2008年度 活動方針
Ⅰ.私たちを取り巻く情勢
1.世界はいま、かつての第二次世界大戦後の米ソ冷戦時代、ソ連崩壊後の米国一極集中時代に
次ぐ新たな枠組みを模索する時代に入っています。今後の国際情勢を占う鍵として、①ブッシュとそれに追随した政権の相次ぐ終焉、②イラク・アフガン侵略戦争の泥沼化・内戦激化、③旧ロシア領内や中東全域への軍事的緊張の拡大と新冷戦への動き、④BRICsなど新興経済国の影響力が軍事・外交・国際金融の分野でも拡大し多極構造化へ、⑤新自由主義路線の世界的な拡大と貧国の世界的な深刻化、⑥G8の影響力の低下と発展途上国やNGOからの反発、批判の拡大、⑦米国の中国包囲網政策の見直しと六ヶ国協議での北朝鮮問題事態打開の動き、などがあげられます。
不透明な国際情勢の中にあって、以上から浮かび上がるのは米国の軍事的、政治的、経済的影響力の相対的低下です。しかし、依然として全世界の軍事予算の約半分を米国が占めている情勢に変わりはなく、同盟国を巻き込みながら覇権を維持しようとする米国が、多極化の流れとぶつかり合い、新冷戦時代ともいわれる激動期に世界は突入しようとしています。
2.このような情勢にありながら、安倍・自民党の参議院選挙大敗北を受けて1年前に誕生した
福田内閣も、軍事・外交・経済いずれも米国追随に終始し、「改憲による軍事大国化」と「新自由主義改革」を押し進める小泉-安倍路線からの本質的転換を図らず、平和と国民の暮らし、雇用を破壊し続けてきました。
しかし一方で、参議院選大敗北の衝撃と参議院与野党逆転による政局の変化は、福田内閣に改憲戦略の見直しと新自由主義路線の手直しを迫りました。改憲戦略見直しの基本は、民主党との協調関係再構築による明文改憲路線の立て直しと、新テロ特措法、さらには派兵恒久法の実現による実質的改憲路線の推進です。
新自由主義路線については、それによる貧困と格差の拡大、雇用の危機、中小地場産業の崩壊、社会保障政策の後退、地方の疲弊など、いわゆる改革の「痛み」がまさに参議院選挙の大敗の原因であり、「痛み」に対する手当てをしなければ改革の続行も難しいとの判断が徐々に与党内で勢力を拡大してきました。消費税の値上げで「痛み」の手当てに対処すといういわゆる財政再建派です。一方、急進改革続行で、それによる経済成長とパイの拡大で格差と貧困に対する不満を解消するというのが上げ潮派です。自民党内では経済・財政政策をめぐって様々な主張がありますが、「痛み」対する対応の違いこそあれ、基本的には新自由主路線堅持だということを見落としてはなりません。
3.参議院選挙後の世論調査では、民主党は低支持率にあえぐ福田内閣の受け皿になりえていない状況が示されてきましたが、今春以降の調査では民主党を中心とした野党への政権交代を期待する声の高まりが確実に現れています。
民主党は発足以来、米国追随から国連中心主義へのシフトを掲げつつも、基本的には軍事大国化と新自由主義路線を、「政権担当能力」という言い訳を付け加えながら受け入れ、その枠内で自民党と競争し、党勢を拡大してきました。ところが昨年の参議院選挙で民主党は従来の政策を大きく転換させ、農家個別所得保障政策など反構造改革の立場を鮮明にし、子ども手当ての支給など相次いで福祉国家的政策を打ち出しました。軍事大国化に対しても、自衛隊のイラクからの撤退、テロ特措法延長反対を掲げました。これらの方針転換によって構造改革や改憲に批判的な国民の支持を獲得し、大勝につながりました。
この政策転換が、小沢代表の一時の選挙戦術で終わるのか、あるいはかつての自民党の予算ばらまき政策へと逆コースを辿るのか、あるいは社会民主主義的政党へと脱皮していくのか、次期衆議院選挙へのマニフェストが注目されます。当面は派兵恒久法の必要性やISAF参加を表明してきた小沢代表が、自民党から提起される派兵恒久法にどのように対応するのかが焦点となります。そのときの鍵を握るのは、平和フォーラムに結集する全国の平和運動の力量だということを忘れてはなりません。
