2009年度 活動の経過と総括

2009年度 活動の経過と総括

Ⅰ.はじめに

1.2009年8月30日投票の衆議院選挙において、民主党は308席を獲得、9月16日には民主、社民、国民新党三党による連立政権が発足しました。石川県平和運動センターは、日本の政治史上はじめての民意による政権交代を実現した熱気が高まる9月29日、第10回という節目の総会を開催し、「政権交代のパワーを反戦・平和、護憲、脱原発につなげよう!」のスローガンの下、平和をめぐる諸課題について活動方針を確認しあいました。
2.政権交代を実現できた要因として、自公政権の下で推し進められた「改憲による軍事大国化」と「新自由主義改革路線」による格差と貧困の拡大に対する国民の怒りがありました。さらに金融・経済、環境、安全保障など多くの面で世界的な転換期を迎える中、自民党的体質・政治手法では新たな時代に対応できないという国民の危機感もありました。反戦・平和、護憲、脱原発を掲げた平和運動センターのたたかいは、政権交代、政策転換を求める国民的なうねりに合流し、政権交代実現への一翼を担うことができました。三党は「政権交代という民意に従い、国民の負託に応える」とし、10テーマ33項目について政策合意を交わし、私たちはその実現に期待を寄せました。
3.平和フォーラムに結集する仲間が総力をあげてたたかい、実現させた政権交代です。この1年間の平和フォーラムや全国各地の平和運動は、従来からの大衆運動を基本としながらも、政策実現に向けた政府・与党(議員)との交渉や働きかけにも力が注がれました。
4.政権交代からほぼ1年が経過し、事業仕分けや核密約の調査・公表など政権交代の成果が一部であったものの、マニフェストで掲げられた政権構想は実現への道筋さえ見えていません。個々の政策については、当初は「国民との約束・契約」との表現で、各閣僚から実現への決意が語られましたが、財源の裏付け、住民など関係者や関係団体との合意形成、関係諸国との交渉など、政策実現への基本的なステップで大きくつまずき、政権担当能力が厳しく問われています。
5.平和運動センターの課題に絞って個々の政策を見たとき、私たちの失望はさらに大きく広がります。改憲手続法は多くの法的欠陥が指摘されながら、なんら修正もなく当初の予定通り、5月の施行を迎えました。温暖化対策としての原発推進、しかも国内だけでなく原発輸出までも模索し、原子力産業の生き残りと、新エネルギー分野の成長を押さえ込もうとしています。日印原子力協定は核廃絶に逆行する政策です。米軍再編は加速し、自衛隊の強化、海外展開への装備拡大も加速しています。在日米軍基地の見直しについては迷走を経た後、自公政権の政策に戻りました。
6.私たちはこの1年、政権交代を歓迎し、政策転換に期待を寄せつつも、平和課題前進への道のりの険しさを痛感してきました。参議院選挙を経て政局がますます混迷し、不透明感が増す時代だからこそ、私たちの反戦・平和、護憲、脱原発を掲げる私たちの役割はますます重要になります。この1年間のたたかいを総括し、さらなる運動の前進を図っていかなければなりません。

Ⅱ.憲法改悪を阻止し、憲法理念の実現をめざす取り組み

11月 1日(日) 第46回護憲大会(~3日・長野市)   約3000人・石川78人
3日(火) 平和憲法公布63周年記念石川県民集会(主催:九条の会・石川ネット)
12日(木) 第15回「いま、憲法と平和を考える」集会(主催:全国一般)
2月 2日(火) 活かそう憲法学習会(主催:県教組)
憲法を守る会常任委員会
23日(火) 活かそう憲法学習会(主催:県教組)
憲法を守る会常任委員会
3月24日(水) 憲法を守る会総会                   約100人
講演:松元剛琉球新報記者
演題:「基地・沖縄 負担軽減の虚飾」
5月 3日(月) 憲法集会(主催:憲法を守る会)            約200人
平和憲法施行63年記念石川県民集会          約800人(主催:九条の会・石川ネット)
講演:辻井喬さん
演題:「いま九条の活用を」
風刺口演:松元ヒロさん
演題:「権力を笑う」

1. 連立政権の政策合意では、憲法について「唯一の被爆国として、日本国憲法の『平和主義』
をはじめ『国民主権』『基本的人権の尊重』の三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。」と記されました。社民党の連立政権参加で当面の明文改憲への歯止めもかかり、憲法理念実現への時代が到来したという期待が護憲運動の間で高まりました。明文改憲の動きは一時的にせよ確実に後退しましたが、改憲勢力は野党自民党だけでなく政府与党内にも存在します。改憲手続法の施行を控え、決して楽観はできない憲法情勢の中、全国の仲間と連帯し、また県内諸団体と連帯し、以下の取り組みを展開しました。
2. 第46回護憲大会は11月1日から3日までの日程で、長野県で開催されました。北信越ブ
ロックでの開催ということから、石川県憲法を守る会として78人(うちの平和運動センター56人)という参加態勢で臨みました。
(1)開会総会で江橋崇実行委員長(平和フォーラム代表)は、「政権交代により、政治の中で憲法理念を実現していく可能性が開かれてきた」と指摘し、普天間問題は私たちにとって譲ることのできない課題だと訴え、全国的な運動の展開を求めました。福島瑞穂社民党党首(内閣府特命担当大臣・当時)は改憲手続法の2010年5月施行に触れ「社民党が連立政権の一員である限り憲法審査会は動かさない」と護憲への決意を力強くアピールしました。
(2)続くシンポジウムでは福島党首、平岡秀夫民主党衆議院議員をパネリストとし、江橋実行委員長をコーディネーターとして「対話と協調の世界を求め、市民政治の新時代に」を主題として、討論が展開されました。平岡議員は民主党が掲げる「政策決定の政府一元化」を説明し、市民団体などの運動は「政策決定の上で大変重要。新しい仕組みのなかでしっかり受け止めていく」と述べました。福島党首は、労働者派遣法の抜本改正や在日米軍基地再編の見直しなど、民主、社民、国民新党の与党3党合意を実現していくには「現場の運動と国会の政治をどうつなげていくかだ」と指摘し、「現場の力を高め、国民の力で政策を転換させよう」と呼びかけました。市民の声を新政権の政策に反映していきたいという両パネリストの熱い思いは伝わりつつも、新政権の下で進められる「官僚と政治家」、「国会と内閣」、「与党と内閣」などの関係の見直しは暗中模索状態で、市民の政治参加や国民主権を実現するという観点から、新しい政権構想に対し声をあげていく必要性を確認することができました。
(3)大会2日目は、「非核・平和・安全保障」、「教育と子どもの権利」、「歴史認識と戦後補償」、など7分科会、 「松代大本営地下壕見学と真田城下町の歴史散策ツアー」など2つのフィールドワーク、さらに映画の上映や運動交流などが行われました。このうち「非核・平和・安全保障」の分科会では、照屋寛徳社民党衆議院議員も一般参加し、米軍普天間基地の辺野古移設計画について「新政権が移設を強行すれば、沖縄県民の激しい怒りは収まらない」と沖縄県民の思いを代弁し、他の分科会でも「辺野古移設反対」が政権交代を実現したなかでの最重要課題として確認されました。総じて前回までの大会と比較し、政権交代を受け、憲法理念の実現に向けた取り組みがより具体的に、活発に議論されました。その一方で、新政権に対する評価、特に鳩山-小沢という改憲論者の体制を護憲勢力はどう受けとめるべきか、来年の参議院選挙で社民党を中心とした護憲勢力を勝利させないと憲法情勢は厳しいとの指摘もありました。
(4)最終日の閉会総会は、沖縄など全国各地からの特別提起を受けた後、藤本事務局長が「大会のまとめ」として「政治に提言する力は生活の場から生まれてくる。運動の輪を大きく広げていこう」と呼びかけました。最後に大会アピールを採択し、参加者全員の団結ガンバロウで大会は締めくくられました。
3.この他、憲法を守る会の構成組織として、憲法を守る会総会(3月24日)、憲法集会(5月3日)、平和憲法施行63年記念石川県民集会(5月3日・主催:「九条の会・石川ネット」)の各行動に参加してきました。

