3月6日に開催が計画されていた、「止めよう辺野古新基地建設!辺野古裁判勝利!3.6首都圏集会」(共催:「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)は、諸般の事情により延期となりました。沖縄の今の状況を全国に伝えるために、山城議長の集会用発言メッセージをそのまま掲載します。
辺野古新基地建設反対3.6首都圏集会に寄せて
本日この教育会館大ホールに大結集をいただきました首都圏を中心とした全国の仲間のみなさん。今晩は。沖縄平和運動センターの山城です。
本来なら私自身も本集会に参加して、緊迫する辺野古情勢また強行される先島諸島への自衛隊基地建設問題について報告し、引き続き全国支援のお願いを申し上げるべきでありますが、諸般の事情で集会参加がかなわなくなりました。まずそのことをお詫びを申し上げますと共に主催者のご配慮で挨拶に代えてメッセージさせていただく機会を得ましたこと深く感謝申し上げます。
さて安倍内閣は遮二無二に辺野古新基地建設を進めるために、沖縄県に対し今月中にも埋め立て変更申請を行うという緊迫した局面で、首都圏の皆さんが時を違うことなく本集会を開催され辺野古新基地建設計画に反対する決意を新たにする場を設けた意義はまことに大きく、今後この熱が全国に波及し反対運動に大きな盛り上がりをつくってくれるものと期待しています。
すでに数多く指摘されているところではありますが、この辺野古新基地建設は大浦湾に広がる軟弱地盤問題をはじめ幾つもの重大な問題に突き当たっていと言われます。本集会案内書にも詳細報告されている通りであります。現地沖縄では辺野古新基地建設がいかに無謀で杜撰な計画であるかが連日のように報道されています。整理すると
①埋め立て予定地に広がるマヨネーズ状と言われる軟弱地盤の存在。
②世界でもかつて経験したことがないという海面下90mでの深海工事。
③大浦湾に群生するサンゴ移植問題
④先日政府が唐突に発表した全ての埋め立て土砂を県内調達で行うことに関する問題
などとなります。どれを取り上げても政府がこれまで十分な説明を行えないでいる難問であり、さらに埋め立て予定地のど真ん中に流れ出る美謝川(びじゃがわ)の水路変更問題について水利権を所轄する名護市との協議が今だに行われないまま棚上げにされていること。この件は野党多数の名護市議会の構成を変えない限り打開の糸口はないことなどです。
先の4項目については全て知事権限が行使される『埋め立て承認に関する変更申請』の対象となっており、玉城知事が圧倒的な県民世論を受けて政府の変更申請を受け付けないことが明白である以上、常識的に言えばもはやこの計画をこのまま続行することは不可能であり、政府は建設をすみやかに断念すべきなのです。辺野古の闘いは丸5年が経過しやがて6年になろうとしています。表向きは、辺野古でも安和や塩川港でも抗議行動が機動隊に排除されて政府主導で事が運んでいるように見えますが、如何ともし難い壁にぶち当たり、追い詰められているのは政府の方です。お集まりの皆さん。まずはそのことを確認しましょう。
その上で今後の私たちの運動について考えてみましょう。
悪辣極まりない安倍内閣のことです。間違いなく県知事に対し変更申請を行うでしょう。そして知事が応じないと見るや翁長知事が行った承認撤回の際に取った防衛省と国交省間での猿芝居で県知事権限を封じるか、あるいは政府の御用機関と化した福岡高裁那覇支部に訴え出て計画変更を正当化していくでしょう。
しかし変更申請に関する沖縄県とのやりとりの難しさは強権発動で押さえ込んだとしても、先に挙げた工事遂行に伴う技術的困難さは依然として解決されず残ることになります。
①②について。70mより深い海域での工事はできない。政府は70mまでの工事で可能と開き直っていますが、新潟大学の立石名誉教授はそれでは護岸は崩壊すると警告しています。
③世界遺産にも登録されようとする大浦湾のサンゴ群は、それが息づく条件が大浦湾に揃っているからそこに生息する訳でそこ以外に持って行きようがないし、そもそもあの巨大なサンゴ群を移植する技術などないのです。
④本来2000万立方メートルに及ぶ埋め立て土砂の大半は全国各地から搬入予定であったが、県条例に阻まれて全てを県内調達に変更するという。そうするとこれまで県内調達を全体の四分の一程度と見込んでいたことからすれば全ての搬入調達に関する条件を4倍にしなければならない。トラックや運送船舶の数、積出港、あるいは各地に際限なく広がる採石場で警備に当たる警備員や警察機動隊など単純に言えば全て4倍揃えなければならないことになる。今日、概算でチャーターされている運搬船や台船の数およそ20隻それが80隻に、トラックは1日当たりおよそ500台それを2000台に。動員される機動隊の数150人は600人に、という計算になる。すでに土建業界からすべてのトラックや資機材または人員を総動員しなければならないがそれは不可能だと漏れ伝わっている。
結論から言えばこの工事は技術的にも不可能なのです。それを強引に行おうとすればいたずらに工期が延びるだけです。全ての工事条件を変えないとすれば、単純に政府の予想する工期13年が52年に延びることになりそもそもそんな公共工事はあり得ないし、米軍も納得しないでしょう。
遅かれ早かれ政府はこの工事を断念しなくてはならないでしょう。
ただここで注意されなければならないのは、政府は自らは引かない。時の経過とともに自動的にそうなるものではない。政府はますます強引に迫ってくるはずです。
沖縄県政に対する圧力は翁長知事の最期を思えば想像絶するものがあると肝に銘じなければならず、またゲート前で立ちはだかる人々に対する警備弾圧も一層厳しさを増してくるでしょう。
この辺野古新基地建設を巡る政府との攻防いよいよ正念場に差し掛かる、そう認識し決意を固めあいましょう。
私ども沖縄平和運動センターを含め心ある多くの県民が政府の不当な介入・弾圧をはねのけて闘いに総立ち上がりするでしょう。
お集まりの首都圏の仲間の皆さん。手を携え連携してまいりましょう。
コロナウィルス対策にみる政府の危機感の欠如した後手後手の対応は、政治行政権力を一手に収め、その果実の全てを政権の延命と私利私欲にあてがう安倍政治の究極の姿を映し出したものと言わねばならず、このままこの政権が延命すれば、ますます悲惨な事態が待ち受けているだろうことは明らかであり、全国の団結でこの内閣を打ち倒して自らの運命を切り開く回路を取り返して行かなくてはなりません。
見境もなく大国中国との緊張を煽り地域の軍事化、軍事基地建設に余念のない日本政府安倍内閣を打倒して、不信と緊張が支配する沖縄先島諸島海域の平和を取り返す闘いが、脈々と全国の闘いと繋がっていることを感じながら、常駐する先島諸島宮古島からのメッセージとさせていただきます。首都圏の皆さん。全国の仲間の皆さん。共に手を取り合い闘って参りましょう!
2020年3月6日
沖縄平和運動センター議長 山城博治