4.2007年1月、31歳のフリーター青年が雑誌の論文で「日本が軍国化し、戦争が起き、たくさんの人が死ねば、日本は流動化する。」「戦争は悲惨でも何でもなく、むしろチャンスとなる。」「戦争は希望の光」と語り大きな反響を呼びました。この青年に対して全面的に反論することは可能ですが、この主張に共感する層が少なからずいたことを私たちは深刻に受けとめなければなりません。また派遣労働者の青年によって秋葉原の連続殺傷事件が起こり、これを契機に政府内でようやく派遣労働の規制強化の議論が始まりました。選挙結果に示される有権者の声や労働運動の叫びには耳を傾けず、殺人事件によってしか政策が変わらないとしたならば、それは民主主義の機能停止意味する衝撃的な事態です。自公政権はまさに瀕死の状態です。
5.昨年の活動方針で私たちは小泉-安倍政権の悪政として①軍事優先の国づくり、②新自由主義政策の加速、③誤った歴史観によるナショナリズムの拡大、④破綻寸前の原発推進・プルトニウム利用路線の強行推進の4点に整理しました。福田首相が、たとえ集団的自衛権の解釈変更を見送り、クラスター爆弾を禁止し、靖国参拝を見送ったとはいえ、これで悪政の流れが変わったわけではありません。新政権の発足、総選挙という不透明な時代だからこそ、政権の本質や社会の矛盾を見抜き、軸足を定めた運動がなにより求められます。
今後も政権のたらい回しでは決して悪政の流れは変わりません。しかし、たとえ政権交代が実現しても、私たちが求める政策転換が予定調和的に実現するものではなく、常に私たちの運動の力量が問われ続けることを自覚しなければなりません。いまこそ正規雇用、非正規雇用を問わず社会の矛盾、不条理とたたかう労働者の団結力の真価を発揮しなければなりません。
6.以上の情勢を踏まえつつ、反戦・平和、環境、人権と民主主義擁護の立場に立脚し、以下の
活動方針を提起します。
なお、今年度は次の4点を常に念頭に置き、運動の拡大・強化に努めていきます。まず、石川県における平和運動の「センター」としての期待に応え、その役割を果たすよう全力を尽くします。2点目として、運動課題が拡大・多様化する中、非核・平和条例を考える全国集会開催を契機に、平和課題の取り組みを最重点課題としていきます。3点目として、平和運動センターへの結集力の強化を図るとともに、議員団をはじめとした他団体との連携を強め、政策実現への一層の影響力の拡大に努めます。4点目として、組織の維持、運動の継続・発展に向け、組織・財政問題の展望を明らかにしていきます。
Ⅱ.組織財政の立て直しと運動の裾野を広げる取り組み
1.平和運動センターへの結集力を強化する取り組み
1.この1年間、反戦・平和、環境、人権と民主主義擁護をめぐる諸課題について積極的に取り組み、集会やデモ、街宣・ビラまきなどの行動を通じて直接県民、市民に訴えてきました。さらに私たちの取り組みはマスコミを通じても広く県民に伝えられ、平和運動センターの存在感と役割を示してきました。引き続きこれらの諸課題に対し積極的に行動を提起し、全単産・単組の参加のもとで実現することによって、平和運動センターに対する理解や結集力・求心力が強まるようさらに努力していきます。これらの諸課題は労働運動の基本でもあり、各単産・単組との連帯を深めることによって、組織の強化と運動の拡大をはかっていきます。
2.運営委員会や三役会議での議論と合意形成をはかり、指導性を発揮できる体制を確立します。さらに地区代表者会議を開催しながら全県的な運動の拡大に努めます。
3.三役を中心に、運営委員としての日常活動を強化し、構成組織との連携強化に努めます。