Ⅲ.米軍再編と「戦争する国づくり」を阻止する取り組み

9月11日(金) 小松基地爆音訴訟第2回公判
26日(土) 原子力空母横須賀母港化1周年抗議集会(横須賀市)
10月 6日(火) 小松基地爆音訴訟連絡会事務局会議
26日(月) 小松基地航空祭中止および日米合同演習参加抗議の申し入れ
(対小松基地・小松市)
27日(火) 国民保護実動訓練反対の申し入れ(対県・七尾市)
小松基地爆音訴訟連絡会学習会
講師:奥村回弁護士
31日(土) 普天間基地の閉鎖・辺野古新基地建設反対の打電行動の要請
11月 4日(水) 国民保護実動訓練反対ビラ新聞折り込み(七尾市内)
七鹿平和運動センター実動訓練反対街宣行動(~7日・七尾市内)
8日(日) 武力で平和はつくれない!国民保護実動訓練反対!11.8七尾集会 250人
国民保護実動訓練監視行動
9日(月) 国民保護実動訓練に対する抗議声明
15日(日) 九条の会・七尾学習会(14:00~・ワークパル七尾)
講師:中村哲さん(ペシャワール会現地代表)
演題:「アフガンの大地から世界の虚構に挑む」
16日(月) 帰れ米軍!日米合同演習反対11.16小松基地抗議集会 約100人
日米合同演習反対の申し入れ(対小松基地・小松市)
12月 1日(火) 金沢地区平和運動センター学習会(労済会館3階ホール) 約100人
講師:長谷部貴俊さん
(日本国際ボランティアセンター・アフガニスタン現地代表)
7日(月) 小松基地F15着陸失敗事故で申し入れ(対小松基地・小松市)
11日(金) 小松基地爆音訴訟第3回公判
24日(木) 近藤和也衆議院議員へ普天間問題で要請行動
26日(土) 田中美絵子衆議院議員へ普天間問題で要請行動
1月18日(月) 普天間基地撤去!辺野古新基地建設反対!街宣行動(香林坊)
26日(火) 小松基地爆音訴訟連絡会幹事会
30日(土) 普天間基地はいらない 新基地建設を許さない 1・30全国集会
(東京・日比谷公園)全体6,000人、石川16人
2月 2日(火) 陸上自衛隊金沢駐屯地日米合同演習参加中止の申し入れ
10日(水) 憲法九条を広める会第36回「集い」
講師:岩淵正明弁護士
12日(金) 2.8反戦平和を考える青年女性集会(18:15・地場産センター)
講師:山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長) 約120人
演題「米軍再編に揺れる沖縄 基地問題の現状と今後の闘い」
3月10日(水) 「小松基地チビッコ航空教室」反対で申し入れ
(対小松市、小松市教委、小松基地)
18日(木) 第2回普天間基地撤去!新基地建設反対!街宣行動(武蔵が辻)
24日(水) 憲法を守る会総会                   約100人
講演:松元剛琉球新報記者
演題:「基地・沖縄 負担軽減の虚飾」
26日(金) 「小松基地チビッコ航空教室」抗議行動(小松能美勤労協連絡会)
4月12日(月) 第5回爆音訴訟連絡会幹事会(小松労館)
14日(水) 普天間基地即時返還!新基地建設ノー!沖縄連帯北信越キャラバン
富山集会
15日(木) 普天間基地即時返還!新基地建設ノー!沖縄連帯北信越キャラバン
県内街宣(香林坊~白山市~小松市~加賀市~武蔵が辻)
石川集会(教育会館)                約200人
5月13日(木) 5.15沖縄平和行進・普天間基地包囲行動(~16日)   14人
25日(火) 第3回普天間基地撤去!新基地建設反対!街宣行動(武蔵が辻)
6月 7日(月) 帰れ米軍!日米合同演習反対6.7小松基地抗議集会   約100人
日米合同演習反対で申し入れ(対小松基地・小松市)
11日(金) 小松基地爆音訴訟連絡会総会(小松市公会堂)
15日(火) 第4回普天間基地撤去!新基地建設反対!街宣行動(武蔵が辻)
18日(金) 小松基地爆音訴訟公判
28日(月) 「普天間基地の辺野古施設阻止闘争」にむけた特別支援(カンパ)
7月16日(金) 青少年防衛講座反対の申し入れ(対小松基地)
28日(水) 第5回普天間基地撤去!新基地建設反対!街宣行動(武蔵が辻)
8月23日(月) 第6回普天間基地撤去!新基地建設反対!街宣行動(武蔵が辻)

1.普天間基地撤去、辺野古新基地建設反対のたたかい

1.昨年の衆議院選挙において鳩山首相は、普天間基地の移設問題について「国外、最低でも県外」と訴えました。さらに三党連立政権合意書においても「米軍再編や在日米軍のあり方についても見直しの方向で臨む」とし、普天間基地撤去に向けた新政権の取り組みに対する沖縄県民の期待は大きく高まりました。その後、米国政府からの圧力や外務、防衛官僚の抵抗などで閣僚発言が揺れ動く中、鳩山首相は12月25日、5月までに移設先を決定すると表明し、その前日には岡田外相がクリントン米国務長官にその旨を伝えました。「5月末決着」が対米公約となる中、平和運動センターは第3回運営委員会(1月6日)で「普天間基地撤去!辺野古新基地建設反対!」のたたかいを2010年上半期の最重点運動課題として確認し、街宣・ビラまき行動、打電行動、学習会、集会・デモ行進、国会議員への要請行動などの諸行動を全力で展開しました。
2.街宣・ビラまき行動は社民党議員団の参加も得て1月24日、3月18日、4月15日(北信越キャラバン)、5月25日、6月15日、7月28日、8月23日と、ほぼ毎月、昼休みの時間帯に1時間程度実施してきました。かつての沖縄戦の歴史や普天間基地の危険性、沖縄を侵略の拠点としている在日米軍の実態、辺野古移設は普天間代替ではなく巨大な新基地建設であることなどを重ねて訴えてきました。市民の関心は高く、1時間程度で毎回千枚近くのビラを配布することができました。マスコミも5月までは高い関心を示しましたが、日米合意後となる6月以降の街宣行動では、全国的な状況と同様、マスコミの取材が大きく減少しました。
3.新政権の普天間基地移設先探しが辺野古やむなしに傾く中、平和フォーラムは普天間基地閉鎖、新基地建設中止を求める国民世論を大きく盛り上げていくため、1月30日に東京・日比谷野外音楽堂で「普天間基地はいらない 新基地建設を許さない 1・30全国集会」を開催しました。石川県からの16人を含む6,000人が全国から結集し、5月に向けて米軍基地撤去・縮小への国民的世論をつくり出す決意を固めあうことができました。
4.青年・女性部は「2.8反戦平和を考える青年女性集会」で、沖縄平和運動センターの山城博治事務局長を招き、沖縄の現状とたたかいを学びました。この中で山城事務局長は、政権交代を実現したが、米国、官僚、マスコミの圧力が凄まじく楽観は許されないという情勢認識を示し、その上で「基地のたらい回しは普天間の危険を移転するだけで問題の解決にはならない。特に辺野古新基地は普天間基地の代替ではなく巨大な海軍基地であり、沖縄の基地機能をさらに強化するものだ」と指摘しました。政府与党の動きにも疑問を呈し、沖縄のたたかいは、国内はもちろんグアムも含め太平洋には軍隊はいらないという国際連帯の立場に立っていると表明し、5.15平和行進への結集を呼びかけました。平和運動センターは講演録を作成し、各構成組織等に配布し、普天間問題の認識を深めることができました。
憲法を守る会総会でも、松元剛琉球新報記者を招いて、沖縄の現状や日米安保、核密約の問題も含め学習を深めました。
5.平和フォーラム北信越ブロックは3月4日、北信越キャラバンを4月12日から16日の日程で実施し、普天間基地撤去の世論を北信越地域全体の大きなうねりにしていくことを確認しました。石川県内の行動には下地敏男那覇市議が参加し、金沢、白山、小松、加賀での街宣、そして教育会館での集会とデモ行進をおこない沖縄の基地問題解決に向けた県民の協力を訴えました。なお、新潟、長野、富山には宜野湾市に隣接する西原町の呉屋悟町議、福井県には宜野湾市から桃原功市議が参加し、それぞれ街宣行動や集会等に参加し、沖縄のたたかいとの連帯を深めました。
6.「5月決着」に向け、鳩山政権が辺野古へのくい打ち桟橋方式表明する中、本土復帰38年となる沖縄では5.15平和行進が行なわれ、平和運動センターは昨年を上回る14人を代表派遣しました。結団式に参加した後、辺野古を出発する東コースと、読谷村を出発する西コースに分かれ、2日間それぞれ約30kmを行進し、65年前の沖縄戦での地獄の体験を聞き、現在の基地被害の現状を目の当たりにし、沖縄の怒りを肌で感じることができました。さらに3日目は普天間基地包囲行動に参加しました。土砂降りの雨の中でしたが、伊波洋一宜野湾市長はじめ沖縄中部地区の自治体総ぐるみの取り組みに驚き、人間の鎖に続々と参加する住民の姿に感動し、全国の仲間、沖縄の仲間と包囲行動成功に歓声をあげ、基地撤去への決意を固めあうことができました。
7.鳩山政権は5月28日、移設先を辺野古と明記した日米共同声明を発表し、政府としての対処方針を閣議決定しました。徳之島やホワイトビーチなど様々な候補地が閣内から浮かんでは消え、迷走を繰り返した末の辺野古決定です。沖縄県民の島ぐるみの怒りは言うまでもなく、平和運動センターはじめ、この間、鳩山政権に期待をし、全国で普天間基地の撤去、新基地建設反対を訴えてきた平和勢力にとっても絶対に容認できないものです。昨年の総選挙で民主党に期待をした多くの有権者から見ても、発言が軽く、政策を実現できない内閣との印象を与え、内閣支持率低下の大きな要因となりました。
8.その後に発足した菅内閣は、日米共同声明を尊重する立場を明確にしています。8月末までの具体的位置や工法等を決定するとした方針は、沖縄県知事選等の日程等も踏まえ、先延ばしとなりましたが、「辺野古」で沖縄の理解を得たいとする方針に何ら変更はありません。平和運動センターは6月以降も引き続き街宣行動を行い、共同声明の撤回、普天間基地の撤去を訴え続けています。

