2008年度総括

2008年度 活動の総括(案)

Ⅰ.はじめに

1.米国では大統領選挙が繰り広げられ、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界金融危機が世界経済を襲い、国内では麻生自公政権が発足する中、私たち石川県平和運動センターは昨年9月29日、第9回定期総会を開催し、「平和の危機、憲法の危機、社会の矛盾に立ち向かい、いまこそ労働運動の真価を発揮しよう!」のスローガンのもと、具体的な活動方針を確認し、この1年間の平和運動の決意を固め合いました。
2.この1年間の国際情勢は、基本的には昨年の総会で確認したように、ブッシュ・ネオコン路線の矛盾の噴出、イラク・アフガン戦争の泥沼化と中東地域の軍事的緊張の拡大、新興経済国の影響力の拡大、多極構造化の進展とG8の影響力の低下などが明らかとなりました。しかし一方で、単独行動主義のブッシュの退陣、「対話と共生」を掲げるオバマ新大統領の就任は、政治、経済、外交、軍事など多くの分野での世界的な規模のパラダイムチェンジへの期待を高め、世界的な金融・経済危機も重なる中で、1年前に私たちが危機感を抱いた新自由主義のさらなる拡大や新冷戦の深刻化にはブレーキがかかることになりました。朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の度重なる挑発的動きは東北アジアの平和を脅かす大きな不安定要因ですが、残念ながら期待された六ヶ国協議での事態打開には至りませんでした。
3.日米関係も含め世界的な変革期にあるにもかかわらず、国内では自公両党による政権のたら
い回しが続き、政治に閉塞感が漂う中、昨年9月25日には麻生政権が発足しました。小泉-安倍政権による「改憲による軍事大国化」と「新自由主義改革路線」は2007年参議院選挙で国民から明確に否定されたにもかかわらず、福田政権に続く麻生政権も、この間の悪政、失政に対する反省はなく、なし崩し改憲と場当たり的経済対策を繰り返しました。特に海賊対策法は憲法9条の空洞化をさらに進め、派兵恒久法へつながる重大な悪法です。原子力政策でもプルトニウム利用路線を押し進め、さらに米国の核の先制不使用宣言に反対を表明するなど核廃絶をめぐっても被爆国としての役割と責任を放棄した対応を続けています。
4.こうした中、私たちは自公政権の「戦争する国づくり」を批判し、特に平和の課題については最重点課題として全力をあげました。非核平和条例を考える全国集会の開催や沖縄平和行進への初めての参加、さらに小松基地での米軍戦闘機の訓練移転反対行動や海自ソマリア派兵反対行動、「真の近現代史観」懸賞論文への組織的応募に対する抗議の申し入れなどを、全国の仲間とも連帯する中で取り組むことができました。脱原発課題でも、もんじゅの稼動阻止をはじめとした数多くのたたかいに参加し、志賀原発をめぐっては、プルサーマル阻止が新たな課題となる中、「ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク」を発足させました。
5.この1年間、解散・総選挙をめぐる政局に振り回されながらも、政権交代を視野に入れ、政策転換の実現を念頭に、数多くのたたかいを展開してきました。反戦・平和、護憲、脱原発を掲げる私たちのたたかいは、政権交代、政策転換を求める大きなうねりに合流し、自公政権の大敗北につなげることができたと確信します。民主・社民・国民新党の連立政権(以下、新政権)の下、私たちの役割はさらに大きくなります。この1年間のたたかいを総括し、さらなる運動の強化、前進を図っていかなければなりません。

Ⅱ.憲法改悪を許さない取り組み

9月11日(木) 石川県憲法を守る会幹事会
10月26日(金) 改憲反対のラジオCM(~11月2日・憲法を守る会)
11月 3日(月) 憲法公布62年記念「街頭キャンペ-ン」・街宣行動(香林坊)約100人       輝け9条!平和憲法公布62年記念石川県民集会      約250人
11日(火) 憲法を守る会常任幹事会
12月 5日(金) 憲法を守る会総会
1月31日(土) 第45回護憲大会(~2月2日・高松市)
11人を代表派遣(全体2,500人)
4月 7日(火) 石川県憲法を守る会常任委員会
5月 3日(日) 平和憲法施行62周年「5.3憲法集会」         約200人
平和憲法施行62周年記念石川県民集会          約600人
6月12日(金) 憲法調査会規定強行採決抗議の打電行動
8月18日(火) 最高裁裁判官国民審査のとりくみ要請

1.今回の衆議院選挙では、改憲に関する議論はほとんど聞かれませんでした。しかし、自民党のマニフェストでは「『自民党新憲法草案』に基づき、早期の憲法改正を実現する」と明記されていました。麻生内閣発足以降の憲法をめぐる情勢をふり返っても、就任早々、米国で集団的自衛権行使に関する憲法解釈変更を主張し、8月には政府の「安全保障と防衛問題に関する懇談会」が集団的自衛権行使に加え、専守防衛の見直しにまで踏み込んだ報告書をまとめています。憲法の空洞化=憲法違反の既成事実を積み重ね、明文改憲への道を開こうとする動きは決して止まってはいません。
2.憲法の空洞化をさらに推し進める動きとして、海賊対策法の成立がありました。憲法との関係で4点指摘します。①外国船舶も保護対象とし、諸外国の軍隊との情報交換を認めことにより、共同護衛として集団的自衛権行使へ道を開くことになります。②先制攻撃となる「任務遂行のための武器使用」は交戦権行使につながる可能性があります。③国会の承認手続きが欠如し、シビリアンコントロールの無視です。④「国益」のための海外派兵は、国土防衛から国益防衛への防衛政策の大転換であり、派兵地域や活動期間を限定しない派兵恒久法につながります。平和運動センターとして、以上のような憲法に違反する海賊対策法の問題点を指摘し、反対の声を上げてきました(後掲)。
3.このように憲法空洞化の動きが一段と強まる中、世論の動向には2つの特徴が見られました。今春、憲法に関する世論調査を発表した朝日、読売両紙によると、憲法9条を「改正」するという人はそれぞれ26%、38%、変えないという人はそれぞれ64%、54%となっており、9条を守るべきと言う声が国民多数の声であることは明らかです。「戦争する国づくり」に反対し、憲法9条の意義を訴えてきた私たちの運動の成果とも言えます。
しかし一方で自衛隊の海外での活動について、「必要なら武力行使を認める」が昨年の17%から32%へとほぼ倍増(朝日)、集団的自衛権行使容認が41%から49%へ(読売)、派兵恒久法が「必要だと思う」が46%から53%へ(読売)と、海賊対策法や有事法が次々と制定された現実を容認していく世論の傾向が明らかに読みとれます。憲法と現実とのギャップを明文改憲によって解消しようという流れには大いに警戒が必要であり、なし崩し改憲を許さないたたかいを強化しなければなりません。
4.2010年5月には改憲手続法(国民投票法)の施行をむかえます。政府与党は6月11日、同法の施行に向け、衆議院で憲法審査会を始動させるための衆議院憲法審査会規定の採決を強行しました。衆議院解散を目前に控え、自公が多数派である衆議院解散前に審査会を始動させる環境をつくろうとするものであり、許しがたい暴挙と言わざるをえません。平和運動センターは抗議の打電行動に取り組みました。
5.憲法情勢が深刻さを増す中、私たちは憲法公布62年となる11月3日、そして施行62年 となる5月3日に、憲法を守る会主催の街宣行動や集会・デモ行進、九条の会・石川ネット主催の県民集会に参加し、改憲をめぐる情勢について学び、さらに平和憲法を守り憲法理念の実現を目指す私たちの決意を広く市民に訴えました。
(1)香林坊でおこなった11月3日の街頭キャンペーンでは、平和運動センター組合員約50人も参加。柚木代表は侵略戦争の歴史を否定した田母神論文や小松基地第6航空団の組織的論文応募を批判し、新テロ対策特措法案の否決と護憲を訴えました。参加した組合員も憲法を守る会の情宣ビラを配布しました。
(2)続く県民集会では、イラク派兵をめぐって画期的憲法違反判決を勝ち取った派兵差止訴訟弁護団長の内河惠一弁護士を講師として記念講演がおこなわれ、内河弁護士は米軍の掃討作戦がイラク市民の虐殺であり、航空自衛隊の戦闘行為への関与を判決で認定させたこと、さらに戦争の被害・加害を拒否できる平和的生存権の具体的権利性を肯定した意義を述べ、有事法制を平和的生存権の観点から捉え直す必要性を訴えました。
(3)5月3日の憲法集会では、岩淵弁護士や柚木代表がソマリア沖への海上自衛隊派兵や北朝鮮「人工衛星」打ち上げ問題に便乗しての政府与党内の核武装論や敵基地攻撃論を批判すると同時に、派遣切りや雇用情勢の悪化の中で、生存権や労働基本権が破壊されている実態も指摘し、憲法理念実現の重要性を訴えました。集会後、約200人の参加者は金沢市中心街を憲法改悪反対などを訴えてデモ行進をしました。
(4)続く県民集会には約600人が参加。翻訳家のきくちゆみさんが、「オバマ政権誕生!戦争中毒のアメリカはどうなる?」という演題で講演し、対テロ戦争の危険性や疑問点を指摘しました。日本は政府がブッシュを支持しただけでなく国民も銀行預金を通じて戦争資金となる米国債購入に協力している実態を指摘し、市民1人ひとりの行動の大切を訴えました。
6.第45回護憲大会は総選挙が予想されたことから延期され、1月31日から2月2日の日程で、高松市で開催され、平和運動センターは石川県憲法を守る会の構成組織として、地区平和運動センターにも呼びかけ、11人を派遣しました。
(1)開会総会後、政治評論家森田実さんの「カジノ資本主義の崩壊と平和・人権・環境の確立」と題しての講演、龍井葉二連合非正規労働センター総合局長と森田実さんをパネリスト、江橋崇平和フォーラム代表(法政大学教授)をコーディネータとしてシンポジウムがおこなわれました。
(2)森田さんはオバマ政権について、黒人初の大統領を選んだ米国民を評価しつつも、アーミテージやジョセフ・ナイなどクリントン政権時代にその後の対日同盟政策の基本方針をまとめたメンバーが復活したことを指摘し、軍需産業と妥協し、アフガンを主戦場としてテロとのたたかいに突き進む政権の危険性を訴えました。さらに民主党についても、日米同盟やテロとのたたかいといった発想や表現はやめるべきと批判し、民主党内で小沢党首に対する異論、反論がない状況に警鐘を鳴らしました。
(3)シンポジウムでは、龍井局長が派遣切りを中心に雇用問題を詳細に説明し相互扶助の再構築を訴え、江橋代表からは人権課題について世界的な流れも踏まえた詳細な報告がありました。しかし、森田さんの刺激的な提起や龍井さんのホットな人権課題の提起に対し、議論が深められなかったことは残念でした。
(4)2日目は、各自7つの分科会やフィールドワーク、ひろばなどに積極的に参加し、憲法課題について学習を深めました。最終日の閉会総会では横須賀など各地からの特別提起を受けたのち、福山事務局長が大会まとめをおこない、麻生政権打倒のたたかいを全力で展開していく決意を確認しあい、3日間の日程を終えました。
(5)ブッシュが去りオバマ新大統領が誕生した直後の大会であり、憲法や平和をめぐる新たな情勢認識に関心が集まった大会でもありました。オバマ大統領に対する評価については、共生・連帯・対話の姿勢を評価しつつも、幻想は持ってはいけない。テロとのたたかいや在日米軍再編問題など安全保障政策でのチェンジは期待できないという認識でほぼ一致した感がありました。
(6)近年の護憲大会で、常に賛否両論から激論となる「平和基本法」について、今大会でも第1分科会や特別分科会「運動交流」で議論となりました。特に、沖縄、神奈川両平和運動センター事務局長から前田哲男さんらが提起した「平和基本法案要綱」について明確に異論が示されました。石川県平和運動センターとしても「平和基本法」問題について議論を深めていかなければなりません。