4.平和運動センターと組合員をつなぐ重要な媒体として、機関紙「PEACE石川」の定期発行と紙面充実に努めます。ホームページも常時新鮮な情報が掲載されるよう努めます。また、時々の闘争課題の理解を深めるための学習会を適宜開催し、平和フォーラムなどから発行される学習資料も適宜紹介していきます。
5.たたかいの経験の継承が中長期的には重要な課題となっています。長年、平和運動を担ってこられた諸先輩の貴重なたたかいの経験を継承できるよう検討します。
2.組織・財政の立て直しについて
1.平和運動センターの継続的活動に向けた財政基盤の確立にはさらなる検討と努力が必要です。2006年度に確認した組織財政再建3ヵ年計画は、その後の登録組合員数の大幅な減少とPEACEネット会員の伸び悩みで、計画の見直しは避けられません。組織財政検討委員会を引き続き開催し、新たな状況も踏まえ、計画の見直しを図っていきます。
2.自治労県本部をはじめ脱退した組織に対しても、再考を願い、再結集への働きかけを続けます。
3.政策への影響力の強化を目指して
1.平和運動センターの運動課題をみたとき、その多くは平和フォーラムのもとに連帯して闘いつつも、小松基地への米軍戦闘機の訓練移転阻止、国民保護計画実働訓練反対、志賀原発運転反対など、直接的には県内の自治体が決定権を持つ取り組みも増えており、自治体の政策決定への影響力を強化することが求められています。
2.県内の大衆運動を強化していくこと大原則ですが、そのうえで、政党や議員団との連携を密にし、政策決定のプロセスに深く関与できるよう運動を組み立てていきます。
4.地区平和運動センターとの連携を強化する取り組み
1.県内13地区に地区平和運動センター組織があります。県平和運動センターと上下関係はありませんが、原水禁平和行進や「くらしの相談」などの運動展開ができるよう代表者会議を開催しながら関係強化に努めます。また原水禁世界大会や護憲大会、北信越ブロックの地域活動交流集会へも積極的に参加してもらえるよう働きかけます。
2.地区平和センターは加盟単組の減少や組合員の減少、財政問題、勤労協との連携、組織の統合などの様々な地域的課題があります。それぞれがもつ課題の解決のために県平和運動センターとしても最大限の努力をします。
3.昨今の代表者会議では県平和運動センターからの積極的な行動提起を求める声が多く出されます。地区平和運動センターと連携し、県内全域への運動の拡大を目指します。
4.輪島、穴水、門前の各地区平和運動センターは統合の方向で基本合意がなされています。新組織結成に向けてできるだけの協力をしていきます。河北地区平和運動センターは2002年を最後に総会が開かれていません。組織の再建に向けて積極的に対応していきます。
5.青年・女性部の育成、強化について
1.青年・女性部は反戦平和の課題に積極的に取り組み、平和運動センターの運動にも積極的に参加しています。引き続き青年・女性部の代表は平和運動センターの運営委員として参画することとします。
2.青年・女性部は、2.8ジェット機墜落事故抗議・反基地闘争、6.23反安保・反戦平和闘争および10.21国際反戦平和闘争を、反戦平和集会の開催を通じて取り組み、12.8反戦平和を考える集会も連合や社民党などと実行委員会を結成して取り組んでいます。反戦・平和の運動を職場から作り出していく推進役という意味で、また各単産・単組の時代を担う活動家を育成する組織という意味で、平和運動センター、そして各単産・単組にとって大きな役割を果たしています。引き続き自主性を尊重しつつ必要な指導・援助をおこないます。
3.各単産・単組の青年女性組織は、最近の新規採用の抑制によって対象となる組合員が減少し、役員の選出や活動の継続が困難になっています。各単産・単組は青年女性の運動を積極的に援助するとともに、平和運動センター青年・女性部への役員派遣および運動への参加を指導していくものとします。
6.平和フォーラム、北信越ブロックについて
