「検察庁法改正案」に対する平和フォーラム事務局長見解

2020年5月13日

 

「検察庁法改正案」に対する平和フォーラム事務局長見解

 

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

政府・与党は5月8日、野党の反対を押し切り、衆議院内閣委員会での「検察庁法改正案」審議を強行しました。新型コロナウイルス感染症問題によって、市民のいのちと生活が大きく脅かされるなかにあって、まさに「不要・不急」と言うべき法案を、こうまでしておしすすめなくてはならないのでしょうか。

そもそも、この「検察庁法改正案」の主な内容は、検察官の定年を63歳から65歳に延長するだけではなく、内閣や法務大臣の裁量で「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」とされた場合、さらに3年その職に据え置くことができるようにするものです。このことによって内閣による検察人事への介入が大きく強化され、準司法官としての検察の独立性が揺らぐおそれがあります。憲法の基本原則である三権分立を毀損することにつながるこの法改「正」は、けっして許されるものではありません。

この法改「正」強行の背景には、今年1月31日、検察庁法違反を指摘する声を無視して、定年退官予定だった黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことがあると考えます。安倍政権に極めて近いとされる人物を恣意的かつ違法に重要ポストに据え続けることを、事後的に正当化するような法改「正」には一片の正義性もないばかりか、法治国家としての原則を破壊する行為と言わざるを得ません。

こうした動きに対し、多くの市民が反対の声を上げています。外出し集会を行うことが困難ななか、インターネット上、とりわけtwitterのハッシュタグ「 #検察庁法改正案に抗議します 」を活用した抗議の意思表示が、これまでにのべ数百万にも膨れ上がるなど、これまで日本社会ではみられなかった市民の活動が行われています。この大きなうねりのなかで「戦争をさせない1000人委員会」も参画する「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」は「東京高検黒川検事長の定年延長に関する閣議決定撤回と黒川氏の辞職を求める賛同署名」のオンライン署名を呼びかけ、32万以上(5月12日現在)の賛同を得るなど、抗議の声が大きく拡がっています。

しかし、政府・与党はこうした反対の世論をいっさい顧みることなく、この法案強行の姿勢を取り続けています。今週中にも衆院を通過させることを目論んでいるとも報道されています。このような不誠実を許すことはできません。

私たち平和フォーラムは、何らの緊急性もないだけではなく、上記のような問題性が指摘される「検察庁法改正案」について反対します。また、問題の発端である黒川弘務・東京高検検事長の定年延長の閣議決定の撤回を、あらためて求めます。そしてこの問題を、この間一貫して世論を踏みにじってきた安倍政権の体質に根差したものとして捉え、安倍政権の退陣を実現するため、今後も全力を尽くして取り組みを進めていきます。

 

以 上

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