谷本知事の志賀2号機再稼動了承に対し、全国署名運動は抗議声明を発表(3月21日)

抗 議 声 明

谷本知事は本日、県民の安全・安心の確保という自治体の使命を放棄し、志賀原発2号機の運転再開を了承する旨、永原功北陸電力社長に回答しました。再稼動の申し入れからわずか1週間、3月3日の第三者委員会開催以降の動きを振り返るなら、北陸電力と県、志賀町、国の癒着関係の中で繰り広げられた、まさに再稼動への出来レースであったといわざるをえません。
志賀原発の再稼動問題は県民のみならず全国の人たちが注目しており、そのことは519,458人の全国署名にも示されています。本日の知事回答は、「志賀原発を動かすな」という多くの声を踏みにじっただけでなく、北陸電力の方針にただ追随するだけの石川県政の姿を全国にさらしました。そして何より、近日中といわれる再稼動によって、県民を再び事故の危険の中に陥れる許し難い判断といわざるをえません。ここに強く抗議すると同時に、知事はただちに再稼動容認の判断を撤回するよう要求します。

昨年3月15日に発覚した臨界事故隠しは、北陸電力に原発を運転する資格も能力もないことを明らかにしました。あれから1年、北陸電力の再発防止の取り組みとは裏腹に、県民にとっては、「危険な志賀原発」と「変わらない北陸電力」の実態が一段と明らかになりました。
北陸電力が示した臨界事故の再発防止策は、運転員のマニュアル遵守のみに依存し、「人はミスを犯すもの」という前提に立ったハード面での抜本的な対策が抜け落ちています。新たな活断層隠しも発覚し、「隠さない企業風土づくり」も掛け声倒れで終わりました。初めに運転再開ありきの、この間の北陸電力のスケジュールをみれば、臨界事故隠しの根本原因のひとつとして自らが分析した「工程優先意識」が依然根強く残っていることも明らかです。このような欠陥対策であるにもかかわらず、「御用委員会」を設けて、第三者による100点満点の評価を演出する姑息な手法は、北陸電力への不信感をさらに強めました。
昨年の臨界事故隠し発覚後に起きた能登半島地震や志賀原発沖合の褶曲断層の存在は、志賀原発の安全審査の前提を崩しました。今月14日には北陸電力から新耐震設計指針にもとづくバックチェックの中間報告では、活断層16本を修正する新たな評価が示され、基準地震動Ss-1を600ガルと策定しました。これもまた安全審査の前提を覆すものです。

これら安全性の根幹に関わる重大な検討課題を数多く残しているにもかかわらず、3月16日に開催された石川県原子力環境安全管理協議会(安管協)では、なんら県民の不安と不信を解消する議論はありませんでした。しかも、運転再開への積極的かつ明確な意見も皆無であったのに、会長である山岸副知事は、運転再開了承という結論へと強引に会議をとりまとめたのです。これが、知事の「安全」判断の拠り所とされた安管協の実態です。
一方、「安心」を判断する最大の物差しとして志賀町の意向をあげています。町民全体の意向を尊重するのならば否定しませんが、そうした取り組みはなされておらず、さらに知事として県民全体の意向確認や合意形成を図る取り組みもおこなっていません。志賀原発に事故が起これば、放射能の危険性に加え、莫大な経済的打撃を広く県民に与えることは、先の中越沖地震による新潟県の被害を見ても明らかであり、県民不在の判断は許されません。

北陸電力や国だけでなく石川県までもが住民の安全を切り捨てる行政に転換したことに、私たちは大きな怒りを覚えると同時に深刻な危機感を抱きます。たとえ再稼動の日をむかえても、危険な志賀原発の稼動を絶対に追認するわけにはいきません。行政への信頼が地に落ちたいま、私たちが自分の命と暮らしを守るには、今まで以上に厳しく志賀原発を監視しなければなりません。そして一日も早く廃炉の日を迎えなければなりません。今回の署名運動で広がった全国の仲間との連帯の和をさらに大きくし、今後の運動を強化していくことをここに表明します。

2008年3月21日

北陸電力に原発運転の資格なし!全国署名運動
 共同代表  嶋垣 利春
  〃    中垣たか子

カテゴリー: 志賀原発 パーマリンク

コメントは停止中です。