芥川龍之介の「軍人嫌い」「軍人は小児に近い」

毎日新聞「火論(かろん)」より  玉木 研二客員編集委員

「軍人は小児に近いものがある」と書いたのは芥川龍之介だ。芥川の軍人嫌いはよく知られている。「軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている」とも。

今話題の「アルキメデスの大戦」は1933年が舞台。大陸に進出し国際連盟を脱退したころ。主人公の「櫂(かい)直(ただし)」も軍部への嫌悪感を隠さない。

彼を海軍に引き込んだ山本五十六は、「大艦巨砲主義」らの対米戦を批判し、航空兵力の強化を主張した。巨大戦艦建造計画の見積額の低さを怪しみ、櫂の数式による解析で矛盾を暴こうとした。

フィクションだが、数式を駆使して不合理を証明し、計画をつぶし戦争そのものを亡き物にしようとする発想は歴史を突く。なぜなら、どうして、誰が考えても無謀な太平洋戦争に突入したのか、回避できなかったのか、いまだに未解明な根源的な問いが込められているからだ。

さて、建造された巨大戦艦(大和、武蔵)は、その巨砲で敵を撃滅することもなく、航空機の攻撃で海の露と消えた。小児が欲しがる玩具・武器はいま、核兵器、ミサイル、ロボット、AI、サイバーととめどない。リーダーたちは正義の旗を振りかざし、宇宙軍拡競争さえ唱える。

芥川の警句がある。

正義は武器に似たものである。武器は金を出しさえすれば、敵にも味方にも買われるだろう。正義も理屈をつけさえすれば、敵にも味方にも買われるものである。

米国から高額で購入し地上配備するミサイル防衛システム「イージスアショア」。その過程で縮尺を誤るなどの大ポカがあった。住民は怒り、困惑し、秋田選挙区の結果となった。

その武器は、もちろん「玩具」ではない。

 

 

 

 

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