2.米軍再編、小松基地への米軍戦闘機訓練移転阻止のたたかい

1.小松基地所属のF15戦闘機6機が2009年10月2日から17日まで、アラスカで行われた日米合同演習(レッド・フラッグ・アラスカ)に参加しました。アラスカでの演習内容は、米軍戦闘機が地上攻撃を行い、小松基地のF15戦闘機が米軍戦闘機の護衛にあたるというものです。しかもアラスカまでの飛行は米軍からの空中給油を受けての飛行であり、米軍と一体となった侵略戦争のための演習に他なりません。さらに小松基地出発時には予備機4機を含めた10機が10.4協定に違反し、はじめて深夜での離陸を強行しました。平和運動センターは爆音訴訟原告団らとともに10月26日、小松基地と小松市に対し、レッド・フラッグ・アラスカ参加に対する抗議の申し入れを行いました。
2.小松基地では3回目となる日米合同演習が2009年11月14日から20日まで、7日間の日程で行われました。米軍三沢基地所属のF16戦闘機が5機、岩国基地所属のFA18戦闘機が6機飛来し、参加した米兵は180人にのぼります。いずれもイラク戦争に出撃するなど米軍の世界戦略を担う主力部隊です。小松基地所属F15戦闘機との合同演習は、小松基地を米軍の指揮下に置き、小松基地の戦略的重要性を高めていくための訓練です。平和運動センターは社民党県連合や爆音訴訟原告団ととともに11月14日、基地ゲート前で抗議行動を行い、さらに小松基地と小松市に対し、合同演習中止の申し入れを行いました。
3.さらに4回目となる合同演習が6月5日から18日まで、過去最長の14日間の日程でおこなわれ、岩国基地所属のFA18戦闘機が10機、米兵180人が参加しました。沖縄の負担軽減を理由として小松市は訓練移転の受入を表明しましたが、2回目以降、三沢基地と岩国基地からの参加となっています。また、沖縄・嘉手納基地からF15戦闘機が飛来したときも、嘉手納基地の騒音が減少することはなく、米国本土などから別の戦闘機が飛来し、訓練が行われています。沖縄の負担軽減とは全く関係なく訓練が繰り返され、しかもその規模は拡大し続けているという実態を厳しく追及しなければなりません。今回も実質的訓練の初日となる6月8日、抗議行動を展開し、小松基地と小松市に対し訓練中止の申し入れを行いました。
4.陸上自衛隊金沢駐屯地も2月21日から3月7日まで15日間の日程で、岡山県日本原演習場での日米合同演習にはじめて参加しました。参加した米軍はイラクやアフガンで実戦を経験した海兵隊の第三海兵遠征軍です。つまりファルージャなどイラクの都市で市民の無差別殺人を展開してきた米兵から、自衛隊員が市街地戦闘の特訓を受ける場だといえます。金沢駐屯地からは2005年1月、人道復興支援の名目でイラクは隊員が派兵されましたが、今回の演習は「敵地」での戦闘訓練に他なりません。平和運動センターは社民党県連合らとともに合同演習参加中止を求める申し入れを金沢駐屯地に対し行いました。
5.小松基地所属F15戦闘機が12月4日正午前、胴体着陸という重大事故をおこしました。民間機も駐機する中、大惨事につながりかねない深刻な事故であり、平和運動センターは12月7日、社民党県連合や爆音訴訟原告団らとともに小松基地と小松市に対し、原因の徹底糾明と機体全体の安全管理体制の見直しを求め、申し入れを行いました。防衛庁航空幕僚監部の事故調査結果によると原因はパイロットの主脚の出し忘れとされました。F15戦闘機の機体のトラブルによる事故は国内外で相次いでおり、本当に機体の不具合がなかったのか、疑問は完全には解消されていませんが、例えパイロットの人為ミスであっても、それを防ぐ管制体制もできていなかったという意味において、基地全体の安全管理体制の緩みは深刻です。胴体着陸した機体は現在、修理の見積もり中で、再び県内上空を飛行することが検討されていますが、安全・安心の観点から許されるものではありません。
3.戦争教育、基地PRに反対するとりくみ
1.小松基地では毎年秋に航空祭が開催され、県内外から10万人前後の人たちが見学に訪れます。今年度は11月1日に行われました。その内容はF15戦闘機による機動飛行や編隊飛行、F4戦闘機による対地射爆撃飛行訓練、ブルーインパルスによるアクロバット飛行などが中心で、子どもたち向けの企画も盛り込まれています。基地を国民に公開し、理解してもらうことが目的と基地側は言いますが、航空際の実態は基地や武器の一方的なPRの場でしかありません。特に今回は湾岸戦争やイラク戦争で実戦を戦った機種と同型の米軍戦闘機も展示され、日米軍事一体化をアピールする場ともなっています。事故の危険性も高まり、通常訓練以上に騒音被害も深刻です。平和運動センターは10月26日、爆音訴訟原告団らとともに航空祭中止の申し入れを小松基地と小松市に対し行いました。
2.小松基地は3月26日、小中学生を対象とした「小松基地チビッコ航空教室」を開催しました。小松基地としてはじめての企画となりますが、募集から2日間程度で予定した小中学生100人の予約が完了したとのことです。内容は、最初に飛行機が飛ぶ仕組みの説明をして「航空教室」の体裁を装いつつも、F15戦闘機やUH-60J救難ヘリコプター、U-125A救難機の見学・搭乗体験や地対空ミサイル、対空機関砲、射撃統制装置など小松基地の装備をPRする場となっています。平和運動センターは爆音訴訟原告団らと3月10日、小松基地と小松市に対し「航空教室」中止の申し入れを行いました。また小松市は、内容を把握することなく基地の行事として「広報こまつ」に募集案内を掲載しました。私たちの申し入れを受け、市の担当者が「航空教室」の実態を把握するために参加しました。
3.小松基地は8月2日から3日にかけての1泊2日の日程で、北陸3県の中高校生を対象に青少年防衛講座を計画し、マスコミやホームページを通じて募集を行いました。内容は基地見学や基地内での生活体験など体験入隊であり、F15戦闘機や地対空ミサイル、対空機関砲などの見学、CH―47J輸送ヘリの体験搭乗も盛り込まれています。私たちの中止の申し入れに対し基地側は、1985年から実施してきたことを明らかにし、どこの基地でも行っていることだと開き直りました。この間の参加者募集は基地によれば「口コミ」とのことで、隊員など基地関係者の子どもやその友人、知人らを対象にしていたと思われます。今回はじめて広く30人を募集し、実際は応募のあった50人で実施しました。
4.従来の航空祭に加え、「チビッコ航空教室」、「青少年防衛講座」と、子どもたちをターゲットとした戦争教育の場を拡大する動きに対し、私たちは危機感をもたなければなりません。教育委員会を巻き込み、学校現場へも踏み込みかねません。基地側は否定していますが、これらの企画に参加した子どもたちの名簿を隊員募集に利用するのではないかとの疑惑も消えません。いずれにしても、子どもたちに、今日の日本の「平和」が基地や戦闘機など武力の存在によって守られているのだと教え込む場に他なりません。これらの企画の中には憲法9条はなく、かつての侵略戦争の歴史を反省し、近隣諸国の交流を深め、友好関係を築く中から平和を実現しようという視点もありません。引き続き自衛隊の動きを厳しく監視し、粘り強く抗議行動を展開し続けると同時に、他の基地所在地と連携したたたかいも必要です。

