15:30~ 石川県国民保護計画策定反対の申し入 県庁環境安全部
県の国民保護計画の策定に対し反対の申し入れ 3月15日
戦争前提の国民保護計画は憲法9条とは相いれない!
石川県平運動センターは3月15日、国民保護計画を策定しようとする県に対し「県民を有事体制に組み込む」ものとして、石川県に対し反対の申し入れをおこなった。県は開会中の県議会2月定例会に「石川県国民保護協議会条例」と「石川県国民保護対策本部及び石川県緊急対処事態対策本部条例」、そして関連予算990万円を計上している。
対応した東方俊一郎環境安全部長は「武装工作船が能登半島沖合にも現れたり九州では銃撃戦もあった。北朝鮮のミサイルが発射されたこともある。外部からの攻撃などを万が一の場合を想定し、県民の生命、財産を保護する避難対策を県として準備することは当然であり、すみやかに計画を策定したい」と答えた。国際交流の推進など平和行政の推進と国民保護計画の策定は矛盾しないとも述べた。
平和運動センターからは九州南部での銃撃戦は日本側からの先制発砲でありしかも場所は中国のEEZ(排他的経済水域)であったという事実関係を踏まえず県民の危機意識をあおっているのではないか、法律上、計画策定期限はない、自衛隊がつぎつぎと海外に派兵され「戦争をする国づくり」を進めるなかでの国民保護法だということを認識すべきといった発言が相次いだ。
申し入れにはスクラム喜望の宮下登詩子、山根靖則、若林昭夫、盛本芳久の各県議が同行した。
2005年3月15日
石川県知事
谷本 正憲 様
石川県平和運動センター
代表 嶋垣 利春
申 入 書
一昨年の武力事態対処法など有事関連三法の成立に続く昨年の国民保護法など有事10案件(7法案、条約3案件)の成立・承認、そして昨年末の新「防衛計画の大綱」策定で日本の有事体制の全体像が現れました。その核心は自衛隊だけではなく自治体や民間企業、国民、国土も含めて、まさに国をあげての米軍支援態勢の確立であり、さらに「武力攻撃予測事態」という新たな概念をテコにしての「専守防衛」から「予防先制攻撃」への防衛方針の大転換です。
自衛隊はすでに周辺事態法(99年成立)で米軍の海外活動に「後方地域支援」という名目で参加を可能にしています。加えてテロ対策特措法やイラク特措法で自衛隊の活動範囲はインド洋からイラクへと拡大し日本は「戦争に出て行く国」となりました。国民保護法は「保護」という表現を使いつつも、実態は銃後の備えを平時から行い、自治体と国民を戦争態勢に組み込むための法律と言わざるをえません。「槍」に対する「鎧」づくりです。
この国民保護法の成立を受けて、県は県議会2月定例会に石川県国民保護計画の策定に向けての「石川県国民保護協議会条例」と「石川県国民保護対策本部及び石川県緊急対処事態対策本部条例」を提案し、さらに関係予算990万円を計上しています。
私たちは、一連の有事立法は戦争放棄を掲げた平和憲法に明らかに違反するものと考えます。また沖縄戦の教訓から、軍隊の任務遂行が国民の安全とは合致せず、むしろ国民の安全に対する直接の脅威となることも学んでいます。小泉首相の口癖である「備えあれば憂いなし」は災害対策と国防を意図的に混同したものです。国防においては「備えあれば脅威あり」。有事体制の確立は他国との緊張関係を確実に高めていきます。
県が「石川県国民保護計画」を策定することは、県民を有事体制に組み込むことに他なりません。また国民保護法に規定された県の役割である「住民に対する避難の指示」は、住民を「排除」し避難後の地域(県土)を戦場にすることを意味します。
県民の安全・安心の確保、そして平和行政の推進という観点から以下3点を申し入れ、県の基本的な姿勢を明らかにするよう求めます。
記
1. 国民保護法は有事=戦争が起こることを前提とした法律です。国民保護計画の策定と戦争放棄を定めた憲法9条との関係についての基本認識を明らかにしていただきたい。
2. 唯一かつ最善の国民保護政策は戦争を起こさないことです。政府の「戦争国家づくり」に抗議すると同時に、自治体外交の推進など平和行政の積極的な展開を求めます。
3. 緊急対処事態(大規模テロ等=犯罪)は基本的には警察力と防災計画の範疇の課題です。根本的には違法なイラク戦争・占領に荷担するなどの政府の行為が「テロ」の危険を招く最大要因です。政府による問題のすり替えを許さない適切な対応を求めます。