Ⅲ.米軍再編を阻止し、日本の戦争国家化を阻止する取り組み

9月18日(木) 小松基地航空祭反対申し入れ(対小松市・小松基地)
非核平和条例を考える全国集会第4回実行委員会
25日(木) 原子力空母入港阻止全国集会(横須賀市)         3名派遣
26日(金) 小松基地爆音訴訟連絡会事務局会議
10月 8日(水) 北朝鮮経済制裁解除要請の打電行動
10日(金) 鹿屋基地での日米共同訓練反対の打電行動の要請
14日(火) 新テロ特措法反対の打電行動
16日(木) 自衛隊員暴行死に対する平和フォーラム見解の送付
23日(木) 原子力空母問題パンフの紹介と購入の要請
27日(月) 「東京大空襲訴訟」支援の署名への協力要請(1月13日集約)
30日(木) 非核平和条例を考える全国集会第5回実行委員会
11月13日(木) 小松基地爆音訴訟連絡会事務局会議
14日(金) 新テロ特措法改正案反対の打電行動の要請
非核平和条例を考える全国集会第6回実行委員会
18日(火) 「真の近現代史観」懸賞論文への小松基地の組織的応募に対する抗議の申し入れ(対小松基地)
22日(土) 第9回非核平和条例を考える全国集会in金沢(~23日)延べ約800人
12月 1日(月) 帰れ米軍!日米共同訓練反対12.1小松基地抗議集会    約100人
小松基地、小松市への訓練中止の申し入れ
4日(木) 非核平和条例全国集会実行委 県・金沢市へ申し入れ
9日(火) 東京大空襲資料館訪問
12.8戦争を許さず平和を考え行動する会2008年集会
12日(金) 新テロ特措法改正案の衆議院再可決に対する抗議の打電行動
小松基地爆音訴訟連絡会総会(小松市公会堂)
13日(土) 非核平和条例全国集会第7回(最終)実行委員会
24日(水) 第五次小松基地爆音訴訟提訴
25日(木) 沖縄ピース行動2008(~27日)     9人
1月16日(金) イスラエルのガザ侵攻に抗議の打電行動、政府へは要請文を送付
29日(木) 海自ソマリア派兵準備指示に抗議の打電行動
2月25日(水) 新たな派兵を許さない!海自ソマリア派兵反対2.25総決起集会 約300人
3月16日(月) 海自ソマリア派兵および海賊対策法案に対する抗議の打電行動
30日(木) 小松基地爆音訴訟連絡会幹事会
5月14日(木) 沖縄平和行進(~17日)              8人を代表派遣
29日(金) 小松基地爆音訴訟第1回公判傍聴行動
6月10日(水) 小松爆音訴訟連絡会総会
15日(月) 海賊対策法反対テープ街宣(~19日)
19日(金) 海賊対策法反対街宣・ビラまき行動(香林坊)
7月 5日(日) 「九条の会・七尾」第9回学習会「国民保護実動訓練」について考えよう

1.米軍再編・小松基地への米軍戦闘機移転阻止のたたかい

1.新自由主義路線と「テロとの戦争」を押し進めたブッシュ大統領が、米国発の世界金融危機とイラク・アフガン戦争泥沼化の中、史上最悪の大統領というレッテルを貼られ、ホワイトハウスを去りました。新たに就任したオバマ大統領は、外交・安全保障政策に関してブッシュ前政権の「単独行動主義」から「国際協調主義」へと大きく舵を切り、対話と共生、連帯、多様性を認め合う姿勢を打ち出し、さっそくロシアや中国、イスラム世界の首脳やリーダーとの対話を重ねています。
2.しかし、これらがオバマ外交の理念であるとすれば、具体的に実施する政策とは大きなギャップがあることを私たちは認識しておかなければなりません。オバマ大統領は、アフガニスタンへは増派(侵略強化)をし、イスラエルのガザ攻撃においてもイスラエル支持の立場を変更せず、イスラエル軍の非人道的な殺戮行為に対し、なんらメッセージを発しようとはしませんでした。在日米軍再編に関しても、新政権発足直後の2月17日、クリントン国務長官が来日し、中曽根外務大臣との間で沖縄駐留海兵隊のグアム移転に関する合意を国会承認が必要な条約にして調印しました。政権交代があっても拘束力を持たせるためです。米軍再編を含めオバマ政権の防衛方針は、就任翌日に発表したオバマ・バイデン・アジェンダ(政策課題)を見ても、あるいはゲイツ国防長官がブッシュ政権から引き続き留任したことからも、基本的に変化はないと見ておかなければなりません。むしろアジェンダでは「同盟国をトランスフォーム(再編)し適正な負担を確実に担うようにさせる」と明記されており、財政面を中心に従来以上の負担を日本に要求してくることが懸念されます。
「核兵器のない世界を目指す」として核拡散防止(テロリストの核保有阻止)に世界の力を結集しつつ、一方で米軍の再編を進め、軍隊のネットワーク化と通常兵器の強化による「21世紀型軍隊」の確立で米国の軍事的優位を確保し続けることがオバマ政権の基本戦略です。チェンジを掲げつつも冷戦思考に縛られるオバマ大統領の限界が見られます。
3.しかし一方で、オバマ大統領の理念に共鳴し、新政権を誕生させた米国市民、とりわけリベラル派、中低所得者層、マイノリティーが、戦争ではなく雇用と福祉を求めていることは明らかです。世界各地でもブッシュ・ネオコン路線からの大胆な転換を求め、オバマ政権に期待する声が高まっているのも事実です。実際、新政権が掲げる方針の中にはブッシュ政権で拒否されていた核兵器のない世界を目標とすることや新型核兵器の開発中止なども盛り込まれ、イラクに永久基地をおかない方針も示されています。ネオコンに屈服し政策が後退しないよう平和勢力の後押しが必要です。オバマ大統領に過剰な期待や幻想は禁物ですが、世界各地の平和運動との連帯は米軍再編に反対する私たちの運動にとって新たな可能性を開くものです。
4.日米政府が合意した在日米軍再編の最終完了期限は2014年です。ミサイル防衛体制は進められ、原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備も強行されました。しかし、名護市の新基地建設や米陸軍キャンプ座間への第1軍団司令部本体の移転は市民団体や神奈川県平和運動センターの反対運動によって実現の目途は立たず、行程表を遅らせています。米軍戦闘機の訓練移転も強行されていますが、小松基地も含め各地で粘り強く抗議行動が展開されています。原子力空母の母港化に対しては、横須賀に1万5千人が結集するという大抗議行動が展開されました。沖縄や神奈川の反戦平和のたたかいについては、平和運動センターとしても全国基地問題ネットワークの幹事県として参加してきました。
5.加賀地区平和運動センターからの提起を受け、沖縄平和運動センターの協力を得て12月25日から27日まで3日間の日程で「沖縄ピース行動2008」を実施し、加賀地区平和運動センターや県教組、青年・女性部などから9人が参加しました。1日目は南部の戦跡を中心に沖縄戦の実相を、2日目は米軍基地や辺野古の新基地建設予定地などを回り、日米安保の実態や基地被害の状況、反対運動の取り組みなどを学びました。特に辺野古では海のフィールドワークとして埋立て予定地であるジュゴンの棲む海からキャンプシュワブを視察し、大規模な環境破壊と基地機能強化につながる辺野古移転計画の問題点について、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団長の東恩納琢磨名護市議から詳しく説明を聞くことができました。3日目は琉球王国の歴史にも触れつつ、ガマや戦跡も回りました。また、夜は沖縄平和運動センターや地区センターの方との交流を深め、まさに朝から夜までのハードスケジュールの中でしたが、平和を学ぶ密度の濃い3日間にすることができました。地区センターの積極的な提起を具体的な行動にしていったという意味においても意義のある取り組みでした。終了後、参加者の報告をまとめた報告書を作成し、各構成組織などに配布しました。
6.沖縄の日本復帰37年をむかえ、今回で32回目となる「5.15沖縄平和行進」が5月14日から17日の日程でおこなわれ、平和運動センターは初めて代表団8人を派遣しました。全国からの参加者1,500人が集まった1日目の結団式に続き、2日目から4日目までの平和行進は沖縄島南部の戦跡を回るコースを中心に参加しました。行進の先々で地元の方から地獄のような沖縄戦の報告を受け、かつて鉄の暴風が吹き荒れた沖縄戦に想いを馳せながら、「沖縄に基地はいらないぞ!」とシュプレヒコールの声を張り上げての行進でした。梅雨入り直前の沖縄の陽射しは強く、炎天下40キロの行進は体力的に厳しいものでしたが、今も遺骨と不発弾が眠るかつての戦場を、沿道からの住民の皆さんの激励を受けながら歩き通した体験は、参加者にとって何ものにも代え難い貴重な体験となりました。
7.在日米軍再編計画に基づく2回目の日米共同訓練が12月1日から12月5日までの日程で(5日は悪天候のため訓練中止)、小松基地で強行されました。参加した米軍は三沢基地のF16が6機と米兵約80人。小松基地第6航空団のF15も6機加わり、日本海G空域で模擬空中戦を実施しました。バグダッド攻撃の先陣を切った米軍三沢基地F16との共同訓練は、当初、日本政府から語られた沖縄の基地負担軽減とは何ら関係なく、米軍の世界戦略に小松基地を組み込んでいくための訓練に他なりません。
これに対し平和運動センターは12月1日早朝、爆音訴訟原告団や社民党石川県連合などにも呼びかけ、約100人の参加の下、小松基地ゲート前で「帰れ米軍!日米共同訓練反対12.1小松基地抗議集会」をおこない、訓練中止を求め、抗議の声を上げました。さらに抗議行動終了後、小松基地と小松市に対し訓練中止の申し入れをおこないました。今回の訓練は在日米軍再編の一環であり、加えてかねてから指摘してきた騒音問題、事故の危険性、米兵の治安対策という問題があるだけでなく、アパグループ懸賞論文への大量応募という、政府見解に組織的に反旗を翻す行動が発覚した中での訓練でした。国が事実関係を調査中で、真相さえ明らかにされていない中での訓練強行は市民を愚弄するものです。
8.過去の侵略戦争の歴史を否定し、植民地支配を正当化する論文を現職の航空幕僚長である田母神俊雄氏が発表したことは国民に大きな衝撃を与えました。航空自衛隊という武装集団のトップにある人物が、政府見解を真正面から否定する見解を持ち、公表するという行為は、文民統制を否定する行為に他なりません。さらにこの田母神論文を最優秀賞としたアパグループの「真の近現代史観」懸賞論文に、小松基地第6航空団からも幹部自衛官63人が応募していた事実があきらかになりました。論文の応募要領は、事実上政府見解を否定し「正しい歴史認識」による日本の進路を示す提言を求めており、このような懸賞論文に組織的に応募することは、まさに組織的に文民統制へ反旗を翻したものと言わざるをえません。平和運動センターは社民党県連合などにも呼びかけ小松基地へ申しれをおこない、論文の公表や基地司令の責任を明らかにするよう求めました。
9.小松基地航空祭が9月21日におこなわれました。多くの子どもたちを含む市民に基地や兵器をPRするイベントであり、しかも航空祭前にむけた訓練の騒音被害は通常訓練以上であり、開催は許されません。加えて今回の航空祭前には築城基地(福岡県)所属のF15が山口県沖に墜落しており、事故原因が未解明の中で、事故機と同型機である小松基地のF15を参加させての訓練は、基地周辺の住民の安全をいかに軽視しているかを明白に示すものです。平和運動センターは爆音訴訟原告団や社民党県連合などと、小松基地と小松市に対し航空祭中止の申し入れをおこないました。