4.有事体制強化に反対するたたかい

1.県内では4回目となる石川県国民保護計画にもとづく訓練が11月8日、七尾市内を舞台として強行されました。実動訓練としては3回目の訓練となります。平和運動センターは10月27日、石川県と七尾市に対し中止を申し入れ、訓練当日は七尾市内で抗議集会・デモ、監視行動を展開し、翌日には監視行動の報告を踏まえて抗議声明を発表しました。さらに、七尾市内で2回目の訓練となることから、前回以上の対応が必要と判断し、訓練前の11月4日には旧七尾市内のほぼ全域に訓練への不参加を呼びかけるビラを新聞に折り込み、七鹿平和運動センターの協力をえて、11月4日から訓練前日の7日まで市内の街宣行動も実施しました。
2.実動訓練の基本的な問題点として、①日常生活の軍事化、②住民参加を事実上強制、③近隣諸国に対する敵対意識の煽動が指摘されます。さらに、今回の訓練で浮上した新たな問題として以下5点を指摘します。①国が主催団体としてはじめて参加し、指揮命令系統の国一元化を徹底させました。②参加機関が前回の52機関から93機関へと拡大し、住民や幅広い労働者を巻き込んだ総動員態勢的な訓練へと向かっています。③避難対象区域を拡大し住民参加の目標数を前回の230人から400人へと増加させました。私たちの不参加の呼びかけもあって、最終的には前回並みの参加者にとどまりました。④七尾市で2回続けての実動訓練でした。3年前には武器を携行した陸上自衛隊の徒行訓練も街中で実施されており、七尾港をテロ対策で重点的に活用していこうとする意図が感じられます。⑤はじめて学校施設が使用され、子どもたちの参加も確認されました。休日とはいえ、子どもたちに周辺諸国に対する敵対心を植え付けることにもつながり、平和教育推進の観点からも許されません。

5.小松基地爆音訴訟支援の取り組み

1.自衛隊違憲論や自衛隊と米軍の戦闘機の飛行差し止め、住民の健康被害の認定、損害賠償の請求、10.4協定の完全実施などを訴えた第5次、第6次訴訟の審理が続いています。米軍戦闘機の訓練移転が繰り返され、小松基地の機能強化が進められる中、反戦・反基地運動と裁判闘争が連携し、運動の拡大強化をはかることは非常に重要です。平和運動センターは爆音訴訟連絡会の支援団体に加わり、幹事会のメンバーとしても参加してきました。
2.公判の傍聴や原告団が主催する集会に参加してきました。また、平和運動センターが提起する小松基地関係の諸行動に協力を呼びかけてきました。

Ⅳ.東北アジアの非核・平和の取り組み

2月 6日(土) 韓国併合100年-東北アジアの和解と友好を考える2.6平和集会
講師:蓮池透さん(元・拉致被害者家族会副代表)
演題:「拉致問題の解決を求め続けて」
27日(土) 朝鮮学校「無償化」除外反対の打電行動
4月 6日(火) 朝鮮学校の「無償化」を求める打電行動
6月15日(火) 「東アジアとの新しい連帯を築く」署名の要請

1.日本の朝鮮半島植民地化から100年という節目をむかえ、過去の侵略と植民地化の歴史をふまえ、東北アジアの和解と友好に向けた取り組みを進めることが大切な課題となっています。しかし、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)とは日朝交渉が開始されて以来18年、拉致問題があり、さらに核実験の強行やミサイル発射などもあり、国交回復の糸口はいまだに見えていません。特に最大のネックとなっている拉致問題は、膠着状態が続く中、拉致被害者家族会や救う会は北朝鮮への強硬姿勢を強めており、私たちを含めた幅広い国民の共感が得られない運動となっています。しかし、日朝問題の打開には拉致問題は避けて通れない課題であり、平和運動センターとしても学習を深め、取り組みを進めなければなりません。そこで、かつて拉致被害者家族会の事務局長として活動していた蓮池透さんを招いて「2.6平和集会」をおこないました。
2.蓮池さんは、この間の自公政権の拉致問題の対応について、節目、節目での対応の誤りが続いてきたことを具体的に指摘し、命を軽く扱う政治が背景としてあること指摘しました。また、核問題と拉致問題を意図的に混同し、北朝鮮政権批判につなげようとする勢力がありますが、蓮池さんはそれぞれの課題は性格が異なり、核問題は六ヶ国協議の場で、拉致問題は日朝間で解決すべきとの立場です。その上で、課題解決に向けた戦略のない経済制裁は被害者救済につながらないと指摘し、対話による解決を訴えました。拉致問題や北朝鮮問題をめぐっては、常に家族会、救う会の発言や行動が報道され、強硬路線しかないかのような世論づくりがおこなわれていますが、当事者である蓮池さんからこの間の詳細な経緯を聞き、対話で解決という提案を受けたことは、今後の県内での取り組みを進めるうえで大きな意義がありました。
3.鳩山政権は、格差と貧困が拡大する中、すべての子どもたちの学ぶ権利を保障するという理念から高等学校授業料無償化法案を提案しました。多くの子どもたちが経済的理由で就学を断念せざるを得ない状況がある中、この政策自体はおおいに評価できるものですが、政治的な問題に絡めて朝鮮学校を対象から除外しようとする動きがありました。教育の機会均等、法の下の平等という観点からも許されることではありません。平和フォーラムからの要請を受けて、朝鮮学校を無償化の対象に含めるよう、2回にわたって政府に対し打電行動を行いました。

Ⅴ.改悪教育基本法の実効化を許さず、歴史認識の歪曲を許さない取り組み

9月10日(木) 第4回「学校現場の声を聞く」連続学習会       計31人
28日(月) 第5回「学校現場の声を聞く」連続学習会         計24人
10月23日(金) 2009石川県教育研究集会記念講演会
講師:藤田英典さん(国際基督教大学教授)
演題:「ゆたかな学びの空間づくり」
31日(土) 第9回「大東亜聖戦大碑」の撤去を求める全国集会
講師:前田哲男さん(軍事評論家)
演題:「新時代の平和戦略と市民の役割」
11月 4日(水) 東京大空襲訴訟支援団体署名の要請
21日(土) 教育改革キャンペーン県民集会(地場産センター)
24日(火) 教育総研「平和教育」小部会
12月11日(金) 南京大虐殺幸存者証言集会(18:30~・教育会館2階)
2月11日(木) 第8回建国記念日(「紀元節」)を考える市民集会
講師:半沢英一さん(金沢大学教員)
演題:「韓国併合100年の建国記念日に問う『坂の上の雲』」
5月 8日(土) インクルーシブ教育を私たちの手で!!北陸集会(教育会館)
15日(土) 歴史探検「軍都金沢から平和を考えるフィールドワーク」
(主催:金沢地区平和運動センター)
27日(木) 教育総研「平和教育」小部会
29日(土) 「聖戦大碑」撤去の会総会
8月 1日(日) 第10回「大東亜聖戦大碑」の撤去を求める全国集会
講師:内海愛子さん(早稲田大学教授)
演題:「キムはなぜ裁かれたのか-植民地支配・戦争裁判・戦後補償を考える」

1.教育問題では「2009石川県教育研究集会記念講演会」や「教育改革キャンペーン県民集会」、「インクルーシブ教育を私たちの手で!!北陸集会」に参加し、歴史認識の関係では「聖戦大碑」撤去の会の総会や全国集会、南京大虐殺幸存者証言集会に参加し、学習を深めました。

Ⅵ.反核・脱原発の取り組み

9月24日(木) 上関原発建設阻止の打電行動
10月 3日(日) 10.3原子力政策の転換を求める全国集会(東京・明治公園)
全体7,000人、石川39人
15日(木) 玄海原発のMOX燃料装荷中止を求める打電行動の要請
19日(月) 石川県原子力環境安全管理協議会傍聴
11月20日(金) 志賀原発2号機のトラブル続発に対する申し入れ(対北陸電力・県)
12月 5日(土) もんじゅを廃炉へ!全国集会(敦賀市)          116人
2月12日(金) 北鉄労働講座(プルサーマル問題学習会)
3月 1日(月) ビキニデー全国集会(静岡市)
9日(火) もんじゅ運転再開反対ハガキ行動の要請
20日(土) 命のネット総会・記念講演(志賀町文化ホール)
講師:広河隆一さん(フォトジャーナリスト)
25日(木) 学習会「志賀原発の現状を知る」(主催:原水禁ほか・総評会館)
26日(金) もんじゅ運転再開反対打電行動
4月13日(火) 石川原水禁常任執行委員会(フレンドパーク石川)
18日(日) もんじゅ再開反対!現地抗議行動(敦賀市白木海岸)    計65人
28日(水) ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク事務局会議
5月 6日(木) もんじゅ運転再開抗議!緊急集会(敦賀市白木海岸)
25日(火) 石川原水禁総会(フレンドパーク石川)
記念講演:世界に響け被爆者の声
講師  :西本多美子さん(石川県原爆被災者友の会事務局長)
6月14日(月) 志賀原発低レベル廃棄物搬出抗議行動          約100人
15日(火) 「政令を是正し『被爆体験者』に被爆者手帳発付を求める全国署名」の要請
17日(木) 非核・平和行進内灘集会(富山県からの引き継ぎ)      80人
18日(金) 非核・平和行進奥能登集会(珠洲労働会館前)       120人
19日(土) 非核・平和行進中能登集会(志賀原発団結小屋前)     110人
6.19対APEC市民エネルギーシンポジウム(福井市)   16人
21日(月) 非核・平和行進金沢地区集会(駅西中央公園~金沢市役所前)130人
非核・平和行進白山地区集会(「市民工房うるわし」前)   180人
22日(火) 非核・平和行進南加賀地区集会(小松市役所前)       80人
28日(月) 北陸電力プルサーマル申し入れに対する抗議声明発表
29日(火) プルサーマル反対北陸電力本店申し入れ
7月 1日(木) プルサーマル反対石川県へ申し入れ
29日(木) ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク事務局会議
17日(土) 「原爆の子」上映会
8月 4日(水) 原水禁世界大会広島大会(~6日)             15人
7日(土)    〃   長崎大会(~9日)             15人
28日(土) 原発震災3周年 やっぱりいらない!柏崎刈羽原発集会(柏崎市)
30日(月) ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク事務局会議

