最高裁判断 令状なしGPS操作は違法

令状なしGPS捜査に関する最高裁判所大法廷判決についての会長談話(日弁連)

 本日、最高裁判所大法廷は、いわゆるGPS捜査の違法性が争われていた事案の上告審において、GPS捜査は強制処分に当たり、令状を取得することなく行われたGPS捜査は違法であり、憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が必要であるとする画期的な判決を言い渡した。
第一審の大阪地裁判決は、本件GPS捜査は、対象車両使用者のプライバシー等を大きく侵害することから、強制処分に当たるものと認められると判示したが、原審の大阪高裁判決は、「本件GPS捜査に重大な違法があるとは解されず、弁護人が主張するように、これが強制処分法定主義に違反し令状の有無を問わず適法に実施し得ないものと解することも到底できない。」と判示していた。
これに対し、本判決は、憲法第35条の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解した上で、「個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たる」と判示した。
また、本判決は、GPS捜査について、大要、①対象車両にGPS端末を取り付けることにより対象車両及びその使用者の所在の検索を行うこと、②GPS端末を取り付けるべき車両及び罪名を特定しただけでは被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制することができないこと、③GPS捜査においては、事前の令状呈示を行うことは想定できないところ、これに代わる公正の担保の手段が仕組みとして確保されていないこと、を理由として、刑訴法上の検証許可状では、適正手続の保障という観点から問題が残ると判示した上で、GPS捜査の特質に着目して憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい旨判示した。
当連合会は、2017年(平成29年)1月19日付け「GPS移動追跡装置を用いた位置情報探索捜査に関する意見書」において、大要、警察庁が実施しているGPS捜査を直ちに中止すべきであり、GPS捜査について、捜査対象者のプライバシー権を不当に侵害することのないよう、一定の要件及び手続を法律によって定めるべきであるとの意見を発出していたところである。本判決は、GPS捜査が強制処分に当たるとされ、また、新たな立法措置が必要であるとされた点のいずれにおいても、当連合会の意見の趣旨に沿うものであり、高く評価できる。
当連合会は、今後、裁判官の厳格な審査により発付された令状の下でGPS捜査が行われるよう、一定の要件及び手続を定める特別法の立法に向けて尽力するものである。

  2017年(平成29年)3月15日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋 

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信頼は専制の親である

「(政府への)信頼は専制(政治)(生みの)親である。」

「自由な政府は、信頼ではなく猜疑心に基づいて建国される 。」

政府とは、絶えず国民の権利と自由を奪おうとするものだ。だから国民は政府を信じてはならぬ。

疑いの目を持って政府のやることを見ていれば、物を言えば、自由で平和な国が作れるのだ。

                                                              米国第3代大統領トマス・ジェファーソン

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「諸君は、自分の仕事をなくすことを目標にせよ」

アイク(アイゼンハワー大統領)がある兵士学校の卒業式で式辞として語った言葉。

「戦争を体験したからこそ、残酷さ、無用さ、愚かしさを見足らばこそ、戦争を憎む」

だから「諸君は、自分の仕事をなくすことを目標にせよ」

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教育勅語の「どこが悪い」、道徳を教えることが「なぜ悪いのか」

戦前の教育勅語の「どこが悪い」、道徳・徳目を教えることがなぜ悪いのか

それは、それぞれ「天皇の臣民としての生き方」を示したものだからです。徳目の一つ一つを個別に取り上げても意味がありません。天皇に命を捧げるために、夫婦仲良く、友を大切にせよ、としているのです。

論理性も道徳性もない「アメリカ・ファースト」にひれ伏し、朝貢外交をしている国粋主義者、軍国主義者の安倍首相が言っているからでもあります。日本会議や右翼などが主張しているからでもあります。その主張は、72年前の1945年に総破産を遂げ、「無条件降伏」してしまった国家を支えた思想なのです。その意味で「歴史上の亡霊」とも言えます。

文科省(官僚)は違法の天下りをし、他者を踏みつけ、甘い蜜を吸ってきた。そして電力資本に頭を垂れ、猛毒プルトニウムを使ったもんじゅを進め、失敗したときには嘘でかばい、1兆数千億もの血税をどぶに捨て、廃炉にしたのです。こんな方々が、道徳の教科化を声高に叫んでいるのです。