2.有事体制阻止のたたかい

1.2009年はミサイル防衛(MD)計画が日本で初めて実戦配備された年となりました。
日本のMD計画導入は小泉内閣の2003年12月、安全保障会議および臨時閣議で、「日本版弾道ミサイル防衛(BMD)」のシステム導入を決定したことに始まります。具体的配備は2007年からで、その前年の6月には北朝鮮によるミサイル連続発射実験、9月には核実験が強行されており、安倍内閣の北朝鮮強硬姿勢に大きく弾みをつけました。MDをグローバルな日米安保協力強化のための不可欠の措置と位置づけた2005年から2006年にかけての「在日米軍再編合意」がMD計画を後押ししたことは言うまでもありません。2007年3月に地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)が入間基地(埼玉県)に配備されたのを皮切りに習志野(千葉県)、武山(神奈川県)、霞ヶ浦(茨城県)の各基地に配備されていきました。さらに迎撃システムのもう1つの柱である海上配備型迎撃ミサイル(SM3)のイージス艦配備も進み、日本海では日米のイージス艦が複数常駐する態勢がつくられました。
こうした中、北朝鮮は3月12日、人工衛星を運ぶロケットを4月4日から8日の間に発射すると通告しました。これを受け、麻生首相は3月27日、「弾道ミサイル破壊措置命令」を発令。政府は日本海側にイージス艦「ちょうかい」と「こんごう」、太平洋側に「きりしま」の3隻を配備。PAC3は首都圏と秋田、岩手両県に実戦配備され、自治体を巻き込んだ迎撃態勢が築かれました。そして4月5日の発射当日まで、政府・マスコミ一体となり、戦争前夜であるかのように脅威を煽り続けました。その後、北朝鮮による2回目の地下核実験の強行もあり、自民党内ではまたもや敵基地攻撃論や核武装論が台頭しました。
北朝鮮の脅威を煽り、有事体制を強化しようとするこのような動きに対し、平和運動センターは憲法集会や6月の街宣行動など様々な機会をとらえて抗議の声をあげてきました。
2.国民保護計画に基づく実動訓練は、2006年に金沢港、2007年に七尾市を舞台としておこなわれましたが、2008年度は小松駅での爆破テロを想定した図上訓練となったこともあり、直接的な抗議行動などには取り組みませんでした。

3.海外への自衛隊派兵反対、即時撤退を求めるたたかい

1.2008年12月23日、航空自衛隊の輸送機がイラクを撤退し、自衛隊による戦地イラクへの派兵は終了しました。
平和運動センターは派兵を前にした2003年12月12日の「イラク派兵を許すな!総決起集会」を皮切りに、2004年2月20日には中央公園で1,000人が参加しての「イラクへの自衛隊派兵反対総決起集会」をおこなうなど、全国の、そして世界各地のイラク戦争反対のたたかいと連帯し、派兵反対、即時撤退を掲げた数多くのたたかいを県内で展開してきました。
しかし、金沢駐屯地や小松基地からの派兵も含め、自衛隊の派兵阻止はできず、撤退実現まで5年間を要しました。さらにこの間、米軍を中心とした有志連合によるイラク侵略戦争と占領行為、そしてイラク市民殺戮への自衛隊の加担を阻止できなかったことは、日本の反戦・平和運動の力不足を痛感させるものでした。さらに、イラク戦争の過ちをいまだに日本政府に認めさせることもできていません。米軍は2011年末の全面撤退に向けて部隊移動を進めていますが、10万人を超えるイラク市民が虐殺され、いまだに宗派対立、民族対立も絡んで治安の回復にはほど遠い状況にあることを忘れてはなりません。
私たちのたたかいの成果として、航空自衛隊のイラクでの活動について、多国籍軍の武力行使と一体化した行動であり、国の交戦権を否定した憲法9条2項の規定に反し違憲だとした昨年5月の名古屋高裁でのイラク派兵違憲訴訟判決があげられます。戦争による被害だけでなく加害の立場も拒否できる権利として、はじめて平和的生存権を認めた意義も大きく、今後の国民保護法など有事法制に対するたたかいを憲法論から支える判決でした。
2.麻生内閣は12月12日、インド洋での海上自衛隊の給油活動を延長する新テロ対策特措法改正案を衆議院での再議決で可決、成立させました。際限のない「テロとの戦い」であり、自衛隊の活動をめぐっても、米艦船への給油のイラク戦争へ転用や海上自衛隊艦船の航海日誌の不正廃棄、不明朗な燃料購入契約などが明らかになっており、海上自衛隊は撤退させるしかありません。郵政選挙による衆議院の3分の2議席はもはや全く民意を反映していないにもかかわらず再議決を繰りかえす暴挙に対し、平和運動センターは抗議の打電行動を展開しました。
3.ソマリア沖での海賊対策を名目として新たな派兵が始まりました。
まず3月14日、自衛隊法82条による海上警備行動の発令で、海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」「さざなみ」の2隻と哨戒ヘリコプター4機、海自特別警備隊約40人がソマリアへ派兵されました。続いて5月にはP3C哨戒機2機を出動させ、P3Cの駐機場はソマリアの隣国ジプチ国際空港となることから機体の警護を理由に陸上自衛隊の精鋭部隊中央即応連隊約50人も派兵され、さらに人員や機材の輸送で航空自衛隊C-130輸送機も加わりました。計約550人の派兵による海外での初の三軍統合運用となりました。
さらに麻生内閣は6月19日、海賊対策法をまたもや衆議院の再議決で成立させ、7月6日には第2次部隊として護衛艦「はるさめ」「あまぎり」を派遣しました。東南アジアでの海賊対策で実績のある海上自衛隊の活用をほとんど検討することなく、「はじめに自衛隊派兵ありき」の麻生政権の対応が、海賊対策の本当の狙いを如実に示しています。
4月12日には本格参戦したばかりの米軍特殊部隊が人質救出のため「海賊」3人を射殺し、「海賊」側は報復を宣言しています。自衛隊が情報交換をおこない連携する組織は、この米軍を中心とした多国籍海軍部隊(CTF)です。米国は世界各地で「テロとの戦争」を進めており、アフガニスタン侵攻=「不朽の自由作戦」もその一部ですが、その一環としてアフリカ東岸からインド洋にかけての海域で、「テロ組織」による武器や麻薬の輸送を阻止するCTFを配備しています。海上阻止行動はCTF150、海賊対策専門部隊はそこから分離したCTF151が担っています。麻生政権の派兵の狙いは、海賊対策でもなく、中国への対抗意識という次元の問題でもなく、まさに米国オバマ政権が展開する「テロとの戦争」への支援の拡大とみなければなりません。
平和運動センターは2月25日、「新たな派兵を許さない!海自ソマリア派兵反対2.25総決起集会」をおこない、ソマリア派兵の問題を提起し、派兵反対の声をあげました。さらに3月の派兵時には打電行動を展開し、海賊対策法(案)の国会審議に対しては、1週間にわたり金沢を中心に七尾市から白山市に至る区域でテープ街宣を実施し、法案が衆議院で再可決された6月19日には香林坊で、社民党議員団の協力も得て、抗議の街宣・ビラまき行動をおこないました。青年・女性部も7月1日、反戦・平和集会で、岩淵弁護士を招き海賊対策法の学習会をおこないました。

4.小松基地爆音訴訟の取り組み

1.2007年11月に開催された第3次・第4次の総括集会で第5次訴訟の立ち上げ方針が確認をされ、小松基地爆音訴訟連絡会は新たな原告の募集に取り組んできました。12月12日には2,121人という過去最大規模の大原告団が組織され、第5次爆音訴訟原告団設立総会、同連絡会総会が開催され、12月24日には金沢地裁へ第5次訴訟が提訴されました。自衛隊違憲論や自衛隊と米軍機の飛行差し止め、住民の健康被害の認定、損害賠償の請求、10.4協定の完全実施などを訴えての法廷闘争が展開されていくこととなります。小松基地の機能強化が進められ、米軍戦闘機の訓練移転も繰りかえされる中、反戦・反基地・平和運動と裁判闘争を連携させ、運動の拡大強化をはかることは重要であり、平和運動センターは爆音訴訟連絡会に支援団体として、また幹事会メンバーとしても参加してきました。
2.4月27日には新たに106人の原告が第6次訴訟として提訴し、第5次・6次訴訟は2,227人の原告団となりました。5月29日には第1回公判、6月10日には第2回爆音訴訟連絡会・原告団の総会が開催され、いずれも平和運動センターとして参加態勢を組み、支援してきました。