1.平和フォーラムが提起する会議には可能な限り参加し、情報交換、意見交換を積極的におこないます。平和フォーラムが提起する全国行動については、全国情勢と地域での闘争日程を勘案し、参加態勢を組んでいきます。「もんじゅを廃炉に!全国集会」は、来年2月の運転開始予定を前にしての集会であり、例年以上の参加態勢で臨むこととします。
2.北信越ブロック会議や地域活動者交流集会には積極的に参加し、引き続き5県の連帯を深めます。「第9回非核・平和条例を考える全国集会in金沢」の成功に向け、平和フォーラムや北信越ブロックの協力を積極的に要請していきます。
Ⅲ.関係団体との共同行動を拡大する取り組み
1.県勤労協との連携強化を目指して
1.県平和運動センターと県勤労協は運動面においても財政面においても共通する課題が多く、また、地区平和運動センターと地域勤労協は一体化、あるいはそれに近い組織形態で活動しているところが多くみられます。職場と地域の運動をつなげることは平和運動の強化につながるものであり、連携が深まるよう諸活動について協力を求めていきます。必要に応じて、意見交換会もおこないます。
2.2009年新春の集いを引き続き共催でおこないます。
2.連合石川との連携について
1.連合が結成されて19年になろうとしています。平和運動センターは8年前の発足時にすべての政治活動の一日も早い連合への一元化を目指すとしつつ、一方で「平和運動センター」の名に相応しい行動展開に「当面」全力をあげるとしてきました。一見矛盾するかのような方針を抱え、運動体としては過渡的存在という印象をもたれるまま、現在の平和を巡る危機的な情勢に立ち向かうこととなりました。
2.平和フォーラムの組織検討委員会は昨年3月、平和フォーラム・原水禁の組織と運動を連合に「ただちに統一することは困難」とし、組織・役員が一体となり目的意識的に組織(平和フォーラム・原水禁)の強化・拡大に取り組むこと、運動面でも中央組織としての役割強化が求められているとの報告書をまとめました。今年度は、2009年の連合結成20周年に向け、連携のあり方を検討するとしています。
3.県平和運動センターは1昨年の総会で、「一元化問題については新たな政治情勢、社会情勢を迎えた段階で再度議論すること」とし、平和運動センターは直面する危機的情勢に対処するため、加盟単産・単組、地区平和運動センター、そして個人会員の協力を得て、平和運動の「センター」として、全力でその役割を果たしていくことを確認しています。
4.これは連合石川との関係に必ずしも距離を置くものではありません。平和運動センターの役割や労働界の中での位置づけをより明確にする中で、連合石川とのより積極的な協力関係を築いていきます。
3.政党、議会、選挙との関わり
1.2000年9月の第1回総会で確認したとおり、議員や政党との連携は運動面にとどめることを基本とし、特別の場合を除いて選挙闘争(候補者の推薦行為など)から撤退します。
2.原則として選挙闘争から撤退を決めていますが、政党との関係を絶つものではありません。政党と労働組合は、その活動において一線を画すべきことはいうまでもありませんが、平和をめぐる運動課題は極めて政治的性格を有していることも事実です。民主、社民両党および議員団とは今後も積極的な交流と情報交換に努め、協力関係を強化していきます。
3.両党から政治活動上の協力要請を受けることもあります。この場合は平和運動センターの運動方針に照らして妥当かどうかを、運営委員会あるいは三役会議において諮り、合意が得られた場合のみ協力していきます。
4.護憲・平和諸団体との連携強化について
1.石川県憲法を守る会
5.3憲法集会など憲法を守る会が呼びかける取り組みに参加していきます。11月1~3日の日程で、高松市で開催される第45回護憲大会へ代表を派遣します。
その他、会の運営に積極的に協力し、運動の拡大に務めます。
2.原水禁石川県民会議
