3.17「共謀罪」新設法案の国会提出断念を求める共同声明

安倍内閣は、「共謀罪」を意味する「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正法案を閣議決定し、今通常国会に提出する方針と伝えられています。私たち戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体は、以下に述べるように、この法律改正は国民の基本的人権を著しく侵害する怖れがあり、違憲立法となることから、法案の閣議決定並びに国会提出を断念するよう強く求めるものです。

政府与党は、この間の議論の中で、罪名を「共謀罪」から「テロ等準備罪」に変更し、対象となる犯罪を当初の676から277に絞り込みました。そして、捜査、処罰の対象は、テロ集団や暴力団であって、一般市民を対象とすることはないと説明してきました。しかしながら、組織的犯罪集団とは、定まったものではなく、市民団体もその活動によっては、組織的犯罪集団と定義づけられるとされ、その判断は捜査当局の恣意に委ねられるものです。また、絞り込まれた277の犯罪には、組織的威力妨害罪、背任、所得税法、法人税に関わるものなど一般市民が犯し得る犯罪が含まれていることや、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法を加えていることなどから、沖縄をはじめ全国の米軍基地に反対する市民運動が処罰の対象となることが十分に想定されます。従って、「テロ等準備罪」が一般市民に及ばないとの保証はありません。

そもそも、政府与党が「共謀罪」新設の根拠にしてきた国連越境組織犯罪防止条約は、マフィアによる麻薬取引といった国際的に越境する経済犯罪を準備の段階から処罰できるための国際条約であり、条約加盟は、それぞれの国内法規範の枠内での法整備で可能です。これをもって、「共謀罪」の必要性やテロ対策の拠り所にすることはできません。さらには、日本の刑法には、既に72の例外的な陰謀罪、共謀罪、予備罪、準予備罪が制定されており、越境犯罪やテロ行為に対処できる法体系となっています。

したがって、「共謀罪」と同義の「テロ等準備罪」を新たに制定しなければならない立法事実は存在しません。

私たちは、「共謀罪」の新設が、近代刑法の基本的な考え方に則ってきた日本の刑法を根底から覆すものとなる問題を極めて重視しています。それは、国家権力が恣意的な処罰ができないよう、処罰の原則を犯罪の実行に置いてきたものを、社会に侵害を与えない相談・予備の段階から処罰できるようにすることです。これにより、あの治安維持法が猛威を振るった時代のように、市民生活の中に、盗聴や密告、内偵などが常態化し、正当な市民活動や思想信条の自由を破壊する暗黒社会が再現されることを深く憂慮します。いやしくも、日本国憲法において憲法擁護義務を負う政府が、自ら憲法規範を破壊する愚を再び犯してはなりません。

よって、私たちは、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害を許さない立場から、

「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正を断念させるために、県民と共に声を上げていくことを表明します。

2017年3月17日

戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体

石川県憲法を守る会、石川憲法会議、九条の会・石川ネット、石川県平和運動センター、石川県労働組合総連合、戦争をさせない1000人委員会・石川、戦争をさせない石川の会、青年法律家協会北陸支部

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 原水禁, 反戦・平和, 反核・脱原発, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染), 脱原発・核燃, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 パーマリンク

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