「安倍元首相の国葬閣議決定に抗議する」 緊 急 声 明

2022年7月22日

石川県憲法を守る会

                            代表委員 岩淵 正明(弁護士)

   同 宮岸 健一(石川県平和運動センター共同代表)

                                              同 盛本 芳久(社民党石川県連合代表)

                                               同 澤  信俊(金沢星稜大学特任教授)

 

「安倍元首相の国葬閣議決定に抗議する」

緊 急 声 明

 

本日、岸田内閣は、安倍元首相の国葬を閣議決定した。私たち石川県憲法を守る会は、一人の政治家の不慮の死を悼みつつ、この閣議決定に抗議するとともに、国葬により、国家の名のもとで弔意を強制することは許されないことを意思表明する。その理由は以下である。

1.国葬は、日本においては戦前の国葬令を起源とするが、1947年12月31日に失効して以来、憲法上も法律上も根拠となる規定はない。戦後まもなく、閣議決定で行った吉田茂首相の国葬は、社会的なコンセンサスがないまま強行されたが、以後、国葬ははばかられ、実施されていない。なぜならば、特定政治家の国葬は、その業績への議論を封じ、賛美を強要し、国民を無批判に国家統合しようとするものとなり、国民主権の日本国憲法の精神に反し、思想信条の自由など基本的人権をも侵すことは明らかであるからだ。

2.安倍政権は、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、共謀罪法など、憲法が規定する平和主義や基本的人権に反する法制度を、多くの反対を押し切って成立させた。これらは、立憲主義の破壊として、広範な国民の批判を招いた。また、教科書採択や放送番組への介入をはじめ、教育、メディアの独立性を侵してきた。そればかりではなく、森友学園や加計学園、桜を見る会などの政治の私物化は、公務員の尊い命を失わせながら、納得のいく説明責任は果たされないままである。

岸田首相は、国葬により、「民主主義の重要性を改めて国民とともに確認する」とするが、数の力に頼み、立憲主義と社会的公正を破壊した安倍氏を民主主義の擁護者として称揚するのは著しい論理破綻である。

さらには、岸田首相は参院選後に「早期に改憲発議を」と表明しており、これが「安倍氏の遺志」であるとする「国葬」の政治利用につながる危険性にも警鐘を鳴らすものである。

3.安倍元首相の銃撃事件は、旧統一教会との癒着という戦後の自民党政治の暗部にある数々の疑惑を浮かび上がらせている。今行うべきは安倍氏の国葬ではなく、この疑惑の解明であり、国民への徹底した説明責任の履行である。

以上

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