原水禁世界大会広島・長崎大会に代表を送るとともに、各地区平和運動センターと連携し、県内での平和行進を実施します。原水禁国民会議が提起する諸行動にも可能な限り参加していきます。
その他、構成組織の中心として、原水禁運動の強化、拡大に積極的に取り組みます。
3.石川県社会法律センター
今年で発足31周年を迎えます。引き続き地区平和運動センターと連携し「くらしの相談」を実施します。相談件数の減少を踏まえ、開催地区や広報のあり方について協議します。登録弁護士には学習会の講師を依頼していきます。
4.「聖戦大碑」撤去の会
聖戦大碑の撤去を求める闘いに連携して取り組むとともに、会が主催する集会にも積極的に参加します。
5.住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川
今後も進める会とも連携し、住基ネット反対の運動に取り組みます。
6.憲法九条を広める会
憲法改悪反対の闘いを連携して進めます。広める会が主催する学習会を積極的に広報し、参加者の拡大にも努めます。
7.九条の会・石川ネット
石川ネットが呼びかける集会等には憲法を守る会の構成組織として積極的に参加していきます。賛同人の拡大にも取り組みます。
8.七尾強制連行訴訟支援会
団体会員として訴訟を支援していきます。
9.小松基地と戦争に反対する小松市民と県民の会(反基地県民の会)
小松基地への米軍の訓練移転が今後も予想されます。また、爆音訴訟原告団は年内に第5次訴訟を提訴する予定です。全県的な反基地闘争の強化と、反基地闘争の対外的な窓口が求められています。このような観点から、反基地県民の会を再建し、機能させていきます。
Ⅳ.反戦・平和、護憲、民主主義擁護の運動強化に向けて
1.憲法改悪を許さない取り組み
1.改憲による軍事大国化の動きの背景として、1つには冷戦後、地球規模に拡大した軍事戦略による莫大な負担を同盟国への押しつけようとする米国の思惑があり、さらに新自由主義路線で海外展開を押し進めた財界からの要請でもあります。ときの首相が政権を放り投げても、改憲を求める勢力が存在する限り、憲法の危機は続きます。
安倍政権発足時、改憲実現へのハードルには①国民投票にかけるための改憲手続法の制定、②衆参両院で3分の2の多数を得て改憲案を発議、③国民投票で過半数の賛成を獲得、の3つがありました。安倍首相は公約に掲げた「任期中の改憲」に向け、改憲手続法を強行採決によって制定しましたが、これによって「衆参両院で3分の2」の前提である民主党との強調路線は破綻し、憲法審査会はいまだ始動していません。さらに安倍政権の露骨な戦争国家路線によって、改憲の真の狙いが多くの国民の前に明らかになり、国民の間で改憲反対運動が高揚していきました。その結果は各種世論調査でも明確になり、決定打は参議院選挙での安倍・自民党の大敗北・参議院の与野党逆転でした。改憲へのハードル②③には赤信号が灯ったのです。
福田内閣の改憲戦略の見直しのポイントは2点あります。一つは派兵恒久法の制定です。明文改憲の目途が立たない中、米国の派兵要請に迅速に応えるための実質的な改憲法であると同時に、恒久法制定の必要性を掲げる小沢民主党との協調関係再構築の突破口とも位置づけられています。もう一つは新憲法制定議員同盟の発足です。自主憲法制定期成同盟を改称した組織ですが、新たに民主党幹部も役員に取り込み、ここでも民主党との協調関係再構築が打ち出されています。さらに同議員連盟は国民投票での過半数実現を視野に、あらたな国民運動の展開を提唱しており、今後の動きに警戒していかなければなりません。
引き続き憲法審査会を始動させないよう野党の結束を求めていくと同時に、欠陥法である改憲手続法の廃止を求めていきます。さらに憲法9条の実質改憲につながる派兵恒久法の制定に反対し、改憲阻止のたたかいを継続、強化していきます。
