衆議院選挙後、第2次岸田政権が発足し、始動しています。
岸田首相は、就任直後の演説で「被爆地広島出身の首相として、『核兵器のない世界』に向け、全力を尽くす」と表明しました。
しかし、2021年1月に発効した核兵器禁止条約に対しては、後ろ向きの姿勢を示したままと言わざるを得ません。「核兵器保有国が参加していない条約は実効性がない」「あくまで核保有国と非保有国をつなげる役割を日本がどう果たしていくかを議論した結果」として、条約への批准・署名を拒んでいます。さらに、2022年3月に開催される核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加についても後ろ向きの姿勢で、現在、参加そのものを見送っています。
世界で唯一の戦争被爆国であり、被爆地広島から選出され、岸田首相本人も核軍縮を「ライフワーク」と公言しているにも関わらず、これら核兵器廃絶に向けた世界的な動きに関わろうとしないことは、その本気度が疑われます。また、この間、日本政府は、核保有国と非保有国とを繋ぐ橋渡しの役割を果たすと表明していますが、そのとりくみが、前進しているようには見えません。核の傘に守られながら、核兵器廃絶を訴えても、おのずと限界があります。2022年1月には、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催されます。NPT再検討会議で、日本がどのような役割を果たそうとしているのか、未だに明らかにされていません。
岸田首相は、核軍縮に向けて、これまでにない大胆な動きを見せ、核軍縮をリードすることが、被爆地広島から選出された首相の役割のはずです。本日・11月15日、中満泉・国際連合事務次長兼軍縮担当上級代表と会談し、「核兵器のない世界」に向け国際社会を牽引していく決意を示しましたが、その内実がまさに問われています。
「核兵器廃絶」は、被爆者の長年の願いです。被爆者は高齢化し、残された時間は長くはありません。岸田首相は、被爆者の願いを歴代の首相より数多く聞いてきたはずであり、核兵器禁止条約採択時の外務大臣であり、米国オバマ元大統領の広島訪問実現に尽力されたことなどを考えれば、核兵器廃絶に、特に責任があるはずです。
原水禁は、核兵器廃絶に向けて、改めて岸田首相に早期の核兵器廃絶実現への決意と具体的行動を強く求めます。歴代の首相と同じ対応ではなく、被爆地選出の首相として、核兵器廃絶に向けたイニシアチブをとると同時に、核兵器禁止条約への批准・署名、および核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を強く求めます。
2021年11月15日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成