ものもんじゅは、廃炉に向けてもこれからまだ数千億円を消耗します。教育予算に回せばどれだけ子どもたちが助かることでしょうか。このような方々に「人を大切にし、親を大切にし、社会のために働け」と言われたくない。だから反対しているのです。

道徳の必要性は、学力偏重の社会、社会への貢献度が人間と軽重の尺度ともなっている現代社会の根本矛盾を問うものと一体でなければなりません。そうしないと、単に「この社会」を支える道具となってしまいます。

安倍首相なら、「御国のために死ぬ覚悟」を持つ社会人を育てること、これを貢献というでしょう。かってがそうでした。教育勅語で「滅私奉公」を謳い、大東亜共栄圏を夢想した戦争犯罪人の指示の元、アジアへ侵略する兵士となったこと。その指導者にいかに多くの教育者がいたことか。
この総括を抜きにした道徳とは、おぞましいことに、またぞろ「国家の臣民」の教えとなり、戦争に協力する人々を大量に生み出すだけとなるにちがいありません。

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繰り返すな被ばく! 繰り返すな核開発!

20170315121715第5福竜丸と原水爆禁止運動

20170315121733ビキニ、私の船もいた

20170315120543ビキニ被ばく  夫は突然血を吐いて亡くなった

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「テロ」の言葉が無かった「テロ等準備罪」案(法務省作成)

2月末、法務省が作成した「テロ等準備罪」案(91の法律277種類/4年以上の刑を定めたもの)には、「テロ」という文言がありませんでした。

2020年東京オリンピックのテロ対策のためとか、国連の国際犯罪防止条約の批准のために必要だという名目でしたが、この法務省案にはテロという言葉が全くなかった。つまりテロ対策でないことが明白なのです。

自民党、公明党から「テロという言葉がない。これでは国民の理解が得られない」として、「テロ」という言葉を法の中に入れろと迫り、法務省は、「入れます」となって3月10日閣議決定の予定だったのです。ところが、公明党が「若干の抵抗」を示したため、延期したのが現在の状況です。

この法案の「キモ」は、個々人が頭の中で構想し、計画し、これを口に出して(目配せでもよい)仲間と話し合い、準備行為をした段階で検挙(逮捕)できるということです。

ということは、逮捕する前にこれらの情報を事前に把握しなければなりません。277罪に該当するかしないかに関わらず、警察権力が「疑義」を持って、事前の捜査・監視に着手できるということなのです。間違いなく、平和フォーラム系労組や脱原発市民団体、憲法を守る会、原水禁石川など、国家権力の横暴を阻止し、反戦・平和、民主主義の発展をめざすすべての団体・個人は監視対象となります。

この法案が成立すれば、逮捕や検挙の前の、盗聴や盗撮、さらには車に勝手にGPSを付けることは「合法」となります。まさに、警察権力の「思うがまま」です。

何もしていないのに、構想しただけなのに、計画しただけなのに捜査の対象となり、監視される。その手段は、内部に密告者を作ることからはじまり、携帯電話や電話の盗聴、会議室や個人行動の盗撮であり、車に勝手に付けるGPS捜査などなのです。

現代の治安維持法である「テロ等準備罪=共謀罪」は、仲間と手を取り合って、なんとしても葬り去ろうではありませんか。

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事故・事件が続く「マイナンバー」 個人情報の流出

3月14日行なわれた「マイナンバー離脱請求」訴訟の第6回口頭弁論で、制度が開始された以降、2017年の今日まで、いかに「個人情報の塊」たる「マイナンバー」の流出、紛失、漏洩、略取、配布ミスなどなどの事件・事故が発生したかを主張し、この制度からの「離脱の権利」を訴えました。流出等の件数は以下の書面に記載してあります。

20170307第3準備書面

 

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辺野古・大浦湾 海上保安官の「狂気」の先に見えるもの 2017.3.9にも

辺野古・大浦湾の今。海上保安官の「狂気」の向こうに見えるものは、何!?