2.解散・総選挙、政権交代が視野に入ってくる中、自衛隊や日米安保条約と憲法の関係をどう整理するのか、さらに現存する自衛隊の縮小・解体の道筋をどのように描いていくのか、平和勢力内の議論を深めなければなりません。憲法と現実の乖離を埋める考え方として平和基本法構想があり、平和フォーラムは平和基本法の確立を方針として掲げ、平和基本法要綱案の作成・討議を進め、学習用パンフの発行も予定しています。一方で平和基本法については、「最小限防御力」を認め、自衛隊容認論につながるのではないかとの議論もあります。平和運動センターとして学習と討議を進めていきます。
3.憲法を守る会の構成組織として、諸行動に参加していきます。改憲阻止と同時に憲法理念の実現が求められています。11月1日から3日まで高松市で開催される第44回護憲大会へも積極的に参加し、憲法理念の実現に向けた今日的課題についての理解を深め、全国の運動との交流も深めます。
4.来年5月から裁判員制度が導入されますが、国民の拒否感は強く、裁判員や被告の人権保障にも課題が残されており、様々な問題点が噴出することが予想されます。そもそも裁判員制度の導入を含む司法改革は新自由主義路線の中の改革の一環として導入されたものであり、労働者や消費者の権利保障という観点からも疑問が指摘されます。裁判員制度を含め司法改革の学習に取り組みます。
2.米軍訓練移転を阻止し、日本の戦争国家化を阻止する取り組み
1.イラク・アフガン戦争は泥沼化し、さらに軍事的緊張はイランやシリア、イスラエルも巻き込んで拡大しています。米国のイラク戦争への対応は今秋の大統領選挙によって左右されますが、民主党オバマ候補も、イラクからの16ヶ月以内の撤退を掲げる一方で、アフガン増派を打ち出しています。ペシャワール会・伊藤和也さんの悲劇が明らかにしたように、アフガニスタン侵略戦争・タリバン掃討作戦の継続が一層の治安の悪化につながっていることは明らかであり、日本政府の陸自派兵のための政府調査団派遣はこの流れを加速させました。
航空自衛隊のイラク派兵は、派兵の根拠である国連決議が切れることから、年内での撤退方針が固まったとも報道されています。しかしアフガニスタンに対しては、地上軍の派兵こそ福田内閣は断念しましたが、対応の強化が模索されています。新テロ特措法の延長、派兵恒久法の制定を阻止しなければなりません。平和フォーラムの行動提起を受け、全国的な延長阻止、派兵反対の運動に連帯していきます。
2.米軍再編計画が具体的に動き出し、MDシステムの実戦配備も始まりました。さらに原子力空母ジョージワシントンが横須賀を母港として配備されようとしています。在日米軍の強化であり、しかも東京湾に軍事機密で覆われた原発をつくるようなものであり許せません。母港化直前の火災事故や原子力潜水艦の放射能漏れも発覚し、あらためて安全性や情報の壁に危惧が高まっています。平和フォーラムや全国基地問題ネットワーク、原水禁と連携し、反対の取り組みを進めます。
3.小松基地への米軍戦闘機の訓練移転について、秋以降に2回目の訓練が予想されます。米軍再編を推し進め、小松基地の軍事的機能強化を図るものであり、全県的な反対運動をつくっていきます。また、1回目の訓練で、騒音被害の増加が明らかとなりました。事故の危険性も含め、広く基地周辺住民に、訓練移転の問題点をアピールしていきます。
爆音訴訟5次訴訟は、第3次、第4次訴訟を上回る原告の規模で年内の提訴が予定されています。原告団と連携しながら、傍聴行動に取り組みます。
爆音訴訟原告団や小松能美平和運動センター、加賀地区平和運動センターと連携して騒音調査にも取り組みます。
航空祭は、戦闘行為をおこなう武器を市民にPRする場であり中止すべきです。申し入れ行動などに取り組みます。
