍事基地をも見据えた「補給拠点」の確保なのです。

集会に参加された皆さん。

通常国会の施政方針で安倍首相は、「憲法改正を私自身の手で成し遂げていく」と豪語し、追及されている「桜を見る会」や「IR疑惑」など相次ぐ不正に向けられた厳しい目をそらそうとしています。今回の自衛隊の中東派遣は、その憲法改悪の先取りであり、「イラン戦争」に加担するための、まさに「戦争参加」のための海外派遣と言わなければなりません。

米軍(有志連合)とともに中東・アラビア海で「戦争参加」する自衛隊派遣に反対し、日本の戦争参加を止めようではありませんか。その力を安倍退陣に結びつけようではありませんか。以上、アピールします。

2020年2月2日

集会参加者一同

 

「中東への自衛隊派遣の閣議決定は止めよ」共同声明

 2018年5月、米・トランプ政権は、「イラン核合意」から一方的に離脱したことを契機にイランに対して経済制裁を加え、「中東危機」はかってない緊張のなかにあります。

2019年6月に引き起こされた日本「タンカー」への攻撃では「イラン犯行説」が流布され、米国の主張する「自国タンカーは自国で守れ」「有志連合結成」という雰囲気が醸し出されました。

このようななか米国は、本年11月、米空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群をホルムズ海峡・ペルシャ湾に急行させ、イランの喉元で「戦争挑発」を行なっています。加えて、米国主導の「有志連合」には、オーストラリア、英国、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦、アルバニアの7カ国が参加し、年明け1月下旬には軍事行動を本格化させようとしています。

安倍政権は10月、緊張高まる中東・アラビア海(アラビア海北部の公海、又はオマーン湾、又はイエメン沖のバブルマンデブ海峡)に、米国の参加要請とイランへの配慮から、独自に「自衛隊」を「調査・研究」という名目で派遣することを決定し、その派遣先と時期等を含めた最終判断を閣議決定しようとしています。

この派遣は、いかなる理由をつけようとも「イラン戦争への参加」と言わざるを得ません。

第一に、国会の審議も経ず閣議決定のみで自衛隊派遣を決定すること、第二に、不測の事態があったとき、「海上警備行動=戦闘行為」をとることを決めようとしていること、しかも第三に、一端、事あれば「イラン壊滅を目論む米軍指揮下」の戦闘となり、実質上の「有志連合参加」に他ならないこと、第四に、アラビア海で日本国籍のタンカーが攻撃されるなど緊迫した事態がないなかでの派遣であること、第五に、派遣先がアラビア海全域とし、戦争の危険性が拡大することなど、いずれも従来の規範・憲法を超えた重大事と言わなければなりません。

今回の米・トランプ政権により作り出されたイラン危機に乗じ、ジブチ共和国の海上自衛隊基地を拠点とした中東・アラビア海への自衛隊派遣に、私たち八団体は、断固として反対するものです。ヨーロッパをはじめ世界の主要国では、イランとの緊張の激化は世界の大戦争に発展しかねないと危機感を持っており、まさに、「核戦争の危機」さえ内包した危険な派遣なのです。日本国憲法において、戦争放棄、武力の不保持、交戦権の否認を明示している日本が、米軍指揮下の戦争当事国となることは断じて許されません。

私たちは、アラビア海のいかなる地域へも、いかなる形での自衛隊派遣にも反対します。これらを無視して安倍政権が「中東派遣」を閣議決定したとき、私たちは断固として反対行動を展開するものです。

桐生悠々と言論の覚悟 週のはじめに考える

 戦前、藩閥政治家や官僚、軍部の横暴を痛烈に批判し続けた言論人、桐生悠々。その生きざまは、言論や報道に携わる私たちに、覚悟を問うています。

 桐生悠々は本紙を発行する中日新聞社の前身の一つ、新愛知新聞や、長野県の信濃毎日新聞などで編集、論説の総責任者である主筆を務めた、私たちの大先輩です。

 信毎時代の一九三三(昭和八)年、「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」と題した論説が在郷軍人会の怒りに触れ、信毎を追われます。

 その後、新愛知時代に住んでいた今の名古屋市守山区に戻った悠々は、三四(同九)年から個人誌「他山の石」の発行を始めます。

日米開戦は「無謀の極」

 悠々が亡くなったのは四一(同十六)年九月十日でした。その三カ月後、悠々が「無謀の極(きわみ)」とした米国との戦争が始まります。

 戦後、悠々が再び注目されるきっかけは五一(同二十六)年、信毎が紙齢二万五千号を記念し、悠々ら同紙で活躍した言論人を紹介した特別紙面でした。

 これを小説家で文芸評論家の正宗白鳥が読み、東京新聞(現在は中日新聞社が発行)に寄せた「人生如何(いか)に生くべきか」と題する随筆で、信毎の論説や「他山の石」などの悠々の言論活動を振り返りながら、こう評したのです。