2015年6月14日 14:00 2017.3.9にも衝突発生  (日刊ゲンダイより)

渡瀬 夏彦(わたせ なつひこ)

ノンフィクションライター 1959年埼玉県生まれ。高校3年のときに「与那国島サトウキビ刈り援農隊」に参加して以来、約28年間沖縄通いを続け、2006年に移住。『銀の夢 オグリキャップに賭けた人々』で講談社ノンフィクション賞とJRA馬事文化賞を受賞。他の著書に『修羅の華 辰吉丈一郎がゆく』(講談社)、共著書に『誰が日本を支配するのか!? 沖縄と国家統合』(マガジンハウス)など。普天間問題からスポーツ(琉球ゴールデンキングス、琉球コラソン、FC琉球、高校野球、ボクシング等)まで、幅広いジャンルで雑誌、新聞等にドキュメントやコラムを執筆。関心は、脱基地、脱原発から、沖縄文化、自然、芸術・芸能・音楽、スポーツまで多岐にわたり、Facebook、Twitterやブログ「渡瀬夏彦の沖縄チムワサワサ~日記」(http://watanatsu.ti-da.net/)でも情報発信。現在、沖縄を舞台にした複数のノンフィクション作品を構想中。「沖縄戦・精神保健研究会」会員。

少し遡って書きたい。

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抗議船でもみ合う市民と海上保安庁の職員=4月29日、名護市辺野古沖

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海保の追跡で転覆した抗議船=4月28日午前11時30分、名護市の大浦湾

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初会談する翁長雄志知事(右)と菅義偉官房長官=4月5日午前、

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抗議船でもみ合う市民と海上保安庁の職員=4月29日、名護市辺野古沖

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海保の追跡で転覆した抗議船=4月28日午前11時30分、名護市の大浦湾

 

4月28日、辺野古新基地建設に抗議する市民グループのボート(定員6名)が、海の安全を守るべき海上保安官によって、意図的に転覆させられたとしか言えないような、「重大事件」が起きた。

皮肉にも、サンフランシスコ講和条約によって沖縄が日本から切り離された「屈辱の日」に、海上保安官たちが沖縄県民の逆鱗に触れる「事件」を引き起こしたのである。 その転覆事件の起きた日、たまたまわたしは美しく優雅な「帆かけサバニ」を漕ぐチームの一員に加えてもらい、大浦湾の海上パレードに参加していた。それは、いつものように抗議行動に参加しているというよりも、むしろ清々しい海風を頬に受けつつ自然に抱かれる心地よさを味わった、と言えるようなアクションであり、時間となった。

つまり予想外の心地よさを堪能できた日だっただけに、なおさらこの「事故」とは言い難い出来事には、動揺を覚えた。

あれから1カ月半の時が過ぎた。

5月7日、転覆させられた抗議船船長の弁護団が那覇地方検察庁に告訴状を提出し、記者会見も行われた。告訴された海上保安官の容疑は「艦船転覆罪」である。

この「犯罪行為」をわたしたち市民が正確に把握するために最も貢献したのは、じつはNHK沖縄が撮影した「証拠映像」であった。

ここにその映像のURLを貼り付けたいと思ったのだが、NHKのホームページで探そうとして、どんなに検索ワードを駆使しても、転覆事件当日のニュースも告訴を伝えるニュースも、さっぱり見当たらない。WEB上で辛うじて見つけたアドレスは、これである。

テキストだけ読めば、バランスを崩した「不慮の事故」のように受け取られかねないが、映像は正直である(念のため記せば、動画サイトで検索すると、今もNHKのニュース映像は非公式な形で見ることはできる)。

複数の海上保安官が乗り込んだために定員オーバーになった抗議船が左へ大きく傾いたところへ、1人の海上保安官が泳いで船に近づき、わざわざ船の左舷後方に這い上がるようにして体重をかけて、意図的に転覆させようとしている。そう断言できるシーンがしっかり映っているのだ。

その上、右舷側の海保GB(複合型ゴムボートの略。ゴムのコーティングはされているが、ふかふかした感触のいわゆるゴムボートとは違って、船体の大半は強化プラスチックでできた堅牢な高速艇だ)の上には、転覆を手伝っているかのような動きをする2人の海上保安官の姿もはっきり見て取れる。

