核兵器禁止条約(TPNW)発効から4年を迎えるにあたって

核兵器禁止条約(TPNW)発効から4年を迎えるにあたって

核兵器禁止条約(TPNW)は、2021年に発効してから本日1月22日で4周年を迎えました。TPNWは非人道的兵器である核兵器の開発、保有、実験、使用をはじめ使用の威嚇を含むあらゆる活動を全面的に禁止する条約です。

核拡散防止条約(NPT)再検討会議を軸とした核軍縮交渉の枠組みは停滞し、世界各地で戦火は絶えず核兵器使用が現実的な危機として存在しています。そうしたなかでTPNWは核兵器廃絶への道筋をつけるものとして期待を集めており、2025年1月現在、署名国94か国(地域)、批准国73か国(地域)と参加が拡がっています。

TPNWはすでに第1回締約国会議(2022年6月・ジュネーブ)、第2回締約国会議(2023年11月~12月・ニューヨーク)が開催され、核兵器の非人道性や世界の核被害の実相などの議論が重ねられてきています。また、第3回締約国会議(2025年3月・ニューヨーク)の開催に向け準備が進んでいます。

とくに、第2回締約国会議にはドイツ、ノルウェー、ベルギーといった北大西洋条約機構(NATO)加盟国で日本同様アメリカの「核の傘」の下にある国々もオブザーバー参加するなどのあらたな動きもみられました。

原水禁は、TPNWを成立・発効させ、大きく拡げていったさまざまな国々の、さまざまな立場の人びとの絶え間ない奮闘に心から敬意を表します。TPNWには、広島・長崎の戦争被爆者、核実験などにより被爆した世界のヒバクシャの受けた大きな苦しみを直視し、かかる被害を生み出した核兵器を必ず廃絶していくという決意が込められているものと考えます。

私たちとしても被爆の実相の継承に向けたとりくみ、被爆者援護に向けたとりくみ、あるいは世界のヒバクシャとの連帯のとりくみといった原水禁運動の内容を世界の人びとと共有しながら、TPNWの前進をつくりだすべく力を尽くしていきます。とくにこの間指摘してきたウラン鉱山採掘をめぐる核被害の問題などについても発信し、議論を呼びかけていきたいと考えます。

そのいっぽう、日本政府が核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自称しながら、TPNWに対して背を向け、不参加の態度を変えていないことを、私たちは強く批判します。

石破首相は1月8日に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の役員と面会しました。日本被団協のノーベル平和賞受賞には祝意を述べたものの、その後は核抑止に関する持論を一方的に語るのみで、TPNW締約国会議へのオブザーバー参加を求める要請には答えませんでした。

被爆者自身が原爆被害の実相を証言することは、国際社会に対して核兵器の非人道性を明らかにし、今日に至るまで戦争による核兵器使用を阻む最も大きな力となってきました。そのことに込められた思いや努力にいっさい向き合うことなく核抑止へのいっそうの傾斜を是とする態度は、不誠実極まりありません。

戦争被爆国日本に求められているのは、日本政府自身の核抑止からの脱却を含め核兵器廃絶に向けた具体的な行動にとりくむことであり、また、核保有国に対しては先制不使用宣言を求めるなどの外交努力を果たすことです。そのためにも、まずは日本政府のTPNWに対する態度をあらためさせることが、世界の核軍縮、ひいては核兵器廃絶に向けた動きに大きな弾みをつけることになると確信します。

被爆80年である2025年、原水禁は日本の、そして世界の人びととの共同をとおして、核も戦争もない社会の実現に向けた大きなうねりをつくりだしていきたいと考えています。その一環として、TPNW第3回締約国会議にも原水禁代表団を派遣する予定です。参加する多くの人びととの議論や交流が大きな実りを生み出すことに心から期待します。

2025年1月22日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一

金子哲夫

染 裕之

カテゴリー: 全国・中央・北信越, 原水禁, 友誼団体, 反核・脱原発, 核兵器・放射能・核開発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染), 脱原発・核燃 パーマリンク

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