安倍元首相の「国葬」に反対し、撤回をもとめる決議

安倍元首相の「国葬」に反対し、撤回をもとめる決議(案)

 7月21日、岸田内閣は、安倍元首相の「国葬」を閣議決定しました。以来、日増しに国民の反対の声が高まり、各社報道機関による世論調査では、いずれも過半数を大きく上回る反対の意思が示されています。また国会前や地方各地でも「国葬」に反対する市民の行動が拡大しています。私たちは、民意に背いて「国葬」を強行することはあってはならないと考えます。

 以下の理由から、安倍元首相の「国葬」に反対し、その撤回を求めます。

1.国葬は、日本においては戦前の国葬令を起源とするが、1947年12月31日に失効して以来、憲法上も法律上も根拠となる規定はない。戦後まもなく、閣議決定で行った吉田茂首相の「国葬」は、社会的なコンセンサスがないまま強行されたが、以後、国葬ははばかられ、実施されていない。

2.今回の閣議決定による「国葬」の実施の根拠を内閣府設置法に求めることは、恣意的拡大解釈である。

3.そもそも、日本における国葬とは、大日本帝国憲法下で国家総動員による戦時体制を遂行するために、戦争指導者の神格化に利用されたものである。特定政治家の国葬は、その業績への議論を封じ、賛美を強要し、国民を無批判に国家統合しようとするものとなる。国民主権の日本国憲法の精神に反し、内心の自由など基本的人権をも侵すことは明らかである。憲法も法律も「国葬」を想定していないのは、道理である。

4.安倍政権は、教育基本法の「改正」、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、共謀罪法など、憲法が規定する平和主義や基本的人権に反する法制度を、多くの反対を押し切って成立させた。これらは、立憲主義の破壊として、広範な国民の批判を招いた。また、教科書採択や放送番組への介入をはじめ、教育、メディアの独立性を侵してきた。そればかりではなく、森友学園や加計学園、桜を見る会などの政治の私物化は、公務員の尊い命を失わせながら、説明責任は放棄された。「国葬」により「民主主義の重要性を改めて国民とともに確認する」とは、著しい論理破綻である。憲法の破壊者が賞賛の対象になってはならない。道義の破綻した「国葬」に国民の血税を注ぎ込むことも許されない。子どもたちへの弔意の強要もあってはならない。

5.岸田首相は参院選後に「早期に改憲発議を」と表明しており、「国葬」が、「改憲は安倍氏の遺志」とする社会的空気を醸し出す政治利用となる恐れにも警鐘を鳴らすものである。

6.安倍元首相の銃撃事件は、旧統一教会との癒着という戦後自民党政治の暗部を次々と浮かび上がらせている。今行うべきは安倍氏の「国葬」ではなく、その実態解明であり、政教分離原則の徹底である。

以上、安倍元首相の「国葬」に反対し、その撤回を求めて決議します。

 

2022年9月10日

憲法改悪NO!市民アクション・いしかわ

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