わたしは映像を見ながらこう呟いていた。「これは正気の沙汰じゃない」

検察はじめ裁判の関係者は、このNHKの映像や被害者側が撮影した動画を証拠としてきちんと分析して、立件し、毅然とした裁きをしてほしいものである。

つまりは、この海保による「転覆」は、誰が見ても明らかに犯罪だとわかる事件なのだ。

けれども、何がなんでも新基地建設をゴリ押ししたい右派勢力からは、こんな声も聞こえてくる。「いや、あれはそもそも制限区域に入った抗議船がいけない。抗議船の違法な行動を海保が制止しようとして起きた、やむを得ない事故だ」と。

あげ句の果てに5月20日、海上保安庁の佐藤雄二長官自身が記者会見で「私の知る限りでは、現場の対応というのは非常に冷静かつ丁寧にやっている。現地での報道ぶりが非常に事実関係より、誇張されている部分があると感じている」(5月21日付本紙社会面)と言い出す始末。どの報道のどの部分が誇張なのかさえ明らかにしない物言いは許しがたい。

海上保安庁のトップの言う「私の知る限り」には、おそらくNHKニュースの「証拠映像」は入っていないのであろう。もしもそれを見ていてこんな暴言を吐くのなら、確信犯的な暴力集団のボスと言わざるを得ない。

案の定、この海保トップの「事実歪曲の暴言」は、辺野古・大浦湾の現場の海上保安官の横暴に拍車をかけてしまった。

5月22日付の本紙は、非暴力抵抗のカヌーチームの女性に対しての暴力的な過剰警備の様子を大きく報じている。「落とせ」の号令のもと、カヌーを転覆させ、非常に手荒な拘束の仕方をしたことが明らかになった。海上保安官の放った「あなたたちは一般市民ではない」という暴言も記されている。ちなみに、一般市民ではないとされた20代の女性は、日々普通に仕事をしながら、時間を見つけてはカヌーチームに参加しているわたしの友人である。名誉棄損に当たる暴言には、心の底からの怒りを禁じえない。友人によれば、制限区域内の作業船に対して抗議行動中の彼女のカヌーを、海に飛び込んだ海上保安官がすでに拘束していたにもかかわらず、GBの班長が船上から「落とせ」の命令が発せられ、そのあと、傍にいた海上保安官にライフジャケットを掴まれ海に引きずり落とされた、とのことであった。

号令をかけた班長は、これよりも前の別の日には自ら海に飛び込み、カヌーチームの別の女性を確保しているのだが、その際には、女性の頭を三度も水面下に沈ませて海水を飲ませた「罪」が指摘されているいわくつきの人物だ(この「被害者」にもわたしは直接話を聞いている)。

これに止まらず、海保の「犯罪的行為」は続いている。

6月4日の午後、21歳の男性がボーリング調査再開に抗議して制限区域内を泳いでスパット台船を目指していた。その生身の人間に対して、なんと海保は、GBの船体を衝突させたのだ。

6月8日、那覇市の第11管区海上保安本部前で「基地の県内移設に反対する県民会議」が、海保の度重なる暴力を糾弾する抗議集会を開いた。この被害者の男性は、その場で次のような報告のスピーチをした。

「スパット台船に向かって泳いでいるわたしに突然、海保の船(GB)の先端がぶつかってきました。船はゴムボートと呼ばれてはいますが、船体は鋭利です。船底は固い強化プラスチックでできています。わたしは死んだ(死ぬかもしれないの意)と思いました。わたしを見ていた仲間たちも、そう思ったそうです。海保は、船底の中ほどまで乗り上げるような形で、わたしを轢きました。でもなんとか自力で、船の下から脱出することができました」

彼は路上で自動車に轢かれたのに等しい恐怖を味わったのに違いなかった。だからこういう表現になったのだ。彼は救急車で搬送され、顔面打撲、海水誤飲などで3日間加療を要するという診断を受けた。

彼は、恐怖心を乗り越えて集会の2日後に海に出るようになったのだが、その場ではこうも付け加えていた。

「わたしが船に引き上げられたとき、海保はこう言ってきました。『あまりスピード出てないから、大丈夫だろう』と。その後、仲間たちがわたしに衝突したGBに謝罪を求めて抗議をしてくれましたが、未だに海保からは一切謝罪の言葉はありません」いったい、海保の暴力はどこまで、エスカレートしていくのか。なぜこんなことが許されているのか。

