小松基地「青少年防衛講座」中止の申し入れ(7月16日)

2010年7月16日

小 松 基 地 司 令
鶴 田  眞 一 様

石川県平和運動センター
代 表 柚 木  光

社民党石川県連合
代 表 宮下 登詩子

小松基地爆音訴訟原告団
団 長 出 渕 敏 夫

小松能美勤労協連絡会
代 表 長 田 孝 志

加賀地区平和運動センター

申 入 書

 航空自衛隊小松基地は8月2日から3日の1泊2日の日程で「青少年防衛講座」の実施を予定しており、7月2日からホームページやマスコミを通じて募集を開始しました。対象は北陸3県の中学生、高校生であり、実施内容は隊内生活体験や基地見学、CH47J輸送ヘリコプターの体験搭乗などとされています。中高校生に日本の防衛に関する正しい知識を普及し、自衛隊に対する理解を深めてもらうことが目的とされます。
 小松基地では毎年秋に航空祭が開催されています。子どもたちを含む多くの市民に対し、華やかなお祭りムードの中で人を殺傷する戦闘機や兵器への興味をかきたて、戦争を美化することを目的としたイベントであり、私たちは繰り返し中止を求めてきました。
また、今年3月26日には、小松基地としてはじめて、小中学生を対象とした「小松基地チビッコ航空教室」を開催しました。F15戦闘機や基地内の施設を見学し、さらに一般の基地見学では見せない地対空ミサイルや対空機関砲などの兵器も特別に公開するとのことで、「航空教室」と言いつつも実態は子どもたちをターゲットにした露骨な戦争教育の場です。私たちの開催中止の申し入れを無視し、「航空教室」は開催されました。
こうした中での今回の「青少年防衛講座」の開催です。
自衛隊は今世紀に入り、米軍のアフガニスタン侵略戦争に給油支援を通じて参戦し、イラクへも復興支援の名の下、武器をもって不当な占領政策へ参加していきました。航空自衛隊のイラクでの活動については憲法違反の判決が出されました。国民の間でも、あるいは国会の議論でも自衛隊の活動については様々な意見があります。これに対し、子どもたちが発達段階に応じて理解を深め、自らの考えを形成していくことは大切なことですが、この間の航空祭や「チビッコ航空教室」は一方的な自衛隊PRの場でしかなく、今回の防衛講座もその延長線上にあると思わざるをえません。
小松基地は一昨年秋、侵略戦争の歴史を否定し、植民地支配を正当化する内容の論文を求めた「真の近現代史観」懸賞論文に幹部自衛官63人が応募しました。政府見解に異議を唱える動きであり、組織的にシビリアンコントロールに反旗を翻したものとして厳しく批判を受けました。しかし、いまだに反省の弁はなく、基地司令の責任は不問にされました。さらに昨年12月のF15戦闘機の胴体着陸では、管制体制も含め組織全体のゆるみが指摘されました。小松基地は子どもたちを前にして日本の防衛を語る前に、自ら日本国憲法の下での防衛のあり方や自衛隊の位置づけを真摯に学ぶべきであり、また隊員への教育や日常的な指導についても根本から再検討すべきです。
体験学習や職業体験を装い、子どもたちを再び戦場へ送ろうとする動きが強まっていることに私たちは大きな危機感をもっています。子どもたちへの平和教育の充実を願う多くの県民の声を代表し、以下の事項について申し入れます。

1.「青少年防衛講座」を中止すること。

2.「青少年防衛講座」の詳細を明らかにすること。

3.この間の「青少年防衛講座」の取り組みの経緯と、その延べ参加者数、内容について明らかにすること。

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