NPT延期に係る「市民社会から核不拡散条約(NPT)締約国への共同声明」

市民社会から核不拡散条約(NPT)締約国への共同声明*
2022 年 1 月 10 日
世界が COVID-19 感染拡大に取り組み続ける中、私たち全員を脅かす他の地球規模の課
題、たとえば、悪化する地球規模の気候危機や壊滅的な核戦争の脅威を見失うわけにはい
きません。これらはすべて、コフィー・アナン前国連事務総長の言葉を借りれば、「パス
ポートのない問題」なのです。
このパンデミックによる世界的危機の規模は、複数の政治的失敗によるものです。政府
やその他の関係者は、国境を越えた脅威や、その影響を防止・軽減するために必要な措置
について、世界中の科学者が発した警告を何度も無視し、退けてきました。私たちは今、
動きの速いコロナウイルスや気候危機との闘いにおいて極めて重要な地点にいるだけでな
く、核戦争の脅威を減らし核兵器を廃絶するための長期にわたる努力においても転換点に
立っています。
世界の核保有国間の緊張は高まり、核使用のリスクは増大し、核兵器の更新や改良に何
十億ドルもが費やされ、核軍縮の進展は停滞し、核競争を抑制してきた重要な協定も深刻
な危機にさらされています。
これらの世界的危機から学ぶべき多くの教訓の一つは、人間よりも利益を優先し、最も
強力な者を優遇する見せかけの「国家安全保障」政策を口実に、科学を無視してはならな
い、ということです。
米国による広島と長崎への恐ろしい原爆投下から 75 年以上が経過し、核不拡散条約
(NPT)の締約国が条約の無期限延長につながる一連の決定を採択してから 25 年以上が
経過しています。このような背景から、この声明を支持する市民社会団体は、NPT 締約国に対して以下の 3 つの重要なメッセージを提唱します。

1. NPT に対する世界の支持は強い。しかし、NPT が長期的に存続できる保証はない。
各国が NPT への支持を改めて表明していることは心強いことです。しかし条約は、そ
れが履行されてこそ強固なものとなります。コンセンサスに基づく NPT 再検討会議の決
定が履行されない状態が長く続けば続くほど、条約とその義務の重みは薄れていくことで
しょう。NPT の長期的な存続のためには、すべての国がその義務を完全に履行しなければなりません。過去の NPT 再検討会議の公約と行動措置は、依然として有効です。これには、歴史的な 1995 年の再検討・延長会議で合意されたベンチマークや、2000 年と 2010 年の再検討会議でなされたさらなる公約が含まれます。それ以来、核軍縮プロセスは停滞しており、NPT 上の核兵器国 5 カ国は、NPT 第 6 条の義務を果たしていると信頼できる形で主張することができません。

2. 世界情勢の深刻な状況、核紛争と軍拡競争のリスクの高まりは、責任ある国家による新たな大胆なリーダーシップを求めている。
過去の行動計画を履行することは、NPT の規定を前進させるための土台であって、天井であってはなりません。核兵器使用のリスクはあまりにも高く、特に攻撃的なサイバー作戦や人工知能が世界の安全保障環境に前例のない不確実性をもたらしていることから、増* 原文および賛同団体数・団体名は、Reaching Critical Will 参照。
https://www.reachingcriticalwill.org/disarmament-fora/npt/20221
大しています。新たな安全保障上の同盟関係は、核不拡散保障措置体制にかつてない脅威
をもたらし、地域的な軍拡競争へとエスカレートしています。このような環境だからこそ、すべての国が核兵器廃絶による核リスク削減のために大胆な行動を取ることが求められます。この行動は「あらゆる核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の結末に対する深い懸念」に根差したものです。多くの国が、現在発効している核兵器禁止条約(TPNW)に加わり、核軍縮に取り組む姿勢を示しています。TPNW は、核戦争の脅威をなくし、核兵器を廃絶するという共通の目標に大きく貢献するものです。

3. 変化に抵抗する人々はさらなる前進のために適切な「環境」ではないと言うが、責任ある行動者はいたるところでこの挑戦に起ち上がっている。
世界は、軍縮のための環境が「整う」まで待つことはできません。紛争予防と解決、非
核軍事力の管理、人権の保護、気候や環境の保護、その他の重要な取り組みにおいて成功
すれば、核軍縮を促進することになるのは事実です。しかし、協定交渉や単独行動によっ
て軍縮のために行動することは、核兵器のない世界を実現するための環境を整えると同時
に、世界の他の緊急の課題の解決に積極的に貢献する相互信頼の環境を構築することにつ
ながります。
第 10 回 NPT 再検討会議は、現在の軌道を修正し、加速する軍拡競争を減速・反転させ、核拡散を防止し、核兵器の終焉をもたらすための努力を集中する重要な機会を提供するものです。
以下に署名した 91 団体は、NPT 締約国および国際社会に対し、新たな大胆なリーダー
シップを発揮するよう求めます。私たちは、すべての NPT 締約国に対し、根深い政治的
対立を超えて、NPT 第 6 条の目標を前進させ、軍縮の更なる進展のために必要なモメンタムを創出し、核戦争の惨事から人類を救うための行動計画に対する多数の支持を構築するために協働することを求めます。
NPT 再検討会議において核軍縮と不拡散を前進させるために締約国が検討すべきより詳
細な分析と勧告は、この要請書の賛同団体リストの後に記載されています。
賛同団体(一覧)
(91 団体、略)

カテゴリー: トピックス, 全国・中央・北信越, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染) パーマリンク

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