5.「第9回非核・平和条例を考える全国集会in金沢」のとりくみ

1.非核・平和条例を考える全国集会は、民間港への相次ぐ米軍艦船の入港や米軍再編の動きに対し、地域や自治体のたたかいの情報を交換し、共有化することによって平和運動の力を強めていくことを目的としています。過去、平和運動センターは新潟集会に22人、長崎集会に3人、そして今年の東京集会に4人を代表派遣してきました。
2.第9回集会の開催地を金沢で引き受けることを確認し、6月1日には実行委員会の結成集会を開きました。桑原豊元代議士を相談役、共同代表には平和運動センター嶋垣利春代表、社会法律センター岩淵正明弁護士、大学教員の田村光彰氏の3人が就任する役員案などを承認し、11月22,23日に開催する金沢集会の成功に向け、力を合わせていくことが確認し、計6回の実行委員会を開催し準備を進めてきました。
3.11月22日の全体会は、県外からの参加者約150人を含む約450人の参加。児童劇団さくらんぼによる朗読劇にはじまり、共同代表の岩淵正明弁護士の代表挨拶、非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史さんの基調提案、小池清彦加茂市長の「憲法9条を語る」と題しての記念講演、井原勝介前岩国市長の「岩国のたたかいと市民自治」と題しての特別講演、そして石川からユン・ボンギル共の会、「聖戦大碑」撤去の会、小松基地爆音訴訟連絡会の3団体からの報告がありました。
夜は約150人の参加で交流会を開催しました。
翌23日は、第1分科会「非核平和条例制定運動の現状と課題」、第2分科会「米軍再編・日米地位協定と自治体の平和力」、第3分科会「国民保護計画と平和的生存権」の3分科会に分かれての討議と、まとめ集会をおこないました。午後はフィールドワークをおこない30人の参加がありました。2日間でのべ約800人の参加がありました。
4.全体会については、講演中心の4時間という集会でしたが、講師・報告者の発言内容が相互につながり、また刺激的な内容でもあり、参加者の集中力は最後まで途切れませんでした。
米軍艦船入港反対のたたかいに取り組む新倉さんからの基調講演は、本集会のキーワードでもある「自治体の平和力」について、港湾法などの個別法の中に生かされていることを具体的に指摘し、「自治体の平和力」を強化し、活用していくことの重要性を明らかにしました。
小池市長、井原前市長は、それぞれ「絶対平和主義者」という立場ではなく、自衛隊容認、基地容認の立場ではありますが、憲法や平和、自治、民主主義に対する鋭い視点や、それらを踏まえた具体的な活動実践は、多くの参加者にとって予想以上に共感できる点が多く、平和運動の拡大に向け新鮮な刺激を受けることができました。
地元3団体の報告は、翌日の分科会、フィールドワークにつながり、石川の平和運動のとりくみを全国からの参加者のアピールすることもできました。
2日目の分科会は、それぞれの分野で先駆的活動を繰り広げている報告者が揃い、非常に密度の濃い討議が展開されました。
第1分科会では米軍艦船入港阻止のたたかいについて、現場の取り組みや法的な問題などが具体的に報告されました。港湾問題にかなり比重がおかれ、非核平和条例制定運動の意義や展望について、十分踏み込めなかったことは残念でした。
第2分科会では、日米地位協定の実態と問題点について、詳細な報告と問題提起がありました。在日米軍の再編、全土沖縄化が進行しつつあるいま、平和運動側にとって「日米安保条約破棄」「駐留米軍の撤退」は目標には違いありませんが、そこに向かう過程での日米地位協定の改訂は避けて通れない重要な課題だということが明らかにされました。大きな外交交渉の課題ですが、実は自治体が果たすべき役割や可能性も大きく、各地の運動課題に即した討議が展開されました。
第3分科会のテーマである国民保護計画については、有事法制の一環であり、絶対に容認できないという立場がある一方で、住民保護の責務を課せられた自治体が本当に市民を戦争被害から守るにはどうすればいいのか、自治体と同じ土俵の中で議論すべきという立場が平和運動の中にも存在してきました。国民保護計画をめぐる最新の情勢と平和的生存権への理解を深める中で、原則を踏まえた制度自体への批判と制度の矛盾を追及していくたたかいは両立するという認識を確認し、今後の多様なたたかいにつながる有意義な討議が展開されました。
5.集会の成果・意義として、地域や自治体、職場の中で戦争への動きが強められ、憲法と矛盾する状態が拡大している中、具体的なたたかいの手だての1つとして「自治体の平和力」があることが確認できました。また、県内の最重要運動課題である小松基地日米合同演習反対、国民保護計画反対、金沢港の軍事利用阻止について、今後のたたかいの強化につなげる議論を深めることができました。特に今後警戒を強めなければならない金沢港の軍事利用について、危機意識を共有し、警鐘を鳴らすことができました。さらに、本集会開催を通じて、全国の仲間との交流、連帯を深めることができたのも今後の石川の運動の財産となっていくものと思います。
6.本集会の課題である非核・平和条例の制定について、今後の大切な運動課題として認識しながら、さらに情報収集と学習を深めていかなければなりません。金沢港の軍事利用の阻止については、集会後、金沢市と石川県に対し申し入れをおこないました。報告集の作成が遅れていますが、本集会の意義を確認し、今後のたたかいにつなげる上でも早期に発行しなければなりません。

Ⅳ.改悪教育基本法の実効化を許さず、歴史認識の歪曲を許さない取り組み

10月 1日(水) 中山前国交大臣発言への抗議の打電行動
3日(金) 「憲法・’47教基法の理念の実現を目指す石川県民の会」実行委員会
11月15日(土) 教育シンポジウムin石川
18日(火) 「真の近現代史観」懸賞論文への小松基地の組織的応募に対する抗議の申し入れ(対小松基地)(再掲)
27日(木) 教育総研平和環境部会
12月11日(木) 南京大虐殺幸存者証言集会
2月10日(火) 教育総研「平和教育」小部会
11日(水) 第7回建国記念日(「紀元節」)を考える市民集会
3月 7日(土) 戦争を語り継ぐ会
4月11日(土) 「七尾への中国人強制連行問題」フィールドワーク    10人参加
5月13日(月) 教育総研「平和教育」小部会
12日(火) 教育総研「平和教育」小部会
30日(土) 聖戦大碑撤去の会総会・「靖国(YASUKUNI)」上映会
6月17日(水) 教育総研平和小部会
23日(火) 第1回「学校現場の声を聞く」連続学習会           49人
7月14日(火) 第2回「学校現場の声を聞く」連続学習会           37人
18日(土) 七尾強制連行訴訟支援会総会
20日(月) 教育総研「平和教育」交流集会(加賀市文化会館)
8月 3日(月) 第3回「学校現場の声を聞く」連続学習会           35人
11日(火) 横浜市教育委員会の自由社版歴史教科書採択に対する抗議の打電行動
9月10日(木) 第4回「学校現場の声を聞く」連続学習会
28日(月) 第5回「学校現場の声を聞く」連続学習会

1.改悪教育基本法の実効化を許さないたたかい

1.教育基本法の改悪とそれを具現化させる教育3法の改悪は、愛国心の強制と競争主義、成果主義にもとづく教育へと公教育のあり方を180度転換させるものです。その先には「戦争する国づくり」があることは明白であり、これら悪法の実効化阻止に向けた取り組みが求められています。教育の右傾化を先導した安倍内閣は崩壊し、安倍内閣の教育改悪を支えた教育再生会議もその役割を終えました。しかし福田内閣のもとでも公表された「改訂学習指導要領」は、本年4月1日から前倒し実施され、「学力」向上至上主義、道徳教育の全教科での推進、愛国心の強要など教育改悪が確実に押し進められています。また教員免許更新制も導入され、さらなる管理強化へと進んでいます。
2.これに対し、平和運動センターは、たたかいの構築が遅れたことは否めませんが、2006年秋の教育基本法改悪阻止のたたかいを全力で展開してきました。しかし、その後の学校現場への改悪教基法実効化の動きに対して、何ら取り組みができていません。まず教基法改悪以降の学校現場の現状を知り、問題点を学ばなければならないとの認識から5回にわたっての「学校現場の声を聞く」連続学習会を企画しました。1回目は「教育基本法・教育関連3法案改悪と学校現場への影響」、2回目は「学力テスト、新学習指導要領・・・競争主義激化と子どもたち」、3回目は「成果主義、多忙化、教員免許更新制導入・・・厳しさを増す労働条件」、4回目は「活かそう!子どもの権利条約、学ぼう!平和憲法」、5回目は「平和・人権・環境教育の現状と課題」です。
学力至上主義と管理強化が教員の超多忙化へ、そして教員とこどもたち・保護者の分断へ、さらに教員同志の分断へとつながり、職場からのたたかいが一層厳しくなっている現実を学ぶことができました。県教組、高教組以外の組合員も、共にたたかう労働者として、あるいは保護者として、一市民として、教育の課題について共有化し、たたかいの輪を広げていく重要性が確認されました。一方で平和運動センター構成組織間でもそれぞれの職場実態について認識がほとんど共有されていない現実も浮かび上がりました。平和運動センターはこの間、「憲法・’47教育基本法の理念の実現を目指す石川県民の会」の中で、教員、保護者、市民がともに議論し、認識を共有し、声をあげていく運動に参加してきましたが、このとりくみの重要もあらためて確認されました。「教育の危機は平和の危機」であり、この学習会を踏まえ、さらに教育課題のとりくみを強化していかなければなりません。
3.「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」は、低迷する採択率と教科書内容をめぐって育鵬社の「改善の会」と自由社の「つくる会」に分裂しました。両者は版権の帰属をめぐっても対立し、混乱が続いています。しかし、8月4日、横浜市教育委員会は教科書採択に関する教育委員会を開催し、自由社版「つくる会」教科書を18採択区域中8区域で採択しました。これによって来年度から横浜市内の中学生約3万9千人が「つくる会」の教科書で歴史を学ぶこととなります。東京都杉並区、栃木県大田原市も4年目に続き扶桑社版教科書を採択することを決めています。教員や保護者、有識者の意見を無視し、歴史を歪曲する国家主義的教科書を採択した横浜市教育委員会に対し、平和運動センターは抗議の打電行動をおこないました。

