2013.9.5 石川県知事に申し入れ

2013年9月5日

石川県知事  谷本正憲 様

活断層、原子力防災、原子力環境安全管理協議会の専門委員会等に係る申入書

                            さよなら!志賀原発ネットワーク

                                  共同代表:岩淵 正明

細野 祐治

中垣 たか子

福島原発震災の発生から2年半が経過しましたが、放射能汚染水問題が日に日に深刻さを増し、太平洋が大量の核物質で汚染されると懸念する声が各国から上がる危機的な事態となっています。さらに、溶け落ちた核燃料の状態は全く不明、今も続く大気中への大量の放射能放出、強い余震で建屋が崩壊するのではないかという危惧、現場での被曝労働、周辺住民の低線量被曝と健康不安、避難を強いられた人々への補償問題等々、汚染水問題の陰に隠された難題も多く、収束にはほど遠いのが福島原発の現状です。

このような福島原発震災の実態を見れば、原発の再稼働など論外であり、何よりも放射能汚染の拡大を防ぎ、太平洋の核汚染を食い止めることに全力を挙げるべきです。

ところが今、国も電力会社も「新基準に適合した原発は安全である」として、いわゆる「安全性」が確認された原発の再稼働を目論んでいます。しかし、福島原発事故の検証が不十分なまま策定された新基準は、原発の再稼働を容認するための基準に過ぎず、安全性を担保するものではありません。

北陸電力は、志賀原発1号機直下のS-1断層問題などのため再稼働申請などできる状況ではないにもかかわらず、一日も早い原発の再稼働を目指し、再稼働を前提としたフィルター付きベントの工事を県や周辺自治体の事前了解なしに始めています。ベントの設置は周辺地域住民の線量評価にかかわる重大な変更であり、当然、安全協定にもとづく事前了解を必要とするものです。ところがフィルターの性能さえ明らかにされず、工事が強行されています。また、北陸電力の再稼働への動きを容認し、北陸電力に事前了解のための協議を求めようとしない県の姿勢は、再稼働を後押ししていると言わざるを得ません。

志賀原発は原子炉直下にも敷地周辺にも活断層の存在が指摘されています。さらに1号機の格納容器は福島第一原発と同じマークⅠ型の格納容器であることを考えれば、「水素爆発の原因は津波ではなくて地震だった」という重大な指摘を無視したまま再稼働を強行することは許されません。今なお続く過酷事故の現状を直視すれば、今こそ『志賀原発は廃炉にする』という賢明な選択をするときです。このまま志賀原発の再稼働を認めれば、今度は能登で過酷事故を起こすことになりかねません。福島で起きたような原子力災害を二度と起こさないようにするために、以下の項目を申し入れます。

1.福島原発事故の十分な検証、とくに津波以前に地震によって過酷事故が引き起こされていた可能性について、あらためて検証するよう原子力規制委員会に求めること。

2.①S-1断層などの調査が途中であるにもかかわらず、北陸電力はフィルター付ベントの工事を開始しています。この工事は、原子炉設置変更許可申請が必要なベント本体の工事ではないとはいえ、ベント設置に向けた一連の工事であることは明らかです。この一連の工事は事前了解の対象であるという見解を北陸電力に示し、工事の中止を求めること。

②事前了解を要する自治体は、県及び志賀町だけではなく、少なくとも30キロ圏内の自治体も含めること。そのため、30キロ圏内の自治体と北陸電力の間で、県及び志賀町と同様の内容の安全協定が締結されるよう県のリーダーシップを発揮すること。

3.原子力安全管理協議会・専門委員会の委員の人選をやり直すこと。

人選の条件として①地震・活断層問題を専門的、集中的に議論できる構成とすること、②福島原発事故以前に安全審査に携わっていた人は含めないこと、③電力会社や原子炉メーカーの利益から独立し、自らの専門的知見から発言できる人で構成すること、の3点を踏まえること。

4.原子力防災計画は全県を対象とし、志賀原発だけでなく福井など県外の原発の事故も想定した計画とすること。県内全市町にも原子力防災計画を策定するよう求め、必要な支援をおこなうこと。

5.改定された原子力防災計画は過酷事故の発生を想定し、住民の被ばくを強いる計画であることを県民に説明すること。秋に予定される原子力防災訓練は具体的な過酷事故を想定したものとし、計画に記載されたOIL(注)を踏まえた広域的な訓練とすること。

(注)OIL: Operational Intervention Level 運用上の介入レベル ※具体的には、「空間線量が500μSv/hになってから、数時間以内に避難する」ことになっている。

以上

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