志賀原発営業運転に対する声明
声 明
北陸電力は本日、志賀原発2号機の営業運転を開始しようとしている。私たち石川県平和運動センターと能登原発差止め訴訟原告団は、この営業運転の開始に強く抗議するものである。
2号機は経済効率を最優先した巨大原発である。改良型と称しているが、改良の眼目とされる「インターナルポンプ」は、沸騰水型原発の最大の弱点である再循環ポンプを炉内に内蔵したことで、より大きな危険をはらんでいる。トラブルが起きると影響は直接、炉内に及ぶからである。また、この間、原子炉停止を極力避けてきた北陸電力は、再循環ポンプが炉内に内蔵されたことによって、一層その傾向を強めるであろう。
もともと2号機は完全な余剰設備である。1号機を止めても北陸電力の電力供給に支障は出なかった。2号機の運転開始をひかえ北陸電力は風力発電の受・買電にストップをかけている。温暖化防止や自然エネルギーの活用など、自治体や市民の努力とも背反するものである。これらの経営事情が、効率優先・安全軽視の姿勢をさらに強めることも予想される。
1号機の停止事故は全て「初歩的ミス」が原因であった。こうした企業体質の北陸電力が135.8万kWもの巨大原発の営業運転を始めることを私たちは強く危惧する。このため私たちは、一昨年9、11、12月に行なわれた初装荷用核燃料の搬入に対し、情報非公開の中であっても、横須賀現地での半年近くの調査活動も含め反対・監視行動を行い、昨年4月の試運転開始前には志賀原発現地での抗議行動を行ってきたのである。
また、試運転中の1月26日、2号機は原子炉隔離弁のトラブルで原子炉を停止した。同じトラブルが04年5月に1号機でも起きているが、このときは、北陸電力は安全余裕を失っているにもかかわらず、運転を継続した。明らかに運転10余年おごりと安全軽視からくる対応であった。なぜ対応が異なるのか。試運転中の今回は慎重に、という政治判断があったとすれば今後への不安は大きい。
さらに、2号機差止め訴訟では、原発の耐震性=原発震災の不安が大きな焦点となっている。国と電力会社が地震の影響を過小評価していることが次々と明らかになったからである。昨年9月、裁判長が結審予定日になって、耐震性について北陸電力にさらに説明を求めるため異例にも結審を延期した。しかし、北陸電力の説明は通り一遍のものに止まっている。北陸電力は営業運転を急ぐ前に原発震災への対処こそ優先すべきである。
以上のような多くの問題をかかえながら、国の政治的な思惑に追従してプルサーマル計画を実施するなど、決して許されることではないということも指摘しておきたい。
私たちは、今後も志賀原発と北陸電力の姿勢を監視するとともに、2号機差止め訴訟の勝利をめざし全力をあげるものである。
2006年3月15日
石川県平和運動センター
代表 嶋垣 利春
能登原発差止め訴訟原告団
代表 堂下 健一