1.核兵器廃絶と被爆者の権利確立の取り組み

1.非核・平和行進は6月17日から22日までの日程で、内灘、珠洲、志賀、金沢、白山、小松の県内6ヶ所を会場として実施しました。昨年、はじめて富山県からの引き継ぎを内灘会場で実施しましたが、今年度はさらに内灘町内での行進も実施しました。各会場では社民党議員団や連携する無所属議員からあいさつを受け、八十出泰成内灘町長、泉谷満寿裕珠洲市長からも原水禁運動への激励の言葉を受けました。この他、金沢市労働政策課からは市長メッセージが読み上げられ、白山、小松、野々市の各自治体からもメッセージが届けられ、各会場で紹介されました。今年の非核・平和行進では、核兵器の廃絶、被爆者の権利確立を訴えるとともに、志賀原発のプルサーマル反対、小松基地での日米合同演習反対という地域課題、さらに普天間基地の撤去、辺野古新基地建設反対を最重点の平和課題として訴えました。
2.昨年12月には金沢市、今年5月には珠洲市が平和市長会議に加盟しました。県内では野々市町、内灘町に次ぐ加盟で計4自治体となりました。自治体議員や地区平和センターからの働きかけの成果です。今後は、加盟を機に自治体の平和行政の拡充を働きかけると同時に、さらに加盟自治体が拡大するよう取り組みを強化していかなければなりません。
3.2010原水禁世界大会へは、広島大会、長崎大会ともに15人の代表団を派遣しました。
(1)両大会ともに1日目の開会集会は原水禁、連合、核禁会議の3団体共催で行なわれるため、集会内容は三団体で一致できる課題に絞られます。したがって、脱原発課題はじめ改憲手続法施行や米軍再編、日米安保や核の傘の問題、日印原子力協定や原発輸出の問題などには触れない薄味の集会となります。また、政権交代後はじめての原水禁大会ということで、核廃絶に向けた新政権の取り組みに対する期待は語られますが、この1年間の具体的な政策に対する踏み込んだ評価はほとんどありません。このため、労働界の結集が優先されるあまり、幅広い平和勢力を結集する場とはなり得ていないとの批判があります。広島大会では集会前に平和公園や原爆資料館を訪れ、長崎大会でもまず爆心地公園を訪れ、被爆の実相を学ぶ中から大会に参加していく日程としています。
(2)2日目は分科会、フィールドワーク、映画上映会、国際会議等に参加します。原水禁としての取り組みとなるため、分科会では、政府の核廃絶へのリーダーシップが見えないという批判やプルサーマルの推進、温暖化対策の名の下の原発増設に対する批判に加え、原発輸出や日印原子力協定など自公政権下でも踏み込めなかった課題に踏み込もうとする菅内閣に対し、怒りや失望の声もあがりました。NPT再検討会議直後の大会ということで、開会集会でもすべての発言者がNPTに触れましたが、分科会や国際会議では、その成果や今後の課題について踏み込んだ議論が展開されました。海外ゲストを中心に、核兵器禁止条約実現への具体的戦略の必要性が語られ、そのための非核地帯構想の推進や国際人道法の観点からの核兵器違法の議論を深めるべきという論点が示されました。韓国併合100年という節目の年でもあり、あらためて加害・被害の両面から過去の歴史を捉える発言も多くありました。
(3)3日目は総括集会への参加となりますが、広島大会ではその前に平和記念式典に参列します。民主党・菅首相は初参加ですから、本来、その発言に大いに関心が集まるべきところですが、式典の主役は潘基文国連事務総長であり、ルース米国大使の参列でした。ルース大使の参列は被爆地として複雑な受けとめ方になりますが、核兵器禁止条約を提唱する潘基文事務総長の参加は熱い期待をもって歓迎されました。長崎は例年通り、家野町公民館での慰霊碑を墓参し被爆者から体験談を聞きました。総括集会での藤本泰成事務局長のまとめでは核廃絶に逆行する政府の日印原子力協定締結の動きに対し、絶対に認められないという原水禁の方針が示されました。政権交代後も残念ながら原水禁課題の前進はみられないという厳しい情勢認識を共有しつつ、運動強化への決意を固めあって閉会となりました。

2.脱原発、反核燃料サイクル路線の取り組み

1.エネルギー政策の転換に向けて、六ヶ所村再処理工場稼動阻止、「もんじゅ」運転再開阻止、プルサーマル中止は当面する最重要課題です。平和フォーラム・原水禁は、全国各地の原発現地でのたたかいが多くの成果をあげつつも、それが国政での政策転換につながっていないとの認識から「10.3原子力政策の転換を求める全国集会」を東京・明治公園で開催しました。参加者は石川県からの39人を含む約7,000人で、全国の原発現地からも多くの参加があり、それぞれブースで特産品の販売や運動を紹介する資料の配布、ステージからのアピールを通じて交流を深めました。全体集会では内閣府特命担当大臣に就任したばかりの福島みずほ社民党党首が参加し、連立政権の中で取り組める脱原発課題を示し、閣僚の一員としての奮闘する決意をアピールし、政権交代を実感することができました。
2.2009年度中の「もんじゅ」運転再開が計画される中、政権交代によって設立された行政刷新会議が無駄の塊とも言える「もんじゅ」に対し、どのような判定を下すのか注目されました。しかし、結果として「もんじゅ」の運転関係経費233億円に加え、「もんじゅ」の次のステップとなる実証炉開発費203億円までが認められるという判断となり、事実上、新政権下での運転再開容認が決定しました。平和運動センターは原水禁や「原子力発電に反対する福井県民会議」からの呼びかけを応え、12月には「もんじゅを廃炉へ!全国集会」、4月の運転再開直前におこなわれた「もんじゅ再開反対!現地抗議行動」、そして運転再開となった5月6日の「もんじゅ運転再開抗議!緊急集会」に参加し、さらに運転再開中止を求めるハガキ行動や打電行動にも取り組みました。「もんじゅ」で万が一事故があった場合、その影響は軽水炉の比ではなく、平和運動センターとしても、「もんじゅ現地」として、引き続き廃炉に向けたたたかいを強化しなければなりません。
3.アジアへの原発輸出の突破口にしようとアジア太平洋経済協力会議(APEC)エネルギー担当閣僚会議が6月19日、福井市内で開催されました。原水禁や「原子力発電に反対する福井県民会議」は抗議行動と「6.19対APEC市民エネルギーシンポジウム」を開催し、平和運動センターは17人を派遣しました。デモ行進は、近年見かけない物々しい警備の中で行われ、原発輸出にかける政府の意気込みが伝わるようでした。その後のシンポジウムでは原発がCO2削減に効果がないことが具体的データで示され、さらに政府が進める原発輸出政策が原子力産業の生き残りをかけた勝負手であり、世界規模で急速に展開されている新エネルギーシステムの導入の機会を奪うものであることが明らかにされました。

3.志賀原発に反対する取り組み

1.2015年度までのプルサーマル導入を掲げる北陸電力がいつ、自治体申し入れを行うかが焦点となっていました。当初は今年3月の県知事選挙後、早々に動くのではないかと思われましたが、昨年7月に定期点検に入った志賀2号機で人為ミスが続発し、定検は当初の10月終了予定を大きくオーバーし2月18日まで要しました。この間、通報対象となったトラブルは8件、はじめての火災も含めてその多くは初歩的な人為ミスでした。原因として熟練労働者の減少、下請労働者の作業の質の劣化が深刻化していることが伺われます。北陸電力は昨年3月、2号機の再稼動にあたって、志賀2号機の全設備の健全性を確認し、手順書も含めた安全対策の総点検を終えたと県に報告し、県はそれをもって再稼働を承認しました。平和運動センターは11月20日、社民党県連合や市民グループとともに石川県と北陸電力に対して申し入れを行い、再稼働了承の経緯の検証も含め、根本的な原因の究明を求め、それまでは2号機の運転を再開しないよう要請しました。
2.北陸電力は6月28日、石川県と志賀町に対し、志賀1号機のプルサーマルの実施について安全協定に基づく事前協議の申し入れをし、国に対しても原子炉設置変更の許可申請を提出しました。トラブルが続いた2号機が再稼働して4ヶ月あまり、安全運転の実績を積み重ねるとした久和新社長の発言とは裏腹に、参議院選挙の最中という異例な時期の申し入れは、2015年導入を掲げた北陸電力の焦りが現れたとも言えます。この申し入れの4日前、定検中の1号機で人為ミスによる制御棒の誤作動が起きていました。県への報告は7月5日、県民への公表は7月9日でした。繰りかえされる人為ミス、制御棒の構造的欠陥に加え、隠ぺい体質も全く改善されていないことが明らかとなりました。
3.平和運動センターは申し入れが行われた6月28日、ただちに抗議声明を発表し、翌29日には北陸電力、7月1日には石川県に対し「ストップ・プルサーマル北陸ネットワーク」の構成組織として申し入れを行いました。北陸電力は私たちが指摘したプルサーマルの具体的な疑問点に対し何ら回答しようとせず、県も県民シンポジウム開催の要望に対し、国の安全審査と地元志賀町の理解を尊重すると述べるにとどまり、県としての対応は見えません。

