声 明
2020年3月12日
第5次6次小松基地爆音訴訟原告団
団 長 出 渕 敏 夫
第5次6次小松基地爆音訴訟弁護団
事務局長 川 本 藏 石
本日、金沢地方裁判所において、第5次6次小松基地爆音訴訟第一審判決が言い渡された。
第5次6次小松基地爆音訴訟は、2008年12月24日に2121名、2009年4月27日に106名、合計2,227名の小松基地周辺の住民が原告となり、国に対し、自衛隊機及び米軍機の飛行差止めと賠償金の支払いを求めて起こした裁判である。
小松基地爆音訴訟は1975年に12名の原告で始まった。これまでに4度の判決が出され、いずれの判決でも自衛隊機の騒音は受忍限度を超える違法なものであると断罪し国に対して賠償金の支払いを命じた。しかし、基地周辺住民の一番の願いである差し止めは認められなかった。
小松基地爆音訴訟を含む全国の基地訴訟では、慰謝料は増額傾向にあり、防音工事などの慰謝料減額要素の評価は低くなっている。また、新横田基地公害訴訟控訴審判決及び第4次厚木基地爆音訴訟控訴審判決において将来請求が一部認められた。第4次厚木基地爆音訴訟の第一審及び控訴審判決においては、一部ではあるものの自衛隊機の飛行差止めが認められ、少しずつではあるが被害救済に向けて前進してきた。
本日の判決は、これまでの判決と同様に戦闘機騒音が受忍限度を超え違法であると認め、国に対して賠償を命じた。認められた慰謝料の金額は不十分ながら前回訴訟よりも若干増えている。
しかし、判決では原告らが実施した健康被害調査を重視せず、戦闘機騒音による健康被害を認めなかった。また、賠償金は過去分に限られ将来分は認められず、防音工事による減額率も前回訴訟と同じであった。さらに、自衛隊機の飛行差止めは民事不適法であるとして却下され、米軍機の飛行差止めは第三者行為論を根拠に棄却された。
今回の判決では基地周辺住民の被害救済に全く前進が見られず、明らかな不当判決である。本判決は、国民の権利救済を使命とする裁判所がその任務を放棄したと評価せざるを得ず、到底容認することはできない。
私たち原告団・弁護団は、第1次訴訟から一貫して求めている「静かで平和な空」を取り戻すため、戦闘機騒音被害の抜本的解決が図られるまで今後も闘い続けることを誓う。
以上