2011年、日本原子力開発機構「もんじゅ」のホームページの巻頭文言です。
優れた技術、確かな安全、世界に示す新生「もんじゅ」
しかしあえなく、事故りました。
最初の事故はナトリウム漏れ・火災です。試運転中の高速増殖「原型炉もんじゅ」、臨界に達した僅か4カ月後の1995年12月8日19時47分、2次冷却系配管(Cループ中間熱交換器出口配管)からナトリウムが漏えいする事故が発生しました。事故後、もんじゅ側の情報隠蔽(事故ビデオの隠蔽)も発覚、15年にわたり、もんじゅは停止した。
事故の原因はなんだったんでしょうか。なんと、設計ミスです。溶融金属ナトリウムが流れる配管に、垂直に温度計を配置した結果、ナトリウムの流れに抗しきれず「折れた」のです。小学生でも分かるような設計ミスです。
前代未問のミスは、今回の福島原発の事故と同じく、人災だったのだ。実は、この事故をめぐっては、もうひとつ、重大な事件がおきていた。事故のビデオ隠蔽問題を内部調査していた担当者が、ビルから転落し、亡くなった。
2010年5月、15年ぶりに無理して再稼働し試験運転を強行した2010年8月26日、炉内中継装置(直径46cm、長さ12m、重さ3.3トン)がつり上げ作業中に落下する事故を起こした。原子炉に鉄クズ(交換装置)3.3トンが落下し、回収が不能であることがわかった。
事故や隠蔽問題で信頼を失ったもんじゅ、15年かけて、ようやく運転を再開した。だが、そのやさき(2011年)に事故を起こしたのです。組織が組織の体を成していないのです。廃炉しかありません。