辺野古新基地建設にかかわって、沖縄防衛局が沖縄県に申請していた軟弱地盤が存在する大浦湾を埋め立てるための設計概要変更申請について、玉城デニー沖縄県知事は11月25日、この申請を不承認としました。
辺野古新基地建設は即刻中止すべきであり、平和フォーラムは玉城デニー県知事が示した不承認の判断を全面的に支持します。
そもそも大浦湾は、大規模なアオサンゴ群集を含め多種多様なサンゴ類、5000種を超える海洋生物が確認されているなど、生物多様性に富む極めて豊かな自然が残されていることで知られています。この豊かな海を埋め立てる企ては、取り返しのつかない自然破壊であり、国が自ら定めた生物多様性国家戦略にも反する暴挙と言わざるを得ません。
また、防衛省の申請書には軟弱地盤改良工事の具体的内容はなく、また海面から90mにも及ぶマヨネーズ並みの地盤工事を行うことができる作業船もないとされています。仮に埋立工事を行ったとしても、地盤工学の専門家らの分析では「震度1以上でも護岸が崩壊する恐れがある」との指摘があり、滑走路面の地盤沈下によって米軍が定める基地機能の基準にも満たないとも言われています。工事計画は全く破綻していると言わざるを得ません。
2021年7月6日に最高裁判決のあった、サンゴ特別採捕をめぐる関与取り消し訴訟で、五人の裁判官のうち二人が、「大浦湾の軟弱地盤の存在で、変更申請が不承認になった場合、サンゴ移植は無意味であるということ。サンゴの移植を行ったとしても、移植は極めて困難で、大半が死滅することを考えれば、それでもサンゴの移植をするべく大浦湾の埋め立て事業が実施される蓋然性が相当程度になければいけない」とする反対意見を述べました。
沖縄県の敗訴が確定した判決とはいえ、工事強行の無意味さが司法の場においても明らかになったといえるでしょう。
沖縄の戦後は、米軍の施政権下におかれ、1972年の「沖縄復帰」以降も、米軍基地の集中を余儀なくされ、日米安保条約の負担を押しつけられてきました。今日においても、日本政府は米国の東アジア戦略に追従し、九州・沖縄、南西諸島に自衛隊基地の新設など、軍事強化をすすめています。万が一有事ともなれば、軍事基地の集中する沖縄などが戦禍を被ることは火を見るより明らかです。
沖縄にこれ以上の軍事基地の負担は許されません。沖縄県民を安保の犠牲にしてはなりません。軍事基地の新設強化は、東アジアの安全保障環境をより悪化させるだけです。
平和フォーラムは、沖縄県と県民の民意に連帯し、日本政府に辺野古新基地建設の断念を強く求めるとともに、南西諸島での軍事強化に反対することをここに表明します。
2021年11月25日
フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
共同代表 藤本 泰成
共同代表 勝島 一博