2006年12月22日
石 川 県 知 事
谷 本 正 憲 様
石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
申 入 書
今年3月に営業運転を開始した志賀原発2号機で、早々とタービンの羽根258枚の損傷が確認されたことは県民に大きな衝撃を与えました。北陸電力(以下北電)は10月27日、今回の事故の「原因と対策」を取りまとめ、国への報告書を提出しました。原因の徹底糾明にはほど遠く、さらに問題なのは再発防止対策です。なんと、新たな羽根の製作には「相当な期間が見込まれる」からと先送りし、当面の応急処置として整流板を適用して運転を再開するとしています。ところが、これを受けた原子力安全・保安院は発生原因の推定および再発防止対策について妥当との評価を下しました。北電はさっそく11月13日、工事計画の届け出を提出し、本日(12月22日)が工事開始制限期間となっています。
そもそも2号機は、耐震安全性が不十分として運転停止の判決を受けただけではなく、試運転中の原子炉隔離弁トラブルによる運転停止(1月26日)にはじまり、タービン破損事故や配管テープのはがし忘れ、金属粒流入トラブル、給水加熱器内部のマーキングペン置き忘れと、まさに欠陥原発です。1号機についても毎年のようにトラブルや不正が発覚しており、先般も中性子計測器のケーブルの接続ミスが明らかになりました。そのつど北電は「品質管理における初歩的ミス」を認め、体制強化を表明してきました。しかし、北電は依然日立まかせ、そして日立のずさんな品質管理体制は全く改善されていません。
こうした中、法律上は明日以降、いつでも「応急工事」に着手できることになりました。原因の究明も責任の所在も不明確なまま、経営最優先の発想にもとづき「欠陥品」(北電永原社長の言葉)原発である志賀2号機の運転再開に踏み込むことは、さらなる危険を招くものとして到底容認できるものではありません。
安全協定を締結する石川県としましても、県民の安全、安心を守る立場から毅然とした対応をとっていただきたく、以下申し入れます。
記
1.沸騰水型原発におけるタービン事故の危険性の認識について
(1)タービン事故は最悪の場合、羽根がカバーを突き破り(タービンミサイル)、放射能で汚染された蒸気がタービン建屋を汚染するたけでなく、外部への放射能漏れや原子炉冷却水の喪失事故を招く恐れもあります。タービン事故の危険性の認識を伺います。
(2)今回の破損の直接の原因は、電気出力20%の付加遮断試験により、ランダム振動とフラッシュバックの応力が最大となり初期のひび割れが発生したとのことです。浜岡5号機はこれを含めた19回の起動・停止を繰り返し、この間に14回の負荷遮断試験をおこない、さらに営業運転開始後の3回のランダム振動を加わり、ついに羽根がちぎれて吹き飛びました。志賀2号機でも試運転期間中の回数が同数ならば、営業運転開始後のランダム振動が2回少ないだけであり、まさに大事故の直前だったといえるのではないでしょうか。見解を伺います。
2.国の安全審査体制について
結果として国の技術基準を満たさない欠陥タービンが国の安全審査をパスし、事故をおこしました。経済性を追求した巨大原発に対し、国の安全審査はその役割を果たさなかったのです。同じ審査体制の下での運転再開は認められません。国に対し、ノーチェックとなった原因と安全審査体制の問題点、見直しの方針を確認するよう求めます。
3.日立の設計、製造について
タービンでのランダム振動が周知の事実でありながら、なぜ12段目の羽根の解析に及ばなかったのでしょうか。(実機試験も13段、14段だけ)。世界最大級のタービンを製造しながら、「配慮が不十分だった」という釈明は不思議と言わざるをえません。日立側の発言の通り「当時得られるだけの知見を用いてもカバーできなかった」とするなら、まさに志賀原発は住民を実験台とする巨大技術の塊です。県の見解を伺います。
4.北電の検査体制について
試験運転でタービンを壊し、営業運転前にそれが発見されないとするならば、なんのための試験運転かわかりません。試験運転後、営業運転開始前にどのような検査を実施したのでしょうか。また当然検査体制の見直しがあるものと思いますが、その内容を明らかにするよう求めます。
5.応急処置の危険性について
(1)整流板を使った場合の解析の結果、および実機試験の結果を公表するよう求めます。
(2)原発や火力発電での使用実績があるとのことですが、使用実績を明らかにするよう求めます。
6.今後の工事開始にあたって
県民の理解をえることが工事再開の要件のひとつになると思いますが、県の対応を伺います。
7.プルサーマル計画について
北陸電力は、志賀2号機運転差し止め訴訟の控訴審において、新対震設計審査指針に照らした安全性の主張は来年の10月以降にすることを表明しました。今回の整流板による応急処置も数年は続ける意向のようです。プルサーマル自体の危険性や1、2号機の相次ぐ事故、トラブルで明らかになった北電、日立のずさんな品質管理体制に加え、新たに上記のような状況があるにもかかわらず、北電は依然としてプルサーマル計画2010年開始を断念せず、申し入れのタイミングを狙っています。1、2号機を問わずプルサーマル導入は断念すべきであり、県は北陸電力の申し入れを待つまでもなくプルサーマル受け入れ反対を明言するよう求めます。
