声 明
昨日26日の午前4時前、試運転中の志賀原発2号機の原子炉隔離時冷却系で、2個ある隔離弁の一つにトラブルが生じ、当該の弁を点検するため午前9時に原子炉の停止を決定し、同9時18分、原子炉を停止したことを北陸電力は明らかにした。
異常が発生した弁は、緊急時に原子炉を隔離するための機器であり、炉内の水位が異常低下した場合、冷却水を注入する原子炉隔離時冷却系の重要な部分である。そのため、格納容器の内と外に2つの弁で安全余裕を確保することになっている。今回は格納容器の外側に設置されている弁でトラブルが生じた。
正常な弁は格納容器の内側にある弁だけとなったわけで、安全余裕はなくなったといってよい。それだけに、原子炉を停止して原因究明を決めたことは、妥当な処置であった。原因究明に当たっては、「3月営業運転開始」というタイムスケジュールを大前提にするのではなく、あくまで安全確保を最優先して行うべきである。
今回の停止は「保安規定に基づく運転上の制限を満足していないため」と説明されている。同系統での隔離弁のトラブルは、04年5月に1号機でも起きている。この時は、北電は安全余裕を失っているにもかかわらず、運転を継続した。運転10余年のおごりと安全軽視が明らかな対応だった。
「保安規定を尊守」するとしながら、なぜ対応が異なるのか。試運転中の今回は慎重に、という政治判断があったとすれば今後への不安は大きい。県の立ち入り調査にも問題がある。今回は格納容器外側の弁のため現認できた。しかし、1号機のトラブルは内側の弁であり、現認できなかったはずである。それなのに「安全を確認した」のである。北電の発表を追認しているだけではないかという疑いを強くさせられる。
このような姿勢の電力会社と県行政が135.8万kWもの巨大原発=2号機の営業運転を開始しようとしていることを私たちは強く危惧する。また、原発震災の可能性が強まっているときなのに、国の全く政治的な思惑でプルサーマル計画もごり押しされようとしている。
私たちは今回のトラブルの原因究明を今後も監視すると共に、国や電力会社の原発震災の危険性の軽視、無謀なプルサーマル計画をやめさせるため、全力をあげるものである。
2006年1月27日
石川県平和運動センター代表 嶋垣 利春
能登原発差止め訴訟原告団代表 堂下 健一