やむにやまれず普通の市民が、丸腰でカヌーを漕いで、あるいは海を泳いで抗議せざるを得ないような状況に追い込んでいるのは、いったい誰なのかを、海上保安庁の諸君は一度、虚心坦懐に考えてみるがいい。

自分たちの行為が、尋常ではないこと、「狂気」を孕んでいることに気付くべきである。

海保がエスカレートさせる暴力的警備の意味するところを考えるために、さらに遡って話をしよう。

周知の通り、翁長雄志知事は4月5日、那覇市のホテルで菅義偉官房長官と、4月17日には首相官邸で安倍晋三首相と会談した。

その会談内容を知って、やはり正義は沖縄側にある、と勇気づけられた県民は多いに違いない。

では、これを伝えるテレビニュースを見た全国の視聴者はどう感じただろうか。
これまでは、例えばNHKの全国ニュースにおいては、知事との会談から逃げ続けておきながら「法治国家なのだから、前知事から承認を得たのだから、なんの問題もない。粛々と(辺野古新基地建設を)進める」との詭弁を繰り返す官房長官の言い分ばかりを垂れ流してきた感は否めないわけだが、会談が実現した以上、翁長知事の筋の通った主張を、電波に乗せないわけにはいかなくなった。するとどうだろう。これまで「沖縄の基地問題は難しくてよくわからない」と言っていた東京在住のわたしの友人からもこんな声が聴こえてくるようになった。

「官房長官や首相よりも、沖縄県知事の発言のほうが、ずっと説得力があるね。辺野古の海を埋め立てて基地を造るのが普天間問題の唯一の解決策だ、なんて理屈は、だいぶ疑わしくなってきたね」

ようやく国策の理不尽さに気づき始めたようなのだ。

それが証拠に毎日新聞が4月18日、19日に実施した世論調査では、政府の対応に反対する人が53%と過半数を超えた。沖縄ではあらゆる世論調査で常に7割前後の人(沖縄テレビと琉球新報の最新の調査では8割)が辺野古新基地建設に反対の意思を明確に表明しているのと比べると、まだまだ少ないが、少なくとも以前とは風向きが変わってきている。

いずれにせよ、辺野古新基地建設など絶対に許すわけにはいかない、という沖縄の民意の正しさは、ここに来てますます明白になり、国内外に伝わり始めている。

菅官房長官、安倍首相と続けて会談し、沖縄の民意を的確な表現でわかりやすく伝えた翁長知事の貢献度は、とても大きいと評価すべきだろう。

例えば東京新聞は4月18日付の社説で「翁長・首相会談 沖縄の声、米に伝えよ」という見出しを掲げ、こう踏み込んでいる。

<首相に必要なことは、県民の理解を得て辺野古「移設」を強行することではなく、辺野古「移設」の困難さを認め、政府の責任で代替策を検討することだ>

朝日新聞は同日付の「安倍・翁長会談 まだ『対話』とは言えぬ」と題された社説で、安倍政権のこれまでの対応を厳しく批判し、こう結論付けた。

<政権が本気で「粛々」路線から「対話」路線へとかじを切るというのなら、ボーリング調査をまず中断すべきだ。そうでなければ対話にならない>

ヤマト(日本本土)のジャーナリズムのなかにも、まともな沖縄支援の論調が増えてきているのである。

わたしは昨年8月11日以来、幾度となく市民グループの抗議船に乗せてもらってきており、時にはカヌーチームの臨時メンバーに加わって海へ出て「体験取材」をすることもあったわけだが、その経験から強調できるのは、首相官邸主導の「県民弾圧」の道具として、海上保安官たちも都合よく利用されている、という紛れもない事実である。

海上保安官の株を上げたとされる映画「海猿」シリーズを未だに一度も鑑賞していないので申し訳ないのだが、昨夏以来の、辺野古・大浦湾における海上保安官たちの振る舞いを知ったなら、おそらくは映画に感動した人も、心底がっかりさせられるのではないだろうか。

