ヤバすぎる緊急事態条項で、より高まったファシズムへの危険性!

ほとんどの日本人が気づいていない!! 自民党改憲4項目の #ヤバすぎる緊急事態条項で、より高まったファシズムへの危険性!安倍総理は臨時国会の所信表明で改憲への強い執念を表明!全国民必見必読の岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー 2018.10.30

 (文・IWJ編集部)

 改憲発議が迫っている。

10月24日に臨時国会が召集され、安倍総理は所信表明演説において、憲法改定について「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていく」と述べ「国会議員の責任を果たそう」と呼びかけるなど、自民党案をもとにした今国会での改憲論議とその発議に強い執念を見せた。

ほとんどのメディア、知識人、野党も、改憲発議が目前に迫っていること、しかもその中に民主主義を瞬殺してファシズムを一夜にして実現することができる緊急事態条項が含まれていることに対して、呆れるくらいに警戒心が足りない。本来なら最大限の警戒、抗議、反対、自民案の撤回と破棄を求める発言と行動がおこなわれてしかるべきだ。

さかのぼること今から7か月前、2018年3月25日、自民党大会において、「9条への自衛隊明記」、「緊急事態条項創設」、「参院選『合区』解消」、「教育の充実」の4項目からなる「改憲たたき台素案」が条文の形で発表された。

前年の2017年5月3日の憲法記念日に、改憲派の集会に送ったビデオメッセージの中で、安倍総理が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と発言して以来、党内の改憲への動きは一気に加速。同年2017年12月20日には、自民党憲法改正推進本部が「憲法改正に関する論点取りまとめ」として、この「改憲4項目」を掲げていた。

安倍総理の設定した「2020年施行」に向けて、早ければこの臨時国会中に、いよいよ改憲の国会発議に踏み切るつもりと思われる。

法整備で十分対応可能なはずのダミー項目であることは丸見えの「参院選『合区』解消」と「教育の充実」についてはさておき、改憲に反対する人々の関心は、いつものように「9条への自衛隊明記」に集まった。実際、9条が改悪されれば、集団的自衛権を際限なく認めることにつながりかねない危険な憲法改悪となり、何より安倍総理がそればかりを口にしてきたのであるから、世の注目を集めるのは当然といえる。

ところが、大災害や外国武力攻撃などの「緊急事態」を名目に内閣に強大な権力を付与するものとして、激しい非難を巻き起こしていた「緊急事態条項創設」については、今回もまた、なぜか話題にも上らない。今年の憲法記念日ですら、どこの集会でもメインに取り上げなかった。野党もマスメディアも、労組も、知識人も、一般の市民も、反応がきわめて鈍い。

考えられる理由は、一つある。「緊急事態条項」新案は、2012年に発表された自民党憲法改正草案のあの居丈高なトーンとは打って変わって、一見すると大変「おとなしい」文面に変わっており、警戒心が解かれてしまったのではないか。

「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」「法律と同一の効力を有する政令」「(国の指示に)何人も従わなければならない」「(地方自治体に内閣は)指示できる」といった、戦争やナチ独裁を彷彿させるあの強権的な文言は条文案の表面上から消え去り、かわって「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる」といたって簡潔にまとめられている。言葉遣いも平易である。猛々しさは伝わりにくい。

そのうえ、旧案では緊急事態条項専用に「98条・99条」を新設し、憲法の一大要素のように位置づけていたものを、このたびは、内閣の事務を定める73条と国会の章の末尾にあたる64条という離れた二つの条文の、それも各々の追加項目として添えるという、ちょっとした微修正のようにも見えるのである。

この「改憲4項目」を目にした人の中には、「危険性はひとまず取り去られた」と安堵する人も少なくなかったであろう。そうした人々は、こう思ったかもしれない。「安倍自民党が国民の非難の声に珍しく耳を傾け、独裁を可能にするような条文の書き込みを諦めたのかもしれない、ひとまずは放っておいていいだろう」と。

だが、国民を安心させるその柔らかい文面も、永井幸寿弁護士の目は誤魔化せはしなかった。永井弁護士は災害問題のエキスパートで、自らも阪神・淡路大震災の被災者として災害の現場を熟知している。そして、災害をダシにした自民党「緊急事態条項」創設の欺瞞をいち早く見抜き、最も早くからこの条項の危険性に警鐘を鳴らしてきた人物である。そんな永井弁護士が、「これは大変だ、みんな気がつかないが、旧案よりはるかに危険になっている!IWJで話させてくれ!!」と、血相を変えて岩上安身に直接訴えてきたのが、今回のインタビュー実現のきっかけだった。

▲永井幸寿 弁護士(2018年5月21日、IWJ撮影)

