2008年9月10日
外務大臣
高 村 正 彦 様
原水爆禁止石川県民会議
代表委員 嶋垣 利春
代表委員 宮下登詩子
代表委員 川本 蔵石
インドの核兵器保有を容認する
米印原子力協力協定承認に対する抗議文
日本政府を含む原子力供給国グループ(NSG)加盟各国は9月6日、ウィーンで開かれた臨時総会において、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドを輸出規制の例外扱いとする米印原子力協力協定を全会一致で承認した。インドの核兵器保有を容認し、核不拡散条約(NPT)を空洞化・形骸化させる暴挙であり、到底容認できない。条約を承認した日本政府はじめ加盟各国に対し原水禁石川県民会議は強く抗議する。
インドはNPTに加盟せず、1974年と1998年に核実験を行い、核兵器を保有してきた。今回の決定は、NPT加盟国にだけ認められてきた民生用原子力貿易の権利を、IAEAによる包括的保障措置も受けないインドに与えることになる。米国からインドへ原子力技術や核燃料の輸出を可能にする、まさに米国の原子力産業の利益のための協定である。これにより核拡散防止の原則が崩れて、パキスタンはインドと同様に地位を得る権利を主張することは明らかである。さらに、イランや北朝鮮にも核保有にも口実を与えかねず、NPT体制は崩壊を招きかねない重大に危機に直面している。
インドは、包括的核実験禁止条約(CTBT)にも署名していない。CTBT発効要件国のうち未署名は、北朝鮮、パキスタン、インドの3ヵ国で、インドの署名・批准がない限りCTBTは発効しないのである。しかも、核保有国5ヵ国は、核兵器用核分裂性物質の製造を中止しているが、インドは製造を続けている。ところが日本政府は、CTBTの署名・批准及び核兵器用核分裂性物質の即時生産停止を条件とすることさえ主張しなかった。
今回の政府の対応は、被爆者はじめ国内外の全ての核廃絶を願う団体、人々に対する裏切り行為である。原水爆禁石川県民会議は、国是である核廃絶の理念を放棄した政府の対応に重ねて強く抗議する。