2.歴史認識の歪曲を許さず、戦争責任を明らかにする取り組み

1.戦後63年を経て、戦争体験の証言者はますます高齢化しています。その体験を継承していくことは平和運動の重要な課題となっています。「南京大虐殺幸存者証言集会」や「第7回建国記念日(「紀元節」)を考える市民集会」の開催に協力し、参加を呼びかけてきました。
2.七尾港における中国人の強制連行・労働をめぐって謝罪と賠償を求める裁判が提訴され、平和運動センターも「七尾強制連行訴訟支援会」の団体会員として勝訴に向けて協力をしてきました。また、第2回地区代表者会議を七尾市内で開催した翌日の4月11日、支援会の角三外弘代表の案内で七尾港への強制連行・労働についてのフィールドワークをおこない、学習を深めました。
3.新自由主義・新保守主義の台頭する中、先の大戦を肯定し、日本のアジア侵略を否定する歴史観が横行しています。田母神論文もその一つです。また労働組合の団結権を否定し日本の教育の荒廃の原因と責任を日教組に押し付ける中山成彬国土交通大臣の暴言など、憲法・民主教育を否定する動きも顕著となっています。平和運動センターは、中山発言に対して抗議の打電行動をおこない、田母神論文に関連して、小松基地に対し抗議の申し入れをおこないました。

Ⅴ.反核・脱原発の取り組み

9月10日(水) 米印原子力協力協定抗議打電行動
16日(火) 志賀原発低レベル放射性廃棄物搬出抗議行動        約100人
27日(土) 能登原発差止め訴訟原告団総会              約100人
10月17日(金) 原爆認定訴訟に対する3団体アピール送付
22日(水) 喜友名正さん原発労災認定の報告とニュースの送付
27日(月) 志賀原発差止め訴訟結審、報告集会
11月14日(金) 石川県原子力防災訓練調査行動、総括集会
12月 6日(土) もんじゅを廃炉へ!全国集会(敦賀市)  全体850人、石川123人
7日(日) 原発立地県会議(敦賀市)
2月 7日(土) 命のネット総会・講演会(羽咋労働会館)
3月 2日(月) 被災55周年3.1ビキニデー全国集会(静岡市)
14日(土) 高裁判決勝利!志賀原発を動かすな!3.14志賀現地集会・デモ行進
(志賀町文化ホール)200人
18日(水) 志賀原発差止訴訟高裁判決傍聴行動・判決報告集会
北電本店申し入れ・記者会見
高裁判決に関する声明発表
23日(月) 志賀1号再稼働反対で県へ申し入れ
24日(火) 県原子力環境安全管理協議会傍聴
27日(金) 県の志賀1号機運転再開了承に対し抗議声明発表
4月 4日(土) 4.9反核燃の日集会(~5日・青森市)
14日(火) 志賀原発2号機燃料棒損傷事故で県へ申し入れ
石川原水禁常任執行委員会
17日(土) STOP!「プルサーマル・核燃料サイクル」全国活動・学習交流集会(佐賀市)
21日(火) 志賀2号機の燃料棒損傷・放射能漏えい事故に関する抗議声明の発表
5月 8日(金) 柏崎刈羽原発稼動反対の抗議文を新潟県知事と東京電力宛て送付
12日(火) おりづる市民の集い実行委員会
21日(木) 2009年度石川原水禁総会                100人
「原爆症認定訴訟の全面解決を求める署名」への協力要請
25日(月) 北朝鮮地下核実験に対する抗議文送付
27日(水) 玄海原発プルサーマル反対署名要請
6月 2日(火) 原爆症認定訴訟に関する3団体アピール送付
7日(日) ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク準備会
8日(月) おりづる市民の集い実行委員会
11日(木) 原水禁平和行進・富山県引き継ぎ(内灘役場前)        60人
12日(金) 原水禁平和行進・奥能登集会(輪島市役所前三角州芝公園)  110人
13日(土) 原水禁平和行進・中能登集会(志賀原発団結小屋前)      90人
15日(月) 海賊対策法反対テープ街宣(~19日)
原水禁平和行進・金沢地区集会(駅西中央公園)       155人
原水禁平和行進・白山地区集会(白山市役所前)       160人
16日(火) 原水禁平和行進・南加賀地区集会(小松市役所前)      100人
7月 2日(木) 志賀原発新燃料搬入に対し抗議声明発表
11日(土) ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク発足集会(地場産センター)150人
18日(土) おりづる市民の集い
26日(日) 2009能登ピースサイクル(金沢地区平和運動センター)
8月 4日(火) 原水禁世界大会・広島大会(~6日)             13人
7日(金)    〃    長崎大会(~9日)             12人

1.核兵器廃絶への取り組み

1.オバマ大統領は就任前の2008年7月24日、ベルリンでの演説で「核兵器のない平和な世界を追求すべきときがきた」と述べ、2010年の核不拡散禁止条約(NPT)再検討会議での大幅な核軍縮推進や包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准、核兵器用核分裂物質製造禁止(カットオフ)条約の容認などを打ち出しました。さらに大統領就任後の今年4月5日、プラハでの演説では、あらためて「核兵器のない世界を目指す」と宣言すると同時に、「唯一の核使用国として行動すべき道義的責任」に言及しました。
プラハ演説は世界の注目を集め、英国やドイツの外相が直ちに核廃絶の必要性に言及し、ノルウェーでは地雷やクラスター爆弾の禁止条約と同様のプロセスで核廃絶を目指す国際枠組みづくりの模索も始まりました。国内の主要紙も全て好意的で、プラハ演説を評価した社説を次々と掲載しました。広島、長崎の被爆者団体や秋葉、田上両市長などからも歓迎する声があがりました。またこのような動きを受け衆参両院も核廃絶の取り組み強化を決議しました。
2.プラハ演説については、核大国の大統領として選挙期間中の公約であった「核兵器のない世界」への誓約をあらためて表明したこと、ブッシュ政権の核武装強化路線からの転換を鮮明にしたこと、そしてその実現を「核兵器を使用した国」の「道義的責任」と動機づけた3点において一定の評価はできるものです。
オバマ演説の背景には、核武装による安全保障より核の拡散による危機がより深刻化した米国の現実があります。キッシンジャー元国務長官やシュルツ元国務長官らによる2007年と2008年の「核兵器のない世界」の呼びかけと同じ潮流にあり、核テロの脅威を封じ込めるための核保有国側からの現実的な政策選択です。その意味では、この世の地獄とも言える体験をもとにした広島、長崎の被爆者たちの訴えとは文脈が異なりますが、被爆地と核大国が核兵器の廃絶という目標を共有する意義は小さくありません。
3.しかしオバマ演説の内容に関しては、核軍縮の前進、核不拡散体制の強化、核物質管理の厳密化という3つのとりくみ領域を示しつつも、その具体策は従来から国連や平和団体が主張してきた内容の範囲内にあり、何ら新たな提言はありません。今まで核廃絶のプロセスに前進がなかったのには当然ながら理由がありますが、その処方箋も示されていません。もちろんCTBTや米ロ間の核兵器削減交渉のように米国ブッシュ政権が主たる障害になっていた案件については前進にはちがいありませんが、オバマ演説の限界や問題点もあわせて認識しなければ、私たちが掲げてきた「核の廃絶」は実現できません。
最大の問題は「地球上に核兵器がある限りは、米国は抑止力としての核兵器は保有する」と言明していることです。核抑止論の立場に立つ限り、核兵器の削減は一定程度進行しても、核兵器のない世界は永久に実現しません。北朝鮮のように、核抑止論を逆手にとった核拡散の誘発、促進にもつながります。
また、NPT体制の強化を掲げていますが、核テロ対策のための核物質管理の厳格化に主眼がおかれるだけでは多くの国の賛同を得ることは困難です。そもそもNPTは核保有国と非核保有国との国際的差別構造の上に成り立っており、核保有国には核兵器の保有が認められるだけでなく、核査察も受けません。まずは米国の核軍縮の具体的行動と特権放棄への決意が必要です。イスラエルやインドの核兵器保有を容認し、NPT体制を破綻させてきたのも米国です。過去の核政策への反省と転換が求められます。
4.世界的な核軍縮の機運が高まる中、北朝鮮は5月25日、2006年10月に続く2回目の核実験を強行しました。核兵器開発につながる核実験はいかなる理由があろうとも絶対に容認できません。平和運動センターはただちに金正日国防委員長宛に抗議文を送付しました。
国内では、この核実験やそれに先立つロケット発射を契機に偏狭なナショナリズムが煽られ、自民党内には敵基地攻撃論や核武装論がまたもや台頭しました。拉致問題の対応に失敗した政府は、対北朝鮮外交のチャンネルを失っており、核実験中止に向けた交渉を全くおこなうことができませんでした。まさに外交の失敗です。早期の国交正常化と東北アジア非核地帯構想の実現に向けた取り組みを進めなければなりません。
5.核をめぐる情勢が大きく動く中、原水禁石川県民会議は5月21日、総会を開催し、非核平和行進や原水禁世界大会への参加、核兵器廃絶1千万人署名のとりくみ、そして脱原発のとりくみなどの運動課題について構成組織内で意思統一を図りました。総会後、「核燃サイクルを追い込む青森のたたかい」と題して、青森の核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんの記念講演をおこないました。核燃料サイクル路線の危険性や技術的欠陥、膨大な財政負担、そして核兵器の材料となるプルトニウムの生産という問題について、具体的詳細に説明を受け、核の商業利用と核拡散が一体となって進められている現状を学ぶことができました。
6.被曝64周年非核平和行進は、6月11日から17日までの日程でおこないました。今年は富山県からの引き継ぎを初めて内灘役場前でおこない、翌日からの平和行進は、輪島、志賀、金沢、白山、小松の5会場でおこない、内灘を含めた6会場での参加者は約700人と昨年を上回りました。各会場では議員団からのあいさつも受け、金沢市勤労協や連合金沢、小松能美地協、民主党1区支部奥田建代表、2区支部田中美絵子代表、被爆者友の会から連帯のあいさつを受けていきました。自治体からは八十出泰成内灘町長や大岩主税輪島市教育長からのあいさつを受け、金沢市でも労働政策課から市長のメッセージが読みあげられました。この他、珠洲市、白山、野々市、小松の各自治体からもメッセージをいただき、各会場で紹介されました。
7.2009原水禁世界大会へは、広島大会13人、長崎大会12人の代表団を派遣しました。(1)両大会とも1日目の開会集会は、原水禁、連合、核禁会議の3団体の共催でおこなうため、
集会内容は3団体で一致できる内容に絞り込まれ、憲法問題や米軍再編、日米安保、脱原発の課題には触れられません。労働界の数合わせに終始し、幅広く市民を結集していく運動に成りえていないなどの批判の声があります。また、広島大会の平和行進についても、その行進形態に不満の声が上がっていました。そこで今年の広島大会は平和行進への参加を見送り、大会参加前にまずは被曝の実相に触れ、そして学ぶという目的で、平和資料館の見学や平和公園を中心とした慰霊碑や被爆建物を視察する日程としました。
(2)2日目は分科会、フィールドワーク等に参加し、広島大会では今年初めて国際会議も合わせて開催されました。長崎では原水禁大会と並行して第7回平和市長会議総会も開催されており、参加者にとっては例年以上に密度の濃いプログラムとなりました。討議では、オバマ演説を評価しつつも、オバマ任せではなく、原水禁として何をすべきか、日本政府はどうすべきかといった観点から、東北アジア非核地帯構想や秋葉広島市長が提唱する2020ビジョン、来年のNPT再検討会議に向けたとりくみなど具体的な核廃絶プロセスがより現実味をもって議論されたのが大きな特徴です。オバマ効果とともに、核軍縮議論を拒否し核武装の強化に突き進んだブッシュ前大統領の退陣効果の大きさも感じられました。
(3)3日目は、広島大会はまとめ集会と平和記念式典への参加、長崎大会は慰霊碑墓参とまとめ集会、平和行進への参加です。今年は、1日目も含め、各発言者からオバマ演説を引用するあいさつが続きました。核兵器廃絶運動がオバマ演説によって勇気づけられた側面は否定できませんが、その受け止め方については、被爆地の運動と他の地域の運動の間に温度差があるとの指摘もありました。また、海外ゲストからは、来年5月のNPT再検討会議に向けて核兵器削減への重要な会議が続く中、米国の核削減方針に抵抗しているのが日本政府だという指摘が相次ぎました。総選挙を目前にした大会で、あらためて政権交代、政策転換の必要性を痛感した大会でもありました。
8.原爆症認定訴訟で国は19回連続敗訴を重ね、ようやく8月6日、被爆者団体と集団訴訟原告の救済を合意しました。しかし、いまだ認定を待つ8,000人はじめ、支援を求める多くの被爆者が残されています。さらに被爆者手帳さえ持たない在韓被爆者も多数存在し、国交のない在朝被爆者は放置されたままです。被爆2世・3世の課題も残されたままです。