 「彼はいかに生くべきか、いかに死すべきかを、身を以(も)つて考慮した世に稀(ま)れな人のやうに、私には感銘された。これに比べると、今日のさまざまな知識人の賢明なる所論も、たゞの遊戯文学のやうに思はれないでもない」

 それは、戦後間もない時期の知識人たちの言論活動が、悠々の覚悟に比べれば、いかに腰の据わっていない浅薄なものか、と正宗は問いたかったのでしょう。

 悠々の言論活動は海外にも視野を広げた豊富な知識に基づいて、過去の習慣や時流に流されない、開明的かつ激越なものでした。

言わねばならないこと

 まずは一二(大正元)年、明治天皇の死去に伴う陸軍大将、乃木希典の殉死に対してです。

 信毎主筆として書いた社説「陋習(ろうしゅう)打破論-乃木将軍の殉死」では「殉死もしくは自殺は、封建の遺習である」「野蛮の遺風である。此(こ)の如(ごと)き陋習は、一刻も早く之(これ)を打破せねばならぬ」と指摘しました。自刃をたたえるものが目立つ中、異色の社説です。

 新愛知時代の一八(同七)年に起きた米騒動では米価暴騰という政府の無策を新聞に責任転嫁し、騒動の報道を禁じた当時の寺内正毅内閣を厳しく批判します。

 悠々は新愛知社説「新聞紙の食糧攻め 起(た)てよ全国の新聞紙!」の筆を執り、内閣打倒、言論擁護運動の先頭に立ちます。批判はやがて全国に広がり、寺内内閣は総辞職に追い込まれました。

 そして信毎論説「関東防空大演習を嗤ふ」です。敵機を東京上空で迎え撃つ想定の無意味さを指摘したことは、日本全国が焦土と化した戦史をひもとけば正鵠(せいこく)を射たものですが、軍部の台頭著しい時代です。新聞社は圧力に抗しきれず、悠々は信州を離れます。

 それでも悠々は名古屋に拠点を移して言論活動を続けました。軍部や政権を厳しく批判する「他山の石」は当局からたびたび発禁や削除処分を受けながらも、亡くなる直前まで発行が続きました。

 悠々は「他山の石」に「言いたいこと」と「言わねばならないこと」は区別すべきだとして「言いたいことを言うのは、権利の行使」だが「言わねばならないことを言うのは、義務の履行」であり、「義務の履行は、多くの場合、犠牲を伴う」と書き残しています。

 悠々にとって一連の言論は、犠牲も覚悟の上で、言うべきことを言う義務の履行だったのです。

 正宗が言う「いかに生くべきか、いかに死すべきかを、身を以つて考慮した」悠々の命懸けの言論は戦争への流れの中では顧みられることはありませんでしたが、戦後再評価され、今では私たち言論、報道活動に携わる者にとって進むべき方向を指し示す、極北に輝く星のような存在です。

嵐に鳴く蟋蟀のように

 <蟋蟀(こおろぎ)は鳴き続けたり嵐の夜>

 悠々のこの句作が世に出た三五(昭和十)年は、昭和六年の満州事変、七年の五・一五事件、八年の国際連盟脱退と続く、きなくさい時代の真っただ中です。翌十一年には二・二六事件が起き、破滅的な戦争への道を突き進みます。

 もし今が再び<嵐の夜>であるならば、私たちの新聞は<蟋蟀>のように鳴き続けなければなりません。それは新聞にとって権利の行使ではなく、義務の履行です。

 来る十日は悠々の没後七十八年の命日です。大先輩を偲(しの)ぶとともに、業績や遺訓を思い起こし、私たち新聞のなすべきことを考え続けたいと思います。

北陸中日新聞9月8日朝刊社説

 

日本が壊れていく ─日韓関係をめぐって

2019年9月 1日

 2019年7月4日、日本は、貿易管理を理由に半導体材料の韓国向け輸出規制の強化に踏み切った。8月2日、政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置をとる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。8月28日には政令が施行され、韓国は「ホワイト国」から除外される。日本政府は、あくまでも貿易管理上の国内運用の見直しであるとしているが、優遇措置を受けるグループA(輸出管理優遇措置対象国)からはずれた旧ホワイト国は、韓国のみである。韓国をターゲットにした見直しとしか思えない。

 唐突な見直しは、2018年10月30日の日本企業に対して韓国人の元徴用工に賠償を命じる大法院判決の意趣返しではないのか。安倍首相は、「判決は日韓請求権協定に反しており国際法違反」と主張するが、サンフランシスコ講和条約の請求権放棄の条文に関して、日本政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの。個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償の義務はない」と主張していた。私は、「個人請求権は消滅しない」という日本政府の従来の主張から言えば、企業に対する賠償命令は当然と考える。大法院判決の「企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の賠償請求権は日韓請求権協定の適用外」とする判断は、人権の国際的潮流からすれば正当と判断されてしかるべきだ。