4.石川県は2006年に金沢、2007年に七尾を会場として国民保護実動訓練をおこないました。これに対し平和運動センターは地区平和センターや議員団とも連携し、反対の申し入れや、抗議行動、調査行動をおこなってきました。今秋にも第3回目の実動訓練の実施が予想され、従来の取り組みを踏まえ、引き続き実動訓練反対の取り組みを進めていきます。
5.11月22日、23日に金沢市内を会場として「第9回非核・平和条例を考える全国集会in金沢」を開催します。自治体や地域の平和力について全国のたたかいから学び、金沢港の軍事利用に警鐘を鳴らすと同時に、小松基地への米軍訓練移転反対、国民保護実動訓練反対の取り組みの強化につなげるため、実行委員会を中心として、集会の成功に向けて取り組みます。
6.住民基本台帳ネットワークシステムや共謀罪、監視カメラなど、プライバシーを侵害し、監視社会を押し進める動きに反対してきます。年金問題を利用して社会保障番号などあらたな管理システムを導入する動きがあり、警戒しなければなりません。
7.私たちの反戦平和運動の原点は、広島・長崎・沖縄です。国内最大規模の地上戦が展開され、今なお在日米軍基地の75%が集中する沖縄を訪れ、沖縄戦の教訓を学び、日米安保条約の実態を知ることは、県内の反戦平和運動の強化に大きな意義をもつものです。31年前から沖縄では5.15平和行進がおこなわれ、各都道府県平和運動センターは積極的に参加してきましたが、石川県平和運動センターとしては取り組みが見送られてきました。今年度は代表派遣を検討していきます。
3.改悪教育基本法の実効化を許さず、歴史認識の歪曲を許さない取り組み
1.教育基本法の改悪とそれに続く教育関連3法の改悪の狙いは、愛国心の押しつけ、国家に従順でない教員の排除、教育現場の管理統制の強化であり、その先には改憲による軍事大国化、新自由主義の推進があります。現憲法と齟齬があることはあきらかであり、解散・総選挙、政権交代の下での法改正が求められます。
今年度はこうした法改悪が、具体的に学校現場に下ろされてくる年となります。学校現場では競争主義・成果主義の激化、人事管理の強化、労働条件の悪化、人権侵害、平和教育への圧力など様々な問題が懸念されます。教員免許行更新制度など「改悪教育基本法」の実効化を許さないたたかいを平和フォーラム、県教組、高教組と連携し進めます。
2.沖縄戦の教科書記述問題については、日本軍の関与が一定認められたものの、検定意見は撤回されていません。文科省は過去にも「日本軍による住民虐殺」の記述削除を目論んだことがあり、歴史の事実の改ざんは繰り返されています。平和フォーラムと連携し「沖縄戦条項」の制定にとりくむと同時に、沖縄戦を学び、継承していくとりくみを進めます。
「新しい歴史教科書をつくる会」は低迷する採択率と教科書の内容をめぐって分裂しましたが、2009年度の次期教科書採択に向けて新たな教科書を発行するとしています。歴史を歪曲する教科書採択を許さない取り組みを進めます。
3.福田総理は任期中、靖国神社参拝をおこないませんでした、自民党を中心に多くの国会議員が参拝しています。政教分離の原則を侵す政治家の靖国神社参拝に今後も反対していきます。また「聖戦大碑」撤去の会が呼びかける集会などに積極的に参加し、歴史認識について学習を深めると同時に、歴史を歪曲する動きに反対していきます。
4.反核・脱原発の取り組み
1.核保有を正当化するだけではなく、核の先制攻撃、小型核兵器の開発、MD計画の推進など核拡散の流れをつくり出してきたブッシュ政権がまもなく任期を終えます。大統領選挙に向けて、民主党は「核のない世界を追及する」とし包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准に向け合意形成に努める方針も示されています。共和党も綱領に、保有核兵器を最小限に減らす方針を盛り込みました。9月2日から開催されたG8下院議長会議は、ペロシ米下院議長の賛同を得て広島で開催され、原爆資料館への視察が実現しました。これが具体的な核軍縮へつながるのか楽観論は禁物ですが、米国の128都市を含めた世界2,410都市が加盟し、2020年の核廃絶を目指す平和市長会議などの取り組みが徐々に世界の風向きを変えてきたことは間違いありません。