それぐらい、辺野古・大浦湾における海上保安官の言動は酷い。

わたしが直接「被害者」の市民から証言を得た「海保の狂気」を感じさせる事例だけでも、さらにいくつかここに挙げておこう。

3月10日、海保の現場指揮船に相当する特殊警備救難艇「あるたいる」(全長10メート、5トン)が、抗議の市民2人が乗る小さなゴムボートに背後から激突するという事故を起こしている。翌日の辺野古ゲート前集会で、「あるたいる」の船体(舳先)をその肩にぶつけられた男性は、「Yというリーダーは、市民の弾圧のために手荒な真似をしてもいいと考えている男で、許せません。明らかに僕らのボートのエンジンを壊しにきていると感じました」と、そのリーダーの実名を挙げて非難していた。

3月31日、報道陣のために用意された市民船に乗せてもらったとき目撃した光景は異様だった。

ある一隻の市民船が、執拗に海保GBに追い掛け回され、3度も海上保安官に乗り込まれて操船の自由を奪われ、沖合まで連れていかれていた。港に戻ってから船長に話を聞いた。この日不当拘束を繰り返された船長は、それ以前に海上保安官によって親指に全治3週間以上の怪我を負わされ、告訴している人だ。その船長に向かって、乗り込んできた海上保安官は「また怪我するぞっ」と言い放ったというのだ。

それだけではなかった。海上保安官の暴言に抗議する船長に対して、例の指揮船のリーダーYが近づき、「黙れ、告訴人っ」と罵ったというのである。

開いた口が塞がらぬ、とはこのことである。

4月にも、海上保安官が海上で抗議を続ける市民に対して、「出て行け、犯罪者」と暴言を吐き(4月15日)、翌日には市民に対して謝罪をする、というお粗末な出来事があったばかりだ。

最後に、冒頭に問題にした「転覆事件」のボートに乗っていた被害者の声をお届けしたい。

転覆させられたあと、海水を飲まされ、救急車で運ばれた男性は、わたしの取材に対して「とにかく海猿が怖かったです。こらぁーっ、○○っと自分の名前を叫びながら襲い掛かってきて、羽交い絞めにされて、海水に何度も頭を沈められました。一瞬で意識が遠のいてしまいました」と語っている。

同じく転覆した船から投げ出された青年も、「海上保安官の狂気を感じて恐ろしかった」と証言している。

「僕らが、○○さんの安否が気になって尋ねたところ、指揮船のリーダーYが、『死んだかもしれない』と吐き捨てたかと思うと、続けて『死んだかどうかわかったら連絡する』と言うんです。この海に基地を造らせたくなくて何かをしなくてはならないという気持ちで、一生懸命抗議行動をしている僕らの気持ちを、この人たちは踏みつぶしても平気なんだ、命を危険に晒しても平気なんだということが伝わってきました。彼らの背後にある権力そのものが恐ろしくなりました。狂っていると思いました」

多数の県民の意思を踏みにじって続けられようとする不当な新基地建設現場を守り、市民・県民・全国からの支援者に牙を剥く「国家公務員ガードマン」としての姿には、怒りを通り越して哀れさえ感じるほどである。

一方、こんな声があることも、あえて紹介しておきたい。

「落とせ」の号令のもとカヌーから海中に引きずり落とされ、「一般市民ではない」と言われた20代の女性の言葉である。

「冷静に見ると、非常に暴力的な海上保安官は、全体の2割程度かな、と思います。皆が皆、乱暴者というわけではありません。でも、一部の保安官は、まるでネット右翼が洗脳されているように、わたしたちのことを乱暴に扱っても構わない、と信じ込まされているように感じます」

頷ける発言だ。取材者であり抗議者の一人であるという立場で、昨夏から折に触れて辺野古・大浦湾の海に出続けているわたしも、これまでいろんなタイプの海上保安官に会っている。

わたしの乗る抗議船にGBを横付けして拘束しつつ、「俺だって(この警備のやり方について)個人的な意見はあるよ。言えないだけで」と苦笑いしつつ語りかけてくれた海上保安官もいた。彼はウチナーンチュだった。こちらのウチナーンチュの船長と親しく会話している姿には、救われる思いがした。

わたしたちの本当の敵は、大浦湾で対峙している一人ひとりの海上保安官などではないのである。彼らを沖縄県民と対峙させ、民意圧殺のために働かせようとしている「官邸主導の強権政治」なのだ。