 河野外相は、韓国のナム・ガンビョ(南官)大使を眼前に、「極めて無礼だ」と罵った。このような振る舞いを、韓国国民はどの様に見たのか。そして世界はどう見たのか。「傲岸不遜」と言う言葉がこれほどしっくりくる行為もないだろう。韓国の除外でアジアからホワイト国が消えた。「我れは心に於て亞細亞東方の惡友を謝絶するものなり」とした脱亜論の言葉が浮かんでくる。ホワイト国からの韓国除外の意見公募は3万件を超え、その9割以上が賛成だったという。私の感覚からは理解不能だ。「暴支膺懲」「鬼畜米英」と憎悪をあおり「挙国一致」「尽忠報国」「堅忍持久」を強いた時代を思い出す。「表現の不自由展」を潰した河村名古屋市長の、韓国の彫刻家キム・ウンソン(金運成)とキム・ソギョン(金炅)の「少女像」(慰安婦像)に対する「日本国民の心を踏みにじる行為」との主張とだぶって、日本は壊れていく。
(藤本泰成)

                                                      7.23声明
マイナンバーカードの取得を強要する普及と利活用の促進方針を許さない!(国家・地方自治体職員に、任意である交付申請を強制するマイナンバー反対!)

共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会より無断転載

政府は2019年6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」を決定し、6月21日「骨太の方針2019」で閣議決定した。

この方針は、2022年中にほとんどの住民にマイナンバーカードを所持させようとしている。2016年1月から交付の始まったマイナンバーカードは、3年たっても13%の交付率(交付数約1656万枚、2019年4月1日現在)にとどまり、最近は日1万枚前後しか交付されていない。それを今後3年余りで1億枚以上交付申請させようとする無茶苦茶な方針である。

2015年10月にスタートしたマイナンバー制度は、2018年11月の内閣府の世論調査でも「マイナンバーカードを今後も取得する予定はない」53.0%、「マイナポータルを利用してみたいとは思わない」62.2%、「マイナンバー制度に特に期待することはない」39.8%だったように、政府の度々のPRやカード交付を無料にするなどの普及策を行っても、市民から見放されつつある。

それは私たちが指摘してきたように、マイナンバー制度が費用ばかりかかってメリットに乏しく、プライバシーや財産の侵害を拡大して国家による監視を強化する危険性が知られてきたためである。全国8か所で争われているマイナンバー違憲差止訴訟では、政府ですら保護措置がなければこれら危険性が生じ得ると認めてきた。そして裁判の中では、この保護措置が機能していない現実が明らかになりつつある。

ところが政府は反省もせず、マイナンバー制度が危険だという「誤解を払拭」する宣伝を集中的に行い、マイナンバーカードの取得を強要しようとしている。

政府の普及策の第1は、消費税増税対策としてのマイナンバーカードを使った「自治体ポイントによる消費活性化策」である。しかしこの自治体ポイントは、全国の自治体の1割以下しか実施していない。実証実験を行った市町村では制度が複雑で利用が広がらず、費用対効果に疑問が示されている。それにもかかわらず、2019年度中に全自治体を参加させようとしている。

普及策の第2は、「マイナンバーカードの健康保険証としての利用」である。しかし今後も保険証で受診でき、患者はマイナンバーカードを使う必要はない。医療機関はカード利用のための設備投資を強いられ、セキュリティ対策や窓口でのトラブルに悩まされる。保険者はマイナンバーカード普及の責任を押しつけられることに不安を抱いている。誰にもメリットはない。

普及策の第3は、マイナンバーカードの申請の押しつけである。役所に来たすべての住民をカードの申請窓口に誘導するとか、2019年度中に職員や家族にカードを取得させるとか、他の行政機関や企業、病院、店舗、自治会などに職員が出向いて申請を受ける等の「交付円滑化計画」の作成を市区町村に求めている。これらの無茶な普及策を強行すれば、職員をいくら増やしても足りず、申請が集中して交付が大幅に遅延した2016年交付開始時の二の舞いになる。

マイナンバーカードの取得は、あくまで本人の申請により任意である総務省も「取得を義務づけることは、本人の協力を強要することになり適当でない」と述べている。なぜ任意なのに、必要を感じない申請を強要されるのか。誰のため、何のためのマイナンバーカードなのか。

私たちは、政府がマイナンバーカード取得の押しつけを直ちに中止することを求める。自治体や保険者が、住民や職員、被保険者への取得強要に加担しないことを求める。市民のみなさん、マイナンバーカードの取得を拒否しよう。

                                                                                                                               2019年7月23日