5.31北海道電力「泊原発」差止め判決を受けた「志賀原発を廃炉に!」訴訟原告団声明

泊原発差止め判決を受けての志賀原告団声明

札幌地裁(谷口哲也裁判長)は5月31日、道内の住民ら1201人が北海道電力に対し、泊原発の廃炉、運転の禁止、使用済み核燃料の撤去を求めた訴訟で、「津波に対する安全性の基準を満たしていない」との理由から運転の差し止めを命じる判決を下しました。原発のない北海道への大きな一歩であり、一進一退を続ける全国の原発訴訟にも大きな波及効果をもたらす画期的な判決です。

志賀原発の運転差止めを求める金沢訴訟に与える影響を以下2点に絞って指摘します。

泊原発と志賀原発の差止訴訟には多くの共通点があります。特に注目すべきは、規制委の新規制基準適合性審査の遅れと、並行する差止め訴訟の長期化です。北海道電力は、泊原発の安全性を主張する一方で、規制委の審査をクリアするのを待って詳しい主張を展開するとしてきました。北陸電力も、規制委が敷地内断層の審査中であることを理由に結審の先延ばしを主張し、さらにこの4年間の口頭弁論では審査会合の報告に終始してきました。

札幌地裁は北海道電力のよる主張立証のサボタージュに対して「これを訴訟上正当化することは難しい」とし、ついにレッドカードを突きつけました。司法の独立性、主体性を発揮した札幌地裁に対して、金沢地裁は「原子力規制員会の判断を待つ」「規制委の判断に従う」とし、北陸電力の主張立証のサボタージュを自ら促してきました。金沢地裁はこの間の規制委追随、司法の責任を放棄した訴訟指揮を猛省し、ただちに方針の転換を図るべきです。

札幌地裁判決でもう一点注目すべきは、津波対策のみならず、敷地内地盤の安定性や地震に対する安全性、火山事象に対する安全性、そして防災計画の適否について、いずれか一つでも欠ける場合は人格権侵害のおそれを認めるとしたことです。泊原発は津波対策に欠け、「その余の争点について判断するまでもなく」差止めを認めています。

志賀原発の場合、私たちは敷地内断層の問題だけではなく周辺活断層による揺れや防災計画の不備など志賀原発の危険性をあらゆる角度から指摘し、人格権侵害のおそれを主張しています。敷地内断層が活断層であれば、その余の争点について判断するまでもありません。また、仮に敷地内断層の活動性が否定されようとも、それをもって志賀原発の周辺住民に対する人格権侵害のおそれなしとならないことは自明です。新規制基準に関わる地震動や重大事故等対処施設関係、さらには防災計画の実効性の有無など、一つでも欠ける点がないか北陸電力には規制委の審査を待つことなく、迅速かつ詳細な主張立証が求められます。規制委追随で司法の信頼を失墜させてきた金沢地裁は、今こそ信頼回復に向け、あるべき原発訴訟の姿を国民の前に見せるべきです。

行政の一組織である規制委に追随する金沢地裁の姿に、私たちは日本国憲法に定められた三権分立の危機を感じてきました。今回の札幌地裁の判決は、金沢地裁の姿がいかに司法の道をはずれたものであるかを浮き彫りにするものであり、私たちは高く評価します。今回の札幌地裁判決を機にあらためて「裁判で原発を止める」決意を新たにし、志賀原発の廃炉へ向かって邁進する決意をここに表明します。

  2022年6月6日

 志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

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