Ⅵ.政党、議会、選挙との関わり

10月 6日(火) 加賀市議選・林事務所、細野事務所陣中見舞い
10月 9日(金) 山添事務所陣中見舞い
11日(日) 加賀市議選、七尾市議選告示
18日(日) 加賀市議選、七尾市議選投開票
11月 1日(日) 民主党県連パーティ(ホテル日航金沢)
14日(土) 社民党スクール 阿部とも子in石川(教育会館)
1月16日(土) 社民党県連合新春交歓会
2月25日(木) 知事選挙・告示
3月14日(日) 知事選挙・投開票日
4月18日(日) 社民党県連合定期大会(労済会館)
6月24日(木) 参議院選挙公示
7月 5日(月) 参議院選挙沖縄選挙区・山城博治候補(沖縄)へメッセージ送付
7月11日(日) 参議院選挙投・開票日

1.参議院選挙
◇石川県選挙区

西 原   啓 (民主・新) 211,373票
当 選 岡 田 直 樹 (自民・現) 304,511票
近 松 美喜子 (共産・新) 10,982票

◇比例区

党 派 県内得票数 比 率 全国得票数 比 率 議席数
民 主 176,274 32.45 18,450,140 31.56 44
社 民 13,328 2.45 2,242,736 3.84 2
国民新 12.028 2.21 1,000,036 1.71 0
自 民 189,900 34.95 14,071,671 24.07 51
公 明 47,040 8.66 7,639,432 13.07 9
みんな 59,167 10.89 7,943,650 13.59 10
共 産 29,814 4.29 269,705 6.04 3

 

2.平和運動センター構成組織が自治体議員選挙で推薦した候補者の結果は以下の通りです。
◇加賀市議会議員選挙(10月18日投票)   林  俊昭  当選
細野 祐治  当選
◇七尾市議会議員選挙(10月18日投票)   山添 和良  当選

3.民主党石川や社民党石川県連合には平和運動センターの総会や新春の集いをはじめ、各集会や街宣行動で協力を求めてきました。民主党石川や社民党石川県連合からの集会やパーティの呼びかけにも可能な限り協力をしてきました。

Ⅶ.関係団体と共同行動を広げる取り組み

1.石川県勤労者協議会連合会との連携について

1月 6日(水) 新春の集い(148人)
4月25日(日) 県勤労協総会(山代温泉「瑠璃光」)

1.「車の両輪」として連携していくことを方針としており、「新春の集い」は2005年以降共催で開催しています。平和運動センターの総会や主催する集会等でも連帯のあいさつを要請し、参加も呼びかけてきました。
2.県勤労協が取り組む物販活動については、平和運動センター代表も勤労協会長と連名で地域勤労協・単産・単組へ協力を呼びかけています。

2.連合石川との連携について

1月 5日(火) 連合石川結成20周年記念講演・式典・祝賀会(14:00~)

1.連合結成20年を記念しての記念講演・式典・祝賀会に参加しました。
2.国民保護実動訓練反対!11.8七尾集会では連帯のあいさつを受け、石川原水禁の総会でもあいさつを受けました。非核平和行進でも連合地協からあいさつを受けています。また、原水禁世界大会では、原水禁・連合・核禁会議の3団体で開会集会を開いていることから、広島大会、長崎大会ともに開会集会後の夕食・懇親会を合同でおこなっています。

3.護憲諸団体との連携の拡大について

【石川県憲法を守る会】
1.2004年の総会で体制を強化し、従来の平和運動センター、社民党県連合、社会法律センターに、県勤労協、がんばれ社民党石川の会、瑞穂と一緒に国会へ行こう会が加わり、2005年からは金沢地区平和運動センターも参加しています。代表委員は社会法律センター(岩淵弁護士)、平和運動センター(柚木代表)、社民党県連合(宮下代表)、そして澤信俊金沢星陵大学教授の4人とし、事務局長は社民党県連合(清水幹事長)、事務局次長は平和運動センター(北野事務局長)から出しています。
2.第46回護憲大会は11月1日~3日まで3日間の日程で、長野市で開催され、憲法を守る会は平和運動センターからの56人を含む78人を派遣しました。
3.県内では5月3日には約200人が参加し金沢市役所前広場で「5.3憲法集会」を開催し、集会後、市内デモを行いました。また、4月22日から5月1日までラジオCMをおこない、多くの県民に護憲をアピールしました。
4.3月23日には総会を開催し、会員の拡大など活動方針を確認しました。総会の第2部として、琉球新報松元剛記者を招いて記念講演をおこない、沖縄問題への理解を深めました。

【原水禁石川県民会議】
1.2008年に総会を復活させ、今年度も5月25日に総会を開催することができました。 総会議事終了後、石川県原爆被災者友の会の西本多美子事務局長を招いて「世界に届け!被爆者の声」と題しての記念講演を行い、被爆者のおかれている状況やNPT再検討会議に参加した様子について報告を受けました、
2.原水禁平和行進は県内6会場で取り組みました。広島、長崎の両世界大会へはそれぞれ15人を派遣しました。これらの取り組みには、石川県を含め17の自治体から賛助金を受けています。

【石川県社会法律センター】
11月25日(水) 石川県社会法律センター理事会
12月15日(火) 石川県社会法律センター第32期総会

1.石川県社会法律センターは1978年10月7日、当時の石川県評や社会党議員団と協力関
係にある弁護士有志等により設立され、県下労働者・市民の生活と権利を守り、民主主義の擁護、発展に向けて労働運動、住民運動を法律面から支えることを目的にしてきた組織です。登録されている弁護士は15人です。主たる活動として無料の法律相談があり、小松基地爆音訴訟や志賀原発差止め訴訟の弁護団としてもたたかっています。理事長は北尾強也弁護士、平和運動センターからは副理事長に柚木代表、理事に北野事務局長を送っています。
2.12月15日には第32回定期総会が開かれ、経過報告、決算報告、今年度の活動方針と予算案が提案通り承認されました。議案審議のあと、事務局長の川本蔵石弁護士から「小松基地と米軍再編」と題して講演がありました。
3.平和運動センターとタイアップした「くらしの相談」は、相談件数の減少と財政事情から中止としました。

【「聖戦大碑」撤去の会】
1.2000年8月に護国神社横の都市公園に建立された「大東亜聖戦大碑撤去」の撤去を求
め、2001年5月26日、「大東亜聖戦大碑の撤去を求め戦争の美化を許さない石川県民の会」が設立されました。「県民の会」はその後、運動を全国展開していくことが確認され「大東亜聖戦大碑の撤去を求め戦争の美化を許さない会」(略称:「聖戦大碑」撤去の会)として活動を続けてきました。
2.平和運動センターは「会」の趣旨に賛同し、当初から共同代表の一角を担っており、現在は柚木代表が共同代表を務めています。総会や全国集会、さらに撤去の会が主催団体の1つとして開催される「南京大虐殺幸存者証言集会」への参加を呼びかけてきました。

【住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川】
2005年5月30日には一審勝訴判決を勝ち取りましたが控訴審で逆転敗訴、最高裁でも国の主張を全面的に採用した不当判決が出され敗訴が確定しました。2008年6月23日の判決報告集会を区切りとして活動はほぼ休止していますが、引き続き住基ネットの運用を監視し、全国でたたかわれている訴訟と連帯していくため、会自体は存続しています。

【憲法九条を広める会】
1.五十嵐正博神戸大学大学院教授と岩淵正明弁護士が共同代表を務めます。
2.平和運動センターが取り組む集会等への参加を呼びかけ、また、広める会が主催する学習会についても広報に協力してきました。

