6.6 臨界事故隠し20周年「志賀原発を廃炉に!」北電本社申し入れ

2019年6月6日

申 入 書

北陸電力株式会社 社長  金井 豊 様

さよなら!志賀原発ネットワーク

志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団

命のネットワーク

石川県平和運動センター

富山県平和運動センター

今から20年前の1999年6月18日、定期検査で停止中の志賀原発で3本の制御棒が抜け落ち原子炉が臨界に達するという臨界事故が起きました。緊急停止に失敗し原子炉を直ちに停止させることができず臨界が15分間継続、止まっているはずの原発が急に動き出して、すぐには止められなかったという事故です。原子炉の制御に失敗したチェルノブイリと同じタイプの事故で、臨界が15分で収束しなければ、あわや核惨事になるところでした。3.11福島事故の前に、能登で原発過酷事故が起きていたかもしれなかったのです。

原子炉設置許可の際、安全審査で想定されているのは制御棒1本の落下だけですが、この事故では3本の制御棒が落下したのです。つまり安全審査の想定がまったく不十分で、安全審査に通っても『「止める」・「冷やす」・「閉じ込める」という重大事故防止策の第一歩の「止める」に失敗することがあり得る』ことが実証されたわけです。

ところが北陸電力は運転日誌を改ざんし、この事故を隠蔽してしまいました。臨界事故を隠蔽したまま志賀原発2号機の建設が同年8月に開始され、事故と隠蔽の事実が明らかになったのは8年後の2007年3月15日、2号機の営業運転開始1年後のことでした。もし臨界事故が発生後直ちに公表されていたら、2号機の建設は困難だったでしょう。

隠蔽されていた臨界事故が明らかになり、事故の重大性に加え、隠蔽が長期間に及んだその悪質さ、しかもその事実を国が把握していなかったことに、地元住民だけでなく多くの市民がたいへんショックを受けました。この事故は全国的にも大きく報道され、志賀原発の名は全国に知れ渡ることになりました。臨界事故隠蔽が発覚した後、当時の原子力・安全保安院は事故の重大性にかんがみ、直ちに志賀1号機の停止措置をとり原因調査・再発防止策の策定を指示しました。この時点で設置許可が取り消されてもおかしくはありませんでした。この時、北陸電力は原発から撤退の決断をするべきだったし、それが最も確実な再発防止策でした。

臨界事故の発覚後、明らかになった沸騰水型原発の制御棒の構造的欠陥は、結局、何ら改良されておらず、手順の確認を強化するなどソフト面の対応がとられただけで抜本的な再発防止対策はありません。ところが北陸電力は「隠さない企業風土と安全文化の構築」とか、「法令・ルールを遵守し、絶対に隠さない、新しい北陸電力を創り上げる」などと事故を隠蔽したことが問題だったかのように臨界事故の重大性を矮小化してしまいました。しかしその後も相変わらず事故・トラブルは繰り返されています。その原因は一体どこにあるのでしょうか。また、“絶対に隠さない”企業になっているでしょうか。事故・トラブルの度に不都合な情報は隠されて、“安全文化の構築”も掛け声に過ぎないことが明らかではないでしょうか。

2011年3月11日の東日本大震災以降、志賀原発は1号機、2号機ともに停止したまま8年以上になりますが、電力供給には問題は生じていません。一方、北陸電力はこの間終始一貫して「志賀原発の早期再稼働を目指す」として、2014年8月には2号機の新規制基準への適合性審査(安全審査)を申請しました。しかし審査は進捗せず再稼働の目処は立たない状況です。

一方、原子炉は停止していても原子炉建屋への雨水流入、大雨によるモニタリング・ポスト床上浸水、あるいは運転開始以来一度も点検していなかった換気装置の損傷が発見されるなど、次から次へと事故・トラブルが繰り返されています。事故を想定した原子力規制委員会との訓練で最低評価を受けていた事実が数ヵ月後に明らかになったこともありました。停止中でもゆるがせにはできない安全管理体制に緩みが生じているのではないかと危惧される状況です。「安全文化の構築」には程遠い志賀原発の実態に、私たちは不安を感じています。

いま原子炉内の核燃料はすべて使用済み核燃料プールに移されており臨界事故が起きる可能性はありませんが、直下に活断層があると指摘されている原子炉建屋の使用済み核燃料プールに使用済み、使用中に加え新燃料まですべての核燃料が入っています。その総数は1号機と2号機あわせて2985体、うち使用済み核燃料は872体あり、もしプールが冷却できない状況になればたいへん危険です。しかも沸騰水型原発では原子炉建屋の最上階に蓋のない燃料プールがありテロ攻撃には非常に脆弱であり、停止していても核燃料が存在すること自体が大きなリスクとなっています。

20年前の臨界事故で明らかになったのは、北陸電力の安全軽視と隠蔽体質、それ加えて原発の運転管理に関する技術的能力の欠如であったと、私たちは考えています。残念ながらこの状況は改善されておらず、むしろ長期間停止による運転員の士気の低下など新たな問題も生じています。

