核不拡散条約(NPT)再検討会議「成果文書」を採択できずをうけた原水禁声明

4月27日からアメリカ・ニューヨークの国際連合本部で開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議は、まとめとなる「成果文書」を採択することができず、5月22日に閉会しました。2015年、2022年に続き3回連続で、「成果文書」を採択できなかったことによる落胆の声が大きく上がっています。

NPTは1970年に発効した、191か国が加盟する核軍縮・核廃絶にとって重要な国際条約です。核不拡散・核軍縮・原子力の「平和」利用を3つの柱とし、アメリカ・ロシア・フランス・イギリス・中国の5か国に核兵器の保有を認める一方で、加盟国(核保有国)に核軍縮に向けた交渉を誠実に行うことを課しています。核兵器禁止条約(TPNW)においても、NPTを「補完する」としており、核軍縮・核廃絶のあゆみを進めるなかでは、NPT体制を中心に据えながらこれまでの交渉・協議が行われてきました。

核保有国と非核保有国が現実に存在する限りは、その隔たりを埋める努力を欠かすことができません。NPTでは第6条で「すべての締約国に対して、核軍備競争の早期停止、核兵器の削減、そして最終的な『全面完全軍縮』に向けて誠実に交渉する義務」を明記されていることが、これまでの交渉・協議の基となってきました。一方で非核保有国からは、核保有国がこの第6条の軍縮義務を十分に果たさないだけでなく、近代化をおし進める姿勢に長年強い不満が示され続けています。こういった不満が、そもそも核兵器廃絶を明確にしたTPNW発効の背景の一つとなったことは事実です。だからこそ今回のNPT再検討会議では、核軍縮に向けた「成果文書」の採択を望む声が高まっていました。

アメリカ・イスラエルによるイランへの攻撃、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に端を発した戦争に見られるように、それまで「強国」として存在してきたアメリカとロシアによる国際法を無視した武力による現状変更の動きは、国際社会全体の混迷の度合いをより一層深めることになり、次はどこが攻撃対象になるのかといった不安を増大させています。

日本を含めた各国政府は、こういった情勢を引き合いに軍備増強を声高に謳い、「安全保障」には軍事力増強による抑止力を高めることが不可欠だと喧伝しています。戦争被爆国であり、「橋渡し役」を自任する日本政府が果たすべき役割は、こういった動きとは違う、毅然としたものであるべきです。

軍事力増強に留まらず、核拡散・核増強の動きまで国際社会全体で止めることができなければ、再び核兵器開発競争に陥ってしまい、偶発的な核兵器使用の危険性が高まることは容易に想定できます。たとえ「成果文書」が採択できなかったとしても、NPTは条約として存在し続けており、引き続き加盟国にはその遵守が責任として課せられている事実を改めて確認すべきです。そして11月末に開催予定のTPNW第1回再検討会議に向けて、私たちは決してあきらめることなく核廃絶を訴えていかなくてはなりません。

広島・長崎の被爆から間もなく81年を迎えようとしています。これまで多くの被爆者が世界各国で語ってきた被爆の実相は、これからも三度核兵器使用を許さないうえでは欠かすことができません。国内における被爆の実相の継承は、厳しさを増す国際情勢という観点から見ても、重要な意味を持ちます。その重さをしっかり受け止める原水禁運動が、必要であり続けています。

今回のNPT再検討会議に原水禁は26人の代表団を派遣しました。各国市民との交流を通して訴えた核兵器廃絶の声は、確かなものとして発信することができました。私たち市民が決して黙することなく訴えていく重要性を確認しながら、今夏の原水禁世界大会・TPNW第1回再検討会議へとつなげていくとりくみを引き続き進めていきます。

私たちは、決して下を向きません。被爆者との約束である核兵器の廃絶と世界平和の実現をめざし、今後も原水禁運動を進めていく決意です。

2026年5月29日

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

カテゴリー: PEACE石川(機関紙), トピックス, 全国・中央・北信越, 友誼団体, 反戦・平和, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染) パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です