「法律に明るくない人々を騙すのに、実によくできている」と永井氏が「関心」するこの新「緊急事態条項」のトリックとは!? そのトリックの先に待ち構えるディストピアとは!? 被災者に寄り添うために、法の専門家ができることは何かをひたむきに考え、模索してきた永井弁護士の、人間味あふれる、だが鋭い分析力が光るインタビュー!ぜひ、すべての日本人に読んでもらいたいと願う。

今、起きつつあることは、例外なくすべての日本人の身にふりかかることなのである。どんなに政治的に無関心であろうと、どれほど安倍政権の支持者や信者であろうと、どんなに日米同盟機軸というイデオロギーの盲目的信者であろうと、日本が軍事ファシズム国家となり(これは事実上のクーデターに等しい。緊急事態条項は、クーデターを合憲化・合法化するための条項)、米中覇権交代の戦争の道具として日本が巻き込まれてゆくのを阻止しなければ、すべての日本人が多大な犠牲を強いられる。


岩上安身(以下「岩上」)「皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。

本日お届けするのは、あまりに危険でかつ緊急性・公共性の高い話題です。できることならみんなに見ていただいて、みんなに伝えていっていただかなければならない、それほどまでに重要なことがらでありながら、どこも報じていないし、まともに論じられてもいません。

タイトルは『いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!?』。中年以上の方なら覚えておられるとおもいますが、『少し愛して、長ーく愛して』というあのサントリーのCMじゃないですけれども、『いつでも独裁可能、いつまでーも独裁可能』という、独裁者にとってはさぞ甘ったるーい、甘い蜜の味なんでしょうね。『憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まってしまった自民党新改憲案の緊急事態条項』です。

この問題に関しましては、やはり、真っ先にこの問題に注目し、危険性を指摘してこられた永井幸寿(こうじゅ)弁護士。永井先生にお話をうかがってまいりたいと思います。永井先生、よろしくお願いします。

永井幸寿氏(以下「永井」)「よろしくお願いします」

岩上「永井先生と言えば、2012年に自民党憲法改正案が発表された後、どの段階でしたか、その時以来お世話になっています」

永井「そうでした。はい」

岩上「この緊急事態条項について、本当に詳しくていらっしゃる。日弁連の災害復興支援委員会(※2)の委員長を務められたりと、災害の問題に長く取り組んでこられたわけですが、災害の現場を知ってるからこそ、災害をダシに緊急事態条項を入れるというのは間違っている、本当におかしい、と指摘してこられました。

先生の場合、安全保障とか安保法制とか、そうした話から入っていったのではなくて、災害の問題からこの欺瞞性に気づいて警鐘を鳴らす。何て言うか、アプローチが本当にピュアなんですよね」

永井「そうですか?(笑)」

岩上「このたび、自民党の改憲新草案が4項目出てまいりました。でも、それについて、メディア上でもほとんど議論がありません。ご当人の安倍さんも議論しませんし、政界でも議会でも、どこもやりません。テレビ、新聞、報道、その他一切やってないと言ってもいいと思います」

永井「はい」

岩上「わざとやらない、というのもあると思うんですよ。私は間違いなくそうだと思っていますが、なるべく国民に警戒心を抱かせない内に、準備を整えてやってしまおうという。麻生さんが言っていた通り、『静かにやろうぜ』(※3)というステルス作戦を実行しているんだとも言えると思います。で、憲法9条だけを語っておく。

9条だけは、皆食いついて来ますからね、左派も9条しか反応しない。平和団体も市民運動も知識人も。その中に緊急事態条項をそっと紛れ込ませておくというか。

結局、あんなにたくさんの自民党改憲草案を作っても、その中で一番大事だったのは緊急事態条項だけなんです。そして、それはステルスで、シーンと進んでいく。わざと隠してるというのはもう見え見えです。9条はもはやダミーです。フィッシングルアーのダミーですよね。

本命は緊急事態条項。これで一挙に独裁可能。ただ、みんなあまり騒がない。皆の関心がいまひとつだというのは、この危険性がわからないからですよ。というのも、今回の新しい緊急事態条項、前の自民党憲法案よりも、何か、スッキリしちゃってるんですよね。

つまり、怖いことがいろいろ書かれてたのが切り落とされていて、すごくシンプルな文面になってるから、何か『あれ?後退したのかな?』と、こういう印象持ってるんですね。私も実は、『これは一体どう解釈したらいいのかな?どこかで誰かに聞いてみよう』と思いながら後回しにしていた。

そこへ永井先生から電話がかかって来まして。『IWJで喋らせろ』『これは大変な事だ』と。どう大変なんでしょう?」

永井「滅茶苦茶危険になりました。にも関わらず、危険が収まったように皆さん勘違いしている。憲法記念日にさえ議論になってないんですよね。これはもの凄く大変な事です。メディアも取り上げない。だからもう、私は岩上さんに電話するしかなかったんですよ」(続く)

(「岩上安身のIWJ特報!」第396号より抜粋)全文は以下からご購読を!


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