【九条の会・石川ネット】
1.岩淵正明弁護士はじめ60人の呼びかけ人が賛同人を募る運動形態をとり、2010年1月時点で賛同人は761人います。2004年12月15日の発足集会はじめ各行事では県内護憲団体に協力を呼びかけており、平和運動センターは憲法を守る会の構成団体として協力をしてきました。運営は呼びかけ人、賛同人が参加する運営委員会の協議のもとで進められていきます。事務局には北野事務局長が参加しています。
2.年2回県民集会を開催しています。今年度は11月3日の県民集会では前岩国市長の井原勝介さんや小松基地爆音訴訟弁護団の川本蔵石弁護士らをパネラーとしてシンポジウムをおこない、5月3日には詩人・作家の辻井喬さんとコメディアンの松元ヒロさんを招いて、9条をめぐる情勢や9条を守る意義などについて学習を深めました。また毎月9日には「9の日行動」として香林坊で街宣・ビラまきをおこない、その他、情勢に応じて記者会見や声明を発表しています。
【七尾強制連行訴訟支援会】
1.2005年7月19日、第二次世界大戦末期に中国から日本へ強制連行され、強制労働させられた中国人399人のうち4人が原告となり、国と七尾海陸運送(株)を被告として損害賠償請求と謝罪を求める裁判を金沢地裁におこしました。
2.「七尾強制連行問題を調査する会」が中心になってこの裁判を支えようとの呼びかけがあり、2005年7月18日に「七尾港に強制連行・労働させられた中国人の戦後補償を求める訴訟を支援する会」が発足しました。平和運動センターは団体会員として参加しています。
3.2008年10月31日の一審判決は、違法な強制連行・強制労働であった事実は明確に認め、企業だけでなく国の安全配慮義務違反も明確に断罪しましたが、「日中共同声明によって個人の請求権は放棄されている」として原告側の請求を全て棄却する不当判決でした。控訴審判決は2010年3月10日言い渡され、国・企業の共同不法行為と安全配慮義務違反を認定しましたが、一審同様日中共同声明により請求権を放棄したと認定し、控訴を棄却しました。原告側はただちに上告しましたが、2010年7月15日、上告棄却の決定が出されました。

【小松基地と戦争に反対する小松市民と県民の会(反基地県民の会)】
第5次、第6次爆音訴訟が提訴されました。2回目となる米軍戦闘機の訓練移転がおこなわれ、全国の反基地闘争との連帯や、労組の枠を超えた幅広いたたかいの組織化など、法廷外闘争の強化が求められています。会の再建が課題となっていますが、組織の再建には至りませんでした。

Ⅷ.組織財政の立て直しと運動の裾野を広げる取り組み

1.加盟組織について

1.日本国公立大学高専教職員組合金沢大学支部(石川多加子支部長、組合員1名)から11月6日付けで加盟の申請があり、11月26日の第2回運営委員会で加盟を承認しました。これにより加盟組織は17となりました。しかし、登録組合員数は前年を294人下回り、7,082人(8月末現在)と減少を続けています。

2.運営体制について

1.運営委員会を9回、地区代表者会議を2回、三役会議を10回開催しました。引き続き構成団体の意思統一を図るため、状況に応じて必要な会議を開催していきます。
2.発文書数は113回(9月2日現在)でした。今後も方針に沿って必要な発文を送付します。
3.限られた事務局体制の下、運動課題の重点化、加盟組織の実態をふまえた行動提起、事務作業の簡素化・効率化等など様々な角度から事務作業を点検し、拡大していく課題に対応してきました。
4.「新春の集い」は県勤労協と共催で開催しています。参加者は148人、谷本知事や連合石川・狩山事務局長ら多くの来賓が参加する中で盛況に開催することができました。

3.組織財政の立て直しについて

1.主要組合が2005年度前後に相次いで脱退して以降、一般会計の単年度収支は約800万円前後のマイナスで推移してきました。この間、経費削減に努め、収入の不足分は基金の取り崩しで対応し、脱退した組合の復帰を要請してきましたが、財政は厳しさを増し、組織存続の危機に直面しています。そこで、昨年の総会での方針を受け第1回運営委員会で以下の通り、組織・財政検討委員会を発足させました。
(1)構成メンバー
県平和運動センター   柚木代表、本田、田村、中田、岩田、森副代表、北野事務局長
金沢地区平和センター  中村議長
小松能美勤労協連絡会  長田代表
七鹿地区平和センター  森議長(県平和C副代表)兼ねる
(2)協議事項
財政が危機的状況をむかえる中、石川県平和運動センターの存続を大前提に、財政の再建と組織・運動の方向性について、地区平和運動センターや関係団体のあり方も含めて、中期的視点(約10年)で協議していく。
(3)協議スケジュール
第11回(2010年)定期総会で基本的方向性を示す。年度途中でも、早期に実施すべきと判断される課題があれば、中間報告をまとめ運営委員会に諮ることとする。
2.会議の経過
11月26日 第1回組織・財政検討委員会
2月26日 第2回組織・財政検討委員会
3月 9日 県勤労協との意見交換会(第1回)
4月20日 県勤労協との意見交換会(第2回)
26日 金沢市勤労協との協議(第1回)
5月28日 金沢市勤労協との協議(第2回)
7月15日 第3回組織・財政検討委員会
3.組織・財政の立て直しに向けた具体的対応と今後の見通しについて
(1)当面の対応
第2回組織・財政委員会でPEACEネット石川(個人会員制度)の拡大とさらなる経費の削減に努めることを確認しました。個人会員は昨年度末118人のところ、県教組の166人増を中心に各構成組織の協力により302人まで拡大が図られました。これにより、今年度は約64万円の収入増となり、さらに街宣車の売却代金も含め74万円の収入増となります。また、経費の削減については、近年、相談件数が減少傾向にあった「くらしの相談」の中止、街宣車の売却による車両維持費削減、負担金の軽減で約82万円の支出を削減しました。これらにより今年度は基金会計からの繰り入れは670万円の抑えることができました。
(2)2010年度以降の対応について
ア.勤労協交付金会計の取り扱いの変更
平和運動センター各構成組織(金沢市公企労、森八労組、日大教を除く)が勤労協交付金会計に納入していた年会費(500円×登録組合員数)は2011年4月より平和運動センターが徴収し、新たに設ける特別会計「地域共闘資金」に納入することとします。平和運動センターは「地域共闘資金」の40%を勤労協交付金会計に納入し、60%を平和運動センター一般会計に繰り入れることとします。これにより、2010年度は約200万円の収入増が見込まれます。なお、この配分割合については、平和運動センターの財政建て直しのための緊急措置的対応であり、財政見通しの推移を踏まえ、毎年の総会で決定していくこととします。
イ.個人会員について
会員の拡大と会費納入率の向上に努めます。これにより2008年度比64万円+αの収入増を図ります。
ウ.支出削減について
「くらしの相談」の中止、街宣車の売却による車両維持費削減に加えて、分担金のさらなる軽減(交渉中もあり)、事務局体制の見直しによる人件費削減で計約200万円+αの支出削減となります。
エ.以上により、2010年度の収支差額は350万円以内に収めることが可能となります。
(3)今後の財政見通しについて
ア.2009年度末の特別会計(基金会計、政昂資金、小松基地訴訟)の残高は2,120万であり、計算上では向こう6年間は組織の維持が可能となります。ただし、毎年の会費収入の減少は不可避であり、さらなる個人会員の拡大、経費削減の努力が求められます。
イ.2016年度以降の組織存続に向けては、①さらに踏み込んだ組織の見直し、②脱退した組合の再加盟要請、③人件費の見直し等が避けられません。
(4)勤労協運動との連携強化について
今回の組織・財政の見直しにあたっては、勤労協や地区平和センターの関係も含めて協議を重ねました。当面の対応では、勤労協財政に多大な影響を及ぼすこととなります。勤労協運動が各単産・単組から見えにくいとの指摘もありますが、勤労協は地域を拠点とした労働者、勤労者の平和活動や地域づくりの運動の担い手であり、多くの地域では地区平和運動センターと緊密に連携をし、あるいは一体となって運動を展開しています。県勤労協には活動内容を平和運動センター構成組織に周知する努力を求めつつ、地区平和センターと地域勤労協は、今後とも協力関係を強化していく方向を志向することとします。

4.政策決定への影響力の強化について

12月18日(金) 「2009年度制度政策要求」県申し入れ
24日(木) 近藤和也衆議院議員へ普天間問題で要請行動(再掲)
26日(土) 田中美絵子衆議院議員へ普天間問題で要請行動(再掲)