2006年12月22日
北陸電力株式会社
社長 永原 功 様
石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
申 入 書
今年3月に営業運転を開始した志賀原発2号機で、早々とタービンの羽根258枚の損傷が確認されたことは県民に大きな衝撃を与えました。貴社は10月27日、今回の事故の「原因と対策」を取りまとめ、国への報告書を提出しました。原因の徹底糾明にはほど遠く、さらに問題なのは再発防止対策です。なんと、新たな羽根の製作には「相当な期間が見込まれる」からと先送りし、当面の応急処置として整流板を適用して運転を再開するとしています。ところが、これを受けた原子力安全・保安院は発生原因の推定および再発防止対策について妥当との評価を下しました。貴社はさっそく11月13日、工事計画の届け出を提出し、本日(12月22日)が工事開始制限期間となっています。
そもそも2号機は、耐震安全性が不十分として運転停止の判決を受けただけではなく、試運転中の原子炉隔離弁トラブルによる運転停止(1月26日)にはじまり、タービン破損事故や配管テープのはがし忘れ、金属粒流入トラブル、給水加熱器内部のマーキングペン置き忘れと、まさに欠陥原発です。1号機についても毎年のようにトラブルや不正が発覚しており、先般も中性子計測器のケーブル接続ミスが明らかになりました。そのつど貴社は「品質管理における初歩的ミス」を認め、体制強化を表明してきました。しかし、品質管理は依然日立まかせ、そして日立のずさんな品質管理体制は全く改善されていません。
こうした中、今回は応急処置を施しての志賀2号機の運転再開とのことです。原因の究明も責任の所在も不明確なまま、経営最優先の発想にもとづき「欠陥品」(永原社長の言葉)原発である志賀2号機の運転再開に踏み込むことは、さらなる危険を招くものとして到底容認できるものではありません。
経営効率最優先ではなく住民の安全・安心を最優先とした会社運営へと方針を転換されますようお願いし、以下申し入れます。
記
1.沸騰水型原発におけるタービン事故の危険性の認識について
(1)タービン事故は最悪の場合、羽根がカバーを突き破り(タービンミサイル)、放射能で汚染された蒸気がタービン建屋を汚染するだけでなく外部への放射能漏れや原子炉冷却水の喪失事故を招く恐れもあります。タービン事故の危険性の認識を伺います。
(2)今回の破損の直接の原因は、電気出力20%の付加遮断試験により、ランダム振動とフラッシュバックの応力が最大となり初期のひび割れが発生したとのことです。浜岡5号機はこれを含めた19回の起動・停止を繰り返し、この間に14回の負荷遮断試験をおこない、さらに営業運転開始後の3回のランダム振動を加わり、ついに羽根がちぎれて吹き飛びました。志賀2号機でも試運転期間中の回数が同数ならば、営業運転開始後のランダム振動が2回少ないだけであり、まさに大事故の直前だったといえるのではないでしょうか。見解を伺います。
2.日立の設計、製造について
タービンでのランダム振動が周知の事実でありながら、なぜ12段目の羽根の解析にまで及ばなかったのでしょうか。(実機試験も13段、14段だけ)。世界最大級のタービンを製造しながら、「配慮が不十分だった」という釈明は不思議と言わざるをえません。日立側の発言の通り「当時得られるだけの知見を用いてもカバーできなかった」とするなら、まさに志賀原発は住民を実験台とする巨大技術の塊ではないでしょうか。見解を伺います。
3.貴社の検査体制について
試験運転でタービンを壊し、営業運転前にそれが発見されないとするならば、なんのための試験運転かわかりません。試験運転後、営業運転開始前にどのような検査を実施したのでしょうか。また当然検査体制の見直しがあるものと思いますが、その内容を明らかにするよう求めます。
4.応急処置の危険性について
(1)整流板を使った場合の解析の結果、および実機試験の結果を公表するよう求めます。
(2)原発や火力発電での使用実績があるとのことですが、使用実績を明らかにするよう求めます。
5.今後の工事開始にあたって
県民の理解をえることが工事再開の要件のひとつになると思いますが、認識を伺います。
6.プルサーマル計画について
貴社は、志賀2号機運転差し止め訴訟の控訴審において、新対震設計審査指針に照らした安全性の主張は来年の10月以降にすることを明らかにしました。今回の整流板による応急処置も数年は続ける意向のようです。1、2号機で相次ぐ事故、トラブルに加え、新たにこのような状況があるにもかかわらず、貴社は依然としてプルサーマル計画2010年開始を断念せず、申し入れのタイミングを狙っています。プルサーマル自体の危険性に加え、この間、明らかになった貴社と日立のずさんな品質管理体制を見るならば、1、2号機を問わずプルサーマル導入は論外です。計画の中止を求めます。