勝利判決についての声明を発表

勝利判決についての声明を発表

声     明

本日、金沢地方裁判所は、志賀原子力発電所2号機運転差止請求事件について、北陸電力株式会社に対して運転を差し止めることを命じる判決を言い渡した。
 この裁判は、135名の原告が、志賀2号機を建設・運転することによって原告らの人が人としてふさわしく生きていくために保障されている権利としての人格権が侵害されるなどの理由で1999年8月に提訴したものであり、本日、原告の主張どおり「被告(北陸電力)は、志賀原子力発電所2号機を運転してはならない」(主文)という判決が下されたのである。
 わが国においては、JCO臨界事故(1999年9月)や美浜原発蒸気漏れ事故(2004年8月)において現実に多数の犠牲者を出しながら、原子力発電は国策であるとして、その開発に莫大な予算を投入している。そして、国外ではすでに放棄された使用済み核燃料の再処理政策を推進し、原子力発電を基幹電力とする計画が遂行されつつある。
被告北陸電力においても、珠洲原発立地計画の断念に象徴されるように、電力の需要が低迷し、電力自由化の時代を迎えようとする現代にありながら、住民の人格権を軽視し、市民の経済的犠牲を顧みず、必要性のない志賀2号機を建設・運転し、さらにはプルサーマルという未知の危険を冒そうとしている。
このような状況にあって、本日の判決は、裁判所が国民の権利利益を保護する最後の砦として、重要な役割りを発揮しうることをあらためて示すものであった。
 本日、裁判所は、原告らの請求を認めたが、その内容においても数々の高く評価されるべき判断を示している。現在の原子力発電所の耐震設計指針の基礎となっている松田式、金井式、大崎の方法のいずれについても問題性を強く指摘し、現在における地震に関する知見を真摯に取り入れた点、地震発生時には多重防護が機能しないことを認めた点、差し止めを命じても電力供給への支障が生じないことを認めた点、熊本県に居住する原告にも被害が及ぶことを明確に認めた点などである。本日の判決は、民事差止め訴訟において、わが国で初めて原子力発電の危険性を認めたにとどまらず、各地の係争中の同種の訴訟にも大きな影響を与えるという点においても画期的な意義を有するものである。
 私たち石川県平和運動センターとしても、この間、傍聴行動などで訴訟を支援するだけでなく、運転開始を阻止するために1昨年の9月、11月、12月と3回に分けて行なわれた初装荷燃料の搬入においては、いずれも監視・抗議行動を展開し、昨年4月の試運転開始前にも全県からの組合員が多数参加する中、抗議集会などを行なってきた。
今回の「2号機を運転してはならない」という判決を受け、北陸電力に対し、控訴の断念、2号機の運転中止を要求してとともに、今後とも差止め訴訟原告団はじめ全国の「原発はいらない」という多くの皆さんと連帯し、志賀原発の運転中止、廃炉まで全力で闘うことをここに表明する。

2006年3月24日

石川県平和運動センター

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