脱炭素社会へ石炭火力発電所の全廃をはかれ(事務局長見解)

2020年7月6日

脱炭素社会へ石炭火力発電所の全廃をはかれ(事務局長見解)

原水爆禁止日本国民会議

事務局長  北村智之

 梶山弘志経済産業大臣は、7月3日の記者会見で、旧型で「非効率」な石炭火力発電所約100基を2030年度に向けて、段階的に休廃止することを表明しました。一方で、新型で「高効率」な石炭火力発電所は維持し、さらに新たな石炭火力発電所の新設を認めるとし、さらに発電時に CO2を出さないとして原発の再稼働も推し進めようとしています。

地球温暖化が進む中で、ドイツやフランス、イギリスなどは、国際的な枠組みである「パリ協定」に基づき、石炭火力の具体的な廃止目標を設定し行動に移しています。日本は主要国7か国(G7)の中で、唯一石炭火力の新設を計画し、政府の「成長戦略の柱」として石炭火力の輸出をすすめてきました。世界の流れに逆行する日本は、グテーレス国連事務総長からは「石炭中毒」と批判され、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)では、開催中に「化石賞」を2度も受賞しました。気候危機が叫ばれ、地球温暖化対策が国際的に急がれる中にあって、日本への国際的批判は高まるばかりです。

今回の旧型火力発電所の大幅削減で、CO2排出が大胆に減るように見えますが、「高効率」の新型石炭火力といっても実際には1kWhのCO2排出量は3割程度の減少に留まり、天然ガス複合発電の2倍にもなります。一方で新規石炭火力の建設を認めることで、将来的にCO2排出量を固定する事につながります。欧州各国などのCO2排出量「ゼロ」に向けたとりくみとは決定的に違います。日本の政策は石炭火力の延命をはかるもので、「ゼロ」向けたとりくみではありません。

昨年の台風19号での被害、今年7月3日から4日にかけての九州での豪雨被害。地球温暖化による気候変動は、日本においても未曾有の被害をもたらしています。国土強靱化というような施策では年々増大する被害を食い止めることはできません。熱波による大規模森林火災、氷河の後退による海水面の上昇など、世界規模での危機的状況が生まれています。大量のCO2を排出する工業国日本には、大きな責任があることを忘れてはなりません。「非効率」か「高効率」化を問うことなく、全ての石炭火力からの撤退が求められています。

同時に、石炭火力削減を契機に原発の再稼働や新増設を進めようとすることは、絶対に許せません。原子力は火力との併用が無くては使用電力量の変化に対応ができず、温暖化対策の切り札にはなり得ません。一方で、環境へ放射能拡散し、処分困難な核のごみを大量に発生させ、決して地球環境にやさしいものではありません。環境への負荷が少なく、CO2排出が「ゼロ」である、再生可能エネルギーの積極的な活用と大胆な省エネの推進などエネルギー政策の根本的転換が、今の日本に求められています。

原水禁・平和フォーラムとして、脱炭素、脱原発にむけて今後も引き続き取り組みをすすめていくものです。

 

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