2.脱原発、反核燃料サイクル路線のたたかい

1.日本原燃は8月31日、保安規定違反や技術的トラブルが相次ぐ六ヶ所村再処理工場について、17回目となる竣工延期を発表しました。新たに完成時期を来年10月としましたが、試験再開の目途も立っていません。核燃サイクル施設の敷地直下や周辺での活断層の存在も指摘され、ますますその危険性が明確になりました。高速増殖炉もんじゅは2008年5月の運転再開に向けナトリウムの注入や新燃料の搬入が強行されましたが、機器のトラブルなどで再開が4回も延期されています。日本原子力研究開発機構は8月、来年3月までの再開方針を示しました。この間に、もんじゅでも直下の活断層の存在が指摘されています。原子力政策の柱である核燃料サイクル路線の破綻がますます明らかになった1年でした。
2.2007年7月に発生した中越沖地震は、原発震災の具体的危険性を示しました。東京電力は安全性を危惧する声を無視し、7号機からの運転再開を狙い、最終検査に入っていましたが、7月23日、燃料集合体から放射性物質が漏えいするトラブルが発生しました。東電は予定を先延ばししつつも燃料の交換で11月にも営業運転を再開する方針ですが、運転再開の強行は許されません。8月11日には浜岡原発を襲う震度6弱の地震が発生しました。幸い警戒されている東海地震ではありませんでしたが、5号機の一部で基準時震動S1を超える揺れが確認され、微量の放射性物質が外部に漏れ、約50ヶ所の損傷が見つかっています。東海地震がいつ起きてもおかしくないといわれる今、運転再開は絶対に認められません。
3.日本の原子力政策の根幹である核燃料サイクル路線が大幅に狂う中、国は地球温暖化の切り札として原発推進を掲げ、上関原発の新設や川内原発、浜岡原発の増設への動きを強めています。さらに今秋からのプルサーマルの実施に向けてMOX燃料の輸送を開始し、5月18日に浜岡原発、23日に伊方原発、27日に玄海原発に搬入されました。今秋11月にも玄海原発で国内初のプルサーマルが実施されようとしています。
4.海外では、温暖化対策を名目に、原子力ルネッサンスのかけ声の下、原発を大幅に増設していく動きがありました。しかし、世界的な金融危機の中、莫大な初期投資を必要とする原発の建設は勢いを失いつつあります。オバマ政権は原発の必要性は否定しないものの、高レベル放射性廃棄物の安全な処分方法ができるまで原発は増設すべきでないという立場であり、むしろグリーン・ニューディール政策の推進で自然エネルギーへの傾斜を強めつつあります。さらにブッシュ政権下で進められた核燃料サイクル構想も断念することを発表しました。
5.平和運動センターは、こうした諸課題に対する原水禁国民会議からの方針提起を受け、「もんじゅを廃炉へ!全国集会」へ123人を派遣、さらに「4.9反核燃の日行動」(青森市)や「STOP!『プルサーマル・核燃料サイクル』全国活動・学習交流集会」にも参加してきました。また、柏崎刈羽原発の再稼働の動きに対しては打電行動を展開、玄海原発のプルサーマルに対しては反対の署名運動にも取り組みました。

3.志賀原発に反対する取り組み

1.志賀原発の運転再開に反対し、全国に呼びかけて取り組んできた「北陸電力に原発運転の資格なし!全国署名」は、最終的に52万筆ものたくさんの署名が寄せられ、臨界事故隠しをおこなった北陸電力の責任を厳しく問う運動をつくりあげることができました。残念ながら2号機の営業運転再開を許しましたが、臨界事故をおこした1号機の運転再開問題をさらに1年間引き延ばす世論の力へとつながりました。
2.こうした中、志賀原発を巡る今年度の最大の焦点は、2号機差し止め訴訟の控訴審判決でした。3年間に及ぶ控訴審期間中に、2号機のタービントラブルの発生、臨界事故隠しの発覚、能登半島沖地震の発生など、次々と原告である私たちの主張を裏付ける動きが続き、特に能登半島地震は1審判決を、事実をもって実証するものでした。これに対し、控訴人である北陸電力は、1審判決を覆す反証ができたとは到底思えず、私たちは控訴棄却の勝利判決を確信しました。判決前の3月14日には2号機の運転中止、1号機の運転再開阻止、プルサーマル反対を掲げ、県内各地や富山からの参加者も含め、約200人が志賀町に結集し「志賀原発を動かすな!3.14志賀現地集会」を開催し、運転再開の動きに抗議の声をあげました。
3.3月18日の控訴審判決は、北陸電力の主張を鵜呑みにした全く非科学的・国策判決でした。原告団はもちろん平和運動センターとしても抗議声明を発表し、判決を批判しました。多くの全国紙、地方紙が社説で判決について触れましたが、ほとんどが耐震対策についてさらなる取り組みを求める内容であり、判決を支持するものはまれでした。判決当日の午後には、北陸電力富山本店を訪れ、1号機の再開反対を申し入れました。
4.北陸電力は判決を受け、翌日には石川県と志賀町に1号機の運転再開の申し入れをおこないました。これに対し平和運動センターや社民党県連合などは3月23日、谷本知事宛に運転再開を認めないよう申し入れをおこないました。しかし県は、1年前の2号機の運転再開時と同様、形骸化した原子力環境安全管理協議会の会議を経て3月27日、1号機の運転再開を了承しました。この間、私たちが訴えてきた地震・耐震問題や品質管理の杜撰さ、隠す体質などはなんら改善されておらず、むしろ国と一体となり安全性を偽装する動きは強まっていると言わざるをえません。平和運動センターはただちに抗議声明を発表しました。
5.運転再開に向け1号機の定期検査がおこなわれていた4月12日、2号機の気体廃棄物処理系でキセノンの値が上昇、一時は通常の3,600倍の濃度にまで達しました。ところが北陸電力と県は当初記録された200倍の濃度のみを公表し、平和運動センターなどの申し入れに対しても、200倍を前提に「事象の進展がなければ問題なし」との見解に終始しました。データを公表したのは原因究明にあたる方針を決定してからで、不都合な情報は隠し続けるという体質は全く変わっていません。また、漏えい箇所の特定のため、出力60%という低出力運転を1週間も継続したこと、さらに燃料棒の交換や原因究明の作業を約3ヶ月後となる7月10日からの定期検査まで先延ばししたことなど、安全軽視の姿勢もなんら変わっていません。
6.1号機は5月13日、営業運転を再開しました。1、2号機揃っての営業運転は初めてのことです。地震問題など安全面で数多くの問題を残しながらも、今後の運動面での最大の課題はプルサーマル阻止となりました。当初、北陸電力は2010年度からの導入を掲げていましたが、6月12日、実施時期を「2015年度まで」に延期することを発表しました。あくまで延期であり、中止ではありません。これに対し、平和運動センターは7月11日、社民党や原告団など市民グループ、富山や福井の平和センターにも呼びかけ、「ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク」を立ち上げました。発足集会には約150人が参加、柚木代表ら5人の共同代表を承認し、当面、プルサーマルの学習とネットワークの拡大にとりくむ方針などを確認をしました。また、元京都大学原子炉実験所の小林圭二さんを招いて記念講演もおこない、プルサーマルについての学習を深めました。
7.昨年9月16日には志賀原発からは初めてとなる低レベル放射性廃棄物の六ヶ所村への搬出がおこなわれました。平和運動センターは志賀原発前の海岸で「六ヶ所村に核のゴミを押しつけるな!9.16低レベル放射性廃棄物搬出抗議行動」をおこない、抗議の声を上げました。7月2日早朝には1号機用の新燃料88体が搬入されましたが、秘密裏の危険な輸送に対し抗議声明を発表しました。

Ⅵ.政党、議会、選挙との関わり

1月17日(土) 社民党県連合新春交歓会
2月 8日(日) 福島みずほを囲む支援労組(団体)代表者昼食交流会
いのちを語る~福島みずほin石川
22日(日) 白山市議会議員選挙(告示・無投票)
3月 8日(日) 社民党県連合定期大会
7月 4日(土) 社民党スクール・石川(教育会館)
22日(水) 社民党スクール・石川(小松市民ホール)
25日(土) 社民党スクール・石川(七尾労働会館)
8月30日(日) 衆議院選挙投票日
羽咋市議会議員選挙投票日

1.平和運動センター構成組織は衆議院選挙において、小選挙区は民主党公認候補の当選を、比
例区は民主、社民両党の議席獲得をめざして奮闘しました。結果は以下の通りです。平和運動センターとして直接選挙運動を担ってきたわけではありませんが、構成組織の奮闘と、この間、自公政権の「改憲による軍事大国化」と「新自由主義改革路線」を批判し、政権交代、政策転換を訴え、数多くのたたかいを展開してきた成果とも言えます。
◇小選挙区

