大飯原発を 直ちに廃炉せよ(原水禁声明)

大飯原発設置許可取り消しの判決を真摯に受け止め、

直ちに廃炉を選択せよ(原水禁声明)

 12月4日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震性を巡り、安全審査基準に適合するとした原子力規制委員会(規制委)の判断は誤りだとして、福井県など11府県の住民127人が設置許可の取り消しを求めた裁判で、大阪地裁(森鍵一裁判長)は、原告の主張を認め設置許可を取り消す判断を下しました。

東京電力福島第1原発事故を踏まえて策定された新規制基準の下で、設置許可を取り消す司法判断は初めてです。判決は、新規制基準に基づく原子力規制委員会の判断には「看過しがたい、過誤・欠落がある」と、その誤りを強く糾弾しています。地震による原発事故の可能性に目を向けた画期的な判断であり、国の安全審査の根幹に大きな疑問を突きつけるものです。

裁判では、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の評価を基に設置を許可した規制委の判断の妥当性が大きな争点となり、その中で原告側は「基準地震動の算出で、過去の地震データの数値に平均値から外れたものなどがあるが考慮されておらず、地震の規模や基準地震動が過小評価されている」と主張しましたが、国側は「数値のばらつきを考慮する必要はない」としました。判決では、規制委が定めた審査ガイドもばらつきを考慮する必要性を示しているとして、規制委は、基準地震動を算出する地震規模の想定で必要な検討をせず、「審査すべき点を審査していないので違法だ」ときびしく指摘しています。原発の安全性をチェックする規制委の耐震設計の手法が根本から否定されました。

2014年福井地裁が、大飯3、4号機については、「地震対策に構造的な欠陥がある」として運転差し止めの判決を出しました。その際、官房長官(当時)だった現在の菅義偉首相は「規制委が世界で最もきびしい安全基準で審査し、その結果を待って(再稼働させる)ということだ」と述べています。政府は、判決を受け止めることなく再稼働を積極的にすすめ、2017年に規制委は、新規制基準に基づき審査し安全であるとして再稼働させました。首相や規制委の姿勢が改めて問われています。

政府・規制委は、今回の司法の判断を重く受け止め、新規制基準下で許可を受け稼働している原発は直ちに停止し、すべての原発の耐震性の見直しを行うとともに、地震や活断層の問題が指摘される危険な原発は直ちに廃炉とすべきです。

現在定期検査で停止している大飯3,4号機の再稼働はむろん許されず、関西電力は、廃炉の選択をとるべきです。それが、原発マネー問題などで市民社会の信頼を失った関西電力がとるべき唯一の道と考えます。

2020年12月8日

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野浩一

 

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