今回は言及するスペースはないけれども、辺野古のキャンプシュワブ・ゲート前で県警機動隊員やガードマンと抗議の市民が対峙させられている光景を見ても、同様のことが言えるはずである。

5月26日、菅官房長官は記者会見で、翁長知事が「埋め立て承認の取り消し」をしたとしても、工事は続行すると表明した。「辺野古を断念すれば、普天間飛行場の固定化を容認することにほかならない」とまで強調した。

翁長知事がこれに対して「脅しをかけてきた」と猛烈に反発したのも無理はない。民主主義を完全否定する独裁者的なこの発言に、多くの県民が憤りを禁じ得なかったはずである。

5月28日の未明、すなわち翁長雄志県知事や稲嶺進名護市長ら、米国に「新基地建設反対」の民意を伝える訪米団が那覇空港から飛び立った翌日だが、政府(防衛相沖縄防衛局)は、ボーリング調査のための作業台船を大浦湾に再投入した。沖縄の民意に対する侮辱的な挑発行為である。

翁長知事をはじめとする訪米団が、ハワイからワシントンDCへと移動した後の6月2日には、海底ボーリング調査の掘削作業を再開した。

梅雨が明けた大浦湾では、今日も明日も「粛々と」新基地建設工事作業が強行され、海上保安庁の「海猿」たちが、過剰警備の暴力的任務に就かされている。

沖縄県民は、とっくに答えを出している。

もう絶対に新しい基地は造らせない。

普天間基地の撤去は当然。辺野古新基地など言語道断。

本来は命輝く美しい海、辺野古・大浦湾。そこで繰り広げられている愚かな光景に一刻も早く終止符を打つために、必要なことはなんだろう。

民意を無視し踏みつける安倍政権の暴走に、NO!の声をはっきりと突き付け、自ら動くこと。

それは、国土の0.6%に過ぎない沖縄に現在も約74%の在日米軍専用施設を押し付けて安穏としている全国の人びとの、重大な責任ではないだろうか。責任を感ずべき人びとの中には、もちろん、わたし自身も含まれている。

 

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国家を凶暴化する「テロ等準備罪=共謀罪」対象の277罪(約300罪と理解した方が良い)

「一般人」も関係する可能性がある罪状が並んでいる。詐欺罪、威力業務妨害罪、旅券法、出資法、著作権法‥。

あなたがこの「罪」を犯すか、または該当するかしないかという問題もありますが、より問題なのは、何も実行していないのに、犯罪行為をなんら実行していないのに、「〇〇罪に該当するのでは?」という疑義を検察・警察などの公権力が認定すれば、監視(盗聴、盗撮、尾行、メール盗み見、密告者づくり)など情報を得るための捜査が行なえるということにあります。違法な現在でも、かってにGPS捜査がやられているのに、合法となれば「なにこそされるか」分かりません。際限なく、捜査やその手法が拡大されます。

そして、300もの罪に該当するとして「共謀や準備、計画」などを「でっちあげ」、捜査し逮捕することができる、まさに現代の治安維持法です。その意味で警察や公権力に「フリーハンド」を与える悪法と言わなければなりません。共謀罪は、国家を一層「凶暴」させる法律なのです。(※治安維持法は、わずか三つの罪で数十万の人が逮捕され、獄につながれ、数百人を死に至らしめた。300罪とは、ほとんどの罪であり、逃れることはできない。

東京五輪やテロ防止などの理由は、国民を騙すための「言い訳」に過ぎません。監視社会、密告社会、プライバシーのない閉鎖社会を許していけません。

5.21チラシ  6.10チラシ

20170309135626「テロ等準備罪=共謀罪」対象の277罪 共謀罪法案(全文)新旧対照表)

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テロ等準備罪=共謀罪 緊急反対署名

基本的には、中央単産・単組より各単組・組織に署名用紙が配布されます。

署名を取り組み、4月末までに署名用紙現物は中央単産・単組へ送付してください。

署名筆数のみ、県平和センターへ報告願います。<(_ _)>

170306平和F113「『共謀罪』の創設に反対する緊急統一署名」のとりくみ要請

共謀罪反対緊急統一署名

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