石川1区 当  選 奥田  建(民主・元) 125,667票
比例当選 馳   浩(自民・前) 117,168票
佐藤 正幸(共産・新) 10,982票
石川2区 比例当選 田中美絵子(民主・新) 119,021票
当  選 森  喜朗(自民・前 123,490票
石川3区 当  選 近藤 和也(民主・新) 100,832票
比例当選 北村 茂男(自民・前) 98,599票

◇比例区

党 派 県内得票数 比 率 北信越得票数 比 率 議席数
民 主 305,657 44.05 1,979,581 44.37
社 民 19,647 2.83 221,419 4.96
国民新 29,510 4.25 238,755 5.35
自 民 245,813 35.43 1,320,545 29.60
公 明 52,157 7.52 328,308 7.36
共 産 29,814 4.29 269,705 6.04

比例単独

比例単独 当 選 沓掛 哲男(民主・新)

2.平和運動センター構成組織が自治体議員選挙で推薦した候補者の結果は以下の通りです。
白山市議会議員選挙(2月22日告示) 竹田 伸弘 無投票当選
古河 尚訓 無投票当選
羽咋市議会議員選挙(8月30日投票) 浅野 俊二 当選
藤井 敬一 当選
3.社民党県連合や民主党石川には平和運動センターの総会や新春の集いをはじめ、集会や街宣行動などでも必要に応じて協力を求めてきました。社民党県連合や民主党石川からの集会やパーティなども呼びかけにも従来から積極的に対応してきていますが、今年度は民主党石川からの要請はなく、社民党県連合からの上記の要請に対応してきました。
4.小松基地や志賀原発に関する自治体申し入れは、社民党議員団の協力を得ておこなってきました。

Ⅶ.関係団体と共同行動を広げる取り組み

1.石川県勤労者協議会連合会との連携について

1月 5日(月) 新春の集い(138人)
4月26日(日) 県勤労協総会(山代温泉)メッセージ
5月31日(日) 全国勤労協総会(加賀市)

1.「車の両輪」として連携していくことを方針としており、「新春の集い」は2005年以降共催で開催しています。平和運動センターが主催する集会等についても連帯のあいさつを要請し、参加も呼びかけてきました。
2.5月31日には全国勤労協総会が加賀市で開催されたことから、柚木代表が出席し連帯のあいさつをした他、広告費などでも協力をしてきました。県勤労協の総会へはメッセージをおくりました。また、県勤労協が取り組む物販活動については、平和運動センター代表も勤労協会長と連名で地域勤労協・単産・単組へ協力を呼びかけています。

2.連合石川との連携について

1.連合との関係が密になるよう努力する方針を確認しています。総会や新春の集い、「海自ソマリア派兵反対2.25総決起集会」では連合石川・上田弘志会長から連帯のあいさつを受けました。
2.原水禁の取り組みでも協力を求めており、総会では上田会長から連帯のあいさつを受けました。金沢や小松での原水禁平和行進でも各連合地協から連帯のあいさつを受けています。また原水禁世界大会では、原水禁、連合、核禁会議の三団体で開会集会を開いていることから、広島大会、長崎大会ともに開会集会後の夕食・懇親会を合同でおこなっています。

3.護憲諸団体との連携の拡大について

【石川県憲法を守る会】
1.2004年の総会で態勢を強化し、従来の平和運動センター、社民党県連合、社会法律センターに、県勤労協、がんばれ社民党石川の会、瑞穂と一緒に国会へ行こう会が加わり、2005年からは金沢地区平和運動センターも参加しています。代表委員は社会法律センター(岩淵弁護士)、平和運動センター(柚木代表)、社民党県連合(宮下代表)、そして澤信俊金沢星陵大学教授の4人とし、事務局長は社民党県連合(清水幹事長)、事務局次長は平和運動センター(北野事務局長)から出しています。
2.第45回護憲大会は1月31日~2月2日まで3日間の日程で高松市で開催され、憲法を守る会は平和運動センターからの11人を含む15人を派遣しました。
3.県内では11月3日に香林坊で憲法公布62年記念「街頭キャンペ-ン」を開催し、約100人が参加。街宣・ビラまき行動をおこないました。5月3日には200人が参加し金沢市役所前広場で「5.3憲法集会」を開催し、集会後、市内デモをおこないました。また、10月26日から1週間はラジオCMをおこない、多くの県民に護憲をアピールしました。
4.12月5日には総会を開催し、会員の拡大など活動方針を確認しました。総会では第2部として、元ザ・ニュースペーパーの石倉直樹さんによる「時事コント」があり、会場が爆笑に包まれた中で麻生政権に怒り、そして憲法の大切さを確認し合うことができました。

【原水禁石川県民会議】
1.昨年、総会を復活させ、今年度も5月21日に総会を開催することができました。
総会には98人が参加し、共同代表の1人である宮下登詩子社民党県連合代表のあいさつに続き、上田弘志連合石川会長、藤田利男県勤労協会長、顧問の桑原豊元代議士、同じく岩淵正明弁護士から連帯のあいさつを受けました。議事では2008年度経過報告が提案・承認され、2009年度の活動方針案が採択されました。総会の記念講演では、「核燃サイクルを追い込む青森のたたかい」というテーマで、青森の核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんから六ヶ所村再処理工場の現状と今後のたたかいの展望などについて学びました。
2.原水禁平和行進は、富山県からの引き継ぎを含め県内6会場で取り組み、前年を上回る参加者がありました。世界大会へは広島大会13人、長崎大会へは12人を派遣しました。これらの取り組みには、石川県を含め19の自治体から賛助金を受けています。
3.世界大会終了、参加者の報告文を中心にした報告集を作成し、参加者や構成組織、自治体、広島原水禁、長崎原水禁、平和フォーラム、北信越ブロック各県平和運動センターなどに送付しています。

【石川県社会法律センター】
2月16日(月) 社会法律センター理事会
3月 5日(木) 石川県社会法律センター第31回総会
7月11日(土) くらしの相談(珠洲、輪島、七尾、羽咋、かほく)
12日(日) くらしの相談(金沢、白山、小松、加賀)

1.石川県社会法律センターは1978年10月7日、当時の石川県評や社会党議員団と協力関
係にある弁護士有志等により設立され、県下労働者・市民の生活と権利を守り、民主主義の擁護、発展に向けて労働運動、住民運動を法律面から支えることを目的にしてきた組織です。登録されている弁護士は、新たに北尾美帆弁護士を加え15人となりました。主たる活動として無料の法律相談と平和運動センターとタイアップした「くらしの相談」があり、さらに小松基地爆音訴訟や志賀原発差止め訴訟の弁護団としてもたたかっています。理事長は北尾強也弁護士、平和運動センターからは副理事長に柚木代表、理事に北野事務局長を送っています。
2.3月5日には第31回定期総会が開かれ、経過報告、決算報告、今年度の活動方針と予算案が提案通り承認されました。議案審議あと、事務局長の岩淵正明弁護士から「派遣労働者の現状と課題」と題して、労働者派遣法の成り立ちやあるべき改正点も含め講演がありました。
3.県内9ヶ所の会場で7月11、12日におこなった「くらしの相談」は、今年は47件(昨年は55件)の相談がありました。広報手段については、昨年、1昨年と新聞広告欄への掲載(発行部数30万部)に変更しましたが相談件数の減少傾向に歯止めがかからないことから従来の新聞折込チラシ(8万部)による案内に戻しました。テレビ、ラジオの無料イベント案内はこれまで同様活用しました。今年は、大きく減少していた奥能登や加賀方面の相談が増え、逆に金沢が大きく減少するという、近年の流れとは逆の結果となりました。今年は担当弁護士を、小松会場は2人から1人とし、白山会場を1人から2人に増員して対応しました。
4.憲法や有事法制の学習では、法律センターの弁護士に講師を依頼しています。今年度は7月1日に開催した青年・女性部の反戦平和集会で、岩淵弁護士を講師として海賊対策法について学習しました。

【「聖戦大碑」撤去の会】
1.2000年8月に護国神社横の都市公園に建立された「大東亜聖戦大碑撤去」の撤去を求
め、2001年5月26日、「大東亜聖戦大碑の撤去を求め戦争の美化を許さない石川県民の会」が設立されました。「県民の会」はその後、運動を全国展開していくことが確認され「大東亜聖戦大碑の撤去を求め戦争の美化を許さない会」(略称:「聖戦大碑」撤去の会)として活動を続けてきました。
2.平和運動センターは「会」の趣旨に賛同し、当初から3人の共同代表の一角を担っており、
現在は柚木代表が共同代表を務めています。12月11日の「南京大虐殺幸存者証言集会」や5月30日の総会・「靖国(YASUKUNI)」上映会への参加を呼びかけてきました。

【住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川】
1.2002年8月に稼動を開始した住民基本台帳ネットワークシステムに対し、全国各地で憲法違反や稼動の停止、離脱を求める訴訟が起こされる中、石川県でも2002年12月、社会法律センターなどの呼びかけにより26人を原告として金沢地裁に差止め訴訟が提訴されました。提訴の前の11月26日には裁判を支える組織として「住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川」が結成されました。県平和運動センターは、「進める会」からの呼びかけで運営委員や単産役員が原告団に加わり、「進める会」にも積極的に参加してきました。
2.2005年5月30日には一審勝訴判決を勝ち取りましたが控訴審で逆転敗訴、最高裁でも国の主張を全面的に採用した不当判決が出され結審しました。2008年6月23日に判決報告集会が開かれ、引き続き住基ネットの運用を監視し、全国でたたかわれている訴訟と引き続き連帯していくため、会は存続させることが確認されました。

【憲法九条を広める会】
1.五十嵐正博神戸大学大学院教授と岩淵正明弁護士が共同代表を務めます。
2.平和運動センターが取り組む集会等への参加を呼びかけ、また、広める会が主催する学習会についても広報に協力してきました。
【九条の会・石川ネット】
1.岩淵正明弁護士はじめ61人の呼びかけ人が賛同人を募る運動形態をとります。2004年12月15日の発足集会はじめ各行事では県内護憲団体に協力を呼びかけており、平和運動センターは憲法を守る会の構成団体として協力をしてきました。運営は呼びかけ人、賛同人が参加する運営委員会の協議のもとで進められていきます。事務局には北野事務局長が参加しています。
2.年2回県民集会を開催しています。今年度は11月3日の県民集会ではイラク派兵をめぐって画期的憲法違反判決を勝ち取った派兵差止訴訟弁護団長の内河惠一弁護士、5月3日は翻訳家のきくちゆみさんを招いて、9条をめぐる情勢や9条を守る意義などについて学習を深めました。また毎月9日には「9の日行動」として香林坊で街宣・ビラまきをおこない、その他、情勢に応じて記者会見や声明を発表しています。賛同人は794人となっています。