1.平和フォーラムは従来から総会方針決定を受けて、平和課題について中央省庁に対し、制度・政策要求を提出してきました。政権交代が実現し、政策転換への期待が高まる中、外交・防衛政策、エネルギー政策などの専門委員会を設けて、政策提言機能を強化する方針を示しました。県内では志賀原発や小松基地、国民保護実動訓練などの課題について、問題が起こる度に平和運動センターは申し入れや集会などの諸行動を実施してきましたが、非核・平和の石川県政に向けて、行政全般にわたる「制度・政策」要求を12月18日、杉本副知事に対して行いました。
2.回答については、総じて県としての主体性が感じられず、平和行政の弱さをあらためて実感させるものでした。特に県は小松基地の課題では10.4協定、志賀原発の関係では安全協定の当事者ですが、協定当事者としての自覚がなく、地元の以意向を尊重するという姿勢が目立ちます。運動と連動させた要求内容の充実、個別課題では担当課と具体的内容に踏み込んだ交渉の場を持つことも重要です。
3.普天間基地問題について、辺野古移設への米国からの圧力が強まる昨年末、平和フォーラムの方針を受け、新基地建設反対、米軍基地の縮小、閉鎖等について近藤和也代議士、田中美絵子代議士に要請行動をおこないました。奥田代議士は日程の調整がつきませんでしたが、趣旨を伝え、協力を要請しました。その後、日米共同声明発表前日となる5月27日、129人の衆参国会議員が普天間基地の国外・県外移設を求める「5,27普天間問題緊急声明」を発表し、奥田、田中両代議士も名前を連ねました。近藤代議士は緊急の取り組みだったため、連絡が間に合わず名前を連ねていませんが、声明に賛同する旨を確認しています。

4.教宣活動について

1.「PEACE石川」は10月、1月、6月の3回の発行でした。最低年4回、運動の展開とかみ合った迅速な発行体制が求められます。ホームページには集会等の活動案内や申入書、打電の文書を随時掲載しています。平均アクセス件数は1日15件前後であり、今後とも新鮮な情報を掲載し、組合員に活用される内容となるよう努めます。
2.学習用教材としては、平和フォーラム発行の普天間問題パンフレット「普天間基地はいらな
い 新基地建設をゆるさない」、「普天間基地問題についての考え方」を購入、斡旋し、2.8反戦平和を考える青年女性集会での山城博治沖縄平和センター事務局長の講演録を作成し、配布しました。また、2009年版憲法9条カレンダーを紹介しました。

5.署名運動の取り組み

今年度は以下の署名運動に取り組みました。
名    称               集約日        集約数
◇玄海原発プルサーマル反対署名集約    2009年9月10日 21,210筆
◇原子力政策の転換を求める署名       2009年9月10日   3,738筆
◇上関原発反対署名               2009年9月10日  3,715筆
◇核兵器廃絶1000万署名           1月31日
※連合石川加盟組織は連合石川で集約
◇司法修習生の給費制の存続を求める請願署名     8月18日  5,418筆
◇「東アジアとの新しい連帯を築くことを求めます」     9月15日    集約中
◇政令を是正し『被爆体験者』に被爆者手帳発付を求める全国署名 9月15日  集約中

6.地区平和運動センターとの関わりについて

1.地区平和運動センターの総会開催状況は次の通りです。
七鹿(5月21日)、羽咋(5月22日)、珠洲(5月24日)、白山(5月25日)、金沢(6月10日)、輪島・穴水(6月10日)、小松能美(6月25日)、能登(7月29日)、加賀(8月10日)
2.懸案となっていた輪島、穴水、門前の地区平和運動センター統合は、地元役員の努力で6月10日、統合総会を開催することができました。珠洲市を会場としておこなわれた非核・平和行進奥能登集会にも参加し、今後も学習会の開催などが予定されています。活動を軌道に乗せ、奥能登の平和運動の中核組織として発展していくことが期待されます。
3.河北は2002年度に総会を開いて以降、総会が開かれず、活動は休止状態となっています。再建が課題となっていますが、具体化させることはできませんでした。
4.各地区平和運動センターは、例年、非核・平和行進にとりくむと同時に、各地区の課題を踏まえた独自の行動も見られます。金沢地区平和運動センターは、「軍都金沢から平和を考える」フィールドワークを2年続けて実施し、侵略戦争の拠点となった軍都金沢の歴史を知ることから、平和都市金沢を考えるきっかけとしています。七鹿地区平和運動センターは2回続けて国民保護実動訓練の舞台となったことから、実動訓練反対の街宣行動にとりくみ、当日の抗議集会でも中心を担いました。羽咋郡市勤労協は志賀原発の課題で、小松能美勤労協連絡会は小松基地も課題で地域の取り組みを充実させています。珠洲市平和運動センターは平和課題で珠洲市に対し「制度・政策要求」を行い、平和市長会議への加盟が実現しました。

7.青年・女性部への支援・援助について

9月14日(月) 第11回青年・女性部幹事会(18:00~・フレンドパーク)
10月 9日(金) 青年・女性部総会(労済会館)  柚木代表
21日(水) 青年女性部10.21反戦平和集会   柚木代表
講師:森瀧春子さん(核兵器の廃絶をめざすヒロシマの会共同代表)
演題:核兵器、劣化ウラン兵器による核被害の現状とその廃絶のために
11月16日(月) 第2回幹事会
12月 8日(火) 12.8戦争をゆるさず平和を考え行動する会2009年集会(地場産センター)
講師:桑原豊元代議士
演題:普天間問題から平和を考える
青年・女性部第3回幹事会
1月13日(水) 第4回幹事会
2月12日(金) 2.8反戦平和を考える青年女性集会(18:15・地場産センター)
講師:山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)
演題「米軍再編に揺れる沖縄 基地問題の現状と今後の闘い」(再掲)
3月16日(火) 第5回青年・女性部幹事会
4月23日(金) 第6回青年・女性部幹事会・新旧懇親会
5月25日(火) 第7回青年・女性部幹事会
6月23日(水) 青年女性部6.23反戦・平和集会(地場産センター)
7月21日(水) 第8回青年・女性部幹事会
8月27日(金) 第9回青年・女性部幹事会

1.03年度より青年・女性部が結成され、平和運動センターの専門部として位置付けられました。青年・女性部の代表幹事1名は平和運動センター運営委員に入っています。
2.年3回の反戦・平和集会と12月の反戦平和を考える青年女性集会を活動の柱としています。いずれの集会も密度の濃い内容で参加者からも高い評価を得ています。特に今年度は沖縄の課題を中心に据え、沖縄課題の学習-5.15沖縄平和行進、普天間包囲行動への参加-報告集会開催と、一連の取り組みをリンクさせて、より充実した活動となりました。

8.平和フォーラム、北信越ブロックについて

9月15日(火) 各都道府県組織、中央団体責任者会議(~16日・埼玉)
25日(金) 全国基地問題ネットワーク総会・全国交流集会
10月22日(木) 平和フォーラム運営委員会・原水禁常任執行委員会(総評会館)
23日(金) 富山県平和運動センター総会
長野県労組会議総会
11月26日(木) 新潟県平和運動センター総会
11月30日(月) 平和フォーラム北信越ブロック会議(~12月1日・宇奈月)
12月11日(金) 平和フォーラム運営委員会・原水禁常任執行委員会(総評会館)
3月 1日(月) 全国活動者会議(~2日・静岡市)
4日(木) 北信越ブロック会議(~5日・金沢市内)
25日(木) 平和フォーラム運営委員会・原水禁常任執行委員会(総評会館)
4月12日(月) 普天間基地即時返還!新基地建設ノー!沖縄連帯北信越キャラバン
(新潟-長野-富山-石川-福井・~16日)
21日(水) 平和フォーラム総会・原水禁全国委員会
6月 1日(火) 平和フォーラム運営委員会・原水禁常任執行委員会(総評会館)
7月20日(火) 平和フォーラム運営委員会・原水禁常任執行委員会(総評会館)
23日(金) 北信越ブロック地域組織交流集会(山城温泉「瑠璃光」)

1.フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム・江橋代表)が提起する活動に可能な限り参加してきました。特に「もんじゅを廃炉に!全国集会」は116人、護憲大会は78人、原水禁世界大会は広島、長崎大会計30人、10.3原子力政策の転換を求める全国集会へは39人を派遣しました。
2.今年度は北信越5県の平和運動センターで構成する「北信越ブロック会議」の幹事県を務め、7月23、24日には北信越ブロック地域組織交流集会を山代温泉で開催し、小松基地視察のフィールドワークも実施しました。1日目の小松基地視察では、広報担当者から基地の概要やスクランブルの実態や胴体着陸事故の内容やその後の対応などについて説明を受け、さらにエプロンでF15戦闘機を前にし、詳細な説明を受けました。視察終了間際には百里基地所属のファントムが爆音を響かせ離陸し、騒音被害の実態を垣間見ることができました。基地側からの一方的なPR活動が横行する中、隠された基地の実態を公開させていく取り組みは今後とも大切です。2日目は平和フォーラム藤岡副事務局長から「参議院選挙後の情勢と運動課題について」というテーマで報告を受け、さらに各県の活動報告などを通じて交流を深めました。
3.普天間基地即時返還!新基地建設ノー!沖縄連帯北信越キャラバンでも、幹事県の立場で沖縄県平和運動センターとの連絡調整の窓口となり、また5県の日程の調整等を行い、キャラバン成功に向けて取り組みました。

2009年度 決算報告

議案書「別冊」参照

2009年度 会計監査報告

議案書「別冊」参照