その一方でNPT未加盟国インドの核保有を容認する米印原子力協力協定が成立しました。核軍縮どころか核拡散への道であり、今後、イラクや北朝鮮の核問題への国際社会の対応も懸念されます。NPT体制は大きな危機を迎えました。
このような世界情勢の中、原水禁運動の重要性はますます高まっています。原水禁国民会議と連携し、あらゆる核実験、核兵器の保有に反対すると同時に、非核三原則の法制化、東北アジアの非核化に向けた行動に取り組みます。原水禁世界大会に代表団を派遣するとともに、県内の非核・平和行進にも積極的に取り組みます。
2.プルトニウム社会に突き進む核燃料サイクル路線の要となる六ヶ所村再処理工場、そしてもんじゅの稼働阻止は脱原発運動の中心課題です。すでに44トンもの余剰プルトニウムを保有する中で、さらに再処理工場を稼働させ余剰プルトニウムを生産・保有しようとする日本政府に対して、世界各国から核拡散を懸念する声があがり、核武装に疑惑の目が向けられています。
原子力政策の転換、さらには日本の核武装化を阻止するためにも核燃料サイクル路線に反対していきます。「もんじゅを廃炉へ!全国集会」は、来年2月の運転再開予定を前にしての集会であり、例年以上の参加態勢を呼びかけます。
3.日本列島各地で相次ぐ地震は日本列島が地震の活動期に入ったことを示しているとも言われます。柏崎原発を襲った中越沖地震は原発震災の恐怖を現実のものとしました。さらに電力会社や国の活断層隠し、活断層の過小評価、原発直下の活断層の発見等は、原子力政策への決定的不信感を生み出しています。六ヶ所村再処理工場やもんじゅも技術的限界が露呈し、核燃サイクル路線の展望はいまだ開かれていません。地震・断層問題と核燃料サイクル路線の破綻を軸に原水禁や全国の運動と連帯し、すべての原発を止める運動を進めていきます。当面の焦点は柏崎原発であり、地元の運動と連帯し、廃炉に向けた取り組みに積極的に協力していきます。
地球温暖化問題を利用し原発の新増設を進める動きが世界的に進んでいますが、大量消費社会を前提とした原発は本質的な温暖化対策にはつながらず、CO₂も放射能も減らす取り組みこそ必要です。原発の新増設にも引き続き反対していきます。
4.志賀2号機は、欠陥タービンの応急処置によって運転再開を強行しましたが、地震対策、隠ぺい体質、品質管理体制、運転管理能力、いずれも問題ありと言わざるをえません。1号機は、抜本的な臨界事故対策はなんら示されていませんが、年内にも再稼働に向けての動きが出てくることが予想されます。1、2号機の運転開始を許せば、次に出てくるのはプルサーマル計画の導入であり、なんとしても阻止しなければなりません。2号機の運転中止、1号機の運転再開阻止に向け、焦点を絞り込んだたたかいを進めます。
能登原発差止め訴訟は10月結審、年度内判決が予想されます。判決内容によっては日本の原子力政策を大きく揺り動かす可能性もあります。判決を注視し、原告団とも連携し、今後のたたかいを組み立てていきます。原告団の要請を受け、引き続き傍聴行動にも取り組みます。
志賀原発からの使用済み燃料の搬出は核燃サイクルの推進、志賀原発のプルサーマル計画の導入につながるものであり反対します。低レベル廃棄物の搬出も核のゴミの六ヶ所村への押しつけであり、しかも処分場直下の活断層の存在も指摘されており、許せません。
6.広島、長崎の被爆者課題については、国の認定基準の抜本改正や2世3世問題、在外被爆者問題も含め、原水禁と連帯し、解決に向けて取り組みます。原発労働者の被爆問題、労災認定問題についても、引き続き原水禁と連携し取り組みます。
第2号議案
2008年度 予算(案)
議案書「別冊」参照