何よりも深刻な問題は、敷地内の活断層の存在です。その活動性が否定できない以上、志賀原発の再稼働などあり得ません。臨界事故を忘れフクシマから何も学ぼうとしない北陸電力に、原発運転の資格はありません。臨界事故隠蔽の発覚後、「経営トップからの『安全最優先』の強力な意思表明」ということが謳われていましたが、活断層問題に『安全最優先』で対応するなら、当然、志賀原発は廃炉の選択をするべきです。

電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、これ以上危険にさらされることのないよう、臨界事故から20年のいま、あらためて「北陸電力に原発運転の資格なし!」と訴えるとともに志賀原発の速やかな廃炉を求め、以下、申し入れます。

【 申入れ事項 】

1.『臨界事故から20年』の節目にあたり「原発は停止中であっても過酷事故に至る危険性がある」という臨界事故の教訓を踏まえ、改めての総点検作業を行い「安全文化の構築」、「隠さない企業風土づくり」がいまだに達成できていない原因と今後の対策を明らかにすること。

回答:日々、安全を追及し体制を整えている。毎年、6月をコンプライアンス月間として最大限、追い求めている。臨界事故は深刻な事故だったと受け止めている。隠ぺい体質といわれても仕方なかった。そこで臨界事故を風化させないよう再発防止対策にずっと取り組んでいる。臨界事故を起こした6月をこコンプライアンス月間として、幅広くコンプライアンスに係わる社会の問題について社員間で討議する機会を設けている。2017年は臨界事故が発覚して10年ということで全社員で何があったかを共有している。ただ、安全文化は直ちには確立できない。日々努力している。

反論:努力を重ねていると言っても結果的には2016年9月の雨水流入事故発生や活断層問題への対応などを見ても「隠さない風土」や「安全文化」は口先だけだということが一目瞭然。活断層問題でも安全優先の姿勢は全く見えず、はじめに再稼働ありきである。にもかかわらず日々努力を重ねているから認めてくださという。こういう企業がいま現在も2985体の使用済み核燃料など多くの核物質を扱っている。
コンプライアンスについても、この申し入れ行動に参加した市民の顔写真を北電社員が無断で撮影していることが参加者から指摘された。コンプライアンス月間を設けていると言ってもやってることはコンプライアンスの欠如。指摘されるまで自覚すらない。

2.臨界事故隠蔽の発覚後に示された『安全最優先』の方針を、改めて経営トップが表明すること。

回答:ご意見として拝聴します。久和前社長、金井社長も様々な場面で安全最優先を表明している。

反論:それが社内的に全く浸透していない。むしろ社長自ら再稼働最優先の発言を繰り返している。

3.とくに、敷地内断層の問題について『安全最優先』の方針で対応すること。すなわち、専門家の間で活動性についての評価が分かれる場合は、安全側に立って「活断層である」と判断すること。

回答:見解の相違   我々は「活断層」と見ていない。

反論:まずは有識者会合の評価書が「重要な知見」であると認め、安全最優先の対応を実践すること。再稼働に都合の悪い真実から目をそらす姿勢ばかりが目に映る。

4.敷地内断層の活動性が否定できるまでの間、断層上にある原子炉建屋から核燃料を撤去し、より危険性の少ない場所で保管すること。

回答:見解の相違  ご意見として拝聴します。

反論:まさに安全意識の欠如。活断層であることを否定できないうちは「推定活断層」として核燃料の撤去など行い、少しでも住民の安全性を高めるための取り組みがあってこそ、「安全文化」ではないか。

5.廃炉後の核燃料の取扱いについて検討を開始するとともに、核燃料が存在する限りは核燃料プールへのテロ攻撃の可能性があることを想定して、「特定重大事故等対処施設」(いわゆるテロ対策施設)の準備を早急に進めること。

回答:鋭意、検討中。

反論:核物質を保管している限り、テロのリスクは常に付きまとう。加えて活断層上にある建屋の燃料プールの中に核物質がある。臨界事故など「特定重大事故等対処施設」は待ったなしである。しかし、現実時点で具体的な計画はなく、予算額も不明。新規制基準適合のための安全対策費を1千億円台と述べてきたが、その中にも含まれていない。この特重施設の建設には数百億円、場合によっては1千億円を超えるケースもあるという。安全対策費がさらに経営を圧迫することが明らかになった。

やり取りでは、活断層であると認定されたのだから「安全側」で対応し、「廃炉」にすべき。「蛍光灯が切れても報告する風土づくり」をやってきたが、2016年、雨水事件を起こし「全電源喪失の危機」一歩手前であったのに、それを9日間、隠蔽した。その後の金井社長の「ちょっとした気の弛みがあった」発言にこそ、「安全第一」を放棄した姿勢がみえる。それが「再稼働第一」しか言わない北陸電力の根本問題である。

一方、申し入れ団を勝手に、前から撮る北陸電力社員に抗議した。 これらの「ゆるい」認識があるから、私たちは北電本社まで「廃炉を申し入れ」に来ていることを分かるべきだ、と追及した。

北野 進原告団団長ブログより無断転載部分あり。m(_ _)m

 

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 反核・脱原発, 志賀原発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染) パーマリンク

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