【七尾強制連行訴訟支援会】
1.2005年7月19日、第二次世界大戦末期に中国から日本へ強制連行され、強制労働させられた中国人399人のうち4人が原告となり、国と七尾海陸運送(株)を被告として損害賠償請求と謝罪を求める裁判を金沢地裁におこしました。
2.「七尾強制連行問題を調査する会」が中心になってこの裁判を支えようとの呼びかけがあり、2005年7月18日に「七尾港に強制連行・労働させられた中国人の戦後補償を求める訴訟を支援する会」が発足しました。平和運動センターは団体会員として参加しています。
3.2008年10月31日の一審判決は原告側の請求を全て棄却する不当判決でした。判決では違法な強制連行・強制労働であった事実は明確に認めました。さらに企業だけでなく国の安全配慮義務違反も明確に断罪しました。しかし、最後に支離滅裂な論理で「日中共同声明によって個人の請求権は放棄されている」と結論づける不当なものでした。支援会は弁護団と共にただちに中国に向かい、原告らと控訴の方針を確認しました。控訴審は4月27日には第1回、7月22日には第2回の口頭弁論が開かれました。今後、中国人学者証人の採否をめぐり、控訴審の山場をむかえます。

【小松基地と戦争に反対する小松市民と県民の会(反基地県民の会)】
1.第5次、第6次爆音訴訟が提訴されました。2回目となる米軍戦闘機の訓練移転がおこなわれ、全国の反基地闘争との連帯や、労組の枠を超えた幅広いたたかいの組織化など、法廷外闘争の強化が求められています。会の再建が課題となっていますが、組織の再建には至りませんでした。

Ⅷ.組織財政の立て直しと運動の裾野を広げる取り組み

1.加盟組織について

1.加盟組織は16と変動はありませんでしたが、登録組合員数は前年を296人下回り、7,376人(8月末現在)と減少を続けています。
2.2005年度に平和運動センターを脱退した自治労県本部については再度の加盟を要請しており、3月26日にも自治労県本部を訪れ要請をおこないました。

2.運営体制について

1.運営委員会を9回、地区代表者会議を2回、三役会議を7回開催しました。引き続き構成団体の意思統一を図るため、状況に応じて必要な会議を開催していきます。
2.発文書数は100回(9月2日現在)でした。今後も方針に沿って必要な発文をおこないます。
3.限られた事務局体制のもと、拡大していく課題に対応していかなければなりません。運動課題の重点化、加盟組織の実態をふまえた行動提起、事務作業の簡素化・効率化等など様々な角度から常に事務作業の点検をしつつ、事務局体制の強化を図らなければなりません。
4.「新春の集い」は県勤労協との共催としました。参加者は138人、谷本知事や連合石川・上田会長ら多くの来賓の皆様にも参加していただき盛況に開催することができました。

3.組織財政の立て直しについて

1.加盟組織の見通しが不透明だったため、組織財政検討委員会を開催できませんでした。加盟組織、登録組合員数がいずれも減少する中、基金会計からの繰り入れが昨年度800万円、今年度は830万円にも上りました。経費削減の努力はさらに重ねなければなりませんが、運動と組織のあり方について再検討が避けられません。
2.PEACEネット石川の会員は123人、会費は3,000円ですが、会費納入は79人、PEACEネット会員費は265,465円にとどまりました。会員の拡大、会費納入率の向上に向け、さらに努力が必要です。

4.教宣活動について

1.「PEACE石川」は10月、1月、7月の3回の発行でした。最低年4回、運動の展開とかみ合った迅速な発行体制が求められます。ホームページには集会等の活動案内や申し入れ書、打電の文書を随時掲載しています。平均アクセス件数は1日15件前後であり、今後とも新鮮な情報を掲載し、組合員に活用される内容となるよう努めます。
2.学習用教材としては、原子力空母問題パンフレット「原子力空母は本当に安全か?Part2」、書籍「平和基本法-9条で政治を変える」、原水禁パンフレット「核兵器全廃への新たな潮流~注目すべき米国政界重鎮四人の提言」、原水禁パンフレット「むだで危険な核燃料サイクル政策からの脱却を」を購入、斡旋しました。また、2009年版憲法9条カレンダーを紹介しました。

5.署名運動の取り組み

今年度は以下の署名運動に取り組みました。
名称                  集約日      集約数
◇東京大空襲訴訟を支援する署名            1月13日   12,063筆
◇玄海原発プルサーマル反対署名            7月24日   19,804筆
◇原子力政策の転換を求める署名について        9月10日       集約中
◇上関町の「原発建設計画中止!」を求める署名     9月10日       集約中
◇嘉手納基地爆音訴訟支援署名            10月20日       集約中

6.地区平和運動センターとの関わりについて

1.野々市町平和運動センターが5月8日の総会をもって解散し、各加盟組織はそれぞれ白山市平和運動センターに加盟していくこととなりました。これにより地区平和運動センターは12となりました。なお、輪島、穴水、門前の各地区センターは合併に向けて協議が進められており、次回総会で合併する予定となっています。
2.各地区平和運動センターは、それぞれ独立した運動体として組織され、活動しています。県平和運動センターとの上下関係はなく、お互い連携しながら運動を展開しています。地区平和運動センターはそれぞれ地域勤労協と協力関係を築いており、地区によっては財政を一本化しているところもあります。
2.地区平和センター総会の開催状況
野々市(5.8)白山(5.15)羽咋(5.22)七鹿(5.25)珠洲(5.26)金沢(6.3)能登(6.5)小松能美(6.24)加賀(7.29)
※未開催地は輪島(穴水、門前)、河北となっています。
3.1月5日と4月10月には運営委員会と合同で地区代表者会議を開催しました。平和をめぐる運動課題が拡大し、厳しさを増すなか、県平和運動センターと地区平和運動センターが共通認識にたって行動できるよう意見交換しました。また、原水禁総会、原水禁世界大会、非核平和行進、およびくらしの相談の取り組みについても意思統一を図りました。
4.原水禁平和行進は内灘(引き継ぎ式)輪島、志賀、金沢、白山、小松の各会場で、地区センターと石川原水禁の共催で取り組みました。第45回護憲大会へは金沢(3人)、羽咋(2人)七鹿(1人)、原水禁世界大会へは七鹿(1人)、金沢(3人)、白山(2人)、加賀(1人)から代表を派遣しています。くらしの相談は珠洲市、輪島市、七尾市、羽咋市、かほく市、金沢市、白山市、小松市、加賀市の9会場で実施し、47件(昨年55件)の相談がありました。
5.加賀地区平和運動センターは12月25~27日「沖縄ピース行動2008」をおこないました。金沢地区平和運動センターは4月25日、歴史探検「軍都金沢から平和を学ぶフィールドワーク」をおこない、35人の参加がありました。7月26~27日には能登ピースサイクルの行動に参加し、志賀原発反対を訴えました。

7.青年・女性部への支援・援助について

9月22日(月) 青年・女性部第11回幹事会
10月10日(金) 青年・女性部総会、第1回幹事会
21日(火) 10.21反戦平和を考える石川県青年・女性集会     120人
11月11日(火) 第2回幹事会
12月 8日(月) 12.8戦争を許さず平和を考え行動する会2008年集会
第3回幹事会
1月15日(木) 第4回幹事会
2月 6日(金) 2.8反戦平和を考える石川県青年・女性集会       120人
3月11日(水) 第5回幹事会
4月24日(金) 第6回幹事会
5月12日(火) 第7回幹事会
6月10日(水) 第8回幹事会
7月 1日(水) 6.23反戦平和を考える青年女性集会(地場産センター) 120人
7月15日(水) 第9回幹事会
8月17日(月) 第10会幹事会

1.03年度より青年・女性部が結成され、平和運動センターの専門部として位置付けられました。青年・女性部の代表幹事1名は平和運動センター運営委員に入っています。
2.平和運動センターは青年・女性部の自主性を尊重しつつ、必要な指導・援助をおこなってきました。

8.平和フォーラム、北信越ブロックについて

9月19日(金) 平和フォーラム運営委員会
原水禁国民会議常任執行委員会
25日(木) 各都道府県組織、中央団体責任者会議(三浦市)
26日(金) 全国基地問題ネットワーク第12回総会(三浦市)
10月17日(金) 富山県平和運動センター総会メッセージ送付
24日(金) 長野県平和・人権・環境労組会総会メッセージ送付
12月 9日(火) 平和フォーラム運営委員会
原水禁国民会議第4回常任執行委員会
2月26日(木) 平和フォーラム北信越ブロック会議(~27日・福井市)
3月 2日(月) 平和フォーラム全国活動者会議(~3日・静岡市)
27日(金) 平和フォーラム運営委員会
原水禁国民会議第5回常任執行委員会(東京・総評会館)
4月23日(木) 平和フォーラム総会・原水禁国民会議全国委員会
6月 4日(木) 北信越ブロック会議(~5日・富山市)
20日(土) 北信越ブロック地域活動交流集会(~21日・富山市)  11人派遣
30日(火) 原発・原子力施設立地県会(東京・総評会館)
7月 1日(水) 原水禁国民会議常任執行委員会(東京・総評会館)

1.フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム・江橋代表)が提起する活動に可能な限り参加してきました。特に「もんじゅを廃炉に!全国集会」へは123人を派遣しました。また平和フォーラム総会、全国活動者会議にも参加しました。
2.今年度は北信越5県の平和運動センターで構成する「北信越ブロック会議」の幹事県は富山
県が務め、6月には富山市内で地域活動交流集会が開催され、石川県からは11人を派遣しました。イタイイタイ病問題についてのフィールドワークや各県の活動報告などを通じて各県の交流を深めました。

2009年くらしの相談実績 - 2009年7月11,12日実施 –
地区名 会  場 件数(今年) 件数 (昨年) 相  談  内  容
加  賀 加賀地区労働会館 金銭1、労働1、その他1
小松能美 小松教育会館 相続1、不動産2、金銭1、家庭2
白  山 白山市労働会館 債務1、家庭1
金  沢 教育会館 11 26 金銭2,家庭5,労働1、交通事故1、
その他2
河  北 七塚生涯学習センター 労災・損害賠償1、相続3,金銭1、倒産1
羽  咋 羽咋労働会館 金銭5、不動産3、家庭1、労働1、
慰謝料1、その他1
七尾鹿島 七鹿労働会館 遺産相続1、土地、労働1,保証1、金銭1
鳳至輪島 輪島市労働会館 金銭関係2
鳳珠北 珠洲労働会館 遺産相続1、土地境界4
年度 2002 2003 2004 2005 2006 2008 2008 2009
件数 107 83 68 82 74 66 55 47

相談件数の推移
2008年度 決算報告

議案書「別冊」参照

2008年度 会計監査報告

議案書「別冊」参照